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  • 特許-分離膜及びそれを採用したリチウム電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-28
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】分離膜及びそれを採用したリチウム電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/457 20210101AFI20220112BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20220112BHJP
   H01M 50/491 20210101ALI20220112BHJP
【FI】
H01M50/457
H01M50/414
H01M50/417
H01M50/42
H01M50/426
H01M50/429
H01M50/434
H01M50/443 C
H01M50/443 E
H01M50/443 M
H01M50/451
H01M50/491
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020024410
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2020136276
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2020-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0018825
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 政潤
(72)【発明者】
【氏名】金 容慶
(72)【発明者】
【氏名】金 養燮
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-170661(JP,A)
【文献】特表2014-527266(JP,A)
【文献】特開2016-100334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40 - 50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一面上に配置された第1層及び第2層と、
を含み、
前記第1層は、LiFePO (LFP)粒子と、第1バインダとを含み、
前記第2層は、溶融点(T)が100℃以上130℃以下である有機粒子を含む、分離膜であって、
前記第1層において、LFP粒子間の空隙率は、30%ないし80%であり、前記第1バインダは、前記LFP粒子間の空隙に位置し、
前記第2層において、前記有機粒子は、前記第2層の総重量を基準にして10重量%ないし70重量%の量で含まれる、分離膜
【請求項2】
前記第1層は、前記基材の一面上に配置され、前記第2層は、前記第1層が配置された一面に対向する基材の他面上に配置された、請求項1に記載の分離膜。
【請求項3】
前記第1層及び第2層は、前記基材の一面及び前記一面に対向する基材の他面の両方の上に配置された、請求項1または2に記載の分離膜。
【請求項4】
前記第1層及び第2層は、基材の一面のみに配置された、請求項1に記載の分離膜。
【請求項5】
前記第1層において、LFP粒子間の空隙率は、30%ないし50%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の分離膜。
【請求項6】
前記第1層において、LFP粒子と第1バインダとは、2:8ないし8:2の重量比で混合されている、請求項に記載の分離膜。
【請求項7】
前記第1バインダは、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose: CMC)、ポリフッ化ビニリデン-co-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、ポリフッ化ビニリデン-co-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、ポリビニルアルコール(polyvinylalchol)、エチレン酢酸ビニル共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、ポリアリーレート(polyarylate)、セルロースアセテート(celluloseacetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)及びプルラン(pullulan)のうちから選択された1つ以上である、請求項またはに記載の分離膜。
【請求項8】
前記有機粒子は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリレート系化合物、ポリアクリロニトリル(PAN)及びアゾジカボンアミド系化合物のうちから選択された1つ以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の分離膜。
【請求項9】
前記有機粒子は、粒状粒子、板状粒子、フレーク状粒子及びそれらの混合物のうちから選択された、請求項1~のいずれか一項に記載の分離膜。
【請求項10】
前記第2層は、第2バインダ及び無機物のうち、1つ以上をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の分離膜。
【請求項11】
前記第2層が無機物をさらに含み、前記第2層において、有機粒子及び無機物は、2:8ないし8:2の重量比で混合されている、請求項10に記載の分離膜。
【請求項12】
前記第2層が第2バインダをさらに含み、前記第2バインダは、スルホネート系化合物及びその誘導体、アクリルアミド系化合物及びその誘導体、アクリロニトリル系化合物及びその誘導体、それらの共重合体及びそれらの混合物のうちから選択された1つ以上である、請求項10に記載の分離膜。
【請求項13】
前記第2層が無機物をさらに含み、前記無機物は、粒度が互いに異なる2種以上の無機粒子または、1種の無機粒子である、 請求項10または11に記載の分離膜。
【請求項14】
前記第1層は、0.1ないし5.0μmの厚さを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の分離膜。
【請求項15】
前記第2層は、0.1ないし5.0μmの厚さを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の分離膜。
【請求項16】
