(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】生体情報計測装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/248 20210101AFI20220112BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61B5/248
A61B6/00 360B
A61B6/00 370
(21)【出願番号】P 2017182833
(22)【出願日】2017-09-22
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2016195107
(32)【優先日】2016-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川端 茂徳
(72)【発明者】
【氏名】渡部 泰士
【審査官】樋口 祐介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/175020(WO,A1)
【文献】特開2005-274586(JP,A)
【文献】特開2003-290184(JP,A)
【文献】国際公開第2007/099697(WO,A1)
【文献】特開2001-037761(JP,A)
【文献】特開2006-296520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/05-5/0538
A61B5/24-5/398
A61B6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調節機構を有し、被検体の生体磁気を検出可能な生体磁気検出部と、
照射された放射線をデジタル画像データとして取得可能なフラット・パネル・ディテクターと
、
前記生体磁気検出部が生体磁気を検出している間、前記フラット・パネル・ディテクターには電源供給を行わないように制御可能な制御部と、を備え、
前記フラット・パネル・ディテクターは、前記被検体の計測領域と前記生体磁気検出部との間に配置される、生体情報計測装置。
【請求項2】
前記生体磁気検出部は、複数の磁気センサを備え、
該複数の磁気センサは、断熱容器に覆われている、請求項1に記載の生体情報計測装置。
【請求項3】
前記フラット・パネル・ディテクターは、前記断熱容器の外側に設けられている、請求項2に記載の生体情報計測装置。
【請求項4】
前記フラット・パネル・ディテクターは、前記断熱容器の内側に設けられている、請求項2に記載の生体情報計測装置。
【請求項5】
前記フラット・パネル・ディテクターは、前記断熱容器の部材中に設けられている、請求項2に記載の生体情報計測装置。
【請求項6】
前記断熱容器の前記被検体に対向する面は、円弧状又は平面で形成される、請求項2乃至5の何れか一項に記載の生体情報計測装置。
【請求項7】
前記被検体に放射線を照射する放射線照射部をさらに備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載の生体情報計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体の心臓や脊髄、末梢神経等から発生する微弱な生体磁気を計測する生体情報計測装置は、これら器官を構成する細胞の興奮に伴う微弱電流によって生じる磁気を検出する機能を有しており、心臓病や神経疾患等の診断にとって重要な技術である。
【0003】
そこで、生体情報計測装置とは別の場所でX線照射装置(例えば、特許文献1に記載されたようにフィルムを使用するX線照射装置)による形態画像を重ね合わせることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像診断装置(X線照射装置等)と生体情報計測装置との間を被検体が移動するため計測結果を精度よく合わせられない問題があった。例えば、被検体がX線照射装置と生体情報計測装置との間を移動するに際し、被検体の体幹(脊椎)が前後方向や左右方向に屈んだり反ったり、被検体の四肢の関節が曲がったり伸びたりすることから、画像診断装置による被検体の位置情報と、生体情報計測装置での検査時の被検体の位置を精度良く一致させることは、極めて難しい。
【0005】
