(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造及び端子
(51)【国際特許分類】
H01R 9/18 20060101AFI20220128BHJP
H01R 11/11 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
H01R9/18
H01R11/11 D
(21)【出願番号】P 2020186246
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2021-06-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591086843
【氏名又は名称】古河電工産業電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】桜井 裕士
(72)【発明者】
【氏名】筋間 裕司
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 久弥
(72)【発明者】
【氏名】京田 猛
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-244890(JP,A)
【文献】中国実用新案第208111714(CN,U)
【文献】米国特許第06261137(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/18
H01R 11/11-11/12
H01R 4/18
H01R 9/00
H01R 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、
前記アルミ導体ケーブルの導体に、当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部を備える端子の筒部が取り付けられており、
前記端子取り付け部は、前記羽子板部が接続可能なサイズの複数の前記端子取り付け部が並列した状態で一体的に形成されており、
前記端子の前記羽子板部と前記端子取り付け部とがそれぞれ接続されることで、複数の前記アルミ導体ケーブルが複数の前記端子取り付け部にそれぞれ接続されており、
複数の前記端子のうち、単数又は複数の前記端子が、前記羽子板部の前記端子取り付け部への接続面の面方向に直交する方向から前記端子を見た場合に、当該端子の前記羽子板部の中心軸と当該端子の前記筒部の中心軸とが平行又は非平行にずれるように構成されていることを特徴とするアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項2】
少なくとも前記端子の前記羽子板部は銅製であることを特徴とする請求項1に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項3】
前記単数又は複数の端子の前記羽子板部が、前記筒部の前方から右側又は左側にずれた位置に設けられており、前記羽子板部の右端
が前記筒部の右端から
右方向にずれた距離又は前記羽子板部の左端
が前記筒部の左端から
左方向にずれた距離が0以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項4】
前記単数又は複数の端子は、前記羽子板部の前記接続面の面方向から当該端子を見た場合の当該端子の前記羽子板部の第二中心軸と当該端子の前記筒部の第二中心軸とが重なるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項5】
前記各端子は、前記端子取り付け部にそれぞれ接続された状態で、前記各筒部の、前記羽子板部の前記接続面の面方向に直交する方向の位置が互いに異なるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項6】
1つの前記端子取り付け部に2つの前記端子を接続する場合に、2つの前記羽子板部同士を重ね合わせて前記端子取り付け部に接続した際に前記筒部同士が互いに離隔する状態になるように前記各筒部がそれぞれ前記羽子板部に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項7】
アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、
前記アルミ導体ケーブルの導体に、当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部を備える端子の筒部が取り付けられており、
前記端子取り付け部は、前記羽子板部が接続可能なサイズの複数の前記端子取り付け部が並列した状態で一体的に形成されており、
前記端子の前記羽子板部と前記端子取り付け部とがそれぞれ接続されることで、複数の前記アルミ導体ケーブルが複数の前記端子取り付け部にそれぞれ接続されており、
前記各端子は、前記端子取り付け部にそれぞれ接続された状態で、前記各筒部の、前記羽子板部の前記接続面の面方向に直交する方向の位置が互いに異なるように構成されていることを特徴とするアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項8】
前記各端子は、前記羽子板部が前記筒部に対して前記羽子板部の前記接続面の面方向に直交する方向に変位するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項9】
前記各端子の前記羽子板部の前記接続面に、又は前記接続面と前記接続面とは反対側の面との両方に、肉厚部が設けられていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造。
【請求項10】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造に用いられる端子であって、
前記アルミ導体ケーブルの導体に取り付けられる筒部と、
当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部と、
を備え、
前記羽子板部の前記端子取り付け部への接続面の面方向に直交する方向から前記端子を見た場合に、当該端子の前記羽子板部の中心軸と当該端子の前記筒部の中心軸とが平行又は非平行にずれるように構成されていることを特徴とする端子。
【請求項11】
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造に用いられる端子であって、
前記アルミ導体ケーブルの導体に取り付けられる筒部と、
当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部と、
を備え、
前記端子取り付け部にそれぞれ接続された状態で、前記各筒部の、前記羽子板部の前記接続面の面方向に直交する方向の位置が互いに異なるように構成されていることを特徴とする端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造及び端子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電線・ケーブル(以下、電線・ケーブルを単にケーブルという。)の導体を配電盤やキュービクル等の内部に設置された配線用遮断器(ブレーカ)の端子取り付け部や3連の端子台の端子取り付け部等(以下、まとめて端子取り付け部という。)に接続する場合には、まず、端子を導体に取り付ける。その際、端子の筒部にケーブルの導体を差し込み、圧縮端子の場合は導体ごと圧縮筒部全体を覆うようにかしめ、圧着端子の場合は導体ごと圧着筒部を局部的にかしめて取り付ける。
