(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】タングステン化学機械研磨組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 3/14 20060101AFI20220111BHJP
C09G 1/02 20060101ALI20220111BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20220111BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
B24B37/00 H
H01L21/304 622X
H01L21/304 622D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019111866
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2019-10-16
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
(72)【発明者】
【氏名】チュン ルー
(72)【発明者】
【氏名】マーク レナード オニール
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-288537(JP,A)
【文献】特開2016-167580(JP,A)
【文献】特開2016-108542(JP,A)
【文献】特開2016-196632(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0028466(US,A1)
【文献】特開2010-245091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
C09G 1/02
B24B 37/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステンを含む表面を含む基材を研磨するための化学機械平坦化(CMP)組成物であって、
アルミナ、セリア、ゲルマニア、コロイダルシリカ、1ppm未満の痕跡量金属を有する高純度コロイダルシリカ、チタニア、ジルコニア粒子、金属修飾又は複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材であって、研磨材粒子は20nm~180nmの範囲の平均サイズを有する、研磨材;
金属-配位子錯体触媒;
酸化剤;及び
水、水と混和性である液体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒;
任意選択的に、
Wの腐食防止剤;
pH調節剤;
バイオサイド;及び
安定化剤
を含む化学機械平坦化(CMP)組成物であって、
前記CMP組成物のpHは、4~9の範囲であり、前記CMP組成物は、安定な組成物であり;
前記金属-配位子錯体触媒が、
M(n+)-Lm
(式中、n+は、金属-配位子錯体中の金属イオンの酸化数を指し、n+は1+、2+、3+であり;
mは金属-配位子錯体中のカチオン性イオン中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指し、mは金属-配位子錯体の形成における配位子分子に依存してそれぞれ1、2、3、4、5又は6であり;
Mは、Fe
であり;
配位子分子Lは、モノ-、ビ
-カルボン
酸官能基を有する有機酸;モノ-、ビ
-カーボネー
ト官能基を有するアンモニウム
塩;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。)
の一般分子構造を有する、化学機械平坦化(CMP)組成物、
但し、サルコシネート、サルコシネート関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる添加剤を含む化学機械平坦化(CMP)組成物を除き、ならびに金属-配位子錯体触媒により被覆された研磨材及び金属-配位子錯体触媒がその表面に固定されている研磨材を除く。
【請求項2】
前記金属-配位子錯体触媒が、
【化7】
及びこれらの組み合わせを含む群から選択される鉄-配位子錯体触媒である、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
【請求項3】
前記Wの腐食防止剤が、0.5~10ppmの範囲であり、かつ、エチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、プロピレンイミン、及びこれらの組み合わせを含むオリゴマー又はポリマーからなる群から選択され;
前記ポリエチレンイミン(PEI)は、分岐鎖又は直鎖であることができ、分岐鎖ポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐鎖であり、かつ、第一級、第二級、及び第三級アミノ基を含有しており;直鎖ポリエチレンイミンは第二級アミンを含有している、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
【請求項4】
前記分岐鎖ポリエチレンイミンは、以下に示される式(-NHCH
2CH
2-)
x[-N(CH
2CH
2NH
2)CH
2CH
2-]
y:
【化8】
(式中、x及びyは各々独立して2~40であることができ、またはx及びyの各々は独立して6~10である。)
により表されることができる、請求項3に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
【請求項5】
前記酸化剤が、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含むペルオキシ酸化剤;H
2O
2及び過酸化尿素;過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム;ベンジルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;モノ過硫酸又はジ過硫酸を含むパーサルフェート;過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、及びこれらの酸;過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、及びこれらの塩を含むペルオキシ酸;ヨウ素酸及びその塩;硝酸;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記酸化剤は1ppm~100000ppmの範囲であり;
前記バイオサイドが、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を含み;
前記pH調節剤が、(1)硝酸、スルホン酸、リン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸;(2)水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩基からなる群から選択され;
前記安定化剤が、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
【請求項6】
前記組成物が、鉄-グルコネート水和物又は鉄(III)-オキサレート;コロイダルシリカ、1ppm未満の痕跡量金属を含む高純度コロイダルシリカ、及びこれらの組み合わせを含み、前記研磨材が、30nm~150nmの範囲のサイズを有し;鉄-グルコネート水和物又はアンモニウム鉄-オキサレート三水和物;H
2O
2;ポリエチレンイミン(PEI);水;及び任意選択的にグルコン酸;及びバイオサイドをさらに含む、請求項1に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
【請求項7】
半導体基材を与える工程と;
研磨パッドを与える工程と;
アルミナ、セリア、ゲルマニア、コロイダルシリカ、1ppm未満の痕跡量金属を有する高純度コロイダルシリカ、チタニア、ジルコニア粒子、金属修飾又は複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材であって、研磨材粒子は20nm~180nmの範囲の平均サイズを有する、研磨材;
金属-配位子錯体触媒;
酸化剤;及び
水、水と混和性である液体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒;
任意選択的に、
Wの腐食防止剤;
pH調節剤;
バイオサイド;及び
安定化剤
を含む化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記CMP組成物のpHは、4~9の範囲であり、前記CMP組成物は、安定な組成物であり;
前記金属-配位子錯体触媒が、:
M(n+)-Lm
(式中、n+は、金属-配位子錯体中の金属イオンの酸化数を指し、n+は1+、2+、3+であり;
mは金属-配位子錯体中のカチオン性イオン中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指し、mは金属-配位子錯体の形成における配位子分子に依存してそれぞれ1、2、3、4、5又は6であり;
Mは、Fe
であり;
配位子分子Lは、モノ-、ビ
-カルボン
酸官能基を有する有機酸;モノ-、ビ
-カーボネー
ト官能基を有するアンモニウム
塩;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。)
の一般分子構造を有する、化学機械研磨(CMP)組成物(但し、サルコシネート、サルコシネート関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる添加剤を含む化学機械平坦化(CMP)組成物を除き、ならびに金属-配位子錯体触媒により被覆された研磨材及び金属-配位子錯体触媒がその表面に固定されている研磨材を除く)を与える工程と;
前記半導体基材の表面を、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触させる工程と;
前記半導体の表面を研磨する工程と
を含む、タングステンを含む表面と、誘電体層又はバリア層の少なくとも1つとを含有する半導体基材の化学機械研磨方法であって、
前記誘電体層は酸化物膜であり、前記バリア層はTiN、Ti、TaN、Ta及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
【請求項8】
前記誘電体層が酸化ケイ素膜(TEOS)であり、前記バリア層がTiNであり、W:TEOS又はTiNの除去選択性が、4:1又は50:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記金属-配位子錯体触媒が、
【化9】
及びこれらの組み合わせを含む群から選択される鉄-配位子錯体触媒である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記Wの腐食防止剤が、0.5~10ppmの範囲であり、かつ、エチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、プロピレンイミン、及びこれらの組み合わせを含むオリゴマー又はポリマーからなる群から選択され;
前記ポリエチレンイミン(PEI)は、分岐鎖又は直鎖であることができ、分岐鎖ポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐鎖であり、かつ、第一級、第二級、及び第三級アミノ基を含有しており;直鎖ポリエチレンイミンは第二級アミンを含有している、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記分岐鎖ポリエチレンイミンは、以下に示される式(-NHCH
2CH
2-)
x[-N(CH
2CH
2NH
2)CH
2CH
2-]
y:
【化10】
(式中、x及びyは各々独立して2~40であることができ、またはx及びyの各々は独立して6~10である。)
により表されることができる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸化剤が、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含むペルオキシ酸化剤;H
2O
