(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-04
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20220113BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20220113BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/58
(21)【出願番号】P 2020201433
(22)【出願日】2020-12-04
(62)【分割の表示】P 2017227453の分割
【原出願日】2017-11-28
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】特許業務法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳永 英司
【審査官】淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-072515(JP,A)
【文献】特開2017-033967(JP,A)
【文献】特開2017-028010(JP,A)
【文献】特開2017-059737(JP,A)
【文献】特開2015-185786(JP,A)
【文献】特開2017-108092(JP,A)
【文献】特開2013-026558(JP,A)
【文献】特開2017-055088(JP,A)
【文献】特開2016-122868(JP,A)
【文献】特開2017-050321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体上に実装された、素子第一面と、前記素子第一面と反対側に位置する発光面である素子第二面とを有し、平面視において五角形以上の多角形状である発光素子と、
変換板第一面と、前記変換板第一面と反対側の変換板第二面とを有し、前記変換板第一面は前記素子第二面よりも面積が大きく、平面視において前記発光素子と同じ形状の五角形以上の多角形状である波長変換板と、
前記変換板第一面と素子第二面とを接合する接合部材と、
前記接合部材及び前記波長変換板を被覆する、光反射性を備える第一被覆部材と、
前記素子第一面と、前記支持体との間に設けられた第二被覆部材と、
を備え、
前記発光素子のそれぞれの頂点と、前記波長変換板のそれぞれの頂点とが対応しており、
前記波長変換板の厚みが20μm以上500μm以下であり、
前記接合部材が前記波長変換板の下面全体に配置されており、
前記第一被覆部材が、前記波長変換板の側面側において外縁に向かって傾斜されて
おり、
前記接合部材が、前記変換板第一面と前記素子第二面との接合界面から連続して、前記発光素子の側面において、前記変換板第一面の周縁領域から前記素子第一面に向かって傾斜された傾斜面を有しており、
前記多角形状の発光素子の平面視における中心と、前記多角形状の一の頂点を結ぶ線分である第一断面線を断面とする前記接合部材の傾斜面である第一断面が、前記一の頂点と、前記一の頂点と隣接する他の頂点とを結ぶ辺の中間と、前記多角形状の発光素子の平面視における中心とを結ぶ線分である第二断面線を断面とする前記接合部材の傾斜面である第二断面と異なる形状であり、前記接合部材の傾斜面は、前記第一断面と第二断面との間で連続的に変化させるよう構成してなる発光装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の発光装置であって、さらに、
前記波長変換板の上面に、平面視を円形状で断面視を半円球状とする封止部材を備えてなる発光装置。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の発光装置であって、
前記波長変換板が、蛍光体を含む樹脂製の板材である発光装置。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載の発光装置であって、
前記波長変換板が、蛍光体が均一の厚みを有するガラス板である発光装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記発光素子が、平面視において六角形状である発光装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記波長変換板の側面と、前記第一被覆部材が接している発光装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記第二被覆部材の側面が、前記第一被覆部材で被覆されてなる発光装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の発光装置であって、
前記接合部材が、前記支持体から離間する発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード等の発光素子を用いた発光装置が液晶のバックライトや照明等に用いられている。発光装置は、矩形状の発光素子を、
図10の断面図に示すようにサブマウント基板上に実装し、発光面に板状透明部材を配置し、反射材料層で周囲を囲み、構成される。