他方、画像診断結果と生体情報計測結果を良好な精度で検出するには、感度の高い磁気センサが求められる場合がある。
【0006】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、画像診断結果と生体情報計測結果を良好な精度でかつ簡便に検出可能な生体情報計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本生体情報計測装置は、温度調節機構を有し、被検体の生体磁気を検出可能な生体磁気検出部と、照射された放射線をデジタル画像データとして取得可能なフラット・パネル・ディテクターと、前記生体磁気検出部が生体磁気を検出している間、前記フラット・パネル・ディテクターには電源供給を行わないように制御可能な制御部と、を備え、前記フラット・パネル・ディテクターは、前記被検体の計測領域と前記生体磁気検出部との間に配置されることを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像診断結果と生体情報計測結果を良好な精度でかつ簡便に検出可能な生体情報計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る生体情報計測装置の構成を示す構成図である。
【
図2】第1の実施例に係る生体情報計測装置の要部構成を示す断面図である。
【
図3】第2の実施例に係る生体情報計測装置の要部構成を示す断面図である。
【
図4】第3の実施例に係る生体情報計測装置の要部構成を示す断面図である。
【
図5】別の実施例に係る生体情報計測装置の構成を示す構成図である。
【
図6】生体情報計測結果とX線画像とを重ね合わせた計測結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0011】
本発明者らは、照射された放射線をデジタル画像データとして取得可能な、いわゆるX線検出用のデジタルパネル装置が、生体磁気測定用の磁気センサと被検体との間にある状態においても、X線の検出が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。以下に、具体例を挙げて説明する。
<生体情報計測装置>
図1は、本実施形態に係る生体情報計測装置1の構成を示す構成図である。
図1に示すように、生体情報計測装置1は、温度調節機構を有し、被検体の生体磁気を検出可能な生体磁気検出部2と、照射された放射線をデジタル画像データとして取得可能な放射線検出部3とを備え、放射線検出部3は、被検体Sの計測領域Tと生体磁気検出部2との間に配置される。また、本実施形態に係る生体情報計測装置1は、被検体Sに放射線を照射する放射線照射部4をさらに備える。
【0012】
本実施形態に係る生体情報計測装置1によれば、生体磁気検出部2から得られる生体磁気検出結果と、放射線検出部3から得られるデジタル画像データである形態画像とを、一度の計測で得ることができ、これらを精度よく重ね合わせることができる。
【0013】
以下、生体磁気検出部2、放射線検出部3、放射線照射部4についてそれぞれ説明する。
[生体磁気検出部]
生体磁気検出部2は、生体磁気を検出する複数の磁気センサ21と、複数の磁気センサ21を収容する断熱容器22とから構成され、寝台5に備え付けられている。
(磁気センサ)
磁気センサ21は、被検体から生じる生体磁気を検知する。具体的に、磁気センサ21としては、超伝導量子干渉素子(SQUID:Superconducting QUantum Interference Device)や原子磁気センサ等が挙げられる。これらSQUIDセンサや原子磁気センサは、10-18T程度の極めて弱い生体磁気も検出できるほどの検出感度を有する。
【0014】
磁気センサ21は、通常、断熱容器22内にアレイ状に複数配列されている。複数の磁気センサ21を有することにより、多くの生体磁気情報を得ることができ、より詳細な生体情報を得ることが可能である。磁気センサ21の個数や配列方法は、特に制限されず、被検体Sの計測領域Tに応じて適宜設定されればよい。
【0015】
上記磁気センサ21で検出された検出信号は、図示しない演算部に送られる。演算部では、磁気センサ21で検出された信号から生体磁気情報を生成し、画像情報化して表示装置に表示出力する。
(温度調節機構)
