(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】流れ分配器を備える蒸気輸送コンテナ
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20220111BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20220111BHJP
B01J 7/00 20060101ALI20220111BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20220111BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C23C16/448
B01J4/00 102
B01J7/00 A
H01L21/31 F
H01L21/205
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019130042
(22)【出願日】2019-07-12
【審査請求日】2019-09-19
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ マイケル バーッチャー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エスクバック
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム シーヒー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ パトリック ネルセン
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-083777(JP,A)
【文献】特開2008-103441(JP,A)
【文献】特表2008-522029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/448
B01J 4/00
B01J 7/00
H01L 21/31
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器床と、前記床から容器上端まで延在する容器側壁と、容器の中心軸から容器上端に、ある半径距離で広がる蓋とを含む容器を備え、前記容器床、容器側壁、及び前記容器の蓋は、前記容器の内部容積を画定し、前記容器は外部表面及び内部表面を有し;
前記容器の外部表面から前記容器の内部表面まで前記容器を通って延在するインレット管路と;
前記容器内部に位置し、前記インレット管路と流体連通している流れ分配器とを更に備え、前記流れ分配器は、前記インレット管路から前記容器にガスを放出するための複数のアパーチャが形成された少なくとも1つの管路を含み;
前記容器の内部容積と流体連通しているアウトレット管路を更に備える、処理ツールに化学前駆体を輸送するコンテナであって、
前記流れ分配器は、分配器床と、分配器天井と、前記分配器床の外周から前記分配器天井の外周まで延在する外側分配器側壁と、前記分配器床の内周から前記分配器天井の内周まで延在する内側分配器側壁とを含み、前記分配器床及び分配器天井は、それぞれその内周からその外周まで広がっており;
前記内側分配器側壁が、前記流れ分配器を通って前記容器の内部容積から前記アウトレット管路に流体が流れることを可能にする前記流れ分配器におけるポートホールを画定
し;
前記流れ分配器が環状形状を有し、前記複数のアパーチャが、前記流れ分配器の前記分配器床において形成され、かつ、アパーチャの内側アレイとアパーチャの外側アレイとを含むアパーチャの複数の同心環状アレイにおいて配置され、前記アパーチャの内側アレイの半径が、前記アパーチャの外側アレイの半径より短く、前記アパーチャの内側アレイの内側アパーチャが、前記アパーチャの外側アレイの外側アパーチャと半径方向に整列していないか、整列している、
コンテナ。
【請求項2】
前記流れ分配器及び前記容器が、軸方向に整列しており、前記容器が内部容器半径を有し、前記アパーチャの外側アレイが、前記内部容器半径の65%から85%に放射状に配置されている、請求項
1に記載のコンテナ。
【請求項3】
(1)前記アパーチャの内側アレイの各々が、前記アパーチャの内側アレイにおいて、その隣接するアパーチャから実質的に等距離にあり;
(2)前記アパーチャの外側アレイの各々が、前記アパーチャの外側アレイにおいて、その隣接するアパーチャから実質的に等距離にあり;または
(1)と(2)の組み合わせである、請求項
1に記載のコンテナ。
【請求項4】
前記アパーチャの内側アレイにおける2つのアパーチャ間の距離が、前記アパーチャの内側アレイの半径と実質的に等しい、請求項
3に記載のコンテナ。
【請求項5】
前記アパーチャの外側アレイの外側アパーチャの数と、前記アパーチャの内側アレイの内側アパーチャの数の比が、1.5:1~3:1である、請求項
1に記載のコンテナ。
【請求項6】
前記流れ分配器の前記ポートホール及び前記容器が、軸方向に整列しており、前記容器が内部容器半径を有し、前記ポートホールが、前記内部容器半径の25%~35%の半径を有する、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項7】
前記アウト
レット管路が、前記流れ分配器の前記ポートホールの中心からオフセットされている、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項8】