図10に示す発光素子は、白色セラミック製外枠124で外周を覆われた板状光学部材114を、実装基板に搭載された発光素子111の上に、光学層113を挟んで搭載する。光学層113の外周と板状光学部材114の白色セラミック製外枠124の外周を、光反射性樹脂材料115により覆っている。
【0003】
しかしながら、矩形状の発光素子は、平面視における発光の光パターンが円形とならず、このため発光装置を実装する角度によって配向が異なってしまうというおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態の目的の一は、平面視における発光パターンを円形に近付けた発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る発光装置によれば、支持体と、前記支持体上に実装された、素子第一面と、前記素子第一面と反対側に位置する発光面である素子第二面とを有し、平面視において五角形以上の多角形状である発光素子と、変換板第一面と、前記変換板第一面と反対側の変換板第二面とを有し、前記変換板第一面は前記素子第二面よりも面積が大きい波長変換板と、前記変換板第一面と素子第二面とを接合する接合部材と、前記接合部材及び波長変換板を被覆する、光反射性を備える第一被覆部材とを備える。前記接合部材は、前記変換板第一面と前記素子第二面との接合界面から連続して、前記発光素子の側面において、前記変換板第一面の周縁領域から前記素子第一面に向かって傾斜された傾斜面を有しており、前記多角形状の発光素子の平面視における中心と、前記多角形状の一の頂点を結ぶ第一断面線を断面とする前記接合部材の傾斜面が、前記一の頂点と、前記一の頂点と隣接する他の頂点とを結ぶ辺の中間と、前記多角形状の発光素子の平面視における中心とを結ぶ第二断面線を断面とする前記接合部材の傾斜面よりも、前記発光素子の側面側に近接している。
【発明の効果】
【0007】
上記形態によれば、発光素子の頂点近傍は暗く、隣り合う頂点の中間近傍を明るくすることで、平面視における発光パターンを多角形状から円形に近付けることができ、発光装置の角度による配向のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態1に係る発光装置を示す平面図である。
【
図3】
図1の発光装置のIII-III線における断面図である。
【
図5】比較例に係る発光装置の発光素子と波長変換板を示す透視平面図である。
【
図6】
図6Aは
図5の発光装置のVIA-VIA線における断面図、
図6Bは
図5の発光装置のVIB-VIB線における断面図である。
【
図7】
図1の発光装置の発光素子と波長変換板を示す透視平面図である。
【
図8】
図8Aは
図7の発光装置のVIIIA-VIIIA線における断面図、
図8Bは
図7の発光装置のVIIIB-VIIIB線における断面図である。
【
図11】実施形態2に係る発光装置を示す垂直断面図である。
【
図12】他の変形例に係る発光装置の断面図である。
【
図13】さらに他の変形例に係る発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態及び実施例を、図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態及び実施例は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに限定されるものでない。また各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明に係る実施形態及び実施例を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」および、それらの用語を含む別の用語)を用いる。
<実施形態1>
【0010】
本発明の実施形態1に係る発光装置100を
図1~
図3及び
図7、8に示す。これらの図に示す発光装置100は、支持体1と、この支持体1上に実装される発光素子10と、この発光素子10の上面に配置される波長変換板20と、波長変換板20と発光素子10とを接合する接合部材30と、接合部材30と波長変換板20を被覆する第一被覆部材40と、波長変換板20の上面に配置された封止部材50を備える。発光素子10は、素子第一面11と、素子第一面11と反対側に位置する発光面である素子第二面12とを有する。発光素子10は、平面視において五角形以上の多角形状である。波長変換板20は、変換板第一面21と、変換板第一面21と反対側の変換板第二面22とを有する。変換板第一面21は素子第二面11よりも面積が大きい。接合部材30は、変換板第一面21と素子第二面12とを接合する。第一被覆部材40は、光反射性を備える。
【0011】
接合部材30が、変換板第一面21と素子第二面12との接合界面から連続して、発光素子10の側面13において、変換板第一面21の周縁領域21bから素子第一面11に向かって傾斜された傾斜面31を有している。多角形状の発光素子10の平面視における中心と、多角形状の一の頂点を結ぶ第一断面線を断面とする接合部材30の傾斜面が、一の頂点と、一の頂点と隣接する他の頂点とを結ぶ辺の中間と、多角形状の発光素子10の平面視における中心とを結ぶ第二断面線を断面とする接合部材の傾斜面よりも、発光素子の側面側に近接してなる。
