(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】通信光検出装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/42 20060101AFI20220113BHJP
G02B 6/46 20060101ALI20220113BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
G02B6/42
G02B6/46
G02B6/36
(21)【出願番号】P 2017214602
(22)【出願日】2017-11-07
【審査請求日】2020-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 香菜子
(72)【発明者】
【氏名】大越 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】中谷 佳広
(72)【発明者】
【氏名】大貫 渉
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200707(JP,A)
【文献】特開2017-116863(JP,A)
【文献】特開2004-077782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0313513(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00-6/02
6/24-6/27
6/30-6/34
6/36-6/43
6/46-6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1光アダプタ、及び複数の第2光アダプタが設けられた筐体と、
前記筐体内に設けられると共に、前記第1光アダプタから前記筐体内に延びる第1光ファイバと、対応する前記第2光アダプタから前記筐体内に延びる第2光ファイバとを光学的に接続する接続部にそれぞれ設けられ、前記第1光ファイバ及び前記第2光ファイバを介して伝送される通信光を検出する複数の通信光検出部と、を備え、
前記各通信光検出部は、前記接続部に設けられ前記通信光の一部を漏洩させる漏光部と、前記漏光部で漏洩した漏洩光を検出する受光素子と、前記接続部を収容する凹溝を有し前記漏洩光を透過しない通信光検出部用ケースと、をそれぞれ有し、
複数の前記受光素子が一括して搭載されており、複数の前記通信光検出部用ケースの前記凹溝の開口を一括して塞ぐように設けられている回路基板を備え、
前記各通信光検出部用ケースは、前記接続部での前記通信光の光軸に対して垂直な方向に整列配置されており、
隣り合う前記通信光検出部用ケースが、その配列方向において離間して配置されている、
通信光検出装置。
【請求項2】
隣り合う前記通信光検出部用ケースが、隙間を介して離間して配置されている、
請求項
1に記載の通信光検出装置。
【請求項3】
隣り合う前記通信光検出部用ケースが、前記通信光に対して透明な透明部材を介して離間して配置されている、
請求項2に記載の通信光検出装置。
【請求項4】
隣り合う前記通信光検出部は、前記接続部での前記通信光の光軸と平行な長さ方向において、前記漏光部の位置をずらして配置されており、
前記通信光検出部用ケースは、前記接続部が収容される本体部と、前記本体部から長さ方向に延出され前記第1光ファイバと前記第2光ファイバのいずれかが収容される延出部と、を有しており、
前記延出部は、前記本体部よりも狭い幅に形成され、隣り合う前記通信光検出部の前記漏光部の長さ方向位置よりも長く延出されている、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の通信光検出装置。
【請求項5】
前記各通信光検出部の前記漏光部は、隣り合う前記通信光検出部において前記漏光部の長さ方向位置が異なるように、第1の長さ方向位置と第2の長さ方向位置に交互に配置されている、
請求項4に記載の通信光検出装置。
【請求項6】
前記延出部の両側面に係止突起が形成されると共に、前記本体部の両側面に前記係止突起を係止する係止溝が形成され、
隣り合う前記通信光検出部用ケースは、長さ方向において逆向きに配置され、一方の前記係止突起を他方の前記係止溝に、他方の前記係止突起を一方の前記係止溝にそれぞれ係止することで、互いに固定されている、
請求項4または5に記載の通信光検出装置。
【請求項7】
前記本体部と前記延出部とが一体に形成されており、
前記本体部と前記延出部とにわたって前記凹溝が形成されており、
前記係止突起及び前記係止溝は、隣り合う前記通信光検出部用ケースを互いに固定した際に、隣り合う前記通信光検出部用ケースの側面同士が、隙間を介して離間するように形成されている、
請求項6に記載の通信光検出装置。
【請求項8】
前記延出部は、前記本体部から延出された第1光ファイバまたは第2光ファイバの外周を覆い、前記漏洩光を透過しないチューブからなる、
請求項4または5に記載の通信光検出装置。
【請求項9】
前記凹溝の内周面に、前記漏洩光を反射する反射材が設けられている、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の通信光検出装置。
【請求項10】
前記回路基板または前記通信光検出部用ケースに設けられ、隣り合う前記通信光検出部への前記漏洩光の漏れを抑制すべく前記漏洩光を遮光する遮光壁を有する、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の通信光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタ等の光通信関連設備では、光通信路の通信状況や、光通信路を構成する光ファイバの健全性(断線の有無等)を確認するために、通信光検出装置が用いられている。
