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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】内視鏡用プロセッサ装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A61B1/00 631
A61B1/00 685
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018079877
(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2019187494
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高平 正行
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/055797(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/194580(WO,A1)
【文献】特開2013-198129(JP,A)
【文献】特開2010-087950(JP,A)
【文献】特開2012-186668(JP,A)
【文献】特開2002-263063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のネットワークに接続可能な内視鏡用プロセッサ装置において、
エラー発生時以外の第1タイミングにおいて、第1の内視鏡稼働データを、特定のタイミング間隔にて、前記特定のネットワークを介して、内視鏡データ収集サーバに送信し続け、前記エラーが発生するタイミングを含む第2タイミングにおいて、前記第1の内視鏡稼働データよりもデータ容量が大きく、前記エラーが発生したタイミングを含む第2タイミングに送信される第2の内視鏡稼働データを、前記特定のネットワークを介して、前記内視鏡データ収集サーバに送信する内視鏡データ送信部と、
前記エラーと、機器関連情報、及び前記第2の内視鏡稼働データの送信容量に関する送信容量レベルとが関連付けられた第2送信情報設定テーブルと、を備え、
前記第2の内視鏡稼働データは、内視鏡、光源装置、プロセッサ本体における操作情報、動作情報、又は処理情報に関連する前記機器関連情報であり、
前記内視鏡データ送信部は、前記エラーが発生した場合に、前記第2送信情報設定テーブルを参照して、前記第2の内視鏡稼働データとして、前記エラーと前記送信容量レベルとに関連付けられた前記機器関連情報を送信し、
前記第1の内視鏡稼働データは、内視鏡の識別情報、光源装置の識別情報、又はプロセッサ本体の識別情報のいずれか一つを少なくとも含む内視鏡用プロセッサ装置。
【請求項2】
前記機器関連情報は、
観察対象の明るさ情報を示す光量データ、若しくは、内視鏡スコープの先端部の温度、湿度若しくは圧力である撮像部情報、
スイッチ操作情報、若しくは、アングル操作情報であるスコープ操作部情報、
前記内視鏡スコープの処理回路における電圧であるスコープ制御部情報、又は、
検査画像の通信状況、若しくは、機器設定情報であるプロセッサ情報である請求項1記載の内視鏡用プロセッサ装置。
【請求項3】
前記送信容量レベルは、前記特定のネットワークの通信状況によって定められる請求項1又は2に記載の内視鏡用プロセッサ装置。
【請求項4】
前記特定のネットワークの通信速度が速いほど、前記機器関連情報の送信容量を大きくする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の内視鏡用プロセッサ装置。
【請求項5】
前記送信容量レベルは、ユーザー設定によって定められる請求項1又は2に記載の内視鏡用プロセッサ装置。
【請求項6】
前記第2の内視鏡稼働データの送信容量に関する前記送信容量レベルを変更する送信容量レベル変更部を備え、
前記内視鏡データ送信部は、前記送信容量レベル変更部で変更した前記送信容量レベルに基づく前記第2の内視鏡稼働データを送信する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の内視鏡用プロセッサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の操作情報などの内視鏡稼働データを外部のサーバに送信する内視鏡用プロセッサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においては、内視鏡スコープ、光源装置、プロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いる内視鏡診断が行われている。内視鏡システムにおいては、例えば、光源装置の場合であれば、キセノンランプのような経年劣化し易い光源ランプを用いている場合であれば、定期的な交換が必要となる。しかしながら、メンテナンスすべき時期や交換時期については、内視鏡システム毎にそれぞれ異なっているため、どのようなタイミングでメンテナンスを行えばよいかが分からないことが多かった。
