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  • 特許-粒子検出装置及び粒子検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-20
(54)【発明の名称】粒子検出装置及び粒子検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/12 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
G01N15/12 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017249650
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019117049
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】飯嶋 和樹
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 俊薫
(72)【発明者】
【氏名】片山 晃治
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/151226(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0286549(US,A1)
【文献】特開2014-178119(JP,A)
【文献】特開2007-205831(JP,A)
【文献】特表2016-538859(JP,A)
【文献】特開2005-205387(JP,A)
【文献】特開2012-223683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/12
G01N 15/14
B03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DLD、電場、磁場、ディーン力、慣性力又は音響泳動のいずれかの原理を1以上利用して、粒子がその粒子径に応じて流体の流れに対して垂直方向へ分離される粒子分離流路と、
前記粒子分離流路に分岐して接続された2以上の粒子回収流路とを
含む粒子検出装置であって、
前記粒子回収流路がアパーチャと電気検出器とを含む粒子検出部を備えることを特徴とする前記粒子検出装置。
【請求項2】
各粒子回収流路にある粒子検出部のアパーチャで検出できる粒子径範囲が互いに異なることを特徴とする、請求項1に記載の粒子検出装置。
【請求項3】
各粒子回収流路にある粒子検出部のアパーチャで検出できる粒子径範囲の一部が互いに重複していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粒子検出装置。
【請求項4】
流体中に含まれる粒子を検出する方法であって、
DLD、電場、磁場、ディーン力、慣性力又は音響泳動のいずれかの原理を1以上利用して、粒子をその粒子径に応じて流体の流れに対して垂直方向へ分離し、
分離された粒子を2以上の流路に分断し、
前記流路に設置されたアパーチャを挟んで配置された電極を含む電気検出器で前記粒子を検出することを特徴とする前記方法。
【請求項5】
前記電気検出器の検出できる粒子径範囲が設置している流路によって異なることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気検出器の検出できる粒子径範囲の一部が設置している流路によって互いに重複していることを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子検出装置及び粒子検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子を個々に1つずつ測定することで、マイノリティーな粒子群を正確に検出可能な技術として、電気的検出を用いるコールター法(電気的検知帯法;以下ESZ)(例えば、非特許文献1参照)が知られている。この手法は、各検出手段から得られる情報(シグナル)が、各粒子に対して1対1で対応しているため粒子個々の評価をすることが可能であり、数的に含まれる割合の少ない粒子でも正確に測定が可能となるが、測定できる粒子径範囲(ダイナミックレンジ)が比較的狭いという課題がある。例えば、ESZではアパーチャと呼ばれる小さい穴に粒子を通過させた際に発生する電気的シグナルを用いて粒子径を算出するが、一般にそのダイナミックレンジはアパーチャ径の2~60%といわれている。