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特許7000669湿気硬化型ホットメルト接着剤及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】湿気硬化型ホットメルト接着剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/06 20060101AFI20220203BHJP
   C09J 175/08 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J175/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2016147237
(22)【出願日】2016-07-27
(65)【公開番号】P2018016703
(43)【公開日】2018-02-01
【審査請求日】2019-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】昭和電工マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小林 邦幸
(72)【発明者】
【氏名】馬籠 和幸
(72)【発明者】
【氏名】石田 翔大
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113552(JP,A)
【文献】国際公開第2015/016029(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/061790(WO,A1)
【文献】特開2016-074826(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153907(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール結晶性ポリエステルポリオール及びポリブタジエンポリオールを含むポリオール成分(アクリルポリオールを除く)とポリイソシアネート成分との反応物である、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有し、
前記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/前記ポリオール成分の水酸基当量の比が3~9であり、
前記非晶性ポリエステルポリオールが、脂肪族ジオールとポリカルボン酸との重縮合物を含む、湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【請求項2】
前記ポリエーテルポリオール及び前記非晶性ポリエステルポリオールの含有量の合計が、前記ポリオール成分の総量を基準として70質量%以下である、請求項1に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
【請求項3】
イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法であって、
ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール結晶性ポリエステルポリオール及びポリブタジエンポリオールを含むポリオール成分(アクリルポリオールを除く)とポリイソシアネート成分とを反応させて、前記イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程を備え、
前記ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/前記ポリオール成分の水酸基当量の比が3~9であり、
前記非晶性ポリエステルポリオールが、脂肪族ジオールとポリカルボン酸との重縮合物を含む、方法。
【請求項4】
前記ポリエーテルポリオール及び前記非晶性ポリエステルポリオールの含有量の合計が、前記ポリオール成分の総量を基準として70質量%以下である、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化型ホットメルト接着剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建材分野、電子材料分野等の種々の分野で、湿気硬化型ホットメルト接着剤が利用されている。湿気硬化型ホットメルト接着剤としては、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する接着剤が用いられている。
【0003】
湿気硬化型ホットメルト接着剤には、初期接着性、耐熱性、耐久性等の特性が要求される。これらの特性の改善手法としては、特定のアクリルポリマーを添加すること、ポリオール成分として脂環式ポリオールを用いること等が挙げられる(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-785号公報
【文献】特開2012-241182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
湿気硬化型ホットメルト接着剤の被着体に対する接着性は、被着体の種類により、接着強度の強弱に差が出る。これは被着体自体の水分の透過性、被着体表面の濡れ性等によるものである。特に、SUS、アルミニウム等の金属被着体に対して、湿気硬化型ホットメルト接着剤の接着性の改善が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、金属被着体に対する接着性に優れる湿気硬化型ホットメルト接着剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を含むものである。
[1] ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールを含むポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応物である、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有し、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比が3以上である、湿気硬化型ホットメルト接着剤。
[2] ポリエーテルポリオール及び非晶性ポリエステルポリオールの含有量の合計が、ポリオール成分の総量を基準として70質量%以下である、[1]に記載の湿気硬化型ホットメルト接着剤。
[3] イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法であって、ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールを含むポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程を備え、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比が3以上である、方法。
[4] ポリエーテルポリオール及び非晶性ポリエステルポリオールの含有量の合計が、ポリオール成分の総量を基準として70質量%以下である、[3]に記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、金属被着体に対する接着性に優れる湿気硬化型ホットメルト接着剤及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
<湿気硬化型ホットメルト接着剤>
本実施形態の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールを含むポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有し、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比が3以上であることを特徴としている。なお、一般的に、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、空気中の水分又は被着体表面の水分と反応することにより高分子量化し、接着性等を発現することができる。
【0011】
(イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー)
本実施形態に係るウレタンプレポリマーは、通常、ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールを必須とするポリオール成分に、ポリイソシアネート成分を反応させて得られる。
