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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-05
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】確率性を仮定した計量および加工
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220113BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20220113BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/956 A
G03F7/20 521
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2019552277
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018022769
(87)【国際公開番号】W WO2018175213
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】62/475,072
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/612,279
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビアフォア ジョン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】プレイル モーシェ イー
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0278768(US,A1)
【文献】特表2017-505462(JP,A)
【文献】特表2013-511152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
H01L 21/02-033
G01N 21/88-958
G03F 7/00-42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工ツールと通信可能に結合されたコントローラを含むシステムであって、前記コントローラが1個以上のプロセッサを含み、前記1個以上のプロセッサが、プログラム命令を実行すべく構成されたものであり、前記プログラム命令が、前記1個以上のプロセッサに、
選択されたリソグラフィツールを用いて試料上に作成される少なくとも1個の要素のパターン、および作成中に前記要素のパターンを露光させるための1個以上の露光パラメータを含む製造レシピを取得させ、
確率的反復因子の影響を受けやすい前記要素のパターンの部分を含む1個以上の候補保護領域を、前記試料におけるエネルギー吸収の不確実性および吸収されたエネルギーにおける変化に対する前記要素のパターンの感度を分析することにより識別させ、前記確率的反復因子が、確率的加工欠陥を示すことが予測される前記要素のパターンの1つ以上の部分を含み、
記選択されたリソグラフィツールを用いて前記製造レシピにしたがって作成する際に、前記1個以上の候補保護領域における確率的反復因子の予測尤度に基づき、前記確率的反復因子の抑制のために前記1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択させ、
前記製造レシピを変更して、前記1個以上の保護領域内における前記確率的反復因子を抑制させ、
前記変更された製造レシピに従い少なくとも1個の試料を作成するよう前記加工ツールに指示させる、システム。
【請求項2】
前記1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップが、
前記製造レシピに従い1個以上のシミュレートされた試料上の前記1個以上の候補保護領域の形成をシミュレートし、1個以上のシミュレートされた確率的反復因子を求めるステップと、
前記1個以上のシミュレートされた確率的反復因子の予測尤度に基づき、前記1個以上の候補保護領域から前記1個以上の保護領域を選択するステップと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップが、
前記製造レシピから前記1個以上の露光パラメータを変更して前記1個以上の候補保護領域の作成をシミュレートするステップ
含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記露光パラメータが、
照明の露光線量、照明の波長、露光中の前記選択されたリソグラフィツールの焦点体積、または露光中の前記試料上の照射の空間分布のうち少なくとも1つを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1個以上の候補保護領域から前記1個以上の保護領域を選択するステップが更に、
前記製造レシピにしたがって1個以上の試験試料上に前記1個以上の候補保護領域を作成するよう前記加工ツールに指示するステップと、
前記1個以上の試験試料上で前記1個以上の候補保護領域を検査するよう計量ツールに指示して1個以上の測定された確率的反復因子を生成するステップと、
前記1個以上の測定された確率的反復因子に基づいて前記1個以上の保護領域を前記1個以上の候補保護領域から選択するステップと、を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記1個以上の候補保護領域から前記1個以上の保護領域を選択するステップが更に、
前記製造レシピにしたがって1個以上の試験試料上に前記1個以上の候補保護領域を作成するよう前記加工ツールに指示するステップと、
前記1個以上の試験試料上で前記1個以上の候補保護領域を検査するよう計量ツールに指示して1個以上の確率的反復因子を測定するステップと、
前記1個以上の測定された確率的反復因子に基づいて前記1個以上の保護領域を前記1個以上の候補保護領域から選択するステップと、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記1個以上の候補保護領域から前記1個以上の保護領域を選択するステップが更に、
前記製造レシピから前記1個以上の露光パラメータを変更して前記1個以上の試験試料上に前記1個以上の候補保護領域を作成するよう前記加工ツールに指示するステップと、
前記1個以上の試験試料上の前記1個以上の保護領域を検査するよう前記計量ツールに指示するステップを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記露光パラメータが、
照明の露光線量、照明の波長、露光中の前記選択されたリソグラフィツールの焦点体積、または露光中の前記試料上の照射の空間分布のうち少なくとも1つを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップが、
前記1個以上の候補保護領域と、確率的反復因子の既知の予測尤度を有するパターンレイアウトのライブラリとの比較に基づいて前記1個以上の保護領域を選択するステップを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1個以上の候補保護領域と、確率的反復因子の既知の予測尤度を有するパターンレイアウトのライブラリとの比較に基づいて前記1個以上の保護領域を選択するステップが、
深層学習技術またはニューラルネットワーク技術の少なくとも一方を用いて、前記1個以上の候補保護領域と、前記確率的反復因子の既知の予測尤度を有するパターンレイアウトのライブラリとの比較に基づいて前記1個以上の保護領域を選択するステップを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記露光パラメータが、
照明の露光線量、照明の波長、露光中の前記選択されたリソグラフィツールの焦点体積、または露光中の前記試料上の照射の空間分布のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップが、
前記1個以上の候補保護領域内における前記1個以上の確率的反復因子の予測尤度にランク付けするステップを含み、
前記製造レシピを変更して、前記1個以上の保護領域内における前記1個以上の確率的反復因子を抑制するステップが、
前記製造レシピを変更して、前記ランク付けに基づき、選択された閾値より大きい予測尤度を有する前記確率的反復因子のサブセットを抑制するステップを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記製造レシピを変更して、前記1個以上の保護領域内における前記確率的反復因子を抑制するステップが、
前記1個以上の露光パラメータの少なくとも1個の露光パラメータを変更するステップとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記製造レシピを変更して、前記1個以上の保護領域内における前記確率的反復因子を抑制するステップが、
光近接効果補正に基づいて前記要素のパターンを変更するステップを含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
光近接効果補正に基づいてさらなる要素のパターンを変更するステップが、
前記要素のパターンの少なくとも1個のSRAFのサイズまたは位置の少なくとも一方を変更するステップを含んでいる、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記製造レシピが更に、
前記試料上におけるフォトレジスト層の1個以上の特性を含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記試料上におけるフォトレジスト層の前記1個以上の特性が、
前記フォトレジスト層内における1個以上のポリマー鎖のサイズまたは前記フォトレジスト層内における光酸発生剤の濃度の少なくとも一方を含んでいる、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記1個以上の保護領域を監視すべく計量ツールの計量レシピを生成するステップと、
前記変更された製造レシピに従い製造された前記少なくとも1個の試料上の前記1個以上の保護領域を前記計量レシピを用いて検査するステップとを更に含んでいる、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
確率的反復因子の影響を受けやすい前記要素のパターンの部分を含む1個以上の候補保護領域を、前記試料におけるエネルギー吸収の不確実性および吸収されたエネルギーにおける変化に対する前記要素のパターンの感度を分析することにより識別するステップが、
前記要素のパターンにおける1つ以上のエッジ付近でのエネルギー吸収の不確実性および吸収されたエネルギーにおける変化に対する前記1つ以上のエッジの感度を分析することにより前記要素のパターンの少なくとも一部分のエッジの粗さを推定するステップを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