(支持体1)
【0012】
支持体1は、上面に発光素子10や封止部材50等を実装するための部材である。支持体1は絶縁性の母材と、母材の表面に発光素子10を実装する配線パターン等の導電部材2を備えている。支持体1を構成する絶縁性の母材としては、セラミック、樹脂(繊維強化樹脂を含む)等が挙げられる。セラミック基板としては、アルミナ、窒化アルミニウム等が挙げられる。樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、BTレジン、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリフタルアミド樹脂、ナイロン樹脂などの熱可塑性樹脂や、これらの変性樹脂又はこれらの樹脂を1種以上含むハイブリッド樹脂等が挙げられる。また、母材は単層構造でも積層構造でもよい。
図3等の例では、窒化アルミニウムを積層している。一般的に窒化アルミニウムは樹脂よりも放熱性が高いので、母材に窒化アルミニウムを使用することで発光装置の放熱性を向上させることができる。また、これらの母材には、当該分野で公知の着色剤、充填剤、強化繊維等を含有させてもよい。特に、着色剤は、反射率の良好な材料が好ましく、酸化チタン、酸化亜鉛等の白色のものが好ましい。充填剤としては、シリカ、アルミナ等が挙げられる。強化繊維としては、ガラス、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム等が挙げられる。
【0013】
また支持体1の上面や下面には、必要に応じて導電部材2が形成される。導電部材2で配線パターンが形成され、発光素子10が配線パターンに実装される。
図3の例では、支持体1の裏面側に、一対の導電部材2が設けられる。発光素子10に形成された電極18が、フリップチップ接続等により支持体1の導電部材2とバンプ等の接続部材19を介して接続される。
(発光素子10)
【0014】
発光素子10は、電極18を形成した実装面である素子第一面11(
図3において下面)と、この素子第一面11と反対側に位置する発光面である素子第二面12(
図3において上面)とを有する。また発光素子10は、平面視において五角形以上の多角形状とする。
図1の平面図の例では、六角形状としている。
【0015】
発光素子10としては、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることができ、発光素子の発光ピーク波長は、紫外域から赤外域まで選択することができる。半導体発光素子は、透光性の成長基板16と、その上に形成された半導体積層体14とを含むことができる。また、半導体積層体14は、透光性成長基板16とは反対側(対向する面)に、電極18を備えた電極形成面を備えている。透光性成長基板16側は光の取り出し面として用いられる。
(半導体積層体14)
【0016】
半導体積層体14は、複数の半導体層を含む。半導体積層体14の一例としては、第一導電型半導体層(例えばn型半導体層)、発光層(活性層)および第二導電型半導体層(例えばp型半導体層)の3つの半導体層を含むことができる。紫外光や、青色光から緑色光の可視光を発光可能な半導体層としては、例えば、III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料(例えばInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等)を用いることができる。赤色を発光可能な半導体積層体14としては、GaAs、GaAlAs、GaP、InGaAs、InGaAsP等を用いることができる。
(透光性成長基板16)
【0017】
発光素子10の透光性成長基板16には、例えば、上記の窒化物系半導体材料の場合、サファイア(Al2O3)のような透光性の絶縁性材料や、半導体積層体14からの発光を透過する半導体材料(例えば、窒化物系半導体材料)を用いることができる。ここでの透光性とは、発光素子10から出射される光の60%、65%、70%又は80%程度以上を透過し得る性質を指す。
(電極18)
【0018】
発光素子10が有する一対の電極18は、半導体層の同一面側に配置されている。これらの一対の電極18は、上述した第一導電型半導体層及び第二導電型半導体層と、それぞれ、電流-電圧特性が直線又は略直線となるようなオーミック接続されるものであれば、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。このような電極18は、当該分野で公知の材料及び構成で、任意の厚みで形成することができる。例えば、10μm~300μmが好ましい。また、電極18としては、電気良導体を用いることができ、例えばCu、Au、Ag、AuSn等の金属が好適である。
(波長変換板20)
【0019】
波長変換板20は、発光素子10の上面に配置されて、発光素子10の素子第二面12から発される光の波長を、異なる波長に変換する。例えば発光素子10が青色を発光する場合、この青色を黄色に波長変換して、青色光と黄色光の混色により白色光を得る。この波長変換板20は、変換板第一面21(