2及び過酸化尿素;過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム;ベンジルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;モノ過硫酸又はジ過硫酸を含むパーサルフェート;過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、及びこれらの酸;過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、及びこれらの塩を含むペルオキシ酸;ヨウ素酸及びその塩;硝酸;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記酸化剤は1ppm~100000ppmの範囲であり;
前記バイオサイドが、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を含み;
前記pH調節剤が、(1)硝酸、スルホン酸、リン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸;(2)水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩基からなる群から選択され;
前記安定化剤が、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、鉄-グルコネート水和物又は鉄(III)-オキサレート;コロイダルシリカ、1ppm未満の痕跡量金属を含む高純度コロイダルシリカ、及びこれらの組み合わせを含み、前記研磨材が、30nm~150nmの範囲のサイズを有し;鉄-グルコネート水和物又はアンモニウム鉄-オキサレート三水和物;H
2O
2;ポリエチレンイミン(PEI);水;及び任意選択的にグルコン酸;及びバイオサイドをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
半導体基材;
研磨パッド;
を含む、タングステンを含む表面と、誘電体層又はバリア層の少なくとも1つとを含有する半導体基材の化学機械研磨装置であって、
アルミナ、セリア、ゲルマニア、コロイダルシリカ、1ppm未満の痕跡量金属を有する高純度コロイダルシリカ、チタニア、ジルコニア粒子、金属修飾又は複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材であって、研磨材粒子は20nm~180nmの範囲の平均サイズを有する、研磨材;
金属-配位子錯体触媒;
酸化剤;及び
水、水と混和性である液体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒;
任意選択的に、
Wの腐食防止剤;
pH調節剤;
バイオサイド;及び
安定化剤を含む化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記CMP組成物のpHは、4~9の範囲であり、前記CMP組成物は、安定な組成物であり;
前記金属-配位子錯体触媒が、
M(n+)-Lm
(式中、n+は、金属-配位子錯体中の金属イオンの酸化数を指し、n+は1+、2+、3+であり;
mは金属-配位子錯体中のカチオン性イオン中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指し、mは金属-配位子錯体の形成における配位子分子に依存してそれぞれ1、2、3、4、5又は6であり;
Mは、Fe
であり;
配位子分子Lは、モノ-、ビ
-カルボン
酸官能基を有する有機酸;モノ-、ビ
-カーボネー
ト官能基を有するアンモニウム
塩;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。)
の一般分子構造を有する化学機械研磨(CMP)組成物(但し、サルコシネート、サルコシネート関連カルボン酸化合物、炭化水素置換サルコシネート、エチレンオキシド繰り返し単位を含有する分子を有する有機ポリマー及びコポリマー、エトキシル化界面活性剤及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる添加剤を含む化学機械平坦化(CMP)組成物を除き、ならびに金属-配位子錯体触媒により被覆された研磨材及び金属-配位子錯体触媒がその表面に固定されている研磨材を除く)を与えることを含み;
前記半導体基材の表面が、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触している、前記装置。
【請求項15】
前記誘電体層が酸化ケイ素膜(TEOS)であり、前記バリア層がTiNであり、W:TEOS又はTiNの除去選択性が、4:1又は50:1である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記金属-配位子錯体触媒が、
【化11】
及びこれらの組み合わせを含む群から選択される鉄-配位子錯体触媒である、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記Wの腐食防止剤が、0.5~10ppmの範囲であり、かつ、エチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、プロピレンイミン、及びこれらの組み合わせを含むオリゴマー又はポリマーからなる群から選択され;
前記ポリエチレンイミン(PEI)は、分岐鎖又は直鎖であることができ、分岐鎖ポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐鎖であり、かつ、第一級、第二級、及び第三級アミノ基を含有しており;直鎖ポリエチレンイミンは第二級アミンを含有している、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記分岐鎖ポリエチレンイミンは、以下に示される式(-NHCH
2CH
2-)
x[-N(CH
2CH
2NH
2)CH
2CH
2-]
y:
【化12】
(式中、x及びyは各々独立して2~40であることができ、またはx及びyの各々は独立して6~10である。)
により表されることができる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記酸化剤が、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含むペルオキシ酸化剤;H
2O
2及び過酸化尿素;過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム;ベンジルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;モノ過硫酸又はジ過硫酸を含むパーサルフェート;過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、及びこれらの酸;過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、及びこれらの塩を含むペルオキシ酸;ヨウ素酸及びその塩;硝酸;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記酸化剤は1ppm~100000ppmの範囲であり;
前記バイオサイドが、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を含み;
前記pH調節剤が、(1)硝酸、スルホン酸、リン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸;(2)水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩基からなる群から選択され;
前記安定化剤が、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記組成物が、鉄-グルコネート水和物又は鉄(III)-オキサレート;コロイダルシリカ、1ppm未満の痕跡量金属を含む高純度コロイダルシリカ、及びこれらの組み合わせを含み、前記研磨材が、30nm~150nmの範囲のサイズを有し;鉄-グルコネート水和物又はアンモニウム鉄-オキサレート三水和物;H
2O
2;ポリエチレンイミン(PEI);水;及び任意選択的にグルコン酸;及びバイオサイドをさらに含む、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2018年6月18日に出願された米国仮出願第62/686198号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
本発明は、概して半導体ウェハ上のタングステン含有基材の化学機械平坦化(CMP)、そのためのスラリー組成物、方法及び装置に関する。より詳細には、スラリー組成物は、触媒として第二鉄配位子又は金属-配位子錯体を含む。
【0003】
本発明は、特に、平坦化された基材上での低いディッシング(dishing)/プラグ凹み(リセス)及び低いアレイエロージョン(erosion)が望まれ、及び/または要求されるタングステンバルクCMP応用に有用である。
【0004】
半導体基材の平坦化のための化学機械平坦化(化学機械研磨、CMP)は、今や当業者に広く知られており、多くの特許及び公開文献出版物に記載されている。CMPの入門書は以下の通りである:G.B.Shinnらによる「Chemical-Mechanical Polish」、Handbook of Semiconductor Manufacturing Technologyにおけるチャプター15、第415-460頁、編集者:Y.Nishi及びR.Doering,Marcel Dekker、New York City(2000)。
【0005】
典型的なCMPプロセスにおいて、基材(例えばウェハ)は、プラテンに取り付けられた回転研磨パッドに接触して置かれる。CMPスラリー(又は組成物)、典型的には研磨材及び化学的反応性混合物は、基材のCMP加工中にパッドに供給される。CMPプロセス中、(プラテンに固定された)パッド及び基材が回転する一方、ウェハキャリア装置又は研磨ヘッドは基材に対して圧力(下向き力)を適用する。基材に平行なパッドの回転移動により、スラリーは、平坦化される基材膜と化学的及び機械的に相互作用することによって平坦化(研磨)プロセスを達成する。研磨は、基材上の所望の膜が、効果的に基材を平坦化するという通常の目的で除去されるまでこのように続けられる。典型的には、金属CMPスラリーは、酸化性水性媒体に懸濁したシリカ又はアルミナ等の研磨材料を含有する。
【0006】
半導体ウェハ等の集積回路の製造において用いられる数多くの材料がある。材料は、概して3つのカテゴリーに含まれる-誘電体材料、接着及び/又はバリア層、並びに導電層。種々の基材、例えばテトラエチルオルトシリケート(TEOS)、プラズマ増強テトラエチルオルトシリケート(PETEOS)等の誘電体材料、及び低k誘電体材料;タンタル、チタン、窒化タンタル及び窒化チタン等のバリア/接着層;及び銅、アルミニウム、タングステン、及び貴金属等の導電層の使用が、産業において知られている。
【0007】
集積回路は、周知の多層配線により相互接続される。相互接続構造は、通常、金属化の第一の層、相互接続層、金属化の第二のレベル、及び典型的には金属化の第三及びそれに続くレベルを有する。二酸化ケイ素等の中間レベルの誘電体材料、及び時には低k材料を用いて、シリコン基材又はウェルにおいて異なる金属化のレベルを電気的に絶縁する。異なる相互接続レベル間の電気的接続は、金属化ビア及びタングステンビアを用いて製造される。米国特許第4789648号は、多層金属化層、及び絶縁体膜中の金属化ビアを調製するための方法を記載する。同様に、金属コンタクトを用いて、ウェル中に形成されたデバイスと、相互接続レベルとの間の電気接続を形成する。金属ビア及びコンタクトは、一般的にタングステンにより充填され、一般的に窒化チタン(TiN)及び/又はチタン等の接着層を使用して、タングステン金属層等の金属層を誘電体材料に接着させる。
【0008】
ある半導体製造プロセスにおいて、金属化ビア又はコンタクトは、ブランケットタングステン堆積と、それに次ぐCMP工程により形成される。典型的なプロセスにおいて、ビアホールは層間誘電体(ILD)を通して相互接続ライン又は半導体基材までエッチングされる。次に、窒化チタン及び/又はチタン等の薄い接着層は、一般的にILDの上に形成され、エッチングされたビアホール中に導かれる。次いで、タングステン膜は接着層の上及びビア中にブランケット堆積される。ビアホールがタングステンにより充填されるまで堆積を続ける。最終的に、過剰のタングステンは化学機械研磨(CMP)により除去され、金属ビアが形成される。
【0009】
誘電体ベースの除去速度に対する金属(例えばタングステン)の除去速度の比は、金属及び誘電体材料で構成された基材のCMP加工中の誘電体の除去に関して、金属の除去の「選択性」と呼ばれる。
【0010】