【0003】
これに対して、特許文献1では、内視鏡用プロセッサ装置内において、内視鏡用プロセッサに接続された機器を監視するための監視回路を設け、監視回路による監視結果を、ネットワークに接続された内視鏡データ収集サーバに報知するようにしている。これにより、内視鏡データ収集サーバにて、メンテナンス時期等を把握することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-263063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すように、監視結果などの内視鏡稼働データを内視鏡用プロセッサ装置から外部の内視鏡データ収集サーバに送信する場合には、一般的に、外部のネットワークとの通信速度はそれほど速くない。また、内視鏡システムによる検査終了後は電源OFFにされる可能性があることから、状況によっては、内視鏡稼働データを送信するタイミングを逃してしまうことがある。そのため、一旦、病院内のサーバに内視鏡稼働データを送り、そこから状況に応じて、内視鏡稼働データを外部のサーバに送る必要があった。
【0006】
このように病院内のサーバに内視鏡稼働データを一時保存するサーバとして、内視鏡画像を保存する画像保存サーバを流用する場合があるが、メーカなどのサーバとのマッチングが悪いと、画像保存サーバを流用することができない場合がある。したがって、病院内で内視鏡稼働データを保存する場合には、新たな機材の準備が必要になるケースが多く、コストアップ、機材の設置場所の確保、それら機材の保守又は維持などの課題があった。また、セキュリティーの観点にて、病院内の通信インフラをそのまま使用できることは少ないため、内視鏡稼働データを通信するためのネットワークとして、VPN(Virtual Private Network)などの装置、又は別途のネットワーク構築を行おうとすると、通信コストなどの費用がかさむという課題がある。
【0007】
以上のような課題に対しては遅い通信回線であっても、内視鏡稼働データが発生したらすぐに、内視鏡稼働データを内視鏡データ収集サーバに送信することができるようにし、且つ、エラー又はトラブル発生などの原因解析な必要な内視鏡稼働データを確実にする送信することができるようにする必要がある。
【0008】
本発明は、ネットワーク関連機材、通信費など内視鏡稼働データの通信に要する費用を抑えつつ、エラーなどの原因解析に必要な内視鏡稼働データを送信することができる内視鏡用プロセッサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特定のネットワークに接続可能な内視鏡用プロセッサ装置において、エラー発生時以外の第1タイミングにおいて、第1の内視鏡稼働データを、特定のタイミング間隔にて、特定のネットワークを介して、内視鏡データ収集サーバに送信し続け、エラーが発生するタイミングを含む第2タイミングにおいて、第1の内視鏡稼働データよりもデータ容量が大きく、エラーが発生したタイミングを含む第2タイミングに送信される第2の内視鏡稼働データを、特定のネットワークを介して、内視鏡データ収集サーバに送信する内視鏡データ送信部と、エラーと、機器関連情報、及び第2の内視鏡稼働データの送信容量に関する送信容量レベルとが関連付けられた第2送信情報設定テーブルと、を備え、第2の内視鏡稼働データは、内視鏡、光源装置、プロセッサ本体における操作情報、動作情報、又は処理情報に関連する機器関連情報であり、内視鏡データ送信部は、エラーが発生した場合に、第2送信情報設定テーブルを参照して、第2の内視鏡稼働データとして、エラーと送信容量レベルとに関連付けられた機器関連情報を送信し、第1の内視鏡稼働データは、内視鏡の識別情報、光源装置の識別情報、又はプロセッサ本体の識別情報のいずれか一つを少なくとも含む
【0011】
機器関連情報は、観察対象の明るさ情報を示す光量データ、若しくは、内視鏡スコープの先端部の温度、湿度若しくは圧力である撮像部情報、スイッチ操作情報、若しくは、アングル操作情報であるスコープ操作部情報、内視鏡スコープの処理回路における電圧であるスコープ制御部情報、又は、検査画像の通信状況、若しくは、機器設定情報であるプロセッサ情報であることが好ましい。送信容量レベルは、特定のネットワークの通信状況によって定められることが好ましい。特定のネットワークの通信速度が速いほど、機器関連情報の送信容量を大きくすることが好ましい。送信容量レベルは、ユーザー設定によって定められることが好ましい。第2の内視鏡稼働データの送信容量に関する送信容量レベルを変更する送信容量レベル変更部を備え、内視鏡データ送信部は、送信容量レベル変更部で変更した送信容量レベルに基づく第2の内視鏡稼働データを送信することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワーク関連機材、通信費など内視鏡稼働データの通信に要する費用を抑えつつ、エラーなどの原因解析に必要な内視鏡稼働データを送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】病院、クリニックに設けられる内視鏡システムと、内視鏡システムと特定のネットワークを介して接続される内視鏡データ収集サーバとを示す概念図である。