図3において下面)と、この変換板第一面21と反対側の変換板第二面22(
図3において上面)とを有する。そして変換板第一面21は、素子第二面12よりも面積を大きくしている。これにより素子第二面12すなわち発光素子10の発光面の全面を波長変換板20で覆うことができる。いいかえると、発光素子10の発光面の一部が波長変換板20で覆われないことで、発光素子10の発光(例えば青色光)が混色されずに外部に放出されて色むらを生じる事態を抑制できる。
図2の透視平面図に示す例では、六角形状の発光素子10よりも一回り大きい、六角形状の波長変換板20を使用している。
【0020】
波長変換板20には、波長変換部材として蛍光体を含む樹脂製の板材が利用できる。蛍光体は樹脂中に均一に分散していてもよいし、一方に偏在していてもよい。蛍光体は、発光素子10の発する光で励起されて、発光素子10の発する光よりも長波長の蛍光を発する。
(変形例)
【0021】
ただ、波長変換板はこの構成に限らず、蛍光体等の波長変換部材を一面に配置した透光性を有するガラス板などを利用することもできる。蛍光体等の波長変換部材はガラス板上に均一の厚みを有する。このような例を変形例として
図4の断面図に示す。この図に示す発光装置100’の波長変換板20Bは、変換板第一面21Bと変換板第二面22Bを備えており、ガラス板の下面である変換板第一面21Bに、蛍光体24Bを印刷している。このようにすることで、蛍光体24Bの厚みが略均一になり、蛍光体24Bを通過する光の光路長が一定となる。これにより、色むら及びイエローリングの発生を抑制できる。また印刷に限らず、蛍光体をシート状に形成した蛍光体シートを、ガラス板に貼付する形態としてもよい。ガラスとして、例えば、ホウ珪酸ガラスや石英ガラスから選択することができる。
【0022】
波長変換板20において蛍光体を含む樹脂部の厚みは、20μm以上500μm以下であることが好ましい。波長変換板20の厚みが500μmより厚いと、放熱性が低下する傾向がある。放熱性の観点からは、波長変換板20は薄ければ薄い程好ましいが、20μmよりも薄いと得たい発光の色度範囲が小さくなる傾向がある。波長変換板20がガラスを備えている場合には、ガラスの厚みは、20μm以上500μm以下であることが好ましい。ガラスの厚みが20μm以上であることで、波長変換板20の機械強度を向上させることができる。また、ガラスの厚みが500μm以下であることで、発光装置を薄型化することができる。
【0023】
波長変換板20において蛍光体を含む樹脂部は単層でも多層でもよい。一例として、蛍光体を含む樹脂製の板材で波長変換部材を構成する態様において、波長変換部材を2層の波長変換層で構成した例を、変形例として
図12の断面図に示す。この図に示す発光装置300は、波長変換板20Cを、第一波長変換層25Cと第二波長変換層26CDで構成している。
【0024】
また、波長変換板を構成するガラス板等の一面に蛍光体を印刷、塗布する態様においても同様に、蛍光体を複数層で構成してもよい。このような例を変形例として
図13の断面図に示す。この図に示す発光装置400は、蛍光体24Dを、第一波長変換層25Dと第二波長変換層26Dで構成している。以上の変形例に係る発光装置300、400において、上述した実施例や変形例と同じ部材については、同じ符号を付して詳細説明を省略する。
【0025】
なお、蛍光体等の波長変換層を多層で構成する場合には、発光素子10の素子第二面12上に赤色蛍光体を含む第一波長変換層が位置し、第一波長変換層上に黄色蛍光体を含む第二波長変換層が位置することが好ましい。赤色の光は黄色蛍光体に吸収されにくいので、発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。赤色蛍光体としては、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体及び/又はKSF系蛍光体等が挙げられ、黄色蛍光体としては、YAG及び/又はLAG等が挙げられる。
(蛍光体)
【0026】
蛍光体は、発光素子10からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al2O3-SiO2);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
(接合部材30)
【0027】
接合部材30は、変換板第一面21と素子第二面12とを接合するための部材である。接合部材30は、変換板第一面21と素子第二面12との接合界面に塗布されて、波長変換板20と発光素子10とを接合する。接合部材30には、透光性を有する樹脂が利用できる。また接合部材30は、変換板第一面21と素子第二面12とを接合できるよう、未硬化の状態でゲル状となる樹脂、例えば熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が利用できる。このような接合部材30としては、ジメチル系樹脂、フェニル系樹脂、ジフェニル系樹脂等が利用できる。また、接合部材30に、発光素子の発光を波長変換する波長変換部材を混合してもよい。
(傾斜面31)
【0028】
