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特許7004090接着剤、積層フィルム、及び積層フィルムの製造方法
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  • 特許-接着剤、積層フィルム、及び積層フィルムの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】接着剤、積層フィルム、及び積層フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/08 20060101AFI20220114BHJP
   C09J 175/02 20060101ALI20220114BHJP
   C09J 5/04 20060101ALI20220114BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20220114BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20220114BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
C09J175/08
C09J175/02
C09J5/04
B32B27/00 D
B32B27/40
B65D65/40 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020561506
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 JP2019049801
(87)【国際公開番号】W WO2020130073
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2018239597
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】冨田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】本間 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 茂和
【審査官】澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0225617(US,A1)
【文献】国際公開第2018/059544(WO,A1)
【文献】特開2003-171643(JP,A)
【文献】特開昭57-207667(JP,A)
【文献】特表2014-522426(JP,A)
【文献】特開2007-262176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
B32B 27/00
B32B 27/40
B65D 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルポリオールと芳香族ポリイソシアネートとの反応生成物を含むポリイソシアネート(A)を含有するポリイソシアネート組成物(X)と、ひまし油およびポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y)を必須成分とする2液硬化型接着剤であって、
(1)2枚の膜厚50μmのコロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム間に、前記2液硬化型接着剤を、面積が10±0.5mm、塗布量が1.0g/mとなるよう設け、圧着後25℃に保った状態で30分経過した時の引張りせん断接着強さ(N1)が0.5N/平方cm以上であり、
(2)前記引張りせん断接着強さ(N1)は、2枚の膜厚50μmのコロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム間に、前記2液硬化型接着剤を、面積が10±0.5mm、塗布量が1.0g/mとなるよう設け、圧着後25℃に保った状態で10分経過した時の引張りせん断接着強さ(N2)の3倍以下であり、
(3)2枚の膜厚50μmのコロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム間に、前記2液硬化型接着剤を、面積が10±0.5mm、塗布量が1.0g/mとなるよう設け、圧着後25℃に保った状態で5時間経過した時の引張りせん断接着強さ(N3)は20N/平方cm以上である、2液硬化型接着剤。
【請求項2】
前記ポリアミン(C)が有するアミノ基と前記ポリオール(B)が有する水酸基とのモル比[アミノ基/水酸基]が0.001~2.0である請求項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項3】
前記ポリアミン(C)がポリエーテル構造を有する請求項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項4】
前記ポリオール(B)がひまし油、脱水ひまし油、ひまし油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ひまし油のアルキレンオキサイド5~50モル付加体等のひまし油系ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1~3のいずれか一項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項5】
前記ポリオール(B)が複数の水酸基を有する3級アミン化合物を含む請求項1~4のいずれか一項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項6】
無溶剤型である請求項1~5のいずれか一項に記載の2液硬化型接着剤。
【請求項7】
一方の基材に塗布されたポリエーテルポリオールと芳香族ポリイソシアネートとの反応生成物を含むポリイソシアネート(A)を含むポリイソシアネート組成物(X)と、他方の基材に塗布されたひまし油およびポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも一種を含むポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y1)とが接触して圧着する2液分別塗布工程を有することを特徴とする積層フィルムの製造方法であって、
(1)2枚の膜厚50μmのコロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム間に、前記2液硬化型接着剤を、面積が10±0.5mm、塗布量が1.0g/mとなるよう設け、圧着後25℃に保った状態で30分経過した時の引張りせん断接着強さ(N1)が0.5N/平方cm以上であり、
(2)前記引張りせん断接着強さ(N1)は、2枚の膜厚50μmのコロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム間に、前記2液硬化型接着剤を、面積が10±0.5mm、塗布量が1.0g/mとなるよう設け、圧着後25℃に保った状態で10分経過した時の引張りせん断接着強さ(N2)の3倍以下であり、
(3)2枚の膜厚50μmのコロナ処理ポリエチレンテレフタレートフィルム間に、前記2液硬化型接着剤を、面積が10±0.5mm、塗布量が1.0g/mとなるよう設け、圧着後25℃に保った状態で5時間経過した時の引張りせん断接着強さ(N3)は20N/平方cm以上である、製造方法。
【請求項8】
第一の基材フィルムと第二の基材フィルムとの間に硬化された接着剤を有する積層フィルムであって、前記接着剤層が請求項1~6のいずれかに記載の2液硬化型接着剤の層であることを特徴とする積層フィルム。
【請求項9】
第一の基材フィルムと第二の基材フィルムとの間に硬化された接着剤を有する積層フィルムを袋状に成形してなる包装体であって、前記接着剤層が請求項1~6のいずれかに記載の2液硬化型接着剤の層であることを特徴とする包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2液型接着剤及び該接着剤を用いて各種フィルムをラミネートしてなる積層フィルムに関する。更に詳しくは、無溶剤で使用でき、各種プラスチックフィルム、金属蒸着フィルム、アルミニウム箔等をラミネートして、主として食品、医薬品、洗剤等の包装材料に使用する積層フィルムを製造する際に用いるラミネート用接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂は、基材との密着性や柔軟性に優れる点から軟包装材用ラミネート接着剤として広く使用されており、ポリイソシアネートとポリオールの反応から形成されるウレタン樹脂系接着剤により貼り合されたラミネートフィルムは、食品、医薬品、洗剤等の包装材料として用いられている。
【0003】
一般的に軟包装材用ラミネート接着剤としては、ポリイソシアネート組成物とポリオール組成物を混合し塗工する2液硬化型接着剤が用いられており、中でも、有機溶剤に溶解した接着剤をフィルムに塗工し、オーブンを通過する過程で有機溶剤を揮発させ、別のフィルムを貼り合わせるドライラミネート方式の2液硬化型接着剤が多く用いられる。しかし近年、環境負荷の低減および作業環境の改善の観点から、有機溶剤を使わず加温により接着剤を減粘させフィルムに塗工する無溶剤型ラミネート方式への転換が求められており、それに対応する無溶剤型の2液硬化型接着剤の需要が高まっている。