選択されたリソグラフィツールを用いて試料上に作成される少なくとも1個の要素のパターンと、作成中に前記要素のパターンを露光させるための1個以上の露光パラメータと、を含む製造レシピを受け取るステップと、
確率的反復因子の影響を受けやすい前記要素のパターンの部分を含む1個以上の候補保護領域を、前記試料におけるエネルギー吸収の不確実性および吸収されたエネルギーにおける変化に対する前記要素のパターンの感度を分析することにより識別するステップであって、前記確率的反復因子が、確率的加工欠陥を示すことが予測される前記要素のパターンの1個以上の部分を含むステップと、
記選択されたリソグラフィツールを用いて前記製造レシピにしたがって作成する際に、前記1個以上の候補保護領域における前記確率的反復因子の予測尤度に基づき、前記確率的反復因子の抑制のために前記1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップと、
前記製造レシピを変更して、前記1個以上の保護領域内における前記確率的反復因子を抑制するステップと、
前記変更された製造レシピに従い少なくとも1個の試料を作成するステップと、
を含む方法。
【請求項21】
前記1個以上の露光パラメータが、
照明の露光線量、照明の波長、露光中の前記選択されたリソグラフィツールの焦点体積、または露光中の前記試料上の照射の空間分布のうち少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記製造レシピを変更して、前記1個以上の保護領域内における前記確率的反復因子を抑制するステップが、
前記1個以上の露光パラメータの少なくとも1個の露光パラメータを変更するステップを含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記製造レシピを変更して、前記1個以上の保護領域内における前記確率的反復因子を抑制するステップが、
光近接効果補正に基づいて前記要素のパターンを変更するステップを含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
光近接効果補正に基づいて前記要素のパターンを変更するステップが、
前記要素のパターンの少なくとも1個のSRAFのサイズまたは位置の少なくとも一方を変更するステップを含んでいる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記製造レシピが更に、
前記試料上におけるフォトレジスト層の1個以上の特性を含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記試料上におけるフォトレジスト層の前記1個以上の特性が、
前記フォトレジスト層内における1個以上のポリマー鎖のサイズまたは前記フォトレジスト層内における光酸発生剤の濃度の少なくとも一方を含んでいる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記要素のさらなるパターンの前記1個以上の保護領域を監視すべく計量ツールの計量レシピを生成するステップと、
前記変更された製造レシピに従い製造された前記少なくとも1個の試料上の前記1個以上の保護領域を前記計量レシピを用いて検査するステップとを更に含んでいる、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
計量ツールおよび加工ツールと通信可能に結合されたコントローラを含むシステムであって、前記コントローラが1個以上のプロセッサを含み、前記1個以上のプロセッサが、プログラム命令を実行すべく構成されたものであり、前記プログラム命令が、前記1個以上のプロセッサに、
選択されたリソグラフィツールを用いて試料上に作成される要素の少なくとも1個のパターン、および作成中に前記要素のパターンを露光させるための1個以上の露光パラメータを含む製造レシピを取得させ、
確率的反復因子の影響を受けやすい前記要素のパターンの部分を含む1個以上の候補保護領域を、前記試料におけるエネルギー吸収の不確実性および吸収されたエネルギーにおける変化に対する前記要素のパターンの感度を分析することにより識別させ、前記確率的反復因子が、確率的加工欠陥を示すことが予測される前記要素のパターンの1個以上の部分を含み、
記選択されたリソグラフィツールを用いて前記製造レシピにしたがって作成する際に、前記1個以上の候補保護領域における確率的反復因子の予測尤度に基づき、前記確率的反復因子の抑制のために前記1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択させ、
前記製造レシピに従い少なくとも1個の試料を作成するよう前記加工ツールに指示させ、
前記1個以上の保護領域を監視すべく前記計量ツールの計量レシピを生成させ、
前記少なくとも1個の試料上の前記1個以上の保護領域を検査するよう前記計量ツールに指示させる、システム。
【請求項29】
前記計量レシピを生成するステップが、
前記1個以上の保護領域を検査するための検査感度または検査測定回数の少なくとも一方を決定するステップを含んでいる、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記計量レシピを生成するステップが、
前記試料上の前記1個以上の保護領域の少なくとも一部の位置を含むようにサンプリングするサンプリング計画を作成するステップを含んでいる、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
前記サンプリング計画が前記試料上の前記1個以上の保護領域の部分集合の位置を含んでいる、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記1個以上の保護領域を監視すべく前記計量ツールの計量レシピを生成するステップが、
前記計量ツールの前記計量レシピを生成してウェハまたはレチクルの少なくとも一方の前記1個以上の保護領域を監視するステップを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項33】
選択されたリソグラフィツールを用いて試料上に作成される要素の少なくとも1個のパターンと、作成中に前記要素のパターンを露光させるための1個以上の露光パラメータと、を含む製造レシピを受け取るステップと、
確率的反復因子の影響を受けやすい前記要素のパターンの部分を含む1個以上の候補保護領域を、前記試料におけるエネルギー吸収の不確実性および吸収されたエネルギーにおける変化に対する前記要素のパターンの感度を分析することにより識別するステップであって、前記確率的反復因子が、確率的加工欠陥を示すことが予測される前記要素のパターンの1個以上の部分を含むステップと、
記選択されたリソグラフィツールを用いて前記製造レシピにしたがって作成する際に、前記1個以上の候補保護領域における前記確率的反復因子の予測尤度に基づき、前記確率的反復因子の抑制のために前記1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップと、
前記製造レシピに従い少なくとも1個の試料を加工するステップと、
前記1個以上の保護領域を監視すべく計量ツールの計量レシピを生成するステップと、
前記少なくとも1個の試料上の前記1個以上の保護領域を前記計量レシピを用いて検査するステップと、を含む方法。
【請求項34】
前記計量レシピを生成するステップが、
前記1個以上の保護領域を検査するための検査感度または多くの検査測定回数の少なくとも一方を決定するステップを含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記計量レシピを生成するステップが、
前記試料上の前記1個以上の保護領域の少なくとも一部の位置を含むようにサンプリングするサンプリング計画を作成するステップを含んでいる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記サンプリング計画が、前記試料上の前記1個以上の保護領域の部分集合の位置を含んでいる、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に計量システムに関し、より具体的には確率性を仮定した計量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、John J.BiaforeおよびMoshe E.Preilを発明者とする2017年3月22日出願の米国仮特許出願第62/475,072号「STOCHASTICALLY AWARE METROLOGY AND INSPECTION」を米国特許法第119条(e)の下で優先権主張するものであり、その全文を本明細書に引用している。
【0003】
波長の短縮を伴う照射光源を用いて、益々小型化する半導体素子に対する要求を満たすことができる。しかし、リソグラフィシステムにおける照射光源の波長の短縮は、特にスループットを向上させて加工コストを減らすべく露光線量を最小限に抑える大量生産において、加工中に不規則にまたは一定の確率で生じる欠陥の発生を増大させる恐れがある。従って、所与の加工工程中に生じる欠陥の個数および位置は異なり得る。短波長照射光源による確率的欠陥の尤度の増大には、試料に入射する光子の個数の減少に伴う光子エネルギーの増大、および当該光子の吸収における確率的変化を含む様々な要因が絡んでいる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,478,019号明細書
【文献】米国特許第5,608,526号明細書
【文献】米国特許第6,429,943号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】Lee,et al.「Quantifying imaging performance bounds of extreme dipole illumination in high NA optical lithography」,Proc.of SPIE Vol.9985 99850X-1(2016)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不規則に現れる確率的欠陥(例:確率的反復因子)の存在により、欠陥の検出だけなく、これらの確率的反復因子の影響を抑制すべく設計された試料レイアウトおよび製造レシピの生成が益々困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1個以上の例示的な実施形態によるシステムを開示する。例示的な一実施形態において、本システムは、加工ツールと通信可能に結合されたコントローラを含んでいる。別の例示的な実施形態において、コントローラは、試料上に形成される要素の少なくとも1個のパターン、および試料の加工中に照射により要素のパターンを露光させるための1個以上の露光パラメータを含む製造レシピを取得する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、製造レシピに従い形成される際に1個以上の確率的反復因子の影響を受けやすい要素のパターンの1個以上の候補保護領域を識別する。別の例示的な実施形態において、1個以上の確率的反復因子は、製造レシピに従い形成される際に確率的に生じることが予測される1個以上の加工欠陥を含んでいる。別の例示的な実施形態において、コントローラは、1個以上の確率的反復因子の1個以上の予測尤度を欠陥尤度閾値と比較することにより、1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、1個以上の保護領域内における1個以上の確率的反復因子を選択された許容範囲内に抑制すべく製造レシピを変更する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、変更された製造レシピに従い少なくとも1個の試料を加工するよう加工ツールに指示する。