また未硬化の接合部材30の一部は、変換板第一面21と素子第二面12との接合界面から溢れて、発光素子10の側面に至る。すなわち、接合部材30は、変換板第一面21と素子第二面12との接合界面から発光素子10の側面に連続して形成され、変換板第一面21の周縁領域21bから素子第一面11に向かって延長されて、
図3の断面図に示すように変換板第一面21から素子第二面12の間にかけて傾斜面31を形成する。
【0029】
ここで変換板第一面21の周縁領域21bとは、素子第二面12と対向する変換板第一面21の内、周囲の部分を指す。波長変換板20は発光素子10よりも一回り大きく形成しているため、変換板第一面21の周縁には、平面視において素子第二面12と重ならない周縁領域21bが形成される。この結果、例えば発光装置の製造工程においてゲル状の未硬化の接合部材30で発光素子10と波長変換板20を接合する際に、変換板第一面21と素子第二面12との接合界面から溢れ出た未硬化の接合部材30は、変換板第一面21の周縁領域21bに押し出され、さらに発光素子10の側面を伝って下降し、変換板第一面21から素子第二面12に向かって傾斜する傾斜面31が形成される。
【0030】
また傾斜面31は、変換板第一面21の周縁領域21bから素子第一面11に向かって延長されている。ただし傾斜面31の下端が、素子第一面11と同じ平面に至っている必要は必ずしもなく、発光素子の厚さや接合部材の塗布量によって、発光素子10の側面において、素子第一面11から素子第二面12の間に形成されていてもよい。この場合、接合部材30は、支持体1から離間している状態となる。接合部材30が、支持体1から離間していることで、発光素子からの光が接合部材を介して支持体に吸収されることを抑制することができる。接合部材30は、少なくとも半導体層14の一部を覆うことが好ましい。半導体層14が発光層を備えているので、接合部材30が半導体層14の一部を覆うことで、接合部材30を介して発光素子からの光を発光素子の外部に取り出しやすくなる。これにより、発光装置の光取り出し効率を向上させることができる。尚、接合部材30は第一被覆部材40よりも発光素子10からの光の透過率が高い。また、発光素子10の厚み方向において傾斜面31の下端の位置が、素子第一面11の平面から、発光素子10の厚みの0.2倍以内に位置することがより好ましい。このようにすることで、発光素子の側面を覆う接合部材30の面積が増加するので発光装置の光取り出し効率が向上する。
(第一被覆部材40)
【0031】
第一被覆部材40は、接合部材30及び波長変換板20を被覆するための部材である。第一被覆部材40を構成する樹脂材料には、ジメチルシリコーン樹脂、フェニルシリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂が好適に利用できる。また第一被覆部材40は光反射性を備える。発光素子10が発する光を効率良く反射させるため、反射率を高めた光反射性樹脂とすることが好ましい。例えば透光性樹脂に、光反射性物質を分散させたものが使用できる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが好適である。光反射性物質は、粒状、繊維状、薄板片状などが利用できるが、特に、繊維状のものは第一被覆部材40の熱膨張率を低下させる効果も期待できるので好ましい。第一被覆部材40は、発光素子10からの光に対する反射率を70%以上とする。これにより、第一被覆部材40に達した光が反射されて、波長変換板20の変換板第二面22に向かうことにより、発光装置の光取出し効率を高めることができる。
【0032】
この第一被覆部材40は、波長変換板20の側面を被覆するよう、この側面と接していることが好ましい。このようにすることで、発光領域と非発光領域とのコントラストが高い、「見切り性」の良好な発光装置とすることができる。また第一被覆部材40は、素子第一面11と支持部材1との間に位置していることが好ましい。このようにすることで、発光素子からの光が素子第一面11と支持部材との間に位置する第一被覆部材40に反射されて支持部材に吸収されることを抑制することができる。第一被覆部材40は、波長変換板20の外縁から発光装置の外縁に向かって傾斜し、発光装置の外縁において第一被覆部材40の厚みが薄くなることが好ましい。このようにすることで、発光装置が波長変換板20及び第一被覆部材40を被覆する封止部材50を備える場合に、発光装置の外縁における封止部材50の下面の位置が低くすることができるので、発光装置を薄型化にすることができる。
(封止部材50)
【0033】
封止部材50は、
図1、
図3等に示すように、波長変換板20の上面に配置される。この封止部材50は、平面視を円形状で断面視を半円球状のレンズ部と、レンズ部の外周側に延出する鍔部と、を備えている。また封止部材50は、透光性を有する投光性封止部材が利用できる。透光性封止部材は、透光性樹脂、ガラス等が使用できる。特に、透光性樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。また封止部材50には、粘度を調整する等の目的で、各種のフィラー等を含有させてもよい。
(保護素子60)
【0034】
また発光装置100は、発光素子10を過電流による破壊から保護する保護素子60を備えることができる。