図2】プロセッサ装置から内視鏡データ収集サーバに送信されるデータを示す説明図である。
図3】内視鏡スコープ、プロセッサ装置、及び光源装置を示す概念図である。
図4】内視鏡スコープ情報を示す表である。
図5】光源情報とプロセッサ情報を示す表である。
図6】第1送信情報設定テーブルを示す表である。
図7】第2送信情報設定テーブルを示す表である。
図8】送信容量レベルが変更可能なプロセッサ装置を示す説明図である。
図9】病院、クリニックに設けられる複数の内視鏡システムと、内視鏡システムと特定のネットワークを介して接続される内視鏡データ収集サーバとを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に示すように、病院、クリニックなどの医療機関においては、内視鏡検査のために、内視鏡システム10が設けられている。内視鏡システム10は、患者の体内に挿入される内視鏡スコープ12と、患者の体内を照明するための照明光を内視鏡スコープ12に対して供給する光源装置14と、内視鏡スコープ12によって撮影された観察対象の画像に対して画像処理を施すプロセッサ装置16(内視鏡用プロセッサ装置)とを備えている。また、プロセッサ装置16には、プロセッサ装置16から出力される画像等を表示するためのモニタ17が接続されている。
【0017】
プロセッサ装置16は、特定のネットワーク20に接続可能であり、この特定のネットワーク20を介して、内視鏡稼働データを収集するための内視鏡データ収集サーバ22と通信が可能となっている。内視鏡データ収集サーバ22は、内視鏡スコープ12のメンテナンス等を行うサービス部門に設置されることが好ましく、サービス部門では、内視鏡稼働データを用いて、内視鏡の使用状況等の解析を行う。内視鏡稼働データは、後述するように、少なくとも内視鏡スコープ12、光源装置14、プロセッサ本体16aの識別情報を含む第1の内視鏡稼働データと、内視鏡スコープ12、光源装置14、プロセッサ本体16aにおける操作情報、動作情報、又は処理情報に関連する機器関連情報を含む第2の内視鏡稼働データが含まれる。
【0018】
特定のネットワーク20として、本実施形態では、閉域網である携帯電話網を使用することから、プロセッサ装置16内においては、画像処理等を行うプロセッサ本体16aの他に、携帯電話網に接続するための接続機器16b(例えば、3G/LTEの通信モデム)を内蔵している。なお、特定のネットワークとしては、例えば、インターネット上に構築されたVPN(Virtual Private Network)を使用するようにしてもよい。
【0019】
図2に示すように、プロセッサ装置16のプロセッサ本体16aは、第1タイミングにおいて、第1の内視鏡稼働データを送信し、第1タイミングと異なり、且つエラーが発生したタイミングを含む第2タイミングにおいて、第2の内視鏡稼働データを送信する内視鏡データ送信部30を備えている。エラーとは、内視鏡システム10に含まれる内視鏡スコープ12、光源装置14、プロセッサ本体16の少なくともいずれかが正常に作動しなくなったこと、又は、内視鏡検査に使用することが難しい異常画像が表示されたことなどを、音声やモニタ17上での表示によって通知するこという。
【0020】
エラーは複数あり、例えば、温度異常、湿度異常、気密異常、電圧異常、映像異常、初期化異常、通信異常、画像転送異常、プリント異常、光量異常、光源寿命警告、パラメータ切換え異常、アングル操作異常などが含まれる。これらエラーのうち、温度異常、湿度異常、気密異常に関しては、内視鏡の先端部における温度、湿度、気密の異常が含まれる。電圧異常は、内視鏡スコープ12、光源装置14、及びプロセッサ本体16の電圧が正常の電圧値の範囲外となることをいう。映像異常は、モニタ17上に表示される画像に異常が生じることをいう。初期化異常は、内視鏡システム10を出荷時の状態に戻す初期化処理を正常に行えないことをいう。通信異常は、内視鏡スコープ12とプロセッサ本体16との間の通信、光源装置14とプロセッサ本体16との間の通信に異常が生じることをいう。
【0021】
また、画像転送異常は、内視鏡スコープ12からプロセッサ本体16に画像を送る転送処理に異常が生じることをいう。プリント異常は、プロセッサ本体16に接続されるプリンターに異常が生じることをいう。光量異常は、光源装置14から発せられる光の光量が許容範囲外となることをいう。光源寿命警告、光源装置14内に内蔵される光源が劣化して適正な光量の光を発光することができないことを報知するための警告である。また、パラメータ切換え異常は、観察モードに切替時において、プロセッサ本体16での画像処理のパラメータの切換えに異常が生じることをいう。アングル操作異常は、内視鏡スコープ12の先端部のアングル操作に異常が生じることをいう。