誘電体に関して金属の除去の高い選択性を有するCMPスラリーを用いた際、金属層は、容易に過剰研磨されて、金属化された領域にくぼみ又は「ディッシング」効果を生み出す。この特徴ゆがみは、半導体製造においてリソグラフィー及び他の制約のために許容できない。
【0011】
半導体製造に不適切な別の特徴ゆがみは、「エロージョン」と呼ばれる。エロージョンは、誘電体の領域と金属ビア又はトレンチの密集アレイとの間のトポグラフィーの違いである。CMPにおいて、密集アレイにおける材料は、周囲の誘電体領域よりも速い速度で除去又は浸食される場合がある。これにより、誘電体の領域と密集金属(例えば銅又はタングステン)アレイとの間でトポグラフィーの差が生じる。
【0012】
業界標準がより小さいデバイス特徴に向かうにつれて、ICチップのナノ構造のより優れた平坦化をもたらすCMPスラリーに対する要求がますます高まっている。具体的には、45nmテクノロジーノード及びより小さい特徴サイズに関して、スラリー製品は、十分な除去速度及び低い欠陥レベルを維持しつつ、金属と誘電体との間で低い除去速度選択性を提供し、それによってエロージョンを低減しなければならない。さらに、CMP消耗品の競争的な市場では、具体的にはCMPスラリーの濃縮による低い所有コストが、急速に業界標準になってきている。
【0013】
典型的に用いられるCMPスラリーは、化学成分と機械成分の2つの作用を有する。スラリー選択における重要な考慮事項は、「受動エッチング速度」である。受動エッチング速度は、金属(例えば銅)が、化学成分単独によって溶解される速度であり、化学成分及び機械成分の両方が関与する場合の除去速度より著しく小さいはずである。大きい受動エッチング速度は、金属トレンチ及びビアのディッシングをもたらし、したがって、好ましくは受動エッチング速度は10ナノメートル毎分未満である。
【0014】
これらは、研磨されることのできる3つの一般的な種類の層である。第一の層は、酸化ケイ素及び窒化ケイ素等の層間誘電体(ILD)である。第二の層は、アクティブデバイスを接続するのに用いられるタングステン、銅、アルミニウム等の金属層である。本件は、金属層、特にタングステンの研磨を扱う。第三の種類の層は、窒化チタン等の接着/バリア層である。
【0015】
金属のCMPの場合において、化学的作用は、一般的に2つの形態のうちの1つをとると考えられる。第一のメカニズムにおいて、溶液中の化学物質は、金属層と反応して、金属の表面に酸化物層を連続的に形成する。これは、一般的に、過酸化水素、硝酸第二鉄等の、溶液への酸化剤の添加を要求する。次いで、粒子の機械研磨作用が、連続的かつ同時に、金属層に形成されたこの酸化物層を除去する。これらの2つのプロセスの賢明なバランスが、除去速度及び研磨された表面の品質の観点において最適な結果を得る。
【0016】
第二のメカニズムにおいて、保護的でない酸化物層が形成される。代わりに、溶液中の構成要素は、金属を化学的に攻撃し、溶解させ、一方で機械的作用は、化学的攻撃に対してより多くの表面積を連続的にさらし、粒子と金属との間の摩擦により局部温度を上昇させ(このことは溶解速度を増加させる)、混合すること、及び境界層の厚さを低減することにより、表面への、かつ表面からの反応物及び生成物の拡散を向上させるため、係るプロセスにより溶解速度を機械的に向上させることの主な1つである。
【0017】
W CMPバルク研磨プロセスは、W CMPにおいて鍵となるW CMP工程である。したがって、W CMP研磨組成物は、よく設計されることが必要であり、所望のWバルク膜除去速度、並びにTiN及びTEOS膜等のバリア及び誘電体膜に対する選択性を提供することができる。WバルクCMPプロセスによるオーバーバーデンW層の除去の後、Wパターン化ウェハは、全体のパターン化ウェハに亘って改善された平坦性を達成し、Wプラグ凹み又はWトレンチディッシングを改善するようにさらに研磨され、したがって集積電気チップの歩留まりを増加させる。
【0018】
スラリー組成物は、CMP工程において重要な因子である。酸化剤、研磨材及び他の有用な添加剤の選択に応じて、研磨スラリーは、タングステンビアを有する領域において、酸化物の表面欠点、欠陥、腐食及びエロージョンを最小化しつつ、所望の研磨速度にて金属層を効果的に研磨することを提供するように調節されることができる。さらに、研磨スラリーを用いて、チタン、窒化チタンなどの現在の集積回路技術において用いられている他の薄膜材料に対する制御された研磨選択性を提供することができる。
【0019】
一般的に、W CMP研磨組成物において、鉄含有触媒の使用は、WバルクCMP研磨プロセス中に、より強力な酸化種、ヒドロキシルラジカルを発生させることにより、W膜表面酸化を進める重要な要素である。
【0020】
しかし、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄又はリン酸第二鉄等の水溶性鉄無機塩は、中性のpH条件又はpH≧5.5の条件で触媒として用いられた場合に、コロイダルシリカ研磨材粒子の沈殿を誘起し、したがって、係る水溶性鉄無機塩は、上述のpH条件下では、W CMPスラリー中の触媒として用いることができない。
【0021】
米国特許第5958288号は、酸化剤と、複数の酸化状態を有する少なくとも1種の触媒とを含む化学機械研磨組成物を記載した。該組成物は、研磨材又は研磨パッドと組み合わせて基材から金属層を除去する際に有用である。
【0022】
米国特許第9567491号は、中に組み込まれた化合物を有するコロイダルシリカ研磨材粒子を含む化学機械研磨組成物を記載した。化合物は、アミノシラン又はリン含有化合物等の窒素含有化合物を含むことができる。係る組成物の使用方法は、該組成物を半導体基材に適用して、層の少なくとも一部を除去することを含む。
【0023】
米国特許第9303189号は、タングステン層を有する基材の研磨のための化学機械研磨組成物が、水系液体キャリア、該液体キャリアに分散し、かつ、少なくとも6mVの永久正電荷を有するコロイダルシリカ研磨材、該液体キャリア中の溶液におけるアミン含有ポリマー、及び鉄含有促進剤を含むことを記載した。タングステン層を含む基材の化学機械研磨方法は、基材を上記の研磨組成物と接触させることと、基材に対して研磨組成物を動かすことと、基材をすり減らして、基材からタングステンの一部を除去することと、これにより基材を研磨することとを含む。
【0024】
米国特許第7371679号は、予め決定されたパターンを含む半導体基材に中間金属誘電体(IMD)層を形成することと、第一のCMPプロセスによりIMD層を平坦化することと、平坦化された基材にビアホールをパターン化することとを含む半導体デバイスにおいて金属ラインを形成する方法を記載した。方法は、ビアホール内にバリア金属層を堆積させることと、バリア金属層の上部に耐火金属を充填することと、第二のCMPプロセスを実施することにより耐火金属で充填された基材を平坦化することと、第二のCMPプロセスにより作り出された残留耐火金属領域を酸化することにより、耐火金属酸化物層を形成することと、第三のCMPプロセスにより耐火金属酸化物層を除去することによって、耐火金属プラグを形成することとをさらに含む。
【0025】
特に、半導体産業が、ますます小さい特徴サイズに向けて動き続けているため、低いディッシング及びプラグ凹みの効果を提供するタングステンCMPプロセス、及びW CMPバルク研磨スラリーを含む1種又は複数種のスラリーに対する大きな必要性がある。
【発明の概要】
【0026】
本発明の概要
本発明は、この大きな必要性に対する解決策を提供する。
【0027】
1つの側面において、W CMP研磨組成物は、タングステンと、酸化物膜等の誘電体膜と、TiN又はTi、TaN又はTa等のバリア膜とを含む基材のCMPに関して提供される。W CMP研磨組成物は、:
研磨材;
金属-配位子錯体触媒;
酸化剤;及び
水、水と混和性である液体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒;
任意選択的に、
Wの腐食防止剤;
pH調節剤;
バイオサイド;及び
安定化剤を含み、CMP組成物のpHは、2.0~10.0、好ましくは3~9.5、より好ましくは4~9の範囲であり、CMP組成物は、安定な組成物である。
【0028】
好適な研磨材としては、以下に制限されるものではないが、アルミナ、セリア、ゲルマニア、コロイダルシリカ、<1ppm痕跡量金属を有する高純度コロイダルシリカ、チタニア、ジルコニア、鉄コートシリカ、シリカコートアルミナ等の金属修飾又は複合粒子研磨材、及びこれらの組み合わせが挙げられる。コロイダルシリカ及び高純度コロイダルシリカ粒子が好ましい。
【0029】
研磨材粒子は、20nm~180nm;30nm~150nm、35~80nm、又は40~75nmの範囲の平均粒子サイズを有する。
【0030】
研磨材の濃度は、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%、最も好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲であり、膜除去速度、特に誘電体膜除去速度を調節するように選択される。
【0031】
金属-配位子錯体は、以下に示される一般分子構造を有する。
M(n+)-Lm
式中、n+は、金属-配位子錯体中の金属イオンの酸化数を示し、1+、2+、又は3+又は他の正電荷であり;mは金属-配位子錯体中のカチオン性イオン中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指す。mの数は、それぞれ1、2、3、4、5又は6であることができ、これは、金属-配位子錯体の形成において選択された配位子に依存する。金属-配位子錯体中の金属イオンとしては、以下に制限されるものではないが、Fe、Cs、Ce、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auイオン及び他の金属イオンが挙げられる。
【0032】
金属-配位子錯体の形成において用いられる配位子分子としては、以下に制限されるものではないが、有機アミン、モノ-、ビ-、トリ-、テトラ-又はそれより多くのカルボン酸、スルホン酸又はリン酸官能基を有する有機酸、モノ-、ビ-、トリ-、テトラ-又はそれより多くのカーボネート又はスルホネート又はホスフェート官能基を有する有機酸塩(アンモニウム塩、カリウム塩又はナトリウム塩)、ピリジン分子及びその誘導体、ビピリジン分子及びその誘導体、ターピリジン及びその誘導体、有機芳香族酸及びその塩、ピコリン酸及びその誘導体が挙げられる。
【0033】
金属-配位子錯体において用いられる配位子化合物は、化学結合によって金属鉄中心に結合され、このことは、広いpH範囲でのW CMP研磨組成物中における係る金属-配位子錯体の触媒としての使用を可能にする。
【0034】
金属-配位子錯体は、質量により5ppm~10000ppmの範囲の濃度で触媒として用いられ、好ましい濃度範囲は、10ppm~3000ppm、より好ましい濃度範囲は50ppm~500ppmである。
【0035】
鉄-配位子錯体が好ましい。
【0036】
鉄-配位子錯体触媒は、以下の一般分子構造を有する。
Fe(n+)-Lm
式中、n+は、鉄-配位子錯体中の鉄の酸化数を示し、n+は2+又は3+又は他の正電荷であることができ、mは鉄-配位子錯体中のカチオン性鉄中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指す。mの数は、それぞれ1、2、3、4、5又は6であることができ、これは、鉄-配位子錯体の形成において選択された配位子に依存する。
【0037】
本開示で本発明のW CMP研磨組成物中で触媒として用いられる鉄-配位子錯体の例は、以下に列記される:
【化1】
及びこれらの組み合わせ。
【0038】
好適な酸化剤としては、以下に制限されるものではないが、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含むペルオキシ酸化剤;過酸化物(例えば過酸化水素H2O2及び過酸化尿素);パーサルフェート(例えばモノ過硫酸及びジ過硫酸);過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム;ベンジルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、及びこれらの酸;ペルオキシ酸(例えば過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、これらの塩);ヨウ素酸及びその塩;硝酸;及びこれらの組み合わせが挙げられ、酸化剤は、1ppm~100000ppmの範囲である。
【0039】
