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特許7001177化合物、これを含むフォトレジスト組成物、これを含むフォトレジストパターン及びフォトレジストパターンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】化合物、これを含むフォトレジスト組成物、これを含むフォトレジストパターン及びフォトレジストパターンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 237/26 20060101AFI20220112BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220112BHJP
   G03F 7/039 20060101ALI20220112BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220112BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
C07D237/26 CSP
G03F7/004 503A
G03F7/039 601
G03F7/20 521
C07D401/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020548758
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 KR2019013365
(87)【国際公開番号】W WO2020076123
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0120978
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アン、ジュンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リム、ミニョン
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-003249(JP,A)
【文献】特開2013-092618(JP,A)
【文献】特開2008-106045(JP,A)
【文献】特表2013-520458(JP,A)
【文献】国際公開第2018/070327(WO,A1)
【文献】特表2015-532313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 237/26
G03F 7/004
G03F 7/039
G03F 7/20
C07D 401/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
[化学式1]
【化1】
前記化学式1において、
及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;非置換の ~C 60 アルキル基;エステル基で置換もしくは非置換の ~C 60 アリール基;又はピリジニル基であり、
は、非置換のC ~C 60 のアルキル基であり、
~R は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、非置換のC ~C 60 のアリール基であり、
Ar及び Arは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、ハロゲン基ある。
【請求項2】
前記化学式1で表される化合物は、下記化合物のうちいずれか一つである、請求項1に記載の化合物。:
【化2】
【請求項3】
樹脂;
請求項1または2に記載の化合物;
感光性酸発生剤(PAG, Photo acid generator);
酸拡散制御剤;及び
クエンチャー(quencher)を含むフォトレジスト組成物。
【請求項4】
前記樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂;ノルボルネン樹脂;スチレン系樹脂;及びエポキシ樹脂からなる群より選択される1以上を含むものである、請求項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項5】
前記フォトレジスト組成物は、前記樹脂100重量部を基準に、
前記化合物を0.1重量部以上20重量部以下で含むものである、請求項またはに記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
前記フォトレジスト組成物は、前記樹脂100重量部を基準に、
前記感光性酸発生剤を0.1重量部以上20重量部以下で含むものである、請求項からのいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項7】
前記フォトレジスト組成物は、前記樹脂100重量部を基準に、
前記酸拡散制御剤を0.1重量部以上20重量部以下で含むものである、請求項からのいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
界面活性剤;光増感体;及び光塩基発生体からなる群より選択される1以上をさらに含むものである、請求項からのいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項9】
請求項からのいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物を含むフォトレジストパターン。
【請求項10】
請求項からのいずれか一項に記載のフォトレジスト組成物を半導体基板上に塗布してフォトレジスト層を形成するステップ;前記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップ;及び露光されたフォトレジスト層を現像(develop)するステップを含むフォトレジストパターンの製造方法。
【請求項11】
前記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップは、マスクをフォトレジスト上に整列(alignment)させた後、前記マスクで覆われていないフォトレジスト層の領域を紫外線に露出させるステップである、請求項10に記載のフォトレジストパターンの製造方法。
【請求項12】
前記露光されたフォトレジスト層を現像(develop)するステップは、フォトレジスト層中の露光部を現像液に浸漬して除去するステップである、請求項10または11に記載のフォトレジストパターンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月11日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0120978号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に組み含まれる。
【0002】
本明細書は、化合物、これを含むフォトレジスト組成物、これを含むフォトレジストパターン及びフォトレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フォトレジスト組成物は、例えば、コンピュータチップ及び集積回路の作製の際に、小型電子部品を製造するためのマイクロ電子デバイスの工程に使用される。一般に、集積回路の製造のために使用されるシリコン(silicon)系ウェハのような基板材料を使用するマイクロ電子デバイスの工程は、下記の通りである。
【0004】
基板上にフォトレジスト組成物又はフォトレジストフィルムを用いて薄いコーティング膜のフォトレジスト層を形成した後、ベーキング(baking)してコーティング膜を基板上に固定させる。上記基板上に固定されたコーティング膜を像様に露光(image-wise exposure to radiation)させる。上記露光されたコーティング膜を現像液で処理して、フォトレジストの露光領域又は非露光領域を溶解及び除去することにより、マイクロ電子デバイスを製造する。
【0005】
半導体の高集積化は、性能、信頼性、そして人的/物的インフラの面で、他のパターニング技法の追随を許さないフォトリソグラフィ技術の発展に伴って進展してきている。
【0006】
特に、より短い光源と、これに合う光化学反応のフォトレジストを適用できるようになり、高感度化学増幅型フォトレジストを適用したKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFレーザ(193nm)リソグラフィ技術の発展により、デバイスの集積度は急激に増加してきている。
【0007】
現在、193iリソグラフィ技術がクアッドパターニング(Quadruple Patterning)を通じて10nm中/後半台の最小線幅を有するデバイス作製工程を進行する水準に発展したが、非常に高い工程単価と実現可能なパターンの形状が限定されていて、一般的に適用が不可能であり、解像度も16nmが限界点と認識されている。数nmのパターニングが可能な技術は、現在まで極端紫外線(EUV, extreme ultraviolet)が唯一のものと予測されているが、この場合にも、高解像度フォトレジストの不在のため、現在12nmの解像度が限界と予測されている。
【0008】
このような状況に対して、半導体の高集積化のために極端紫外線フォトレジストの開発が要求されているが、現在開発された一部素材は、感度の低下、解像度、LWRの改善など、解決しなければならない問題点を内包している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