前記第1層及び第2層のうち、少なくとも1つの層上に配置される電極接着層をさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の分離膜。
【請求項17】
前記電極接着層は、0.3ないし0.5μmの厚さを有する、請求項16に記載の分離膜。
【請求項18】
正極と、
負極と、
前記正極と負極との間に介在される請求項1~17のいずれか1項に記載の分離膜と、
を含むリチウム電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜及びそれを採用したリチウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の小型化、高性能化に符合するために、リチウム電池の小型化、軽量化が重要となっている。また、電気車両(Electric Vehicle)などの分野に適用されるために、リチウム電池の放電容量、エネルギー密度及びサイクル特性が重要となっている。前記用途に符合するために、単位体積当たりの放電容量が大きく、エネルギー密度が高く、寿命特性に優れたリチウム電池が要求される。
【0003】
リチウム電池で正極と負極との間での短絡を防止するために、分離膜が配置される。正極、負極、及び前記正極及び負極の間に配置された分離膜を含む電極組立体が巻き取られてゼリーロール状を有するようにされ、前記電極組立体において正極/負極と分離膜との接着力を向上させるために、このゼリーロールが圧延される。
【0004】
リチウム電池の分離膜としてオレフィン系重合体が多用されている。オレフィン系重合体は、柔軟性に優れるが、電解液に浸漬したときの強度が低く、100℃以上の高温での急激な熱収縮によって、電池の短絡が発生する恐れがある。それを解決するために、多孔性オレフィン系重合体の基材上の一面上にセラミックをコーティングして強度及び耐熱性を向上させた分離膜が提示された。しかし、セラミックコーティングされた分離膜は、負極/正極との接着力が低く、充放電時に電池の体積が急変して電池の変形が発生しやすい。
【0005】
したがって、セラミックコーティングされた分離膜と正極/負極との接着力向上のために、セラミック上にバインダが追加された分離膜が提示された。しかし、セラミック上にバインダが追加された分離膜も、気孔率が低下して内部抵抗が増加するか、バインダの電解液内でのスウェリング(膨潤)によってリチウム電池が劣化しやすいという問題点があった。
【0006】
この点、高耐熱バインダを使用することによって、分離膜耐熱性が向上し、熱収縮特性が向上し得るが、これもくぎ(nail)貫通テストによる高温安定性評価で電池安定性が良くない問題点があった。
【0007】
したがって、従来技術の限界を解消し、熱安定性、さらにそれに加えて、貫通特性に優れた分離膜が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、向上した熱安定性を有する分離膜を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする他の課題は、前記分離膜を含むリチウム電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一側面によって、
基材と、
前記基材の一面上に配置された第1層及び第2層と、を含み、
前記第1層は、LiFePO4(LFP)粒子を含み、
前記第2層は、溶融点(Tm)が100℃以上130℃以下の有機粒子を含む、分離膜が提供される。
【0011】
他の一側面によって、
正極と、
負極と、
前記正極と負極との間に介在される上述した分離膜と、を含むリチウム電池が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新規な層構成を含む分離膜を採用することにより、向上した貫通安定性及び極板接着力が実現され、それを通じてリチウム電池の寿命特性及び電池安定性などを向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的な具現例によるリチウム電池の模式図である。
図2A】例示的な具現例による分離膜の模式的な断面図である。
図2B】例示的な具現例による分離膜の模式的な断面図である。
図2C】例示的な具現例による分離膜の模式的な断面図である。
図2D】例示的な具現例による分離膜の模式的な断面図である。
図2E】例示的な具現例による分離膜の模式図である。
図3】例示的な具現例による分離膜の第1層に係わるSEM写真である。
図4】例示的な具現例による分離膜の第2層に係わるSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下において例示的な具現例による分離膜及びそれを採用したリチウム電池についてさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の一側面による分離膜は、基材と、前記基材の一面上に配置された第1層及び第2層と、を含み、前記第1層は、LiFePO4(LFP)粒子を含み、前記第2層は、溶融点(Tm)が100℃以上130℃以下である有機粒子を含む。
【0016】
従来には、分離膜に形成されるコーティング層内に有機粒子を含ませると、部分的な改善の効果はあったが、一部の場合には、貫通時に溶融された有機粒子がくぎ(nail)周辺のショートパス(short pass)を阻んで熱が集中し、温度の急激な上昇につながって熱暴走が発生するなど、全体として電池安定性が低下する問題点があった。
【0017】
これに対し、本発明は、前記分離膜中にLFP粒子を含む第1層と、溶融点が100℃以上130℃以下の有機粒子を含む第2層とを共に含むことで、高い熱的安定性と貫通安定性とを有し、電解液との副反応を抑制することができる。前記有機粒子は、130℃以下の温度で溶融するため、分離膜の気孔を阻み、電流の移動を抑制して熱安定性を向上させうる。また、100℃以上で溶融されるため、正常の作動条件で寿命特性が低下する問題点が改善された。
【0018】
図2Aは、例示的な一具現例による分離膜の模式的な断面図である。図2Aを参照すれば、分離膜4は、基材20、第1層21、及び第2層22を含む。例えば、図2Aに示されたように、第1層21及び第2層22は、基材20の対向する面上に配置される。例えば、図2Aにさらに示されたように、第1層21及び第2層22は、それぞれ基材20の互いに対向する面の全体にわたって連続している。
【0019】
他の一具現例において、図2Bに示されたように、分離膜4’は、基材20、第1層21、及び第2層22を含む。例えば、図2Bに示されたように、第1層21及び第2層22は、基材20の同一面上に配置される。例えば、図2Bにさらに示されたように、第1層21は、基材20及び第2層22の間に配置される。例えば、図2Bにさらに示されたように、第1層21及び第2層22は、基材20の単一面上に配置される。また他の例として、第2層22は、基材20及び第1層21の間に配置される。
