IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特許6999714シャロートレンチアイソレーション化学機械研磨スラリー
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】シャロートレンチアイソレーション化学機械研磨スラリー
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20220111BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20220111BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20220111BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550D
C09G1/02
B24B37/00 H
H01L21/304 622D
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020016775
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2020139144
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2020-03-17
(31)【優先権主張番号】62/810,722
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/749,625
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【弁理士】
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ディー ローズ
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ホンチュン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ ピー.ムレラ
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0077419(US,A1)
【文献】特開2016-175949(JP,A)
【文献】特開2015-129217(JP,A)
【文献】特開2017-110219(JP,A)
【文献】特表2016-538357(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0152309(US,A1)
【文献】米国特許第05876490(US,A)
【文献】米国特許第06964923(US,B1)
【文献】米国特許第07247082(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
C09G 1/02
B24B 37/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セリアコート無機酸化物粒子;
ポリソルベート型界面活性剤の少なくとも1種;
同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子の少なくとも1種;
水溶性溶媒
を含み、
3~10から選択されるpHを有する、STI化学機械研磨組成物。
【請求項2】
さらに、バイオサイド及びpH調整剤の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項3】
前記セリアコート無機酸化物粒子が、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記粒子が、0.01質量%~20質量%からの範囲であり;
前記水溶性溶媒が、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項4】
前記ポリソルベート型界面活性剤の少なくとも1種が、0.0001質量%~2.0質量%から選択される濃度を有し;
前記同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子の少なくとも1種が、0.001質量%~2.0質量%からなる群から選択される濃度を有する、請求項1又は2に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項5】
前記ポリソルベート型界面活性剤の少なくとも1種が、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項6】
前記同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子が、
【化1】
(式中、nは、2~5,000から選択され;R1、R2及びR3基は、同じか異なる原子又は官能基であることができ、水素;アルキル基C2m+1(mは、1~12から選択される。);アルコキシ;1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基;置換有機スルホン酸;置換有機スルホン酸塩;置換有機カルボン酸;置換有機カルボン酸塩;有機カルボン酸エステル;有機アミン基;及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化2】
(式中、nは、2~5,000から選択され;R1及びR2の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。);
【化3】
(式中、R、R、R、R、及びR基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R、R、R及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化4】
(式中、R、R及びR基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R、及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化5】
(式中、R、R10、R11、R12、R13及びR14基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R10、R11、R12、R13及びR14のうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化6】
(式中、R1~R5のうちの少なくとも2つの基は水素原子であり;
R1~R5のうちの少なくとも1つのRは、(i):
【化7】
(式中、m又はnは、1~5から独立して選択され;
、R、R、及びRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。)に示される構造を有するポリオール分子単位であり;
(f)においてR1~R5の各基の残りは、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及び(ii):
【化8】
(式中、構造(ii)は、(ii)におけるR11~R14から1つのRを除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合し;
10~R14の各基の残りは、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。)に示される構造を有する六員環ポリオールからなる群から独立して選択される。);
及びこれらの組み合わせ
からなる群から選択される一般分子構造を有する、請求項1又は2に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項7】
前記同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子が、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-マンノース、L-マンノース、meso-エリトリトール、β-ラクトース、アラビノース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項8】
前記同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子が、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D-(-)-フルクトース、β-ラクトース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項9】
セリアコートコロイダルシリカ粒子;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリソルベート型界面活性剤;D-ソルビトール、ズルシトール、マルチトール、ラクチトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子、並びに水を含む、請求項1又は2に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項10】