【0003】
従来の通信光検出装置として、通信光の一部を漏洩光として取り出す通信光可視化アダプタを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、通信光可視化アダプタが整列して実装されると共に複数段にわたって階段状に位置をずらして配置される複数のパネルを備えた点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データセンタ等の光通信関連設備においては、通信容量の増大に伴い、限りあるスペースに有効に活用することが望まれている。データセンタ等の光通信関連設備に使用される通信光検出装置においても、高密度実装化が要求されている。
【0006】
本発明は、高密度実装が可能な通信光検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、複数の第1光アダプタ、及び複数の第2光アダプタが設けられた筐体と、前記筐体内に設けられると共に、前記第1光アダプタから前記筐体内に延びる第1光ファイバと、対応する前記第2光アダプタから前記筐体内に延びる第2光ファイバとを光学的に接続する接続部にそれぞれ設けられ、前記両光ファイバを介して伝送される通信光を検出する複数の通信光検出部と、を備え、前記各通信光検出部は、前記接続部に設けられ前記通信光の一部を漏洩させる漏光部と、前記漏光部で漏洩した漏洩光を検出する受光素子と、前記接続部および前記両光ファイバの一部を収容する凹溝を有し前記漏洩光を透過しない通信光検出部用ケースと、をそれぞれ有し、複数の前記受光素子が一括して搭載されており、複数の前記通信光検出部用ケースの前記凹溝の開口を一括して塞ぐように設けられている回路基板を備えた、通信光検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高密度実装が可能な通信光検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る通信光検出装置を用いた光ファイバ監視システムの概略構成図である。
【
図2】通信光検出装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図7】(a)は従来の通信光検出装置におけるクロストークの発生を説明する図であり、(b)は本発明においてクロストークの発生が抑制されることを説明する図である。
【
図8】通信光検出部の一変形例を示す図であり、(a)は断面図、(b)は反射材の取り付けを説明する説明図である。
【
図9】通信光検出部の一変形例を示す断面図である。
【
図10】通信光検出部の一変形例を示す斜視図である。
【
図11】(a),(b)は、通信光検出部の一変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0011】
(光ファイバ監視システム10の全体構成)
図1は、本実施の形態に係る通信光検出装置1を用いた光ファイバ監視システム10の概略構成図である。
【0012】
光ファイバ監視システム10は、データセンタ等の光通信関連設備に設けられ、光通信関連設備間(局舎間)を接続する局舎間光ファイバ2の健全性を常時監視するものである。局舎間を接続する局舎間光ファイバ2の本数は、例えば1000本である。局舎間光ファイバ2としては、長距離伝送に好適なシングルモード光ファイバを用いるとよい。局舎間光ファイバ2の長さは、例えば最大で80km程度である。
【0013】
光ファイバ監視システム10は、融着パネル3と、複数(ここでは3つ)の通信光検出装置1と、監視コントロールパネル4と、監視サーバ5と、モニタ6と、を備えている。融着パネル3、各通信光検出装置1、及び監視コントロールパネル4は、ラック10aに取り付けられている。
【0014】
融着パネル3には、局舎間光ファイバ2の一端が融着により光学的に接続されている。また、融着パネル3は、装置間光配線7を介して各通信光検出装置1に光学的に接続されている。
【0015】
通信光検出装置1は、各局舎間光ファイバ2(各チャネル)を伝送する通信光の光強度を検出するものである。ここでは、3つの通信光検出装置1を用いる場合を説明するが、通信光検出装置1の数はこれに限定されない。各通信光検出装置1には、局舎内の各設備へと延びる局舎内光配線8が接続されている。つまり、局舎間光ファイバ2の一端は、融着パネル3、装置間光配線7、各通信光検出装置1、及び局舎内光配線8を介して、局舎内の各設備に光学的に接続される。また、各通信光検出装置1は、LANケーブル等の通信ケーブル9aを介して、検出した各チャネルの光強度のデータを監視コントロールパネル4に送信可能に構成されている。
【0016】
監視コントロールパネル4は、各通信光検出装置1で検出した光強度のデータを集約し、当該集約した光強度のデータを、LANケーブル等の通信ケーブル9bを介して、監視サーバ5に送信するものである。なお、図示の例に限らず、監視コントロールパネル4を省略し、各通信光検出装置1から直接監視サーバ5に光強度のデータを送信するように構成してもよい。
【0017】
監視サーバ5は、受信した光強度のデータを基に、各局舎間光ファイバ2での通信の有無、及び通信光の光強度等をモニタ6に表示する。
【0018】
(通信光検出装置1の説明)
図2は、通信光検出装置1の概略構成を示す斜視図である。
図3は、通信光検出部12の平面図であり、