温度調節機構は、磁気センサ21が動作するのに適した所定の温度に、磁気センサ21の温度を調整する機構であり、従来公知の冷却装置又は加熱装置であってよい。例えば、磁気センサ21がSQUIDセンサである場合、磁気センサ21が超伝導状態を実現するためには、磁気センサ21を絶対零度近くで動作させる必要がある。本実施形態では、断熱容器22が温度調節機構の機能の一部を果たしている。
(断熱容器)
例えば、
図1に示すように、断熱容器22は、内槽221と外槽222とからなり、内槽221内に複数の磁気センサ21を収容し、内槽221と外槽222との間の空間が真空となっており、内槽221内に液体ヘリウム等の冷媒が供給される。これにより、生体磁気検出部2では、磁気センサ21が動作するのに適した温度に制御されている。
【0016】
断熱容器22の形状は特に制限されるものではないが、被検体Sと対向する面(以下、先端面22aという)が、被検体Sの計測領域Tの体表面に沿った形状であることが好ましく、平面であっても、円弧状であってもよい。例えば、
図1に示すように、生体磁気検出部2を脊磁計として機能させる場合には、先端面22aの形状は円弧状であることが好ましい。
【0017】
なお、断熱容器としては、
図1に示す真空断熱容器を用いる断熱容器22を含むものに限定されず、発泡材によりなる断熱容器22等であってもよい。これら、断熱容器は、非磁性材料で構成されることが好ましい。断熱容器22が非磁性材料で構成されることにより、断熱容器22が振動しても、環境磁気の変動による影響が磁気センサ21に及ぶことを抑制することができる。非磁性材料としては、アクリル樹脂等のプラスチック材料、銅・真鍮等の非鉄金属等が挙げられる。
【0018】
(寝台)
寝台5は、生体磁気検出部2を保持することができれば、その形状は特に制限されるものではないが、例えば、
図1に示すように、被検体Sの頭部を位置させる頭部用寝台5aと胴部用寝台5bとを含んで構成される。生体磁気検出部2は、頭部用寝台5aと胴部用寝台5bとの間に配置され、被検体Sの計測領域Tに対向するように設けられる。
【0019】
なお、
図1では、生体磁気検出部2は、寝台5に固定されている構成を示しているが、寝台5に対して可動に構成されていてもよい。生体磁気検出部2が寝台5に対して可動であることにより、生体磁気検出部2は、所望の計測領域Tへの移動や、計測領域Tの体表面により密着させることが可能となる。
【0020】
また、
図1では、被検体Sが寝台5上で臥位の体勢で計測される態様を示しているが、被検体Sが座位の体勢で計測される態様であってもよい。
[放射線検出部]
放射線検出部3は、被検体Sの計測領域Tと生体磁気検出部2との間に配置され、照射された放射線Rをデジタル画像データである形態画像として取得する。
【0021】
上記放射線検出部3で検出された信号は、図示しない演算部に送られる。演算部では、放射線検出部3で検出された信号から形態画像を生成し、画像情報化して表示装置に表示出力する。
【0022】
ところで、被検体Sが発する磁気は微弱であることから、磁性を帯びた放射線検出部を生体磁気検出部2と被検体Sとの間に配置すると、生体磁気検出部2での検出結果に大きな影響を与える。そこで、放射線検出部3は、生体磁気検出部2の検出精度に大きな影響を与えない構成部品から構成する。
【0023】
例えば、放射線検出部3には、フラット・パネル・ディテクター(以下、FPDという。)を用いることができる。
【0024】
FPDには、照射された放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接変換方式や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接方式がある。
【0025】
一般に、FPDには、これらの工程を行う種々の部品が、カセッテ等の筐体内に内蔵されている。しかし、上述したように、放射線検出部3が磁性を帯びていると好ましくないことから、放射線検出部3で使用されるFPDは、これらの種々の部品のうち、外部に配置可能な、磁性体を複数有する回路基板、制御基板、バッテリ等の種々の部品を、放射線検出部3から取り除き、外部に配置する。また、従来より、金属等で構成されているカセッテ等の部品は、非磁性材料より構成するか、用いずに構成する。
【0026】