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル--イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有するバイオサイド;及び
酸性のpH条件について、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸及びこれらの混合物からなる群から選択されるpH調節剤;又はアルカリ性pH条件について、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機水酸化第4級アンモニウム化合物、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるpH調節剤
の少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項11】
(1)半導体基材を与えること;
(2)研磨パッドを与えること;
(3)セリアコート無機酸化物粒子;
ポリソルベート型界面活性剤の少なくとも1種;
同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子の少なくとも1種;
水溶性溶
含むSTI化学機械研磨(CMP)組成物であって;
前記組成物が2~12から選択されるpHを有し、;
前記同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子が、
【化9】
(式中、nは、2~5,000から選択され;R1、R2及びR3基は、同じか異なる原子又は官能基であることができ、水素;アルキル基C2m+1(mは、1~12から選択される。);アルコキシ;1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基;置換有機スルホン酸;置換有機スルホン酸塩;置換有機カルボン酸;置換有機カルボン酸塩;有機カルボン酸エステル;有機アミン基;及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化10】
(式中、nは、2~5,000から選択され;R1及びR2の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。);
【化11】
(式中、R、R、R、R、及びR基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R、R、R及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化12】
(式中、R、R及びR基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R、及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化13】
(式中、R、R10、R11、R12、R13及びR14基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R10、R11、R12、R13及びR14のうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化14】
(式中、R1~R5のうちの少なくとも2つの基は水素原子であり;
R1~R5のうちの少なくとも1つのRは、(i):
【化15】
(式中、m又はnは、1~5から独立して選択され;
、R、R、及びRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。)に示される構造を有するポリオール分子単位であり;
(f)においてR1~R5の各基の残りは、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及び(ii):
【化16】
(式中、構造(ii)は、(ii)におけるR11~R14から1つのRを除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合し;
10~R14の各基の残りは、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。)に示される構造を有する六員環ポリオールからなる群から独立して選択される。);
及びこれらの組み合わせ
からなる群から選択される一般分子構造を有する、STI化学機械研磨(CMP)組成物を与えること;
(4)半導体基材の表面を研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させること;及び
(5)二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を研磨することを含み;
酸化ケイ素膜が、化学気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化ケイ素膜からなる群から選択される、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材の化学機械研磨(CMP)の方法。
【請求項12】
前記組成物が、さらにバイオサイド及びpH調整剤の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記セリアコート無機酸化物粒子が、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記水溶性溶媒が、脱イオン(DI)水、蒸留水及びアルコール有機溶媒からなる群から選択され;
前記ポリソルベート型界面活性剤の少なくとも1種が、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子が、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-マンノース、L-マンノース、meso-エリトリトール、β-ラクトース、アラビノース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記化学機械研磨(CMP)組成物が、
セリアコートコロイダルシリカ粒子;
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリソルベート型界面活性剤;
D-ソルビトール、ズルシトール、マルチトール、ラクチトール及びこれらの組み合わせからなる群から選択される同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子;及び

を含み;
前記酸化ケイ素膜がSiO膜である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
前記化学機械研磨(CMP)組成物が、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル--イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有するバイオサイド;及び
酸性のpH条件について、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸及びこれらの混合物からなる群から選択されるpH調節剤;又はアルカリ性pH条件について、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機水酸化第4級アンモニウム化合物、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるpH調節剤
の少なくとも1種を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体基材がさらに窒化ケイ素表面を含み;酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性が、30より大きい、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項17】
a.半導体基材;
b.セリアコート無機酸化物粒子;
ポリソルベート型界面活性剤の少なくとも1種;
同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子の少なくとも1種;
水溶性溶
含むSTI化学機械研磨(CMP)組成物であって;
前記組成物が、2~12から選択されるpHを有し;
前記同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子が、
【化17】
(式中、nは、2~5,000から選択され;R1、R2及びR3基は、同じか異なる原子又は官能基であることができ、水素;アルキル基C2m+1(mは、1~12から選択される。);アルコキシ;1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基;置換有機スルホン酸;置換有機スルホン酸塩;置換有機カルボン酸;置換有機カルボン酸塩;有機カルボン酸エステル;有機アミン基;及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化18】