好ましい酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム、ベンジルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、過酢酸、モノ過硫酸、ジ過硫酸、ヨウ素酸及びこれらの塩、及びこれらの混合物が挙げられる。過酸化水素(H2O2)又は過ヨウ素酸は、好ましい酸化剤である。ある実施態様において、酸化剤は過酸化水素である。硝酸等の強酸酸化剤も用いることができる。
【0040】
ペルオキシ酸化剤又は強酸酸化剤は、典型的には、質量により1ppm~100000ppm、好ましくは100ppm~50000ppm、より好ましくは5000ppm~35000ppmの量で存在する。
【0041】
エチレンイミン、プロピレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)又は組み合わせで構成されるオリゴマー又はポリマーは、W腐食防止剤として用いられる。W腐食防止剤は、例えば約500から1000000超、より典型的には500~15000の分子量を有する。
【0042】
ポリエチレンイミン(PEI)は、分岐鎖又は直鎖であることができ、分岐鎖ポリエチレンイミンは、好ましくはポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐鎖であり、第一級、第二級、及び第三級アミノ基を含有し、直鎖ポリエチレンイミンは、全て第二級アミンを含有する。
【0043】
分岐鎖ポリエチレンイミンは、以下に示される式(-NHCH
2CH
2-)
x[-N(CH
2CH
2NH
2)CH
2CH
2-]
y:
【化2】
(式中、xは2から>40であることができ;yは2から>40であることができ、好ましくはx及びyの各々は独立して11~40であり;代わりに、x及びyの各々は独立して6~10であり、さらに代わりにx及びyは独立して2~5である。)
により表すことができる。
【0044】
Wの腐食防止剤は、質量により0.01~1000ppm、好ましくは0.1~100ppm、より好ましくは0.5~10ppm;最も好ましくは1~5ppmの範囲である。
【0045】
硝酸、スルホン酸又はリン酸等の無機酸は、pH調節剤として用いられ、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の無機塩基もpH調節剤として用いられる。
【0046】
好適なバイオサイドとしては、以下に制限されるものではないが、Dow Chemical Co.からのKathonTM、KathonTMCG/ICP IIが挙げられる。これらは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0047】
バイオサイドは、0.0001質量%~0.05質量%、好ましくは0.0005質量%~0.025質量%、より好ましくは0.001質量%~0.01質量%の範囲で用いられる。
【0048】
安定化剤も用いることができる。低いpHにおいて、安定化剤は任意選択である。安定化剤としては、以下に制限されるものではないが、有機カルボン酸又は有機カルボン酸塩が挙げられる。これらの安定化剤としては、以下に制限されるものではないが、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。
【0049】
安定化剤は、250ppm~10000ppm、より好ましくは400ppm~5000ppm(又は0.04質量%~0.5質量%)の範囲で用いることができる。
【0050】
別の実施態様において、本発明は、タングステンを含む基材の化学機械研磨方法であり、前記方法は:基材の表面と、a)研磨材、並びにb)水;2~10、例えば2.5~10.0のpHを与えるのに十分な酸、好ましくは鉱酸又は塩基;質量により1ppm~100000ppm、好ましくは100ppm~50000ppm、より好ましくは5000ppm~35000ppmの範囲のペルオキシ酸化剤;高温にてペルオキシ酸化剤と反応してヒドロキシルラジカルを発生させ、タングステン除去速度を相乗的に増加させる鉄-配位子化合物の触媒;及び0.1~10ppm(質量)のポリエチレンイミンを含む液体成分とを移動可能に接触させることを含み、好ましい実施態様において、液体成分は脱イオン水であり、研磨は、3psiの下向き力にて2000オングストローム毎分(「Å/分」を超えるタングステンを除去し、多様な厚さの酸化物膜を除去する。スラリー中の触媒としての全鉄-配位子錯体は、スラリーの全質量を基準として、典型的には50ppm~500ppm(質量)である。
【0051】
別の側面において、本発明は、タングステンと、酸化物等の誘電体膜と、TiN又はTi又はTaN又はTa等のバリア膜とを含む基材の化学機械研磨方法である。
【0052】
タングステンを含む表面と、誘電体層又はバリア層の少なくとも1つとを含有する半導体基材の化学機械研磨方法は、
半導体基材を与える工程と;
研磨パッドを与える工程と;
上記の化学機械研磨(CMP)組成物を与える工程と;
半導体基材の表面を、研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させる工程と;
半導体の表面を研磨する工程とを含み、
誘電体層は酸化物膜であり、バリア層はTiN、Ti、TaN、Ta及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0053】
W:少なくとも1つの誘電体層又はバリア層の除去選択性は、4:1~50:1である。
【0054】
タングステンの除去速度は、1300、1500、2000Å/分、又は2500Å/分より大きく、誘電体層の除去速度は、15~200Å/分であり、バリア層の除去速度は、30~500Å/分である。
【0055】
1つの実施態様において、方法は、その上にタングステンを有する表面と、a)スラリーを形成するように液体に懸濁にした研磨材とを移動可能に接触させることを含み、前記スラリーは、0.1~20質量%、例えば0.5~5質量%の前記研磨材を含み;前記液体は、水と;2~10のpHを与えるのに十分な酸又は塩基と;質量により1ppm~100000ppm、好ましくは100ppm~50000ppm、より好ましくは5000ppm~35000ppmの範囲のペルオキシ酸化剤と;質量により0.01~1000ppm、好ましくは0.1~100ppm、より好ましくは0.5~10ppm;最も好ましくは1~5ppmのポリエチレンイミンとを含み;前記液体は、フッ化物含有化合物を実質的に含まず、研磨は、2000オングストローム毎分(Å/分)を超えるタングステン及び多様な厚さの酸化物膜を除去する。
【0056】
別の実施態様において、方法は、その上にタングステンを有する表面と、a)シリカを含む研磨材及びb)水と、2~10のpHを与えるのに十分な酸と、ペルオキシ酸化剤と、0.1~10ppm(質量)のポリエチレンイミンと、0.1~4ppm(質量)のポリエチレンイミンとを含む液体成分を移動可能に接触させることを含み、研磨は、2000オングストローム毎分を超えるタングステン及び多様な厚さの酸化物膜を除去する。
【0057】
さらに別の実施態様において、方法は、基材の表面と、a)研磨材及びb)水と、2~10のpHを与えるのに十分な酸と、ペルオキシ酸化剤と、50ppm~250ppm(質量)の、高温にてペルオキシ酸化剤と反応してヒドロキシルラジカルの形成を誘起し、W膜酸化反応速度を増大させ、タングステン除去速度を調節する鉄-配位子錯体と、0.1~10ppm(質量)のポリエチレンイミンとを含む液体成分を移動可能に接触させることを含む。
【0058】
ポリエチレンイミンのより多い量の使用は、低減したタングステン除去速度をもたらし、一方で、追加の静的エッチング腐食保護がある。
【0059】
さらに別の側面において、本発明は、タングステンを含む表面と、(酸化物等の)誘電体層;及びTiN又はTi又はTaN又はTa等のバリア膜の少なくとも1つとを含有する基材の化学機械研磨装置である。
【0060】
装置は、
半導体基材と;
研磨パッドと;
上記の化学機械研磨(CMP)組成物とを含み、
半導体基材の表面は、研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触している。
【0061】
上記の実施態様の各々において、用語「ppm」は、スラリー(液体+研磨材)の質量に基づく百万分率であるか、液体に懸濁した研磨材が存在しない場合には、液体成分の質量に基づく百万分率である。
【0062】
好ましい実施態様において、研磨組成物は、フッ化物含有化合物を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
本明細書の重要な部分を形成する添付の図面において以下が示される。
【
図1】
図1は、実施例1におけるW CMP研磨組成物を用いた膜除去速度の効果を示す。
【
図2】
図2は、実施例1におけるW CMP研磨組成物を用いたWラインディッシングの効果を示す。
【
図3】
図3は、実施例1におけるW CMP研磨組成物を用いたエロージョンの効果を示す。
【
図4】
図4は、実施例2におけるW CMP研磨組成物を用いた膜除去速度の効果を示す。
【
図5】
図5は、実施例2におけるW CMP研磨組成物を用いたWラインディッシングの効果を示す。
【
図6】
図6は、実施例2におけるW CMP研磨組成物を用いたエロージョンの効果を示す。
【
図7】
図7は、実施例3におけるW CMP研磨組成物を用いた膜除去速度の効果を示す。
【
図8】
図8は、実施例3におけるW CMP研磨組成物を用いたWラインディッシングの効果を示す。
【
図9】
図9は、実施例3におけるW CMP組成物を用いたエロージョンの効果を示す。
【
図10】
図10は、実施例4におけるW研磨組成物を用いた膜除去速度(Å/分)の効果を示す。
【
図11】
図11は、実施例4におけるW研磨組成物を用いたWラインディッシング(Å)に対する効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明の詳細な説明
本発明は、W CMPバルク研磨組成物、及びタングステンと、酸化物(TEOS、PETEOS等)と、TiN又はTi又はTaN又はTa等のバリア膜とを含む基材の化学機械研磨に用いられる装置に関する。
【0065】
W CMP研磨組成物は、
研磨材;
金属-配位子錯体触媒;
酸化剤;及び
水、水と混和する液体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒;
任意選択的に、
Wの腐食防止剤;
pH調節剤;
バイオサイド;及び
安定化剤;
を含み、CMP組成物のpHは、2.0~10.0、好ましくは3~9.5、より好ましくは4~9の範囲である。
【0066】
研磨材としては、以下に制限されるものではないが、アルミナ、セリア、ゲルマニア、コロイダルシリカ、<1ppm痕跡量金属を有する高純度コロイダルシリカ、チタニア、ジルコニア、鉄コートシリカ、シリカコートアルミナ等の金属修飾又は複合粒子研磨材、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
コロイダルシリカ及び高純度コロイダルシリカ粒子が好ましい。
【0068】
研磨材粒子は、球状又はコクーン形状等の任意の形状を有する。
【0069】
高純度コロイダルシリカ(高純度による)は、TEOS又はTMOSから調製され、係る高純度コロイダルシリカ粒子は、非常に低い痕跡金属量、典型的にはppbレベル、又は非常に低いppmレベル、たとえば<1ppmの金属量を有する。
【0070】
研磨材粒子形状は、TEM又はSEM法により測定される。平均研磨材サイズ又は粒子サイズ分布は、任意の適切な方法、たとえばディスク遠心分離機(DC)法、又は動的光散乱(DLS)、コロイダルダイナミック法により、又はMalvern Size Analyzerにより測定することができる。
【0071】
研磨材粒子は、20nm~180nm、30nm~150nm、35~80nm、又は40~75nmの範囲の平均粒子サイズを有する。
【0072】
CMP組成物は、異なるサイズを有する2種又はそれより多くの異なる研磨材を使用することができる。
【0073】
研磨材の濃度は、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~10質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%、最も好ましくは0.1質量%~3質量%の範囲であり、膜除去速度、特に誘電体膜除去速度を調節するように選択される。
【0074】
金属-配位子錯体は、以下に示される一般分子構造を有する。
M(n+)-Lm