大韓民国特許登録公報10-1673890
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書は、化合物、これを含むフォトレジスト組成物、これを含むフォトレジストパターン及びフォトレジストパターンの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
[化学式1]
【化1】
【0012】
上記化学式1において、
及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;ニトリル基;ヒドロキシ基;エステル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
からRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Ar及びArは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;又は置換もしくは非置換のアリール基である。
【0013】
また別の一実施態様によれば、樹脂;本出願に係る化合物;感光性酸発生剤(PAG, Photo acid generator);酸拡散制御剤;及びクエンチャー(quencher)を含むフォトレジスト組成物を提供しようとする。
【0014】
また別の一実施態様において、本出願に係るフォトレジスト組成物を含むフォトレジストパターンを提供する。
【0015】
最後に、本出願の一実施態様において、本出願のフォトレジスト組成物を半導体基板上に塗布してフォトレジスト層を形成するステップ;上記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップ;及び露光されたフォトレジスト層を現像(develop)するステップを含むフォトレジストパターンの製造方法を提供しようとする。
【発明の効果】
【0016】
本出願の一実施態様に係る化合物は、上記化学式1の構造を有することにより、後のフォトレジスト工程において露光部と非露光部とのコントラスト(contrast)をより向上することができ、また、感度を低下させることなくLWR(Line width roughness)も改善可能であるという特徴を有する。
【0017】
また、本出願の一実施態様に係る化合物は、上記化学式1の構造の光崩壊性塩基を含むことにより、これを含むフォトレジストパターンの塩基(base)濃度の増加による感度の低下がないという特徴を有するようになり、フォトレジスト組成物に含まれる樹脂によって上記化学式1の置換基を変更して、相溶性の問題も解決できるという特徴を有する。
【0018】
また、本出願に係る化合物を含むフォトレジスト組成物は、上記化合物を含むことにより、高解像度及びパターンの形状を自由に構成できるという特徴を有する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0020】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0021】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について、添付の図面を参照して詳細に説明する。ところが、本発明は、種々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施例に限定されない。
【0022】
本出願の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物を提供する。
[化学式1]
【化2】
【0023】
上記化学式1において、
及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;ニトリル基;ヒドロキシ基;エステル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
からRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Ar及びArは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;又は置換もしくは非置換のアリール基である。
【0024】
本出願の一実施態様に係る化合物は、化学式1の構造を有することにより、後のフォトレジスト工程において露光部と非露光部とのコントラスト(contrast)をより向上することができ、また、感度を低下させることなくLWR(Line width roughness)も改善可能であるという特徴を有する。
【0025】
また、本出願の一実施態様に係る化合物は、上記化学式1の構造の光崩壊性塩基を含むことにより、これを含むフォトレジストパターンの塩基(base)濃度の増加による感度の低下がないという特徴を有するようになり、フォトレジスト組成物に含まれる樹脂によって上記化学式1の置換基を変更して、相溶性の問題も解決できるという特徴を有する。
【0026】
本明細書において、置換基の例示は、以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0027】
上記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変えられることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一であるか異なっていてもよい。
【0028】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」 という用語は、ハロゲン基;ニトリル基;イミド基;アミド基;カルボニル基;エステル基;ヒドロキシ基;カルボキシ基(-COOH);スルホン酸基(-SOH);置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアリール基;及び置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択された1又は2以上の置換基で置換されたか、上記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、又はいずれの置換基も持たないことを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」は、ビフェニル基であってもよい。すなわち、ビフェニル基は、アリール基であってもよく、2つのフェニル基が連結された置換基と解釈されることができる。
【0029】
本明細書において、
【化3】
は、他の置換基又は結合部に結合される部位を意味する。
【0030】
本明細書において、ハロゲン基は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であってもよい。
【0031】
本明細書において、イミド基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、下記のような構造の化合物になることができるが、これに限定されるものではない。
【化4】
【0032】
本明細書において、アミド基は、アミド基の窒素が水素、炭素数1~30の直鎖、分枝鎖又は環鎖アルキル基又は炭素数6~30のアリール基で置換されることができる。具体的に、下記構造式の化合物になることができるが、これに限定されるものではない。
【化5】
【0033】
本明細書において、カルボニル基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、下記のような構造の化合物になることができるが、これに限定されるものではない。
【化6】
【0034】
本明細書において、エステル基は、エステル基の酸素が、炭素数1~25の直鎖、分枝鎖又は環鎖アルキル基で置換されるアルキルエステル基;炭素数3~30の単環又は多環のシクロアルキル基で置換されるシクロアルキルエステル基又は炭素数6~30のアリール基で置換されるアリールエステル基であってもよい。具体的に、下記構造式の化合物になることができるが、これに限定されるものではない。
【化7】
【0035】
本明細書において、上記アルキル基は、直鎖又は分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。具体的な例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0036】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、具体的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0037】
本明細書において、上記アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖又は環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、i-プロピルオキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0038】