このように、FPDの構成部品の分解、又は構成部品材料の変更等により、放射線検出部3が生体磁気検出部2の検出精度に大きな影響を与えないようにすることが好ましい。また、被検体Sと生体磁気検出部2とはできるだけ近接していることが好ましいことから、放射線検出部3から外部に配置可能な部品を取り除き、その厚み(被検体Sに直交する方向)をできるだけ薄くするとよい。例えば、FPDの厚みは、好ましくは2mm以上~10mm以下程度、より好ましくは2mm以上~5mm以下にするとよい。
【0027】
また、放射線検出部3が生体磁気検出部2の検出精度に与える影響を小さくする点から、生体情報計測装置1は、生体磁気検出部2が生体磁気を検出している間(生体磁気検出部2に電源供給を行っている間)、放射線検出部3に電源供給を行わないように制御可能な制御部6を備えていることが好ましい。放射線検出部3に電源供給を行うと、放射線検出部3内で電荷が発生して磁気が発生し、この磁気を生体磁気検出部2が検出してしまうからである。
【0028】
よって、制御部6により、放射線検出部3への電源供給の制御を行うことにより、放射線検出部3による影響を最小限に小さくすることが可能である。なお、放射線検出部3による検出結果を得る際には、生体磁気検出部2に電源供給を行っても、行わなくてもよいが、省電力化の点では、電源供給を行わない方が好ましい。
【0029】
また、放射線検出部3は、生体磁気検出部2に保持されていることが好ましい。つまり、生体磁気検出部2と放射線検出部3との相対位置は定まっていることが好ましい。生体磁気検出部2と放射線検出部3との相対位置が定まっていることにより、互いの位置情報を特定する位置特定手段を設けることなく、生体磁気検出部2から得られる生体磁気検出結果と、放射線検出部3から得られる形態画像とを精度よく重ね合わせることができる。
【0030】
放射線検出部3の形状は、被検体Sの所望の計測領域Tに対応した大きさであればよく、生体磁気検出部2の先端面22aに沿う形状であることが好ましく、先端面22aが円弧状に形成される場合には、同様に円弧状とすることが好ましい。また、放射線検出部3は、生体磁気検出部2の先端面22aに沿う形状となるように、可撓性を有していてもよい。
【0031】
放射線検出部3の設置位置は、具体的には、以下の3つの態様(実施例)が含まれる。なお、計測中に生体磁気検出部2に放射線検出部3を固定し、かつ着脱可能にするために、断熱容器22の所望の位置に放射線検出部3を保持するための、レールや溝、へこみなどの保持部を設けてもよい。このようなガイドを設けることで、計測中に着脱する場合であっても、精度良く位置あわせ可能である。
(第1の実施例)
第1の実施例に係る生体情報計測装置1において、放射線検出部3は、断熱容器22の外側に設けられている。
図2は、第1の実施例に係る生体情報計測装置の要部構成を示す断面図である。なお、
図2中、
図1で示した部材と同一部材には、同一符号を付し説明を省略する。
【0032】
図2に示すように、第1の実施例に係る生体情報計測装置1は、放射線検出部3が断熱容器22の外側、すなわち外槽222の外壁面(先端面22a)に沿うように設置されている。断熱容器22の先端面22aの外周面に設置された放射線検出部3は、着脱しやすいため、メンテナンスが容易である。また、生体磁気検出部2の検出結果のみが必要である場合には、放射線検出部3を生体磁気検出部2から外してもよい。なお、放射線検出部3を断熱容器22とアタッチメントで一体化させてもよい。
(第2の実施例)
第2の実施例に係る生体情報計測装置1'において、放射線検出部3は、断熱容器22の内側に設けられている。
図3は、第2の実施例に係る生体情報計測装置の要部構成を示す断面図である。なお、
図3中、
図1で示した部材と同一部材には、同一符号を付し説明を省略する。
【0033】
図3に示すように、第2の実施例に係る生体情報計測装置1'は、放射線検出部3が断熱容器22の内側、すなわち先端面22aに対向する、外槽222の内壁面に沿うように設置されている。放射線検出部3が断熱容器22の外槽222の内壁面に設置されているため、第1の実施例に比べ、被検体Sと磁気センサ21との距離が小さくなり、生体磁気検出部2(磁気センサ21)は生体磁気の検出強度を上げることができる。
(第3の実施例)
第3の実施例に係る生体情報計測装置1''において、放射線検出部3は、断熱容器22の部材中に設けられている。