式中、n+は、金属-配位子錯体中の金属イオンの酸化数を示し、1+、2+、又は3+又は他の正電荷であり;mは金属-配位子錯体中のカチオン性イオン中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指す。mの数は、それぞれ1、2、3、4、5又は6であることができ、これは、金属-配位子錯体の形成において選択された配位子に依存する。金属-配位子錯体中の金属イオンとしては、以下に制限されるものではないが、Fe、Cs、Ce、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auイオン及び他の金属イオンが挙げられる。
【0075】
金属-配位子錯体の形成において用いられる配位子分子としては、以下に制限されるものではないが、有機アミン、モノ-、ビ-、トリ-、テトラ-又はそれより多くのカルボン酸、スルホン酸又はリン酸官能基を有する有機酸、モノ-、ビ-、トリ-、テトラ-又はそれより多くのカーボネート又はスルホネート又はホスフェート官能基を有する有機酸塩(アンモニウム塩、カリウム塩又はナトリウム塩)、ピリジン分子及びその誘導体、ビピリジン分子及びその誘導体、ターピリジン及びその誘導体、有機芳香族酸及びその塩、ピコリン酸及びその誘導体が挙げられる。
【0076】
金属-配位子錯体において用いられる配位子化合物は、化学結合によって金属鉄中心に結合され、このことは、係る金属-配位子錯体の広いpH範囲でのW CMP研磨組成物中での触媒としての使用を可能にする。
【0077】
金属-配位子錯体は、質量により5ppm~10000ppmの範囲の濃度で触媒として用いられ、好ましい濃度範囲は、10ppm~3000ppm、より好ましい濃度範囲は50ppm~500ppmである。
【0078】
鉄-配位子錯体が好ましい。
【0079】
鉄-配位子錯体触媒は、以下の一般分子構造を有する。
Fe(n+)-Lm
式中、n+は、鉄-配位子錯体中の鉄の酸化数を示し、n+は2+又は3+又は他の正電荷であることができ、mは鉄-配位子錯体中のカチオン性鉄中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指す。mの数は、それぞれ1、2、3、4、5又は6であることができ、これは、鉄-配位子錯体の形成において選択された配位子に依存する。
【0080】
本開示で本発明のW CMP研磨組成物中で触媒として用いられる鉄-配位子錯体の例は、以下に列記される:
【化3】
及びこれらの組み合わせ。
【0081】
水溶性金属-配位子錯体は、酸性pH条件のみならず、中性pH又はアルカリ性pH条件においてもW CMP研磨組成物中で触媒として用いることができる。
【0082】
しかし、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄又はリン酸第二鉄等の水溶性金属無機塩は、コロイダルシリカ研磨材粒子の沈殿のために、中性のpH条件又はpH≧5.5にてW CMPスラリー中で触媒として用いることができない。
【0083】
好適な酸化剤としては、以下に制限されるものではないが、少なくとも1種のペルオキシ基(-O-O-)を含むペルオキシ酸化剤;過酸化物(例えば過酸化水素H2O2及び過酸化尿素);パーサルフェート(例えばモノ過硫酸及びジ過硫酸);過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム;ベンジルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、及びこれらの酸;ペルオキシ酸(例えば過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、これらの塩);ヨウ素酸及びその塩;硝酸;及びこれらの組み合わせが挙げられ、酸化剤は、1ppm~100000ppmの範囲である。
【0084】
好ましい酸化剤としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム、ベンジルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、過酢酸、モノ過硫酸、ジ過硫酸、ヨウ素酸及びこれらの塩、及びこれらの混合物が挙げられる。過酸化水素(H2O2)又は過ヨウ素酸は、好ましい酸化剤である。ある実施態様において、酸化剤は過酸化水素である。硝酸等の強酸酸化剤も用いることができる。
【0085】
ペルオキシ酸化剤又は強酸酸化剤は、典型的には、質量により1ppm~100000ppm、好ましくは100ppm~50000ppm、より好ましくは5000ppm~35000ppmの量で存在する。
【0086】
エチレンイミン、プロピレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)又は組み合わせで構成されるオリゴマー又はポリマーは、W腐食防止剤として用いられる。W腐食防止剤は、例えば約500から1000000超、より典型的には500~15000の分子量を有する。
【0087】
ポリエチレンイミン(PEI)は、分岐鎖又は直鎖であることができ、分岐鎖ポリエチレンイミンは、好ましくはポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐鎖であり、第一級、第二級、及び第三級アミノ基を含有し、直鎖ポリエチレンイミンは、全て第二級アミンを含有する。
【0088】
分岐鎖ポリエチレンイミンは、以下に示される式(-NHCH
2CH
2-)
x[-N(CH
2CH
2NH
2)CH
2CH
2-]
y:
【化4】
(式中、xは2から>40であることができ;yは2から>40であることができ、好ましくはx及びyの各々は独立して11~40であり;代わりに、x及びyの各々は独立して6~10であり、さらに代わりにx及びyは独立して2~5である。)
により表すことができる。
【0089】
攻撃的なタングステンスラリーが有する1つの問題は、例えば研磨がないときの休止期間中、すなわち酸化性系により形成された酸化物コーティングを除去するのに十分な研磨材の動きがないときに、化学種がタングステンを攻撃する可能性があることである。PEIがない場合において、鉄で触媒された過酸化物系の静的エッチングは、200~300Å/分である可能性がある。3ppm程度のPEIは、鉄-配位子錯体で触媒された系に関して25Å/分未満に静的エッチングを低減することができる。驚くべきことに、非常に低い濃度のPEIは、スラリーにおいて有効である。
【0090】
Wの腐食防止剤は、質量により0.01~1000ppm、好ましくは0.1~100ppm、より好ましくは0.5~10ppm、最も好ましくは1~5ppmの範囲である。
【0091】
係る濃度において、W腐食防止剤としてPEIを用いた場合、泡立ちの問題はない。
【0092】
硝酸、スルホン酸又はリン酸等の無機酸は、pH調節剤として用いられ、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の無機塩基もpH調節剤として用いられる。
【0093】
酸又は塩基の選択は、酸又は塩基の強度がスラリーに関して2~10の範囲の所望のpHを与えるのに十分であること以外は制限されない。
【0094】
好適なバイオサイドとしては、以下に制限されるものではないが、Dow Chemical Co.からのKathonTM、KathonTMCG/ICP IIが挙げられる。これらは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0095】
バイオサイドは、0.0001質量%~0.05質量%、好ましくは0.0005質量%~0.025質量%、より好ましくは0.001質量%~0.01質量%の範囲で用いられる。
【0096】
本発明は、タングステン含有基材の化学機械平坦化のために、開示されたCMP組成物を利用する方法を提供する。半導体基材上の特徴のディッシング/エロージョン及びプラグ凹みの最小化又は抑制、並びにCMP加工中の選択性の調節能は、半導体産業が、集積回路の製造においてますます小さい特徴サイズに向かうにつれて、ますます重要になってきている。
【0097】
ある実施態様において、酸化剤は、研磨組成物中に存在する鉄-配位子錯体又は銅-配位子化合物又は他の金属-配位子錯体の存在下、遊離ラジカルを形成することができるもの(例えば過酸化水素)であり、それは、タングステン除去速度の増加をもたらす。
【0098】
別の実施態様において、鉄-配位子錯体、たとえば鉄-グルコネート錯体又は鉄(III)-オキサレートは、構成要素として存在する。この構成要素は、触媒として働き、ペルオキシ酸化剤からの遊離ラジカルの形成を誘起し、タングステン(又は他の金属)の除去速度を増加させる。
【0099】
さらに別の実施態様において、スラリーは、異なるサイズを有する2種又はそれより多くの研磨材で構成されることができる。これらの実施態様において、研磨材の全濃度は、好ましくは5質量%未満である。
【0100】
液体成分の主要部分を与える溶媒は、水、又は水と、水と混和する他の液体との混合物であることができる。他の液体の例はアルコール、たとえばメタノール及びエタノールである。有利には、溶媒は水である。
【0101】
本発明の方法において用いられるスラリー組成物は、酸性、中性、又はアルカリ性であることができ、2~10の範囲のpHを有する。好ましくは、pHは、2.0~10.0、好ましくは3~9.5、より好ましくは4~9の範囲である。
【0102】
広いpH範囲は、高度に調節可能なW:TEOS選択性という利点を提供する。
【0103】
スラリー中のフッ素化合物の存在は、それが誘電体を攻撃するため、好ましくない。好ましい実施態様において、研磨組成物はフッ化物化合物を含まない。
【0104】
幾つかのCMPの特許文献は、1種又は複数種のCMPスラリー中の構成要素としてポリアミンアゾールを記載する。ポリアミンアゾールは、ポリエチレンイミンではないことがここに強調される。
【0105】
安定化剤は、用いなくてもよい。低いpHにおいて、安定化剤は任意選択である。安定化剤としては、以下に制限されるものではないが、有機カルボン酸又は有機カルボン酸塩が挙げられる。これらの安定化剤としては、以下に制限されるものではないが、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。
【0106】
安定化剤は、250ppm~10000ppm、より好ましくは400ppm~5000ppm(又は0.04質量%~0.5質量%)の範囲で用いることができる。
【0107】
本発明の方法は、タングステンと、TiN又はTi、TaN又はTa等のバリアと、TEOS、PETOES及び低k材料等の誘電体材料とで構成される基材の化学機械平坦化のための上述のCMP組成物の使用を伴う(上記に開示されたように)。
【0108】
タングステンを含む表面と、誘電体層又はバリア層の少なくとも1つとを含有する半導体基材の化学機械研磨方法は、
半導体基材を与える工程と;
研磨パッドを与える工程と;
上記の化学機械研磨(CMP)組成物を与える工程と;
半導体基材の表面を、研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させる工程と;
半導体の表面を研磨する工程とを含み、
誘電体層は酸化物膜であり、バリア層はTiN、Ti、TaN、Ta及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0109】
W:少なくとも1つの誘電体層又はバリア層の除去選択性は、4:1~50:1である。
【0110】
タングステンの除去速度は、1300、1500、2000Å/分、又は2500Å/分を超え、誘電体層の除去速度は、15~200Å/分であり、バリア層の除去速度は、30~500Å/分である。
【0111】
1つの実施態様において、方法は、その上にタングステンを有する表面と、a)液体に懸濁にした研磨材とを移動可能に接触させてスラリーを形成することを含み、前記スラリーは、0.1~20質量%、例えば0.5~5質量%の前記研磨材を含み、前記液体は、水と;2~10のpHを与えるのに十分な酸又は塩基と;質量により1ppm~100000ppm、好ましくは100ppm~50000ppm、より好ましくは5000ppm~35000ppmの範囲のペルオキシ酸化剤と;質量により0.01~1000ppm、好ましくは0.1~100ppm、より好ましくは0.5~10ppm、最も好ましくは1~5ppmのポリエチレンイミンとを含み;前記液体は、フッ化物含有化合物を実質的に含まず、研磨は、2000オングストローム毎分(Å/分)を超えるタングステン及び多様な厚さの酸化物膜を除去する。
【0112】