そして、ケーブルの導体が取り付けられた端子の羽子板部を、各端子取り付け部に締め付けるなどしてそれぞれ接続する。
【0003】
ところで、現在、配電用に使用されているケーブルの導体には銅が広く使用されているが、作業性の向上や作業者の負担の軽減等を図るため、銅より軽いアルミニウムが用いられることがある(非特許文献1等参照)。すなわち、これまで広く用いられてきた銅導体ケーブルがアルミ導体ケーブルに置き換える場合が増えている。
なお、本明細書で、銅と言う場合には純銅だけでなく銅合金も含まれ、アルミニウムと言う場合には純アルミニウムだけでなくアルミニウム合金も含まれる。また、本明細書では、導体が銅又は銅合金の電線・ケーブルを銅導体ケーブルといい、導体がアルミニウム又はアルミニウム合金の電線・ケーブルをアルミ導体ケーブルという。
【0004】
この場合、アルミニウムの導電度は銅の約60%しかないため、銅導体ケーブルと同じ通電容量を確保するために、置き換え前の銅導体ケーブルの1~2サイズ上のアルミ導体ケーブルに置き換えられることが多い。
例えば、600Vの銅導体ケーブル100mm2の通電容量(許容電流)は290Aであるため、これ以上の通電容量を得るために、通電容量が295Aの150mm2のアルミ導体ケーブルに置き換えられることになる。
【0005】
そして、アルミ導体ケーブルには、銅製の端子ではなく、導体と端子の熱膨張係数を同じにするためにアルミニウム製のものが使用される(特許文献1、2等参照)。
また、アルミ導体ケーブルや銅導体ケーブルをブレーカの端子取り付け部等に接続するための端子としてCB形端子がある。
【0006】
しかし、例えば
図18(a)に示すように、250AFのブレーカ50の端子取り付け部51に接続する150mm
2の銅導体ケーブル30を250mm
2のアルミ導体ケーブル20に置き換える場合、アルミ導体ケーブル20の導体21に取り付けるアルミニウム製の端子100を250mm
2の導体21に対応した形のものにする必要があるが、この場合、同図に示すように、250mm
2用の端子100の羽子板部101が大き過ぎて、羽子板部101をブレーカ50の端子取り付け部51に接続することができない。
なお、
図18(a)以下の各図では端子の筒部がかしめられていないように記載されているが、実際には筒部がかしめられて端子がケーブルの導体に取り付けられる。
【0007】
また、上記と同様に例えば150mm
2の銅導体ケーブル30を250mm
2のアルミ導体ケーブル20に置き換える場合、アルミ導体ケーブル20の導体21にアルミニウム製の端子100を取り付ける代わりに、
図18(b)に示すように、銅製の端子110を取り付ける場合もある。
この場合、銅製の端子110の内側に適切な形状と数の凹凸を設けるなどした、いわゆるセレーション構造を設けて、挿入したアルミ導体ケーブル20のアルミニウム製の導体21とともにかしめることで、導体21に銅製の端子110を取り付けることができるようにしたものが知られている(例えば特許文献3参照)。
【0008】
しかし、この場合も、例えば150mm
2の銅導体ケーブル30を250mm
2のアルミ導体ケーブル20に置き換える場合、250mm
2のアルミ導体ケーブル20の導体21を筒部12に挿入できる端子110を選ぶ必要があるが、そうすると、
図18(b)に示すようにやはり端子110の羽子板部111が大き過ぎて、羽子板部111をブレーカ50の端子取り付け部51に接続することができない。
このように、例えば150mm
2の銅導体ケーブル30を250mm
2のアルミ導体ケーブル20に置き換える場合、従来の端子(CB形端子)を用いると、アルミ導体ケーブル20を、ブレーカ50の端子取り付け部51や3連の端子台等の端子取り付け部に接続することができない場合がある。
【0009】
一方、銅製の羽子板部とアルミニウム製の筒部からなるいわゆるBi-Metal端子が知られている(例えば特許文献4参照)。
そして、例えば150mm
2の銅導体ケーブル30を250mm
2のアルミ導体ケーブル20に置き換える場合、
図19に示すように、このBi-Metal端子120の銅製の羽子板部121を150mm
2の銅導体ケーブルの端子の羽子板部と同じ大きさとし、アルミニウム製の筒部122を250mm
2のアルミ導体ケーブル20の導体21を挿入できるものとすることができる。
【0010】
このように構成すれば、アルミ導体ケーブル20にBi-Metal端子120を取り付けることが可能となるとともに、Bi-Metal端子120をブレーカ50の端子取り付け部51に接続することができる。
そのため、例えば150mm2の銅導体ケーブルを250mm2のアルミ導体ケーブル20に置き換える場合でも、アルミ導体ケーブル20をブレーカ50の端子取り付け部51や3連の端子台等の端子取り付け部に接続することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実開昭58-098775号公報
【文献】特開2010-244895号公報
【文献】特許第5554250号公報
【文献】特開昭54-075091号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】一般社団法人日本電線工業会,「600Vアルミ導体架橋ポリエチレンケーブル」(JCS 4348:2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のようにしてBi-Metal端子120を用いればアルミ導体ケーブル20をブレーカ50の端子取り付け部51や3連の端子台等の端子取り付け部に接続することが可能となるが、筒部122のサイズが大きいため、
図20に示すように、端子取り付け部に接続したBi-Metal端子120の筒部122同士が近接したり接触したりする状態になる場合がある。
そして、このような状態になると、筒部122同士の離隔距離を確保できなくなり、相間短絡が生じる可能性が高くなる。
【0014】
また、図示を省略するが、筒部122を含む端子120に絶縁キャップを被せたり、絶縁テープを巻いたりするなどして筒部122に絶縁処理を施す場合は、筒部122の外径が更に太くなる。
そのため、隣接する筒部122同士がぶつかり合い、端子120を端子取り付け部に接続することができなくなるため、アルミ導体ケーブルを端子取り付け部に接続することができなくなる場合がある。
【0015】
一方、
図18(a)、(b)に示したように、そのままでは羽子板部101、111が大き過ぎて端子取り付け部に接続することができない端子100、110をブレーカ50の端子取り付け部51等に接続することができるようにするために、例えば
図21に示すように端子取り付け部51に拡張バー130を取り付けたり、