前記容器が、上部セクションと下部セクションとを有し、前記上部セクションが、前記蓋と前記分配器天井との間に位置しており、前記下部セクションが、分配器床と前記容器床との間に位置しており;
前記アウトレット管路が、前記容器の前記上部セクションと流体連通している、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項9】
前記流れ分配器における前記アパーチャが、≧0.001インチ(0.0025cm)かつ≦0.50インチ(1.27cm)の等価直径を有する、請求項1に記載のコンテナ。
【請求項10】
容器床と、前記床から容器上端まで延在する容器側壁と、容器の中心軸から前記容器上端に、ある半径距離で広がる蓋とを含む容器を備え、前記容器床、容器側壁、及び前記容器の蓋は、前記容器の内部容積を画定し、前記容器は外部表面及び内部表面を有し;
前記容器の外部表面から前記容器の内部表面まで前記容器を通って延在するインレット管路と;
前記容器内部に位置し、前記インレット管路と流体連通している流れ分配器とを更に備え、前記流れ分配器は、前記インレット管路から前記容器にガスを放出するための複数のアパーチャが形成された少なくとも1つの管路を含み;
前記容器の内部容積と流体連通しているアウトレット管路を更に備えるコンテナであって、
前記流れ分配器は、分配器床と、分配器天井と、前記分配器床の外周から前記分配器天井の外周まで延在する外側分配器側壁と、前記分配器床の内周から前記分配器天井の内周まで延在する内側分配器側壁とを含み、前記分配器床及び分配器天井は、それぞれその内周からその外周まで広がっており;
前記内側分配器側壁が、前記流れ分配器を通って前記容器の内部容積から前記アウトレット管路に流体が流れることを可能にする前記流れ分配器におけるポートホールを画定
し、
前記流れ分配器が環状形状を有し、前記複数のアパーチャが、前記流れ分配器の前記分配器床において形成され、かつ、アパーチャの内側アレイとアパーチャの外側アレイとを含むアパーチャの複数の同心環状アレイにおいて配置され、前記アパーチャの内側アレイの半径が、前記アパーチャの外側アレイの半径より短く、前記アパーチャの内側アレイの内側アパーチャが、前記アパーチャの外側アレイの外側アパーチャと半径方向に整列していないか、整列している、
コンテナを与えることと;
キャリアガスを前記インレット管路に挿入し、前記流れ分配器に通すことと、
前記キャリアガスを前記複数のアパーチャを通して前記容器の内部容積に放出し、前記キャリアガスを化学前駆体の表面に衝突させることと;
前記化学前駆体の一部を前記化学前駆体の表面から持ち上げ、前記流れ分配器の前記ポートホールに通すことと;
前記化学前駆体の一部を前記アウトレット管路を通して輸送することと
を含む、処理ツールに化学前駆体を輸送するためのコンテナの使用方法。
【請求項11】
前記流れ分配器及び前記容器が、軸方向に整列しており、前記容器が内部容器半径を有し、前記アパーチャの外側アレイが、前記内部容器半径の65%から85%に放射状に配置されている、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
(1)前記アパーチャの内側アレイの各々が、前記アパーチャの内側アレイにおいて、その隣接するアパーチャから実質的に等距離にあり;
(2)前記アパーチャの外側アレイの各々が、前記アパーチャの外側アレイにおいて、その隣接するアパーチャから実質的に等距離にあり;または
(1)と(2)の組み合わせである、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記アパーチャの内側アレイにおける2つのアパーチャ間の距離が、前記アパーチャの内側アレイの半径と実質的に等しい、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記アパーチャの外側アレイの外側アパーチャの数と、前記アパーチャの内側アレイの内側アパーチャの数の比が、1.5:1~3:1である、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
前記流れ分配器の前記ポートホール及び前記容器が、軸方向に整列しており、前記容器が内部容器半径を有し、前記ポートホールが、前記内部容器半径の25%~35%の半径を有する、請求項
10に記載の方法。
【請求項16】
前記アウト
レット管路が、前記流れ分配器の前記ポートホールの中心からオフセットされている、請求項
10に記載の方法。
【請求項17】
前記容器が、上部セクションと下部セクションとを有し、前記上部セクションが、前記蓋と前記分配器天井との間に位置しており、前記下部セクションが、分配器床と前記容器床との間に位置しており;
前記アウトレット管路が、前記容器の前記上部セクションと流体連通している、請求項
10に記載の方法。
【請求項18】
前記流れ分配器における前記アパーチャが、≧0.001インチ(0.0025cm)かつ≦0.50インチ(1.27cm)の等価直径を有する、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本特許出願は、参照により全体的に本開示に組み込まれる、2018年7月13日に出願された米国仮出願第62/697658号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