【0022】
また、エラーの種類毎にエラー番号(例えば、「E0001」、「E0002」等)が付されている。第1の内視鏡稼働データは、第2の内視鏡稼働データよりもデータ容量を低くしている。一方、内視鏡データ収集サーバでは、内視鏡データ受信部32によって、第1タイミングにおいて、第1の内視鏡稼働データを受信し、第2タイミングにおいて、第2の内視鏡稼働データを受信する。
【0023】
なお、第1タイミングと第2タイミングは同じタイミング又は異なるタイミングであってもよい。例えば、第1タイミングと第2タイミングを同じタイミングにして、第1の内視鏡稼働データと第2の内視鏡稼働データの両方を送るようにすることで、エラーの原因解析に必要な情報を多く収集することができる。一方、エラーが発生した場合には、データの送信容量を抑えるために、第1タイミングと第2タイミングを異ならせて、第2の内視鏡稼働データのみを送信するようにしてもよい。また、第1タイミングは特定のタイミング間隔(例えば、2秒間隔)とすることで、内視鏡システム10による検査中、特定のタイミング間隔にて、第1の内視鏡稼働データを送信し続けるようにしてもよい。
【0024】
ここで、特定のネットワーク20における通信速度が遅い場合であっても、内視鏡データ収集サーバ22に確実に送信することができるように、エラー発生時以外の第1タイミングに送信する第1の内視鏡稼働データは、データ容量を低く抑えている。第1の内視鏡稼働データは、内視鏡システム10を特定するために必要な最低限の情報であることが好ましい。例えば、第1の内視鏡稼働データは、機種、シリアルNo.など内視鏡スコープ12、光源装置14、プロセッサ本体16aを識別するための識別情報を少なくとも含むことが好ましい。なお、第1の内視鏡稼働データには、検査時間を含むようにしてもよい。ただし、プロセッサ装置16において検査時間の出力ができない場合には、第1の内視鏡稼働データにプロセッサ装置16の電源オンとオフの時間を含めるようにし、内視鏡データ収集サーバにてデータを収集した時点において、それら電源オンとオフの時間から検査時間を算出することが好ましい。
【0025】
これに対して、エラーが発生したタイミングを含む第2タイミングに送信する第2の内視鏡稼働データとしては、内視鏡システム10を特定するための情報に加えて又は代えて、エラーが発生した原因解析などに必要な情報を送信する必要があることから、第2の内視鏡稼働データは第1の内視鏡稼働データよりもデータ容量が大きくなる。ここで、第2の内視鏡稼働データには、内視鏡スコープ12、光源装置14、又はプロセッサ本体16aにおける動作又は処理に関連する機器関連情報を含めることが好ましい。また、第2の内視鏡稼働データには、エラー発生時に得られる異常画像を含めるようにしてもよい。
【0026】
図3に示すように、内視鏡スコープ12の機器関連情報としては、内視鏡スコープ12の撮像部36に関するA:撮像部情報、内視鏡スコープ12の操作部38に関するB:スコープ操作部情報、又は、内視鏡スコープ12の制御部40に関するC:スコープ制御部情報が含まれている。図4に示すように、A:撮像部情報としては、内視鏡スコープ12の先端部42の温度(図4では「温度」)、湿度(図4では「湿度」)、圧力(図4では「圧力」)が含まれる。これら温度、湿度、圧力は、内視鏡スコープ12の先端部42にセンサを設けて測定することが好ましい。その他、A:撮像部情報としては、撮像センサ(図示しない)から出力した映像信号(図4では「出力映像」)、映像信号から得られる観察対象の明るさ情報を示す光量データ(図4では「光量データ」)が含まれる。なお、A:撮像部情報における機器関連情報には、1は「温度」、2は「湿度」、3は「圧力」、4は「出力映像」、5は「光量データ」のように、それぞれ番号が付されている。これは、以下のB:スコープ操作部情報、C:スコープ制御部情報、D:光源情報、E:プロセッサ情報についても、同様に番号を付している。
【0027】
B:スコープ操作部情報としては、内視鏡スコープ12の操作部38に設けられた各種スイッチSWの操作に関するスイッチ操作情報(図4では「スイッチ(SW)操作」)、又は、挿入部の先端部42の向きを変えるためのアングルノブ44の操作に関するアングル操作情報(図4では「アングル操作」)が含まれる。C:スコープ制御部情報としては、内視鏡スコープ12の処理回路における電圧(図4では「電圧」)、プロセッサ本体16aとの通信ログ(図4では「通信ログ」)、又は、映像信号に関する映像通信状況(図4では「映像通信状況」)が含まれる。なお、内視鏡スコープ12の操作部には、例えば、観察対象の静止画を取得するためのフリーズボタン46、照明光のパターンや画像表示パターンを切り替えるためのモード切替SW47、観察対象を拡大又は縮小表示するためのズーム操作部48設けることが好ましい。
【0028】