また、ESZでは、アパーチャよりも大きい粒子が存在した場合、その粒子によりアパーチャが閉塞し、その後測定が出来なくなるため、アパーチャ径以下の口径を持つフィルターにより大きい粒子を除去してからの測定が必要となる。しかしながら、フィルタリング操作では、フィルター基材への粒子の吸着が少なからず発生するため、サンプルの一部のロスが懸念される。また、この時点で定量的な結果を得られる可能性が減ってしまうという課題もあるため、サンプル中の粒子径分布を正確に測定した場合は、フィルタリング操作を行うことは望ましくない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】R.W.De Blois.et al、The Review of Scientific Instruments、Volume 41、Number 7、pp909-916(1970)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、広範囲の粒子を個々にかつ連続的に検出できる粒子検出装置、及び粒子検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題に鑑み、粒子をその粒子径に応じて流体の流れに対して垂直方向へ分離した後、検出器で検出することで広範な分布を持つ粒子試料測定が可能となることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、
決定論的横置換法(DLD)、電場、磁場、ディーン力、慣性力又は音響泳動のいずれかの原理を1以上利用して、粒子がその粒子径に応じて流体の流れに対して垂直方向へ分離される粒子分離流路と、
前記粒子分離流路に分岐して接続された2以上の粒子回収流路とを
含む粒子検出装置であって、
前記粒子回収流路がアパーチャと電気検出器とを含む粒子検出部を備えることを特徴とする前記粒子検出装置に関する。
【0007】
また、本発明において、各粒子回収流路にある粒子検出部のアパーチャで検出できる粒子径範囲は互いに異なっていてもよく、アパーチャで検出できる粒子径範囲の一部が互いに重複していてもよい。
【0008】
また、本発明の別の態様として、流体中に含まれる粒子を検出する方法であって、
決定論的横置換法(DLD)、電場、磁場、ディーン力、慣性力又は音響泳動のいずれかの原理を1以上利用して、粒子をその粒子径に応じて流体の流れに対して垂直方向へ分離し、
分離された粒子を2以上の流路に分断し、
前記流路に設置されたアパーチャを挟んで配置された電極を含む電気検出器で前記粒子を検出することを特徴とする方法も挙げられる。
【0009】
前記方法は、前記電気検出器の検出できる粒子径範囲が設置している流路によって異なっていてもよく、検出できる粒子径範囲の一部が設置している流路によって互いに重複していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、より広範な粒子径分布を持つサンプルを精度よく連続的に検出する事ができ、バッチ処理の分離技術と比較して、大量な粒子サンプルの測定が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(a)、(b)は、本発明の一実施形態を示す図である。図1(a)は、マイクロチップ10の上面図であり、図1(b)は図1(a)における領域190の拡大図である。
図2図2(a)は、本発明の一実施形態を示す図であり、粒子検出部103を直列に2つ配置した場合の態様を示す。図2(b)は、2つの粒子検出部103を1つの粒子が連続的に通過した場合の、測定している電流値の経時変化の様子を模式的に示した図で、上側のグラフが上流側の粒子検出部103により測定されたもので、下側のグラフが下流側の粒子検出部103により測定されたことを示す。ここで、便宜上、2つの粒子検出部103のグラフの縦軸の位置をずらしたが、実際は粒子が通過しないときのベースラインとなる電流値はほぼ同一である。
図3図3(a)は、本発明の一実施形態を示す図であり、アパーチャを直列に2つ配置した場合であり、図2とは異なり、電極を1対のみ用いた場合の態様を示す。図3(b)は、2つのアパーチャを粒子が連続的に通過した場合の測定している電流値の経時変化の様子を模式的に示した図である。
図4図4(a)は、本発明の一実施形態を示す図であり、1つの粒子回収流路102に対して複数の粒子検出部103が並列に設置された場合の態様を示す。図4(b)は、図4(a)の等価回路を示す。