【0004】
無溶剤型の2液硬化型接着剤は、ラミネート後に、ポリイソシアネート組成物とポリオール組成物の硬化反応を進行させ貼りあわせたフィルムを固着させるために、エージング工程を必要とする。エージングの温度や時間は使用する接着剤にもよるが、通常30~50℃で1~5日間行われている。環境負荷の低減およびエネルギーコスト削減の観点からみれば、エージング工程は、より低温度かつ短時間へと改善が求められており、常温(25℃前後)且つ短いエージング時間(24時間以下)でも製袋工程で問題のない十分な接着強度が得られるラミネート接着剤が求められている。
【0005】
またラミネート接着剤は硬化後の接着剤の塗膜中に気泡が残存することで外観不良が起こるが、特に無溶剤型ラミネート方式はこの問題が起こり易い。気泡の発生原因としては、接着剤を塗工する際に抱き込む気泡やポリイソシアネート組成物と空気中の水分の反応で発生する炭酸ガスが挙げられる。貼り合せ直後では加温で減粘させる無溶剤型ラミネート方式の接着剤は、従来のドライラミネート方式の接着剤と比較して分子量を低く設計する必要があり、そのため、フィルム同士を貼りあわせた際の接着剤層の凝集力が小さく、反応過程で発生するガス同士が容易に集まり成長することで外観不良が発生し易い。
【0006】
また接着剤を用いてラミネートされた積層フィルムは500m~8000mの長さをロールに巻き取るため、ロールの内側の積層フィルムは外側から受ける圧力により積層フィルムが変形してしわ状の加工不良が発生する。特に無溶剤型接着剤はラミネート直後から5、6時間までは接着剤が十分に硬化していないため凝集力が低く、圧力が徐々に加わることでフィルム同士がずれることでしわが顕著に発生する。
【0007】
即ち環境負荷の低減および作業環境の改善に有利な無溶剤型の2液硬化型接着剤は、25℃前後の短エージングによる更なる環境負荷低減が期待される一方で、加工外観や加工性が劣るために、普及を阻害する結果となっている。
【0008】
無溶剤型の2液硬化型接着剤において、25℃前後の短時間エージングで接着強度を発現しうる方法として、分子両末端にイソシアネート基を有する化合物を主成分とする常温で液状の無溶剤型A剤と、分子両末端にアミノ基を有する化合物を主成分とする常温で液状の無溶剤型B剤とを組み合わせた二液分別塗布型ウレタン系接着剤が知られている(たとえば特許文献1参照)。
しかし本二液分別塗布型ウレタン系接着剤は、イソシアネート基とアミノ基とが常温で瞬間的に反応するため、前述のラミネート工程中に混入した気泡が系外に抜ける前に硬化してしまい、結果的に所望の加工外観が得られにくいといった問題があった。
【0009】
また、分子両末端にイソシアネート基を有する化合物を主成分とする常温で液状の無溶剤型A剤と、分子両末端にアミノ基を有する化合物、分子内に3級アミンを有する化合物および粘着性付与樹脂を含有してなる常温で液状の無溶剤型B剤を組み合わせることや(例えば特許文献2参照)、分子両末端にイソシアネート基を有する化合物を主成分とする常温で液状の無溶剤型A剤と、分子内に水酸基を有する化合物を主成分とし、さらに3級アミン化合物および/または有機錫化合物等の反応触媒を含有してなる常温で液状の無溶剤型B剤とを組み合わせる(例えば特許文献3参照)も知られている。しかし、反応触媒はポリイソシアネート組成物と水との反応も促進するためガスが過剰に発生する。また加工直後は気泡の凝集を抑制できるほどの凝集力を得るまでには至らず、結果として所望の加工外観が得られにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2003-171642号公報
【文献】特開2003-171641号公報
【文献】特開2003-171643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、常温(25℃前後)かつ12時間の短エージングであっても優れた接着強度を発現しつつ、加工外観と加工性が優れる無溶剤型の2液型接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、特定の条件を満たす2液硬化型接着剤が、25℃前後での12時間エージングでも優れた接着強度、加工外観、加工適性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち本発明は、ポリイソシアネート(A)を含有するポリイソシアネート組成物(X)と、ポリオール(B)を含有する樹脂組成物(Y)を必須成分とする2液硬化型接着剤であって、(1)~(3)を満たす2液硬化型接着剤を提供する。
(1)2つの基材間に設けられ圧着後30分経過した時の引張りせん断接着強さ(N1)が0.5N/平方cm以上である。
(2)2つの基材間に設けられ圧着後30分経過した時の引張りせん断接着強さ(N1)は、圧着後10分経過した時の引張りせん断接着強さ(N2)の3倍以下である。
(3)2つの基材間に設けられ圧着後5時間経過した時の引張りせん断接着強さ(N3)は20N/平方cm以上である。
【0014】
また本発明は、ポリイソシアネート(A)を含有するポリイソシアネート組成物(X)と、ポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y1)とを必須成分とする2液硬化型接着剤を提供する。
【0015】
また本発明は、一方の基材に塗布されたポリイソシアネート(A)を含むポリイソシアネート組成物(X)と、他方の基材に塗布されたポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y1)とが接触して圧着する2液分別塗布工程を有する積層フィルムの製造方法を提供する。
【0016】
また本発明は、第一の基材フィルムと第二の基材フィルムとの間に硬化された接着剤を有する積層フィルムであって、前記接着剤層が前記記載の反応型接着剤の層であることを特徴とする積層フィルムを提供する。
【0017】
また本発明は、第一の基材フィルムと第二の基材フィルムとの間に硬化された接着剤を有する積層フィルムを袋状に成形してなる包装体であって、前記接着剤層が前記記載の反応型接着剤の層である包装体を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の無溶剤型の2液型接着剤は、25℃前後での12時間エージングで優れた接着強度を発現する為、該接着剤を使用した積層フィルムは生産性に優れ、加工外観、加工適性に優れるため加工後の不良率を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(引張りせん断接着強さ)
本発明における引張りせん断接着強さについて説明する。
図1は、引張りせん断接着強さの測定用試料である積層フィルムの形状である。図1において1は積層フィルムを横部からみた図であり、2は上部からみた図である。2つの基材3と4には、厚さ50μmのコロナ処理ポリエチレンテレフタレート(以後PETと称する場合がある)フィルムを使用する。2つの基材3と4の間に設けられた2液硬化型接着剤の接着部分5は、その面積が10mmとなるようにするが、誤差範囲として±0.5mmは許容とする。2液硬化型接着剤の該部分5への塗布量は1.0g/mである。
【0020】
2液硬化型接着剤の接着部分5への塗布方法は、以下のいずれかの方法で行う。
(方法1)ポリイソシアネート(A)を含有するポリイソシアネート組成物(X)と、ポリオール(B)を含有する樹脂組成物(Y)とを予め混合後、基材3か4のいずれか一方に塗布し、他方の基材を重ね合わせ圧着する。
(方法2)基材3か4のいずれか一方にポリイソシアネート(A)を含むポリイソシアネート組成物(X)を塗布し、他方の基材にポリオール(B)を含有する樹脂組成物(Y)を塗布した後、組成物(X)と組成物(Y)とが接触するように重ね合わせカレンダーロールやニップロール等で圧着する。
圧着する条件は、通常のラミネート方法で採用される条件でよいが、概ね圧力が3~800kg/cm程度で圧着する。
【0021】
前記圧着し保持温度を約25℃に保った状態で所定の時間経過後、一方の基材側6(図1においては基材3)をクランプ等で保持し、もう一方の基材側を、引張り速度5mm/minで、矢印7の方向に引っ張り、接着部分5の接着強さを測定する。本発明においては、引っ張り試験機として島津製作所社製のオートグラフAGS-Fを使用し、積層フィルム作製直後、5分後、10分後、20分後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後、5時間後で実施した。
【0022】
本発明で採用した引張りせん断接着強さは、実際に2つの基材間に保持された接着剤の凝集力を直接測定することが可能である。一般的に本発明の2液硬化型接着剤のようにイソシアネート基を有する接着剤は、薄膜状態では水分の影響を受け易いが、本発明における引張りせん断接着強さは、水分の影響をできるだけ少ない状態で接着剤の挙動を正確に測定できる。
【0023】
本発明の2液硬化型接着剤は、前記測定方法により測定した引張りせん断接着強さが、次の(1)~(3)を満たすような接着剤であれば、特に限定なく使用できる。中でも樹脂組成物(Y)が、ポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y1)である2液硬化型接着剤が特に好ましい。