図4はそのA-A線断面図である。
図5は、通信光検出部12の斜視図である。なお、
図2、
図3及び
図5では、回路基板13と受光素子122とを省略して示している。
【0019】
通信光検出装置1は、筐体11と、複数の通信光検出部12と、回路基板13と、を備えている。筐体11は、略直方体状に形成されており、底壁111aと底壁の両側から上方に延びる一対の側壁111bとを一体に有し前後及び上方に開口する本体部111と、本体部111の前側の開口を塞ぐフロントパネル112と、本体部111の後側の開口を塞ぐリアパネル113と、本体部111の上方の開口を塞ぐアッパーパネル(不図示)と、を有している。以下、一対の側壁111bの対向方向(
図2の左右方向)を幅方向、フロントパネル112とリアパネル113との対向方向(
図2の左手前から右奥の方向)を長さ方向、底壁111aとアッパーパネルの対向方向(
図2の上下方向)を高さ方向という。
【0020】
筐体11のフロントパネル112には、局舎内光配線8の端部に設けられた光コネクタ(不図示)が接続される複数の第1光アダプタ11aが設けられている。光コネクタとしては、例えば、SCコネクタやLCコネクタ等を用いることができる。第1光アダプタ11aには、第1光アダプタ11aから筐体11内に延びる第1光ファイバ14aが接続されている。なお、図の簡略化のため、
図2では第1光アダプタ11aと第1光ファイバ14aとの接続部分を省略して示している。フロントパネル112における各第1光アダプタ11aの上方には、通信の有無を表示する表示窓112aがそれぞれ設けられている。
【0021】
筐体11のリアパネル113には、融着パネル3から延びる装置間光配線7の端部に設けられた光プラグ(不図示)が接続される複数の第2光アダプタ11bが設けられている。第2光アダプタ11bには、第2光アダプタ11bから筐体11内に延びる第2光ファイバ14bが接続されている。なお、図の簡略化のため、
図2では第2光アダプタ11bと第2光ファイバ14bとの接続部分を省略して示している。両光ファイバ14a,14bの余長は、複数本ずつ束ねられ円形状に巻き回された状態で、筐体11内に収容されるとよい。両光ファイバ14a,14bとしては、シングルモード光ファイバ及びマルチモード光ファイバのいずれも用いることができる。
【0022】
筐体11のフロントパネル112及びリアパネル113は、本体部111に対して取り外し可能となっている。これにより、筐体11の内部の構成を変更することなく、使用状況に応じて適宜な光アダプタ11a,11bを取り付けたフロントパネル112、リアパネル113に取り換えることが可能になる。つまり、フロントパネル112やリアパネル113を取り換えるのみで、様々なタイプのコネクタ方式に対応可能となり、汎用性が向上する。
【0023】
通信光検出部12は、両光ファイバ14a,14bを介して伝送される通信光の光強度、すなわち局舎間光ファイバ2を伝送される通信光の光強度を検出するものである。本実施の形態では、通信光検出部12は、筐体11内に設けられている。通信光検出部12は、第1光アダプタ11aから筐体11内に延びる第1光ファイバ14aと、対応する第2光アダプタ11bから筐体11内に延びる第2光ファイバ14bとを光学的に接続する接続部14cにそれぞれ設けられている。
【0024】
本実施の形態では、各通信光検出部12は、接続部14cに設けられ通信光の一部を漏洩させる漏光部121と、漏光部121で漏洩した漏洩光を検出する受光素子122と、接続部14cを収容する凹溝16を有し漏洩光を透過しない通信光検出部用ケース123と、をそれぞれ有している。各部の詳細については後述する。
【0025】
回路基板13には、複数の受光素子122が一括して搭載されている。本実施の形態では、筐体11内に配置されている全ての通信光検出部12の受光素子122が共通の回路基板13に搭載されている。回路基板13は、複数の(ここでは筐体11内に配置される全ての)通信光検出部用ケース123の凹溝16の開口を一括して塞ぐように設けられている。
【0026】
図示していないが、回路基板13には、受光素子122からの電流信号を電圧信号に変換し増幅して出力するアンプ回路や、アンプ回路からの出力をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ、A/Dコンバータから入力されたデジタル信号を基に両光ファイバ14a,14bを介して伝送される通信光の光強度を演算する演算部、演算部での演算結果を監視コントロールパネル4に送信する通信制御部等が搭載されている。また、図示していないが、回路基板13のフロントパネル112側の端部には、表示窓112aに臨むように、通信の有無を表示するための発光ダイオードが設けられている。回路基板13には、通信光の光強度を基に、発光ダイオードの点灯の有無の制御、あるいは点灯色の制御等によって、通信の有無を表示する表示用回路が搭載されている。なお、回路基板13の具体的な回路構成等については、特に限定するものではない。
【0027】
このように、本実施の形態に係る通信光検出装置1では、光アダプタ11a,11bに接続されるプラグに通信光の検出機能をもたせるのではなく、筐体11内に通信光の検出機構(通信光検出部12)を集約して設けている。第1コネクタ11aに接続されるプラグ(アダプタ)に通信光の検出機能をもたせた場合、プラグ(アダプタ)の小型化に限界が生じ、高密度実装にも限界が生じる。本実施の形態のように、筐体11内に通信光の検出機構(通信光検出部12)を集約して設けることで、光アダプタ11a,11bをより密に配置することが可能になり、プラグ(アダプタ)に通信光の検出機能をもたせた従来技術と比較してさらなる高密度実装が可能になる。