電子デバイス製造産業は、集積回路及び他の電子デバイスを作製するための原料又は前駆体として種々の化学品を要求する。化学気相堆積(CVD)及び原子層堆積(ALD)プロセス等の堆積プロセスは、半導体デバイスの製造中に1つ又はそれより多くの工程で用いられ、基材の表面に1つ又はそれより多くの膜又はコーティングを形成する。典型的なCVD又はALDプロセスにおいて、固相及び/又は液相であることができる前駆体源は、1つ又はそれより多くの基材を収容する反応チャンバに運ばれ、そこでは前駆体は温度又は圧力等のある条件下で反応して、基材表面にコーティング又は膜を形成する。
【0003】
処理チャンバに前駆体蒸気を供給するための幾つかの認められた技術がある。1つの方法は、液体マスフロー制御器(LMFC)により制御された流速で、液体前駆体を液体形態で処理チャンバに供給し、次いで前駆体を使用の時点において気化器により蒸発させる。第二の方法は、加熱することにより液体前駆体を蒸発させ、得られた蒸気をマスフロー制御器(MFC)により制御された流速でチャンバに供給することを含む。第三の方法は、キャリアガスを液体前駆体に通して上方へバブリングすることを含む。第四の方法は、キャニスターに収容された前駆体の表面上にキャリアガスを流せるようにすることと、キャニスターから出た前駆体蒸気を、続いて処理ツールに運ぶこととを含む。
【0004】
本開示に記載されるのは、高純度のプロセス化学前駆体を、半導体デバイスの製造に用いられる処理ツールに輸送するためのコンテナ、システム、及びその使用方法である。より具体的には、本開示に記載されるのは、複数の小さい孔又は噴出口等の流れ分配器を備えるコンテナ(容器又はアンプル)、及び化学気相堆積(CVD)又は原子層堆積(ALD)プロセスにおける堆積反応器等の処理ツールのための化学前駆体を含むシステムである。
【0005】
昇華による固体前駆体からの化学蒸気の輸送は、本発明の主題の1つである。
【0006】
昇華により固体前駆体から化学蒸気を輸送する従来のコンテナに関連する1つの課題は、前駆体の高い利用度を得ることの困難性である。洗浄し、補充するために運転を中止する際に、コンテナ内に残される前駆体の量を最小化することは困難である。この問題の1つの原因は、従来の固体源コンテナにおいて、前駆体の表面と、キャリアガスを循環させるために用いられるインレット及びアウトレットとの間の距離、並びにキャリアガスが前駆体蒸気と接触する領域の体積が、前駆体が使い果たされるにつれて増加することである。
【0007】
前駆体チャンバのより均一な加熱及び改善されたキャリアガス循環を含む試みが、前駆体利用度を増大させるためになされてきた。これらの努力が前駆体利用度の改善をもたらしてきたものの、これらの改善の実行に必要な構造は、コンテナの洗浄をより困難にする可能性があり、前駆体利用度の更なる改善に対する必要がある。
【0008】
幾つかの従来技術は、インレット管路が前駆体表面の上方に配置されている設計を提供するが、キャリアガスが低いコンテナ充填レベル又は低い格納レベルにおいて前駆体の表面をかく乱するのに十分な運動量を提供しない。したがって、従来技術の設計に関する前駆体輸送速度は、高いコンテナ充填レベル(又は高い格納レベル)における前駆体輸送速度と比較して、低いコンテナ充填レベル(又は低い格納レベル)において典型的には著しく低い。
【0009】
先行技術の解決手段として、インレット管路が前駆体表面の下方に配置されているコンテナ設計が挙げられる。前駆体(液体又は固体)は、バブラーにおいて供給される。使用の際に、キャリアガスはバブリングされ、ディップ管を介して前駆体により飽和される。係る設計は、米国特許第8313804号明細書、米国特許第6698728号明細書、及び米国特許第6033479号明細書に開示され、その開示は全体において参照により本開示に組み込まれる。しかし、これらの設計は、固体によるインレットの閉塞、固体の周りのキャリアガスチャネリングに起因する不均一な輸送速度、及びコンテナ使用中の輸送速度変化のために、固体前駆体の輸送に関する問題が存在することが多い。
【0010】
したがって、上述の欠点を克服する、堆積又は処理サイトへ前駆体を輸送するシステムに対する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
概要
上記に鑑み、化学前駆体コンテナが開示される。コンテナは、
容器床と、床から容器上端まで延在する容器側壁と、容器の中心軸から容器上端に、ある半径距離で広がる蓋とを含む容器を備え、容器床、容器側壁、及び容器の蓋は、容器の内部容積を画定し、容器は外部表面及び内部表面を有し;
蓋の上面から蓋の底面まで蓋を通って延在するインレット管路と;
容器内部に位置し、インレット管路と流体連通している流れ分配器とを更に備え、流れ分配器は、インレット管路から容器にガスを放出するための複数のアパーチャが形成された少なくとも1つの管路を含み;
蓋の底面から蓋の上面まで蓋を通って延在するアウトレット管路を更に備える。流れ分配器は、環状形状を有し、かつ、分配器床と、分配器天井と、分配器床の外周から分配器天井の外周まで延在する外側分配器側壁と、分配器床の内周から分配器天井の内周まで延在する内側分配器側壁とを含む。分配器床及び分配器天井は、これらの内周から外周まで放射状に延在し、内側分配器側壁は、流れ分配器を通って容器の内部容積からアウトレット管路に流体が流れることを可能にする流れ分配器におけるポートホールを画定する。
【0012】
1つの実施態様において、複数のアパーチャは、流れ分配器の分配器床において形成され、アパーチャの内側アレイとアパーチャの外側アレイとを含むアパーチャの複数の同心環状アレイにおいて配置される。1つの実施態様において、アパーチャの内側アレイは、アパーチャの外側アレイから半径方向にオフセットされている。
【0013】