(1)2つの基材間に設けられ圧着後30分経過した時の引張りせん断接着強さ(N1)が0.5N/平方cm以上である。
(2)2つの基材間に設けられ圧着後30分経過した時の引張りせん断接着強さ(N1)は、圧着後10分経過した時の引張りせん断接着強さ(N2)の3倍以下である。
(3)2つの基材間に設けられ圧着後5時間経過した時の引張りせん断接着強さ(N3)は20N/平方cm以上である。
【0024】
このような引張りせん断接着強さを有する本発明の2液硬化型接着剤が常温で12時間後の接着強度、加工外観、加工適性に優れる理由は定かではないが、特にポリイソシアネート組成物(X)とポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y1)との組み合わせである2液硬化型接着剤の場合は、次のように推定している。
【0025】
ポリアミン(C)即ちアミン化合物は、ポリイソシアネート(A)即ちイソシアネート化合物に対する反応性が著しく高く、瞬時に反応する。即ち、前記ポリイソシアネート(A)を含有するポリイソシアネート組成物(X)と前記ポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y1)とが接触した際、ポリアミン(C)のアミノ基はポリイソシアネート(A)のイソシアネート基と選択的に反応し、接着剤の凝集力を瞬時に増加させる。これにより積層フィルムの引張りせん断接着強さを向上させ、30分後、0.5N以上に到達する。その結果、加工時に咬み込んだ微小な気泡や、水分との反応により発生する炭酸ガスの凝集成長を抑制することができるため、気泡を微小なサイズに留めておくことができる。
【0026】
次にアミノ基が全て反応した後は、イソシアネート基と樹脂組成物(Y1)が有するポリオール(B)の水酸基が比較的穏やかに反応が進行する。これにより凝集力の上昇速度も穏やかになり、10分後から30分後にかけての引張りせん断接着強さの差が3倍以下となる。結果として加工時に咬み込んだ微小な気泡が系外に離脱し、接着剤塗膜が平滑な状態にレベリングできる適性な凝集力を一定時間維持することができる。
【0027】
もし引張りせん断接着強さが30分後で0.5N/平方cmに満たない場合、気泡の凝集を抑制できず、成長した気泡が外観不良の原因となる。また、30分後の引張りせん断接着強さが10分後の3倍以上となると凝集力が高くなりすぎて脱泡、レベリングすることが難しくなるため気泡が残存し外観不良が発生し易くなる。即ち、気泡の凝集抑制と脱泡およびレベリングが両立できる適性な凝集力が早期に発現し、かつ、その凝集力を維持することでエージング後に実用性のある加工外観を実現することができる。
【0028】
次にイソシアネート基と水酸基との反応が十分に進行し接着剤の凝集力が更に向上する。結果として5時間後の引張りせん断接着強さが20N/平方cm以上に到達する。これによりロール状に巻き取られた積層フィルムの内側でも、外側からの圧力によるフィルム同士のずれを防ぐことができるため、しわ状の加工不良を軽減した優れた加工適性を発現する。もし5時間後に20N/平方cmに到達しない場合、フィルム同士のずれを防ぐことができないためしわ状の加工不良が顕著に発生する。
【0029】
また5時間後に引張りせん断接着強さ20N/平方cm以上を達成するためには、ポリイソシアネート組成物(X)と樹脂組成物(Y1)の各成分が、硬化中の塗膜中で凝集、ゲル化することなく均一に拡散し、常温25℃前後における優れた硬化性を発現する必要がある。結果としてそのような接着剤は、常温25℃前後で12時間後に実用に耐えうる十分な接着強度を発現することができる。
一方、5時間後における引張りせん断接着強さが20N/平方cmに達しない場合には、硬化性が劣るか、反応性が早すぎて接着剤が凝集してしまうことにより、12時間後に十分な接着強度を得ることができないと推定される。
【0030】
(2液硬化型接着剤)
本発明の2液硬化型接着剤の好ましい態様である、ポリイソシアネート(A)を含有するポリイソシアネート組成物(X)と、ポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する組成物(Y1)を必須成分とする2液硬化型接着剤について説明する。
【0031】
(ポリイソシアネート(A))
本発明で使用するポリイソシアネート(A)は、特に限定なく公知のものが使用出来る。例えば、トリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下ジフェニルメタンジイソシアネートを単にMDIと記載する場合がある)、2,2’-MDI、4,4’-MDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのイソシアネート基(以下NCO基と称する場合がある)の一部をカルボジイミドで変性した化合物;キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;これらのポリイソシアネートに由来するイソシアヌレート体;これらのポリイソシアネートに由来するアロファネート体;これらのポリイソシアネートに由来するビゥレット体;これらのポリイソシアネートをトリメチロールプロパン変性したアダクト体;前記した各種のポリイソシアネートとポリオール成分との反応生成物であるポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0032】
上述の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートと反応させるポリオール成分としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の鎖状脂肪族グリコール;
【0033】
1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;
ダイマージオール;
【0034】
前記グリコール、3官能又は4官能の脂肪族アルコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール;プロピオラクトン、ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトン、β-メチル-σ-バレロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステルと、前記グリコール又は3官能若しくは4官能の脂肪族アルコールとの反応物であるポリエステルポリオール(1);
【0035】
前記鎖状脂肪族グリコール、脂環式グリコール、ダイマージオール、ビスフェノール又は前記ポリエーテルポリオール等のポリオールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(2);
前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(3);
前記鎖状脂肪族グリコール、脂環式グリコール、ダイマージオール、ビスフェノール又は前記ポリエーテルポリオール等のポリオールと、前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(4);
【0036】
ジメチロールプロピオン酸、ひまし油脂肪酸等のヒドロキシ酸の重合体である、ポリエステルポリオール(5);
ひまし油、脱水ひまし油、ひまし油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ひまし油のアルキレンオキサイド5~50モル付加体等のひまし油系ポリオール等、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0037】
ここで、前記ポリエステルポリオール(2)、(3)又は(4)の製造に用いられる多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸等の非環状脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸等の芳香族系ジカルボン酸;これら脂肪族又は芳香族ジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類が挙げられる。
【0038】
これらのポリオール成分のなかでも、特に、前記ポリエーテルポリオールを必須成分とし、これを前記ポリイソシアネートと反応させることにより得られるポリイソシアネートが濡れ性の点から好ましい。さらにポリイソシアネート(A)の粘度が低く、低温での取り扱いが容易となることからポリプロピレン骨格を有するポリオールであることが好ましい。
【0039】
また硬化後の塗膜の柔軟性の観点から、数平均分子量(Mn)が300~5,000、より好ましくは350~3,000のポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。なお、本願発明において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
【0040】
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC-8320GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSKgel 4000HXL、TSKgel 3000HXL、TSKgel 2000HXL、TSKgel 1000HXL