【0028】
(漏光部121の説明)
図6は、漏光部121を説明する説明図である。漏光部121は、両光ファイバ14a,14bを介して伝送される通信光の一部を漏光させるものである。本実施の形態では、第1光ファイバ14aの端部は、第1フェルール151に収容されている。第1光ファイバ14aの端面は、第1フェルール151の先端面と共に研磨されている。第2光ファイバ14bの端部は、第2フェルール152に収容されている。第2光ファイバ14bの端面は、第2フェルール152の先端面と共に研磨されている。
【0029】
両フェルール151,152の間には、光ファイバ14dが内蔵されたフェルールである接合体157が配置されている。接合体157は、割スリーブ153に挿入されている。第1フェルール151は、割スリーブ153の一方の端部から割りスリーブ153内に挿入されており、第1光ファイバ14aの端面と光ファイバ14dの端面とが突き合わせ接続されている。同様に、第2フェルール152は、割スリーブ153の他方の端部から割りスリーブ153内に挿入されており、第2光ファイバ14bの端面と光ファイバ14dの端面とが突き合わせ接続されている。割スリーブ153は、中空円筒体に軸方向に沿ってスリット153aを設けることで断面C字状に形成されており、スリット153aを上方(受光素子122側)に臨ませて配置されている。両フェルール151,152及び接合体157は、通信光を透過しかつ散乱させるジルコニアセラミックス等からなる。本実施の形態では、割スリーブ153もジルコニアセラミックス、あるいは金属等の部材からなる。受光素子122は、PD(Photo Diode)からなる。
【0030】
接合体157は、接合体68の外表面から光ファイバ14dを横断するように形成された光検知用溝157bを有している。光検知用溝157cは、ブレードによるダイシング、あるいはエッチングなどの加工手段により形成される。受光素子122は、光検知用溝157bと対向するように配置される。
【0031】
光検知用溝157bは、その内部が真空であってもよいが、光ファイバ14dのコアよりも屈折率が低い屈折率を有する樹脂157aが充填されていることが好ましい。この樹脂157aは、液状のものを使用しても良いし、熱硬化性や紫外線(UV)硬化性の樹脂、あるいは接着剤で、硬化後の屈折率が光ファイバ14dのコアの屈折率よりも低いものを使用してもよい。また、光検知用溝157bに充填される樹脂157aは、光ファイバ14dのコアよりも屈折率が低く、かつ、光ファイバ14dのクラッドよりも屈折率が低い屈折率を有することがより好ましい。
【0032】
漏光部121では、両光ファイバ14a,14bを介して伝送される通信光の一部が、光検知用溝157bにて漏洩する、漏洩した通信光の一部である漏洩光は、漏光部121の上方に配置された受光素子122にて受光される。
【0033】
受光素子122にて受光された漏洩光の光強度は、通信光の光強度に依存するため、受光素子122で検出した光強度を基に、通信光の光強度を演算により求めることができる。なお、
図6で説明した構成はあくまで一例であり、通信光の一部を漏洩させるための構成は、図示のものに限定されない。
【0034】
両フェルール151,152の基端部には、径方向外方に突出するフランジ部154がそれぞれ設けられている。フランジ部154は、通信光検出部用ケース123の内壁に干渉して漏光部121の位置決めを行うためのものである。フランジ部154は、フェルール151,152の軸方向から見て、矩形状に形成されており、通信光検出部用ケース123の内壁(後述する側壁17b)との干渉により回転しないようにされている。
【0035】
また、第1フェルール151側のフランジ部154と通信光検出部用ケース123の内壁との間には、付勢部材としてのコイルバネ155が設けられている。このコイルバネ155によりフランジ部154及び第1フェルール151を第2フェルール152側に押し付けることで、両フェルール151,152及び接合体157の突き合わせ接続部、すなわち、第1光ファイバ14aと光ファイバ14d、第2光ファイバ14bと光ファイバ14dの突き合わせ接続部において、十分な接続荷重を確保している。
【0036】
フランジ部154から延出された光ファイバ14a,14bの周囲には、当該延出部分で光ファイバ14a,14bが折れてしまわないように光ファイバ14a,14bを保護する保護チューブ156がそれぞれ設けられている。保護チューブ156は、例えば、熱可塑性ポリエステルエラストマからなり、図示しない接着剤によりフランジ部154に接着固定されている。
【0037】
(通信光検出部用ケース123の説明)
通信光検出部用ケース123は、通信光(漏洩光)を透過しない材質で構成されており、例えば、カーボンやチタン加えたABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体),PBT(ポリブチレンテレフタレート),PC(ポリカーボネート),PEI(ポリエーテルイミド)等の樹脂からなる。
【0038】
筐体11内には、光ファイバ14a,14bと同数の通信光検出部用ケース123が収容されており、底壁111a上に固定されている。各通信光検出部用ケース123は、接続部14cでの通信光の光軸(漏洩光は含まない)が長さ方向に沿うように配置されており、接続部14cでの通信光の光軸に垂直な方向、すなわち幅方向に整列配置されている。
【0039】