図3及び図5に示すように、光源装置14の機器関連情報としては、光源装置14に関するD:光源情報が含まれる。D:光源情報としては、光源用電源スイッチ、光量調整ボタンなど光源操作部50の操作に関する光源操作部情報(図5では「光源操作部情報」)、又は、光量調整操作、観察モードに応じた光源の切替え操作に伴う制御など光源装置内の光源に対する制御の情報(図5では「光源制御部情報」)が含まれる。
【0029】
図3及び図5に示すように、プロセッサ本体16aの機器関連情報としては、プロセッサ本体16aに関するE:プロセッサ情報が含まれる。E:プロセッサ情報としては、観察モードの切り替え操作などプロセッサ操作部52の操作に関するプロセッサ操作部情報(図5では「プロセッサ操作部情報」)、病院内の内視鏡管理システム(図示しない)に対して送信する検査データ(患者名、性別、内視鏡検査日など)の通信状況(図5では「検査データ通信状況」)、病院内の内視鏡画像管理システム(図示しない)に対して送信する検査画像の通信状況(図5では「検査画像通信状況」)、又は、内視鏡スコープ12、光源装置14、プロセッサ本体16aに対する各種機器設定情報(例えば、「静止画保存指示」の機能を、内視鏡スコープ12の操作部のいずれのスイッチに割り当てたかなど)(図5では「機器設定情報」)が含まれる。
【0030】
内視鏡データ送信部30は、第2タイミングにおいて、第2の内視鏡稼働データを送信する際には、第1送信情報設定テーブル60を参照して送信を行う。図6に示すように、第1送信情報設定テーブル60には、エラーを示すエラー番号と、エラーが生じたときに出力する出力情報として、エラーが発生した原因と関連性が有る機器関連情報とが関連付けて記憶されている。例えば、エラー番号「E0001」に対応する機器関連情報として、B1の「スイッチ(SW)操作」、及びB2の「アングル操作」の情報が関連付けられている。したがって、エラー番号「E0001」のエラーが発生したタイミングにおいて、B1の「スイッチ(SW)操作」、及びB2の「アングル操作」の情報を内視鏡データ収集サーバに対して送信する。
【0031】
また、第1送信情報設定テーブル60では、エラー番号「E0002」に対応する機器関連情報として、A1の「温度」、A2の「湿度」、A3の「圧力」、B1の「スイッチ(SW)操作」、及びB2の「アングル操作」とが関連付けて記憶されている。したがって、エラー番号「E0002」のエラー(エラー番号「E0001」のエラーの内容と異なる)が発生したタイミングにおいて、A1の「温度」、A2の「湿度」、A3の「圧力」、B1の「スイッチ(SW)操作」、及びB2の「アングル操作」の情報を内視鏡データ収集サーバに対して送信する。以上のように、エラーの内容が異なると、エラーの発生の原因の可能性がある機器も異なっていることから、エラーを示すエラー番号に関連付ける機器関連情報もエラー毎に異なっている。
【0032】
プロセッサ装置16においては、特定のネットワーク20の通信状況に応じて、第2タイミングに送信する第2の内視鏡稼働データの送信容量を変更できるようにしている。この場合には、第1送信情報設定テーブル60に代えて、図7に示す第2送信情報設定テーブル65が用いられる。即ち、特定のネットワーク20の通信状況が速い(通信速度が特定の閾値以上)(特定の)場合には、データの送信容量に関する送信容量レベルとして、第2の内視鏡稼働データの送信容量を多くする一方、特定のネットワーク20の通信状況が遅い(通信速度が特定の閾値未満)場合には、送信容量レベルとして、第2の内視鏡稼働データの送信容量を少なくする。なお、特定のネットワーク20の通信状況は、プロセッサ本体16a内の通信状況モニタリング部62において取得する。通信状況モニタリング部62は、特定のネットワーク20に対して、テスト信号を送受信することによって、特定のネットワーク20の通信状況を測定する。
【0033】
本実施形態では、第2送信情報設定テーブル65は、特定のネットワーク20の通信状況に応じて、送信容量レベルが定まるように、設定されている。即ち、第2送信情報設定テーブル65では、エラーと、エラーが発生した原因と関連性が有る機器関連情報に加えて、特定のネットワーク20の通信状況とが関連付けて記憶されている。図7に示すように、エラー番号「E0001」に対応する機器関連情報としては、特定のネットワーク20の通信状況が「遅い」場合には、送信容量を抑えるために、B1の「スイッチ(SW)操作」、及びB2の「アングル操作」の情報のみを送信するようにしている。一方、エラー番号「E0001」に対応する機器関連情報としては、特定のネットワーク20の通信状況が「速い」場合には、送信容量を大きくすることができるため、B1の「スイッチ(SW)操作」、及びB2の「アングル操作」に加えて、C1の「電圧」、C2の「通信ログ」、C3の「映像通信状況」も送信するようにしている。
【0034】
なお、第2送信情報設定テーブル65では、特定のネットワーク20の通信状況に対応して、送信容量レベルを定めるようにしているが、その他の基準に基づいて、送信容量レベルを定めるようにしてもよい。例えば、ユーザー設定によって、送信容量レベルを定めるようにしてもよい。この場合には、プロセッサ本体16aにおいて、送信容量レベルを定めるためのユーザーインターフェース(図示しない)をユーザーが操作することにより、送信容量レベルが定められる。ユーザーが送信容量レベルを定める基準としては、例えば、特定のネットワーク20の通信コストなどが挙げられる。