【0008】
本開示の1個以上の例示的な実施形態による方法を開示する。例示的な一実施形態において、本方法は、試料上に形成される要素の少なくとも1個のパターン、および照射により要素のパターンを露光させるための1個以上の露光パラメータを含む製造レシピを取得するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、製造レシピに従い形成される際に確率的反復因子の影響を受けやすい要素のパターンの1個以上の候補保護領域を識別するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、1個以上の確率的反復因子は、製造レシピに従い形成される際に確率的に生じることが予測される1個以上の加工欠陥を含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、1個以上の確率的反復因子の1個以上の予測尤度を欠陥尤度閾値と比較することにより、1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、1個以上の保護領域内における1個以上の確率的反復因子の予測される生起を選択された許容範囲内に抑制すべく製造レシピを変更するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、変更された製造レシピに従い少なくとも1個の試料を加工するステップを含んでいる。
【0009】
本開示の1個以上の例示的な実施形態によるシステムを開示する。例示的な一実施形態において、本システムは、計量ツールおよび加工ツールと通信可能に結合するコントローラを含んでいる。例示的な一実施形態において、コントローラは、試料上に形成される要素の少なくとも1個のパターン、および試料の加工中に照射により要素のパターンを露光させるための1個以上の露光パラメータを含む製造レシピを取得する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、製造レシピに従い形成される際に1個以上の確率的反復因子の影響を受けやすい要素のパターンの1個以上の候補保護領域を識別する。別の例示的な実施形態において、1個以上の確率的反復因子は、製造レシピに従い形成される際に確率的に生じることが予測される1個以上の加工欠陥を含んでいる。別の例示的な実施形態において、コントローラは、1個以上の確率的反復因子の1個以上の予測尤度を欠陥尤度閾値と比較することにより、1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、製造レシピに従い少なくとも1個の試料を加工するよう加工ツールに指示する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、1個以上の保護領域を監視すべく計量ツールの計量レシピを生成する。別の例示的な実施形態において、コントローラは、製造レシピに従い製造された少なくとも1個の試料上の1個以上の保護領域を検査するよう計量ツールに指示する。
【0010】
本開示の1個以上の例示的な実施形態による方法を開示する。例示的な一実施形態において、本方法は、試料上に形成される要素の少なくとも1個のパターン、および試料の加工中に照射により要素のパターンを露光させるための1個以上の露光パラメータを含む製造レシピを取得するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、製造レシピに従い形成される際に1個以上の確率的反復因子の影響を受けやすい要素のパターンの1個以上の候補保護領域を識別するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、1個以上の確率的反復因子は、製造レシピに従い形成される際に確率的に生じることが予測される1個以上の加工欠陥を含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、1個以上の確率的反復因子の1個以上の予測尤度を欠陥尤度閾値と比較することにより、1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、製造レシピに従い少なくとも1個の試料を加工するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、1個以上の保護領域を監視すべく計量ツールの計量レシピを生成するステップを含んでいる。別の例示的な実施形態において、本方法は、製造レシピに従い製造される少なくとも1個の試料上の1個以上の保護領域を検査するステップを含んでいる。
【0011】
上述の一般的な記述および以下の詳細な記述は例示的且つ説明目的に過ぎず、権利請求する本発明を必ずしも限定するものではないことを理解されたい。本明細書に付属してその一部を構成する添付図面は本発明の実施形態を示しており、一般的な記述と合わせて本発明の原理を説明するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
当業者においては、添付の図面を参照することにより本開示の多くの利点に対する理解が深まろう。
【0013】
図1A】本開示の1個以上の実施形態による、半導体素子システムを示す概念図である。
図1B】本開示の1個以上の実施形態による、リソグラフィサブシステムを示す概念図である。
図1C】本開示の1個以上の実施形態による、計量サブシステムを示す概念図である。
図2】本開示の1個以上の実施形態による、確率性を仮定した計量方法で実行されるステップを示すフロー図である。
図3】本開示の1個以上の実施形態による、加工済み試料上の確率的反復因子の画像の例を示す。
図4】本開示の1個以上の実施形態による、一辺3nmのフォトレジストの立方体への照射の吸収に関して計算されたPSNを、波長193nmおよび13.5nmの線量の関数として示すプロット図である。
図5A】本開示の1個以上の実施形態による、複数の制御された離散的光子吸収事象の物理的シミュレーションに基づく波長124nmの照射に反応したフォトレジスト内の電子点広がりのプロット図である。
図5B】本開示の1個以上の実施形態による、図5Aに示す電子散乱の影響を含む波長124nmの照射に反応したフォトレジスト内の酸点広がりのプロット図である。
図6A】本開示の1個以上の実施形態による、単一光子吸収の1000回のシミュレーションに反応したフォトレジスト内の電子点広がりのプロット図である。
図6B】本開示の1個以上の実施形態による、1000個の光子の吸収の1回のシミュレーションに反応したフォトレジスト内の電子点広がりのプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面に示す開示内容の詳細について以下に述べる。本開示について特定の実施形態およびその特定の特徴に関して具体的に図示および記述している。本明細書に記載する実施形態は限定的ではなく例示的なものである。当業者には、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形式および細部に関して様々な変更および変形をなし得ることが容易に理解できよう。
【0015】
本開示の実施形態は、確率性を仮定した加工および計量ためのシステムおよび方法を目的としている。半導体素子は、1段階以上の材料堆積ステップ、1段階以上のリソグラフィステップ、1段階以上のエッチングステップまたは1段階以上のリフトオフステップ等の、但しこれらに限定されない、一連の追加または省略可能な処理ステップを介して形成された印刷要素の複数の層として形成されてよい。例えば、特徴を印刷するためのリソグラフィ-エッチング(LE)処理は、試料上に感光材(例:レジスト層)の層を堆積するステップ、エッチング液に対する感光材の耐性を変更すべくパターンマスク(例:レチクル)の画像により試料を露光するステップ、およびパターンマスクの画像に対応する印刷特徴を残すべくレジストの露光済みまたは未露光部分をエッチング除去するステップを含むが、これらに限定されない。更に、レジストは、エッチングステップがレジストを通過して感光材下方の試料の1個以上の層内に達するまでのエッチングを含むようにハードマスクとして機能することができる。次いでレジストはオプションとして、後続の処理ステップで除去することができる。
【0016】
リソグラフィシステムの解像度、従って1回の露光ステップで試料上に露光され得るパターンマスクの特徴のサイズは一般に、光の波長に比例する。半導体素子の特徴サイズの小型化に対する要求を満たす一方策は、照射光源の波長を短縮することである。例えば、極端紫外線リソグラフィ(EUVL)システムは放射線の極端紫外線波長を用いて、寸法が10nm未満の特徴を加工する。しかし、微細特徴を加工するためにリソグラフィ実行中に照射の波長を短縮することで、加工耐性を維持しつつ高スループットおよび低コストを提供すべく試料上に露光する放射線量が最小化される大量生産では特に、不規則に、または加工工程内で一定の割合で生じる確率的加工欠陥の可能性が増大する恐れがある。
【0017】
特に、リソグラフィ実行中に照射の波長を短縮すると、光子エネルギーの増大(例:照射の光子エネルギーは波長に反比例または周波数と比例)に起因して所与の放射線量で試料を露光するのに必要な照射光源からの光子数が減少する。試料に入射する光子数を減らすと、光子衝突ノイズ(PSN)、すなわち所与量の試料内における光子の吸収の不確実性に関して自然に生じる現象が増大する恐れがある。加工したい特徴のサイズが、レジスト内の感光性分子(例:光酸発生剤(PAG))のサイズに近づくにつれて、レジスト内の感光性分子の不規則分布に従い、所与量の試料内における光子の吸収に伴い追加的な不確実性が生じる恐れがある。従って、光子吸収に伴う確率的ノイズは、光子統計とレジストの相互作用項の複素畳み込みであってよい。その結果、名目的には同一の加工条件下であっても、特定の加工欠陥が確率的に生じる恐れがある。従って確率的に生じる加工欠陥、すなわち確率的反復因子は、名目的に同一の構造が、例えば単一領域内の複数位置、単一ウェーハ上の複数領域に跨る所与の位置、または複数ウェーハに跨る単一試料上の所与の位置等、但しこれらに限定されない、名目的に同一の条件下で加工された際に特定の確率で生じ得る。
【0018】
確率的反復因子は、加工環境において複数の問題を引き起こす恐れがある。典型的に、欠陥は、試料上に加工される要素のパターンおよび露光パラメータを含む既知の製造レシピに従い形成される際に既知の欠陥が常に存在するように、決定的であると仮定してよい。例えば、プロセスウィンドウ適格化(PWQ)は典型的に、露光条件がプロセスウィンドウから外れた場合に常に生じる処理阻害欠陥を識別する。例えば、プロセスウィンドウは、リソグラフィツールの光軸に沿った試料の位置(例:試料の焦点位置)または露光中に試料に入射する照射光源からのエネルギー線量に関連付けられた焦点ずれの制限を規定することができる。従って、所与の露光条件下で必ずしも生じない確率的反復因子が存在することで典型的なPWQアルゴリズムに不確実性をもたらす恐れがある。