【0020】
さらに他の一具現例において、図2Cに示されたように、分離膜4’’は、基材20、第1層21、及び第2層22を含んでもよい。例えば、図2Cに示されたように、第1層21及び第2層22は、基材20の対向面上にいずれも積層される。それぞれの第1層21及び第2層22は、基材20の対向面上に直接接触することができる。
【0021】
図2Eは、例示的な具現例による分離膜の模式図である。図2Eを参照すれば、本発明による分離膜は、LFP粒子13を含むことで、電池の放電末期と充電初期に正極板11及び正極活物質12を含む正極10からリチウムイオン(Li+)を集中的に受けるか、供給する役割を行い、充放電時に電解液内のLiイオン濃度の不均衡及びそれによる電気化学反応の不均一を解消することができ、実際分離膜の貫通時、電流の集中を最小化して、温度及び発熱量の急激な上昇を遅延させうる。また、前記LFP粒子を含む第1層を基材上に配置することで、第1層と基材との界面形成によって反応サイトが減少し、ガス及び金属溶出などの電解液副反応が減少することができる。
【0022】
一具現例において、前記第1層は、前記基材の一面上に配置され、前記第2層は、前記第1層が配置された一面に対向する基材の他面上に配置される。すなわち、前記基材の一面上に第1層が配置され、前記基材の一面と対向する他の一面上に第2層が配置される。
他の具現例において、前記第1層及び第2層は、前記基材の一面及び前記一面に対向する基材の他面上にいずれも配置される。
【0023】
この際、前記基材の一面上に前記第1層が配置され、前記第1層上に前記第2層が配置され、前記基材の他面上に前記第1層が配置され、前記第1層上に前記第2層が配置される。一方、前記基材の一面上に前記第2層が配置され、前記第2層上に前記第1層が配置され、前記基材の他面上に前記第2層が配置され、前記第2層上に前記第1層が配置されもする。一方、前記基材の一面上に前記第1層が配置され、前記第1層上に前記第2層が配置され、前記基材の他面上に前記第2層が配置され、前記第2層上に前記第1層が配置されもする。
【0024】
他の具現例において、前記第1層及び第2層は、基材の一面のみに配置される。すなわち、前記基材の一面のみに第1層及び第2層が配置され、他面では、第1層及び第2層が配置されなくてもよい。
【0025】
この際、前記基材の一面上に前記第1層が配置され、前記第1層上に前記第2層が配置される。
【0026】
一方、前記基材の一面上に前記第2層が配置され、前記第2層上に前記第1層が配置される。
【0027】
一具現例において、前記第1層のうち、LFP粒子間の空隙率は、30%ないし80%でもある。
【0028】
前記範囲を外れて、LFP粒子間の空隙率が30%未満である場合、Liが通過する通路の大きさが十分ではなく、LFP粒子を含む層の導入による物理的抵抗増加の防止が困難であり、一方、LFP粒子間の空隙率が50%を超える場合、分離膜の総面積を基準に含まれるLFP粒子の比率が過度に少なく、所望の貫通安定性効果を十分に発揮し難い。
【0029】
一具現例において、前記第1層は、第1バインダをさらに含んでもよい。例えば、前記第1バインダは、基材結着バインダであってもよい。
【0030】
例えば、前記第1層のうち、LFP粒子と第1バインダは、2:8ないし8:2の重量比で混合してもよい。
【0031】
例えば、前記第1バインダは、前記LFP粒子間の空隙に位置する。前記のように第1バインダが空隙に位置することで、分離膜に形成された第1層の厚さを最小化しつつも、一定レベルの通気度を確保することができる。
【0032】
例えば、前記第1バインダは、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose: CMC)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-cohexafluoropropylene)、ポリフッ化ビニリデン-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリブチルアクリレート(polybutylacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、ポリビニルアルコール(polyvinylalchol)、エチレン酢酸ビニル共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、ポリアリーレート(polyarylate)、セルロースアセテート(celluloseacetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)及びプルラン(pullulan)のうちから選択された1つ以上でもあるが、それらに限定されるものではない。
【0033】
本発明の分離膜のうち、第2層は、溶融点(Tm)が100℃以上130℃以下の有機粒子を含む。
【0034】
例えば、前記有機粒子の溶融点が100℃未満である場合、急な発熱及び外部環境の変化に有機粒子が溶け、分離膜の気孔を閉塞し、電池の出力が低下し、使用が困難になるなど電池性能に悪影響を与える恐れがある。したがって、分離膜基材の溶融点と類似した温度で有機粒子が溶融されることが有利である。
【0035】
一具現例において、前記有機粒子の溶融点は、130℃以下である。前記有機粒子の溶融点が130℃を超える場合、分離膜のメルトダウン(melt down)が発生して、前記有機粒子によるシャットダウン効果を発揮し難い。
【0036】
一具現例において、第2層の総重量を基準に前記有機粒子は、10重量%以上の量として含まれる。例えば、前記有機粒子は、70重量%以下の量として含まれる。例えば、前記有機粒子は、10ないし70重量%の量として含まれる。
【0037】
前記範囲を外れて、前記有機粒子が10重量%未満に含まれる場合、前記有機粒子によるシャットダウン効果を発揮し難く、一方、前記有機粒子が70重量%を超えて含まれる場合、分離膜基材上の有機粒子コーティング不良問題及び分離膜ワインディング(winding=巻き取り)圧力による粒子押され現象の発生可能性がある。
【0038】
一具現例において、前記有機粒子は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリレート系化合物、ポリアクリロニトリル(PAN)及びアゾジカボンアミド系化合物のうちから選択された1つ以上でもある。例えば、前記有機粒子は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン及びポリメチルメタクリレートのうちから選択された1つ以上であるが、それらに限定されるものではない。例えば、前記有機粒子は、ポリエチレンであるが、その限りではない。