通信光検出部用ケース123は、接続部14cが収容される本体部123aと、本体部123aから長さ方向(接続部14cでの通信光の光軸に沿った方向)の一方に延出され第1光ファイバ14aと第2光ファイバ14bのいずれか一方が収容される第1延出部123bと、本体部123aから長さ方向の他方に延出され第1光ファイバ14aと第2光ファイバ14bの他方が収容される第2延出部123cと、を一体に有している。本体部123aと第1延出部123bと第2延出部123cとは、同じ材質からなり、射出成型等により一体に形成される。
【0040】
本体部123a、第1延出部123b、及び第2延出部123cは、高さが等しく、長さ方向に垂直な断面が矩形の棒状(角筒状)に形成されている。両延出部123b、123cは、本体部123aよりも狭い幅に形成されている。また、第1延出部123bは、第2延出部123cよりも、長さ方向に沿った長さ(本体部123aからの延出長)が短い。
【0041】
通信光検出部用ケース123は、長さ方向に沿って、第1延出部123b、本体部123a、及び第2延出部123cを一直線状に順次配置して構成されている。凹溝16は、これら第1延出部123b、本体部123a、及び第2延出部123cを長さ方向に貫くように略直線状に形成されている。つまり、凹溝16は、本体部123aと延出部123b,123cとにわたって形成されている。凹溝16の一端は、第1延出部123bの本体部123aと反対側の端面に開口しており、この開口から、第1光ファイバ14aと第2光ファイバ14bの一方が通信光検出部用ケース123外へと延出されている。また、凹溝16の他端は、第2延出部123bの本体部123aと反対側の端面に開口しており、この開口から、第1光ファイバ14aと第2光ファイバ14bの他方が通信光検出部用ケース123外へと延出されている。
【0042】
本体部123aに形成された凹溝16は、両フェルール151,152、両フランジ部154、割スリーブ153、及びコイルバネ155を収容する接続部収容部16aを有している。接続部収容部16aから延出される凹溝16は接続部収容部16aよりも幅狭に形成されており、接続部収容部16aの長さ方向における端部には段差16bが形成されている。第1延出部123b側の段差16bには、コイルバネ155の一端が当接しコイルバネ155の第1延出部123b側への移動を規制している。このコイルバネ155の他端は一方のフランジ部154の端面に当接しており、コイルバネ155がフランジ部154を第2延出部123c側に付勢している。第2延出部123c側の段差16bには、他方のフランジ部154の端面に当接しており、コイルバネ155の付勢力によりフランジ部154が第2延出部123c側に移動してしまうことが規制されている。
【0043】
以下、通信光検出部用ケース123において、凹溝16の底面を構成する部位を底壁17a、凹溝16を幅方向に挟む壁を側壁17bと呼称する。接続部14cの周囲の側壁17bの厚さ、及び、第2延出部123cの側壁17bの厚さは、通信光(漏洩光)が透過しない程度の厚さであればよく、例えば1mm程度である。
【0044】
凹溝16の接続部収容部16aの内周面には、漏洩光を反射する反射材18が設けられている。反射材18としては、例えばSUS等の鉄系材料やアルミニウム等からなる金属板を用いることができる。反射材18には、鏡面仕上げや、Ni、Ag、Au等の金属メッキを施すことがより好ましい。本実施の形態では、接続部収容部16aの内周面に沿うように、断面視で略U字状となるように反射材18が設けられている。反射材18を設けることで、受光素子122で受光される漏洩光の光強度を高めることができ、感度の向上を図ることができる。
【0045】
(通信光検出部用ケース123の配置の説明)
通信光検出装置1では、隣り合う通信光検出部用ケース123が、その配列方向(幅方向)において離間して配置されている。本実施の形態では、隣り合う通信光検出部用ケース123が、隙間(つまり空気層)124を介して離間して配置されている。
【0046】
図7(a)に太線矢印Bで示すように、隣り合う通信光検出部用ケース123が密着している場合、通信光検出部用ケース123と回路基板13間のわずかな隙間から側方に漏れ出た漏洩光が、隣り合う通信光検出部12に到達してしまうおそれがある。その結果、隣り合う通信光検出部12の受光素子122で受光されてしまい(つまりクロストークが発生し)、通信光の光強度の測定精度が低下してしまうおそれがある。
【0047】
これに対して、
図7(b)に示すように、隣り合う通信光検出部用ケース123が離間し隙間124が形成されていると、図示太線矢印Cで示すように、この隙間124が光のパスとなって漏洩光が下方へと導かれ、隣り合う通信光検出部12の受光素子122に漏洩光が到達しにくくなる(つまりクロストークの発生が抑制される)。
【0048】
隙間124の幅、すなわち隣り合う通信光検出部用ケース123の幅方向に沿った間隔は、0.1mm以上であるとよい。隙間124の幅が0.1mm未満であると、漏洩光を隙間124に逃がす効果が小さくなり、隣り合う通信光検出部12の受光素子122に漏洩光が到達し易くなってしまう。
【0049】
隙間124は光のパスを形成するためのものであるから、隙間124には、通信光(漏洩光)を透過する透明部材が配置されていてもよい。つまり、隣り合う通信光検出部用ケース123が、通信光に対して透明な透明部材を介して離間して配置されていてもよい。この透明部材を空気よりも屈折率の高い部材で構成することで、光の閉じ込め効果により、隣り合う通信光検出部12の受光素子122に漏洩光がより到達しにくくなる。
【0050】