【0019】
本開示の実施形態は、特定の確率的反復因子が生じ得る確率(例:単一ウェーハ上の複数の領域に跨る領域、複数ウェーハに跨る領域内等で製造レシピに従い形成される際に確率的反復因子が生じると予想される回数の割合)を決定することを目的としている。例えば、確率的反復因子を含む1個以上の保護領域を識別することができる。
【0020】
追加的な実施形態は、確率的欠陥の発生を抑制すべく製造レシピ(例:要素パターンの設計、露光条件等)を変更することを目的としている。例えば、製造レシピの変更は、露光ステップ中のリソグラフィツールの焦点体積内における照射線量またはウェーハの位置等の露光条件の変更を含んでいてよいが、これらに限定されない。追加的な例として、製造レシピの変更は、確率的反復因子の発生を抑制すべく形成対象であるパターン要素の設計の変更を含んでいてよい。
【0021】
追加的な実施形態は、確率性を仮定した計量を目的としている。本開示において、「計量」は試料(例:ウェーハ、パターンマスク等)上の特徴の任意の種類の測定を指していてよい。例えば、計量は、表面上の要素のサイズ、向き、または分布を特徴付ける測定値の一つ(例:臨界寸法計量等)を含んでいてよい。別の例として、計量は、形成された試料層の相対位置を決定すべく異なるステップで試料上に形成された特徴の位置の測定値(例:オーバーレイ計量等)であってよい。別の例として、計量は、試料上の欠陥等の、但しこれらに限定されない、注目する特徴の検出および/または識別(例:検査計量)を含んでいてよい。従って、本開示において用語「計量」と「検査」は代替的に用いられてよい。
【0022】
追加的な実施形態は、確率的反復因子を含む識別された保護領域を監視すべく計量レシピを生成することを目的としている。本明細書において、計量レシピが計量システムによる検査対象である欠陥の影響を受けやすい試料上の一連の位置を決定するサンプリング計画を含んでいてよいことを認識されたい。しかし、絶対的(例:決定論的)反復性に基づいて欠陥を単に「不規則」または「組織的」であるかに分類することで、確率的反復因子の監視が不充分になる恐れがある。更なる実施形態は、確率的反復因子を有する試料の検査に適した計量レシピを決定することを目的としている。例えば、試料レシピは、予測される発生(例:単一領域内、複数のウェーハを跨る、複数の領域に跨る、位置の関数として)に基づいて、確率的反復因子を監視すべく生成されてよい。
【0023】
追加的な実施形態は、リソグラフィ処理の確率的シミュレーションを用いて、確率的反復因子を少なくとも部分的に含む保護領域を選択することを目的としている。一例において、保護領域は、試料レイアウトおよび/または露光条件を含む1個以上の製造レシピを用いてリソグラフィをシミュレートすることにより直接選択することができる。別の例において、要素のパターンのライブラリを確率的欠陥の予測される確率で生成することができる。従って、新規試料設計の保護領域を、当該新規試料設計をライブラリと比較することにより選択することができる。更なる実施形態は、加工済み試料(例:パターンマスクおよび/またはウェーハ)の検査を利用して、確率的反復因子を少なくとも部分的に含む保護領域を選択することを目的としている。
【0024】
追加的な実施形態は、追加的な処理データを用いて、確率的反復因子を少なくとも部分的に含む保護領域を選択することを目的としている。例えば、ウェーハのいずれかの側の汚染および/またはウェーハ欠陥(例:かき傷または厚さ変化)は、確率的反復因子に影響されやすいウェーハの領域を示す「ホットスポット」につながる恐れがある。一例として、保護領域は、露光中にリソグラフィツール内の焦点位置、従って光子密度に影響し得る完全な平坦さ(例:処理ウェーハジオメトリ(PWG)ツール等により生じる)からのウェーハ表面の偏差に少なくとも部分的に基づいて選択することができる。別の例として、(例:ウェーハ電気試験(WET)ツール等からの)電気試験データが電気試験に確率的に不合格となり得るウェーハの部分を示すことができ、従って潜在的な確率的反復因子の徴候を示すことができる。従って、保護領域は、試料診断データに少なくとも部分的に基づいて選択することができる。
【0025】
確率的欠陥を識別して、任意の製造ステップで計量保護領域を選択することは有益であろう。本開示の追加的な実施形態は、ウェーハ上に露光される要素のパターンを含むパターンマスク上の保護領域を識別することを目的としている。この点に関して、保護領域は、ウェーハ加工の前にパターンマスクの潜在的問題の認識を意図された印刷検査用途に選択されてよい。追加的な実施形態は、ウェーハ上の保護領域を識別することを目的としている。例えば、リソグラフィステップの後で、且つ露光済みまたは未露光材料を除去するエッチングステップの前に試料を検査する現像後検査(ADI)のために、確率的反復因子を含む保護領域を選択することができる。別の例として、エッチングステップで材料が除去された後で試料を検査するエッチング後検査(AEI)のために、確率的反復因子を含む保護領域を選択することができる。
【0026】
図1Aは、本開示の1個以上の実施形態による、半導体素子システム100を示す概念図である。一実施形態において、システム100は、試料上に1個以上のパターン(例:素子パターン、計量パターン等)をリソグラフィ的に印刷するリソグラフィサブシステム102を含んでいる。リソグラフィサブシステム102は、当分野で公知の任意のリソグラフィ印刷ツールを含んでいてよい。例えば、リソグラフィサブシステム102は、スキャナまたはステッパを含んでいるが、これらに限定されない。別の実施形態において、システム100は計量サブシステム104を含んでいる。例えば、計量サブシステム104は、試料上の1個以上の印刷パターンを特徴付けることができる。この点に関して、計量サブシステム104は、試料上での確率的反復因子の1回以上の発生を測定することができる。別の例として、計量サブシステム104は、パターンマスク(例:リソグラフィサブシステム102により試料上に露光される素子要素のパターンを含むパターンマスク)を特徴付けることができる。この点に関して、計量サブシステム104は、既知の製造レシピに従い形成される際に、加工欠陥の影響を受けやすい素子要素のパターンの1個以上の部分を測定することができる。一般的な意味で、計量サブシステム104は、当分野で公知の任意の方法を用いて、任意の計量尺度(例:オーバーレイ誤差、パターン配置誤差、試料特徴の寸法、臨界寸法(CD)、側壁角等)も測定することができる。一実施形態において、計量サブシステム104は、試料(例:ウェーハ、パターンマスク等)の1個以上の画像の生成に基づいて計量データを測定する画像利用計量ツールを含んでいる。別の実施形態において、計量サブシステム104は、試料(例:ウェーハ、パターンマスク等)から光の散乱(反射、回折、拡散散乱等)に基づいて計量データを測定する光波散乱計測に基づく計量システムを含んでいる。
【0027】
別の実施形態において、システム100はコントローラ106を含んでいる。別の実施形態において、コントローラ106は、メモリ素子110に保持されたプログラム命令を実行すべく構成された1個以上のプロセッサ108を含んでいる。この点に関して、コントローラ106の1個以上のプロセッサ108は、本開示全体にわたり記述する各種の処理ステップのいずれかを実行することができる。例えば、コントローラ106は、確率的反復因子を識別すべくリソグラフィステップ(例:製造レシピに従いリソグラフィサブシステム102が実行するリソグラフィステップ)の1個以上の態様をシミュレートすることができる。別の例として、コントローラ106は、確率的反復因子を識別すべく計量サブシステム104からの計量データを解析および/または解釈することができる。
【0028】
コントローラ106の1個以上のプロセッサ108は、当分野で公知の任意の処理要素を含んでいてよい。この意味において、1個以上のプロセッサ108は、アルゴリズムおよび/または命令を実行すべく構成された任意のマイクロプロセッサ型の素子を含んでいてよい。一実施形態において、1個以上のプロセッサ108は、本開示全体にわたり記述するように、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、またはシステム100を動作させるべく構成されたプログラムを実行すべく構成された他の任意のコンピュータシステム(例:ネットワークコンピュータ)を含んでいてよい。用語「プロセッサ」が、非一時的メモリ素子110からのプログラム命令を実行する1個以上の処理要素を有する任意の素子も含むように広義に定義されていてよいことを更に認識されたい。更に、本開示全体にわたり記述するステップは、単一のコントローラ106、または代替的に複数のコントローラにより実行されてよい。また、コントローラ106は、1個の共通筐体または複数の筐体内に収納された1個以上のコントローラを含んでいてよい。このように、任意のコントローラまたはコントローラの組み合わせが、システム100への組み込みに適した1個のモジュールとして別々にパッケージされていてよい。更に、コントローラ106は、検出器142から取得したデータを解析して、当該データを計量サブシステム104内の、またはシステム100の外部の追加的な要素に送ることができる。
【0029】
メモリ素子110は、対応付けられた1個以上のプロセッサ108により実行可能なプログラム命令の保存に適した当分野で公知の任意の記憶媒体を含んでいてよい。例えば、メモリ素子110は非一時的メモリ媒体を含んでいてよい。別の例として、メモリ素子110は、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気または光メモリ素子(例:ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等を含んでいてよいが、これらに限定されない。メモリ素子110が、1個以上のプロセッサ108と共通のコントローラ筐体に収納できることを更に注記しておく。一実施形態において、メモリ素子110は、1個以上のプロセッサ108およびコントローラ106の物理的位置に関して遠隔位置に配置されていてよい。例えば、コントローラ106の1個以上のプロセッサ108は、ネットワーク(例:インターネット、イントラネット等)を介してアクセス可能なリモートメモリ(例:サーバ)にアクセスすることができる。従って、上述の説明は、本発明を限定するものではなく、単に説明目的に過ぎないものと解釈されたい。
【0030】
図1Bは、本開示の1個以上の実施形態による、リソグラフィサブシステム102を示す概念図である。一実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、1個以上の照射光線114を生成すべく構成されたリソグラフィ照射光源112を含んでいる。1個以上の照射光線114は、紫外(UV)放射、可視放射、または赤外(IR)放射を含むがこれらに限定されない1個以上の選択された光の波長を含んでいてよい。
【0031】