本明細書において、アミン基は、-NH;モノアルキルアミン基;ジアルキルアミン基;N-アルキルアリールアミン基;モノアリールアミン基;ジアリールアミン基;N-アリールヘテロアリールアミン基;N-アルキルヘテロアリールアミン基、モノヘテロアリールアミン基及びジヘテロアリールアミン基からなる群より選択されることができ、炭素数は、特に限定されないが、1~30であることが好ましい。アミン基の具体的な例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、ジトリルアミン基、N-フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、N-フェニルビフェニルアミン基;N-フェニルナフチルアミン基;N-ビフェニルナフチルアミン基;N-ナフチルフルオレニルアミン基;N-フェニルフェナントレニルアミン基;N-ビフェニルフェナントレニルアミン基;N-フェニルフルオレニルアミン基;N-フェニルターフェニルアミン基;N-フェナントレニルフルオレニルアミン基;N-ビフェニルフルオレニルアミン基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0039】
本明細書において、N-アルキルアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基及びアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0040】
本明細書において、N-アリールヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアリール基及びヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0041】
本明細書において、N-アルキルヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基及びヘテロアリールアミン基が置換されたアミン基を意味する。
【0042】
本明細書において、モノアルキルアミン基、ジアルキルアミン基、N-アルキルアリールアミン基、アルキルチオキシ基、アルキルスルホキシ基、N-アルキルヘテロアリールアミン基中のアルキル基は、上述したアルキル基の例示の通りである。具体的に、アルキルチオキシ基としては、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert-ブチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、オクチルチオキシ基などがあり、アルキルスルホキシ基としては、メシル、エチルスルホキシ基、プロピルスルホキシ基、ブチルスルホキシ基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、シリル基は、具体的に、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0044】
本明細書において、ホウ素基は、-BR100101であってもよく、上記R100及びR101は、同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;ニトリル基;置換もしくは非置換の炭素数3~30の単環又は多環のシクロアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖又は分枝鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環又は多環のアリール基;及び置換もしくは非置換の炭素数2~30の単環又は多環のヘテロアリール基からなる群より選択されることができる。
【0045】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は、具体的に、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0046】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、 上記アリール基は、単環式又は多環式であってもよい。
【0047】
上記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は、特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましい。具体的に、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0048】
上記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は、特に限定されないが、炭素数10~30であることが好ましい。具体的に、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、トリフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0049】
本明細書において、上記フルオレニル基は、置換されることができ、隣接する基が互いに結合して環を形成することができる。
【0050】
上記フルオレニル基が置換される場合、下記の構造式を有することができ、但し、これに限定されるものではない。
【化8】
【0051】
本明細書において、「隣接する」基は、該当置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、該当置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、又は該当置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環でオルト(ortho)位に置換された2個の置換基及び脂肪族環で同一の炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接する」基と解釈されることができる。
【0052】
本明細書において、モノアリールアミン基、ジアリールアミン基、アリールオキシ基、アリールチオキシ基、アリールスルホキシ基、N-アリールアルキルアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基及びアリールホスフィン基中のアリール基は、上述したアリール基の例示の通りである。具体的に、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチル-フェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基などがあり、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2-メチルフェニルチオキシ基、4-tert-ブチルフェニルチオキシ基などがあり、アリールスルホキシ基としては、ベンゼンスルホキシ基、p-トルエンスルホキシ基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0053】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的に、上記異種原子は、O、N、Se及びSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は、特に限定されないが、炭素数2~30であることが好ましく、上記ヘテロアリール基は、単環式又は多環式であってもよい。ヘテロ環基の例としては、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基及びジベンゾフラニル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0054】
本明細書において、モノヘテロアリールアミン基、ジヘテロアリールアミン基、N-アリールヘテロアリールアミン基及びN-アルキルヘテロアリールアミン基中のヘテロアリール基の例示は、上述したヘテロアリール基の例示の通りである。
【0055】
本明細書において、炭化水素環は、芳香族、脂肪族又は芳香族と脂肪族との縮合環であってもよく、上記1価でないことを除き、上記シクロアルキル基又はアリール基の例示の中から選択されることができる。
【0056】
本明細書において、芳香族炭化水素環は、単環又は多環であってもよく、1価でないことを除き、上記アリール基の例示の中から選択されることができる。
【0057】
本明細書において、ヘテロ環は、炭素ではない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的に、上記異種原子は、O、N、Se及びSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。上記ヘテロ環は、単環又は多環であってもよく、芳香族、脂肪族又は芳香族と脂肪族との縮合環であってもよく、1価でないことを除き、上記ヘテロアリール基の例示の中から選択されることができる。
【0058】
本出願の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;ニトリル基;ヒドロキシ基;エステル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であってもよい。