1つの実施態様において、流れ分配器及び容器は軸方向に整列しており、容器は、内部容器半径を有し、アパーチャの外側アレイは、内部容器半径の65%から80%に放射状に配置され、アパーチャの内側アレイは、内部容器半径の30%から45%に放射状に配置される。
【0014】
1つの実施態様において、アパーチャの内側アレイの各々は、アパーチャの内側アレイにおいて、その隣接するアパーチャから実質的に等距離にある。別の実施態様において、アパーチャの外側アレイの各々は、アパーチャの外側アレイにおいて、その隣接するアパーチャから実質的に等距離にある。
【0015】
1つの実施態様において、流れ分配器のポートホール及び容器は軸方向に整列しており、容器は、内部容器半径を有し、ポートホールは、内部容器半径の30%~35%の半径を有する。
【0016】
コンテナは、任意の形状を有することができる。形状としては、以下に制限されるものではないが、円筒状、直方体、立方体、長方形の箱、矩形六面体、直角矩形柱、又は矩形平行六面体;及び円、長円、四角、矩形、又は当分野で用いられる任意の他の形状の断面を有するものが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明のより完全な理解のために、添付の図面と併せて考慮される実施態様の以下の詳細な説明を参照する。
【
図1】
図1は、従来技術の中空十字形状流れ分配器中に延在するインレット管路を示す断面による従来技術のコンテナの底面斜視図である。
【
図2】
図2は、シャワーヘッド形状流れ分配器中に延在するインレット管路を示す断面による従来技術のコンテナの底面斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、
図2において示された輸送コンテナの流体流れ図の側面図であり、図は、流れ分配器から輸送コンテナに入るガスの流れの流れパターンを示し、青色は下向きの流れを示し、赤色/橙色は、上向きの流れを示し、緑色は水平方向の流れを示す。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aにおいて示された流体流れ図の上面図であり、コンテナの床にかかるせん断応力を示す。
【
図4A】
図4Aは、第一のパターンの噴出口を有するシャワーヘッド流れ分配器を有する、
図2において示された輸送コンテナの流体流れ図の側面図である。
【
図5A】
図5Aは、第二のパターンの噴出口を有するシャワーヘッド流れ分配器を有する、
図2において示された輸送コンテナの流体流れ図の側面図である。
【
図6A】
図6Aは、第三のパターンの噴出口を有するシャワーヘッド流れ分配器を有する、
図2において示された輸送コンテナの流体流れ図の側面図である。
【
図7A】
図7Aは、第四のパターンの噴出口を有するシャワーヘッド流れ分配器を有する、
図2において示された輸送コンテナの流体流れ図の側面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施態様に従って構成された化学前駆体コンテナの斜視図であり、図は、流れ分配器の断面及び化学前駆体コンテナの内部を含む。
【
図9】
図9は、
図8において示された流れ分配器の斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9において示された流れ分配器のシャワーヘッド床の上面図である。
【
図11】
図11は、
図8において示された化学前駆体コンテナの線11-11に沿って得た断面図である。
【
図13A】
図13Aは、
図8において示された化学前駆体コンテナの最大充填時の流体流れ図の側面図である。
【
図13C】
図13Cは、
図8において示された化学前駆体コンテナの半充填時の流体流れ図の側面図である。
【
図13E】
図13Eは、
図8において示された化学前駆体コンテナの空の場合の流体流れ図の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
以下の開示は、本発明の一般的な原理の説明を提供するために提示され、本開示に含まれる発明概念を多少なりとも限定することを意図するものではない。更に、このセクションで記載される特定の特徴は、本開示に含まれる多数の可能な変更及び組み合わせの各々で、記載される他の特徴と組み合わせて使用することができる。
【0019】
本開示で定義される全ての用語には、明細書を読むことによって示されるような任意の暗示されている意味、並びに当業者及び/又は辞書、論文、又は類似の出典が割り当てる特定の意味の任意の語を含む、可能な限り広い解釈が与えられるべきである。更に、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、特に明記しない限り複数の指示対象を含むことに留意されたい。加えて、「含む(comprises)」及び「含む(comprising)」という用語は、本開示で使用された場合に、ある種の特徴がその実施態様に存在することを特定するが、追加の特徴、要素、操作、及び/又はその群の存在又は追加を排除すると解釈されるべきではない。
【0020】