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC-8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 0.35ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.2質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0041】
ポリオール成分に占める数平均分子量(Mn)が300~5,000のポリエーテルポリオールの割合は、一例として50質量%以上であることが好ましい。ポリオール成分の全量がこのようなポリエーテルポリオールであってもよい。
【0042】
後述するポリアミン(C)との反応性に優れ、圧着後30分経過した時の引張せん断接着強さ(N1)を0.5N/平方cm以上に調整しやすいことから、ポリエーテルポリオールと反応させるポリイソシアネートは芳香族ポリイソシアネートを含むことが好ましい。芳香族ポリイソシアネートの配合量については引張せん断接着強さ(N1)~(N3)が上述した(1)~(3)を満たすよう適宜調整すればよいが、一例としてポリオール成分と反応させるポリイソシアネート100質量部のうち芳香族ポリイソシアネートの割合が40質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。上限については特に制限されないが、保存安定性の観点から95質量部以下であることが好ましく90質量部以下であることがより好ましい。また、保存安定性の観点から脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートの誘導体の少なくとも一種を、芳香族ポリイソシアネートと併用することが好ましい。
【0043】
ここで、前記したポリイソシアネートとポリオール成分との反応割合は、イソシアネート基とポリオール成分中の水酸基との当量比[イソシアネート基/水酸基]が1.5~5.0の範囲であることが、接着剤の粘度が適正範囲となって塗工性が良好となる点、あるいは接着剤塗膜の凝集力の点から好ましい。
【0044】
上記したポリイソシアネート(A)は重量平均分子量(Mw)が300~10,000の範囲であることが、エージング時間を短くしつつ、適正な実包性を確保できる点から好ましく、500~5,000の範囲であることがなお好ましい。
【0045】
また滴定法(ジ-n-ブチルアミン使用)によるイソシアネート含有率が、5~20質量%のものが、適正な樹脂粘度となって塗工性に優れる点から好ましい。
【0046】
(ポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する組成物(Y))
本発明において組成物(Y)は、ポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する。
【0047】
(ポリオール(B))
本発明において使用するポリオール(B)は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール等のグリコール;
【0048】
グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等のビスフェノール;
ダイマージオール;
前記グリコール、3官能又は4官能の脂肪族アルコール等の重合開始剤の存在下にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロヘキシレン等のアルキレンオキシドを付加重合したポリエーテルポリオール;該ポリエーテルポリオールを更に前記芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートで高分子量化したポリエーテルウレタンポリオール;
【0049】
プロピオラクトン、ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトン、β-メチル-σ-バレロラクトン等の環状エステル化合物の開環重合反応によって得られるポリエステルと前記グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとの反応物であるポリエステルポリオール(1);
前記グリコール、ダイマージオール、又は前記ビスフェノール等の2官能型ポリオールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(2);
前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(3);
2官能型ポリオールと、前記3官能又は4官能の脂肪族アルコールと、多価カルボン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(4);
【0050】
ジメチロールプロピオン酸、ひまし油脂肪酸等のヒドロキシ酸の重合体である、ポリエステルポリオール(5);
前記ポリエステルポリオール(1)~(5)と前記ポリエーテルポリオールと芳香族若しくは脂肪族ポリイソシアネートとを反応させて得られるポリエステルポリエーテルポリオール;前記ポリエステルポリオール(1)~(5)を芳香族若しくは脂肪族ポリイソシアネートで高分子量化して得られるポリエステルポリウレタンポリオール;
ひまし油、脱水ひまし油、ひまし油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ひまし油のアルキレンオキサイド5~50モル付加体等のひまし油系ポリオール等、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0051】
ここで、多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;及びこれら脂肪族又はジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類が挙げられる。
【0052】
また複数の水酸基を有する3級アミン化合物もポリオール(B)として使用することができる。複数の水酸基を有する3級アミン化合物において、水酸基は2つ以上有することが必須であり、2~6個有することが好ましい。また3級アミノ基は1つ以上有しておればよいが、好ましくは1~2個有していることが好ましい。具体的には、ポリプロピレングリコールエチレンジアミンエーテル、トリ(1,2-ポリプロピレングリコール)アミン、N-エチルジエタノールアミン、N-メチル-N-ヒドロキシエチル-N-ヒドロキシエトキシエチルアミン、ペンタキスヒドロキシプロピルジエチレントリアミン、テトラキスヒドロキシプロピルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0053】
複数の水酸基を有する3級アミン化合物(A)は、市販品を使用してもよい。市販品としては株式会社ADEKA製のEDP300、国都化工社製のED-500やTE-360等が挙げられる。
【0054】
ポリオール(B)はこれらの化合物を単独もしくは複数を組み合わせて用いることができる。無溶剤型の2液型接着剤として用いる場合に、40~50℃程度でも塗工可能な程度に減粘し、シリカやアルミナ等の金属酸化物や、アルミニウム等の金属とフィルムとの接着強度にも優れることからポリオール(B)がポリエーテル骨格、特にポリプロピレン骨格を有するポリオールを含むことが好ましい。塗工適性の観点からポリオール(B)全量に対してポリエーテル骨格を有するポリオールの含有量が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。上限については特に制限されず、ポリオール(B)の全量がポリエーテルポリオールであってもよいが、初期凝集力の観点からは95質量%以下であることが好ましい。
【0055】
また、ポリオール(B)は初期凝集力や塗工適性の観点からひまし油、脱水ひまし油、ひまし油の水素添加物であるヒマシ硬化油、ひまし油のアルキレンオキサイド5~50モル付加体等のひまし油系ポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの化合物はポリオール(B)全量に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また上限については特に制限されずポリオール(B)の全量がひまし油であってもよいが、塗工適性の観点からは95質量%以下であることが好ましい。
【0056】
ポリオール(B)は反応性の高い低分子量のポリオール(常温で液体、分子量が150以下程度のもの)を含んでいてもよい。このような低分子量のポリオールはポリイソシアネート(A)との反応が早く、圧着後30分経過した時の引張せん断接着強さ(N1)を所望の範囲に調整する手段の一つとなり得る。一方で、低分子量のポリオールの配合量を多量の用いると、ポリイソシアネート(A)との反応が早くなりすぎるおそれがあるため、ポリオール(B)の5質量%以下、より好ましくは3質量%以下に留めることが好ましい。
【0057】
ポリオール(B)が複数の水酸基を有する3級アミン化合物を含む場合、ポリオール(B)における3級アミン化合物以外のポリオールと3級アミン化合物との配合割合(質量比)は、100/5~100/70であることが好ましく、100/10~100/70であることがより好ましい。
【0058】