リソグラフィ照射光源112は、照射光線114の生成に適した当分野で公知の任意の種類の照射光源を含んでいてよい。例えば、リソグラフィ照射光源112は、1個以上のレーザーシステム(例:ガスレーザー、ダイオードレーザー、自由電子レーザー、ファイバレーザー、ディスクレーザー等)を含んでいてよい。別の例として、リソグラフィ照射光源112は、1個以上のランプシステム(例:アーク灯等)を含んでいてよい。別の例として、リソグラフィ照射光源112は、プラズマ照射光源(例:レーザーパルスプラズマ(LPP)光源、放電励起プラズマ(DPP)、レーザー維持プラズマ(LSP)等)を含んでいる。
【0032】
リソグラフィ照射光源112はまた、フィルタ、偏光子、波長板、または拡散器等の、但しこれらに限定されない照射ビーム114の1個以上態様の操作に適した任意の個数の光学要素を含んでいてよい。
【0033】
リソグラフィ照射光源112からの照射は任意の空間分布(例:照射パターン)を有していてよい。例えば、リソグラフィ照射光源112は、単極照射光源、双極照射光源、デカルト四極照射光源、クエーサー照射光源、または自由照射光源を含んでいてよいが、これらに限定されない。この点に関して、リソグラフィ照射光源112は、照射が、光軸116に沿って(または、平行に)伝播する軸上照射ビーム114および/または照射が光軸116に対してある角度で伝播する任意の個数の軸外照射ビーム114を生成することができる。
【0034】
別の実施形態において、リソグラフィサブシステム102はマスク支持素子118を含んでいる。マスク支持素子118は、加工中に露光される要素のパターンを含むパターンマスク120を固定すべく構成されている。別の実施形態において、リソグラフィサブシステム102は、1個以上の照射ビーム114により照射されたパターンマスク120の画像を、パターンマスク120の画像に対応する印刷パターン要素を生成すべく試料台126に配置されたリソグラフィ試料124上に射影すべく構成された射影光学機器の組122を含んでいる。別の実施形態において、マスク支持素子118は、パターンマスク120を移動または配置すべく構成されていてよい。例えば、マスク支持素子118は、システム100の射影光学機器122に関して選択された位置にパターンマスク120を移動させることができる。
【0035】
本開示全体にわたり用いる用語「リソグラフィ試料」は一般に半導体または非半導体材(例:ウェーハ、等)形成された基板に関する。例えば、半導体または非半導体材は、単結晶シリコン、ヒ化ガリウム、およびリン化インジウムを含んでいるが、これらに限定されない。本開示の目的のために、用語「リソグラフィ試料」と「ウェーハ」は互いに代替可能であると解釈されたい。
【0036】
リソグラフィ試料124は、パターンマスク120の画像の取得に適した任意の個数の感光材料および/または材料層を含んでいてよい。例えば、リソグラフィ試料124はレジスト層128を含んでいてよい。この点に関して、射影光学機器の組122は、パターンマスク120の画像をレジスト層128上に射影してレジスト層128を露光して、リソグラフィ試料124の上に印刷特徴を形成すべく後続のエッチングステップにより露光された材料(例:正エッチング)または露光されていない材料(例:負エッチング)を除去する。更に、パターンマスク120は、当分野で公知の任意の結像構成に用いることができる。例えば、パターンマスク120は、パターン要素が印刷パターン要素として正に結像される正マスク(例:明視野マスク)であってよい。別の例として、パターンマスク120は、パターンマスク120のパターン要素が負印刷パターン要素(例:すきま、間隔等)を形成する負マスク(例:暗視野マスク)であってよい。
【0037】
コントローラ106は、リソグラフィサブシステム102内の任意の個数の要素と通信可能に結合されていてよい。例えば、コントローラ106は、パターンマスク120上のパターン要素の露光をリソグラフィ試料124(例:試料上のレジスト層128等)に誘導すべく、マスク支持素子118、リソグラフィ照射光源112、および/または試料台126と通信可能に結合されていてよい。この点に関して、露光線量、リソグラフィサブシステム102内の試料の焦点位置等の露光条件を調整することができる。
【0038】
図1Cは、本開示の1個以上の実施形態による、計量サブシステム104を示す概念図である。一実施形態において、計量サブシステム104は、計量照射ビーム132を生成する計量照射光源130を含んでいる。別の実施形態において、計量照射光源130はリソグラフィ照射光源112と同一である。更なる例において、計量照射光源130は、別個の計量照射ビーム132を生成すべく構成された別個の照射光源である。計量照射ビーム132は、紫外(UV)放射、可視放射、または赤外(IR)放射を含むがこれらに限定されない1個以上の選択された光の波長を含んでいてよい。
【0039】
別の実施形態において、計量照射光源130は、照射経路134を介して計量照射ビーム132を計量試料125へ誘導する。本開示全体にわたり用いる用語「計量試料」は一般に計量サブシステム104により検査される対象を指す。例えば、計量試料125はリソグラフィ試料124を含んでいてよいが、必須ではない。この点に関して、計量サブシステム104はウェーハ検査システムとして動作可能である。別の例として、計量試料125は、パターンマスク(例:レチクル)を含んでいてよい。この点に関して、計量サブシステム104はレチクル検査システムとして動作可能である。
【0040】
照射経路134は、計量照射ビーム132の変更および/または調整に適した1個以上のレンズ136または追加的な光学機器138を含んでいてよい。例えば、1個以上の光学機器138は、1個以上の偏光子、1個以上のフィルタ、1個以上のビームスプリッタ、1個以上の拡散器、1個以上のホモジナイザ、1個以上のアポダイザ、または1個以上のビーム整形器を含んでいるが、これらに限定されない。別の実施形態において、計量サブシステム104は、計量照射ビーム132を計量試料125に集光させる対物レンズ140を含んでいる。
【0041】
別の実施形態において、計量サブシステム104は、収集経路144を通って計量試料125から発せられた放射線を捕捉すべく構成された検出器142を含んでいる。例えば、検出器142は、収集経路144(例:対物レンズ140、レンズ146等)内の要素により提供されるリソグラフィ試料124の画像を取得することができる。別の例として、検出器142は、計量試料125から反射または散乱された(例:鏡面反射、拡散反射等を介して)放射を受けることができる。別の例として、検出器142は、計量試料125により生成(例:計量照射ビーム132の吸収に伴う発光等)された放射を受けることができる。別の例として、検出器142は、計量試料125からの1次以上の回析放射(例:0次回折、±1次回折、±2次回折等)を受けることができる。
【0042】
検出器142は、計量試料125から受けた照射の測定に適した当分野で公知の任意の種類の光学式検出器を含んでいてよい。例えば、検出器142は、CCD検出器、TDI検出器、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)等を含んでいるが、これらに限定されない。別の実施形態において、検出器142は、計量試料125から発せられた放射の波長の識別に適した分光検出器を含んでいてよい。別の実施形態において、計量サブシステム104は、(例:計量サブシステム104により複数の計量測定(例:複数の計量ツール)を容易にすべく1個以上のビームスプリッタにより生成された複数の光路に関連付けられた)複数の検出器142を含んでいてよい。
【0043】
収集経路144は更に、1個以上のレンズ146、1個以上のフィルタ、1個以上の偏光子、または1個以上のビームブロックを含むがこれらに限定されない対物レンズ140により収集された照射を誘導および/または変更する任意の個数の光学要素を含んでいてよい。
【0044】
一実施形態において、図1Cに示すように、計量サブシステム104は、対物レンズ140が計量照射ビーム132を計量試料125に誘導し、同時に計量試料125から発せられた放射を収集できる向きに配置されたビームスプリッタ148を含んでいてよい。この点に関して、計量サブシステム104は、エピ照射モードに設定されていてよい。別の実施形態において、計量試料125への計量照射ビーム132の入射角は調整可能である。例えば、ビームスプリッタ148および対物レンズ140を通る計量照射ビーム132の経路は、計量試料125への計量照射ビーム132の入射角を制御すべく調整することができる。この点に関して、計量照射ビーム132は、計量照射ビーム132が計量試料125に垂直に入射するように、ビームスプリッタ126および対物レンズ14を通る名目経路を有していてよい。更に、計量試料125への計量照射ビーム132の入射角は、ビームスプリッタ148上での計量照射ビーム132の位置および/または角度を(例:回転ミラー、空間光変調器、自由照射光源等により)変更することにより制御することができる。別の実施形態において、計量照射光源130は、1個以上の計量照射ビーム132を、計量試料125に対してある角度(例:視射角、45度の角度等)で誘導する。
【0045】
別の実施形態において、計量サブシステム104は、システム100のコントローラ106と通信可能に結合されている。この点に関して、コントローラ106は、計量データ(例:計量測定結果、目標の画像、瞳孔画像等)または計量尺度(例:精度、ツールに起因するシフト、感度、回折効率、スルーフォーカス傾斜、側壁角、臨界寸法等)を含むがこれらに限定されないデータを取得すべく構成されていてよい。別の実施形態において、コントローラ106は、照射ビーム104と計量試料125との間の入射角の調整を誘導すべく計量照射光源130と通信可能に結合されている。別の実施形態において、コントローラ106は、照射の1個以上の選択された波長を(例:フィードバックに応答して)提供するよう計量照射光源130に指示する。
【0046】
一般的な意味において、計量サブシステム104は、1個以上の照射角を有する分光エリプソメータ、ミュラー行列要素を(例:回転補正器を用いて)測定する分光エリプソメータ、単波長エリプソメータ、角度分解エリプソメータ(例:ビームプロファイルエリプソメータ)、分光反射率計、単波長反射率計、角度分解反射率計(例:ビームプロファイル反射率計)、結像システム、瞳孔結像システム、スペクトル結像システム、または散乱計等の当分野で公知の任意の種類の計量システムを含んでいてよいが、これらに限定されない。更に、計量システムは、単一の計量ツールまたは複数の計量ツールを含んでいてよい。複数の計量ツールが組み込まれた計量システムは米国特許第7,478,019号に一般的に記述されている。主として反射光学機器に基づく集光ビーム偏光解析法は米国特許第5,608,526号に一般的に記載されており、その全文を本明細書で引用している。幾何学的光学機器により規定されるサイズを越える照射点の広がりを生じさせる光回折の影響をアポダイザを用いて抑制することは米国特許第5,859,424番に一般的に記載されており、その全文を本明細書で引用している。複数の入射角での同時照射と共に高開口数ツールを用いることは米国特許第6,429,943号に一般的に記述されており、その全文を本明細書で引用している。高NA光リソグラフィにおける結像性能の定量化は、Lee他「Quantifying imaging performance bounds of extreme dipole illumination in high NA optical lithography」,Proc.of SPIE Vol.9985 99850X-1(2016)に記述されており、その全文を本明細書で引用している。