【0039】
一具現例において、前記有機粒子は、粒状粒子、板状粒子、フレーク状粒子及びそれらの混合物のうち、選択される。
【0040】
一具現例において、前記第2層は、第2バインダ及び無機物のうち、1つ以上をさらに含む。例えば、前記第2層は、第2バインダをさらに含む。例えば、前記第2層は、無機物をさらに含む。例えば、前記第2層は、第2バインダ及び無機物をさらに含む。
【0041】
例えば、前記第2層のうち、有機粒子及び無機物は、2:8ないし8:2の重量比で混合されるが、その限りではない。
【0042】
一具現例において、前記第2層は、第2バインダをさらに含む。例えば、前記第2バインダは、高耐熱バインダであってもよい。
【0043】
例えば、前記第2バインダは、スルホネート系化合物及びその誘導体、アクリルアミド系化合物及びその誘導体、アクリロニトリル系化合物及びその誘導体、それらの共重合体及びそれらの混合物のうちから選択された1つ以上であるが、その限りではない。
【0044】
例えば、前記無機物は、粒度が互いに異なる2種以上の無機粒子、または1種の無機粒子である。例えば、すなわち、前記前記無機物は、粒度が互いに異なる2種以上の無機粒子の混合形態である。すなわち、分離膜の第2層に粒度が互いに異なる2種以上の無機粒子、すなわち、バイモーダル(bimodal)無機粒子を含むことで、粒度の小さい無機粒子が粒度の大きい無機粒子間の空隙を満たし、それを通じて高温でのシャットダウン機能を効率よく発揮する。これにより、リチウム電池の熱安定性のみならず、寿命特性を向上させうる。
【0045】
一具現例において、前記第1層は、0.1ないし5.0μmの厚さを有する。
【0046】
他の具現例において、前記第2層は、0.1ないし5.0μmの厚さを有する。
【0047】
すなわち、本発明の分離膜に含まれる第1層及び第2層は、薄膜化される。例えば、前記第1層及び第2層の厚さは、互いに独立して0.5ないし5.0μmである。例えば、前記第1層及び第2層の厚さは、互いに独立して0.5ないし4.0μmである。例えば、前記第1層及び第2層の厚さは、互いに独立して1.0ないし4.0μmである。例えば、前記第1層及び第2層の厚さは、互いに独立して2.0ないし4.0μmである。例えば、前記第1層及び第2層の厚さは、互いに独立して2.0ないし3.5μmである。例えば、前記第1層及び第2層の厚さは、互いに独立して3.0ないし5.0μmである。前記第1層及び第2層の厚さが前記範囲を満足する場合、それを含む分離膜が向上した接着力と通気度とを提供することができる。のみならず、電極組立体の厚さを最小化し、それを通じて電池の体積当たりの容量を極大化することができる。
【0048】
一具現例において、前記第1層及び第2層のうち、少なくとも1つの層上に配置される電極接着層をさらに含んでもよい。
【0049】
図2Dを参照すれば、分離膜4は、第1層21及び第2層22のうち、少なくとも一層上に配置される電極接着層23をさらに含んでもよい。例えば、図2Dに示されたように、第1層21は、基材20及び電極グルーライン23の間に配置されてもよい。
【0050】
前記電極接着層は、ガラス遷移温度(Tg)値が50℃以上であり、コーティング及び乾燥後粒子状として存在する水系バインダをさらに含んでもよい。例えば、前記水系バインダは、アクリレート(acrylate)または、スチレン(styrene)基を含んでもよい。
【0051】
例えば、前記電極接着層は、0.3ないし0.5μmの厚さを有することができる。
【0052】
本発明の分離膜において前記基材は、多孔性基材である。前記多孔性基材は、ポリオレフィンを含む多孔性膜でもある。ポリオレフィンは、優秀な短絡防止効果を有し、かつシャットダウン効果によって電池安定性を向上させうる。例えば、前記多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ塩化ビニルなどのポリオレフィン、及びそれらの混合物あるいは共重合体などの樹脂からなる膜であるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で使用可能な多孔性膜であれば、いずれも可能である。例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる多孔性膜と、ポリオレフィン系纎維を織成した多孔性膜と、ポリオレフィンを含む不織布と、絶縁性物質粒子の集合体などが使用可能である。例えば、ポリオレフィンを含む多孔性膜は、前記基材上に形成されるコーティング層を製造するためのバインダ溶液の塗布性に優れ、分離膜の膜厚を薄くすることによって、電池内の活物質の比率を高めて単位体積当たりの容量を高めることができる。
【0053】
例えば、多孔性基材の材料として使用するポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのホモポリマー、共重合体、またはそれらの混合物であってもよい。ポリエチレンは、低密度、中密度、高密度のポリエチレンであり、機械的強度の観点で、高密度のポリエチレンが使用可能である。また、ポリエチレンは、柔軟性を与える目的で2種以上を混合することができる。ポリエチレンの調製に使用する重合触媒は、特に制限されず、チーグラー・ナッタ系触媒やフィリップス系触媒やメタロセン系触媒などを使用することができる。機械的強度と高透過性を両立させる観点で、ポリエチレンの重量平均分子量は、10万ないし1200万であり、例えば、20万ないし300万であってもよい。ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダム共重合体、ブロック共重合体であり、それを単独または2以上混合して使用することができる。また、重合触媒は、特に制限されず、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒などを使用することができる。また、立体規則性も特に制限されず、イソタクチック、シンジオタクチック、またはアタクチックを使用するが、チープなイソタクチックポリプロピレンを使用することができる。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリオレフィンには、ポリエチレンあるいはポリプロピレン以外のポリオレフィン及び酸化防止剤などの添加剤を添加することができる。
【0054】