なお、隣り合う通信光検出部用ケース123の全体が隙間124を介して離間している必要はなく、漏光部121(受光素子122)の近傍において、隣り合う通信光検出部用ケース123が隙間124を介して離間していればよい。また、漏光部121の近傍においても、隣り合う通信光検出部用ケース123の上部同士の間に隙間124が形成されていればよく、通信光検出部用ケース123の上部同士が当接されていてもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、隣り合う通信光検出部12は、接続部14cでの通信光の光軸と平行な方向である長さ方向において、漏光部121の位置をずらして配置されている。ここでは、各通信光検出部12の漏光部121は、隣り合う通信光検出部12において漏光部121の長さ方向位置が異なるように、第1の長さ方向位置と第2の長さ方向位置の2箇所の長さ方向位置に交互に配置されている。つまり、各通信光検出部12は、上面視で漏光部121が千鳥状に配置されるように、幅方向に整列配列されている。
【0052】
通信光検出部12を千鳥状に配置することで、漏光部121で漏れた漏洩光が隣の漏光部121に影響を及ぼしにくくなる。また、通信光検出部12を千鳥状に配置することで、幅方向により高密度に実装しやすくなる。
【0053】
本実施の形態では、隣り合う通信光検出部用ケース123は、長さ方向において逆向きに配置されている。換言すれば、隣り合う通信光検出部12において、通信光検出部用ケース123の長さ方向における向きが互いに反対となるようにされている。隣り合う通信光検出部用ケース123では、一方の通信光検出部用ケース123の本体部123aが他方の通信光検出部用ケース123の第2延出部123cと隣り合い、他方の通信光検出部用ケース123の本体部123aが一方の通信光検出部用ケース123の第2延出部123cと隣り合う。
【0054】
漏光部121を千鳥状に配置した場合、各漏光部121には光ファイバ14a,14bが隣り合うことになる。本発明者らが検討したところ、漏光部121で発生した漏洩光は、光ファイバ14a,14bを通って、漏光部121から比較的長手方向に離れた位置にまで到達していることが分かった。よって、光ファイバ14a,14bを伝って漏れる漏洩光の影響を抑制するために、少なくとも、第2延出部123cは、隣り合う通信光検出部12の漏光部121の長さ方向位置よりも長く延出されていることが望ましい。
【0055】
また、上述のように、漏光部121(受光素子122)の近傍においては、隣り合う通信光検出部用ケース123が隙間124を介して離間していることが望ましく、少なくとも漏光部121と同じ長さ方向位置においては、光ファイバ14a,14bと漏光部121との間に、第2延出部123cの側壁17b、隙間124、本体部123aの側壁17bが順次配置された状態になるとよい。
【0056】
側壁17bの幅を1mmとし、かつ、隙間124の幅を0.1mmとして、クロストークの発生の有無を確認する実験を行った。その結果、両光ファイバ14a,14bに20dBm以上の通信光を伝送させた際であっても、クロストークが発生しないことが確認された。つまり、隣り合う通信光検出部用ケース123間に隙間124を形成し、かつ、漏光部121を千鳥状に配置することで、比較的光強度の大きい通信光を伝送させた場合であってもクロストークの発生を抑制することが可能となり、高密度実装とクロストークの抑制を両立することが可能になる。
【0057】
さらに、本実施の形態では、隣り合う通信光検出部用ケース123を互いに係止することが可能となっており、複数の通信光検出部用ケース123を一体に組み立てられるようになっている。具体的には、通信光検出部用ケース123の第2延出部123cの両側面(両側壁17bの外側の面)に係止突起123dが形成されると共に、本体部123aの両側面に係止突起123dを係止する係止溝123eが形成されている。隣り合う通信光検出部用ケース123は、一方の係止突起123dを他方の係止溝123eに、他方の係止突起123dを一方の係止溝123eにそれぞれ係止することで、互いに固定されている。
【0058】
係止突起123dは、外方(先端)ほど幅広となるように形成されており、係止溝123eは、開口ほど幅狭になるように形成されている。本実施の形態では、一方の通信光検出部用ケース123に対して、他方の通信光検出部用ケース123を高さ方向にスライドさせることで、係止突起123dが係止溝123e内にスライドしつつ挿入されて、両通信光検出部用ケース123が係止される。
【0059】
係止突起123d及び係止溝123eは、隣り合う通信光検出部用ケース123を互いに固定した際に、隣り合う通信光検出部用ケース123の側面同士が、隙間124を介して離間するように形成されている。係止突起123dは、係止溝123eの深さよりも若干長い突出長となるように形成されており、係止突起123dを係止溝123eに係止して隣り合う通信光検出部用ケース123を互いに固定するのみで、所定の幅の隙間124が形成されるようになっている。
【0060】
(反射材18の変形例)
本実施の形態では、断面視で略U字状となるように反射材18を設ける場合を説明したが、
図8(a)に示すように、反射材18の下部をV字状に形成してもよい。
図8(a)の例では、反射材18は、下方ほど開口幅が狭くなるV字状に形成された傾斜部18aと、傾斜部aの両端から略上方向に延びる保持部18bと、を一体に有している。反射材18は、1枚の金属板を折り曲げ加工することにより形成される。反射材18が傾斜部18aを有することにより、漏洩光が受光素子122側に反射されやすくなり、通信光の光強度の検出感度がより向上する。V字状に形成された傾斜部18aにおける内角(開口角)θは、受光素子122の位置等に応じて適宜設定すればよく、45°以上160°以下とすればよいが、60°以上90°以下がより好ましい。