図22に示すように、端子取り付け部51に幅広の羽子板部を取り付けることが可能な端子取り付け部141を有する端子台140を取り付ける場合がある。
なお、
図21や
図22では、拡張バー130や端子台140に端子100の羽子板部101を接続した場合が示されているが、端子110の羽子板部111を接続した場合も同様である。
【0016】
また、図示を省略するが、
図22に示したようにブレーカ50の端子取り付け部51等に幅広の羽子板部を取り付けることが可能な端子取り付け部141を有する端子台140を直接取り付ける代わりに、配電盤やキュービクル内のブレーカ50とは別の場所に端子台140を配置し、ブレーカ50の端子取り付け部51等と端子台140の端子取り付け部141を配線でそれぞれ接続しておく。
そして、当該端子台にアルミ導体ケーブルに取り付けられた大きな羽子板部を接続することで、当該端子台を介してブレーカ50の端子取り付け部51等とアルミ導体ケーブルとが接続される場合もある。
【0017】
しかし、上記のように、端子取り付け部に拡張バー130や端子台140を取り付けたり、配電盤やキュービクル内に端子台140を配置したりすると、その分、アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造が配電盤やキュービクル内で占めるスペースが大きくなってしまうが、配電盤やキュービクル内にスペースの余裕がない場合は、このように拡張バー130や端子台140を端子取り付け部に取り付けたり、配電盤やキュービクル内の別の場所に端子台を設けることが困難である場合も少なくない。
【0018】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、銅導体ケーブルをサイズが大きなアルミ導体ケーブルに置き換える際、配電盤やキュービクル内で占めるスペースが大きくなることなく、かつ、端子の筒部同士の離隔距離を十分に確保した状態で、アルミ導体ケーブルを端子取り付け部に接続することが可能なアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造及び端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記の問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、
前記アルミ導体ケーブルの導体に、当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部を備える端子の筒部が取り付けられており、
前記端子取り付け部は、前記羽子板部が接続可能なサイズの複数の前記端子取り付け部が並列した状態で一体的に形成されており、
前記端子の前記羽子板部と前記端子取り付け部とがそれぞれ接続されることで、複数の前記アルミ導体ケーブルが複数の前記端子取り付け部にそれぞれ接続されており、
複数の前記端子のうち、単数又は複数の前記端子が、前記羽子板部の前記端子取り付け部への接続面の面方向に直交する方向から前記端子を見た場合に、当該端子の前記羽子板部の中心軸と当該端子の前記筒部の中心軸とが平行又は非平行にずれるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、少なくとも前記端子の前記羽子板部は銅製であることを特徴とする。
【0021】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、前記単数又は複数の端子の前記羽子板部が、前記筒部の前方から右側又は左側にずれた位置に設けられており、前記羽子板部の右端が前記筒部の右端から右方向にずれた距離又は前記羽子板部の左端が前記筒部の左端から左方向にずれた距離が0以上であることを特徴とする。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、前記単数又は複数の端子は、前記羽子板部の前記接続面の面方向から当該端子を見た場合の当該端子の前記羽子板部の第二中心軸と当該端子の前記筒部の第二中心軸とが重なるように構成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、前記各端子は、前記端子取り付け部にそれぞれ接続された状態で、前記各筒部の、前記羽子板部の前記接続面の面方向に直交する方向の位置が互いに異なるように構成されていることを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、1つの前記端子取り付け部に2つの前記端子を接続する場合に、2つの前記羽子板部同士を重ね合わせて前記端子取り付け部に接続した際に前記筒部同士が互いに離隔する状態になるように前記各筒部がそれぞれ前記羽子板部に取り付けられていることを特徴とする。
【0025】
請求項7に記載の発明は、
アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、
前記アルミ導体ケーブルの導体に、当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部を備える端子の筒部が取り付けられており、
前記端子取り付け部は、前記羽子板部が接続可能なサイズの複数の前記端子取り付け部が並列した状態で一体的に形成されており、
前記端子の前記羽子板部と前記端子取り付け部とがそれぞれ接続されることで、複数の前記アルミ導体ケーブルが複数の前記端子取り付け部にそれぞれ接続されており、
前記各端子は、前記端子取り付け部にそれぞれ接続された状態で、前記各筒部の、前記羽子板部の前記接続面の面方向に直交する方向の位置が互いに異なるように構成されていることを特徴とする。
【0026】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、前記各端子は、前記羽子板部が前記筒部に対して前記羽子板部の前記接続面の面方向に直交する方向に変位するように構成されていることを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造において、前記各端子の前記羽子板部の前記接続面に、又は前記接続面と前記接続面とは反対側の面との両方に、肉厚部が設けられていることを特徴とする。
【0028】
請求項10に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造に用いられる端子であって、
前記アルミ導体ケーブルの導体に取り付けられる筒部と、
当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部と、
を備え、
前記羽子板部の前記端子取り付け部への接続面の面方向に直交する方向から前記端子を見た場合に、当該端子の前記羽子板部の中心軸と当該端子の前記筒部の中心軸とが平行又は非平行にずれるように構成されていることを特徴とする。
【0029】
請求項11に記載の発明は、
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造に用いられる端子であって、
前記アルミ導体ケーブルの導体に取り付けられる筒部と、
当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部と、
を備え、