例えば、多孔性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンを含み、2層以上の多層膜が使用され、ポリエチレン/ポリプロピレン2層分離膜、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層分離膜、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層分離膜のような混合多層膜が使用されるが、それらに限定されず、当該技術分野から多孔性基材として使用可能な材料及び構成であれば、いずれも可能である。
【0055】
例えば、多孔性基材は、ジエン系単量体を含む単量体組成物を重合して製造されるジエン系重合体を含む。前記ジエン系単量体は、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体である。例えば、前記ジエン系単量体は、1,3-ブタジエン、イソプレン、2-クロロ-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、クロロプレン、ビニルピリジン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン及び1,4-ヘキサジエンからなる群から選択された1つ以上を含むが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野でジエン系単量体として使用可能なものであれば、いずれも可能である。
【0056】
分離膜において多孔性基材の厚さは、1μmないし100μmである。例えば、多孔性基材の厚さは、1μmないし30μmである。例えば、多孔性基材の厚さは、3μmないし20μmである。例えば、多孔性基材の厚さは、3μmないし15μmである。例えば、多孔性基材の厚さは、3μmないし12μmである。多孔性基材の厚さが1μm未満であれば、分離膜の機械的物性を保持し難く、多孔性基材の厚さが100μmを超えると、リチウム電池の内部抵抗が増加する。
【0057】
分離膜において多孔性基材の気孔度は、5%ないし95%でもある。気孔度が5%未満であれば、リチウム電池の内部抵抗が増加し、気孔度が95%を超えれば、多孔性基材の機械的物性を保持し難い。
【0058】
分離膜において多孔性基材の気孔サイズは、0.01μmないし50μmである。例えば、分離膜において多孔性基材の気孔サイズは、0.01μmないし20μmである。例えば、分離膜において多孔性基材の気孔サイズは、0.01μmないし10μmである。多孔性基材の気孔サイズが0.01μm未満であれば、リチウム電池の内部抵抗が増加し、多孔性基材の気孔サイズが50μmを超えれば、多孔性基材の機械的物性を保持し難い。
【0059】
例えば、前記第1層または第2層は、無機フィラー粒子をさらに含んでもよい。
【0060】
前記無機フィラー粒子は、金属酸化物、準金属酸化物、またはそれらの組み合わせである。具体的に、前記無機フィラー粒子は、アルミナ(Al2O3)、ベーマイト(boehmite)、BaSO4、MgO、Mg(OH)2、クレイ(clay)、シリカ(SiO2)、及びTiO2のうちから選択された1つ以上でもある。前記アルミナ、シリカなどは、粒子サイズが小さく、分散液を作ることを容易にする。例えば、前記無機フィラー粒子は、 Al2O3、SiO2、TiO2、SnO2、CeO2、NiO、CaO、ZnO、MgO、ZrO2、Y2O3、SrTiO3、BaTiO3、MgF2、Mg(OH)2またはそれらの組み合わせである。
【0061】
前記無機フィラー粒子は、球状(sphere)、板状(plate)、纎維状(fiber)などであるが、それらに限定されず、当該技術分野で使用可能な形態であれば、いずれも可能である。
【0062】
板状の無機フィラー粒子は、例えば、アルミナ、ベーマイトなどがある。その場合、高温での分離膜面積の縮小がさらに抑制され、相対的に多くの気孔度を確保することができ、リチウム電池の貫通評価時に特性が向上する。
【0063】
無機フィラー粒子が板状または纎維状である場合、前記無機フィラー粒子の縦横比(aspect ratio)は、約1:5ないし1:100である。例えば、前記縦横比は、約1:10ないし1:100である。例えば、前記縦横比は、約1:5ないし1:50である。例えば、前記縦横比は、約1:10ないし1:50である。
【0064】
板状無機フィラー粒子の平坦面での短軸に対する長軸の長さ比率は、1ないし3である。例えば、前記平坦面での短軸に対する長軸の長さ比率は、1ないし2である。例えば、前記平坦面での短軸に対する長軸の長さ比率は、約1である。前記縦横比と短軸に対する長軸の長さ比率は、走査電子顕微鏡(SEM)を通じて測定する。前記縦横比及び長軸に対する短軸の長さ範囲で分離膜の収縮が抑制され、相対的に向上した気孔度が確保され、リチウム電池の貫通特性が向上する。
【0065】
無機フィラー粒子が板状である場合、多孔性基材の一面に対する無機フィラー粒子平板面の平均角度は、0°ないし30°である。例えば、多孔性基材の一面に対する無機フィラー粒子平板面の角度が0°に収斂する。すなわち、多孔性基材の一面と無機フィラー粒子の平板面とが平行である。例えば、多孔性基材の一面に対する無機化合物の平板面の平均角度が前記範囲である場合、多孔性基材の熱収縮を効果的に防止し、収縮率が減少した分離膜を提供する。
【0066】
上述した分離膜を製造する方法は、当該技術分野で使用可能な方法であれば、いずれも可能である。
【0067】
例えば、LFP粒子、第1バインダ、有機粒子、第2バインダ、無機物などを、必要によって含むスラリーを製造し、基材上に塗布した後、乾燥して圧延する過程などによって製造される。
【0068】
前記スラリーを塗布する方法は、特に限定されず、当該技術分野で使用可能な方法であれば、いずれも可能である。例えば、印刷、圧縮、押入、ローラー塗布、ブレード塗布、刷毛塗布、ディッピング塗布、噴射塗布または潤滑塗布などの方法によって形成される。
【0069】
他の側面によるリチウム電池は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在される上述した分離膜と、を含む。前記リチウム電池が上述した分離膜を含むことにより、熱安定性、特に貫通及びBDV特性が向上するので、高温での電極ショートが抑制される。のみならず、前記リチウム電池が上述した分離膜を含むことにより、電極(正極及び負極)と分離膜との接着力が増加するので、リチウム電池の充放電時の体積変化が抑制される。したがって、リチウム電池の体積変化に伴うリチウム電池の劣化が抑制されてリチウム電池の安定性及び寿命特性が向上する。
【0070】
前記リチウム電池の3-ポイントベンディング強度は、150N以上である。例えば、前記リチウム電池の3-ポイントベンディング強度は、150ないし200Nである。
【0071】
前記リチウム電池は、例えば、次のような方法によって製造される。
【0072】