使用するポリオール(B)の重量平均分子量(Mw)は400~5000が接着剤の粘度が適正範囲となって塗工性が良好となる点、あるいは接着剤塗膜の凝集力の点から好ましい。
【0059】
ポリオール(B)の水酸基価は50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることがより好ましい。なおポリオール(B)の水酸基価はJIS-K0070に記載の水酸基価測定方法にて測定することができる。
【0060】
(ポリアミン(C))
本発明で使用するポリアミン(C)は、特に限定なく公知のものが使用出来るが、塗膜の強靭さを保つために分子内にアミノ基(NH基、NHR基)を2つ以上有する化合物が望ましい。そのような化合物としては、例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、3,9-ジプロパンアミン-2,4,8,10-テトラオキサスピロドウンデカン、リシン、フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4- ジアミン、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、又はジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ポリ(プロピレングリコール)ジアミン、ポリ(プロピレングリコール)トリアミン、ポリ(プロピレングリコール)テトラアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、
【0061】
1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン等、ベンジルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ノナエチレンデカミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2-アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3-ビス(2’-アミノエチルアミノ)プロパン、トリエチレン-ビス(トリメチレン)ヘキサミン、ビス(3-アミノエチル)アミン、ビスヘキサメチレントリアミン等、1,4-シクロヘキサンジアミン、4,4’-メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4’-イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナジアミン、
【0062】
ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン等、ビス(アミノアルキル)ベンゼン、ビス(アミノアルキル)ナフタレン、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,4’-ジアミノビフェニル、2,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノエチル)ナフタレン等、N-メチルピペラジン、モルホリン、1,4-ビス-(8-アミノプロピル)-ピペラジン、ピペラジン-1,4-ジアザシクロヘプタン、1-(2’-アミノエチルピペラジン)、1-[2’-(2”-アミノエチルアミノ)エチル]ピペラジン、トリシクロデカンジアミン、前記した各種のポリアミンと前記した各種のイソシアネート成分との反応生成物であるポリウレアアミンなどが挙げられる。
これらの分子内にアミノ基を有する化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上を併用しても良い。また、塗膜の柔軟性を保つために主鎖にポリエーテル構造を有するポリエーテルアミンが好ましい。
【0063】
前記化合物(C)は、市販品を使用してもよい。市販品としてはBASF社製のEC-310、EC-303等が挙げられる。
【0064】
ここで、前記ポリイソシアネート組成物(X)のイソシアネート基と、前記組成物(Y1)の官能基のモル比[イソシアネート基/(水酸基+アミノ基)]は、0.5~5.0であることが望ましく、また加工性、加工外観、接着性能の観点で1.0~3.0の範囲が更に望ましい。
【0065】
また前記組成物(Y1)において、前記ポリオール(B)とポリアミン(C)の適性量は、ポリアミン(C)由来のアミノ基とポリオール(B)由来の水酸基とのモル比[アミノ基/水酸基]が0.001~2.0であることが望ましく、前述の接着強度と加工外観と加工性の実用性を両立させる観点で、0.1~2.0の範囲がより好ましく、0.1~1.0の範囲が更に望ましい。この官能基のモル比が少なすぎると加工性が悪化し、多すぎると接着強度が悪化する傾向がある。
【0066】
(触媒)
本発明では2液硬化型接着剤に触媒を使用することにより、積層フィルムからの芳香族アミンに代表される有害な低分子化学物質の内容物への溶出を効果的に抑制できる。本発明で使用する触媒は、ウレタン化反応を促進するためのものであれば特に制限はないが、例えば、金属系触媒、有機金属系触媒、アミン系触媒、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、脂肪族環状アミド化合物、チタンキレート錯体等の触媒を用いることができる。
【0067】
金属系触媒としては、金属錯体系、無機金属系、有機金属系を挙げることができ、金属錯体系として具体的には、Fe(鉄)、Mn(マンガン)、Cu(銅)、Zr(ジルコニウム)、Th(トリウム)、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)及びCo(コバルト)からなる群より選ばれる金属のアセチルアセトナート塩であり、例えば、鉄アセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、ジルコニアアセチルアセトネート等が挙げられるが、これらのうち、毒性と触媒活性の点から、鉄アセチルアセトネート(Fe(acac))又はマンガンアセチルアセトネート(Mn(acac))が好ましい。
【0068】
有機金属系触媒としては、スタナスジアセテート、スタナスジオクトエート、スタナスジオレエート、スタナスジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等が挙げられる。これらのうち好ましい化合物としては有機錫触媒であり、更に好ましくはスタナスジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ネオデカン酸ビスマス、ネオデカン酸亜鉛もしくはこれらの混合物である。
【0069】
アミン系触媒は、例えば、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、キヌクリジン、2-メチルキヌクリジン等が挙げられる。これらの中でも、触媒活性に優れ工業的に入手可能なことからトリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミンが好ましい。
【0070】
その他の第3級アミン触媒としては、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチル-(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N-ジメチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、3-キヌクリジノール、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、N-メチル-N’-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N,N-ジメチルヘキサノールアミン、N-メチル-N’-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルイミダゾール、1-(2-ヒドロキシプロピル)-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0071】
脂肪族環状アミド化合物は、例えば、δ-バレロラクタム、ε-カプロラクタム、ω-エナント-ルラクタム、η-カプリルラクタム、β-プロピオラクタム等が挙げられる。これらの中でもε-カプロラクタムが硬化促進により効果的である。
【0072】
触媒の添加量は、特に制限なく公知の使用量とすることができるが、一般的には2液硬化型接着剤の全固形分に対し0.001~5.0質量%の割合である。
【0073】
(溶剤)
本発明の2液硬化型接着剤は、イソシアネート基とアミノ基、水酸基との化学反応によって硬化する接着剤であり、無溶剤型の接着剤として使用することができる。なお本発明でいう無溶剤型の接着剤の「溶剤」とは、本発明で使用するポリイソシアネート組成物(X)または樹脂組成物(Y)や(Y1)を溶解することの可能な、溶解性の高い有機溶剤を指し、「無溶剤」とは、これらの溶解性の高い有機溶剤を含まないことを指す。溶解性の高い有機溶剤とは、具体的には、トルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。中でもトルエン、キシレン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチルは特に溶解性の高い有機溶剤として知られている。