図5図5(a)は、本発明の一実施形態を示す図であり、1つの粒子回収流路102に対して複数の粒子検出部103が並列に設置された場合の態様を示し、複数の粒子検出部103が、流体的に下流側の電極から電圧を印加することで、複数の粒子検出部103間での電気的干渉を低減する態様を示す。図5(b)は、図5(a)の等価回路を示し、複数の粒子回収流路102が独立していることを示す。
図6図6は、本発明の一実施形態を示す図であり、1つの粒子回収流路102に対して複数のアパーチャが並列に設置され、より低コストな装置として利用出来る態様を示す。
図7図7は、中継流路60と電極挿入口59を用いた、より安価に粒子検出部103を作製するための態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し本発明は異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例の例示にのみ限定されるものでは無い。
【0013】
本発明による粒子検出装置の装置構成の一実施例を示す模式図である図1をもとに本発明の実施形態についての詳細を説明する。マイクロチップ10における流路の断面は、流路構造の作製上の容易さから、矩形であることが望ましいが、円形や楕円形、多角形などの断面であってもよく、また部分的に矩形以外の形状であってもよい。また、流路高さは作製の容易さから均一であることが好ましいが、部分的に深さが異なっていてもよい。
【0014】
粒子を含むサンプルは、インレット14から導入され、送液部によって流路下流へと送液され、粒子導入流路101、粒子分離流路110、粒子回収流路102aまたは102b、それぞれ対応する粒子検出部103aまたは103bを通過して、アウトレット104aまたは104bへ流出する。粒子分離流路110において、粒子径に応じて粒子が流体の流れに対して垂直方向へ分離され、分離された粒子が、粒子回収流路102aまたは102bへと流れる。粒子回収流路102aまたは102bを経て到達した粒子検出部103a、103bにおいて、電気的検出が行われる。この時、粒子検出部103a、103bの内部は電解質を含む溶液で満たされ、電極54a、54bにそれぞれ接続された導線55を介して電気測定器56、電源57に接続されている(図7参照)。粒子検出時は、電源57により任意の値の電流が流れており、アパーチャ53を介した閉回路ができている。さらに電気測定器56は解析部61に接続されており、電気測定器56から得られた検出シグナルを解析部で計算し、粒子径分布を作成する。
【0015】
粒子を含むサンプルは、測定対象とする粒子を含んだ流体である。本発明における粒子とは、粒径が1nm~100μm、好ましくは10nm~10μmの範囲にあり、例えば、核酸、タンパク質、小胞、細胞外小胞、無機粉末、金属コロイド、高分子粒子、ウイルス、細胞、細胞塊、タンパク質凝集体などが含まれる。また、本発明における流体は、導電性の流体であり、好ましくは電解質を含む水溶液であるが、導電性のオイルや油を用いることもできる。
【0016】
インレット14は、粒子を含むサンプルを保持できる構造であればよく、凹型構造であることが好ましい。また、材質としては、溶出物が少ない金属やガラス、セラミクスを用いてもよいが、安価に製造するために高分子材料で形成されることが好ましい。粒子導入流路101は、インレット14と、粒子分離流路110との間に形成される。粒子導入流路101は、粒子分離流路110における粒子の分離を補助するために配置されるが、マイクロチップ10を小型化するために省いてもよい。
【0017】
送液部は、シリンジポンプやペリスタポンプ、圧送ポンプ等の圧力勾配により送液させる方法を用いてもよいし、マイクロチップ10の流路断面における不均一な速度分布を抑制するために電気浸透流ポンプを用いてもよい。この場合、ポンプから接続された配管はインレット14へ直接接続することでインレット14内に保持されているサンプルへ圧力を印加することで送液する。また、アウトレットへ配管を介してポンプを接続し、陰圧をかけることによりマイクロチップ10の流路内の流体を吸引させることで送液してもよい。さらに、インレット14の液面を、アウトレット104aまたはアウトレット104bの液面よりも高くすることで、液面差により送液してもよく、この場合送液部は不要となる。より定量的な測定をするためには圧力勾配により粒子を通過させた方が好ましく、脈動がより少ない圧送ポンプで送液する態様が最も好ましい。
【0018】