前記端子取り付け部にそれぞれ接続された状態で、前記各筒部の、前記羽子板部の前記接続面の面方向に直交する方向の位置が互いに異なるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、銅導体ケーブルをサイズが大きなアルミ導体ケーブルに置き換える際、配電盤やキュービクル内で占めるスペースが大きくなることなく、かつ、端子の筒部同士の離隔距離を十分に確保した状態で、アルミ導体ケーブルを端子取り付け部に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】(a)端子等に絶縁キャップを被せた状態を表す図であり、(b)3連の端子台の例を表す図である。
【
図2】(a)第1の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を表す斜視図であり、(b)接続構造を各アルミ導体ケーブル側から見た図である。
【
図3】(a)第1の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を側方から見た図であり、(b)接続構造における各端子を羽子板部側から見た図である。
【
図4】羽子板部の中心軸が筒部の中心軸と重なるように構成された端子を例示する図である。
【
図5】(a)、(b)羽子板部の中心軸と当該端子の筒部の中心軸とが平行にずれるように構成された端子を例示する図である。
【
図6】(a)、(b)羽子板部の中心軸と当該端子の筒部の中心軸とが非平行にずれるように構成された端子を例示する図である。
【
図7】羽子板部の第二中心軸と筒部の第二中心軸とが(a)平行である状態の例、(b)非平行である状態の例を表す図である。
【
図8】第2の実施形態において端子の羽子板部の第二中心軸と筒部の第二中心軸とが重なるように構成された端子の例を表す図である。
【
図9】(a)第2の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を表す斜視図であり、(b)接続構造における各端子を羽子板部側から見た図である。
【
図10】(a)第3の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を表す斜視図であり、(b)接続構造を側方から見た図である。
【
図11】(a)第4の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を表す斜視図であり、(b)接続構造を各アルミ導体ケーブル側から見た図である。
【
図12】(a)第4の実施形態に係る接続構造を側方から見た図であり、(b)接続構造における各端子の斜視図である。
【
図13】端子の羽子板部の筒部に対する変位量が(a)大きい場合、(b)小さい場合を表す図である。
【
図14】端子の羽子板部の筒部に対する変位量を小さくした場合のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を各アルミ導体ケーブル側から見た図である。
【
図15】(a)第5の実施形態に係る各端子の斜視図であり、(b)第5の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を各アルミ導体ケーブル側から見た図である。
【
図16】(a)第6の実施形態に係る各端子の斜視図であり、(b)第6の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を各アルミ導体ケーブル側から見た図である。
【
図17】(a)第7の実施形態に係る各端子の斜視図であり、(b)第7の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を各アルミ導体ケーブル側から見た図である。
【
図18】250mm
2用の(a)アルミニウム製、(b)銅製の端子の羽子板部が大き過ぎてブレーカの端子取り付け部に接続することができないことを表す図である。
【
図19】銅製の羽子板部とアルミニウム製の筒部からなるBi-Metal端子を用いるとアルミ導体ケーブルを端子取り付け部に接続することができることを表す図である。
【
図20】Bi-Metal端子の筒部同士が近接したり接触したりする状態になることを表す図である。
【
図21】端子取り付け部に取り付けた拡張バーを表す図である。
【
図22】端子取り付け部に取り付けた端子台を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造及び端子についていくつかの実施の形態を挙げて説明する。
ただし、以下に述べる各実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の各実施形態や図示例に限定するものではない。
【0033】
また、以下では、150mm
2の銅導体ケーブル30を250mm
2のアルミ導体ケーブル20に置き換える場合を例示して説明する。
また、以下の各図では端子の筒部がかしめられていないように記載されているが、実際には筒部がかしめられて端子がケーブルの導体に取り付けられることは言うまでもない。また、以下の各図では図示を省略するが、実際には、
図1(a)に示すように、端子10や、端子10のアルミ導体ケーブル20への取り付け部分等に絶縁キャップ40を被せたり、図示しない絶縁テープを巻いたりするなどして絶縁処理が施される。
【0034】
以下の各実施形態のアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造1は、
(A)アルミ導体ケーブルの導体に、当該導体のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部を備える端子の筒部が取り付けられており、
(B)端子取り付け部は、前記羽子板部が接続可能なサイズの複数の端子取り付け部が並列した状態で一体的に形成されており、
(C)端子の羽子板部と端子取り付け部とがそれぞれ接続されることで、複数のアルミ導体ケーブルが複数の端子取り付け部にそれぞれ接続されている点で共通している。
【0035】
なお、以下では、アルミ導体ケーブル20をブレーカ50の端子取り付け部51に接続する場合について説明するが、本発明はこの場合に限定されず、例えば
図1(b)に示す3連の端子台60(
図22に示したブレーカ50の端子取り付け部51等に取り付け可能な端子台140も含まれる。)の端子取り付け部61に接続する場合にも適用される。
また、以下、ブレーカ50の端子取り付け部51や3連の端子台60の端子取り付け部61等をまとめて端子取り付け部51という場合がある。なお、以下、端子取り付け部51が3つ並列している場合について説明するが、2つでもよく、4つ以上が並列していてもよい。
【0036】
[第1の実施の形態]
図2は、本発明の第1の実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造1を表す図であり、(a)は接続構造1の斜視図であり、(b)は接続構造1を各アルミ導体ケーブル側から見た図である。
図2(b)ではアルミ導体ケーブルの図示が省略されている(後述する
図11(b)等においても同様である。)。