【0047】
図2は、本開示の1個以上の実施形態による、確率性を仮定した計量方法200で実行されるステップを示すフロー図である。出願人は、システム100との関連で上述した実施形態および実行技術が方法200に拡張できるものと解釈すべきであることを注記する。しかし、方法200がシステム100のアーキテクチャに限定されないことも更に注記しておく。
【0048】
一実施形態において、方法200は、試料上に形成される要素の少なくとも1個のパターン、および照射により要素のパターンを露光するための1個以上の露光パラメータを含む製造レシピを取得するステップ202を含んでいる。
【0049】
試料(例:システム100のリソグラフィ試料124)の上に形成される要素のパターンは任意の種類の特徴を含んでいてよい。例えば、要素のパターンは、動作可能な半導体素子の一部として形成された特徴に対応する1個以上の素子要素、または1個以上の計量目標(例:1個以上のオーバーレイ目標、露光に敏感な1個以上の目標、試料の焦点位置に敏感な1個以上の目標等)を含んでいてよい。この点に関して、要素のパターンの任意の部分の確率的反復因子に対する感受性を特徴付けることができる。
【0050】
更に、露光パラメータは、照射光源の波長、照射線量(例:試料に入射する単位面積当たりのエネルギー)、試料の焦点位置(例:リソグラフィサブシステム102内等)、露光時間、照射光源の空間プロファイル、または試料への照射の空間分布を含んでいるが、これらに限定されない。
【0051】
一般的な意味において、製造レシピは、単一位置または複数位置から取得されてよい。例えば、製造レシピは、メモリ素子(例:メモリ素子に保存されたファイル)から取得されてよい。一例としてシステム100を挙げれば、製造レシピはコントローラ106によりメモリ素子110から取得されてよい。更に、製造レシピは、ローカルメモリ素子(例:コントローラ106と共通の筐体に格納された)、または遠隔メモリ素子(例:ネットワークを介してコントローラに接続されたレシピ管理システム等)から取得されてよい。また、製造レシピの各部分が異なる位置から取得されてもよい。例えば、試料上に形成される要素のパターンは、1個以上の層の特徴の幾何学的な配置、1個以上の層に関連付けられた材料特性、または1個以上の層の特徴間の電気的接続を含むがこれらに限定されない、メモリ素子に保存された素子設計ファイルに関連付けられていてよい。
【0052】
別の実施形態において、方法200は、製造レシピに従い形成される際に確率的変化(例:確率的反復因子)の影響を受けやすい要素のパターンの1個以上の候補保護領域を識別するステップ204を含んでいる。この点に関して、候補保護領域は、製造レシピに従い形成される際に、上述のように確率的に生じることが予測される加工欠陥を含んでいてよい。従って、候補保護領域は、1個以上の欠陥が確率的に生じ得る位置に対応していてよい。例えば、候補保護領域は、決定論的反復因子(例:同一位置での各加工工程で発生が予測される欠陥)に関連付けられた不具合点および確率的反復因子に影響されやすい識別された弱点の両方を含んでいてよい。識別された弱点は、仕様の範囲内ではあるが名目値から外れた要素のパターン(例:要素の特定のサイズまたは形状、特定要素間の距離等)内の特徴を含んでいてよい。
【0053】
確率的反復因子の影響を受けやすい候補保護領域は、ウェーハ上で露光される要素のパターンを含むパターンマスク(例:レチクル)または何らかの製造ステップ(例:任意の層のADIまたはAEI)の後のウェーハに関連付けられていてよい。例えば、確率的反復因子の影響を受けやすいレチクル上の候補保護領域の識別は、ウェーハ加工前に補正処置(例:確率的欠陥の形成を抑制すべく製造レシピの変更、または確率的欠陥を監視すべく計量レシピの生成)を可能にすべく印刷チェック処理で利用することができる。別の例として、確率的反復因子の影響を受けやすいウェーハ上の候補保護領域の識別は、ホットスポット識別、PWG解析、またはWET解析を含むがこれらに限定されない任意の処理監視アプリケーションでも利用することができる。
【0054】
ステップ204で識別された候補保護領域は、当分野で公知の任意の種類の予測される確率的反復因子を含んでいてよい。図3は、本開示の1個以上の実施形態による加工済み試料上の確率的反復因子の概念的イラストを含んでいる。例えば、イラスト302はライン-間隔パターンを含んでいて、加工処理の確率的変化は、確率的反復因子304等のライン-間隔パターンの要素間に不規則且つ不要な接続(例:電気的短絡等)に至る恐れがある。別の例として、イラスト306は孔の周期的分布を含んでいる。本例において、イラスト306内の各孔は共通の半径を有する円形孔として設計されているが、加工処理における確率的変化により、形成された孔のサイズまたは形状が変化し得る。確率的反復因子308は、部分的に満たされた孔を含んでいる。別の例として、イラスト310は、円形プロファイルおよび共通の半径を有するように意図された列の周期的分布を含んでいる。本例において、加工処理における確率的変化により、形成された列のサイズまたは形状が変化する、または確率的反復因子312が示す隣接列間に不要な接続が生じる恐れがある。図3に示す例および関連する記述は説明目的に過ぎず、如何なる場合も本開示を限定するものと解釈すべきではないことを理解されたい。例えば、確率的反復因子は、エッジの周辺で吸収されたエネルギーの不確実性に伴う特徴エッジの配置および/または粗さの変化、および吸収されたエネルギーに対するエッジ位置の感度を含んでいてよい。別の例として、確率的反復因子は、ライン/間隔または先端間構造における架橋欠陥(例:ナノ架橋、マイクロ架橋等)を含んでいてよい。一般的な意味において、確率的反復因子は、加工中に確率的に現れる任意の種類の加工欠陥を含んでいてよい。
【0055】
確率的反復因子には、加工処理に伴う任意の個数の根本原因があり得る。例えば、所与の体積の試料(例:レジスト層)内における光子の吸収に伴う不確実性を光子衝突ノイズ(PSN)により特徴付けることができる。
【数1】
ここに<n>absは体積V内で吸収された吸収光子の平均個数、αは試料の吸光度、Dは線量(例:試料に入射した単位入射面積当たりのエネルギー)、λは照射の波長(例:リソグラフィ照射光源112等からの)、hはプランク定数、cは光速度である。式1が示すように、印刷特徴のサイズを減らす(例:Vを減少)すべく照射波長(λ)を短縮する結果PSNが増大する。従って、光子吸収の不確実性に伴う確率的反復因子の尤度は照射波長の退縮に伴い増大し得る。
【0056】
式1は更に、試料へのエネルギー量(例:照射光源の強度および/または出力に関連付けられた)を減らすことで更にPSNが増大し、従って確率的反復因子の尤度が増大し得ることを示している。特に大量生産環境において、指定された許容範囲(例:加工される構造の寸法および間隔の許容範囲、許される欠陥個数の許容範囲等)に従い望ましい構造の加工に充分な線量を維持しながら、試料への照射線量を可能な限り減少させることが典型的に望ましい。このように照射線量を最小化することで大量生産に際して、試料毎に必要な露光時間の短縮によるスループットの向上およびコスト減少等、但しこれらに限定されない複数の利点が得られる。本明細書において照射光源、特にEUV照射光源がエネルギー需要に伴う高い運用コストおよび維持コストを有し得ることが分かる。この点に関して、照射線量の減少による利点と、確率的反復因子の増大等、照射線量の減少による負の影響との間のバランスを取る照射線量を選択することが典型的に望ましい。本明細書において更に、露光ステップ(例:リソグラフィサブシステム102等における)実行中の試料の焦点位置がPSNに影響し得ることが分かる。例えば、名目焦点位置からの試料の焦点位置の変化により、パターンマスクから試料への結像パターン要素に関連付けられた不鮮明さ(例:リソグラフィサブシステム102の点広がり関数のサイズおよび/または形状の変化)が増す場合がある。従って、試料の焦点位置の変化が試料上の光子密度を変化させてPSNに影響を及ぼす恐れがある。
【0057】
図4は、本開示の1個以上の実施形態による、フォトレジストの3nmの立方体内への照射の吸収に伴い、波長が193nm(例:ArF照射光源により生成)および13.5nm(例:EUV照射光源を用いて生成)の線量の関数として計算されたPSNを示すプロット図402である。図4に示す両方の照射波長において、試料への線量の減少はPSNの増大につながる。しかしこの傾向は、193nmの照射と比較して13.5nmの照射に線量の減らした場合にPSNがより大幅に増大することで示されるように、照射波長が短いほど顕著である。従って、より小さい特徴の加工を可能にすべく照射波長を短縮する場合、照射線量の決定に際して確率的反復因子をより重視することが求められる。
【0058】
確率的反復因子の追加的な根本原因は、フォトレジスト(例:レジスト層128等)内の確率的変化に絡んでいる場合がある。例えば、フォトレジストは、入射照射を吸収する光酸発生剤(PAG)を含んでいてよく、吸収されたエネルギーの量に対応する露光領域の可溶性を変化させる。この点に関して、フォトレジストの露光および非露光領域の可溶性が異なっていてよく、後続のエッチングステップで露光または非露光領域を選択的に除去して試料上の特徴を現像することができる。典型的に、PAGはフォトレジスト全体にわたり連続的ではなく、フォトレジスト全体にわたり分布する分子を含んでいる。従って、形成される特徴のサイズが小さくなるに従い、PAG分子の実際の位置の変化の影響が増大し、PAG分子に関連付けられた確率的反復因子が相応に増大する場合がある。
【0059】
更に、入射光子に対する酸の最終分布(例:変更された可溶性の分布)は、試料内における電子イオン化に起因して確率的変化を示す場合がある。特に、フォトレジストのイオン化閾値を超える光子エネルギーを有する光子が、光電効果に基づいてエネルギーを変化させる電子カスケードを誘導する場合がある。当該電子カスケードは次いでエネルギーに応じて異なる仕方でPAGと相互作用して更に可溶性に影響を及ぼす場合がある。従って、複数個の酸性分子が単一光子に反応してPAGにより生成される場合がある(例:酸の収率1より大きくてよい)。典型的に、フォトレジスト材料は、UVまたはEUV範囲にイオン化閾値を有しているため、当該UVまたはEUV範囲内の照射波長において電子イオン化の影響が顕著に現れて、吸収エネルギーが空間的に不鮮明になる恐れがある。
【0060】
図5Aは、本開示の1個以上の実施形態による、複数の制御された離散的光子吸収事象の物理的シミュレーションに基づく波長124nm(10eV)の照射に対するフォトレジスト内においてシミュレートされた電子点広がりのプロット図502である。図5Aで明らかに分かるように、フォトレジスト内の電子のイオン化に伴う電子散乱が、材料内で吸収されたエネルギーの再分布または不鮮明さを引き起こす恐れがある。ここで、エネルギーは少なくとも60nmの領域全体にわたり分布しているにも拘わらず、エネルギーは10~20nmの領域に極めて集中している。図5Bは、本開示の1個以上の実施形態による、図5Aに示す電子散乱の影響を含む波長124nm(10eV)の照射に対するフォトレジストの酸点広がりのプロット図504である。光子または電子のいずれかの吸収を通じてPAG分子により生じた酸の濃度は、図5Aの電子点広がりと同様の分布を示すが、全ての単一のイオン化された電子が酸性分子を生じるとは限らない(例:いくつかの電子は熱的に吸収される場合がある等)ため、酸の点広がりの寸法は僅かに小さくなる。上述のように、酸性分子の点広がりはフォトレジスト内の確率的変化を増大させ、確率的反復因子の増大に至る場合がある。また、照射波長を更に短縮することで更なる確率的変化が生じる場合がある。