別の実施態様において、方法は、その上にタングステンを有する表面と、a)シリカを含む研磨材及びb)水と、2~10のpHを与えるのに十分な酸と、ペルオキシ酸化剤と、0.1~10ppm(質量)のポリエチレンイミンと、0.1~4ppm(質量)のポリエチレンイミンとを含む液体成分を移動可能に接触させることを含み、研磨は、2000オングストローム毎分を超えるタングステン及び多様な厚さの酸化物膜を除去する。
【0113】
さらに別の実施態様において、方法は、基材の表面と、a)研磨材及びb)水と、2~10のpHを与えるのに十分な酸と、ペルオキシ酸化剤と、50ppm~250ppm(質量)の、高温にてペルオキシ酸化剤と反応してヒドロキシルラジカルの形成を誘起し、W膜酸化反応を増大させ、タングステン除去速度を調節する鉄-配位子錯体と、0.1~10ppm(質量)のポリエチレンイミンとを含む液体成分を移動可能に接触させることを含む。
【0114】
ポリエチレンイミンのより多い量の使用は、低減したタングステン除去速度をもたらし、一方で、追加の静的エッチング腐食保護がある。
【0115】
好ましい実施態様において、研磨組成物は、フッ化物含有化合物を含まない。
【0116】
方法において、基材(例えばウェハ)は、CMP研磨機の回転可能なプラテンに固定的に取り付けられた研磨パッドに対して上面を下に向けて配置される。このように、研磨され、平坦化される基材は、研磨パッドに直接接触して配置される。ウェハキャリア装置又は研磨ヘッドは、基材を適切な場所に保持し、プラテン及び基材が回転する間、CMP加工中に基材の背面に対して下向きの圧力を適用するのに用いられる。研磨組成物(スラリー)は、CMP加工中、パッドに(通常連続的に)適用され、基材を平坦化するように材料の除去に作用する。
【0117】
関連のスラリーの使用を伴う本発明の方法において、研磨が、3psi又は4psiの下向き力にて行われた場合に、タングステンの除去速度は、少なくとも1000オングストローム毎分より大きく、TEOSの除去速度は、10オングストローム毎分未満から500オングストローム毎分超であり、これは、その化学機械研磨で維持される。下向き力の値を大きくすると、より高い除去速度が得られる。
【0118】
上記のように、本発明の実施態様は、タングステン含有基材の化学機械研磨組成物である。ある実施態様において、基材の表面は、少なくとも研磨の終わり近くでその上に誘電体材料を含む少なくとも1つの特徴をさらに有する。ある実施態様において、誘電体材料は、酸化ケイ素である。
【0119】
誘電体に対するタングステンの除去速度は50~500であり、それは、本開示の本発明のW CMP研磨組成物のpH条件に依存する。
【0120】
本発明の装置は、タングステンと、TiN又はTi、TaN又はTa等のバリアと、TEOS、PETOES及び低k材料等の誘電体材料とで構成される基材の化学機械平坦化のための上述のCMP組成物の使用を伴う(上記に開示されたように)。
【0121】
さらに別の側面において、本発明は、タングステンを含む表面と、酸化物等の誘電体層;及びTiN又はTi又はTaN又はTa等のバリア膜の少なくとも1つとを含有する基材の化学機械研磨装置である。
【0122】
装置は、
タングステンと、酸化物等の誘電体層;及びTiN又はTi又はTaN又はTa等のバリア膜の少なくとも1つとを含む表面を含有する基材と;
研磨パッドと;
上記の化学機械研磨(CMP)組成物とを含み、
半導体基材の表面は、研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触している。
【0123】
上記の実施態様の各々において、用語「ppm」は、スラリー(液体+研磨材)の質量に基づく百万分率であるか、液体に懸濁した研磨材が存在しない場合には、液体成分の質量に基づく百万分率である。
【0124】
CMPスラリー供給者の中で増えている傾向は、製品濃縮によって消耗品の顧客コストを低減することである。濃縮スラリーの提供の実践は、CMP産業に亘る需要となりつつある。しかしながら、濃縮のレベルは、製品の安定性及び貯蔵可能期間を脅かさないように、慎重に選択されなければならない。
【0125】
本発明の好ましいスラリーは、第一の(より小さい)サイズのシリカと、第二の(より大きい)サイズのシリカとを含む。最も好ましくは、中間サイズの第三の研磨材をさらに含む実施態様である。触媒として鉄-配位子錯体を有するため、より安定なスラリーを提供するように、ある化合物をスラリー中で追加の配位子として、PEI等のW腐食防止剤に関する他の好適な化学成分、及び膜除去速度及び選択性調節に関するエチレンイミン又はプロピレンイミンの他のオリゴマー又はポリマーを用いることもできる。任意の存在する有機腐食防止剤は、したがって数ppm以下(質量)の量で有効であるはずである。ポリエチレンイミン、特に分岐鎖ポリエチレンイミンは、好ましい腐食防止剤である。
【0126】
我々は、長期のエージングの影響を悪化させる可能性のある有機物を最小化するスラリー濃縮物によってさえ、スラリー濃縮物が、特にディッシング及びタングステン絶対除去速度に関して、エージングに幾らかの影響を示すことを見出した。スラリー濃縮物は、スラリー濃縮物が、研磨スラリーを形成するように、水及び酸化剤とタンク混合される際に添加される酸化剤を含まないことに留意されたい。種々の構成成分を添加することにより、スラリーを調節することが知られている。ここで本発明は、(便宜的に第一のスラリー濃縮物及び第二のスラリー濃縮物と呼ばれる)2つの異なるスラリー濃縮物を混合する方法であり、スラリー濃縮物の混合比は、第一のスラリー濃縮物の長期エージングに依存し、エージングに対してスラリー性能を標準化する。
【0127】
用語
CMP方法論
以下に示される例において、CMP実験は、以下に与えられる手順及び実験条件を用いて実施された。
【0128】
全てのパーセンテージは、特段の示唆がない限り質量パーセントである。
【0129】
構成要素
コロイダルシリカ:第一のコロイダルシリカを、約45ナノメートル(nm)の平均粒子サイズを有する研磨材として用いた;第二のコロイダルシリカを、約70ナノメートル(nm)の平均粒子サイズを有する研磨材として用いた;
【0130】
Col Sil:日本のJGC Inc.又は日本のFuso Chemical Inc.により供給されたコロイダルシリカ粒子(種々のサイズを有する)。
【0131】
エチレンイミンオリゴマー混合物 少量のテトラエチレンペンタミンを含むポリエチレンイミン(本製品のMSDSにより≧5%かつ≦20%)は、Sigma-Aldrich、St.Louis,MOにより供給された。
【0132】
PEI:ポリエチレンイミン(Aldrich、Milwaukee,WI)鉄-グルコネートは、Sigma-Aldrichにより供給された。
【0133】
Sigma-Aldrichにより供給された鉄-オキサレート
【0134】
グルコン酸は、Sigma-Aldrichにより供給された。
【0135】
TEOS:テトラエチルオルトシリケート
【0136】
研磨パッド:CMP中、IC1000及びIC1010を用いた(DOW,Inc.により供給)。
【0137】
パラメータ
一般
Å又はA:オングストローム-長さの単位
BP:背圧、psi単位
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
CS:キャリア速度
DF:下向き力:CMP中に適用される圧力、psi単位
min:分
ml:ミリリットル
mV:ミリボルト
psi:ポンド毎平方インチ
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm(回転数毎分)
SF:スラリー流量、ml/min
Wt%:(列記された構成要素の)質量パーセント
TEOS:W選択性:(TEOSの除去速度)/(Wの除去速度)
【0138】
タングステン除去速度:所与の下向き圧力において測定されたタングステン除去速度。CMPツールの下向き圧力は、上記の例において4.0psiであった。
【0139】
TEOS除去速度:所与の下向き圧力において測定されたTEOS除去速度。CMPツールの下向き圧力は、上記の例において4.0psiであった。
【0140】
TiN除去速度:所与の下向き圧力において測定されたTEOS除去速度。CMPツールの下向き圧力は、上記の例において4.0psiであった。
【0141】
タングステン膜は、Creative Design Engineering,Inc,20565 Alves Dr.,Cupertino,CA,95014により製造されたResMap CDE、モデル168により測定された。ResMapツールは、4点プローブシート抵抗ツールである。タングステン膜について、5mm端部除外にて49点の直径走査を行った。
【0142】
CMPツール
用いられたCMPツールはApplied Materials,3050Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054により製造された200mmMirraである。DOW,Inc,451Bellevue Rd.,Newark,DE 19713により供給されたIC1000パッドを、ブランケット及びパターンウェハ研究に関してプラテン1上で用いた。
【0143】
IC1000又はIC1010パッドは、コンディショナー上で7lbsの下向き力にて18分間パッドをコンディショニングすることにより調整された。ツールの設定及びパッド調整を適格とするために、2つのタングステンモニターと2つのTEOSモニターが、Versum Materials Inc.により供給されたVersum(登録商標)W5900により、ベースライン条件で研磨された。
【0144】
実施例
本発明は、以下の例によってさらに説明される。
【0145】
研磨実験は、CVD堆積されたタングステンウェハ及びPECVD TEOSウェハを用いて実施された。これらのブランケットウェハは、Silicon Valley Microelectronics,2985Kifer Rd.,Santa Clara,CA95051から購入した。膜厚仕様は、以下にまとめられる:W:8000ÅCVDタングステン、240ÅTiN、5000ÅTEOS、シリコン上。
【0146】
研磨実験
ブランケットウェハ研究において、タングステンブランケットウェハ、TiNブランケットウェハ、及びTEOSブランケットウェハは、ベースライン条件において研磨された。ツールベースライン条件は、テーブル速度;120rpm、ヘッド速度:123rpm、メンブレン圧;4.0psi、チューブ間圧力;6.0psi、保持リング圧;6.5psi、スラリー流量;120ml/minであった。
【0147】
スラリーは、SWK Associates,Inc.2920Scott Blvd.Santa Clara CA95054により供給されたパターン化ウェハ(SKW754又はSWK854)上での研磨実験において用いられた。これらのウェハは、Veeco VX300プロファイラー/AFM装置で測定された。
【0148】
ディッシング測定に関して5つの異なるサイズのライン構造が用いられ、エロージョン測定に関して5つの異なるミクロンアレイが用いられた。ウェハは、中心、中央、及び端部のダイ位置で測定された。
【0149】
W CMP緩衝研磨組成物も、d調節可能なTEOS膜除去速度、高い、調節可能なバリア膜(TiN膜等)除去速度、及び調節可能なW膜除去速度を提供した。
【0150】
W CMP研磨組成物から得られたW:TEOS選択性((Wの除去速度)/(TEOSの除去速度))は調節可能であり、5:1~50:1の範囲であった。
【0151】
例1
組成物において、0.0945質量%の45nmサイズのコロイダルシリカを第一の研磨材として用い、0.125質量%の70nmサイズのコロイダルシリカを第二の研磨材として用い、0.0125質量%の鉄-グルコネート水和物を鉄-配位子錯体触媒として用い、0.075質量%のグルコン酸を別の添加剤として用い、3.0質量%のH2O2を酸化剤として用いた。組成物のpH値は7.7であった。0.0025質量%のバイオサイドを、中性pH周辺でのバクテリアの形成及び成長を抑制するために用いた。
【0152】
4.0psiDFにおける研磨結果により以下の膜除去速度が得られた:W RR(Å/min)は、4198Å/min、TiN RRは1017Å/min、TEOS RRは25Å/minであった。
【0153】
結果を
図1に示した。W:TEOSの選択性は、約164:1であり、高度に選択的なW CMPバルク研磨組成物を示す。
【0154】
Wラインディッシング及びエロージョンの結果を表1に列記した。
【0155】
【0156】
Wラインディッシングとエロージョンの結果を
図2及び
図3にも示した。
【0157】
表1において示されたWラインディッシング及びエロージョンのデータは、低いWラインディッシング及びエロージョンとして記述することができる。
【0158】