図3(a)は本実施形態に係るアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造1を側方から見た図であり、(b)は接続構造1における各端子を羽子板部側から見た図である。
以下、アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造を単に接続構造という。
【0037】
本実施形態に係る接続構造1では、アルミ導体ケーブル20の導体21に、当該導体21のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部11を備える端子10の筒部12が取り付けられている(上記の構成(A))。
具体的には、本実施形態では、250mm2のアルミ導体ケーブル20用の筒部と同じ大きさの筒部12に、150mm2の銅導体ケーブル用の端子の羽子板部と同じ大きさの羽子板部11が取り付けられており、羽子板部11がアルミ導体ケーブル20の導体21のサイズ(250mm2)より小さいサイズ用の大きさになっている。
【0038】
一方、端子取り付け部51(すなわちブレーカ50の端子取り付け部51や3連の端子台60(
図1(b)参照)の端子取り付け部61等)は、羽子板部11が接続可能なサイズの複数の端子取り付け部51が並列した状態で一体的に形成されている(上記の構成(B))。
本実施形態では、端子取り付け部51のサイズは、150mm
2の銅導体ケーブル用の端子の羽子板部を取り付けることができるサイズである。
【0039】
そして、このように構成することで、端子10の筒部12を250mm
2のアルミ導体ケーブル20の導体21に取り付け、端子10の羽子板部11を150mm
2用の端子取り付け部51に接続することで、
図2(a)等に示したように、端子10を介して250mm
2のアルミ導体ケーブル20を150mm
2用の端子取り付け部51に接続することが可能となる。
このようにして、端子10の羽子板部11と端子取り付け部51とがそれぞれ接続されることで、複数のアルミ導体ケーブル20が複数の端子取り付け部51にそれぞれ接続されるようになっている(上記の構成(C))。
【0040】
この場合、端子10は、少なくとも羽子板部11が銅製であることが望ましい。すなわち、端子10全体(すなわち羽子板部11と筒部12)を銅製としてもよく、あるいは、銅製の羽子板部11とアルミニウム製の筒部12からなるBi-Metal端子としてもよい。
羽子板部11をアルミニウムで形成すると、前述したようにアルミニウムの導電度が銅の約60%しかないため、羽子板部11の部分が小さ過ぎて十分な通電容量を確保することができない可能性がある。しかし、羽子板部11をアルミニウムより導電度が高い銅製とすれば、羽子板部11が上記のように比較的小さくなっても十分な通電容量を確保することが可能となる。
【0041】
また、端子10全体を銅製とすれば、端子10の羽子板部11と筒部12を銅で一体成形することができる。
この場合、前述したように、銅製の端子10の筒部12の内側に適切な形状と数の凹凸を設けるなどしたセレーション構造を設けることが可能である。
【0042】
そして、本実施形態では、さらに、複数のアルミ導体ケーブル20に取り付けられた複数の端子10のうち、単数又は複数の端子10(
図2(a)等の例では中央の端子10A以外の左右の端子10B、10C)が特殊な構成になっている。
以下、具体的に説明する。
【0043】
端子10(10A~10C)はいずれも、平板状で平板の中央部分に孔を有する羽子板部11と、羽子板部11に接続され、アルミ導体ケーブル20の導体21が挿入される円筒状の筒部12とを有している。
そして、筒部12にアルミ導体ケーブル20の導体21が挿入された状態で筒部12が導体21ごとかしめられることで、端子10がアルミ導体ケーブル20の導体21に取り付けられている。
【0044】
そして、中央の端子10Aでは、筒部12の前方に羽子板部11が設けられている。
すなわち、中央の端子10Aでは、羽子板部11の端子取り付け部への接続面11a(
図3(b)参照)の面方向に直交する方向から端子を見た場合(すなわち例えば
図3(a)で端子10の真上から端子を見下ろした場合)に、
図4に示すように、羽子板部11の中心軸αが筒部12の中心軸βと重なるように構成されている。
【0045】
それに対し、左側の端子10Bや右側の端子10Cでは、羽子板部11が、筒部12の前方に設けられているが、筒部12の前方から左側又は右側にずれた位置に設けられている。
具体的には、左右の端子10B、10Cでは、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向から端子を見た場合に、
図5(a)、(b)に示すように、端子10B、10Cの羽子板部11の中心軸αと当該端子10B、10Cの筒部12の中心軸βとが平行にずれるように構成されている。
【0046】
すなわち、端子10B、10Cの羽子板部11の中心軸αが筒部12の中心軸βと平行だが重ならないように左右にずれるように構成されている。
また、
図6(a)、(b)に示すように、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向から端子を見た場合に、左右の端子10B、10Cの羽子板部11の中心軸αと当該端子10B、10Cの筒部12の中心軸βとが非平行にずれるように(すなわち1点のみで交わるように)羽子板部11を筒部12の前方から左右にずれた位置に設けるように構成することも可能である。
【0047】
接続構造1(アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造1)を以上のように構成すれば、
図18(a)、(b)に示したように、銅導体ケーブル30をサイズが大きなアルミ導体ケーブル20に置き換える際に、アルミ導体ケーブル20用のサイズが大きい筒部12に銅導体ケーブル30用のサイズが小さい羽子板部11を取り付けて形成した端子10を用い、アルミ導体ケーブル20に取り付けた端子10を端子取り付け部51に接続することで、サイズが大きいアルミ導体ケーブル20を、それよりサイズが小さい銅導体ケーブル30を接続するための端子取り付け部51に端子10を介して接続することが可能となる。
【0048】
そして、その際、
図4に示した通常の端子10A(すなわち羽子板部11が筒部12の前方に設けられている端子10A)とともに、
図5(a)、(b)や
図6(a)、(b)に示したような特殊な構造の端子10B、10Cを用いることで、複数の端子10の筒部12同士が近接したり接触したりせずに、
図2(a)、(b)や
図3(a)(b)に示すように筒部12同士の離隔距離が十分に確保された状態になる。
そのため、複数の端子10の筒部12同士の離隔距離を十分に確保した状態で、複数のアルミ導体ケーブル20を端子取り付け部51にそれぞれ接続することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態では、サイズが小さい銅導体ケーブル30を接続するための端子取り付け部51にサイズが大きいアルミ導体ケーブル20を接続する際に、端子取り付け部51に拡張バー130(
図21参照)や端子台140(