図4は、第3の実施例に係る生体情報計測装置の要部構成を示す断面図である。なお、
図4中、
図1で示した部材と同一部材には、同一符号を付し説明を省略する。
【0034】
図4に示すように、第3の実施例に係る生体情報計測装置1''は、放射線検出部3が断熱容器22の部材中、すなわち、先端面22aに対向する外槽222の壁部材内に設置されている。放射線検出部3が断熱容器22の外槽222の壁部材内に設置されているため、第1の実施例に比べ、被検体Sと磁気センサ21との距離が小さくなり、生体磁気検出部2(磁気センサ21)は生体磁気の検出強度を上げることができる。
[放射線照射部]
放射線照射部4は、生体に放射可能な放射線を照射可能であれば、従来公知のものを使用することができる。本発明において、「放射線」とは、一般的に用いられるX線に限るものでなく、放射性崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線等のほか、これらと同程度以上のエネルギーを有するビーム、例えば、粒子線や宇宙線等も含む包括概念である。汎用性の高さを考慮すると、放射線として、X線を用いることが好ましい。
[計測手順]
例えば、
図1に示すように、被検体(ヒト)の脊髄又は心臓のX線撮影と生体磁気測定を同時に行う検査では、被検体(ヒト)Sは、寝台5の上に仰臥位(仰向け)になり、所定の位置で待機する。検査者は、図示しない操作部により、放射線照射部4から放射線を被検体Sに向けて放射し、放射線検出部3からの検出結果であるX線画像を得る。その後、制御部6により放射線検出部3への電源供給が行われない状態で、生体磁気検出部2への電力供給を行って、生体磁気検出部2からの検出結果である脊髄誘発磁場等を得る。
【0035】
又は、検査者は、制御部6により放射線検出部3への電源供給が行われない状態で、生体磁気検出部2への電力供給を行って、生体磁気検出部2からの検出結果である脊髄誘発磁場を得た後、放射線照射部4から放射線を被検体Sに向けて放射し、放射線検出部3からの検出結果であるX線画像を得てもよい。
【0036】
なお、本実施形態に係る生体情報計測装置は、
図1に示す形態に制限されるものではない。
図5は、他の実施形態に係る生体情報計測装置の構成図である。なお、
図5中、
図1で示した部材と同一部材には、同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
例えば、
図5に示すように、被検体(ヒト)の胸部のX線撮影と生体磁気計測とを同時に行う検査では、被検体(ヒト)Sは、寝台5の上に伏臥位(うつ伏せ)になり、所定の位置で待機するようにするとよい。また、このように、被検体Sの胸部を計測する場合には、
図5に示すように、断熱容器23の先端面23aの形状を平面状とし、放射線検出部31の形状も平面状とすることにより、被検体Sの体表面と先端面23a及び/又は放射線検出部31とを密着させるとよい。
【0038】
本実施形態に係る生体情報計測装置の計測領域Tは、脊髄、胸部等に制限されず、脳等、他の部位、器官であってもよい。本実施形態に係る断熱容器は、計測領域Tに応じて、被検体Sに対向する先端面を計測領域Tの体表面に密着させることができるように、先端面の形状を適宜形成するとよい。
【0039】
なお、断熱容器の先端面の形状に応じて、放射線検出部の形状も、断熱容器の先端面の形状に沿った形状とすることが好ましい。例えば、上述したように、放射線検出部を可撓性材料で構成することにより、放射線検出部を断熱容器の先端面の形状に沿った撓ませることも可能である。また、断熱容器の形状に応じて、断熱容器内部に収容される磁気センサも最適な位置に配置することはいうまでもない。
【0040】
以下、上述した生体情報計測装置1により、ヒトの脊髄を計測した結果を
図6に示す。
図6からもわかるように、一度の計測で、脊髄のX線撮影像と脊髄誘発磁場図とを良好な精度で重ね合わせた生体情報を得ることができる。
【符号の説明】
【0041】
1 生体情報計測装置
2 生体磁気検出部
21 磁気センサ
22 断熱容器
22a 先端面
221 内槽
222 外槽
3 放射線検出部
4 放射線照射部
5 寝台
5a 頭部用寝台
5b 胴部用寝台
6 制御部
S 被検体
R 放射線
T 計測領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0042】