【0059】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;エステル基;置換もしくは非置換のC~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC~C60のアリール基;又は置換もしくは非置換のC~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0060】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;エステル基;置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基;置換もしくは非置換のC~C40のアリール基;又はC~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0061】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;エステル基;ハロゲン基で置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基;ハロアルキル基, ハロゲン基及びアルキルエステル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC~C40のアリール基;又はC~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0062】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;ハロゲン基;エステル基;ハロゲン基で置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基;ハロアルキル基、ハロゲン基及びメチルエステル基で置換もしくは非置換のC~C40のアリール基;又はC~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0063】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;C~C40のアルキル基;メチルエステル基で置換もしくは非置換のC~C40のアリール基;又は置換もしくは非置換のC~C40のN含有ヘテロアリール基であってもよい。
【0064】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;メチル基;トリフルオロメチル基;ピリジン基;ピリミジン基;トリフルオロメチル基、ハロゲン基及びメチルエステル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基であってもよい。
【0065】
また別の一実施態様において、上記R及びRは、下記構造式の中から選択されるいずれか一つであってもよい。
【化9】
【0066】
上記構造式において、
Rは、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0067】
上記構造式において、
【化10】
は、置換基と連結される部位を意味する。
【0068】
上記R及びRが上記置換基を有することにより、後でフォトレジスト組成物に含まれる樹脂の種類に合わせて高い相溶性を有することができる。
【0069】
本出願の一実施態様において、上記Rは、置換もしくは非置換のC~C60のアルキル基であってもよい。
【0070】
また別の一実施態様において、上記Rは、置換もしくは非置換のC~C30のアルキル基であってもよい。
【0071】
また別の一実施態様において、上記Rは、C~C30のアルキル基であってもよい。
【0072】
また別の一実施態様において、上記Rは、メチル基であってもよい。
【0073】
本出願の一実施態様において、上記R~Rは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC~C60のアリール基であってもよい。
【0074】
また別の一実施態様において、上記R~Rは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC~C40のアリール基であってもよい。
【0075】
また別の一実施態様において、上記R~Rは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、C~C40のアリール基であってもよい。
【0076】
また別の一実施態様において、上記R~Rは、フェニル基であってもよい。
【0077】
本出願の一実施態様において、上記Ar及びArは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又はハロゲン基であり、上記Ar及びArのうち少なくとも一つは、ハロゲン基を含むことができる。
【0078】
また別の一実施態様において、上記Ar及びArは、互いに同一であるか異なっており、それぞれ独立して、水素;又はフルオロ基であり、上記Ar及びArのうち少なくとも一つは、フルオロ基を含むことができる。
【0079】
本出願の一実施態様において、上記化学式1で表される化合物は、下記化合物のうちいずれか一つのものである化合物を提供する。
【化11】
【0080】
本出願の一実施態様によれば、樹脂;本出願に係る化合物;感光性酸発生剤(PAG, Photo acid generator);酸拡散制御剤;及びクエンチャー(quencher)を含むフォトレジスト組成物を提供しようとする。
【0081】
本出願に係る化合物を含むフォトレジスト組成物は、上記化合物を含むことにより、高解像度及びパターンの形状を自由に構成できるという特徴を有する。
【0082】
特に、本出願に係るフォトレジスト組成物は、上記化学式1の化合物を光崩壊性塩基として含むことにより、露光部と非露光部とのコントラスト(contrast)をより向上することができ、感度を低下させることなくLWR(Line width roughness)の改善が可能であるという特徴を有するようになる。
【0083】
フォトレジスト組成物は、例えばコンピュータチップ及び集積回路の作製の際に、小型電子部品を製造するためのマイクロ電子デバイスの製造工程に使用されるマイクロ又はナノパターンの形成に用いられ、このようなパターンを形成する工程をリソグラフィ工程と言う。一般に、集積回路の製造のために使用されるシリコン(silicon)系ウェハのような基板材料を使用するリソグラフィ工程は、下記の通りである。
【0084】
基板上にフォトレジスト組成物コーティング膜又はフォトレジストフィルムを用いて薄いフォトレジスト層を形成した後、ベーキング(baking)してフォトレジスト層を基板上に固定させる。上記基板上に固定されたフォトレジスト層を像様に露光(image-wise exposure to radiation)させる。上記露光されたフォトレジスト層を現像液で処理して、フォトレジスト層の露光領域を溶解及び除去することにより、マイクロ又はナノパターンを形成する。
【0085】
本出願の一実施態様において、上記樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂;ノルボルネン樹脂;スチレン系樹脂;及びエポキシ樹脂からなる群より選択される1以上を含むことができる。
【0086】
本出願の一実施態様において、上記樹脂は、下記化学式2及び3で表される単量体の中から選択される1以上の単量体を含む。
[化学式2]
【化12】
[化学式3]
【化13】
【0087】
上記化学式2及び3において、
11は、水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Pは、水素;ハロゲン基;ニトリル基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のエステル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のホウ素基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のアリールホスフィン基;置換もしくは非置換のホスフィンオキシド基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
m及びnは、それぞれ1~100の整数である。
【0088】
本出願の一実施態様において、上記樹脂は、下記化学式2-1及び3-1で表される単量体の中から選択される1以上の単量体を含む。
[化学式2-1]
【化14】
[化学式3-1]
【化15】
【0089】
上記化学式2-1及び3-1において、
Lは、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
11は、水素;ハロゲン基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
12は、水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
m及びnは、それぞれ1~100の整数である。
【0090】
本出願の一実施態様において、上記Lは、直接結合であってもよい。
【0091】
本出願の一実施態様において、上記R11は、水素;又は置換もしくは非置換のアルキル基であってもよい。
【0092】
また別の一実施態様において、上記R11は、置換もしくは非置換のC~C60のアルキル基であってもよい。
【0093】
また別の一実施態様において、上記R11は、置換もしくは非置換のC~C40のアルキル基であってもよい。
【0094】
また別の一実施態様において、上記R11は、直鎖のC~C40のアルキル基であってもよい。
【0095】
また別の一実施態様において、上記R11は、メチル基であってもよい。
【0096】
本出願の一実施態様において、上記R12は、下記構造式の中から選択されるいずれか一つであってもよい。
【化16】
【0097】
上記構造式において、
【化17】
は、上記化学式2-1又は3-1のOと連結される位置を意味する。
【0098】
本出願の一実施態様において、上記樹脂の重量平均分子量は、3000g/mol以上15000g/mol以下、好ましくは3500g/mol以上13000g/mol以下であってもよい。