(式中、nは、2~5,000から選択され;R1及びR2の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。);
【化19】
(式中、R、R、R、R、及びR基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R、R、R及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化20】
(式中、R、R及びR基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R、及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化21】
(式中、R、R10、R11、R12、R13及びR14基は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から各々独立して選択され;R、R10、R11、R12、R13及びR14のうちの少なくとも2つの基は水素原子である。);
【化22】
(式中、R1~R5のうちの少なくとも2つの基は水素原子であり;
R1~R5のうちの少なくとも1つのRは、(i):
【化23】
(式中、m又はnは、1~5から独立して選択され;
、R、R、及びRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され;R、R、R、及びRのうちの少なくとも2つの基は水素原子である。)に示される構造を有するポリオール分子単位であり;
(f)においてR1~R5の各基の残りは、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及び(ii):
【化24】
(式中、構造(ii)は、(ii)におけるR11~R14から1つのRを除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合し;
10~R14の各基の残りは、水素、アルキル、アルコキシ、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。)に示される構造を有する六員環ポリオールからなる群から独立して選択される。);
及びこれらの組み合わせ
からなる群から選択される一般分子構造を有する、STI化学機械研磨(CMP)組成物;
c.研磨パッドを含み;
酸化ケイ素膜が、化学気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)又はスピンオン酸化ケイ素膜からなる群から選択され;
酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面は研磨パッド及び化学機械研磨組成物に接している、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材の化学機械研磨(CMP)の装置。
【請求項18】
前記組成物が、さらにバイオサイド及びpH調整剤の少なくとも1つを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記セリアコート無機酸化物粒子が、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア粒子及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記水溶性溶媒が、脱イオン(DI)水、蒸留水及びアルコール有機溶媒からなる群から選択され;
前記ポリソルベート型界面活性剤の少なくとも1種が、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;
前記同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子が、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-マンノース、L-マンノース、meso-エリトリトール、β-ラクトース、アラビノース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
前記化学機械研磨(CMP)組成物が、
セリアコートコロイダルシリカ粒子;
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリソルベート型界面活性剤;
D-ソルビトール、ズルシトール、マルチトール、ラクチトール及びこれらの組み合わせからなる群から選択される同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子;及び

を含み;
前記酸化ケイ素膜がSiO膜である、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項21】
前記化学機械研磨(CMP)組成物が、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル--イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有するバイオサイド;及び
酸性のpH条件について、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸及びこれらの混合物からなる群から選択されるpH調節剤;又はアルカリ性pH条件について、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機水酸化第4級アンモニウム化合物、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるpH調節剤
の少なくとも1種を含む、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項22】
前記半導体基材がさらに窒化ケイ素表面を含み;
酸化ケイ素:窒化ケイ素の除去選択性が、30より大きい、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項23】
研磨組成物を用いて2000Å/minの酸化ケイ素ブランケットウェハ除去速度を得るための下向き力DF1(psi)を決定すること;
研磨組成物を用いてDF1+3.0psiの下向き力における窒化ケイ素ブランケットウェハ除去速度を決定すること;
酸化物:窒化物膜のDFオフセット選択性を計算すること;
≧25のDFオフセット選択性を有する化学添加剤を選択することを含み;
DFオフセット選択性=2000Å/min/DF1+3psiにおけるSiN RR(Å/min)である、酸化物及び窒化物膜を含有するパターン化ウェハの研磨に関し、化学機械研磨組成物のパターン化ウェハ研磨性能を予測する方法。
【請求項24】
前記酸化物膜が酸化ケイ素膜であり、窒化物膜が窒化ケイ素膜である、請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件は、2019年2月26日に出願された米国仮出願第62/810,722号の利益を主張する。出願第62/798,638号の開示は、参照によって本開示に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
本発明の背景
本発明は、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスのためのシャロートレンチアイソレーション(STI)化学機械平坦化(CMP)組成物及び化学機械平坦化方法(CMP)に関する。
【0003】
マイクロエレクトロニクスデバイスの製造において、含まれる重要な工程は、研磨、特に選択された材料を回収し、及び/又は構造を平坦化するための化学機械研磨に関する表面の研磨である。
【0004】
例えば、SiN層は、研磨停止層として働くように、SiO層の下に堆積する。係る研磨停止の働きは、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造において特に重要である。選択性は、二酸化ケイ素(略して酸化ケイ素)研磨速度と窒化物研磨速度の比として特徴的に表現される。例は、窒化ケイ素(SiN)と比較した二酸化ケイ素(SiO)の増加した研磨選択率である。
【0005】
パターン化STI構造の全体的な平坦化において、SiN膜除去速度の低減及び酸化物トレンチディッシングの低減は、考慮される2つの重要な要素である。より低いトレンチ酸化物損失は、隣接したトランジスタ間に漏れる電流を防止する。ダイにわたる(ダイ内の)不均一なトレンチ酸化物損失はトランジスタ性能及びデバイス歩留まりに影響する。深刻なトレンチ酸化物損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、トランジスタの絶縁を悪くし、デバイス障害をもたらす。したがって、STI CMP研磨組成物において酸化物トレンチディッシングの低減により、トレンチ酸化物損失を低減することは重要である。
【0006】