【0035】
なお、上記実施形態においては、送信容量レベルによって予め定められた機器関連情報を送信するようにしているが、リアルタイムで、第2の内視鏡稼働データの送信容量を変更するようにしてもよい。この場合には、図8に示すように、第2の内視鏡稼働データの送信容量を変更するための送信容量レベル変更部61がプロセッサ装置16内に設けられる。内視鏡データ送信部30は、送信容量レベル変更部61によって変更された送信容量に基づく第2の内視鏡稼働データを送信するようにする。なお、送信容量レベル変更部61は、特定のネットワークの通信状況によって、自動的に送信容量レベルを変更することが好ましい。
【0036】
なお、上記実施形態においては、1台の内視鏡システムを特定のネットワーク20に接続する場合を示しているが、複数の内視鏡システムを特定のネットワーク20に接続できるようにしてもよい。この場合には、図9に示すように、内視鏡スコープ12X、光源装置14X、プロセッサ装置16X、及びモニタ17Xを備える内視鏡システムX、内視鏡スコープ12Y、光源装置14Y、プロセッサ装置16Y、及びモニタ17Yを備える内視鏡システムYのように、複数の内視鏡システムをLAN(Local Area Network)に接続し、LANにおいて、特定のネットワーク20に接続するための接続機器64(例えば、3G/LTEのルータ(ゲートウエイ))を設置することが好ましい。
【0037】
上記実施形態において、内視鏡データ送信部30、内視鏡データ受信部32、通信状況モニタリング部62といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造は、次に示すような各種のプロセッサ(processor)である。各種のプロセッサには、ソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、FPGA (Field Programmable Gate Array) などの製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、各種の処理を実行するために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが含まれる。
【0038】
1つの処理部は、これら各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合せ(例えば、複数のFPGAや、CPUとFPGAの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアントやサーバなどのコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウエアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)などに代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサを1つ以上用いて構成される。
【0039】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた形態の電気回路(circuitry)である。
【0040】
なお、本発明は、内視鏡用プロセッサ装置に対して適用を行っているが、その他の医療機器に対しても本発明の適用は可能である。例えば、特定のネットワーク20に接続が可能な体外診断用医薬品(IVD(In Vitro Diagnostics))に対して本発明の適用が可能である。この場合には、体外診断用医薬品から得られる測定結果を、特定のネットワーク20を介して、常時接続用の測定結果収集サーバに向けて送信することになる。
【符号の説明】
【0041】
10 内視鏡システム
12 内視鏡スコープ
12X 内視鏡スコープ
12Y 内視鏡スコープ
14 光源装置
14X 光源装置
14Y 光源装置
16 プロセッサ装置
16a プロセッサ本体
16b 接続機器
16X プロセッサ装置
16Y プロセッサ装置
17 モニタ
17X モニタ
17Y モニタ
20 特定のネットワーク
22 内視鏡データ収集サーバ
30 内視鏡データ送信部
32 内視鏡データ受信部
36 撮像部
38 操作部
40 制御部
42 先端部
44 アングルノブ
46 フリーズボタン
48 ズーム操作部
50 光源操作部
52 プロセッサ操作部
60 第1送信情報設定テーブル
61 送信容量レベル変更部
62 通信状況モニタリング部
63 LAN(Local Area Network)
64 接続機器
65 第2送信情報設定テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9