図3の断面図においては、保護素子60を第一被覆部材40に埋設している。保護素子60としては、例えば、ツェナーダイオードやコンデンサなどを用いることができる。片面電極の保護素子であれば、ワイヤレスでフェイスダウン実装できるので好ましい。
(発光パターン70)
【0035】
さらに、接合部材30の傾斜面31を、断面位置に応じて変化させることで、発光素子10の平面視における発光パターン70を円形状に近付けることが可能となる。すなわち、発光素子10の発光面である素子第二面12では、強い出射光が得られるため、変換板第二面22においても素子第二面12と重なる領域では、強い出射光が得られる。しかしながら、素子第二面が多角形状である場合は、発光パターンはそのままでは円形状とならず、多角形状となる。いいかえると、発光素子の形状がそのまま発光パターンとして表れてしまうため、円形状の投影パターンが好まれる照明光の品質としては望ましくない。
【0036】
ここで、比較例として平面形状が正方形状の発光素子10Xの平面図を
図5に、
図5のVIA-VIA線における断面図を
図6Aに、VIA-VIA線から45°傾斜させた
図5のVIB-VIB線における断面図を
図6Bに、それぞれ示す。この発光素子10Xの発光パターン70Xは、
図5において破線で示すような矩形状となる。すなわち、
図5において斜線で示す発光素子10Xの素子第二面12Xと波長変換板20Xの変換板第一面21Xとが重なる第一領域71Xで強い白光が得られる。一方変換板第二面22Xが素子第一面11Xと重ならない、変換板第二面22Xの周縁領域22Xbでは、発光素子10X側面の漏れ光の一部が第二領域72Xとして取り出されることになる。ここでは、
図6A、
図6Bに示すように第一被覆部材40の断面形状が断面位置によらずほぼ一定であるため、漏れ光によって得られる第二領域72Xは
図5においてクロスハッチングで示すように発光素子10Xの周囲に沿った領域となり、結果として全体の発光パターン70Xは、ほぼ発光素子10Xの平面形状に沿ったものとなる。
【0037】
これに対して本実施形態においては、発光素子10の平面形状を五角形以上の多角形とし、さらに第一被覆部材40の傾斜面31を調整することによって、発光素子10の平面視における発光パターン70を円形状に近付けている。すなわち、接合部材30の傾斜面31を、断面位置に応じて変化させることで、
図7の透視平面図において破線で示すように発光素子10の平面視における発光パターン70を円形状に近付けることが可能となる。
図7においても、変換板第二面22が素子第二面12と重なる第一領域71(
図7において斜線で示す領域)では、強い出射光が得られる。一方で変換板第二面22が素子第二面12と重ならない領域である変換板第二面22の周縁領域22bにおいては、発光素子10の側面から漏れる光の一部が上面に取り出されるために、変換板第二面22の中心領域と比べて相対的に光量は低下する。そこで、この変換板第二面22の周縁領域22bにおいて、発光素子10の側面から出射される光や反射光の取り出し量を調整することによって、発光パターン70を円形状に近付けることが可能となる。具体的には、変換板第二面22の頂点近傍の光量を低減し、頂点同士の中間部分で光量を多くすることによって、発光パターン70を多角形状から円形状に近付けることが可能となる。この詳細を、以下説明する。
(第一断面)
【0038】
ここで、
図7に示す発光素子10と波長変換板20を示す透視平面図において、六角形状の発光素子10の中心Oと、六角形状の一の頂点である第一頂点V1(
図7では右端)とを通る線を第一断面線CL1と規定する。この第一断面線CL1における断面形状を第一断面として、
図8Aの断面図に示す。上述の通り、接合部材30は、変換板第一面21と素子第一面11との間で傾斜面31を形成している。ここで、第一断面における傾斜面を傾斜面31Aとする。また接合部材30は、断面視において先端(
図8Aにおいて下端)が素子第一面11に至っている構成、あるいは素子第一面11と素子第二面12の間にある構成のいずれでもよい。
(第二断面)
【0039】
一方、第一頂点V1と隣接する第二頂点V2(
図7では右上)とを結ぶ辺の中間と、発光素子10の中心Oとを通る線を第二断面線CL2と、規定する。この第二断面線CL2における断面形状を第二断面として、
図8Bの断面図に示す。ここで、第二断面における傾斜面を傾斜面31Bとする。
(第一接合点E1、第二接合点E2)
【0040】
これら第一断面と第二断面を比較すると、第一断面における接合部材30の傾斜面31Aが、第二断面における傾斜面31Bよりも、発光素子10の側面側に近接している。
図8A、