送液部の流量は、流路の断面積やアパーチャの断面積により任意の値に設定することが好ましく、一例として0.1μL/hourから1mL/hourの間に設定することが好ましい。
【0019】
粒子回収流路102は、測定可能粒子径範囲(ダイナミックレンジ)を拡げる観点で2以上設ける。ここで、粒子検出部103は粒子回収流路102の内部または下流に設けられており、粒子回収流路102へ流入してきた粒子を検出するために用いられる。1つの粒子回収流路102に対して少なくとも1つの粒子検出部103が設けられている必要があり、2以上の粒子検出部103が設けられていてもよい(図2~6)。また 測定可能粒子径範囲を外れる粒子を回収する流路をさらに設けることもできる。1つの粒子回収流路102に対して2以上の粒子検出部103が設けられた態様においては、前記2以上の粒子検出部103は直列に配置されてもよい(図2、3)。例えば、2つの粒子検出部103が直列に配置された場合、2つの粒子検出部103を通過した同一の粒子から生成されたシグナルの間隔から、流路内の粒子の通過速度を算出することができ、粒子の通過速度は回収流路102の流量に一般に比例するため、回収流路内の流体の流量を見積もることが可能となる。この時、図2に示す通り電極に印加する電圧は、上流側のアパーチャ53’の上流側の電極と、下流側のアパーチャ53’’の下流側の電極から印加する態様が好ましい。上流側のアパーチャ53’の下流側の電極54b’または下流側のアパーチャ53’’の上流側の電極54a’’から電圧を印加した場合、前記2つの電極間で電圧降下が生じ、一方のアパーチャの電流値変化が、他方のアパーチャの電流値へと影響を及ぼすため、それらの影響を考慮しながら測定する必要がある。従って、2つまたは2つ以上のアパーチャを含む粒子検出部103を用いる場合、図3に示す通り上流側のアパーチャ53’の上流側の電極54a’と、下流側のアパーチャ53’’の下流側の電極54b’’のみを用いて測定してもよい。なお、図7に示すように、粒子検出流路の上流と下流それぞれへ、中継流路60を介して流体的かつ電気的にアパーチャと接続している電極挿入口59を設け、ここへ電極54を浸漬させることでESZによる粒子検出を行ってもよい。
【0020】
また、1つの粒子回収流路102に対して2つ以上の粒子検出部103が設けられた態様において、前記2以上の粒子検出部103は並列に配置されてもよい(図4~6)。本態様により粒子検出部103の並列化された数に比例して処理量が増加するという優れた効果が得られる。この時、電気的に検出するための電極54は、各アパーチャを挟むように配置され、粒子検出部103の数の2倍あれば測定は可能である。一方で、図6に示したように、各アパーチャに対して上流側に1本、下流側に粒子検出部103の数の分だけ電極を配置した態様でも測定は可能であり、電極の数を減らすことによる低コスト化という観点からは、こちらの態様の方が好ましい。ここで、粒子検出部103を並列化し、各アパーチャへ同時に電圧を印加した場合、各アパーチャを挟むように配置される複数の電極対へ電圧を同時に印加すると、図4(a)に示すように、等価回路は複雑なものとなり、あるアパーチャの電流値変化が、他のアパーチャの電流値へと影響を及ぼすため、それら影響を考慮する必要がある。一方で、図5(a)に示すように、電圧を各アパーチャで個々に印加し、測定しないアパーチャをグラウンド、シャーシへ接続せず、開回路の状態にすることでそれぞれ個別に検出することが可能であり、前述の他のアパーチャへの影響はなくなる。この時、開回路の状態にするために、電極54と電源57の間にスイッチング回路を用いてもよく、リレー方式やフォトモス方式によるもので開回路の状態にしてもよい。粒子検出部103は、測定時に電磁ノイズが極力影響しない測定系を構築する方が好ましく、この点でスイッチング回路には、電磁石を用いるリレー方式よりも、フォトモスセンサーのような光電流を用いた方式の方が好ましい。但し、図5の通り、アパーチャの下流側の電極から上流側へ向けて電圧を印加した場合、あるアパーチャの電流値変化が、他のアパーチャの電流値へと影響を及ぼさないため、本態様を用いてもよい。
【0021】