図22参照)を取り付けたり、配電盤やキュービクル内のブレーカ50等とは別の場所に端子台140を配置したりする必要がなく、端子10を介してアルミ導体ケーブル20を端子取り付け部51に直接接続することが可能となる。
そのため、本実施形態に係る接続構造1によれば、配電盤やキュービクル内で占めるスペースが大きくなることなく、アルミ導体ケーブル20を端子取り付け部51に接続することが可能となる。
【0050】
なお、本実施形態では、端子取り付け部51が3連である場合(3つの端子取り付け部51に3本のケーブルを取り付けるものである場合)であり、3つの端子10A~10Cのうち、2つの端子10B、10Cが、羽子板部11の端子取り付け部51への接続面11aの面方向に直交する方向から端子を見た場合に、羽子板部11の中心軸αと筒部12の中心軸βとが平行又は非平行にずれるように構成されている場合について説明した。
【0051】
しかし、端子取り付け部51が2連である場合は、2つの端子10のうち、いずれか一方の端子10又は両方の端子10を上記のように構成することが可能である。また、端子取り付け部51が4連以上である場合は、4つ以上の端子10のうち、3つ以上又は全ての端子10を上記のように構成することが可能である。
また、この点は、以下の各実施形態においても同様である。
【0052】
また、本実施形態のように、3連の端子取り付け部51に各端子10A~10Cを接続した際に各端子10A~10Cの筒部12同士の離隔距離が十分に確保されるようにするためには、
図5(a)、(b)や
図6(a)、(b)に示したずれ量Δs、すなわち羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向から端子を見た場合に、羽子板部11の右端の筒部12の右端からのずれ量Δs(
図5(a)、
図6(a)参照)、あるいは羽子板部11の左端の筒部12の左端からのずれ量Δs(
図5(b)、
図6(b)参照)が0以上であることが望ましい。
端子取り付け部51が2連や4連以上である場合も同様である。
【0053】
また、
図2(a)、(b)や
図3(a)、(b)では、複数の端子10を
図2(b)等における上下方向の位置が互いに異なるように配置した場合を示した。すなわち、本実施形態では、各端子10A~10Cは、端子取り付け部51にそれぞれ接続された状態で、各筒部12の、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向(
図2(b)等における上下方向)の位置が互いに異なるように構成されている場合を示した。
このように構成すると、複数の端子10の筒部12同士の離隔距離を拡げることができるため好ましいが、複数の端子10が直線状に並ぶように配置するように構成することも可能である。
【0054】
さらに、以下の実施形態においても同様であるが、本実施形態では、端子10の羽子板部11に端子取り付け部51への取り付け用のボルト孔が1つだけ設けられている場合を示したが、ボルト孔は複数設けられていてもよい。
また、以下の実施形態においても同様であるが、本実施形態では、
図7(a)に示すように、端子10の羽子板部11の接続面11aの面方向から端子を見た場合(すなわち端子を側方から見た場合)の羽子板部11の第二中心軸γと筒部12の第二中心軸δとが平行であることを前提として説明したが、
図7(b)に示すように、羽子板部11の第二中心軸γと筒部12の第二中心軸δとが非平行になるように構成することも可能である。
【0055】
[第2の実施の形態]
上記の実施形態では、左側や右側の端子10B,10Cの羽子板部11の筒部12への取り付け部分が
図3(a)、(b)等において上下方向に傾斜するように構成されている場合を示したが、羽子板部11の筒部12への取り付け部分を傾斜しないように構成することも可能である。
すなわち、
図8や
図9(a)、(b)に示すように、左側や右側の端子10B,10Cを、羽子板部11の接続面11aの面方向から端子を見た場合(すなわち端子を側方から見た場合)の羽子板部11の第二中心軸γと筒部12の第二中心軸δとが重なるように構成することが可能である。
【0056】
このように構成しても、端子10A~10Cを各端子取り付け部51に直接接続することが可能となるとともに、端子10A~10Cを各端子取り付け部51にそれぞれ接続した際に端子10A~10Cの筒部12同士が近接したり接触したりせずに、
図9(a)、(b)に示すように筒部12同士の離隔距離が十分に確保された状態になるため、第1の実施形態と同様の有益な作用効果が得られる。
【0057】
また、本実施形態では、左側の端子10Bを裏返せば右側の端子10Cになり、右側の端子10Cを裏返せば左側の端子10Bになる。そのため、本実施形態に係る接続構造1によれば、左側の端子10Bと右側の端子10Cを別々に設ける必要がなく、1つの端子を左側の端子10Bにも右側の端子10Cにも使うことができる。
そのため、例えば3連の端子取り付け部51に接続する端子10として、端子10Aと端子10Bの2種類だけ用意すればよく、用意する端子10の種類を減らすことが可能となる。
【0058】
[第3の実施の形態]
一方、上記の接続構造1において、1つの端子取り付け部51に2本のアルミ導体ケーブル20を接続する場合もある。
そして、この場合は、上記のように、左右に隣接する端子10の筒部12同士の離隔距離を確保するとともに、同じ端子取り付け部51に接続される2つの端子10の筒部12同士の離隔距離を確保するように構成される必要がある。
【0059】
すなわち、1つの端子取り付け部51に2つの端子10を接続する場合、これらの2つの端子10は、
図10(a)、(b)に示すように、2つの羽子板部11同士を重ね合わせて1つの端子取り付け部51に接続した際に筒部12同士が互いに離隔する状態になるように各筒部12がそれぞれ羽子板部11に取り付けられるように構成される。
このように構成すれば、上記の各実施形態と同様の有益な作用効果が得られるとともに、1つの端子取り付け部51に接続される2つの端子10の筒部12同士の離隔距離も十分に確保することが可能となる。
【0060】
[第4の実施の形態]
ところで、上記の各実施形態では、端子10の筒部12を羽子板部11に対して左右方向(羽子板部11の接続面11aの面方向)に変位させることで、各端子取り付け部51に接続された各端子10の筒部12同士が近接したり接触したりしないように構成した。
それに対し、本実施形態に係る接続構造1は、上記の(A)~(C)の構成を備えつつ、かつ、各端子10は、端子取り付け部51にそれぞれ接続された状態で、各筒部12の、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向の位置が互いに異なるように構成されている。
以下、本実施形態に係る接続構造1について説明する。
【0061】
図11は、本実施形態に係る接続構造1を表す図であり、(a)は接続構造1の斜視図であり、(b)は接続構造1を各アルミ導体ケーブル側から見た図である。
図11(b)ではアルミ導体ケーブルの図示が省略されている。
図12(a)は本実施形態に係る接続構造1を側方から見た図であり、(b)は接続構造1における各端子の斜視図である。
【0062】
図11(a)~