【0074】
一方本発明の2液硬化型接着剤は、低粘度等の要求がある場合には、所望の粘度に応じて適宜前記溶解性の高い有機溶剤で希釈しドライラミネート用の接着剤として使用してもよい。その場合は、ポリイソシアネート組成物(X)または樹脂組成物(Y)や(Y1)のいずれか1つを希釈してもよいし両方を希釈してもよい。このような場合に使用する有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも溶解性の点から酢酸エチルやメチルエチルケトン(MEK)が好ましく、特に酢酸エチルが好ましい。有機溶剤の使用量は所要される粘度によるが概ね20~50質量%の範囲で使用することが多い。
【0075】
本発明の2液硬化型接着剤は、必要に応じて、顔料を併用してもよい。この場合使用可能な顔料としては、特に限定されるものではなく、例えば、塗料原料便覧1970年度版(日本塗料工業会編)に記載されている体質顔料、白顔料、黒顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、緑色顔料、青顔料、金属粉顔料、発光顔料、真珠色顔料等の有機顔料や無機顔料、さらにはプラスチック顔料などが挙げられる。
【0076】
これら着色剤の具体例としては種々のものが掲げられ、有機顔料としては、例えば、ベンチジンエロー、ハンザエロー、レーキッド4R等の、各種の不溶性アゾ顔料;レーキッドC、カーミン6B、ボルドー10等の溶性アゾ顔料;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の各種(銅)フタロシアニン系顔料;ローダミンレーキ、メチルバイオレットレーキ等の各種の塩素性染め付けレーキ;キノリンレーキ、ファストスカイブルー等の各種の媒染染料系顔料;アンスラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料等の各種の建染染料系顔料;シンカシアレッドB等の各種のキナクリドン系顔料;ヂオキサジンバイオレット等の各種のヂオキサジン系顔料;クロモフタール等の各種の縮合アゾ顔料;アニリンブラックなどが挙げられる。
【0077】
無機顔料としては、例えば、黄鉛、ジンククロメート、モリブデートオレンジ等の如き、各種のクロム酸塩;紺青等の各種のフェロシアン化合物;酸化チタン、亜鉛華、マピコエロー、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロームグリーン、酸化ジルコニウム等の各種の金属酸化物;カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化水銀等の各種の硫化物ないしはセレン化物;硫酸バリウム、硫酸鉛等の各種の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、群青等の各種のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の各種の炭酸塩;コバルトバイオレット、マンガン紫等の各種の燐酸塩;アルミニウム粉、金粉、銀粉、銅粉、ブロンズ粉、真鍮粉等の各種の金属粉末顔料;これら金属のフレーク顔料、マイカ・フレーク顔料;金属酸化物を被覆した形のマイカ・フレーク顔料、雲母状酸化鉄顔料等のメタリック顔料やパール顔料;黒鉛、カーボンブラック等が挙げられる。
【0078】
体質顔料としては、例えば、沈降性硫酸バリウム、ご粉、沈降炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、寒水石、アルミナ白、シリカ、含水微粉シリカ(ホワイトカーボン)、超微粉無水シリカ(アエロジル)、珪砂(シリカサンド)、タルク、沈降性炭酸マグネシウム、ベントナイト、クレー、カオリン、黄土などが挙げられる。
【0079】
さらに、プラスチック顔料としては、例えば、DIC(株)製「グランドールPP-1000」、「PP-2000S」等が挙げられる。
【0080】
本発明で用いる顔料としては、耐久性、耐侯性、意匠性に優れることから、白色顔料としての酸化チタン、亜鉛華等の無機酸化物、黒色顔料としてのカーボンブラックがより好ましい。
【0081】
本発明で用いる顔料の質量割合は、ポリイソシアネート組成物(X)及び樹脂組成物(Y)や(Y1)の合計100質量部に対して、1~400質量部、中でも10~300質量部とすることが、接着性、耐ブロッキング性などに優れることからより好ましい。
【0082】
本発明の2液硬化型接着剤には接着促進剤を用いることもできる。接着促進剤にはシランカップリング剤、チタネート系カップチング剤、アルミニウム系等のカップリング剤、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0083】
シランカップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン;β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン;ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ヘキサメチルジシラザン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることが出来る。
【0084】
チタネート系カップリング剤としては、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ-n-ブトキシチタン、ブチルチタネートダイマー、テトラステアリルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテート、テトラオクチレングリコールチタネート、チタンラクテート、テトラステアロキシチタン等を挙げることが出来る。
【0085】
また、アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げることが出来る。
【0086】
エポキシ樹脂としては、一般的に市販されているエピ-ビス型、ノボラック型、β-メチルエピクロ型、環状オキシラン型、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、ポリグリコールエーテル型、グリコールエーテル型、エポキシ化脂肪酸エステル型、多価カルボン酸エステル型、アミノグリシジル型、レゾルシン型等の各種エポキシ樹脂が挙げられる。
【0087】
本発明の2液硬化型接着剤には、必要であれば、前記以外のその他の添加剤を含有させてもよい。添加剤としては、例えば、レベリング剤;コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子;ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子;消泡剤;タレ性防止剤;湿潤分散剤;粘性調整剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;無機系熱線吸収剤;防炎剤;帯電防止剤;脱水剤などが挙げられる。
【0088】
これらの顔料、触媒、添加剤は、ポリイソシアネート組成物(X)又は樹脂組成物(Y)や(Y1)のどちらか一方の成分に混合させるか、或いは、第3成分として塗工時に配合して使用することができる。
【0089】
(積層フィルムの製造方法)
本発明の積層フィルムは、公知の方法で得ることができる。例えば前記ポリイソシアネート組成物(X)と前記組成物(Y)や(Y1)とを事前に混ぜ合わせた後、第一の基材フィルムに塗布、次いで塗布面に第二の基材フィルムを積層し、該接着剤層を硬化させて得る2液混合工程を有する方法や、前記ポリイソシアネート組成物(X)と、前記組成物(Y)や(Y1)とを第一の基材フィルム及び第二の基材フィルムに別々に塗布後、該塗布面を接触させ圧着させることにより第一の基材フィルムと第二の基材フィルムとを積層させ、該接着剤層を硬化させて得る2液分別塗工工程を有する方法により得られる。
【0090】
特に分別塗工工程は、両基材を貼り合わせる際に前記ポリイソシアネート組成物(X)と前記組成物(Y)や(Y1)とが接触し、圧着させ反応が開始することにより、速やかに硬化が進行するものであるとともに、通常の2液混合工程のような2液の混合が不要であり、従って2液混合後の可使時間(ポットライフ)を懸念する必要がなく、作業性に優れる。なお分別塗工工程で行う際は、前記ポリイソシアネート組成物(X)には、ポリオール(B)を含んでいてもよく好ましい。一方前記組成物(Y)は、ポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y1)であると、両基材を貼り合わせた際のイソシアネート基とアミノ基や水酸基とが接触後反応がより速やかに硬化が進行しなお好ましい。また該分別塗工工程を有する方法では、前記触媒は樹脂組成物(Y)や(Y1)に添加して使用することが好ましい。
【0091】