【0012】
上記ウレタンプレポリマーは、ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールを含むポリオール成分に由来する構造単位と、ポリイソシアネート成分に由来する構造単位とを有している。
【0013】
ポリエーテルポリオールは、接着剤の塗布後の適度な溶融粘度及びオープンタイム(貼り合わせ可能時間)を調節して優れた作業性、接着性、防水性及び柔軟性を付与することができる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール及びエチレンオキサイド変性ポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0014】
ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、接着性(特に、初期接着性と最終接着性)及び塗布後の適度なオープンタイムの観点から、500~5000の範囲が好ましく、700~4500の範囲がより好ましく、1000~4000の範囲が更に好ましい。ポリエーテルポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
ポリエーテルポリオールの含有量は、低粘度化及び被着体への密着性の観点から、ポリオール成分の総量100質量部を基準として20~50質量部であることが好ましく、25~45質量部であることがより好ましく、30~40質量部であることが更に好ましい。
【0016】
本明細書において、結晶性ポリエステルポリオールとは、JIS K 7121に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱又は融解熱のピークを確認できるものを示し、非晶性ポリエステルポリオールとは、上記ピークを確認できないものを示す。
【0017】
非晶性ポリエステルポリオールとしては、分子量3000以下の非晶性ポリエステルポリオール及び分子量5000以上の非晶性ポリエステルポリオールが挙げられる。分子量3000以下の非晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量は、接着剤の初期接着性を更に向上する観点から、500~3000の範囲が好ましく、1000~3000の範囲がより好ましい。分子量5000以上の非晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量は、耐衝撃性を更に向上する観点から、5000~9000の範囲が好ましく、7000~8000の範囲がより好ましい。
【0018】
結晶性ポリエステルポリオールの数平均分子量は、防水性及び接着性の観点から、500~10000の範囲が好ましく、800~9000の範囲がより好ましく、1000~8000の範囲が更に好ましい。
【0019】
なお、本明細書において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、標準ポリスチレン換算した値である。GPCの測定は、以下の条件で行うことができる。
カラム:「Gelpack GLA130-S」、「Gelpack GLA150-S」及び「Gelpack GLA160-S」(日立化成株式会社製、HPLC用充填カラム)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出器:RI
【0020】
非晶性ポリエステルポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。同様に、結晶性ポリエステルポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールは、固化時間及び粘度の調整をすることができる。非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールとしては、多価アルコールとポリカルボン酸との重縮合反応によって生成する化合物を用いることができる。非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールは、例えば、2~15個の炭素原子及び2又は3個の水酸基を有する多価アルコールと、2~14個の炭素原子(カルボキシル基中の炭素原子を含む)を有し、2~6個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸との重縮合物であってもよい。
【0022】
非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールとしては、ジオールとジカルボン酸とから生成する直鎖ポリエステルジオールであってもよく、トリオールとジカルボン酸とから生成する分岐ポリエステルトリオールであってもよい。また、分岐ポリエステルトリオールは、ジオールとトリカルボン酸との反応によって得ることもできる。
【0023】
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオールの各異性体、ペンタンジオールの各異性体、ヘキサンジオールの各異性体、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2-メチルプロパンジオール、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族又は脂環族ジオール;4,4’-ジヒドロキシジフェニルプロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の芳香族ジオールが挙げられる。多価アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、脂肪族ジオールが好ましく、2~6個の炭素原子を有する脂肪族ジオールがより好ましい。
【0024】
ポリカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジエン-1,2-ジカルボン酸等の脂肪族又は脂環族ポリカルボン酸が挙げられる。ポリカルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
上述したポリカルボン酸に代えて、カルボン酸無水物、カルボキシル基の一部がエステル化された化合物等のポリカルボン酸誘導体を用いることもできる。ポリカルボン酸誘導体として、例えば、ドデシルマレイン酸及びオクタデセニルマレイン酸が挙げられる。
【0026】
ポリエーテルポリオール及び非晶性ポリエステルポリオールの含有量の合計は、ポリオールの総量を基準として70質量%以下であることが好ましく、68質量%以下であることがより好ましく、65質量%以下であることが更に好ましい。また、35質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、45質量%以上であることが更に好ましい。
【0027】
ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオール以外のポリオールを含んでもよい。
【0028】
ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオール以外のポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ロジン変性ポリオール、ポリエチレンブチレンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等を用いることができる。
【0029】
ポリイソシアネート成分としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートを用いることができる。
【0030】
ポリイソシアネート成分は、反応性及び接着性の観点から、芳香族ジイソシアネートを含有することが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートを含有することがより好ましい。ポリイソシアネート成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
ウレタンプレポリマーの製造方法は、特に限定されない。ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリオール成分にポリイソシアネート成分を混合して製造してもよく、ポリエーテルポリオール及びポリイソシアネート成分の混合物と、非晶性ポリエステルポリオール及びポリイソシアネート成分の混合物と、結晶性ポリエステルポリオール及びポリイソシアネート成分の混合物とを混ぜて製造してもよい。