以下の開示は、本発明の全体的な書かれた記載の一部と考えるべき添付の図面に関連して読まれることを意図している。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明のある特徴が、明確さおよび簡潔さのために、縮尺又は多少概略的な形で誇張して示されている場合がある。本明細書では、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「天」、「底」等の相対的な用語、及びこれらの派生語(例:「水平に」、「下向きに」、「上向きに」等)は、そのとき説明されている方向、又は議論中の図面に示されている方向を指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は説明の便宜上のものであり、通常は特定の方向を要求することを意図していない。「内向き」対「外向き」、「縦方向」対「横方向」などを含む用語は、必要に応じて、互いに対して、又は伸びの軸、若しくは回転の軸若しくは中心に対して解釈されるべきである。「接続された」及び「相互接続された」等のアタッチメント、カップリングなどに関する用語は、別段の明記がない限り、構造が介在構造を介して直接又は間接的に互いに固定又は取り付けられた関係、及び可動若しくは固定のアタッチメント、又は関係の両方を指し、「直接的に」結合された、固定された等の用語を含む。「動作可能に結合された」という用語は、その関係のおかげで、関連する構造が意図したように動作することを可能にするような取り付け、結合、又は接続である。
【0021】
本発明の説明を助けるために、本明細書では以下の用語が定義され使用される。
【0022】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる場合がある用語「管路」は、システムの2つ又はそれより多くの構成要素間で流体を輸送することができる1つ又はそれより多くの構造を指す。例えば、管路としては、液体、蒸気、及び/又はガスを輸送するパイプ、ダクト、通路、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0023】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる用語「流体連通」は、液体、蒸気、及び/又はガスを制御された方法で(すなわち漏れなく)構成要素間で輸送することを可能にする2つ又はそれより多くの構成要素の間の連結性を指す。2つ又はそれより多くの構成要素を互いに流体連通するように連結することは、溶接部、フランジ管路、ガスケット及びボルトを用いた方法等、当分野で知られている任意の適切な方法を含むことができる。
【0024】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられる用語「電気通信」は、本開示に記載のシステム又は方法を操作するための電子機器の使用を指し、バルク化学キャビネット及び/又は溶媒供給キャビネットシステムの1つ又はそれより多くの中に構築することができ、または別個のエンクロージャ内に配置し、特定のセットアップに要求されるケーブルとチューブを介してメインシステムコンポーネントに接続することができる。1つの特定の実施態様では、電子機器エンクロージャはキャビネットの上部に配置され、フィードスルーを介してメインキャビネットに接続されるか、メインキャビネットの化学的に隔離された領域に配置される。ある種の実施態様において、ソース制御モジュール(SCM)又はソース制御電子機器(SCE)等の電子制御システムは、一般に、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、PLC(プログラマブル論理制御装置)、又はシステムのシーケンス、アラームの監視、以下に制限されるものではないが、使用済みの溶媒容器、溶媒回収容器、バルクプロセス化学容器、化学回収容器、バルク溶媒容器、及びメイン処理ツール等の種々の容器への通信の機能を実行する別の種類のコンピュータからなる。この通信は、一般に、一連の入力及び出力リレーの形をとる「直接デジタル制御」を用いて行うことができ、ストレイ干渉が、問題を引き起こすことを防止するように、又は種々の他の手段から光学的に分離される。この通信は、RS-232リンク、IEEE485、Modbus、DeviceNet等のシリアルインターフェース、又はEthernet(登録商標)、若しくはワイヤレスプロトコル等のコンピュータネットワークインターフェースを用いて行うこともできるが、これらに制限されない。
【0025】
用語「レイノルズ数」は、当技術分野で知られている流体力学で用いられる無次元量である。レイノルズ数は、流体速度、流体が通る管の等価直径、及び流体の密度を、流体の動的粘度で除した数学的結果として定義される。円筒管内の流れについては、その内径が等価直径として一般的に用いられる。矩形管又は非円筒管等の他の形状では、等価直径はDE=4A/Pと定義され、式中、Aは断面積であり、Pは断面の周長である。孔又はオリフィスを通る流れについては、孔又はオリフィスの等価直径、及び孔又はオリフィスを通過する際の流体の平均速度が用いられる。
【0026】
本発明は、前駆体含有流体流を堆積プロセスに輸送するのに用いられる容器内での前駆体利用の改善、並びに係る容器の洗浄及び補充の簡易化に関する。より具体的には、本開示に記載されるのは、1種又はそれより多くのプロセス化学品を、半導体製造のために設計された処理ツールに与えること、及び係るプロセス化学品が、そのプロセス化学品コンテナ又はアンプルから容易にかつ効率的に洗浄されるようにすることに関するシステム及び方法、並びに輸送システムにおける他の関連する要素である。
【0027】
1つの側面において、化学前駆体の輸送に用いられるコンテナは、種々の形状を有することができ、以下に制限されるものではないが、円筒状、直方体、立方体、長方形の箱、矩形六面体、直角矩形柱、及び矩形平行六面体形状;及び円、長円、四角、矩形、又は当分野で用いられる任意の他の形状の断面を有するものが挙げられる。処理ツールに対するコンテナの容積は、100ミリリットル(ml)~10リットルの範囲である。本開示に記載されるコンテナの代替的な名称としては、「アンプル」、「容器」、「ソースコンテナ」、「ホスト」、及び他のふさわしい名称が挙げられる。本開示に記載されるコンテナは、リザーバを最初に充填し、洗浄する手段を更に含むことができる。