即ち本発明においては、一方の基材フィルムに塗布された前記ポリイソシアネート組成物(X)と、他方の基材フィルムに塗布された前記組成物(Y)とが接触して圧着する2液分別塗布工程を有する方法で行うと、本発明の2液硬化型接着剤の効果である優れた硬化性が最大限発揮することができ好ましい。この中でも、一方の基材に塗布された前記ポリイソシアネート(A)に更にポリオール(B)を含有するポリイソシアネート組成物(X)と、他方の基材に塗布されたポリオール(B)及びポリアミン(C)を含有する樹脂組成物(Y1)とが接触して圧着する2液分別塗布工程を有する積層フィルムの製造方法か、または、一方の基材に塗布された前記ポリイソシアネート(A)に更にポリオール(B)を含有するポリイソシアネート組成物(X)と、他方の基材に塗布されたポリオール(B)、ポリアミン(C)及び触媒を含有する樹脂組成物(Y1)とが接触して圧着する2液分別塗布工程を有する積層フィルムの製造方法、であることが好ましい。
圧着方法は2つのロール間(ラミネートロール)を通過しながらロール間の圧力により貼り合わせる方法が好ましく、ラミネートロールの温度は室温~120℃程度、圧力は、3~300kg/cm程度が好ましい。このようにして積層フィルムを得ることができる。
【0092】
いずれの方法であっても、本発明の2液硬化型接着剤を用いた場合、ラミネートした後、常温または加温下で、12~72時間で接着剤が硬化し、実用物性を発現する。
【0093】
分別塗工の場合は、貼り合わせ後の前記ポリイソシアネート組成物(X)と、前記組成物(Y)や(Y1)の混層をより効率的に行うため、より低粘度で塗工することがのぞましい。具体的には粘度1000mPa・S以下で塗工することが好ましい。またポリイソシアネート組成物(X)と、前記組成物(Y)や(Y1)の塗布量は、それぞれ、0.5~3.0g/mが好ましく、より好ましくは、0.5~2.0g/m程度で使用するのが好ましい。
【0094】
(フィルム)
本発明の2液硬化型接着剤を用いて製造される積層体および包装体に使用される基材フィルムとしては、積層フィルムで通常使用されるプラスチックフィルムが好ましい。例えば第一の基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタラート(以下PETと略)フィルム、ナイロン(以下OPAと略)フィルム、2軸延伸ポリプロピレン(以下OPPと略)フィルム、各種蒸着フィルム等のベースフィルムやアルミ箔等が挙げられる。また第二の基材フィルムとしては、無延伸ポリプロピレン(以下CPPと略)フィルム、直鎖低密度ポリエチレン(以下LLDPEと略)フィルム等のシーラントフィルムが挙げられる。
また基材として紙も使用することができる。紙としては、天然紙や合成紙などが挙げられる。基材層および紙層の外表面または内面側には、必要に応じて印刷層を設けてもよい。
【0095】
この様にして得られる積層フィルムは、軟包装フィルム、軟包装材料(包装の形が内容物を入れることにより形作られるような包装)等、洗剤、薬剤を充填する包装材料として工業的に使用することができる。具体的な用途としては、洗剤、薬剤として、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー等が挙げられる。
【0096】
本発明の2液硬化型接着剤を用いて製造された包装材料は、洗剤や薬剤などの内容物の充填時はもとより、充填後の時間経過後も、デラミネーション等のラミネート構成体の剥離を発生させず、優れた接着性、内容物耐性を有する。
【0097】
また、前記第一のプラスチックフィルム上に、印刷インキをグラビア又はフレキソ印刷したものを用いてもよく、この場合であっても良好なラミネート外観を呈することができる。前述の印刷インキは溶剤型、水性型又は活性エネルギー線硬化型インキを使用することがきる。
【0098】
本発明で使用する2液型接着剤を用いた場合、ラミネートした後、常温または加温下で、12~72時間で接着剤が硬化し、実用物性を発現する。
【0099】
(包装体)
本発明の包装体は、前記積層フィルムを袋状に成形してなり、具体的には前記積層フィルムをヒートシールすることにより包装体の形態となる。また、包装体としての用途、必要な性能(易引裂性やハンドカット性)、包装体として要求される剛性や耐久性(例えば、耐衝撃性や耐ピンホール性など)などを考慮した場合、必要に応じて他の層を積層することもできる。通常は基材層、紙層、第2のシーラント層、不職布層などを伴って使用される。他の層を積層する方法としては、公知の方法を用いることができる。たとえば、他の層との層間に接着剤層を設けてドライラミネート法、熱ラミネート法、ヒートシール法、押出しラミネート法などにより積層すればよい。
【0100】
具体的な積層体構成としては、一般の包装体や蓋材、詰め替え容器などに好適に用いることが可能な、第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック層、第一のプラスチック層をバリア層にした、基材層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック層や紙容器、紙カップなどに好適に用いることが可能な、第二のプラスチック層/紙層/接着層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/第二のプラスチック、第二のプラスチック層/紙層/ポリオレフィン樹脂層/基材層/第一のプラスチック層/接着層/第二のプラスチック層、紙層/第一のプラスチックフィルム層/接着層/シーラント層やチューブ容器などに好適に用いることが可能な、第二のプラスチック層/接着層/第一のプラスチック層/接着層/第二のプラスチック層などが挙げられる。これら積層体は、必要に応じて、印刷層やトップコート層などを有していても構わない。
【0101】
第一のプラスチックフィルム層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)などのポリエステル樹脂フィルム;ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)などのポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体などが用いられる。なかでも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。
【0102】
また、第一のプラスチックフィルム層は、バリア機能を付与するためにアルミニウム箔などの軟質金属箔の他、アルミ蒸着、シリカ蒸着、アルミナ蒸着、シリカアルミナ2元蒸着などの蒸着層;塩化ビニリデン系樹脂、変性ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、MXDナイロンなどからなる有機バリア層などを採用できる。
【0103】
第二のプラスチックフィルム層としては、従来から知られたシーラント樹脂を使用できる。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などがあげられる。なかでも低温シール性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。シーラント層の厚みは、特に限定されないが、包装材料への加工性やヒートシール性などを考慮して10~60μmの範囲が好ましく、15~40μmの範囲がより好ましい。また、シーラント層に高低差5~20μmの凸凹を設けることで、シーラント層に滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
【0104】
紙層としては、天然紙や合成紙などが挙げられる。第1および第2のシーラント層は、上述のシーラント層と同様の材料で形成することができる。基材層および紙層の外表面または内面側には、必要に応じて印刷層を設けてもよい。
【0105】
「他の層」は、公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、易接着コート剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。また「他の層」は、その他の材料と積層する場合の密着性を向上させるために、前処理としてフィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理などしたものであってもよい。
【0106】
本発明の包装体の態様としては、三方シール袋、四方シール袋、ガセット包装袋、ピロー包装袋、ゲーベルトップ型の有底容器、テトラクラッシク、ブリュックタイプ、チューブ容器、紙カップ、蓋材、など種々ある。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
【0107】
本発明の包装体は、主に食品、洗剤、薬剤を充填する包装体として工業的に使用することができる。具体的な用途としては、洗剤、薬剤として、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、医薬用タブレット等が挙げられる。また、上記の容器を包装する2次包装体にも使用できる。特に前記2液型接着剤を用いているため、溶出が問題となるような食品、医薬品用途の包装体として好適に使用することができる。
【実施例
【0108】
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明する。例中断りのない限り、「部」「%」は質量基準である。
【0109】
(製造例1[ポリイソシアネート(A-1)の合成])