【0061】
図8(b)に示すように、反射材18は、その開口側の端部(上端)が幅方向に若干開いた状態に形成され、凹溝16内(接続部収容部16a内)に押し込まれるとよい。これにより、反射材18が復元しようとする力によって保持部18bが側壁17bに押し付けられて、反射材18が凹溝16内(接続部収容部16a内)に保持されることになり、反射材18が通信光検出部用ケース123から脱落しにくくなる。保持部18bは、反射材18を凹溝16内に挿入した際に、なるべく側壁17bに沿うように形成され、保持部18bと側壁17bとの接触面積をなるべく大きくすることが望ましい。
【0062】
さらに、
図9に示すように、両側壁17bの上端部に、幅方向における内方に突出し、反射材18の上方への動きを規制する抜け止め突起17cを設け、反射材18の通信光検出部用ケース123からの脱落を抑制してもよい。なお、抜け止め突起17cは、2つの側壁17cの一方のみに形成されていてもよい。
【0063】
(第2延出部123cの変形例)
本実施の形態では、第2延出部123cが、本体部123aと同じ材質からなり、本体部123aと一体に形成される場合について説明したが、第2延出部123cは本体部123aと別体に形成されてもよい。
【0064】
例えば、
図10に示すように、第2延出部123cは、本体部123aから延出された第1光ファイバ14aまたは第2光ファイバ14bの外周を覆い、漏洩光を透過しないチューブ19からなってもよい。チューブ19の端部は、接着剤等により本体部123aに固定される。この場合、第2延出部123cとしてチューブ19を用いる場合、本体部123aとチューブ19との接続部分で漏洩光が漏れないように、蓋部材で覆う等するとよい。
【0065】
(遮蔽壁の説明)
本実施の形態では言及しなかったが、
図11(a)に示すように、通信光検出装置1は、回路基板13に設けられ、隣り合う通信光検出部12への漏洩光の漏れを抑制すべく漏洩光を遮光する遮光壁20を有してもよい。遮光壁20は、通信光(漏洩光)を透過しない部材からなる。
【0066】
遮光壁20を回路基板13の下面に取り付けた場合、遮光壁20と回路基板13間の僅かな隙間から漏洩光が漏れてしまうおそれがあるため、遮光壁20は、回路基板13を貫通するように形成された貫通孔21に挿通され、回路基板13を貫通するように設けられるとよい。なお、遮光壁20の上端部は、回路基板13よりも上方に突出していなくてもよく、例えば、回路基板13の下面に設けられた凹溝に収容されていてもよい。遮光壁20の下端部は、通信光検出部用ケース123の上面(側壁17bの上端)よりも下方に延びるようにされる。
図11(a)の例では、回路基板13の上面側にて、回路基板13と遮光壁20とをはんだ22により固定しているが、遮光壁20の固定方法は特に限定するものではない。
【0067】
また、
図11(b)に示すように、通信光検出部用ケース123側に遮光壁23を設けてもよい。
図11(b)の例では、本体部123aの側壁17bの上端部から上方に延びるように、側壁17bと一体に遮光壁23を設けている。ただし、これに限らず、第2延出部123cの側壁17bに遮光壁23を設けてもよい。遮光壁23を回路基板13の下面に当接させるのみであると、僅かな隙間から光が漏れてしまうので、遮光壁23の上端は回路基板13の下面よりも上方に延出されていること、すなわち遮光壁23が回路基板13を貫通しているか、回路基板13の下面に形成した凹溝に遮光壁23の上端が収容されていることが望ましい。
図11(b)の例では、回路基板13に、回路基板13を貫通する貫通孔24を形成し、この貫通孔24に遮光壁23を挿通させるようにしている。
【0068】
遮光壁20を隣り合うに通信光検出部用ケース123間に挿入すること、あるいは遮光壁23を貫通孔24(または凹溝)に挿入することにより、通信光検出部用ケース123に対する回路基板13の相対的な位置関係を保持することも可能になる。つまり、遮光壁20,23を有することで、漏洩光の漏れを抑制できるのみでなく、通信光検出部用ケース123に対する回路基板13の幅方向及び長さ方向における位置ずれも抑制することが可能になる。さらに、遮光壁20,23を係止する係止構造をさらに備えることで、高さ方向における通信光検出部用ケース123と回路基板13との位置ずれも抑制可能となる。その結果、受光素子122の位置ずれによる検出誤差を抑えて、検出精度を向上することが可能になる。
【0069】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る通信光検出装置1は、筐体11内に設けられた複数の通信光検出部12を備え、各通信光検出部12は、通信光の一部を漏洩させる漏光部121と、漏光部121で漏洩した漏洩光を検出する受光素子122と、接続部14cを収容する凹溝16を有し漏洩光を透過しない通信光検出部用ケース123と、をそれぞれ有し、複数の受光素子122が一括して搭載されており、複数の通信光検出部用ケース123の凹溝16の開口を一括して塞ぐように設けられている回路基板13を備えている。
【0070】
第1コネクタ11aに接続されるプラグ(アダプタ)に通信光の検出機能をもたせた場合、プラグ(アダプタ)の小型化に限界が生じ、コネクタ11a,11bを高密度に実装することが困難となるため、高密度実装には限界があった。本実施の形態では、複数の通信光検出部12を筐体11内に集約しているため、プラグに通信光の検出機能をもたせた場合と比較して、容易にコネクタ11a,11bを高密度に実装することが可能であり、さらなる高密度実装が実現できる。