【0028】
2種の先行技術のコンテナ10、110が、
図1及び2に示される。各コンテナ10、110は、容器床14、114と、容器床14、114から容器上端18、118まで延在する容器側壁16、116と、容器上端18、118に対する気密シールを与える蓋20、120とを有する容器12、112を備える。各コンテナ10、110の容器床14、114、容器側壁16、116、及び蓋20、120は、化学前駆体が収容される内部容積を画定する。各コンテナ10、110は、インレット管路22、122と、アウトレット管路24、124を更に備え、その両方は、それぞれ蓋20、120を貫通して延在し、インレット管路22、122は、流れ分配器26、126において容器12、112内部で終端する。インレット管路22、122は、不活性ガスが、流れ分配器26、126を通ってコンテナ10、110に流入するように構成され、これにより、キャリアガスを下向きに押し出し、容器12、112内部の化学前駆体の表面をかく乱し、その昇華を助ける。キャリアガスは、次いで昇華化学蒸気をコンテナのアウトレット24、124から押し出す。インプット管路22、122、及びアウトプット管路24、124は、インプットバルブ(図示せず)、及びアウトプットバルブ(図示せず)にそれぞれ接続され、コンテナ10、110に入るキャリアガスの流れ、及びコンテナ10、110を出る化学蒸気の流れを調整する。
【0029】
図1は、蓋表面に対して平行に延在し、インレット管路22と流体連通している2つの管状の中空部材26a、26bを有する十字形状の流れ分配器26の1つの実施態様を示す。流れ分配器26の中空部材26a、26bの各々は、蓋20の底面に対して60~90度の範囲の角度で中空部材26a、26bの各々の底部に位置する噴出口として複数の小さい開口部(
図1には示されていない)を有する。
図2は、シャワーヘッド側壁127cにより結合されたシャワーヘッド天井127aとシャワーヘッド床127bを含む中空ディスク「シャワーヘッド」形状を有する流れ分配器126の第二の実施態様を示す。十字形状流れ分配器26のように、シャワーヘッド流れ分配器126は、シャワーヘッド床127bに、蓋120の底面に対して60~90度の角度で位置する噴出口として複数の小さい開口部(
図2には示されていない)を含む。
図1及び2に示されるコンテナについての更なる詳細は、米国特許出願第2017/0327945号に開示され、その開示は、全体において参照により本開示に組み込まれる。
【0030】
しかし、
図1及び2に示されるコンテナによる実験は、これらの流れ分配器の設計が、コンテナのインレットからのキャリアガスをコンテナの容器床近傍の化学前駆体に衝突させることに対する困難性を有することを見出した。
図3Aは、複数の放射状に間隔を開けた噴出口を有する
図2に示されるシャワーヘッド流れ分配器126を有するコンテナ内部のガスの流れパターンを示し、一方で、
図3Bは、コンテナ内部の前駆体表面に付与されたキャリアガスのせん断応力を示す。検討と理解を容易にするために、
図3A及び3Bの青い部分は、ガスの下向きの流れを示し、橙色/赤色の部分は、ガスの上向きの流れを示し、緑色の部分は、ガスの水平又は遅い流れを示す。
図3Aに示されるように、シャワーヘッド流れ分配器の外側の噴出口は、コンテナから出るガスの上向きの流れによって閉塞し、一方で内側の噴出口は、ガスを押して底部により近づけることができ、それらは前駆体の表面に完全には衝突しない。結果として、
図3Bに示されるように、前駆体表面はほとんどかく乱されなかった。
【0031】
シャワーヘッド流れ分配器126の性能を向上させる試みのために、多くの代替的な設計が探索された。係る設計は、噴出口の孔サイズの変更、噴出口がキャリアガスを放出する角度の変更(
図4A、4B参照)、流れ分配器126内の噴出口の数の増加又は減少(
図5A、5B、及び6A、6B参照)、及び噴出口の孔パターンの変更(
図7A、7B)を含んでいた。
図4A~7Bは、4種の係る設計の不都合な結果を示す。見ることができるように、これらの設計はいずれも、噴出口から放出されたキャリアガスを、コンテナの底部に到達させなかった。
【0032】
成功は、本発明の例示的な実施態様を示す
図8~11に示されるコンテナ210により達成された。
図2に示される実施態様に関して上記に記載された要素と同等に又は実質的に対応する
図8~11に示される要素は、100だけ増加した対応する参照番号により示されている。以下で参照され、添付の図面で特定される任意の要素は、特に以下で示される場合を除き、前の図に示される対応する要素と同じか類似の構造及び機能を有すると考えるべきである。
【0033】
図8~9を参照すると、コンテナ210は、環状ディスク形状を有し、シャワーヘッド天井227a及びシャワーヘッド床227b、シャワーヘッド天井及び床227a、227bの外周を接続する外側シャワーヘッド側壁227c、並びにシャワーヘッド天井及び床227a、227bの内周を接続する内側シャワーヘッド側壁227dを含むシャワーヘッド流れ分配器226を備える。これは、化学蒸気をアウトプット管路224に到達させ、容器212から出すことができるチャンネルを与える流れ分配器226におけるポートホール228を形成する。1つの実施態様において、出口管路224は、ポートホール228の中心からオフセットされて、動作中の化学前駆体の跳ね返りを最小限にする。