図8Bに示すように、断面視において発光素子10の側面13が変換板第一面21と最も近接する点を、それぞれ発光素子10と波長変換板20との第一接合点E1、第二接合点E2とする。この第一接合点E1、第二接合点E2から、それぞれ支持体1の表面S1、S2に向かって45°の傾斜角度で延伸させた仮想線分、すなわちE1とS1を結ぶVL1、及びE2とS2を結ぶVL2と、接合部材30の傾斜面31A、31Bとの交点に注目する。ここで、第一断面における仮想線分である第一線分VL1と、接合部材30の傾斜面31Aとの交点を第一交点C1とし、第二断面における仮想線分である第二線分VL2と、接合部材30の傾斜面31Bとの交点を第二交点C2とする。このとき、第一接合点E1から第一交点C1までの距離は、第二接合点E2から第二交点C2までの距離よりも短い。このように、接合部材30の傾斜面31を、多角形状の発光素子10の断面の位置によって変化させることで、この傾斜面31を被覆する第一被覆部材40の形状もこれに応じて変化させ、これにより発光素子10の反射光の光量を調整して発光パターン70を円形に近付けることができる。具体的には、発光素子10の頂点にあたる第一断面では、傾斜面31Aを発光素子10の側面により近接させることで、第一被覆部材40に反射された光が接合部材を介して発光素子10に戻りやすくしている。その一方で頂点同士の中間の第二断面では、傾斜面31Bを発光素子10の側面から離間させることで、第一被覆部材40に反射された光が、接合部材を介して発光装置の上方すなわち波長変換板20側に出射されやすくなる。これにより、第二断面における接合部材を介して発光装置の上方に出射される光量が、第一断面における接合部材を介して発光装置の上方に出射される光量よりも増加する。この結果、六角形状の変換板第二面22の、頂点の近傍は相対的に暗く、頂点同士の間では相対的に明るくなる。この結果、
図7において破線で示すように発光パターン70を六角形状から円形に近付けて、照明光としての品質を向上させることができる。特に発光パターン70を、発光素子10を平面視多角形状としたことで、変換板第二面22と素子第二面12とが重なる第一領域71(
図7において斜線で示す領域)を四角形状から円形に近付けると共に、この第一領域71の周囲に連なる第二領域72を、頂点部分で光量を少なく、辺の中間部分で光量を多くすることによって、第一領域71と第二領域72で構成される発光パターン70を一層、円形に近付けることができる。さらに、波長変換板20の上面に設けられた平面視を円形状とする封止部材50との光学的結合を改善して、封止部材50から出力される出力光の品質を高めることが可能となる。
【0041】
また、発光素子10側面からの光を、変換板第二面22の多角形状を形成する辺の中間位置、すなわち第二断面においてより第一被覆部材40に反射された光が、発光装置の上方に出射されやすいように、第二断面における接合部材30の傾斜面31Bは、好ましくは
図8Bの断面図に示すように凸状の曲面を成すように形成することが好ましい。また、凸状の曲面を有する傾斜面31Bと接する第一被覆部材40は、凹状に形成される。
【0042】
一方で多角形状の変換板第二面22の頂点を通る第一断面においては、逆に第一被覆部材40に反射された光が、発光装置の上方に出射されにくいように、接合部材30の傾斜面31Aが凹状の曲面を成すように形成することが好ましい。また、凹状の曲面を有する傾斜面31Aと接する第一被覆部材40は、凸状に形成される。
【0043】
接合部材30の傾斜面31は、第一断面と第二断面との間で連続的に変化させることが好ましい。これによって、発光素子10の発光が第一被覆部材40で反射される量を連続的にさせることができ、より円形状に近付ける効果が期待できる。
【0044】
また第二断面線CL2は、発光素子10の頂点同士の中点を通る線とすることが好ましい。これにより、六角形状等の多角形状に内接する内接円の接点を第二断面線CL2が通るようにして、より真円に近付けることが可能となる。ただ、第二断面線CL2を厳密に頂点同士の中点とする必要はなく、中点の近傍としても発光パターン70を真円に近付けることが可能となる。例えば、第一断面線CL1と第二断面線CL2とがなす角度を略45°としてもよい。尚、本明細書において略45°とは、±3°程度の変動は許容されることを意味する。
【0045】
なお、
図5の平面図に示したように、比較例に係る四角形の発光素子10Xの場合は、発光素子10Xの中心から四角形の頂点までの距離(
図6Aに示すVIA-VIA線断面図)が、発光素子10Xの中心から四角形の辺までの距離(
図6Bに示す45°ずらしたVIB-VIB線断面図)よりも長くなる。このような構成上の相違によって、平面視において四角形状の発光素子10の中心と、四角状の発光素子の一の頂点を通る線分における断面での接合部材は、平面視において四角形状の発光素子10の中心と、四角状の発光素子の一の頂点と隣接する一の頂点とを結ぶ辺の中間を通る線分における断面での接合部材よりも小さくなりやすい。すなわち発光素子10Xの中心からの距離が長い頂点近傍における接合部材30は相対的に小さくなり、逆に発光素子10Xの中心からの距離が短い辺の中間近傍における接合部材30は相対的に大きくなる。この結果、接合部材30が大きく形成され易い辺の中間近傍において、接合部材30が素子第一面11に達するまで形成すると、頂点近傍においては接合部材30が素子第一面11まで形成され難くなる。一方、頂点近傍において接合部材30が素子第一面11に達するように形成すると、辺の中間近傍においては接合部材30が大きく形成され易くなる結果、接合部材30が支持体1に接触すると、発光素子10からの光が支持体1側に吸収されてしまい、光取り出し効率が低下することが考えられる。このように、接合部材30の大きさのばらつきのため、頂点と辺の中間近傍でいずれも接合部材30が素子第一面11で止まるように形成することは困難であった。