【0071】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0072】
[1]複数の第1光アダプタ(11a)、及び複数の第2光アダプタ(11b)が設けられた筐体(11)と、前記筐体(11)内に設けられると共に、前記第1光アダプタ(11a)から前記筐体(11)内に延びる第1光ファイバ(14a)と、対応する前記第2光アダプタ(12)から前記筐体(11)内に延びる第2光ファイバ(14b)とを光学的に接続する接続部(14c)にそれぞれ設けられ、前記両光ファイバ(14a,14b)を介して伝送される通信光を検出する複数の通信光検出部(12)と、を備え、前記各通信光検出部(12)は、前記接続部(14c)に設けられ前記通信光の一部を漏洩させる漏光部(121)と、前記漏光部(121)で漏洩した漏洩光を検出する受光素子(122)と、前記接続部(14c)を収容する凹溝(16)を有し前記漏洩光を透過しない通信光検出部用ケース(123)と、をそれぞれ有し、複数の前記受光素子(122)が一括して搭載されており、複数の前記通信光検出部用ケース(123)の前記凹溝(16)の開口を一括して塞ぐように設けられている回路基板(13)を備えた、通信光検出装置(1)。
【0073】
[2]前記各通信光検出部用ケース(123)は、前記接続部(14c)での前記通信光の光軸に対して垂直な方向に整列配置されており、隣り合う前記通信光検出部用ケース(123)が、その配列方向において離間して配置されている、[1]に記載の通信光検出装置(1)。
【0074】
[3]隣り合う前記通信光検出部用ケース(123)が、隙間(124)を介して離間して配置されている、[2]に記載の通信光検出装置(1)。
【0075】
[4]隣り合う前記通信光検出部用ケース(123)が、前記通信光に対して透明な透明部材を介して離間して配置されている、[2]または[3]に記載の通信光検出装置(1)。
【0076】
[5]隣り合う前記通信光検出部(12)は、前記接続部(14c)での前記通信光の光軸と平行な長さ方向において、前記漏光部(121)の位置をずらして配置されており、前記通信光検出部用ケース(123)は、前記接続部(14c)が収容される本体部(123a)と、前記本体部(123a)から長さ方向に延出され前記第1光ファイバ(14a)と前記第2光ファイバ(14b)のいずれかが収容される延出部(123c)と、を有しており、前記延出部(123c)は、前記本体部(123a)よりも狭い幅に形成され、隣り合う前記通信光検出部(12)の前記漏光部(121)の長さ方向位置よりも長く延出されている、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の通信光検出装置(1)。
【0077】
[6]前記各通信光検出部(12)の前記漏光部(121)は、隣り合う前記通信光検出部(12)において前記漏光部(121)の長さ方向位置が異なるように、第1の長さ方向位置と第2の長さ方向位置に交互に配置されている、[5]に記載の通信光検出装置(1)。
【0078】
[7]前記延出部(123c)の両側面に係止突起(123d)が形成されると共に、前記本体部(123a)の両側面に前記係止突起(123d)を係止する係止溝(123e)が形成され、隣り合う前記通信光検出部用ケース(123)は、長さ方向において逆向きに配置され、一方の前記係止突起(123d)を他方の前記係止溝(123e)に、他方の前記係止突起(123d)を一方の前記係止溝(123e)にそれぞれ係止することで、互いに固定されている、[5]または[6]に記載の通信光検出装置(1)。
【0079】
[8]前記本体部(123a)と前記延出部(123c)とが一体に形成されており、前記本体部(123a)と前記延出部(123c)とにわたって前記凹溝(16)が形成されており、前記係止突起(123d)及び前記係止溝(123e)は、隣り合う前記通信光検出部用ケース(123)を互いに固定した際に、隣り合う前記通信光検出部用ケース(123)の側面同士が、隙間(124)を介して離間するように形成されている、[7]に記載の通信光検出装置(1)。
【0080】
[9]前記延出部(123c)は、前記本体部(123a)から延出された第1光ファイバ(14a)または第2光ファイバ(14b)の外周を覆い、前記漏洩光を透過しないチューブ(19)からなる、[5]または[6]に記載の通信光検出装置(1)。
【0081】
[10]前記凹溝(16)の内周面に、前記漏洩光を反射する反射材(18)が設けられている、[1]乃至[9]の何れか1項に記載の通信光検出装置(1)。
【0082】
[11]前記回路基板(13)または前記通信光検出部用ケース(123)に設けられ、隣り合う前記通信光検出部(12)への前記漏洩光の漏れを抑制すべく前記漏洩光を遮光する遮光壁(20,23)を有する、[1]乃至[10]の何れか1項に記載の通信光検出装置(1)。
【0083】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0084】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…通信光検出装置
11…筐体
11a…第1光アダプタ
11b…第2光アダプタ
12…通信光検出部
121…漏光部
122…受光素子
123…通信光検出部用ケース
123a…本体部
123b…第1延出部
123c…第2延出部(延出部)
123d…係止突起
123e…係止溝
124…隙間
13…回路基板
14a…第1光ファイバ
14b…第2光ファイバ
14c…接続部
16…凹溝
18…反射材