【0032】
ウレタンプレポリマーを合成する場合、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との混合割合は、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基(NCO)当量/ポリオール成分の水酸基(OH)当量の比であるNCO/OHの比が3以上であるが、4以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、6以上であることが更に好ましい。NCO/OHの比が3以上であると、得られるウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎることを抑え、作業性を向上させることができるとともに、金属被着体に対する接着性に優れるウレタンプレポリマーを得ることができる。NCO/OHの比の上限値は特に限定されないが、9であってもよい。
【0033】
(その他の成分)
本実施形態に係る接着剤には、必要に応じて、熱可塑性ポリマー(ポリウレタン、エチレン系共重合体、プロピレン系共重合体、塩化ビニル系共重合体、アクリル共重合体、スチレン-共役ジェンブロック共重合体等の各種ゴム系)、粘着付与樹脂(ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペン樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂、クマロン樹脂、ケトン樹脂、スチレン樹脂、変性スチレン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂等の各種樹脂系)、触媒(ジブチル錫ジラウレート、ジブチルチオンオクテート、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリオクチルアミン等)、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、難燃剤、充填剤等を適量配合してもよい。
【0034】
<湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法>
本実施形態の湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有し、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比が3以上である。本実施形態の湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法は、ポリエーテルポリオール、非晶性ポリエステルポリオール及び結晶性ポリエステルポリオールを含むポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程を備える。
【0035】
具体的には、湿気硬化型ホットメルト接着剤は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて、ウレタンプレポリマーを得てから、必要に応じて配合するその他の成分と混合することにより製造してもよい。
【0036】
上記湿気硬化型ホットメルト接着剤の製造方法では、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比が3以上となるようにポリイソシアネート成分とポリオール成分とを配合する。
【0037】
湿気硬化型ホットメルト接着剤は、被着体表面に塗布することにより被着体同士を接着させることができる。被着体としては、例えば、金属被着体(SUS、アルミニウム等)、非金属被着体(ポリカーボネート、ガラス等)が挙げられる。湿気硬化型ホットメルト接着剤は、非金属被着体だけでなく、金属被着体に対しても優れる接着性を示す。
【0038】
本実施形態の湿気硬化型ホットメルト接着剤の接着性を評価する方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられる。まず、湿気硬化型ホットメルト接着剤を100~120℃の温度で溶融した後、被着体に塗布して形成された接着層の上に、他の被着体を貼り合わせて積層体を作製する。次いで、得られた積層体を所定の期間養生した後、せん断引張試験を行い、接着強度をJIS K6850に準じて測定する。湿気硬化型ホットメルト接着剤の塗布厚みとしては、使用される用途によって適宜決定されるが、例えば、1~200μmの範囲であることが好ましい。塗布厚みがこの範囲内であると、発泡し難くなり、接着性の低下を抑える傾向がある。
【実施例
【0039】
以下、本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
実施例1~3及び比較例1を以下に示す。
【0041】
(実施例1)
ポリプロピレングリコール(ポリエーテルポリオール、数平均分子量:2000)35質量部、イソフタル酸とネオペンチルグリコールを主成分として得られた非晶性ポリエステルポリオール(数平均分子量:1000)7質量部、アジピン酸とエチレングリコールを主成分として得られた結晶性ポリエステルポリオール(1)(数平均分子量:2000)30質量部、予め真空乾燥機により脱水処理したドデカン二酸と1,6-ヘキサンジオールを主成分として得られた結晶性ポリエステルポリオール(2)(数平均分子量:5000)8質量部、及び、その他のポリオール(ポリブタジエンポリオール、商品名:G1000、日本曹達株式会社製、数平均分子量:1400)20質量部と、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」と略され、イソシアネート基数:2)42質量部とを混合した。得られた混合物を加熱及び脱泡攪拌可能な反応容器に投入し、窒素ガス雰囲気中で混合攪拌しながら、110℃で2時間反応させた。なお、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比(NCO/OHの比)は3とした。その後、更に110℃で2時間減圧脱泡攪拌し、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含む湿気硬化型ホットメルト接着剤を得た。
【0042】
(実施例2)
MDIの添加量を84質量部に変更し、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比を6とした以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ホットメルト接着剤を得た。
【0043】
(実施例3)
MDIの添加量を126質量部に変更し、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比を9とした以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ホットメルト接着剤を得た。
【0044】
(比較例1)
MDIの添加量を28質量部に変更し、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基当量/ポリオール成分の水酸基当量の比を2とした以外は、実施例1と同様にして、湿気硬化型ホットメルト接着剤を得た。
【0045】
<接着性の評価>
実施例1~3及び比較例1で得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤を、それぞれ120℃の温度で1時間溶融させた。該接着剤を金属板(SUS又はアルミニウム)上に接着層の厚さが約50μmとなるように塗布した。塗布面積は25mm×6.25mmとした。接着層の上に厚さ約2mmのポリカーボネートを貼り合わせて、積層体を作製した。次いで、得られた積層体を温度23℃、湿度50%の条件下で24時間養生した後、オートグラフAGS-X(株式会社島津製作所製)を用いて、せん断引張試験を行い、接着強度をJIS K6850に準じて測定した。
【0046】
また、実施例1~3及び比較例1で得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤の配合割合(質量部)及びその評価結果を下記表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示すように実施例1~3で得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤は、比較例1で得られた湿気硬化型ホットメルト接着剤と比較して、金属被着体に対する接着性に優れていることがわかる。