典型的に、幅広いライン特徴上に>1500AのWラインディッシング、並びに70%及び90%密度等の高密度特徴上に>1000Aのエロージョンを有する他のW CMP研磨組成物によるWディッシング及びエロージョンのデータが報告されている。
【0159】
例2
例2において、0.0125質量%の鉄-グルコネートを鉄-配位子錯体触媒として用い、0.0945質量%の45nmコロイダルシリカを第一の研磨材として用い、1.0質量%の(70nmの平均粒子サイズを有する)高純度コロイダルシリカを第二の研磨材として用い、Lupasol(PEI分子)を腐食防止剤として0.0003質量%で用い、無機酸を用いてpHを2.5に調整し、1.0質量%のH2O2を酸化剤として用いた。
【0160】
研磨を4.0psi下向き力で実施した。
【0161】
4.0psi下向き力における研磨結果により以下の膜除去速度が得られた:W RR(Å/min)は、3305Å/min、TiN RRは1430Å/min、TEOS RRは653Å/minであった。
【0162】
また、結果を
図4にも示した。W:TEOSの選択性は、約5.1:1であり、高度に選択的なW CMPバルク研磨組成物を示す。
【0163】
Wラインディッシング及びエロージョンの結果を表2に列記した。
【0164】
【0165】
Wラインディッシングとエロージョンの結果を
図5及び
図6にも示した。
【0166】
例1及び例2において示されるように、触媒として鉄-配位子錯体を用いたCMP研磨組成物は、広いpH範囲で用いることができ、それは、容易なW:TEOS選択性の調節を可能にし、たとえばpH2.5におけるW:TEOS選択性が約5:1であるのに対し、pH7.7における選択性は164:1である。
【0167】
例3
例3において、0.0125質量%の鉄(III)-オキサレートを鉄-配位子錯体触媒として用い、0.0945質量%の45nmコロイダルシリカを第一の研磨材として用い、(70nmの平均粒子サイズを有する)1.0質量%の高純度コロイダルシリカを第二の研磨材として用い、Lupasol(PEI分子)を腐食防止剤として0.0003質量%にて用い、無機酸を用いてpHを2.5に調整し、1.0質量%のH2O2を酸化剤として用いた。
【0168】
研磨を4.0psi下向き力で実施した。
【0169】
【0170】
Wラインディッシング及びエロージョンの結果を表3に列記する。
【0171】
【0172】
例3に関して、4.0psi下向き力における研磨結果により以下の膜除去速度が得られた:W RR(Å/min)は、3286Å/min、TiN RRは1305Å/min、TEOS RRは642Å/minであった。W:TEOSの選択性は、約5.1:1であり、低度に選択的なW CMPバルク研磨組成物を示す。
【0173】
Wラインディッシング及びエロージョンの結果を
図8及び
図9に示した。
【0174】
例1、2及び3のスラリー組成物は、研磨試験の少なくとも30分前に1.0質量%のH2O2を添加することにより調製された。係る試料を用いて、ブランケットウェハ及びWパターン化ウェハの研磨の完了後にディッシング及びエロージョンのデータを得た。
【0175】
例4
この例において、組成物は、第一の研磨材として0.0945質量%の45nmサイズの(球形)コロイダルシリカと、第二の研磨材として0.125質量%の70nmサイズの(コクーン形状)高純度コロイダルシリカと、鉄-配位子錯体触媒として0.0125質量%の鉄-グルコネート水和物(例1~4)又はアンモニウム鉄-オキサレート三水和物(例5~6)と、0.075質量%のグルコン酸と、酸化剤として1.0質量%のH2O2とを含んでいた。組成物のpH値は7.0であった。0.0025質量%のバイオサイドを、中性pH周辺でのバクテリアの形成及び成長を抑制するために用いた。
【0176】
また、組成物7及び8において、0.0945質量%の45nmサイズのコロイダルシリカを第一の研磨材として用い、0.125質量%の70nmサイズのコロイダルシリカを第二の研磨材として用い、0.01質量%の硝酸第二鉄一水和物を触媒として水溶性二鉄無機塩としてpH5.5又はpH7.0にて用い、0.05質量%のマロン酸を用い、1.0質量%のH2O2を酸化剤として用いた。組成物のpH値は5.5及び7.0であった。0.0025質量%のバイオサイドを、中性pH周辺でのバクテリアの形成及び成長を抑制するために用いた。
【0177】
安定性試験の結果を表4に列記した。
【0178】
【0179】
表4において、W研磨組成物安定性試験の結果が示されるように、2種の水溶性鉄-配位子錯体、すなわち鉄-グルコネート及びアンモニウム鉄-オキサレートを中性pH条件にて触媒として用いた場合、追加の配位子分子、グルコン酸又はシュウ酸分子、及びW腐食防止剤の有無にかかわらず、安定な組成物が得られた。
【0180】
しかし、組成物において硝酸第二鉄化合物を触媒として用いた場合、用いられたコロイダルシリカ研磨材は急速にゲル化プロセスを受け、全てのコロイダルシリカ粒子は、5.5又は7.0のpHにおいてクラッシュアウトした。
【0181】
選択されたpH条件における前述の研磨組成物安定性試験は、鉄-配位子化合物をより広いpH範囲、具体的には≧5.5でW CMPスラリー中で触媒として用いることができ、一方で硝酸第二鉄等の鉄の水溶性無機塩は、そのpH範囲において安定な研磨組成物を与えないことを示した。
【0182】
例1~4を用いたW、TEOS、TiN及びSiNの膜除去速度を表5及び
図10に示した。
【0183】
【0184】
表5及び
図10において示されるように、例1及び2の結果は、研磨組成物中にW腐食防止剤を有するが、グルコン酸を有さないこと(例2)が、W除去速度を抑制し、TiN除去速度を加速するが、TEOS及びSiN膜除去速度には影響しないことを示した。
【0185】
表5及び表10において示されるように、例1及び3の結果は、W腐食防止剤の添加なしでの研磨組成物へのグルコン酸の配位子分子の添加が、W除去速度を大いに抑制し、TEOS及びSiN除去速度を倍増させるが、TiN除去速度にはほとんど影響しないことを示した。
【0186】
例1と比較すると、例4において示されるように、グルコン酸の配位子分子とW腐食防止剤の両方を研磨組成物中で用いた場合、W除去速度は依然として大いに低下し、TEOS及びSiN除去速度は両方とも倍増し、TiN除去速度も増加した。
【0187】
表6のように、例1~4のW CMP研磨組成物を用いて20%過剰研磨条件で、Wパターン化ウェハも研磨された。
【0188】
種々のサイズ及び密度のWラインに対するW CMP研磨組成物の使用(例1~4)の効果を表6に列記し、
図11に示した。
【0189】
【0190】
表6及び
図11において示されるWラインディッシング結果のように、腐食防止剤又は配位子分子グルコン酸を用いない例1は、2680Åを超えるWラインディッシング(悪いディッシング)を与えた。研磨組成物に腐食防止剤を単独で添加した(例2)後、種々のサイズ及び密度のWラインディッシングが大いに低減した。一方で、研磨組成物への配位子分子グルコン酸の単独での添加(例3)もまた、大いにWラインディッシングを低減した。同じW研磨組成物中で腐食防止剤及び配位子化合物の両方を用いた場合(例4)、Wラインディッシングは維持された。
【0191】
実施例を含む上記の本発明の実施態様は、本発明から作ることのできる多数の実施態様の例示である。多数の他の構成のプロセスを用いることができ、プロセスにおいて用いられる材料は、具体的に開示されたもの以外の多数の材料から選択できることが企図される。
本開示は以下も包含する。
[1]
アルミナ、セリア、ゲルマニア、コロイダルシリカ、<1ppm痕跡量金属を有する高純度コロイダルシリカ、チタニア、ジルコニア粒子、金属修飾又は複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材であって、研磨材粒子は20nm~180nmの範囲の平均サイズを有する、研磨材;
金属-配位子錯体触媒;
酸化剤;及び
水、水と混和性である液体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒;
任意選択的に、
Wの腐食防止剤;
pH調節剤;
バイオサイド;及び
安定化剤
を含む化学機械平坦化(CMP)組成物であって、
前記CMP組成物のpHは、4~9の範囲であり、前記CMP組成物は、安定な組成物であり;
前記金属-配位子錯体触媒が、
M(n+)-Lm
(式中、n+は、金属-配位子錯体中の金属イオンの酸化数を指し、n+は1+、2+、3+であり;
mは金属-配位子錯体中のカチオン性イオン中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指し、mは金属-配位子錯体の形成における配位子分子に依存してそれぞれ1、2、3、4、5又は6であり;
金属イオンは、Fe、Cs、Ce、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auイオンからなる群から選択され;
配位子分子Lは、モノ-、ビ-、トリ-、又はテトラ-カルボン酸、スルホン酸又はリン酸官能基を有する有機酸;モノ-、ビ-、トリ-、テトラ-カーボネート、スルホネート又はホスフェート官能基を有するアンモニウム塩、カリウム塩又はナトリウム塩;ピリジン分子及びその誘導体;ビピリジン分子及びその誘導体;ターピリジン及びその誘導体;ピコリン酸及びその誘導体;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。)
の一般分子構造を有する、化学機械平坦化(CMP)組成物。
[2]
前記金属-配位子錯体触媒が、
【化1】
及びこれらの組み合わせを含む群から選択される鉄-配位子錯体触媒である、上記態様1に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
[3]
前記Wの腐食防止剤が、0.5~10ppmの範囲であり、かつ、エチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、プロピレンイミン、及びこれらの組み合わせを含むオリゴマー又はポリマーからなる群から選択され;
前記ポリエチレンイミン(PEI)は、分岐鎖又は直鎖であることができ、分岐鎖ポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐鎖であり、かつ、第一級、第二級、及び第三級アミノ基を含有しており;直鎖ポリエチレンイミンは第二級アミンを含有している、上記態様1に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
[4]
前記分岐鎖ポリエチレンイミンは、以下に示される式(-NHCH
2
CH
2
-)
x
[-N(CH
2
CH
2
NH
2
)CH
2
CH
2
-]
y
:
【化2】
(式中、x及びyは各々独立して2~40であることができ、またはx及びyの各々は独立して6~10である。)
により表されることができる、上記態様3に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
[5]
前記酸化剤が、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含むペルオキシ酸化剤;H
2
O
2
及び過酸化尿素;過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム;ベンジルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;モノ過硫酸又はジ過硫酸を含むパーサルフェート;過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、及びこれらの酸;過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、及びこれらの塩を含むペルオキシ酸;ヨウ素酸及びその塩;硝酸;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記酸化剤は1ppm~100000ppmの範囲であり;
前記バイオサイドが、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を含み;
前記pH調節剤が、(1)硝酸、スルホン酸、リン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸;(2)水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩基からなる群から選択され;
前記安定化剤が、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様1に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