まず、負極活物質、導電材、バインダ及び溶媒が混合された負極活物質組成物が準備される。前記負極活物質組成物が金属集電体上に直接コーティングされて負極板が製造される。一方、前記負極活物質組成物が別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされて負極板が製造される。前記負極は、前記列挙形態に限定されるものではなく、前記形態以外の形態でもある。
【0073】
前記負極活物質は、非炭素系材料でもある。例えば、前記負極活物質は、リチウムと合金を形成する金属、リチウムと合金を形成する金属の合金、及びリチウムと合金を形成する金属の酸化物からなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。
【0074】
例えば、前記リチウムと合金可能な金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、SbSi-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13~16族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組合元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13~16族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などである。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせがある。
【0075】
例えば、前記遷移金属酸化物は、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などである。
【0076】
例えば、前記非遷移金属酸化物は、SnO2、SiOx(0<x<2)などである。
【0077】
具体的に、前記負極活物質は、Si,Sn,Pb,Ge,Al,SiOx(0<x≦2),SnOy(0<y≦2),Li4Ti5O12,TiO2,LiTiO3,Li2Ti3O7からなる群から選択された1つ以上であるが、必ずしもそれらに限定されず、非炭素系負極活物質として当該技術分野で使用されるものであれば、いずれも可能である。
【0078】
また、前記非炭素系負極活物質と炭素系材料との複合体も使用可能であり、前記非炭素系材料外に炭素系負極活物質をさらに含んでもよい。
【0079】
前記炭素系材料としては、結晶質炭素、非晶質炭素またはそれらの混合物がある。前記結晶質炭素は、無定形(non-shaped)、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛であり、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ(meso phasepitch)炭化物、焼成されたコークスなどがある。
【0080】
前記導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、炭素纎維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属纎維などを使用し、またポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種または1種以上を混合して使用することができるが、それらに限定されず、当該技術分野で導電材として使用可能なものであれば、いずれも使用可能である。また、上述した結晶性炭素系材料が導電材として追加される。
【0081】
前記バインダとしては、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニルリデン(PVDF)、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン及びその混合物または、スチレンブタジエンゴム系ポリマーなどが使用されるが、それらに限定されず、当該技術分野で結合剤として使用可能なものであれば、いずれも使用可能である。
【0082】
前記溶媒としは、N-メチルピロリドン、アセトンまたは水などが使用されるが、それらに限定されず、当該技術分野として使用可能なものであれば、いずれも使用可能である。
【0083】
前記負極活物質、導電材、バインダ及び溶媒の含量は、リチウム電池で通常使用されるレベルである。リチウム電池の用途及び構成によって前記導電材、バインダ及び溶媒のうち1つ以上が省略される。
【0084】
一方、前記負極製造に使用されるバインダが前記分離膜の第1層及び第2層に含まれるバインダ組成物と同一であってもよい。
【0085】
次いで、正極活物質、導電材、バインダ及び溶媒が混合された正極活物質組成物が用意される。前記正極活物質組成物が金属集電体上に直接コーティング及び乾燥されて正極板が製造されうる。一方、前記正極活物質組成物が別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが金属集電体上にラミネーションされて正極板が製造されうる。
【0086】
前記正極活物質として、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウム鉄リン酸化物、及びリチウムマンガン酸化物からなる群から選択された1つ以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で利用可能な全ての正極活物質が使用可能である。
【0087】
例えば、LiaA1-bBbD2(前記式において、0.90≦a≦1.8、及び0≦b≦0.5である);LiaE1-bBbO2-cDc(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05である);LiE2-bBbO4-cDc(前記式において、0≦b≦0.5,0≦c≦0.05である);LiaNi1-b-cCobBcDα(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α≦2である);LiaNi1-b-cCobBcO2-αFα(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiaNi1-b-cCobBcO2-αF2(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiaNi1-b-cMnbBcDα(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α≦2である);LiaNi1-b-cMnbBcO2-αFα(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiaNi1-b-cMnbBcO2-αF2(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiaNibEcGdO2(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1である.);LiaNibCocMndGeO2(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1である.);LiaNiGbO2(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である.);LiaCoGbO2(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である.);LiaMnGbO2(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である.);LiaMn2GbO4(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である.);QO2;QS2;LiQS2;V2O5;LiV2O5;LiIO2;LiNiVO4;Li(3-f)J2(PO4)3(0≦f≦2);Li(3-f)Fe2(PO4)3(0≦f≦2);LiFePO4の化学式のうち、いずれか1つで表現される化合物を使用することができる:
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、Fは、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、Iは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0088】
もちろん、該化合物表面にコーティング層を有するものを使用することもでき、または、前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して使用することもできる。該コーティング層は、コーティング元素のオキサイド、ヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含む。これらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質である。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはそれらの混合物を使用することができる。コーティング層の形成工程は、前記化合物にかような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティング可能であれば、如何なるコーティング方法を使用してもよく、これについては、当業者によく理解される内容なので、詳細な説明は省略する。
【0089】
例えば、LiNiO2,LiCoO2,LiMnxO2x(x=1,2),LiNi1-xMnxO2(0<x<1),LiNi1-x-yCoxMnyO2(0≦x≦0.5,0≦y≦0.5),LiFeO2,V2O5,TiS,MoSなどが使用可能である。
【0090】
正極活物質組成物において、導電材、バインダ及び溶媒は、前記負極活物質組成物の場合と同じものを使用しうる。一方、前記正極活物質組成物及び/または負極活物質組成物に可塑剤をさらに付け加えて、電極板内部に気孔を形成することもできる。
【0091】
前記正極活物質、導電材、一般的なバインダ及び溶媒の含量は、リチウム電池で通常使用するレベルである。リチウム電池の用途及び構成によって、前記導電材、一般的なバインダ及び溶媒のうち1つ以上が省略されうる。
【0092】
一方、前記正極製造に使用されるバインダは、前記分離膜の第1層及び第2層に含まれるバインダ組成物と同一であってもよい。
【0093】
次いで、前記正極と負極との間に上述した分離膜が配置される。
【0094】
正極/分離膜/負極を含む電極組立体において正極と負極との間に配置された分離膜は、上述したように前記基材の一面上に配置された第1層及び第2層を含み、前記第1層は、LiFePO4(LFP)粒子を含み、前記第2層は、溶融点(Tm)が100℃以上130℃以下の有機粒子を含む分離膜である。
【0095】
分離膜は、別途に用意されて正極と負極との間に配置される。一方、分離膜は、正極/分離膜/負極を含む電極組立体をゼリーロール状に巻き取った後、このゼリーロールを電池ケースまたはパウチに収容し、電池ケースまたはパウチに収容された状態でゼリーロールを加圧下で熱的軟化させ、初期充電(pre-charging)し、充電されたゼリーロールを熱間圧延し、充電されたゼリーロールを冷間圧延し、充電されたゼリーロールを加圧及び加熱下で充放電させる化成段階を経て用意される。さらに具体的な複合分離膜の製造方法は、下記分離膜製造方法を参照する。
【0096】
次いで、電解質が用意される。
【0097】
前記電解質は、液体またはゲル(gel)状である。
【0098】
例えば、前記電解質は、有機電解液でもある。また、前記電解質は、固体でもある。例えば、ボロン酸化物、リチウムオキシナイトライドなどであるが、それらに限定されず、当該技術分野で固体電解質として使用されるものであれば、いずれも使用可能である。前記固体電解質は、スパッタリングなどの方法で前記負極上に形成される。
【0099】
例えば、有機電解液が用意される。有機電解液は、有機溶媒にリチウム塩が溶解されて製造される。
【0100】
前記有機溶媒は、当該技術分野で有機溶媒として使用可能なものであれば、いずれも使用可能である。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテルまたはそれらの混合物などである。
【0101】
前記リチウム塩も、当該技術分野でリチウム塩として使用可能なものであれば、いずれも使用可能である。例えば、LiPF6,LiBF4,LiSbF6,LiAsF6,LiClO4,LiCF3SO3,Li(CF3SO2)2N,LiC4F9SO3,LiAlO2,LiAlCl4,LiN(CxF2x+1SO2)(CyF2y+1SO2)(但し、x、yは、自然数)、LiCl、LiIまたはそれらの混合物などである。
【0102】
図1に示されたように、前記リチウム電池1は、正極3、負極2及び分離膜4を含む。前記正極3、負極2及び分離膜4がゼリーロール状にワインディングされるか、折り曲げられて電池ケース5に収容される。次いで、前記電池ケース5に有機電解液が注入されてキャップ(cap)アセンブリー6に密封されてリチウム電池1が完成される。前記電池ケースは、円筒状、角状、薄膜状などである。例えば、前記リチウム電池は、薄膜状電池でもある。前記リチウム電池は、リチウムイオン電池でもある。前記リチウム電池は、リチウムポリマー電池でもある。