【0099】
上記樹脂の重量平均分子量が上記範囲を満足することによって、後で形成されたフォトレジストパターンの感度に優れ、クラックが生じないという特徴を有するようになる。
【0100】
上記重量平均分子量とは、分子量が均一でなく、ある高分子物質の分子量が基準として使用される平均分子量の一つであって、分子量分布のある高分子化合物の成分分子種の分子量を重量分率で平均して得られる値である。
【0101】
上記重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC) 分析を通じて測定されることができる。
【0102】
上記樹脂は、酸によって解離されてアルカリ現像液に対する溶解性が増大する重合体であって、高分子主鎖の構造上、ガラス転移温度が非常に高くて酸の拡散を抑制して、高解像度の実現が可能であるという特徴を有するようになる。
【0103】
本出願の一実施態様において、上記感光性酸発生剤は、光を受けて酸を発生する物質であって、樹脂の不安定性基を反応させて、溶解度を増加させ、後でこれを含むフォトレジストパターンのパターニングを可能にする物質である。
【0104】
上記感光性酸発生剤は、陽イオンと陰イオンの塩であることが好ましい。上記感光性酸発生剤は, 露光の波長の放射線の吸収が十分小さく、露光時の放射線に対して酸が直接発生しないことが好ましい。これにより、フォトレジスト組成物の中で、露光時には、パターン露光部でのみ光増感反応によって酸が発生することができる。
【0105】
上記感光性酸発生剤は、具体的には、オニウム塩化合物、ジアゾメタン化合物、及びスルホンイミド化合物などが挙げられる。また、オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩化合物、テトラヒドロチオフェニウム塩化合物、及びヨードニウム塩化合物などが挙げられる。上記感光性酸発生剤は、スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、スルホニルジアゾメタン、N-スルホニルオキシイミド、及びオキシム-O-スルホネート型感光性酸発生剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、スルホニウム塩化合物及びヨードニウム塩化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことがより好ましい。
【0106】
本出願の一実施態様において、上記スルホニウム塩化合物としては、具体的には、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムペルフルオロ-n-オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムペルフルオロ-n-オクタンスルホネート、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムペルフルオロ-n-オクタンスルホネート、及び4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネートなどが挙げられる。
【0107】
ヨードニウム塩化合物としては、具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムペルフルオロ-n-オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ-n-ブタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムペルフルオロ-n-オクタンスルホネート、及びビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム2-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル-1,1,2,2-テトラフルオロエタンスルホネートなどが挙げられる。
【0108】
本出願の一実施態様において、上記感光性酸発生剤は、下記化学式4で表されることができる。
[化学式4]
【化18】
【0109】
上記化学式4において、
11は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、sは、1~5の整数であり、sが2以上の場合、L11は、互いに同一であるか異なっており、
は、オニウム陽イオンであり,
は、酸の陰イオンであり、
21は、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0110】
本出願の一実施態様において、上記Xは、酸の陰イオンであり、上記酸の陰イオンとしては、スルホン酸陰イオン、カルボン酸陰イオン、スルホニルイミド陰イオン、ビス(アルキルスルホニル)イミド陰イオン及びトリス(アルキルスルホニル)メチド陰イオンからなる群より選択される1種の陰イオン基であってもよい。
【0111】
本出願の一実施態様において、上記Xは、-SO であってもよい。
【0112】
本出願の一実施態様において、上記Qは、オニウム陽イオンであってもよい。
【0113】
上記オニウム陽イオンは、S;I;O;N;P;Cl;Br;F;As;Se;Sn;Sb;Te;又はBi元素を含むオニウム陽イオンであってもよい。
【0114】
また別の一実施態様において、上記Qは、下記化学式4-1で表されることができる。
[化学式4-1]
【化19】
【0115】
上記化学式4-1において、
22~R24は、置換もしくは非置換のアリール基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0116】
本出願の一実施態様において、L11は、直接結合;置換もしくは非置換のアルキレン基;置換もしくは非置換のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0117】
また別の一実施態様において、L11は、直接結合;置換もしくは非置換のC~C60のアルキレン基;置換もしくは非置換のC~C60のアリーレン基;又は置換もしくは非置換のC~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0118】
また別の一実施態様において、L11は、直接結合;又は置換もしくは非置換のC~C60のアルキレン基であってもよい。
【0119】
また別の一実施態様において、L11は、直接結合;又はハロゲン基で置換もしくは非置換のC~C60のアルキレン基であってもよい。
【0120】
また別の一実施態様において、L11は、直接結合;又はハロゲン基で置換もしくは非置換のC~C40のアルキレン基であってもよい。
【0121】
また別の一実施態様において、L11は、直接結合;又はフルオロ基(-F)で置換もしくは非置換のC~C40のアルキレン基であってもよい。
【0122】
また別の一実施態様において、L11は、直接結合;又はフルオロ基(-F)で置換もしくは非置換のメチレン基であってもよい。
【0123】
本出願の一実施態様において、上記R22~R24は、置換もしくは非置換のC~C60のアリール基であってもよい。
【0124】
また別の一実施態様において、上記R22~R24は、C~C60のアルキル基で置換もしくは非置換のC~C60のアリール基であってもよい。
【0125】
また別の一実施態様において、上記R22~R24は、C~C40のアルキル基で置換もしくは非置換のC~C40のアリール基であってもよい。
【0126】
また別の一実施態様において、上記R22~R24は、tert-ブチル基で置換もしくは非置換のフェニル基であってもよい。
【0127】
本出願の一実施態様において、上記R21は、置換もしくは非置換のアルキル基;又は置換もしくは非置換のシクロアルキル基であってもよい。
【0128】
また別の一実施態様において、上記R21は、置換もしくは非置換のC~C60のアルキル基;置換もしくは非置換のC~C60のシクロアルキル基であってもよい。
【0129】
本出願の一実施態様において、上記感光性酸発生剤は、下記構造で表すことができる。
【化20】
【0130】
本出願の一実施態様において、上記酸拡散制御剤及びクエンチャーは、露光部で発生した酸が非露光部に拡散して非露光部で反応が起きることを抑制する物質である。
【0131】
本出願の一実施態様において、上記酸拡散制御剤及びクエンチャーは、下記化学式5で表されることができる。
[化学式5]
【化21】
【0132】
上記化学式5において、
31~R33は、置換もしくは非置換のアルキル基;及び置換もしくは非置換のエステル基からなる群より選択されるか、隣接する2以上の基は結合して、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素環又は置換もしくは非置換のヘテロ環を形成する。
【0133】
本出願の一実施態様において、上記酸拡散制御剤及びクエンチャーは、下記構造式の中から選択されるいずれか一つであってもよい。
【化22】
【0134】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、溶媒をさらに含むことができ、上記溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1, 1,2-トリクロロエテン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、t-ブタノール、2-エトキシプロパノール、2-メトキシプロパノール、3-メトキシブタノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、エチル3-エトキシプロピオネート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これにのみ限定されるものではない。