【0061】
更に、フォトレジスト内におけるPAG分子の濃度(例:PAG負荷)、および製造レシピの露光条件(例:照射線量および露光時間)の両方が更に確率的反復因子の生成に影響を及ぼす場合がある。図6Aは、本開示の1個以上の実施形態による、1個の光子吸収の1000回のシミュレーションに対するフォトレジスト内のシミュレートされた電子点広がりのプロット図602である。図6Bは、本開示の1個以上の実施形態による、1000個の光子の吸収の1回のシミュレーションに対するフォトレジスト内の電子点広がりのプロット図604である。表1は、両方のシミュレーションにおける電子散乱データを含んでいる。
【0062】
【表1】
【0063】
吸収されたエネルギーの総量は両方のシミュレーションで同一である。しかし、プロット図602のシミュレーションは低出力、長時間露光製造レシピを表すのに対し、プロット図604のシミュレーションは高線量、短露光時間製造レシピを表す場合がある。更に、電子散乱特徴(例:吸収位置からの電子移動距離、従ってエネルギー再分布の空間範囲)は低出力と高出力露光とで異なる場合がある。特に、高出力露光は低線量露光よりも多い個数のイオン化電子を生成する場合がある。更に、エネルギー再分布の空間範囲は、高出力照射、特に最大電子距離で顕著に大きい場合がある。この点に関して、高出力照射は、吸収されたエネルギーの再分布または不鮮明さの長さがより大きいため、低出力照射と比較して加工時の確率的変化、従って確率的反復因子の影響をより受けやすい。吸収されたエネルギーの過度な不鮮明さは、射影された光学画像のコントラストの喪失または低下を表す場合がある。
【0064】
別の実施形態において、ステップ204は、試料上でのパターン要素の形成をシミュレートすることにより候補保護領域を識別するステップを含んでいる。ステップ204は、各種のアルゴリズムにより確率的計算リソグラフィを用いて候補保護領域を識別するステップを含んでいてよい。例えば、入射照射(例:照射ビーム114等)と試料(例:リソグラフィ試料124等)の光相互作用を、電磁気(EM)ソルバーを用いてモデル化することができる。更に、EMソルバーは、厳密結合波解析(RCWA)、有限要素法解析、モーメント解析方法、面積分法、体積分法、または有限差分時間領域解析を含むがこれらに限定されない当分野で公知の任意の方法を用いてよい。別の例として、入射照射と試料の光相互作用は、モンテカルロ法を用いてモデル化することができる。確率的シミュレーションは、試料による光子の吸収に伴う不確実性、試料内におけるPAGの分布、または上述のような試料内におけるイオン化に起因するエネルギー再分布等の、但しこれらに限定されない確率的プロセスの影響を特徴付けることができる。例えば、計算リソグラフィシミュレーションは、KLA-TENCOR社から提供されるPROLITHソフトウェア製品により実行されてよいが、必須ではない。
【0065】
別の実施形態において、ステップ204は、確率的反復因子の影響を受けやすい領域を決定すべく製造レシピの要素パターンの設計を解析することにより候補保護領域を識別するステップを含んでいる。例えば、ステップ204は、エッジの周辺におけるエネルギー吸収の不確実性および吸収されたエネルギーに対するエッジの配置の感度の特徴付けに基づいて要素のパターン内におけるエッジの配置のシミュレーション(例:エッジの粗さ)含んでいてよい。この点に関して、エッジの粗さのシミュレーションは、確率的欠陥に対する広範な特徴(例:ライン-間隔特徴、孔または列)の影響の受けやすさを示唆するものである。エッジの周辺におけるエネルギー吸収の不確実性の計算は、PSN等の、但しこれらに限定されない任意の個数の要因に基づいていてよい。更に、エネルギー吸収に対するエッジ配置の感度の計算は、パターン要素のジオメトリ(例:湾曲の程度、鋭いエッジ等)、PAG負荷、または電子イオン化等の、但しこれらに限定されない任意の個数の要因に基づいていてよい。本明細書において、要素パターンの設計の解析が、より厳密な計算リソグラフィ解析よりも計算量が少ない、より高速のシミュレーションであってよいが、必須ではないことを理解されたい。従って、ステップ204は、精度と計算要件との所望のバランスに応じて、上述のような高速シミュレーションアルゴリズム、より厳密なシミュレーションアルゴリズム、またはアルゴリズムの組み合わせを含んでいてよい。
【0066】
ステップ204は、確率的シミュレーションおよび/または要素パターンの設計の解析を用いて候補保護領域を識別すための任意の個数の入力を含んでいてよい。例えば、要素パターンの設計は、ステップ202で取得した設計ファイル内に含まれていてよいが、必須ではない。
【0067】
また、ステップ204の入力は、フォトレジスト内での2また3次元の放射照度分布の表現を含んでいてよい。この放射照度分布は、シミュレーションおよび/または測定を介して得られる場合がある。例えば、入力は、試料層の膜厚および屈折率の実/虚部等、試料層の材料パラメータを含んでいるが、これらに限定されない。別の例として、入力は、照射プロファイル(例:光源形状、開口数、フレア等)の表現を含んでいてよい。別の例として、入力は、パターンマスクレイアウト(例:光近接効果補正構造、サブ解像度補助特徴等を含む)および3Dマスクスタックを含んでいてよい。
【0068】
更に、ステップ204の入力は、フォトレジスト内における放射照度分布に適用される加工システムに付随する処理時の不鮮明さの近似値を含んでいてよい。例えば、処理時の不鮮明さは、一定のガウス畳み込み核または線量依存の不鮮明さの形で現れる場合がある。
【0069】
別の実施形態において、ステップ204は、確率的反復因子の影響を受けやすい領域を決定すべく(例:計量サブシステム104等を用いて)1個以上の試料を検査することにより候補保護領域を識別するステップを含んでいる。例えば、ステップ204は、ウェーハに印刷された際に確率的欠陥が生じる恐れがあるパターンマスク上の要素のパターンの部分を識別すべくパターンマスク(例:レチクル)を検査するステップを含んでいてよい。この点に関して、候補保護領域は、決定論的な欠陥を生じるとは思われないが、名目設計から逸脱する恐れがあり、従って選択された露光条件で印刷された際に確率的欠陥に影響されやすいパターンマスクの部分を含んでいてよい。別の例として、ステップ204は、選択された仕様(例:臨界寸法、側壁角等)の範囲内で印刷されるが名目設計値から逸脱する恐れがある領域であって、複数の印刷ステップにわたり確率的変化に影響されやすい領域を識別すべく1個以上の印刷ウェーハを検査するステップを含んでいてよい。
【0070】
別の実施形態において、方法200は、1個以上の確率的反復因子の1個以上の予測尤度を欠陥尤度閾値と比較することにより、1個以上の候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップ206を含んでいる。上述のように、ステップ204で識別された候補保護領域、従ってステップ206で選択された保護領域は、加工処理の任意の時点(例:ADI、AEI等)でパターンマスクおよび/またはウェーハに関連付けられてよい。特定のパターン要素に関連付けられた確率的反復因子は、任意の確率分布(例:ポアソン分布、ガウス分布等)に従い、試料上の位置の関数として、または加工工程数の関数として生じる場合がある。ステップ206は従って、候補保護領域の確率的反復因子の確率を予測すべく、ステップ204で識別された各々の候補保護領域を解析するステップを含んでいてよい。更に、ステップ206は、欠陥尤度閾値に基づいて保護領域を選択するステップを含んでいてよい。欠陥尤度閾値は、任意の尺度に基づく確率的反復因子の閾値確率を含んでいてよい。例えば、ステップ206は、選択された製造レシピに従い加工(例:リソグラフィサブシステム102内の線量、照射プロファイル、焦点位置を含む選択された露光条件で加工)された際に、製造工程の選択された割合(例:50%、10%、1%、0.1%、0.001%等)で印刷されることが予測される欠陥を含む保護領域を選択するステップを含んでいてよい。
【0071】
例示的な例として、特定のパターン要素が欠陥を伴い形成される確率が線量の関数としてポアソン分布をなしている場合がある。従って、パターン要素は、線量が充分に低い場合は露光が不充分なため、ほぼ常時欠陥(例:決定論的反復因子)を伴い印刷される恐れがある。同様に、パターン要素は、線量が充分高い場合は露光が充分であるため、欠陥を伴い印刷されることはほぼ無い。しかし、欠陥は、これらの極端なケース間の線量値の特定の範囲にわたり確率的に印刷し得るため、確率的反復因子であり得る。ステップ206は従って、選択された線量で加工された際に確率的反復因子の欠陥尤度閾値確率に基づいてステップ204で識別された候補保護領域から1個以上の保護領域を選択するステップを含んでいてよい。
【0072】
上述の線量に依存する確率的反復因子の例が単に説明目的で挙げられているに過ぎず、本発明を限定するものと解釈すべきでないことを理解されたい。一般的な意味において、欠陥が印刷され得る確率は、広範な露光条件(例:線量、照射プロファイル、リソグラフィサブシステム102内の焦点位置等)により影響され得る。従って、ステップ206は、選択された露光条件の組に従い加工された際に確率的反復因子の欠陥尤度閾値確率に基づいて1個以上の保護領域を選択するステップを含んでいてよい。
【0073】
候補保護領域が1個以上の欠陥(例:確率的反復因子の尤度)を伴い印刷される確率は、ステップ206において当分野で公知の任意の技術を用いて予測することができる。一実施形態において、候補保護領域内における確率的反復因子の尤度は、確率的シミュレーション(例:EMソルバーが組み込まれた確率的計算リソグラフィ、モンテカルロ法、パターン要素の設計の解析等)を用いて製造レシピに従い候補保護領域の構成をシミュレートすることにより測定される。
【0074】
例えば、ステップ204は比較的速いシミュレーション技術(例:上述の要素パターンの設計の解析)により候補保護領域を識別するステップを含んでいてよく、ステップ206はより厳密なシミュレーション技術(例:計算リソグラフィシミュレーション等)に基づいて候補保護領域から保護領域を選択するステップを含んでいてよい。この点に関して、ステップ204の比較的速いシミュレーション技術により計算負荷を減らし、従ってステップ206でより厳密なシミュレーションのスループットを向上させることができる。別の例として、ステップ204は1個以上の加工済み試料(例:ウェーハに印刷される要素のパターンを含むパターンマスク、印刷ウェーハ等)を検査することにより候補保護領域を識別するステップを含んでいてよく、ステップ206は計量に基づいて識別された候補保護領域の確率的シミュレーションに基づいて候補保護領域から保護領域を選択するステップを含んでいてよい。この点に関して、シミュレーションから、実際の加工処理に基づいて弱点(例:仕様内で印刷できるが名目値から外れている恐れがあるパターン)として識別される確率的反復因子の尤度を洞察することができる。