【0034】
流れ分配器226は、蓋220の下方に下げられ、容器側壁216が、外側シャワーヘッド側壁227cから隔てられるように、容器212と軸方向に整列して配置される。流れ分配器226は、シャワーヘッド天井227aから蓋220の底面まで延在し、インレット管路222と流体連通している吸入管路230を含む。ポートホール228は、流れ分配器226において吸入管路230の内包を受け入れる形状で、アーチ状の「断面」(
図10のアーチ状セクション229を参照)を有する。
【0035】
図10を参照すると、シャワーヘッド床227bは、シャワーヘッドノズル又は噴出口232を画定する複数のアパーチャを含む。噴出口232は、2つの同心環状アレイ(噴出口232a~fの内側環状アレイ、噴出口232g~rの外側環状アレイ)において、シャワーヘッド床227bに配置される。1つの実施態様において、内側噴出口232a~fは、ポートホール228に近接して六角形パターンで配置され、一方で外側噴出口232g~rは、シャワーヘッド床227bの外周に近接して十二角形パターンで配置される。多くの、好ましくは全ての外側噴出口232g~rが、内側噴出口232a~fのうちの任意の1つからオフセットされている(すなわち、これらと半径方向に整列していない)ことに留意されたい。更に、
図10に示されるシャワーヘッド床227bが、外側噴出口232g~r:内側噴出口232a~fの2:1の比を有する一方、その比は、1.5:1ほど小さく、又は3:1ほど大きくてよく、依然として本発明の原理にしたがって機能する。
【0036】
1つの実施態様において、内側噴出口232a~fの各々は、その隣接する内側噴出口から実質的に等距離にあり(すなわち、内側噴出口232aは内側噴出口232bと内側噴出口232fから実質的に等距離にあり、内側噴出口232bは、内側噴出口232cと内側噴出口232aから実質的に等距離にある、などである)、別の実施態様において、外側噴出口232g~rの各々は、その隣接する外側噴出口から実質的に等距離にある(すなわち、外側噴出口232hは外側噴出口232iと外側噴出口232gから実質的に等距離にあり、外側噴出口232iは、外側噴出口232jと外側噴出口232hから実質的に等距離にある、などである)。本件において、「実質的に」は、測定される距離の精度が0.01又は1%以内であることを意味する。
【0037】
内側シャワーヘッド側壁227dの半径に対応するシャワーヘッド床の内周の半径R
iは、外側シャワーヘッド側壁227cの半径に対応する外周の半径R
oの距離の25%~50%である。内側噴出口232a~fの各々は、シャワーヘッド床227bの中心から半径距離R
1離れており、一方で外側噴出口232g~rの各々は、シャワーヘッドの中心から半径距離R
2離れている。内側噴出口232a~fの各々と、その隣接する噴出口の間の距離D
1は、0.90・R
1~1.10・R
1であり、一方で外側噴出口232g~rの各々と、その隣接する噴出口の間の距離D
2は、0.40・R
2~0.60・R
2である。より好ましくは、D
1はR
1±0.01インチとほぼ等しく、一方でD
2は0.45・R
2~0.55・R
2である。D
1は、内側噴出口232a~fの各組に亘っておおよそ同じであることが好ましく、D
2は、外側噴出口232g~rの各組に亘っておおよそ同じであることが好ましい。しかし、
図10において示されるように、内側噴出口232a~f及び外側噴出口232g~rの各組に亘って、それぞれD
1とD
2に幾らかの変化を有することが許容される。
【0038】
図10において見ることができるように、R
1はR
iより若干長く、一方でR
2はR
Oより若干短い。1つの実施態様において、R
1は、R
Oの40%~50%長さかつ、容器側壁216の内部半径の25%~45%(より好ましくは30%~35%)であり、一方でR
2はR
Oの80%~90%長さかつ、容器側壁216の内部半径の65%~85%(より好ましくは75%~80%)である。1つの実施態様において、容器側壁216の内部半径は4.45±0.01インチであり、R
O=4.00±0.01インチ、R
i=1.45±0.01インチ、R
1=1.80±0.01インチ、R
2=3.45±0.01インチである。
【0039】
流れ分配器226における噴出口232の各々は、蓋220に対して60°~90°の範囲の角度で垂直に下向きに向いており、0.0010インチ(0.0025cm)~0.5000インチ(1.27cm)、0.0025インチ(0.00635cm)~0.3000インチ(0.762cm)、又は0.0050インチ(0.0127cm)~0.2000インチ(0.508cm)の範囲の等価直径を有する。
【0040】
1つの実施態様において、噴出口は、シャワーヘッド床227bの内面からシャワーヘッド床227bの外面に向けて細くなるような形状であり、おおよそ0.0625インチ(0.159cm)の広い直径と0.0080インチの狭い直径を0.0002インチ(20.32mm±0.5mm)の精度で有する。
【0041】
前駆体の表面に衝突するように、噴出口232a~rの各々は、キャリアガスについて好ましくは50超、より好ましくは150超のレイノルズ数を達成するように設計される。レイノルズ数は、ノズル内部直径、噴出口チップ内の実際のガス速度、及びキャリアガスの密度をキャリアガスの動的粘度で除した数学的結果として規定される。これらの物理的特性を決定する際、コンテナヘッドスペース内の温度及び圧力が基準として用いられる。また、噴出口は、前駆体表面へのキャリアガスの可能な限り均一な衝突を達成するように設計される。