米国特許第5,876,490号は、研磨材粒子を含有し、法線応力効果を示す研磨組成物を開示する。スラリーはさらに非研磨粒子を含有し、研磨材粒子が高台で高い研磨速度を維持する一方で、凹部(リセス)で低減された研磨速度をもたらす。これは改善された平坦化をもたらす。より具体的には、スラリーは酸化セリウム粒子及び高分子電解質を含み、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨応用に用いることができる。
【0007】
米国特許第6,964,923号は、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨応用のための酸化セリウム粒子及び高分子電解質を含有する研磨組成物を教示する。用いられる高分子電解質は、米国特許第5,876,490号におけるものと類似したポリアクリル酸の塩を含む。セリア、アルミナ、シリカ及びジルコニアは研磨材として用いられる。係る示された高分子電解質の分子量は300~20,000であり、ただし全体で<100,000である。
【0008】
米国特許第6,616,514号は、化学機械研磨により、窒化ケイ素に優先して物品の表面から第1の物質を除去するのに使用される化学機械研磨スラリーを開示する。この発明による化学機械研磨スラリーは、研磨材と、水性媒体と、プロトンが解離しない有機ポリオールとを含み、前記有機ポリオールは、水性媒体中で解離性でない少なくとも3つのヒドロキシル基を有する化合物、又は水性媒体中で解離性でない少なくとも3つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のモノマーから形成されたポリマーを含む。
【0009】
米国特許第6,984,588号は、3超のpHにおいて溶解性セリウム化合物を含む化学機械研磨組成物、並びに集積回路及び半導体の製造中にシングルステップにおいて窒化ケイ素膜層に優先して選択的に酸化ケイ素過充填を研磨する方法を開示する。
【0010】
米国特許第6,544,892号は、研磨パッドと、水と、研磨材粒子と、カルボン酸官能基とアミン及びハロゲン化物から選択された第2の官能基の両方を有する有機化合物とを用いて表面を研磨することを含む化学機械研磨により、物品の表面から窒化ケイ素に優先して二酸化ケイ素を除去する方法を開示する。
【0011】
米国特許第7,247,082号は、研磨材、pH調節剤、選択比の向上剤、及び水を含む研磨組成物であって、研磨組成物の質量に基づいて、研磨材が0.5~30質量%の量で含有され、pH調節剤が0.01~3質量%の量で含有され、選択比の向上剤が0.3~30質量%の量で含有され、水が45~99.49質量%の量で含有され、向上剤がメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、6-(ジメチルアミノ)-1-ヘキサノール、ビス(3-アミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ピペラジン、及びピペリジンからなる群から選択される1種又はそれより多くの化合物である研磨組成物を開示する。
【0012】
米国特許第8,778,203号は、基材の表面上の標的材料を選択的に除去する方法であって、標的材料及び非標的材料を含む基材を与える工程;所定の溶存酸素濃度を達成するように研磨溶液に酸素を溶解させる工程であって、研磨溶液は約5~約11のpHを有し、研磨溶液は複数の研磨材シリカ粒子を含み、前記複数の研磨材シリカ粒子の少なくとも幾らかは、n-(トリメトキシシリルプロピル)イソチオロニウムクロリドで官能化されている工程;前記研磨溶液に連続的に実質的に純粋な酸素を適用することにより、約8.6mg/L~約16.6mg/Lにて、又は約8.6mg/L~約16.6mg/Lで前記研磨溶液の所定の溶存酸素濃度を維持する工程;研磨パッド及び表面の間に研磨溶液を配置する工程;表面に研磨パッドを適用する工程;及び選択的に、標的材料の所定厚さを除去する工程を含み;研磨溶液の溶存酸素含有量を変えることにより、除去工程中の標的材料対非標的材料の除去比を変える方法を開示する。
【0013】
米国特許第6,914,001号は以下を含む化学的機械研磨方法を開示する:半導体ウェハの表面と研磨パッドの表面とを接触させること;研磨パッドの表面及び半導体ウェハの表面間のインターフェイスに、研磨材粒子と、除去速度促進剤と、異なる第1及び第2のパッシベーション剤とを含有する水溶液を供給すること、ただし第1のパッシベーション剤はアニオン性、カチオン性又は非イオン性界面活性剤である;及び研磨パッドの表面に対して半導体ウェハの表面を回転させて、半導体ウェハ上の酸化物材料を除去すること。
【0014】
しかしながら、これらの先に開示されたシャロートレンチアイソレーション(STI)研磨組成物は、高い酸化物対窒化物選択性とともに、SiN膜除去速度抑制及び酸化物トレンチディッシングの低減、及び研磨されたパターン化ウェハ上のより均一な酸化物トレンチディッシングの重要性に対処しなかった。また、これらの先の開示されたシャロートレンチアイソレーション(STI)研磨組成物は、ブランケットウェハ研磨結果を用いてパターン化ウェハ研磨性能を予測する方法についての適切な方法を提供しなかった。
【0015】
したがって二酸化ケイ素の高い除去速度及び窒化ケイ素に対する二酸化ケイ素の高選択率に加えて、STI化学機械研磨(CMP)プロセスにおいて、低減されたSiN膜除去速度及び低減された酸化物トレンチディッシング及びパターン化ウェハの研磨時の種々のサイズの酸化物トレンチ特徴にわたるより均一な酸化物トレンチディッシングを与えることができ、かつ、ブランケットウェハ研磨結果を用いてパターン化ウェハ研磨性能を予測する方法を与えることができるSTI化学機械研磨の組成物、方法及び装置に対する分野内の必要が依然としてあることは、上記から容易に明らかになるはずである。
【0016】
発明の概要
本発明は抑制されたSiN膜除去速度及び高いTEOS:SiN選択性及び研磨されたパターン化ウェハ上の低減された酸化物トレンチディッシングのためのSTI CMP研磨スラリー又は組成物を提供する。加えて、組成物は、ブランケット結果からのパターン化性能のより良好な予測のための計量によって酸化物対窒化物選択性を改善する。
【0017】
本発明のSTI CMP研磨組成物は、酸性、中性及びアルカリ性のpH条件を含む広いpH範囲でのシャロートレンチアイソレーション(STI)CMP応用のための化学機械研磨(CMP)組成物において、SiN膜除去速度抑制剤及び酸化物トレンチディッシング低減剤として化学添加剤を導入することにより、高い酸化物対窒化物選択性を提供する。
【0018】
シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP応用のための開示した化学機械研磨(CMP)組成物は、セリアコート無機酸化物研磨材粒子と、酸化物トレンチディッシング低減剤及び窒化物抑制剤として適切な化学添加剤とを用いる独特の組み合わせを有する。
【0019】
本発明は、高い下向き力でSiN膜を研磨し、相対的に低い下向き力で酸化ケイ素膜を研磨するのに用いられる方法及び装置をさらに提供し、それは、実際のSTI CMPプロセス応用のための望ましい酸化ケイ素膜除去速度を依然として与える。方法及び装置は、適切な化学添加剤がSiN除去速度抑制剤として用いられた一方で、ブランケットウェハ研磨結果を用いてパターン化ウェハ研磨性能を予測する有効な方法であると分かった。
【0020】
1つの側面において、:
セリアコート無機酸化物粒子;
2つの異なる群:ソルビタンのエトキシル化によって形成されたポリソルベート型界面活性剤を含む非イオン性有機界面活性剤分子、及び同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子から独立して選択される2種の化学添加剤;
水溶性溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤を含み;
2~12、好ましくは3~10、より好ましくは4~9、最も好ましくは4.5~7.5のpHを有するSTI CMP研磨組成物が提供される。
【0021】
セリアコート無機酸化物粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア、又は任意の他のセリアコート無機酸化物粒子が挙げられる。
【0022】
水溶性溶媒としては、以下に制限されるものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒が挙げられる。
【0023】
化学添加剤は、SiN膜除去速度抑制剤及び酸化物トレンチディッシング低減剤として機能する。
【0024】
化学添加剤の第1の群は、ソルビタンのエトキシル化によって形成されたポリソルベート型界面活性剤を含む非イオン性有機界面活性剤分子である。
【0025】
第1の群の化学添加剤の幾つかの例としては、以下に制限されるものではないが、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどが挙げられる。
【0026】
化学添加剤の第2の群は、同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子である。