【0075】
別の実施形態において、候補保護領域内における確率的反復因子の形成確率は、ステップ204において確率的反復因子の予測尤度を決定すべく1個以上の印刷ウェーハ上で識別される候補保護領域を検査することにより決定される。例えば、ステップ204は確率的シミュレーション(例:上述の比較的速いシミュレーションおよび/または比較的厳密なシミュレーション)に基づいて候補保護領域を識別するステップを含んでいてよく、ステップ206は製造レシピに従い形成された1個以上のウェーハ上での識別された候補保護領域の検査に基づいて保護領域を選択するステップを含んでいてよい。この点に関して、ステップ204は、ステップ206でのウェーハの物理的検査(例:リソグラフィサブシステム102等による)を誘導するシミュレーションを含んでいてよい。更に、ステップ206は、確率的反復因子の尤度を最小化すべく設計された、ある範囲の露光条件(例:線量、焦点位置、照射プロファイル等)またはある範囲のパターン要素変更(例:変化光学パラメータ訂正(OPC)、サブ解像度補助特徴(SRAF)等)により一連のウェーハを加工するステップを含んでいてよい。従って、ステップ206は、確率的反復因子の尤度を予測すべく複数の製造レシピに従い形成された候補保護領域の検査を含んでいてよい。
【0076】
別の実施形態において、候補保護領域内における確率的反復因子の確率は、当該候補保護領域内における要素の配置を、確率的反復因子の尤度を予測したパターンレイアウトのライブラリと比較することにより決定される。従って、候補保護領域内における確率的反復因子の確率を、加工済み試料のシミュレーションおよび/または測定により生成可能な、但し生成は必須でない、訓練データとの比較に基づいて解析することができる。例えば、候補保護領域は、ライブラリ、高速低減次数モデル、回帰、深層学習技術等の機械学習アルゴリズム、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン(SVM)、次元削減アルゴリズム(例:主成分分析(PCA)、独立成分分析(ICA)、局所線形埋め込み(LLE)等)、データの疎表現(例:フーリエまたはウェーブレット変換、カルマンフィルタ、同一または異種ツールからのマッチングを促進するアルゴリズム等)を含むがこれらに限定されないデータフィッティングおよび最適化技術を用いて解析することができる。候補保護領域解析は、KLA-TENCOR社から提供される「Signal Response Metrology(SRM)」ソフトウェア製品により実行されてよいが、実行は必須ではない。また、候補保護領域データは、設計ファイルからのパターン要素の設計、加工済み試料(例:パターンマスクまたはウェーハ)のシミュレーションまたは物理的検査等、但しこれらに限定されない任意の出所から提供されてよい。
【0077】
別の実施形態において、ステップ204で識別された候補保護領域および/またはステップ206で選択された保護領域は、確率的反復因子の尤度を予測したパターンレイアウトのライブラリに挿入することができる。この点に関して、ライブラリは、確率的シミュレーション、計量結果、および/または計量により検証されたシミュレーションにより更新および/または訓練することができる。
【0078】
別の実施形態において、ステップ206は、予測される欠陥尤度に基づいて1個以上の候補保護領内で見出された確率的反復因子を試料上での位置の関数としてランク付けするステップを含んでいる。特定のパターンが欠陥と共に(例:確率的反復因子として)形成される尤度が試料上の位置に基づいて変化し得ることを認識されたい。特定のパターンは試料上の特定の位置でのみ印刷品質が低い(欠陥の確率が高い)のに対し、他のパターンは試料上のほほ全ての位置で印刷品質が低い場合がある。従って、確率的反復因子の試料の位置の関数としてのランキングに関連付けられたデータを、計量システムが確率的反復因子を高感度で監視するようにサンプリング計画を生成すべく提供(例:フィードフォワードデータとして)する場合がある。
【0079】
別の実施形態において、ステップ206で選択された保護領域は、確率的シミュレーションモデル(例:ステップ204および/またはステップ206で用いた確率的シミュレーションモデル)を改良および/または訓練すべくフィードバックして予測精度および/または効率を向上させることができる。従って、要素パターン形成のシミュレーションと、同一条件下で形成されたパターン要素の検査との組み合わせに基づいて保護領域を選択することで、確率的シミュレーションモデルを常に改良すべく反復的フィードバックを提供することができる。
【0080】
別の実施形態において、ステップ206で選択された保護領域を用いて計量レシピ(例:計量サブシステム104等により用いられる)を生成することができる。当該計量レシピが、試料で上の選択された個数の代表的な位置での加工中に試料の1個以上の態様を特徴付けるべく(例:欠陥の監視、層間オーバーレイの監視等に)作成されたサンプリング計画を含んでいてよいことが分かる。サンプリング計画の個数および特定の位置は典型的に、精度とスループットのバランスに基づいていてよい。しかし、決定論的な反復因子(例:ほぼ全ての製造工程内の所与の位置で定常的に生じる欠陥)を特徴付けるべく作成されたサンプリング計画が、試料の異なる位置において異なる確率で生じる場合がある確率的反復因子を特徴付けるのには適していないことが更に分かる。一実施形態において、ステップ206で選択された保護領域を用いて、製造処理の任意の段階で確率的反復因子を監視するのに適したウェーハ上での検査対象位置を含むサンプリング計画を生成する。例えば、本明細書に示す発明的概念に従い作成されたサンプリング計画は、加工中に確率的反復因子を高感度且つ効果的に監視できるよう各種の確率的反復因子の確率を位置の関数として組み込むことができる。
【0081】
更に、確率的反復因子を含む保護領域に関連付けられたデータ(例:保護領域の位置、保護領域内における確率的反復因子の確率等)は、製造ラインの所与の追加的なツール(例:フィードフォワードデータとしての)であってよい。例えば、保護領域は、サンプリング計画に従い1個以上の試料(例:レチクルおよび/またはウェーハ)を測定する所与の計量ツールに提供されてよい。追加的な例として、確率的反復因子を含む保護領域に関連付けられたデータは、処理エラー、ウェーハ汚染等に起因する欠陥(例:決定論的および/または確率的欠陥)の影響を受けやすいウェーハの部分を識別すべくホットスポット検証ツールに提供されてよい。
【0082】
別の実施形態において、方法200は、1個以上の保護領域内における1個以上の確率的反復因子の予測される生起を選択された許容範囲内に抑制すべく製造レシピを変更するステップ208を含んでいる。これは、許容可能な個数の欠陥(確率的反復因子および/または決定論的反復因子)を規定する選択された許容範囲内で特定の素子が形成される場合であってもよい。従って、ステップ208は、確率的反復因子を考慮に入れた場合に当該素子が選択された許容範囲に従い形成できるように製造レシピの少なくとも1個の態様を変更するステップを含んでいてよい。
【0083】
一実施形態において、製造レシピを変更するステップは、確率的反復因子を抑制すべく1個以上の露光条件(例:リソグラフィサブシステム102の線量、焦点位置、照射条件等)を変更するステップを含んでいる。例えば、ステップ208は、確率的反復因子の尤度を選択された許容範囲まで減らすべく試料(例:ステップ206で選択された保護領域に関連付けられた)の1個以上の部分への照射線量を増やすステップを含んでいてよい。
【0084】
別の実施形態において、製造レシピを変更するステップは、確率的反復因子を抑制すべく形成される要素のパターンを変更するステップを含んでいる。例えば、要素パターン内の1個以上の特徴は、確率的反復因子に影響され難い他のパターンレイアウトに変更および/または代替することができる。大艇的なパターンレイアウトは、当分野で公知の任意の技術を用いて選択することができる。例えば、代替的なパターンレイアウトは、確率的反復因子に対する既知の影響されやすさによるパターンレイアウトのライブラリの確率的ランキングに基づいて選択することができる。別の例として、パターンマスクは、リソグラフィ試料124上の要素のパターンの印刷可能性を向上させるのに適したサブ解像度特徴(OPC特徴、SRAF等)を含むように変更することができる。この点に関して、リソグラフィサブシステム102の解像度よりも寸法(例:実際の寸法、パターンマスク要素同士の間隔等)が小さいパターンマスク素子は、散乱または回折等の光学的効果に基づいて試料のレジスト層上に印刷されるパターンに影響する場合がある。例えば、サブ解像度特徴は、リソグラフィ試料124上へ解像可能に結像されることなく、印刷要素の1個以上の特徴(例:PPE、側壁角、臨界寸法等)に影響する場合がある。更に、サブ解像度特徴は、選択された許容範囲(例:プロセスウィンドウ)内で要素のパターンを形成できる露光条件の範囲に影響する場合がある。この点に関して、サブ解像度特徴は、サブ解像度要素自体が解像可能に印刷されることなく要素の設計されたパターンをリソグラフィ試料124上に確実に形成可能にすることができる。
【0085】
別の実施形態において、方法200は、変更された製造レシピに従い少なくとも1個の試料を加工するステップ210を含んでいる。従って、任意の確率的反復因子を特徴付けることができ、確率的反復因子を考慮する場合においても、変更された試料を選択された許容範囲内で加工することができる。
【0086】
本明細書に記述する主題は時として、他の構成要素内に含まれた、またはこれらと接続された異なる構成要素を示す。このように示すアーキテクチャは単に例示的に過ぎず、事実同じ機能を実現する他の多くのアーキテクチャも実装できることを理解されたい。概念的な意味において、同じ機能を実現する構成要素の任意の構成が、所望の機能を実現すべく効果的に「関連付けられて」いる。従って、本明細書において特定の機能を実現すべく組み合わされた任意の2個の構成要素は、アーキテクチャまたは中間要素のいずれかに依らず、所望の機能を実現すべく互いに「関連付けられて」いると見なすことができる。同様に、このように関連付けられた任意の2個の構成要素はまた、所望の機能を実現すべく互いに「接続」または「結合」されていると見なすことができ、このように関連付けることができる任意の2個の構成要素はまた、所望の機能を実現すべく互いに「結合可能」であると見なすことができる。結合可能な構成要素の特定の例は、物理的に連絡可能な、および/または物理的に連絡している構成要素、および/または無線連絡可能な、および/または無線連絡している構成要素、および/または論理的に連絡可能な、および/または論理的に連絡している構成要素を含んでいるが、これらに限定されない。
【0087】
本開示およびこれに付随する利点の多くが上述の説明により理解できると思われ、開示内容から逸脱することなく、またはその具体的な利点の全てを犠牲にすることなく構成要素の形式、構造、および配置に各種の変更を加え得ることが明らかになろう。記述する形式は単に説明目的に過ぎず、以下の請求項は上述のような変更を網羅および包含することを意図している。更に、本発明は添付の請求項により規定されるものと理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B