【0103】
前記正極及び負極間に分離膜が配置され、電極組立体が形成される。前記電極組立体がバイセル構造に積層されるか、ゼリーロール状に巻き取られた後、有機電解液に含浸され、得られた結果物がパウチに収容されて密封されれば、リチウムイオンポリマー電池が完成される。
【0104】
また、前記電極組立体は、複数個積層されて電池パックを形成し、かような電池パックが高容量及び高出力が要求される全機器に使用可能である。例えば、ノート型パソコン、スマートホン、電気車両などに使用可能である。
【0105】
特に、前記リチウム電池は、効率特性及び寿命特性に優れるので、電気車両(electric vehicle、EV)に適する。例えば、プラグイン・ハイブリッド車両(plug-in hybridelectric vehicle、PHEV)などのハイブリッド車両に適する。
【0106】
以下の実施例及び比較例を通じて、本創意的概念がさらに詳細に説明される。但し、実施例は、本創意的概念を例示するためのものであって、それらだけで本創意的概念の範囲が限定されるものではない。
【実施例
【0107】
(分離膜の製造)
製造例1
LiFePO4粒子96重量部とCMC4重量部とを混合して、第1層形成用スラリーを製造した。
【0108】
有機粒子として平均粒径(D50)0.2μmのポリエチレン(PE)を準備した。前記有機粒子11重量部、バインダ(アクリル系耐熱バインダ)4重量部、及び無機粒子(ベーマイト)85重量部を混合して、第2層形成用スラリーを製造した。
【0109】
前記第1層形成用組成物を、厚さ8.7μmのポリエチレン多孔性基材の一面に、グラビア印刷して、多孔性基材の一面に厚さ3.0μmの第1層を形成し、前記ポリエチレン多孔性基材の他面に、前記第1層形成用組成物をグラビア印刷して、多孔性基材の他面に厚さ3.0μmの第2層を形成し、基材の両面に第1層及び第2層がそれぞれ配置された分離膜を製造した。前記分離膜の厚さは、14.7μmであった。
【0110】
比較製造例1
第1層及び第2層を形成しないことを除いては、製造例1と同じ方法で分離膜を製造した。
【0111】
比較製造例2
第2層を形成しないことを除いては、製造例1と同じ方法で分離膜を製造した。
【0112】
比較製造例3
有機粒子5重量部、バインダ4重量部、及び無機粒子91重量部を混合して第2層形成用スラリーを製造したことを除いては、前記製造例1と同じ方法で分離膜を製造した。
【0113】
比較製造例4
第1層を形成しないことを除いては、比較製造例3と同じ方法で分離膜を製造した。
【0114】
比較製造例5
第1層を形成しないことを除いては、製造例1と同じ方法で分離膜を製造した。
【0115】
(リチウム電池の製造)
実施例1
(負極の製造)
平均粒径25μmの黒鉛粒子(C1SR、日本炭素)97重量%、スチレンブタジエンゴム(SBR)バインダ(Zeon)1.5重量%及びカルボキシメチルセルロース(CMC,NIPPON A&L)1.5重量%を混合した後、蒸溜水に投入し、機械式撹拌器を使用して60分間撹拌して負極活物質スラリーを製造した。前記スラリーをドクターブレードを使用して10μm厚さの銅集電体上に塗布し、100℃の熱風乾燥器で0.5時間乾燥した後、真空、120℃の条件で4時間再度乾燥し、圧延(roll press)して負極板を製造した。
【0116】
(正極の製造)
LiCoO2 97重量%、導電材としてカーボンブラック粉末1.5重量%及びポリフッ化ビニルリデン(PVdF、SOLVAY)1.5重量%を混合して、N-メチル-2-ピロリドン溶媒に投入した後、機械式撹拌器を使用して30分間撹拌して正極活物質スラリーを製造した。前記スラリーを、ドクターブレードを使用して20μm厚さのアルミニウム集電体上に塗布し、100℃の熱風乾燥器で0.5時間乾燥した後、真空、120℃の条件で4時間再度乾燥し、圧延して正極板を製造した。
【0117】
(電極組立体ゼリーロール)
前記で製造した正極板と負極板との間に前記製造例1で製造された分離膜を介在させた後、巻き取って電極組立体ゼリーロールを準備した。ゼリーロールをパウチに挿入して電解液を注入した後、パウチを真空密封した。
【0118】
電解液は、1.3MのLiPF6がエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジエチルカーボネート(DEC)の3/5/2(体積比)混合溶媒に溶解されたものを使用した。
【0119】
パウチに挿入されたゼリーロールに250kgf/cm2の圧力をかけつつ、70℃の温度で1時間熱的軟化(thermal softening)させつつ、SOCの50%まで初期充電(PRE-CAHRGING)させた。
【0120】
前記ゼリーロールに200kgf/cm2の圧力をかけつつ、180秒間85℃の温度で熱間圧延(heat pressing)させた。前記熱間圧延過程で、バインダがゲル状態からゾル(sol)状態に遷移しつつ、正極/負極と分離膜との間に接着力が発生する。
【0121】
次いで、前記ゼリーロールに200kgf/cm2の圧力をかけつつ、90秒間22-23℃の温度で冷間圧延(cold pressing)させた。前記熱間圧延過程でバインダがゾル(sol)状態からゲル(gel)状態に遷移した。
【0122】
次いで、前記パウチからガスを除去し(degassing)、前記ゼリーロールに200kgf/cm2の圧力をかけつつ、45℃の温度で1時間0.2C rateの電流で電圧が4.3Vに至るまで定電流で充電し、4.3Vを保持しつつ電流が0.05Cになるまで定電圧充電した。次いで、放電時に電圧が3.0Vに至るまで0.2Cの定電流で放電するサイクルを5回繰り返して化成段階を遂行した。
【0123】
比較例1ないし5
比較製造例1ないし5で製造された分離膜をそれぞれ使用したことを除いては、実施例1と同じ方法でリチウム電池をそれぞれ製造した。
【0124】
評価例:貫通特性測定
化成段階を経た実施例1及び比較例1ないし5のリチウム電池のパウチからゼリーロールを取り出して分離膜を分離し、貫通特性を評価して、下記表1に示した。それぞれの分離膜に対してネール(nail)テストを実施した後、観測される現象によって異常発生程度と確率とを評価した。L4-3及びL6の場合に、異常が発生したと評価した。
【0125】
【表1】
【0126】
表1から分かるように、実施例1の分離膜は、比較例1ないし5の分離膜に比べて貫通特性が顕著に向上した。
【符号の説明】
【0127】
1・・・リチウム電池
2・・・負極
3・・・正極
4・・・分離膜
5・・・電池ケース
6・・・キャップアセンブリー
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4