【0027】
化学添加剤の第2の群としては、制限されるものではないが、以下の構造を有する非イオン性有機分子が挙げられる。
【0028】
1つの実施態様において、化学添加剤の第2の群は、以下に示される一般構造(a)を有する:
【化1】
【0029】
nは、2~5,000、好ましくは3~12、より好ましくは4~6から選択される。
【0030】
R1、R2、及びR3基は、同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0031】
R1、R2、及びR3は、水素、アルキル基C2m+1(mは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である。);アルコキシ;1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基;置換有機スルホン酸;置換有機スルホン酸塩;置換有機カルボン酸;置換有機カルボン酸塩;有機カルボン酸エステル;有機アミン基;及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ;R基のうちの少なくとも2つ又はそれより多くは水素原子である。
【0032】
別の実施態様において、化学添加剤の第2の群は以下に示される一般構造を有する:
【化2】
【0033】
この構造において、1つの-CHO官能基は末端官能基として分子の1つの端部に位置する;nは、2~5,000、3~12、好ましくは4~7から選択される。
【0034】
R1及びR2の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。
【0035】
さらに別の実施態様において、第2の群の化学添加剤は、(c)、(d)、(e)及びこれらの組み合わせを含む群から選択される分子構造を有する:
【化3】
【0036】
これらの一般分子構造において;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、及びR14は同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0037】
R基の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ;R基のうちの少なくとも2つ又はそれより多くは水素原子である。
【0038】
構造(c)及び(e)については、好ましくは、R基のうちの4つ又はそれより多くは水素原子である。
【0039】
さらに別の実施態様において、第2の群の化学添加剤は、一般分子構造(f)を有する。
【化4】
【0040】
一般分子構造(f)では、R1~R5の基における少なくとも2つ、又は少なくとも4つのRが水素原子である。したがって、化学添加剤(f)は、分子構造中に少なくとも2つ、又は少なくとも4つのヒドロキシル官能基を含有する。
【0041】
構造(f)において、一般分子構造(f)におけるR1~R5の基における少なくとも1つのRは、(i)示される構造を有するポリオール分子単位である:
【化5】
【0042】
n及びmは同じでも異なってもよい。m又はnは、1~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3、最も好ましくは1~2から独立して選択される。
【0043】
~R同じか異なる原子又は官能基であることができ;R、R、R、及びRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、R基のうちの少なくとも2つは水素原子である。
【0044】
(f)におけるR1~R5の基におけるRの残りの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、(ii):
【化6】
(式中、構造(ii)は、(ii)におけるR11~R14から1つのRを除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合し、残りのR10~R14の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。)に示される構造を有する六員環ポリオールからなる群から独立して選択することができる。
【0045】
化学添加剤の第2の群の例は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-マンノース、L-マンノース、meso-エリトリトール、β-ラクトース、アラビノース、及びこれらの組み合わせを含む。好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D-(+)-マンノース、β-ラクトース、及びこれらの組み合わせである。より好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D-(-)-フルクトース、β-ラクトース及びこれらの組み合わせである。
【0046】
化学添加剤の第2の群の幾つかの例の分子構造は、以下に示される:
【化7】
【0047】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)の方法が提供される。
【0048】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)の装置が提供される。
【0049】
研磨される酸化ケイ素膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化ケイ素膜であることができる。
【0050】
上に開示された基材は、窒化ケイ素表面をさらに含むことができる。SiO:SiNの除去選択性は、窒化ケイ素より30より大きく、好ましくは50より大きく、より好ましくは70より大きい。
【0051】
さらに別の側面において、
CMP組成物を用いて2000Å/分の酸化物ブランケットウェハ除去速度を得るための下向き力、Down Force1(DF1)(psi)を決定すること;
CMP組成物を用いてDF1+3.0psiの下向き力における窒化ケイ素ブランケットウェハ除去速度を決定すること;
酸化物:窒化ケイ素膜のDFオフセット選択性を計算すること;
≧25、好ましくは≧35、又はより好ましくは≧45のDFオフセット選択性を有する化学添加剤を選択することを含み;
DFオフセット選択性=2000Å/min/DF1+3psiにおけるSiN除去速度(RR)(Å/min)である、化学機械研磨組成物のパターン化ウェハ研磨性能を予測する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0052】
発明の詳細な説明
パターン化STI構造の全体的な平坦化において、SiN除去速度の抑制、及び種々のサイズの酸化物トレンチ特徴にわたる酸化物トレンチディッシングの低減は、考慮される重要な因子である。
【0053】
より低いトレンチ酸化物損失は、隣接したトランジスタ間に漏れる電流を防止する。ダイにわたる(ダイ内の)不均一トレンチ酸化物損失はトランジスタ性能及びデバイス歩留まりに影響する。深刻なトレンチ酸化物損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、トランジスタの絶縁を悪くし、デバイス障害をもたらす。したがって、STI CMP研磨組成物において、酸化物トレンチディッシングを低減することによってトレンチ酸化物損失を低減することは重要である。
【0054】
本発明は、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP応用のための化学機械研磨(CMP)組成物に関する。
【0055】
より具体的には、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP応用のための開示した化学機械研磨(CMP)組成物は、セリアコート無機酸化物研磨材粒子と、酸化物トレンチディッシング低減剤及び窒化物除去速度抑制剤として化学添加剤の適切な2つの群とを用いる独特の組み合わせを有する。
【0056】
化学添加剤の第1の群は、ソルビタン等のエトキシル化によって形成されたポリソルベート型界面活性剤を含む非イオン性有機界面活性剤分子である。
【0057】
第1の群の添加剤におけるエトキシレート単位繰り返し数は変えることができ、これにより、脱イオン水における異なるHLB値及び異なる溶解度が提供される。
【0058】
繰り返しエトキシレート単位の長さに応じて、Millipore Sigmaによって提供される有機界面活性剤のTween(登録商標)型は、学添加剤の第1の群と考えられ、用いられる。
【0059】
化学添加剤の第2の群としては、以下に制限されるものではないが、同じ分子上に複数のヒドロキシル官能基を有する有機分子が挙げられる。
【0060】
化学添加剤の第2の群は、同じ分子中に2つ又はそれより多くのヒドロキシル官能基を有する非イオン性分子である。
【0061】
STI CMP研磨組成物における両方の化学添加剤の使用は、高い酸化ケイ素膜除去速度、低いSiN膜除去速度、高く、調節可能な酸化ケイ素:SiN選択性、並びにパターン化ウェハ研磨時の低減された酸化物トレンチディッシング及び改善された過研磨ウィンドウ安定性の利点を提供する。
