(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】可撓性二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/183 20210101AFI20220114BHJP
H01M 50/10 20210101ALI20220114BHJP
H01M 50/172 20210101ALI20220114BHJP
H01M 50/531 20210101ALI20220114BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20220114BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20220114BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220114BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220114BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20220114BHJP
【FI】
H01M2/08 K
H01M2/02 K
H01M2/06 K
H01M2/26 A
H01M2/30 B
H01M4/04 A
H01M4/13
H01M10/04 Z
H01M10/0585
(21)【出願番号】P 2015121714
(22)【出願日】2015-06-17
【審査請求日】2018-03-26
【審判番号】
【審判請求日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】10-2014-0088452
(32)【優先日】2014-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】徐 ジュン 源
(72)【発明者】
【氏名】李 正 斗
(72)【発明者】
【氏名】孫 主 ヒ
(72)【発明者】
【氏名】宋 ヒュン 和
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】土屋 知久
【審判官】市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-173559(JP,A)
【文献】特開2008-4506(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0079979(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極層、第2電極層、及び前記第1電極層と前記第2電極層との間のセパレータを含む電極組立体と、
前記電極組立体のエッジを取り囲み、可撓性を有するガスケットと、
前記ガスケットの第1面に付着された第1密封シートと、
前記第1面と反対面である前記ガスケットの第2面に付着された第2密封シートと、を含み、
前記ガスケットの厚みは、前記電極組立体の厚みの80%ないし120%であり、前記電極組立体は、前記第1電極層、前記セパレータ及び前記第2電極層の一端部を固定する固定部材をさらに含み、前記固定部材が形成されていない前記第1電極層、前記セパレータ及び前記第2電極層の他端部は、前記固定部材が形成された第1電極層、前記セパレータ及び前記第2電極層の一端部より相対的な位置変化が大きく、
前記ガスケットは、前記電極組立体の収容空間を確保するとともに、可撓性二次電池のベンディング時に発生する応力を等しく分散させることを特徴とする可撓性二次電池。
【請求項2】
前記ガスケットは、単一素材から形成されたことを特徴とする請求項1に記載の可撓性二次電池。
【請求項3】
前記第1密封シートと前記第2密封シートは、それぞれ第1絶縁層、金属層及び第2絶縁層を含み、
前記第1絶縁層は、前記ガスケットと接し、前記第1絶縁層の溶融点と、前記ガスケットの溶融点との差は、50℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の可撓性二次電池。
【請求項4】
前記ガスケットは、前記第1絶縁層と同一の材質から形成されたことを特徴とする請求項
3に記載の可撓性二次電池。
【請求項5】
前記第1電極層は、第1金属集電体上に、第1活物質が塗布された第1活物質部と、前記第1活物質が塗布されていない領域である第1無地部とを含み、前記第1無地部は、第1電極タブが付着され、
前記第2電極層は、第2金属集電体上に、第2活物質が塗布された第2活物質部と、前記第2活物質が塗布されていない領域である第2無地部とを含み、前記第2無地部は、第2電極タブが付着されたことを特徴とする請求項1に記載の可撓性二次電池。
【請求項6】
前記第1電極タブと、前記第2電極タブは、前記ガスケットと、前記第1密封シートとの間、または前記ガスケットと、前記第2密封シートとの間を介して、外部に引き出されていることを特徴とする請求項5に記載の可撓性二次電池。
【請求項7】
前記ガスケットと重畳された前記第1電極タブ
の外面と、
前記ガスケットと重畳された前記第2電極タブ
の外面には、絶縁フィルムが付着されたことを特徴とする請求項6に記載の可撓性二次電池。
【請求項8】
前記ガスケットは、前記ガスケットの一側を貫通する第1リード電極と、
前記ガスケットの前記一側を貫通する第2リード電極とを含むことを特徴とする請求項5に記載の可撓性二次電池。
【請求項9】
前記ガスケットの内部領域で、前記第1リード電極は、前記第1電極タブと接合し、前記第2リード電極は、前記第2電極タブと接合したことを特徴とする請求項8に記載の可撓性二次電池。
【請求項10】
前記固定部材は、前記第1無地部と前記セパレータとの間、及び前記セパレータと前記第2無地部との
間に形成された接着剤、または該接着剤が塗布されたテープであることを特徴とする請求項
5に記載の可撓性二次電池。
【請求項11】
前記電
極組立体の外部面に形成された保護層をさらに含み、
前記保護層の曲げ剛性は、前記第1電極層、前記セパレータ及び前記第2電極層の平均曲げ剛性より大きいことを特徴とする請求項1に記載の可撓性二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電子分野の技術発達で、携帯電話、ゲーム機、PMP(portable multimedia player)、MP3(MPEG audio layer-3)プレーヤだけではなく、スマートフォン、スマートパッド、電子書籍端末機、可撓性タブレットコンピュータ、身体に付着させる移動用医療機器のような各種移動用電子機器に係わる市場が大きく成長している。
【0003】