[6]
前記組成物が、鉄-グルコネート水和物又は鉄(III)-オキサレート;コロイダルシリカ、<1ppmの痕跡量金属を含む高純度コロイダルシリカ、及びこれらの組み合わせを含み、前記研磨材が、30nm~150nmの範囲のサイズを有し;鉄-グルコネート水和物又はアンモニウム鉄-オキサレート三水和物;H
2
O
2
;ポリエチレンイミン(PEI);水;及び任意選択的にグルコン酸;及びバイオサイドをさらに含む、上記態様1に記載の化学機械平坦化(CMP)組成物。
[7]
半導体基材を与える工程と;
研磨パッドを与える工程と;
アルミナ、セリア、ゲルマニア、コロイダルシリカ、<1ppm痕跡量金属を有する高純度コロイダルシリカ、チタニア、ジルコニア粒子、金属修飾又は複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材であって、研磨材粒子は20nm~180nmの範囲の平均サイズを有する、研磨材;
金属-配位子錯体触媒;
酸化剤;及び
水、水と混和性である液体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒;
任意選択的に、
Wの腐食防止剤;
pH調節剤;
バイオサイド;及び
安定化剤
を含む化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記CMP組成物のpHは、4~9の範囲であり、前記CMP組成物は、安定な組成物であり;
前記金属-配位子錯体触媒が、:
M(n+)-Lm
(式中、n+は、金属-配位子錯体中の金属イオンの酸化数を指し、n+は1+、2+、3+であり;
mは金属-配位子錯体中のカチオン性イオン中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指し、mは金属-配位子錯体の形成における配位子分子に依存してそれぞれ1、2、3、4、5又は6であり;
金属イオンは、Fe、Cs、Ce、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auイオンからなる群から選択され;
配位子分子Lは、モノ-、ビ-、トリ-、又はテトラ-カルボン酸、スルホン酸又はリン酸官能基を有する有機酸;モノ-、ビ-、トリ-、テトラ-カーボネート、スルホネート又はホスフェート官能基を有するアンモニウム塩、カリウム塩又はナトリウム塩;ピリジン分子及びその誘導体;ビピリジン分子及びその誘導体;ターピリジン及びその誘導体;ピコリン酸及びその誘導体;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。)
の一般分子構造を有する、化学機械研磨(CMP)組成物を与える工程と;
前記半導体基材の表面を、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触させる工程と;
前記半導体の表面を研磨する工程と
を含む、タングステンを含む表面と、誘電体層又はバリア層の少なくとも1つとを含有する半導体基材の化学機械研磨方法であって、
前記誘電体層は酸化物膜であり、前記バリア層はTiN、Ti、TaN、Ta及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、前記方法。
[8]
前記誘電体層が酸化ケイ素膜(TEOS)であり、前記バリア層がTiNであり、W:TEOS又はTiNの除去選択性が、4:1又は50:1である、上記態様7に記載の方法。
[9]
前記金属-配位子錯体触媒が、
【化3】
及びこれらの組み合わせを含む群から選択される鉄-配位子錯体触媒である、上記態様7に記載の方法。
[10]
前記Wの腐食防止剤が、0.5~10ppmの範囲であり、かつ、エチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、プロピレンイミン、及びこれらの組み合わせを含むオリゴマー又はポリマーからなる群から選択され;
前記ポリエチレンイミン(PEI)は、分岐鎖又は直鎖であることができ、分岐鎖ポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐鎖であり、かつ、第一級、第二級、及び第三級アミノ基を含有しており;直鎖ポリエチレンイミンは第二級アミンを含有している、上記態様7に記載の方法。
[11]
前記分岐鎖ポリエチレンイミンは、以下に示される式(-NHCH
2
CH
2
-)
x
[-N(CH
2
CH
2
NH
2
)CH
2
CH
2
-]
y
:
【化4】
(式中、x及びyは各々独立して2~40であることができ、またはx及びyの各々は独立して6~10である。)
により表されることができる、上記態様10に記載の方法。
[12]
前記酸化剤が、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含むペルオキシ酸化剤;H
2
O
2
及び過酸化尿素;過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム;ベンジルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;モノ過硫酸又はジ過硫酸を含むパーサルフェート;過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、及びこれらの酸;過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、及びこれらの塩を含むペルオキシ酸;ヨウ素酸及びその塩;硝酸;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記酸化剤は1ppm~100000ppmの範囲であり;
前記バイオサイドが、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を含み;
前記pH調節剤が、(1)硝酸、スルホン酸、リン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸;(2)水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩基からなる群から選択され;
前記安定化剤が、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様7に記載の方法。
[13]
前記組成物が、鉄-グルコネート水和物又は鉄(III)-オキサレート;コロイダルシリカ、<1ppmの痕跡量金属を含む高純度コロイダルシリカ、及びこれらの組み合わせを含み、前記研磨材が、30nm~150nmの範囲のサイズを有し;鉄-グルコネート水和物又はアンモニウム鉄-オキサレート三水和物;H
2
O
2
;ポリエチレンイミン(PEI);水;及び任意選択的にグルコン酸;及びバイオサイドをさらに含む、上記態様7に記載の方法。
[14]
半導体基材;
研磨パッド;
を含む、タングステンを含む表面と、誘電体層又はバリア層の少なくとも1つとを含有する半導体基材の化学機械研磨装置であって、
アルミナ、セリア、ゲルマニア、コロイダルシリカ、<1ppm痕跡量金属を有する高純度コロイダルシリカ、チタニア、ジルコニア粒子、金属修飾又は複合粒子、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される研磨材であって、研磨材粒子は20nm~180nmの範囲の平均サイズを有する、研磨材;
金属-配位子錯体触媒;
酸化剤;及び
水、水と混和性である液体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される溶媒;
任意選択的に、
Wの腐食防止剤;
pH調節剤;
バイオサイド;及び
安定化剤を含む化学機械研磨(CMP)組成物であって、
前記CMP組成物のpHは、4~9の範囲であり、前記CMP組成物は、安定な組成物であり;
前記金属-配位子錯体触媒が、
M(n+)-Lm
(式中、n+は、金属-配位子錯体中の金属イオンの酸化数を指し、n+は1+、2+、3+であり;
mは金属-配位子錯体中のカチオン性イオン中心に直接的に化学結合した配位子分子の数を指し、mは金属-配位子錯体の形成における配位子分子に依存してそれぞれ1、2、3、4、5又は6であり;
金属イオンは、Fe、Cs、Ce、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Auイオンからなる群から選択され;
配位子分子Lは、モノ-、ビ-、トリ-、又はテトラ-カルボン酸、スルホン酸又はリン酸官能基を有する有機酸;モノ-、ビ-、トリ-、テトラ-カーボネート、スルホネート又はホスフェート官能基を有するアンモニウム塩、カリウム塩又はナトリウム塩;ピリジン分子及びその誘導体;ビピリジン分子及びその誘導体;ターピリジン及びその誘導体;ピコリン酸及びその誘導体;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。)
の一般分子構造を有する化学機械研磨(CMP)組成物を与えることを含み;
前記半導体基材の表面が、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触している、前記装置。
[15]
前記誘電体層が酸化ケイ素膜(TEOS)であり、前記バリア層がTiNであり、W:TEOS又はTiNの除去選択性が、4:1又は50:1である、上記態様14に記載の装置。
[16]
前記金属-配位子錯体触媒が、
【化5】
及びこれらの組み合わせを含む群から選択される鉄-配位子錯体触媒である、上記態様14に記載の装置。
[17]
前記Wの腐食防止剤が、0.5~10ppmの範囲であり、かつ、エチレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、プロピレンイミン、及びこれらの組み合わせを含むオリゴマー又はポリマーからなる群から選択され;
前記ポリエチレンイミン(PEI)は、分岐鎖又は直鎖であることができ、分岐鎖ポリエチレンイミンの少なくとも半分は分岐鎖であり、かつ、第一級、第二級、及び第三級アミノ基を含有しており;直鎖ポリエチレンイミンは第二級アミンを含有している、上記態様14に記載の装置。
[18]
前記分岐鎖ポリエチレンイミンは、以下に示される式(-NHCH
2
CH
2
-)
x
[-N(CH
2
CH
2
NH
2
)CH
2
CH
2
-]
y
:
【化6】
(式中、x及びyは各々独立して2~40であることができ、またはx及びyの各々は独立して6~10である。)
により表されることができる、上記態様17に記載の装置。
[19]
前記酸化剤が、少なくとも1つのペルオキシ基(-O-O-)を含むペルオキシ酸化剤;H
2
O
2
及び過酸化尿素;過酸化ナトリウム又は過酸化カリウム;ベンジルペルオキシド;ジ-t-ブチルペルオキシド;モノ過硫酸又はジ過硫酸を含むパーサルフェート;過炭酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過ヨウ素酸塩、及びこれらの酸;過酢酸、過安息香酸、m-クロロ過安息香酸、及びこれらの塩を含むペルオキシ酸;ヨウ素酸及びその塩;硝酸;及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記酸化剤は1ppm~100000ppmの範囲であり;
前記バイオサイドが、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を含み;
前記pH調節剤が、(1)硝酸、スルホン酸、リン酸及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機酸;(2)水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される無機塩基からなる群から選択され;
前記安定化剤が、クエン酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩;及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、上記態様14に記載の装置。
[20]
前記組成物が、鉄-グルコネート水和物又は鉄(III)-オキサレート;コロイダルシリカ、<1ppmの痕跡量金属を含む高純度コロイダルシリカ、及びこれらの組み合わせを含み、前記研磨材が、30nm~150nmの範囲のサイズを有し;鉄-グルコネート水和物又はアンモニウム鉄-オキサレート三水和物;H
2
O
2
;ポリエチレンイミン(PEI);水;及び任意選択的にグルコン酸;及びバイオサイドをさらに含む、上記態様14に記載の装置。