【0062】
1つの側面において、
セリアコート無機酸化物粒子;
2つの異なる群:ソルビタンのエトキシル化によって形成されたポリソルベート型界面活性剤を含む非イオン性有機界面活性剤分子;及び同じ分子中に複数のヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子から独立して選択される2種の化学添加剤;
水溶性溶媒;及び
任意選択的に、
バイオサイド;及び
pH調節剤を含み;
2~12、好ましくは3~10、より好ましくは4~9、最も好ましくは4.5~7.5のpHを有するSTI CMP研磨組成物が提供される。
【0063】
セリアコート無機酸化物粒子としては、以下に制限されるものではないが、セリアコートコロイダルシリカ、セリアコートアルミナ、セリアコートチタニア、セリアコートジルコニア、又は任意の他のセリアコート無機酸化物粒子が挙げられる。
【0064】
本開示に開示した発明におけるこれらのセリアコート無機酸化物粒子の粒子サイズは、10nm~1,000nmの範囲であり、好ましい平均粒子がサイズは20nm~500nmの範囲であり、より好ましい平均粒子サイズは50nm~250nmの範囲である。
【0065】
これらのセリアコート無機酸化物粒子の濃度は0.01質量%~20質量%の範囲であり、好ましい濃度は0.05質量%~10質量%の範囲であり、より好ましい濃度は0.1質量%~5質量%の範囲である。
【0066】
好ましいセリアコート無機酸化物粒子はセリアコートコロイダルシリカ粒子である。
【0067】
水溶性溶媒としては、以下に制限されるものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水、及びアルコール有機溶媒が挙げられる。
【0068】
好ましい水溶性溶媒はDI水である。
【0069】
STI CMP組成物は、0.0001質量%~0.05質量%;好ましくは0.0005質量%~0.025質量%、より好ましくは0.001質量%~0.01質量%の範囲のバイオサイドを含有することができる。
【0070】
バイオサイドとしては、以下に制限されるものではないが、Dupont/Dow Chemical Co.からのKathonTM、KathonTCG/ICP II、Dupont/Dow Chemical Co.からのBiobanが挙げられる。それらは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0071】
STI CMP組成物は、0質量%~1質量%;好ましくは0.01質量%~0.5質量%;より好ましくは0.1質量%~0.25質量%のpH調節剤を含有する。
【0072】
酸性又は塩基性のpH調節剤を用いて、最適化されたpH値にSTI研磨組成物を調節することができる。
【0073】
pH調節剤としては、以下に制限されるものではないが、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機又は有機酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0074】
pH調節剤としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機水酸化第4級アンモニウム化合物、有機アミン、及びよりアルカリ性の方向に向けてpHを調節するのに用いることができる他の化学試薬等の塩基性のpH調節剤も挙げられる。
【0075】
繰り返しエトキシレート単位の長さに応じて、化学添加剤の第1の群はとしては、以下に制限されるものではないが、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなどが挙げられる。
【0076】
第1の群の添加剤におけるエトキシレート単位繰り返し数は変えることができ、これにより、脱イオン水における異なるHLB値及び異なる溶解度が提供される。
【0077】
Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、Tween(登録商標)40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、Tween(登録商標)60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート)、Tween(登録商標)65(ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート)、Tween(登録商標)80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、及びTween(登録商標)85(ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート)等のMillipore Sigmaによって提供される有機界面活性剤のTween(登録商標)型は、STI CMP研磨組成物において化学添加剤の第1の群と考えられ、用いられる。
【0078】
化学添加剤の第2の群としては、制限されるものではないが、以下の構造及び組み合わせが挙げられる。
【0079】
1つの実施態様において、化学添加剤の第2の群は以下に示される一般構造(a)を有する:
【化8】
【0080】
nは、2~5,000、好ましくは3~12、より好ましくは4~6から選択される。
【0081】
R1、R2、及びR3基は、同じか異なる原子又は官能基であることができる。R基のうちの少なくとも2つは水素原子である。
【0082】
R1、R2、及びR3は、水素、アルキル基C2m+1(mは1から12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である。);アルコキシ;1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基;置換有機スルホン酸;置換有機スルホン酸塩;置換有機カルボン酸;置換有機カルボン酸塩;有機カルボン酸エステル;有機アミン基;及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。
【0083】
別の実施態様において、化学添加剤の第2の群は以下に示される一般構造を有する:
【化9】
【0084】
この構造において、1つの-CHO官能基は末端官能基として分子の1つの端部に位置し;nは、2~5,000、3~12、好ましくは4~7から選択される。
【0085】
R1及びR2の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができる。
【0086】
さらに別の実施態様において、第2の群の化学添加剤は、(c)、(d)、(e)及びこれらの組み合わせを含む群から選択される分子構造を有する:
【0087】
これらの一般分子構造において;R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、及びR14は同じか異なる原子又は官能基であることができる。
【0088】
R基の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン基、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択することができ;R基のうちの少なくとも2つ又はそれより多くは水素原子である。
【化10】
【0089】
構造(c)及び(e)については、好ましくは、R基のうちの4つ又はそれより多くは水素原子である。
【0090】
さらに別の実施態様において、第2の群の化学添加剤は、一般分子構造(f)を有する。
【化11】
【0091】
一般分子構造(f)では、R1~R5の基における少なくとも2つ、又は少なくとも4つのRが水素原子である。したがって、化学添加剤(f)は、分子構造中に少なくとも2つ、又は少なくとも4つのヒドロキシル官能基を含有する。
【0092】
構造(f)において、一般分子構造(f)中のR1~R5の基における少なくとも1つのRは、(i)に示される構造を有するポリオール分子単位である:
【化12】
【0093】
n及びmは同じでも異なってもよい。m又はnは、1~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3、最も好ましくは1~2から独立して選択される。
【0094】
~Rは、同じか異なる原子又は官能基であることができ;R、R、R、及びRの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸、置換有機スルホン酸塩、置換有機カルボン酸、置換有機カルボン酸塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、R基のうちの少なくとも2つは水素原子である。
【0095】
(f)におけるR1~R5の基におけるRの残りの各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、(ii):
【化13】