図12(b)に示した例では、複数のアルミ導体ケーブル20に取り付けられた複数の端子10のうち、中央の端子10Aは、羽子板部11の筒部12への取り付け部分が羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向の一方側(
図11(b)や
図12(a)における上下方向の上側)に屈曲されている。
また、左右の端子10B、10Cは、羽子板部11の筒部12への取り付け部分が羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向の他方側(
図11(b)や
図12(a)における上下方向の下側)に屈曲されている。
【0063】
そして、そのような各端子10A~10Cの羽子板部11が端子取り付け部51に接続されることで、各端子10が端子取り付け部51にそれぞれ接続された状態で、各端子10A~10Cの各筒部12の、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向の位置が互いに異なる状態が実現されている。
なお、このように羽子板部11の筒部12への取り付け部分を屈曲させる代わりに傾斜させるように構成してもよい。
【0064】
接続構造1(アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造1)をこのように構成すれば、上記の各実施形態と同様に、
図18(a)、(b)に示したように、銅導体ケーブル30をサイズが大きなアルミ導体ケーブル20に置き換える際に、アルミ導体ケーブル20用のサイズが大きい筒部12に銅導体ケーブル30用のサイズが小さい羽子板部11を取り付けて形成した端子10を用い、アルミ導体ケーブル20に取り付けた端子10を端子取り付け部51に接続することで、サイズが大きいアルミ導体ケーブル20を、それよりサイズが小さい銅導体ケーブル30を接続するための端子取り付け部51に端子10を介して接続することが可能となる。
【0065】
また、複数の端子が端子取り付け部51にそれぞれ接続された状態で、各端子10の各筒部12の、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向の位置を互いに異ならしめることができるため、複数の端子10の筒部12同士が近接したり接触したりせずに、
図11(a)、(b)や
図12(a)(b)に示すように筒部12同士の離隔距離が十分に確保された状態になる。
そのため、複数の端子10の筒部12同士の離隔距離を十分に確保した状態で、複数のアルミ導体ケーブル20を端子取り付け部51にそれぞれ接続することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態では、サイズが小さい銅導体ケーブル30を接続するための端子取り付け部51にサイズが大きいアルミ導体ケーブル20を接続する際に、端子取り付け部51に拡張バー130(
図21参照)や端子台140(
図22参照)を取り付けたり、配電盤やキュービクル内のブレーカ50等とは別の場所に端子台140を配置したりする必要がなく、端子10を介してアルミ導体ケーブル20を端子取り付け部51に直接接続することが可能となる。
そのため、本実施形態に係る接続構造1によれば、配電盤やキュービクル内で占めるスペースが大きくなることなく、アルミ導体ケーブル20を端子取り付け部51に接続することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、端子10の羽子板部11の筒部12への取り付け部分を屈曲させたり傾斜させるなどして、各端子10の羽子板部11が筒部12に対して羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向に変位するように構成されている場合について説明した。
このように構成すると、例えば
図12(b)等に示した例で言えば、中央の端子10Aを裏返せば左右の端子10B、10Cになり、左右の端子10B、10Cを裏返せば中央の端子10Aになる。そのため、上記のように構成すれば、中央の端子10Aと左右の端子10B、10Cを別々に設ける必要がなく、1つの端子を中央の端子10Aにも左右の端子10B、10Cにも使うことができる。
そのため、端子取り付け部51に接続する端子10として、1種類の端子10だけを用意すればよく、用意する端子10の種類を減らすことが可能となる。
【0068】
ところで、上記のように構成すると、例えばブレーカ50が壁に取り付けられているような場合、ブレーカ50の厚さによっては、
図11(b)に示すように、端子10の筒部12が壁Wに当たってしまうことがある。
そのため、
図13(a)に示すように端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量Pが大きい場合に端子10の筒部12が壁Wに当たるのであれば、例えば
図13(b)に示すように端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量Pを小さくすれば、
図14に示すように、図中の下方に変位している端子10(
図14では端子10B、10C)の筒部12の壁Wからの距離Q1を大きくすることができ、端子10の筒部12が壁Wに当たることを防止することができる。
【0069】
しかし、
図13(b)に示したように端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量Pを小さくすると、
図14に示すように、図中の上方に変位している端子10(
図14では端子10A)の筒部12の壁Wからの距離Q2が
図11(b)に示した場合よりも小さくなってしまい、筒部12同士の離隔距離Rが近くなる。
そのため、端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量P(
図13(a)、(b)参照)を小さくする場合は、筒部12同士の離隔距離Rが十分に確保されるように変位量Pを調整することが必要になる。
【0070】
[第5の実施の形態]
また、上記のように、端子10の筒部12が壁Wに当たらないようにするために端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量P(
図13(a)、(b)参照)を小さくしても、筒部12同士の離隔距離Rが十分に確保されるようにするために、例えば
図15(a)に示すように、端子10Aの羽子板部11の接続面11aに肉厚部11bを設けるように構成することが可能である。
なお、
図15(a)では1種類の端子10を裏返して端子10A~10Cとした場合が示されており、端子10B、10Cの羽子板部11にも肉厚部11bが形成されているが、端子10B、10Cでは肉厚部11bは羽子板部11の接続面11aとは反対側の面に位置している。
【0071】
このように構成すると、端子10B、10Cの肉厚部11bは羽子板部11の接続面11aとは反対側の面に位置しているため、肉厚部11bは端子10B、10Cの筒部12の壁Wからの距離Q1の変化には寄与しない(端子10B、10Cでは距離Q1は変わらない。)。
それに対し、端子10Aの肉厚部11bは羽子板部11の接続面11aに設けられているため、
図15(b)に示すように、