【0135】
上記溶媒として、好ましくはプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)が使用されることができる。
【0136】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、界面活性剤;光増感体;及び光塩基発生体からなる群より選択される1以上をさらに含むことができる。
【0137】
本出願の一実施態様において、上記界面活性剤は、フォトレジスト組成物内の気泡(Bubble)の発生を抑制し、接着力を向上し、コーティングの均一度増加の役割を果たす物質であれば、制限なく使用することができる。
【0138】
本出願の一実施態様において、上記光増感体は、上記感光性酸発生剤の活性を増加させる物質であって、フォトレジストパターンの感度を増加させる役割を果たす物質である。
【0139】
本出願の一実施態様において、上記光塩基発生体は、光を受けて塩基を発生する物質であれば、制限なく使用することができる。
【0140】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記化合物を0.1重量部以上20重量部以下で含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0141】
また別の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記化合物を0.1重量部以上20重量部以下、好ましくは0.1重量部以上15重量部以下、さらに好ましくは0.2重量部以上10重量部以下で含むことができる。
【0142】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記感光性酸発生剤を0.1重量部以上20重量部以下で含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0143】
また別の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記感光性酸発生剤を0.1重量部以上20重量部以下、好ましくは1重量部以上15重量部以下、さらに好ましくは2重量部以上10重量部以下で含むことができる。
【0144】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記酸拡散制御剤を0.1重量部以上20重量部以下で含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0145】
また別の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記酸拡散制御剤を0.1重量部以上20重量部以下、好ましくは0.3重量部以上10重量部以下、さらに好ましくは0.5重量部以上5重量部以下で含むことができる。
【0146】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記界面活性剤を0.01重量部以上5重量部以下で含むことができる。
【0147】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記光増感体を0.1重量部以上10重量部以下で含むことができる。
【0148】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記光塩基発生体を0.1重量部以上10重量部以下で含むことができる。
【0149】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記クエンチャーを0.1重量部以上10重量部以下で含むフォトレジスト組成物を提供する。
【0150】
また別の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記樹脂100重量部を基準に、上記クエンチャーを0.1重量部以上10重量部以下、好ましくは0.1重量部以上5重量部以下、さらに好ましくは0.2重量部以上1重量部以下で含むことができる。
【0151】
上記フォトレジスト組成物が上記重量範囲の物質を含むことによって、高解像度及びパターンの形状を自由に構成できるという特徴を有する。
【0152】
本明細書の一実施態様は、本出願の一実施態様に係るフォトレジスト組成物を含むフォトレジストパターンを提供する。
【0153】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物は、上記フォトレジストパターンにそのまま含まれることができる。
【0154】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物を用いて形成されたフォトレジストパターンを提供する。
【0155】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジストパターンは、下記製造方法によって製造されることができる。
【0156】
本明細書の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物を用いたフォトレジストパターンを形成するフォトリソグラフィ(Photo Lithography)工程は、上記フォトレジスト組成物を用いて半導体基板上にフォトレジスト層を形成するステップ;上記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップ;及び露光されたフォトレジスト層を現像(develop)するステップを含むことができる。
【0157】
本出願の一実施態様において、フォトレジスト組成物を半導体基板上に塗布してフォトレジスト層を形成するステップ;上記フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップ;及び露光されたフォトレジスト層を現像(develop)するステップを含むフォトレジストパターンの製造方法を提供する。
【0158】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト層を形成するステップは、フォトレジスト組成物を基板上に塗布するステップ;及び上記塗布物を乾燥するステップ(soft baked)を含む。
【0159】
本明細書の一実施態様において、上記フォトレジスト組成物の塗布方法としては、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機などで塗布する方法やスプレーコーターで噴霧する方法などを使用することができるが、上記フォトレジスト組成物を塗布できる方法であれば、制限なく使用することができる。
【0160】
上記塗布物を乾燥(soft bake)するステップにおいて、上記塗布物を70℃~180℃で30秒~120秒の条件で乾燥することができる。乾燥方法としては、例えば、オーブン、ホットプレート、真空乾燥などがあるが、これに限定されない。上記乾燥ステップを経ると、フォトレジスト組成物から溶媒が除去されてウェハと感光性樹脂層との接着力が増加し、半導体基板上にフォトレジスト層を形成することができる。
【0161】
本出願の一実施態様において、フォトレジスト層を選択的に露光(exposure)するステップは、マスクをフォトレジスト上に整列(alignment)させた後、マスクで覆われていないフォトレジスト層の領域を紫外線に露出させるステップである。上記マスクは、フォトレジスト層に接することもでき、フォトレジスト層から一定の距離離れて整列されることもできる。
【0162】
上記露光工程において、光照射手段で照射される光源としては、電磁波、極端紫外線(EUV, extreme ultraviolet)、紫外線から可視光、電子線、X線、レーザ光などが挙げられる。また、光源の照射方法としては、高圧水銀灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、ハロゲンランプ、コピー機用冷陰極管、LED、半導体レーザなど公知の手段を使用することができる。
【0163】
本出願の一実施態様において、上記フォトレジスト層を選択的に露光するステップは、露光後、露光されたフォトレジスト層を加熱(post-exposure bake)するステップをさらに含むことができる。露光されたフォトレジスト層を加熱することにより、フォトレジスト組成物内の成分を再整列させて、 フォトレジスト層の波現象(standing wave)を減少させることができる。
【0164】
上記加熱(post-exposure bake)は、フォトレジスト層を70℃~180℃で30秒~120秒の条件で行うことができる。
【0165】
本出願の一実施態様において、上記露光されたフォトレジスト層を現像(develop)するステップは、フォトレジスト層中の露光部を現像液に浸漬して除去するステップである。上記現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法などを使用することができるが、これに限定されない。
【0166】
上記現像液としては、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア水第4級アンモニウム塩のような塩基性水溶液を使用することができる。この中で、テトラメチルアンモニウム水溶液のようなアンモニア第4級アンモニウム水溶液が特に好ましい。