(式中、構造(ii)は、(ii)におけるR11~R14から1つのRを除去することにより、酸素炭素結合を介して構造(f)に結合し、残りのR10~R14の各々は、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又はそれより多くのヒドロキシル基を有する有機基、置換有機スルホン酸又は塩、置換有機カルボン酸又は塩、有機カルボン酸エステル、有機アミン、及びこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される。)に示される構造を有する六員環ポリオールからなる群から独立して選択することができる。
【0096】
好ましい化学添加剤の第2の群は、同じ非イオン性有機分子中に少なくとも2つ又はそれより多くのヒドロキシル基を含有する。
【0097】
化学添加剤の第2の群の例は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、リビトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-マンノース、L-マンノース、meso-エリトリトール、β-ラクトース、アラビノース、及びこれらの組み合わせを含む。好ましい化学添加剤はマルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、スクロース、リボース、イノシトール、グルコース、D-(+)-マンノース、β-ラクトース、及びこれらの組み合わせである。より好ましい化学添加剤はマルチトール、ラクチトール、マルトトリイトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D-(-)-フルクトース、β-ラクトース及びこれらの組み合わせである。
【0098】
化学添加剤の第2の群の幾つかの例の分子構造は、以下に示される:
【化14】
【0099】
STI CMP組成物は、0.001質量%~2.0質量%、好ましくは0.0025質量%~1.0質量%、より好ましくは0.05質量%~0.5質量%の化学添加剤の第2の群を含有する。
【0100】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)の方法が提供される。
【0101】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)の装置が提供される。
【0102】
研磨される酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)、又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0103】
上に開示された基材は、窒化ケイ素表面をさらに含むことができる。SiO:SiNの除去選択性は、30より大きく、好ましくは50より大きく、より好ましくは70より大きい。
【0104】
別の側面において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて、上記の化学機械研磨(CMP)組成物を用いる二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材の化学機械研磨(CMP)の方法が提供される。研磨される酸化物膜は、CVD酸化物、PECVD酸化物、高密度酸化物、又はスピンオン酸化物膜であることができる。
【0105】
酸化ケイ素対窒化ケイ素ブランケットウェハ除去速度選択性は、シャロートレンチアイソレーション(STI)応用のための化学機械研磨(CMP)スラリーを選択するための重要な審査基準である。ブランケットウェハ選択性は、同じ下向き力(DF)での酸化ケイ素RR/窒化ケイ素(SiN)RRとして典型的に規定される。
【0106】
しかしながら、良好なブランケットウェハ選択性が望ましいパターンウェハ性能を必ずしも保証するとは限らない。例えば、パターンウェハ研磨中、ディッシングのために過研磨中にトポグラフィーが変化するため、露出したSiN領域は、局所的な圧力変化による研磨圧力より高いDFを経験する場合がある。
【0107】
したがって、CMP研磨組成物が、パターン化ウェハの研磨のために適用される研磨圧力より高いDFにおいてSiNブランケットウェハRRを抑制する化学添加剤を有する場合、良好な研磨パターン性能を達成することができる。それと同時に、さらにCMP研磨組成物は、SiN RRの抑制に加えて高い酸化ケイ素RRを維持しなければならない。
【0108】
下向き力(DF)オフセットブランケットウェハ選択性方法は、パターン化ウェハ研磨時の研磨性能を予測するために開発され、適用された。
【0109】
本発明において、化学添加剤は、実際のSTI CMPプロセス、すなわち、パターンウェハ研磨において用いられるより高いDFにおいて窒化ケイ素(SiN)ブランケットウェハRRを抑制する能力について選別される。
【0110】
一般に、研磨パッド及びコンディショニングディスク等の特定の選択され使用される消耗部品を用いる、適用される下向き力、テーブル/ヘッド回転速度、スラリー流速(mL/分))等の選択される研磨レシピ設定下では、所与の酸化ケイ素膜除去速度目標が常にある。
【0111】
目下の応用において、2,000Å/minの酸化ケイ素RRを達成するDF1と呼ばれるDFが、試験手順から最初に決定される。この2,000Å/minの除去速度は、多くのSTI応用に要求される典型的なRRである。
【0112】
次に、DF1より3.0psi高い場合のSiN RRが測定される。
【0113】
「DFオフセット選択性」は、DFオフセット選択性=2000Å/min/DF1+3psiにおけるSiN RR(Å/min)として規定される。
【0114】
この計量により、Tween(登録商標)化学添加剤は、合理的なDFにて所望の酸化ケイ素RRを維持し、より高いDFにおいてさえ、すべての試験されたスラリーの素晴らしいSiN RR抑制を示すことにより、最も良好な選択性を示した。
【0115】
さらに別の側面において、
CMP組成物を用いて2000Å/minの酸化ケイ素ブランケットウェハ除去速度を得るための下向き力DF1(psi)を決定すること;
CMP組成物を用いてDF1+3.0psiの下向き力における窒化ケイ素ブランケットウェハ除去速度を決定すること;
酸化ケイ素:窒化ケイ素膜のDFオフセット選択性を計算すること;
≧25、好ましくは≧35、又はより好ましくは≧45のDFオフセット選択性を有する化学添加剤を選択することを含み;
DFオフセット選択性=2000Å/min/DF1+3psiにおけるSiN RR(Å/min)である、化学機械研磨組成物のパターン化ウェハ研磨性能を予測する方法が提供される。
【0116】
以下の非限定的な例はさらに本発明を説明するために示される。
【0117】
CMP方法論
以下に示される例において、CMP実験は、以下に与えられる手順及び実験条件を用いて実施された。
【0118】
用語
成分
セリアコートシリカ:約100ナノメートル(nm)の粒子サイズを有する研磨材として用いられる;係るセリアコートシリカ粒子は、約20ナノメートル(nm)~500ナノメートル(nm)の範囲の粒子サイズを有することができる;
【0119】
(種々のサイズを有する)セリアコートシリカ粒子は、日本のJGCC Inc.によって供給された。
【0120】
種々のTween(登録商標)型有機界面活性剤等の化学添加剤が、Millipore Sigma,St.Louis,MOによって供給された一方;マルチトール、D-フルクトース、ズルシトール、D-ソルビトール、及び他の化学原料物質もMillipore Sigma-Aldrich,St.Louis,MOによって供給された。
【0121】
TEOS:テトラエチルオルトシリケート
【0122】
研磨パッド:研磨パッド、すなわちIK4250UH、IC1010-32及び他のパッドは、CMP中に用いられ、Dow Inc.により供給された。
【0123】
コンディショニングディスク:3M社によって提供された3M A122ディスクが用いられた。
【0124】
パラメータ
一般
Å又はA:オングストローム-長さの単位
【0125】
BP:背圧、psi単位
【0126】
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
【0127】
CS:キャリア速度
【0128】
DF:下向き力:CMP中に適用される圧力、psi単位
【0129】
min:分
【0130】
ml:ミリリットル
【0131】
mV:ミリボルト(s)
【0132】
psi:ポンド毎平方インチ
【0133】
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm(回転数毎分)
【0134】
SF:組成物流量、ml/min
【0135】
質量%:(示された成分の)質量パーセント
【0136】
TEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)
【0137】
HDP:高密度プラズマ堆積TEOS
【0138】
TEOS又はHDPの除去速度:所与の下向き圧力にて測定されたTEOS又はHDP除去速度。CMPツールの下向き圧力は示された例において1.0、2.0又は3.0psiだった。