図14の状態に比べて肉厚部11bの分だけ筒部12の壁Wからの距離Q2が大きくなる。
【0072】
そのため、
図15(b)に示すように、筒部12同士の離隔距離Rを
図14の状態よりも大きくすることができる。
このように、少なくとも端子10Aの羽子板部11の接続面11aに肉厚部11bを設けることで、
図14の状態と同様に端子10B、10Cの筒部12の筒部12が壁Wに当たることを防止しつつ、筒部12同士の離隔距離Rを十分に確保することが可能となる。
【0073】
[第6の実施の形態]
一方、
図13(a)に示したように端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量Pが大きいと端子10の筒部12が壁Wに当たる場合(
図11(b)参照)、
図13(b)に示したように端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量Pを小さくする代わりに、
図13(a)に示したように端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量Pが大きいままで、例えば
図16(a)に示すように、端子10B,10Cの羽子板部11の接続面11aに肉厚部11bを設けるように構成することが可能である。
なお、
図16(a)では1種類の端子10を裏返して端子10A~10Cとした場合が示されており、端子10Aの羽子板部11にも肉厚部11bが形成されているが、端子10Aでは肉厚部11bは羽子板部11の接続面11aとは反対側の面に位置している。
【0074】
このように構成すると、
図16(b)に示すように、端子10B、10Cでは
図11(b)の状態に比べて肉厚部11bの分だけ筒部12の壁Wからの距離Q1が大きくなる。
そのため、
図16(b)に示すように、端子10B、10Cの筒部12が壁Wに当たることを防止することができる。
【0075】
また、端子10Aでは肉厚部11bが羽子板部11の接続面11aとは反対側の面に位置しているため、肉厚部11bは端子10Aの筒部12の壁Wからの距離Q2の変化には寄与しない(端子10Aでは距離Q2は変わらない)が、前述したように、この場合、各端子10の羽子板部11の筒部12に対する変位量Pが大きくなるように形成されているため、端子10Aの筒部12の壁Wからの距離Q2はもともと大きい。
そのため、
図16(b)に示すように、上記のように端子10B、10Cで肉厚部11bの分だけ筒部12の壁Wからの距離Q1が大きくなっても、筒部12同士の離隔距離Rを十分に確保することが可能となる。
【0076】
[第7の実施の形態]
また、
図17(a)に示すように、各端子10の羽子板部11の接続面11aと接続面11aとは反対側の面11cの両方の面に肉厚部11bを設けるように構成することも可能である。
このように構成すると、端子10Aの羽子板部11の接続面11aに肉厚部11bが設けられているため、上記の第5の実施形態で説明した場合と同様に、
図17(b)に示すように、肉厚部11bを設けない場合に比べて端子10Aの筒部12の壁Wからの距離Q2が肉厚部11bの分だけ大きくなる。
【0077】
また、端子10B、10Cの羽子板部11の接続面11aにも肉厚部11bが設けられているため、上記の第6の実施形態で説明した場合と同様に、肉厚部11bを設けない場合に比べて端子10B、10Cの筒部12の壁Wからの距離Q1が肉厚部11bの分だけ大きくなる。
すなわち、
図17(a)に示すように各端子10の羽子板部11の接続面11aと接続面11aとは反対側の面11cの両方の面に肉厚部11bを設けると、端子10A~10Cを端子取り付け部51に接続した際に、端子10A~10Cがいずれも壁Wから遠ざかる状態になる。
【0078】
また、本実施形態では、このように端子10A~10Cがいずれも壁Wから肉厚部11bの分だけ全体的に遠ざかる状態になるだけであり、
図17(a)に示すように肉厚部11bを設けたからといって端子10Aと端子10B、10Cとが近づくことにはならない。
そのため、本実施形態のように構成すれば、端子10B、10Cの筒部12の筒部12が壁Wに当たることを防止しつつ、筒部12同士の離隔距離Rを十分に確保することが可能となる。
【0079】
また、この場合も、端子取り付け部51に接続する端子10として、1種類の端子10だけを用意すればよく、用意する端子10の種類を減らすことが可能となるといったメリットもある。
【0080】
なお、本発明が上記の各実施形態等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、上記の各実施形態では、端子10の筒部12への羽子板部11の取り付け部分が傾斜している場合と屈曲している場合を説明したが、取り付け部分の形状はこれらの形状に限定されず、任意である。
【0081】
また、
図2(a)、(b)や
図3(a)、(b)では、各端子10の筒部12の、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向の図中での位置が、端子10Aで低く、端子10B、10Cで高い場合が示されており、
図9(a)、(b)や
図11(a)、(b)以降の各図では、各端子10の筒部12の、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向の図中での位置が、端子10Aで高く、端子10B、10Cで低い場合が示されているが、これらに限定されず、端子10A~10Cの各筒部12の位置関係は各図に示された状態の逆であってもよい。
図2(a)、(b)や
図3(a)、(b)、
図9(a)、(b)に示した場合は、各端子10の筒部12の、羽子板部11の接続面11aの面方向に直交する方向の図中での位置が同じ位置であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 アルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造
10 端子
11 羽子板部
11a 接続面
11b 肉厚部
11c 接続面とは反対側の面
12 筒部
20 アルミ導体ケーブル
21 導体
51 端子取り付け部
α 羽子板部の中心軸
β 筒部の中心軸
γ 羽子板部の第二中心軸
δ 筒部の第二中心軸
Δs ずれ量
【要約】
【課題】銅導体ケーブルをサイズが大きなアルミ導体ケーブルに置き換える際、端子の筒部同士の離隔距離を十分に確保した状態で、アルミ導体ケーブルを端子取り付け部に接続することが可能なアルミ導体ケーブルの端子取り付け部への接続構造及び端子を提供する。
【解決手段】接続構造1は、アルミ導体ケーブルの導体20に、当該導体21のサイズより小さいサイズ用の大きさの羽子板部11を備える端子10の筒部12が取り付けられており、端子10の羽子板部11と端子取り付け部51とがそれぞれ接続されることで、複数のアルミ導体ケーブル20が複数の端子取り付け部51にそれぞれ接続されており、複数の端子10のうち、単数又は複数の端子10が、羽子板部11の端子取り付け部51への接続面11aの面方向に直交する方向から端子10を見た場合に、羽子板部11の中心軸αと筒部12の中心軸βとが平行又は非平行にずれるように構成されている。
【選択図】
図2