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記する):41.9部、2,4’-MDI:13.0部、キシリレンジイソシアネート(以下、「XDI」と略記する。):0.1部を反応容器内に仕込み、窒素ガス下で攪拌し、60℃まで加熱した。数平均分子量400の2官能のポリプロピレングリコール(以下、「PPG」と略記する。)を20.0部、数平均分子量2000の2官能PPGを25.0部を数回に分けて滴下し、80℃に昇温して5~6時間攪拌しウレタン化反応を終了させた。得られたポリイソシアネートのNCO基含有率は14%、40℃における溶融粘度は1500mPa.sであった。以下このポリイソシアネートをA-1と略記する。
【0110】
(製造例2[ポリイソシアネート(A-2)の合成])
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、MDI:50.0部、HDIのビウレット体:10.0部を反応容器内に仕込み、窒素ガス下で攪拌し、60℃まで加熱した。数平均分子量400の2官能PPGを5.0部、数平均分子量1000の2官能PPGを35.0部を数回に分けて滴下し、80℃に昇温して5~6時間攪拌しウレタン化反応を終了させた。得られたポリイソシアネートのNCO基含有率は14.0%、40℃における溶融粘度は1400mPa.sであった。以下このポリイソシアネートをA-2と略記する。
【0111】
(製造例3[ポリイソシアネート(A-3)の合成])
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管を備えたフラスコに、MDI:60.0部を反応容器内に仕込み、窒素ガス下で攪拌し、60℃まで加熱した。数平均分子量400の2官能PPGを5.0部、数平均分子量1000の2官能PPGを35.0部を数回に分けて滴下し、80℃に昇温して5~6時間攪拌しウレタン化反応を終了させた。得られたポリイソシアネートのNCO基含有率は14.0%、40℃における溶融粘度は1500mPa.sであった。以下このポリイソシアネートをA-3と略記する。
【0112】
(実施例1-13及び比較例1-7)
ポリイソシアネート組成物(X)として前記A-1、A-2、A-3を使用した。組成物(Y)は、表1~3の配合に従って作成したB-1~B-18を用いた。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
表1、2、3中の略号は以下の通りである。
ひまし油 :精製ひまし油(伊藤製油株式会社製、水酸基価160.5mgKOH/g、40℃溶融粘度250mPa・s)
D-1000 :ポリプロピレングリコール(三井化学ポリウレタン株式会社製、数平均分子量約1,000、水酸基価112mgKOH/g、40℃溶融粘度150mPa・s)アクトコールD-1000
T-403 :ポリエーテルポリオール(AGC株式会社製 官能基3、数平均分子量約430、水酸基価400mgKOH/g、25℃溶融粘度350mPa・s)EXCENOL430
EDP-300:N,N,N’,N’-テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン(株式会社ADEKA)
TE(OH)A:トリエタノールアミン(昭和化学株式会社製)
EC310 :ポリオキシプロピレンポリアミン(BASF社製)BaxxоdurEC310、アミン価350mgKOH/g
EC303 :ポリプロピレンジアミン(BASF社製)BaxxоdurEC303、アミン価56mgKOH/g
DETA :ジエチレントリアミン(三井化学ファイン株式会社製)
CPL :2-オキソヘキサメチレンイミン(関東化学株式会社製)ε-カプロラクタム
DBTDL :ジブチル錫ジラウレート(日東化成株式会社製)ネオスタンU-100
Bi-Zn :ネオデカン酸ビスマスと亜鉛の混合触媒(The Shepherd Chemical Company製)Bicat8108/BicatZ混合
【0117】
(評価用の積層フィルムの製造方法)
表4、5、6に記載した内容に従い、ポリイソシアネート組成物(X)を第一の基材フィルム、樹脂組成物(Y)を第二の基材フィルムにそれぞれ塗布した後、第一の基材フィルムと第二の基材フィルムのお互いの塗布面をニップロール(温度:50℃)で圧着し、積層フィルムを作製した。
ポリイソシアネート組成物(X)と組成物(Y)のそれぞれの塗布量は、表4、5、6に記載したとおりである。即ち塗布量1及び塗布量2のポリイソシアネート組成物(X)とポリオール組成物(Y)に従い、
塗布量1:合計で1.0g/m
塗布量2:合計で2.0g/m
になるようにした。
【0118】
(引張りせん断接着強さ)
評価用の積層フィルムの製造方法に従い、図1の形状の積層フィルムを作成した。第一の基材フィルム(図1上基材3)及び第二の基材フィルム(図1上基材4)には、厚さ50μmのコロナ処理PETフィルムを使用した。2つの基材3と4の間に設けられた2液硬化型接着剤の接着部分5は、その面積が10mmとなるようにし、塗布量は塗布量1(1.0g/m)とした。
【0119】
前記圧着し保持温度を約25度に保った状態で所定の時間経過後、評価用の積層フィルムの一方の基材側(図1においては基材3)をクランプで保持し、もう一方の基材側を、引張り速度5mm/minで、矢印7の方向に引っ張り、接着部分5の接着強さを測定した。本発明においては、引っ張り試験機として島津製作所社製のオートグラフAGS-Jを使用し、25度において、積層フィルム作製直後、5分後、10分後、20分後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後、5時間後で実施した。
【0120】
(接着強度)
第一の基材フィルムとしてコロナ処理二軸延伸ナイロン(OPA)フィルム(厚さ15μm)、第二の基材フィルムとしてコロナ処理LLDPEフィルム(厚さ60μ)を使用し、塗布量2とし、ヒートシール強度測定用の積層フィルムを作製した。作製した積層フィルムを25℃で12時間エージングした後、2枚を各々の積層フィルムのLLDPE面を向き合わせた状態でOPAフィルム側から、1cm幅のヒートシールバーを用いてプレスし、溶融接着させた。その際のヒートシール条件は、180℃、0.1bar、1秒であった。ヒートシール部を15mm幅に切断し、300mm/minの速度でヒートシール強度を測定した。ヒートシール強度の単位はN/15mmである。
評価は5段階評価で以下のように行った。評価3以上を合格とする。
評価5:50以上
評価4:40~49
評価3:30~39
評価2:20~29
評価1: 0~19
【0121】
(加工外観)
第一の基材フィルムとしてコロナ処理PETフィルム(厚さ12μm)、第二の基材フィルムとしてアルミ蒸着ポリプロピレン(VMCPP)フィルム(厚さ25μm)を使用し、塗布量2とし、外観評価用の積層フィルムを作製した。積層フィルムは100、150、200、250m/minの加工速度で作成した。ラミネート後の積層フィルムを24時間エージングした後、積層フィルムに残存している気泡を確認し、気泡が残存していない加工速度域の評価を行った。評価は5段階評価で以下のように行った。評価3以上を合格とする。
評価5:100~250m/minで気泡残存なし
評価4:100~200m/minで気泡残存なし
評価3:100~150m/minで気泡残存なし
評価2: 100m/minで気泡残存なし
評価1: 100m/minで気泡残存あり
【0122】
(加工性(しわ))
第一の基材フィルムとしてコロナ処理OPAフィルム(厚さ15μm)、第二の基材フィルムとしてコロナ処理LLDPEフィルム(厚さ60μm)を使用し、塗布量2とし、加工性(しわ)測定用の積層フィルムを4000m作成し、ロール状に巻き取りをした。ラミネート後の積層フィルムを25℃で48時間エージングした後、ロールの内側におけるしわの状態を確認し、内側よりしわが発生しなくなるまでの積層フィルムの長さを評価した。評価は5段階評価で以下のように行った。評価3以上を合格とする。
評価5:ロール内側から10mまでしわあり
評価4:ロール内側から50mまでしわあり
評価3:ロール内側から100mまでしわあり
評価2:ロール内側から200mまでしわあり
評価1:ロール内側から300mまでしわあり
【0123】
結果を表4、5、6に示す。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【表6】
【0127】
以上の結果より、本発明の2液硬化型接着剤は、
(1)2つの基材間に設けられ圧着後30分経過した時の引張りせん断接着強さ(N1)が0.5N/平方cm以上である。
(2)2つの基材間に設けられ圧着後30分経過した時の引張りせん断接着強さ(N1)は、圧着後10分経過した時の引張りせん断接着強さ(N2)の3倍以下である。
(3)2つの基材間に設けられ圧着後5時間経過した時の引張りせん断接着強さ(N3)は20N/平方cm以上である。
の全てを満たすので、接着強度、加工外観、加工適性のすべての評価項目に優れることがわかる。
一方、比較例1、2、4は30分後、5時間後の値が条件を満たしておらず、接着強度、加工外観、加工適性の評価結果が著しく低かった。
比較例3、5は30分後の値が10分後の値の3倍以上であり、加工外観が著しく低かった。
比較例6、7は5時間後の値が条件を満たしておらず接着強度、加工適性の評価結果が著しく低かった。
【図面の簡単な説明】
【0128】
図1】引張りせん断接着強さの測定用試料である積層フィルムの形状である。
【符号の説明】
【0129】
1 積層フィルムを横部からみた図
2 積層フィルムを上部からみた図
3 基材
4 基材
5 2液硬化型接着剤の接着部分
6 クランプ等
7 引っ張り試験時の引っ張り方向
3 基材
図1