【0046】
これに対して本実施形態においては、発光素子10が平面視において五角形以上の多角形状であることから、発光素子10の中心から頂点までの距離と、辺の中間までの距離との差が四角形状の場合と比べて小さくなる。この結果、接合部材30の大きさの差が抑制され、接合部材30を素子第一面11の近傍まで形成するような大きさの制御が容易となり、発光素子からの光が支持体側に吸収されて光取り出し効率が低下する事態を回避できる利点が得られる。
(実施形態2)
【0047】
また接合部材30の傾斜面31を被覆する第二被覆部材を設けてもよい。このような例を実施形態2に係る発光装置200として、
図11の断面図に示す。この図に示す発光装置200は、上述した実施形態1と同じ部材については同じ符号を付して、詳細説明を省略する。
図11の発光装置200は、接合部材30の傾斜面31を、第二被覆部材42で覆っている。第二
被覆部材42は、傾斜面31と支持体1の表面との間に配置される。ここで第二
被覆部材42は、傾斜面31から末広がりとなるように支持体1の表面に拡げて配置されている。また第二
被覆部材42は、発光素子10の素子第一面11と支持体1の表面との間にも介在され、アンダーフィルとして機能する。さらに第二
被覆部材42に、酸化チタンなどの反射部材を混合させても良い。第二
被覆部材42の表面は、第一被覆部材40で被覆される。
【0048】
この第二被覆部材42は、第一被覆部材40よりも線膨張係数の低い材質とする。このような第二被覆部材42には、例えばジメチルシリコーン樹脂が利用できる。このように発光素子10の下面と支持体1との間に線膨張の低い第二被覆部材42を設けたことで、第一被覆部材40を構成する樹脂の膨張によって発光素子10が剥がれる事態を抑制できる。
(発光装置の製造方法)
【0049】
ここで、発光装置の製造方法について、
図9A~
図9Dに基づいて説明する。まず
図9Aに示すように、支持体1の表面に導電部材2が形成される。そして発光素子10が支持体1に実装される。発光素子10の電極18が導電部材2と接続されるように、半田等の接続部材19や超音波振動などを用いて発光素子10の素子第一面11が支持体1上に固定される。さらに、発光素子10の素子第二面12に、未硬化の接合部材30を所定量塗布する。
【0050】
この状態で
図9Bに示すように、波長変換板20を発光素子10の上面に配置する。これにより、素子第二面12と変換板第一面21との界面で、未硬化の接合部材30が押し拡げられ、変換板第一面21の周縁領域21bに押し出されると、
図9Cに示すように、発光素子10の側面を伝って下降し、結果的に変換板第一面21から素子第二面12に向かって先細り状に傾斜する傾斜面31が形成される。傾斜面31の形状は、第一断面と第二断面とで異なるように、予め接合部材30の粘度等を調整する。この状態で、接合部材30を硬化させる。
【0051】
最後に
図9Dに示すように、波長変換板20と接合部材30の側面を第一被覆部材40で被覆し、さらに封止部材50を上面に固定する。これによって
図3に示す発光装置100が得られる。
【0052】
このようにして、発光素子10を五角形以上の多角形とし、さらに変換板第一面21の周縁領域21bにおける接合部材30の傾斜面31を調整することで、これと接する第一被覆部材40のプロファイルを断面位置に応じて変化させ、発光素子10の平面視における頂点近傍を暗く、頂点同士の中間の近傍を明るくして、平面視における発光パターン70を多角形状から円形に近付けることができ、発光装置の角度による配向のばらつきを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の実施形態に係る発光装置は、LEDディスプレイ、液晶表示装置などのバックライト光源、照明用光源、ヘッドライト、信号機、照明式スイッチ、各種センサ及び各種インジケータ、その他の一般的な民生品用光源等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
100、100’、200、300、400…発光装置
1…支持体
2…導電部材
10、10X…発光素子
11、11X…素子第一面
12、12X…素子第二面
13…発光素子の側面
14…半導体層
16…成長基板
18…電極
19…接続部材
20、20B、20C、20X…波長変換板
21、21B、21X…変換板第一面
21b…変換板第一面の周縁領域
22、22B、22X…変換板第二面
22b、22Xb…変換板第二面の周縁領域
24B、24D…蛍光体
25C、25D…第一波長変換層;26C、26D…第二波長変換層
30…接合部材
31、31A、31B…傾斜面
40…第一被覆部材
42…第二被覆部材
50…封止部材
60…保護素子
70、70X…発光パターン
71、71X…第一領域
72、72X…第二領域
111…発光素子
113…光学層
114…板状光学部材
115…光反射性樹脂材料
124…白色セラミック製外枠
V1…第一頂点
V2…第二頂点
O…中心
CL1…第一断面線
CL2…第二断面線
E1…第一接合点、E2…第二接合点
S1、S2…支持体の表面
VL1…第一線分
VL2…第二線分
C1…第一交点
C2…第二交点