【0042】
図11は、コンテナ210を用いてそこから化学前駆体を抜き出す方法を示す。まず、キャリアガスは、インレット管路222を介してコンテナ210に導入され、吸入管路230を通って流れ分配器226内に移動する。キャリアガスは、次いで、キャリアガスをコンテナ210の容器床214に向ける噴出口232a~rを通して送られ、これにより、キャリアガスは、跳ね返りなく、前駆体表面をかく乱するのに十分な運動量で化学前駆体の表面に衝突する。前駆体は、次いで蒸気へと昇華し、その大部分は、次いでポートホール228を通ってアウトレット管路224に運ばれ、一方で、残りは外側シャワーヘッド側壁227cと容器側壁216の間を移動してアウトレット管路224に入る。
【0043】
図12A~B及び13A~Fは、上記の流れ分配器226を利用した結果を示す。
図12A及び12Bにおいて見ることができるように、流れ分配器226からの全ての噴流は、コンテナ210の容器床214に到達し、その中で化学前駆体の表面に高いせん断応力を与え、これにより、コンテナ210の化学利用率を増加させる。更に、
図13A~Fにおいて見ることができるように、流れ分配器226の化学利用性能は、前駆体の表面レベルの変化と一致する。より詳細には、コンテナ210が最大充填状態(
図13A及び13B参照)から半充填状態(
図13C及び13D参照)に移る場合、前駆体表面におけるせん断応力の変動は最小限であり、半充填状態から空の状態(
図13E及び13F参照)のせん断応力の変動は、従来技術のコンテナのものよりかなり良好である。
【0044】
容器を構築する材料は典型的にはステンレス鋼であるが、対象となる材料に対する前駆体の反応性に応じてその他の材料でも作ることができる。本開示で記載される装置を構築する材料は、1つ又はそれより多くの以下の特徴:腐食又は前駆体との反応を防止する化学適合性、使用される圧力及び減圧力を支持するのに十分な強度、並びに一般的に、使用するプロセス化学品及び/又は溶媒に応じて1mTorr~500mTorrで減圧を保つ密閉性を示す。コンテナは、前駆体にアクセスできるように1つ又は複数のバルブ及びポート及びセンサも含む。
【0045】
ある実施態様において、コンテナの1つ又はそれより多くは、コンテナの中または外側に設けることができるレベルセンシング装置を含む。レベルセンシング装置がコンテナの中に設けられる実施態様において、レベルセンシング機能は、超音波レベルセンサ、又は代替的にはフロートプローブを用いて実施される。その他のレベルセンシング技術としては、以下に限定されるものではないが、熱系レベルセンシング、差圧、離散及び連続超音波レベルセンシングの両方、容量性、光学及びマイクロ波インパルスレーダレベルセンシング、並びに/又はこれらの組み合わせが挙げられる。レベルセンシングはまた、リザーバの外側に設けることもできる。これらのレベルセンシングの種類としては、超音波、重量計/ロードセル、熱、X線/放射線、及び類似の技術が挙げられる。これらの技術は、測定の正確性はあまり正確ではない場合があるが、リザーバの内部に侵入しないという利点を有する。超音波による空状態であることのセンシングは、輸送ラインに取り付けられ、締め付けられ、または埋め込まれた超音波センサを使用して行うことができ、交換可能なバルクタンク内に化学品が残っていない場合に、補充装置が正確な測定をできるようにして、エンドユーザー顧客が大部分のプロセス化学品を使い尽くすことができるようにする。
【0046】
プロセス前駆体を、金属ハロゲン化物、金属β‐ジケトネート、金属β‐ジケトエステラート、金属β‐ケトイミナート、金属β‐ジイミナート、金属アルキル、金属カルボニル、アルキル金属カルボニル、金属シクロペンタジエニル、金属シクロペンタジエニルカルボニル、金属ピロリル、金属イミダゾリル、金属アミジナート、及び金属アルコキシドからなる群から選択され、配位子が、金属原子と錯形成する単座配位子、二座配位子、及び多座配位子であることができ、金属が、以下に制限されないが、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Sm、Tb、Er、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Fe、Co、Ni、Ru、Ir、Rh、Cu、Al、Sn、Pb、Sb、Bi、Te、Cr、Mo及びWを含む周期表の2族~15族の元素から選択される、少なくとも1種の金属錯体から選択することができる。
【0047】
本開示に記載される全ての例及び条件付きの言語は、本発明の原理及び当該技術を更に前進させる際に本発明者らによって与えられた概念を読み手が理解するのを助ける教育的目的を意図している。そのようなものとして、これらは、係る具体的に記載された例及び条件に制限されることなく解釈されるべきである。更に、本発明の原理、側面及び実施態様を記載する本開示の全ての記述、並びにその具体的な例は、その構造的及び機能的均等物の両方を包含することを意図している。加えて、係る均等物は、現在知られている均等物、及び将来開発される均等物の両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を発揮する任意の開発された要素を包含することが意図される。
【0048】
本開示に記載の実施態様は、単なる例示であり、当業者は、本発明の精神及び原理から逸脱することなく多くの変更及び改変を行うことができることを理解されたい。係る変更及び改変は全て、以下の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲内に含まれることが意図される。