【0167】
上記のようなステップを通じて、本出願の一実施態様に係るフォトレジストパターンを形成することができる。
【0168】
本発明の一実施態様において、上記フォトレジスト層のパターン形成方法は、半導体製造工程に使用されることができる。
【0169】
具体的に、半導体製造工程の一実施態様において、上記フォトリソグラフィ工程に、フォトレジスト層によって覆われていない半導体基板の領域をエッチング(etching)し、フォトレジスト層を半導体基板から除去(ashing)するステップをさらに含む。
【0170】
上記フォトレジスト層によって覆われていない半導体基板の領域をエッチング(etching)するステップは、フォトレジスト層のパターン以外の半導体基板領域を食刻するステップである。
【0171】
上記フォトレジスト層を半導体基板から除去するステップは、公知の方法を使用することができ、例えば、反応チャンバを用いて低圧状態でウェハを加熱した後、酸素基や酸素イオンを含むプラズマを注入して行うことができる。
【0172】
上記半導体基板は、制限されるものではなく、当該技術分野に知られている公知のものを使用することができる。例えば、電子部品用基板や、これに所定の配線パターンが形成されたものなどを例示することができる。上記電子部品用基板としては、例えば、シリコン、窒化シリコン、チタン、タンタル、パラジウム、チタンタングステン、銅、クロム、鉄、アルミニウム、金、ニッケルなどの金属製基板やガラス基板などが挙げられる。上記配線パターンの材料としては、例えば、銅、半田、クロム、アルミニウム、ニッケル、金などが使用されることができるが、これに限定されるものではない。
【0173】
本明細書の一実施態様は、上記フォトレジストパターンを含む電子機器を提供する。
【0174】
上記電子機器は、本明細書に係る組成物から製造されたフォトレジスト層が適用できるものであれば、制限なく使用することができる。例えば、回路基板の製造、電子部品の製造、バンプやメタルポストなどの接続端子、配線パターンなどのように広範囲な用途に適用可能である。
【実施例
【0175】
以下、本明細書を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。ところが、本明細書に係る実施例は、種々の異なる形態に変形されることができ、本明細書の範囲が以下に述べる実施例に限定されるものとは解釈されない。本明細書の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0176】
<製造例>
<化合物の合成>
【化23】
上記化合物の合成において、下記表1に記載された置換基を使用して化合物を合成した。
【0177】
【表1】
【0178】
中間体1の製造
【化24】
シクロペンタジエン(Cyclopentadiene)(132.2g、2.0mol)と2-カルボキシエチルアクリレート(2-carboxyethyl acrylate)(130.1g、1.0mol)、4-メトキシフェノール(4-methoxyphenol)(2.4g, 0.02mol)を高圧反応器に入れて、180℃で18時間反応させた後、減圧蒸留して、中間体1(190g、97%)を得た。
【0179】
1H-NMR (CDCl3):(ppm) δ6.3(dd, H), 6.2(dd, H), 3.6(s, 3H), 3.34(dd, H), 3.29(dd, H), 3.2 - 3.1(m, 2H), 1.5(m, H), 1.4 - 1.3(br, H)
【0180】
中間体2の製造
【化25】
上記中間体1(196g、1.0mol)、ソジウム1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエタン-1-スルホネート(sodium 1,1-difluoro-2-hydroxyethane-1-sulfonate)(220.9g, 1.2mol)、HSO(19.6g、0.2mol)を入れて60℃で6時間反応させる。反応終了後、HO 1Lを投入して酢酸エチル(ethyl acetate)1Lで3回抽出した後、溶媒を除去する。 得られた結果物をEtOHで再結晶して、中間体2(330g、91%)を得た。
【0181】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm) δ = 6.1 - 6.0(m, 2H), 4.9(m, 2H), 3.7 - 3.5(m, 5H), 3.1 - 2.9(m, 2H), 1.8 - 1.5(m, 2H)
【0182】
中間体3の製造
【化26】
上記中間体2(181g、0.5mol)、トリフェニルスルホニウムブロミド(triphenylsulfonium bromide)(172g、0.5mol)をHO:ジクロロメタン(dichloro-methane)=1:1溶液1Lに入れて、常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、有機層をHO 1Lで3回洗浄した後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、中間体3(化合物B1)(280g、93%)を得た。
【0183】
1H-NMR (DMSO-D6) :(ppm) δ = 7.4 - 7.1(m, 15H), 6.1 - 6.0(m, 2H), 4.5(m, 2H), 3.7 - 3.5(m, 5H), 3.1 - 2.9(m, 2H), 1.8 - 1.5(m, 2H)
【0184】
中間体4の製造
【化27】
上記中間体1(196.0g、1.0mol)とシクロペンタジエン(Cyclopentadiene)(132.2g、2.0mol)、4-メトキシフェノール(4-methoxyphenol)(2.4g、0.02mol)を高圧反応器に入れて、180℃で18時間反応させた後、減圧蒸留して、中間体4(250g、95%)を得る。
【0185】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm) δ = 6.1 - 6.0(m, 2H), 3.6(s, 3H), 2.8(m, H), 2.6 - 2.4(m, 3H), 2.2 - 1.6(m, 4H), 1.2(m, 2H), 1.0 - 0.7(m, 2H)
【0186】
中間体5の製造
【化28】
上記中間体4(131.0g、0.5mol)、ソジウム1,1-ジフルオロ-2-ヒドロキシエタン-1-スルホネート(sodium 1,1-difluoro-2-hydroxyethane-1-sulfonate)(110.5g、0.6mol)、HSO(9.8g、0.1mol)を入れて、60℃で6時間反応させる。反応終了後、HO 1Lを投入して酢酸エチル(ethyl acetate)1Lで3回抽出した後、溶媒を除去する。得られた結果物をEtOHで再結晶して、中間体5(196.9g、92%)を得る。
【0187】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm) δ = 6.1 - 6.0(m, 2H), 4.9(dd, 2H), 3.7(s, 3H), 2.85(m, H), 2.6 - 2.4(m, 3H), 2.2 - 1.6(m, 4H), 1.2(m, 2H), 1.1 - 0.7(m, 2H)
【0188】
中間体6の製造
【化29】
上記中間体5(214.0g、0.5mol)、トリフェニルスルホニウムブロミド(triphenylsulfonium bromide)(172g、0.5mol)をHO:ジクロロメタン(dichloro-methane)=1:1溶液1Lに入れて、常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、有機層をHO 1Lで3回洗浄した後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、中間体6(化合物B2)(314.0g、94%)を得る。
【0189】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm) δ = 7.4 - 7.1(m, 15H), 6.2 - 6.0(m, 2H), 4.9(dd, 2H), 3.7(s, 3H), 2.85(m, H), 2.6 - 2.4(m, 3H), 2.2 - 1.6(m, 4H), 1.2(m, 2H), 1.1 - 0.7(m, 2H)
【0190】
上記表1に記載した製造例1~製造例6の具体的な合成は、下記の通りである。
【0191】
<製造例1>
【化30】
1,2,4,5-テトラジン(1,2,4,5-tetrazine)(4.5g、0.055mol)、上記中間体3(30g、0.05mol)をジクロロメタン(dichloromethane)1Lに入れて、常温で12時間反応させる。反応終了後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、A1(31.2g、95%)を得た。
【0192】
1H-NMR (DMSO-D6):(ppm) δ = 7.5(d, H), 7.4 - 7.1(m, 15H), 5.7(s, H), 4.5(m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.1 - 2.8(m, 3H), 2.3 - 2.2(m, H), 2.1 - 2.0(m, H), 1.7 - 1.4(m, 2H)
【0193】
<製造例2>
【化31】