粒子検出部103は、アパーチャ53と電気検出器とを含む。アパーチャ53は、流路内に形成された流路直径よりも小さい穴を指し、粒子検出流路62とアパーチャ形成構造52により規定される。アパーチャの断面形状は、その製造工程によって種々の形状をとってもよく、エッチングやレーザー照射による加工では円、楕円の形状をとり、フォトリソグラフィーとソフトリソグラフィーによるポリジメチルシロキサン(以下PDMS)等の高分子材料による成形の場合は矩形となる。アパーチャの断面積は、測定する粒子よりも大きければよいが、一般にESZで測定可能な粒子径範囲は、アパーチャ断面積の2~60%といわれているため、流入してくると想定される粒子の大きさに応じて設計する必要がある。また、図2及び3に示すように、2つのアパーチャで粒子検出部103が構成されてもよい。また、図4~6に示すように、複数の粒子検出部を備えることで複数のアパーチャを構成し、それぞれのアパーチャの下流がアウトレットへ接続されており、各アウトレットが電極挿入口59としても機能するようにした構成としてもよい。この場合、アパーチャの体積が凡そ同一であれば各アパーチャから得られるシグナルは凡そ同一となる。すなわち、各アパーチャ上流の回収流路へ流れてきた粒子全てを検出することが可能であり、濃度の定量的な測定という観点で好ましい態様といえる。粒子検出部103の電気検出器は、電極54、電極54に導線55を介して接続される電気測定器56、及び電源57から主に構成される。2つの電極54は、アパーチャ53を挟んで配置される。電気測定器56は、電気的特性を検知するものであればよく、電流測定器、電圧測定器、抵抗測定器、電荷量測定器が挙げられ、ESZの測定においては電流測定器を用いるのが最も好ましい。また、IVアンプを用いて、電流電圧変換後に利得を上げて、微小な電流値変化を検出することが、より微小な粒子を検出する上で好ましい。またアパーチャ内を通過した粒子を取りこぼしなく検出するために、電気測定器56のサンプリング時間間隔は、粒子がアパーチャを通過するのに要する時間よりも十分短いことが好ましく、1秒間に1万回以上サンプリングすることが好ましく、1秒間に2万回以上サンプリングすることがさらに好ましい。
【0022】
解析部61では、測定結果を演算するための演算装置と、測定結果又はそれに由来する演算結果を記録するための記録媒体とを具備することができる。あるいは、これらの演算装置及び記録媒体は、電気測定器56と一体化していてよいし、電気測定器56に対して接続可能な外部装置であってもよい。記録媒体に記録されるデータには、サンプリングした電流値と、粒子が通過した際に発生する電流値変化、またその電流値変化から算出される粒子径、粒子数、粒子濃度、検出時間又は測定開始時からの経過時間が含まれる。
【0023】
粒子分離流路110で用いる分離手法において、DLD、ディーン力または慣性力による粒子分離の原理を用いる場合、粒子導入流路101は少なくとも1本が必要であり、より安定した分離を行うために複数本導入し、そのうちの1つから粒子を含むサンプルを導入し、残りの粒子導入流路101から粒子を含まない流体を導入させてもよい。
【0024】
粒子分離流路110で用いる分離手法において、電場による粒子分離を行う場合、分離流路内に、流体の流れに対して垂直方向に一対の電極を配置した流路構造とすることが好ましい。この時、粒子はその大きさだけでなく、流体中での表面電荷も分離の要素に入るため、粒子回収流路102内またはその下流の粒子検出部103はそれを考慮した設計とする必要がある。
【0025】
粒子分離流路110で用いる分離手法において、磁場による粒子分離を行う場合、分離流路内または分離流路外に、流体の流れに対して垂直方向に一対の磁場発生部品、また磁場発生装置を配置する構成とすることが好ましい。この時、粒子はその大きさだけでなく、粒子の磁性も分離の要素に入るため、粒子回収流路102内またはその下流の粒子検出部103はそれを考慮した設計とする必要がある。
【0026】
粒子分離流路110で用いる分離手法において、音響泳動による粒子分離を行う場合、分離流路内または分離流路外に、流体の流れに対して垂直方向に一対の音響トランスデューサ―を配置した流路構造とすることが好ましい。この時、粒子はその大きさだけでなく、粒子の剛性や密度も分離の要素に入るため、粒子回収流路102内またはその下流の粒子検出部103はそれを考慮した設計とする必要がある。
【符号の説明】
【0027】
10 マイクロチップ
11 基板
14 インレット
50 粒子
51 粒子の流れる方向
52 アパーチャ形成構造
53 アパーチャ
54、54a、54b 電極
55 導線
56 電気測定器
57 電源
58 導電性溶液
59 電極挿入口
60 中継流路
61 解析部
62 粒子検出流路
100 流体
101 粒子導入流路
102 粒子回収流路
103 粒子検出部
104 アウトレット
110 粒子分離流路
190 拡大領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7