【0139】
SiN除去速度:所与の下向き圧力にて測定されたSiN除去速度。CMPツールの下向き圧力は示された例において3.0、4.0又は5.0psiだった。
【0140】
計測
膜は、Creative Design Engineering,Inc,20565Alves Dr.,Cupertino,CA,95014よって製造されたResMap CDE、モデル168を用いて測定された。ResMapツールは四探針シート抵抗ツールである。膜について、5mmの端部除外にて49点の直径走査を行った。
【0141】
CMPツール
用いられたCMPツールは、Applied Materials,3050Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054によって製造された200mmのMirra、又は300mmのReflexion である。DOW,Inc,451Bellevue Rd.,Newark,DE19713によって供給されたIC1000パッドを、ブランケット及びパターンウェハ研究に関してプラテン1上で用いた。
【0142】
IK4250UH又は他のパッドは、コンディショナー上で7lbsの下向き力にて18分間パッドをコンディショニングすることにより調整された。ツールの設定及びパッド調整を適格とするために、2つのタングステンモニター及び2つのTEOSモニターが、Versum Materials Inc.によって供給されたVersum(登録商標)STI2305組成物により、ベースライン条件で研磨された。
【0143】
ウェハ
研磨実験は、PECVD又はLPCVD又はHD TEOSウェハを用いて行なわれた。これらのブランケットウェハは、Silicon Valley Microelectronics,2985Kifer Rd.,Santa Clara,CA95051から購入された。
【0144】
研磨実験
ブランケットウェハ研究において、酸化ケイ素ブランケットウェハ及びSiNブランケットウェハは、ベースライン条件で研磨された。ツールベースライン条件は次のとおりだった:テーブル速度;87rpm、ヘッド速度:93rpm、メンブレン圧力;1.0psi、2.0psi、3.0psi、4.0psi又は5.0psi DF、組成物流量;200ml/分。試験に用いられた研磨パッドは、Dow Chemicalsによって供給されたIK4250UH又はIC1010-R32パッドだった。
【0145】
脱イオン水が実施例における組成物中で溶媒として用いられた。
【0146】
パターン化ウェハ(MIT860)は、SWK Associates,Inc.2920Scott Blvd.Santa Clara CA95054によって供給された。これらのウェハはVeeco VX300 profiler/AFM装置で測定された。3つの異なるサイズのピッチ構造が、酸化ケイ素ディッシング測定に用いられた。ウェハは中心、中間、及び端部のダイ位置で測定された。
【0147】
STI CMP研磨組成物から得られたTEOS:SiN又はHDP:SiN選択性:(TEOSの除去速度)又はHDP/(SiNの除去速度)は調整可能だった。
【0148】
実施例
以下の実施例において、0.2質量%のセリウムコートシリカ粒子、0.28質量%のマルチトール、0.0001質量%~0.05質量%の範囲のバイオサイド及び脱イオン水を含むSTI研磨組成物が、pH5.35において参照(ref.)1として調製された。Ref.1において用いられる添加剤の第1の群はなかった。
【0149】
0.2質量%のセリウムコートシリカ粒子、0.025質量%Tween(登録商標)20、0.001質量%~0.01質量%の範囲のバイオサイド及び脱イオン水を含むSTI研磨組成物が、pH5.35において参照(ref.)2として調製された。Ref.2において用いられる添加剤の第2の群はなかった。
【0150】
実施例研磨組成物(又は実施例試料)は参照1(0.2質量%のセリウムコートシリカ、0.28質量%のマルチトール、0.0001質量%~0.05質量%の範囲のバイオサイド及び脱イオン水)に0.01質量%~0.025質量%の濃度範囲においてTween(登録商標)型界面活性剤等の添加剤の第1の群又は他の参照非イオン性若しくはアニオン性有機界面活性剤又は分子を添加して調製された。実施例研磨組成物はすべてpH5.35で製造された。
【0151】
試験された他の化学添加剤としては:ポリエーテルポリオール(Dow Chemical.から購入されたTergitolTML-64)シリコーングリコールコポリマー界面活性剤(Evonik Industries.から購入されたDABCO(登録商標)DC5604)、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(MilliporeSigmaから購入されたNonidetTMP40Substitute)、及びMilliporeSigmaから購入された異なる分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0152】
例1
例1において、酸化ケイ素研磨に用いられた研磨組成物は、表1に示された。
【0153】
用いられた研磨工程条件は次のとおりだった:87/93rpmにおけるテーブル/ヘッド速度での5つの異なるpsi DF及びエクスサイチューコンディショニングにおけるダウのIK4250UHパッド。Ref.2における唯一の添加剤として、0.025質量%のTween(登録商標)20が用いられた。
【0154】
すべての他の非イオン性若しくはアニオン性界面活性剤又は有機分子添加剤は、0.01質量%~0.025質量%の濃度範囲において用いられた。
【0155】
すべての参照試料及び実施例試料は約5.35で同じpH値を有していた。
【0156】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)は、異なる下向き力で試験された。
【0157】
膜除去速度及びHDP:SiN膜選択性に対する異なる化学添加剤の効果が観察され、表1に示された。
【0158】
表1に示される結果のように、参照1の研磨組成物中への化学添加剤(それらのうちの1つは添加剤Tween(登録商標)20の第1の群だった)の添加は、一般に、MW400のPEGを用いた場合を除いて酸化ケイ素膜除去速度を低減した。
【0159】
Ref.2(Ref.2において用いられる添加剤の第2の群はなかった)により、すべての試験された参照及び実施例試料の中で最も低いHDP膜除去速度及びHDP:SiN選択性が得られた。
【0160】
DABCO DC5604 Tween(登録商標)20、Nonidet P40Substitute及び8,000の分子量を有するPEGを含む添加剤を有する幾つかの化学組成物は、3つの適用された下向き力にて抑制されたSiN膜除去速度を与え、一方で良好な酸化ケイ素膜除去速度を与えた。
【表1】
【0161】
しかしながら、第1及び第2の添加剤マルチトール及びTween(登録商標)20の両方を有する研磨組成物(Ref.1+0.025%のTween20)は、最高の性能を提供した。
【0162】
3psi、4psiから5psi DFの適用された下向き力に対する酸化物膜及びSiNの除去速度変化を見ると、第1及び第2の添加剤マルチトール及びTween(登録商標)20の両方を有する研磨組成物は、3.0psi DFにて高い酸化物除去速度を与えただけでなく、すべての適用されたより高いDFにて非常に効果的なSiN除去速度抑制も示した。
【0163】
加えて、約55:1の3.0psi DF対5.0psi DFにおける最も高い酸化物:SiN選択性が達成された。
【0164】
例2
例2において、酸化ケイ素:SiN選択性の判断について下向き力(DF)オフセット選択性を用いてパターン化ウェハ研磨性能を予測する方法が試験された。
【0165】
2,000Å/分の目標とされたHDP膜除去速度に到達した際の表2に示される各研磨組成物のDF1が測定された。
【0166】
表2に示される異なる研磨組成物を用いる対応する適用された下向き力DF1による目標除去速度として設定された。
【0167】
次いで、各研磨組成物のSiN除去速度がDF1+3.0psiの適用された下向き力を用いて測定された。
【0168】
酸化ケイ素:SiNのDFオフセット選択性が次いで計算され、表2に示された;DFオフセット選択性=DF1+3psiにおける2000Å/min/SiN RR(Å/min)
【表2】
【0169】
表2に示される結果のように、すべての試験された研磨組成物の中で、第1及び第2の添加剤マルチトール及びTween(登録商標)20の両方を有する研磨組成物は、最も高い「酸化ケイ素:SiN膜のDFオフセット選択性」を提供し、Tween(登録商標)化学添加剤との組み合わせにおいて添加剤の第2の群からの良好なパターン化ウェハ性能が予測される。
【0170】
実施例を含む上に示された本発明の実施形態は、本発明から作ることのできる例示的な多数の実施形態である。プロセスの多くの他の構成を用いることができ、プロセスにおいて用いられる材料は、具体的に開示されたもの以外の多くの材料から選択することができることが企図される。