3-メチル-1,2,4,5-テトラジン(3-methyl-1,2,4,5-tetrazine)(5.2g、0.055mol)、上記中間体3(30g、0.05mol)をジクロロメタン(dichloromethane)1Lに入れて、常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、A2(31.2g、93%)を得た。
【0194】
1H-NMR (DMSO-D6) :(ppm) δ = 7.4 - 7.1(m, 15H), 5.6(s, H), 4.4(m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.1 - 2.8(m, 3H), 2.4 - 1.9(m, 5H), 1.7 - 1.4(m, 2H)
【0195】
<製造例3>
【化32】
3-フェニル-1,2,4,5-テトラジン(3-phenyl-1,2,4,5-tetrazine)(8.7g、0.055mol)、上記中間体3(30g、0.05mol)をジクロロメタン(dichloromethane)1Lに入れて、常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、A3(34.4g、94%)を得た。
【0196】
1H-NMR (DMSO-D6) :(ppm) δ = 7.9(m, 2H), 7.5 - 7.1(m, 18H), 5.6(s, H), 4.4(m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.1 - 2.8(m, 3H), 2.2 - 1.9(m, 2H), 1.7 - 1.4(m, 2H)
【0197】
<製造例4>
【化33】
3,6-ジメチル-1,2,4,5-テトラジン(3,6-dimethyl-1,2,4,5-tetrazine)(6.1g、0.055mol)、上記中間体3(30g、0.05mol)をジクロロメタン(dichloromethane)1Lに入れて、常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、A4(31.8g、94%)を得た。
【0198】
1H-NMR (DMSO-D6) : (ppm) δ = 7.4 - 7.1(m, 15H), 4.4(m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.2 - 2.8(m, 3H), 2.5 - 1.9(m, 8H), 1.7 - 1.4(m, 2H)
【0199】
<製造例5>
【化34】
メチル4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンゾエート(methyl 4-(6-methyl-1,2,4,5-tetrazin-3-yl)benzoate)(12.7g、0.055mol)、上記中間体3(30g、0.05mol)をジクロロメタン(dichloro-methane)1Lに入れて、常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、A5(36.2g、90%)を得た。
【0200】
1H-NMR (DMSO-D6) : (ppm) δ = 7.4 - 7.1(m, 19H), 4.4(m, 2H), 3.9(s, 3H), 3.7(s, 3H), 3.2 - 2.8(m, 3H), 2.5 - 1.9(m, 5H), 1.7 - 1.4(m, 2H)
【0201】
<製造例6>
【化35】
3-フェニル-6-(ピリジン-2-イル)-1,2,4,5-テトラジン(3-phenyl-6-(pyridine-2-yl)-1,2,4,5-tetrazine)(12.9g、0.055mol)、上記中間体3(30g、0.05mol)をジクロロメタン(dichloro-methane)1Lに入れて、常温(25℃)で12時間反応させる。反応終了後、ジエチルエーテル(diethyl ether)を投入して沈殿を形成し、濾過後に乾燥して、A6(36.9g、91%)を得た。
【0202】
1H-NMR (DMSO-D6): (ppm) δ = 8.5(d, H), 7.9(m, 2H), 7.4 - 7.1(m, 21H), 4.4(m, 2H), 3.7(s, 3H), 3.1 - 2.8(m, 3H), 2.2 - 1.9(m, 2H), 1.7 - 1.4(m, 2H)
【0203】
<樹脂の合成>
<重合体R1>
【化36】
組成比A:B:C:D=50:20:20:10 Mw 6,000
2-メトキシエチルメタクリレート(2-methoxyethyl metacrylate)(72g、0.5mol)、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート(2-methyl-2-adamantyl metacrylate)(46.8g、0.2mol)、t-ブチルメタクリレート(tert-butyl metacrylate)(28.4g、0.2mol)、メタクリル酸(metacrylic acid)(8.6g、0.1mol)、テトラヒドロフラン(THF)150gをフラスコに入れて、窒素雰囲気下で20分間撹拌した。
【0204】
AIBN(11.5g、0.07mol)をTHF10gに溶かして、開始剤溶液を製造する。反応溶液を65℃として開始剤溶液を投入した後、18時間撹拌する。反応終了後、アセトンで反応溶液を希釈した後、過量のヘキサンで沈殿を形成する。沈殿を濾過した後、30℃のオーブンで18時間乾燥後に重合体を回収する。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重合体R1の重量平均分子量は、6,000g/molであった。
【0205】
<重合体R2>
【化37】
ノルボルネンモノマー1(17.1g、0.06mol)、ノルボルネンモノマー2(11.5g、0.04mol)、アニソール(anisole)28.6gをフラスコに入れて、窒素雰囲気下で20分間撹拌する。アルゴン雰囲気下でパラジウム触媒をアニソール1gに溶かして、パラジウム触媒溶液を製造する。反応溶液を80℃としてパラジウム触媒溶液を投入した後、18時間撹拌する。 反応終了後、THFで反応溶液を希釈した後、過量のヘキサンで沈殿を形成する。沈殿を濾過した後、30℃のオーブンで18時間乾燥後に重合体を回収する。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重合体R2の重量平均分子量は、5,000g/molであった。
【0206】
<重合体R3>
【化38】
組成比A:B:C:D=50:20:20:10 Mw 6,500
上記重合体R1と同様の方法で、重合を実施する。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重合体R3の重量平均分子量は、6,500g/molであった。
【0207】
<重合体R4>
【化39】
組成比A:B:C=60:30:10 Mw 5,500
上記重合体R2と同様の方法で重合を実施する。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重合体R4の重量平均分子量は、5,500g/molであった。
【0208】
上記製造例1~に係る化合物及び上記重合体について、下記表2の含量及び物質を含むフォトレジスト組成物を製造した。
【0209】
【表2】
[感光性酸発生剤]
【化40】
[化合物B1]
【化41】
[化合物B2]
【化42】
【0210】
上記表2において、感光性酸発生剤、クエンチャー及び化合物の質量%は、全体樹脂固形分4%を基準とする。
【0211】
上記表2において、フォトレジストの評価条件は、SOB 120℃/60s、PEB 110℃/90s、フォトレジスト層の厚さ50~60nmで評価した。
【0212】
最適露光量(dose): 32nm pitch基準、50mJ/cm 以下 (◎)、70mJ/cm以下(○)、90mJ/cm以下(△)、90mJ/cm 超過(×)でそれぞれ記載した。
【0213】
LWR(line width roughness):7nm以下(◎)、10nm以下(○)、13nm以下 (△)、13nm超過(×)でそれぞれ記載した。
【0214】
上記表2から分かるように、本出願の一実施態様に係る化合物は、上記化学式1の構造を有することにより、後のフォトレジスト工程において露光部と非露光部とのコントラスト(contrast)をより向上することができ、また、感度を低下させることなくLWR(line width roughness)が改善されたことが確認できた。
【0215】
上記表2によれば、上記実施例1~6の場合、比較例1~6に比べて最適露光量が低くて、微細パターンの製造に有用であることが分かった。これはフォトレジスト組成物内の塩基濃度の増加による感度の低下がない、化学式1で表される光崩壊性塩基を適用するから、既存のフォトレジスト組成物より感度が高くて、露光量が小さくても高解像度のパターンが実現可能であることが分かった。
【0216】
また、上記表2によれば、上記実施例1~6の場合、比較例1~6に比べて、線幅ラフネス(LWR)が低くて、微細なパターンを形成するのに有用であることが分かった。これは光崩壊性塩基の高い相溶性によってフォトレジスト組成物内に均一に分布して、LWRが改善したことを確認することができる。
【0217】
さらに、本出願の一実施態様に係る化合物は、実施例1~6から分かるように、SO とSのイオン性基を有する化合物を含むものであって、これを含んでいない場合、光酸発生剤としての機能ができなくて、フォトレジスト層を構成できないことが分かった。