このような移動用電子機器関連市場が成長するにつれ、移動用電子機器の駆動に適するバッテリに対する要求も高まっており、それら移動用電子機器の使用、移動、保管、衝撃に対する耐久性に係わり、機器自体の柔軟性に対する要求が大きくなっており、それを具現するために、バッテリの柔軟さに対する要求も拡大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、反復的な曲がり運動にも、安定性を維持することができる可撓性を有する二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために本発明は、第1電極層、第2電極層、及び前記第1電極層と前記第2電極層との間のセパレータを含む電極組立体;前記電極組立体のエッジを取り囲み、可撓性を有するガスケット;前記ガスケットの第1面に付着した第1密封シート;及び前記第1面と反対面である前記ガスケットの第2面に付着した第2密封シート;を含む可撓性二次電池を開始する。
【0007】
本実施形態において、前記ガスケットは、単一素材から形成される。
本実施形態において、前記ガスケットの厚みは、前記電極組立体の厚みの80%ないし120%でもある。
【0008】
本実施形態において、前記第1密封シートと前記第2密封シートは、それぞれ第1絶縁層、金属層及び第2絶縁層を含み、前記第1絶縁層は、前記ガスケットと接し、前記第1絶縁層の溶融点と、前記ガスケットの溶融点との差は、50℃以下でもある。
本実施形態において、前記ガスケットは、前記第1絶縁層と同一の材質から形成される。
【0009】
本実施形態において、前記第1電極層は、第1金属集電体上に第1活物質が塗布された第1活物質部と、前記第1活物質が塗布されていない領域である第1無地部とを含み、前記第1無地部は、第1電極タブが付着され、前記第2電極層は、第2金属集電体上に第2活物質が塗布された第2活物質部と、前記第2活物質が塗布されていない領域である第2無地部とを含み、前記第2無地部は、第2電極タブが付着される。
【0010】
本実施形態において、前記第1電極タブと、前記第2電極タブは、前記ガスケットと、前記第1密封シートとの間、または前記ガスケットと、前記第2密封シートとの間を介して、外部に引き出される。
本実施形態において、前記ガスケットと重畳された前記第1電極タブと、前記第2電極タブとの外面には、絶縁フィルムが付着される。
【0011】
本実施形態において、前記ガスケットは、前記ガスケットの一側を貫通する第1リード電極と、第2リード電極とを含んでもよい。
本実施形態において、前記ガスケットの内部領域で、前記第1リード電極は、前記第1電極タブと接合し、前記第2リード電極は、前記第2電極タブと接合することができる。
【0012】
本実施形態において、前記電極組立体は、前記第1電極層、前記セパレータ及び前記第2電極層の一端部を固定する固定部材をさらに含んでもよい。
本実施形態において、前記固定部材が形成されていない前記第1電極層、前記セパレータ及び前記第2電極層の他端部は、前記固定部材が形成された第1電極層、前記セパレータ及び前記第2電極層の一端部より相対的な位置変化が大きくなる。
【0013】
本実施形態において、前記固定部材は、前記第1無地部と前記セパレータとの間、及び前記セパレータと前記第2無地部との接着剤、または該接着剤が塗布されたテープでもある。
本実施形態において、前記電極積層組立体の外部面に形成された保護層をさらに含み、前記保護層の曲げ剛性は、前記第1電極層、前記セパレータ及び前記第2電極層の平均曲げ剛性より強い
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態に係わる可撓性二次電池は、反復的な曲がり運動にも、安定性及び信頼性を維持することができる。
本発明の効果は、前述の内容以外にも、図面を参照して以下で説明する内容からも導き出されるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態による可撓性二次電池を概略的に図示した分解斜視図である。
【
図2】
図1の可撓性二次電池の電極組立体を概略的に図示した平面図である。
【
図3】
図2のI-I断面を概略的に図示した断面図である。
【
図4】
図1の可撓性二次電池の変形例を概略的に図示した分解斜視図である。
【
図5】
図4の可撓性二次電池のガスケットを概略的に図示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に説明する実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態に具現されるのである。
【0017】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明するが、図面を参照して説明するとき、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それについての重複説明は省略する。
【0018】
以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用された。
以下の実施形態で、単数の表現は、文脈上明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。
【0019】
以下の実施形態で、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在するということを意味するものであり、一つ以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0020】
以下の実施形態で、構成要素などの部分が他、の部分の上にまたは上部にあるとするとき、他の部分の真上にある場合だけではなく、その中間に、構成要素などが介在されている場合も含む。
図面では、説明の便宜のために、構成要素がその大きさが誇張または縮小されてもいる。例えば、図面で示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために、任意に示したものであり、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による可撓性二次電池を概略的に図示した分解斜視図であり、
図2は、
図1の可撓性二次電池の電極組立体を概略的に図示した平面図であり、
図3は、
図2のI-I断面を概略的に図示した断面図である。
図1ないし
図3を参照すれば、本発明の一実施形態による可撓性二次電池10は、電極組立体100、電極組立体100のエッジを取り囲むガスケット200、ガスケット200の第1面に付着された第1密封シート310、及び第1面と反対面であるガスケット200の第2面に付着された第2密封シート320を含んでもよい。
【0022】
電極組立体100は、第1電極層110、第2電極層120、及び第1電極層110と第2電極層120との間のセパレータ130を含んでもよい。一例として、電極組立体100は、複数の第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120が反復して積層された構造を含んでもよい。
【0023】
第1電極層110は、正極フィルムまたは負極フィルムのうちいずれか一つでもある。第1電極層110が正極フィルムである場合、第2電極層120は、負極フィルムであり、反対に、第1電極層110が負極フィルムである場合、第2電極層120は、正極フィルムでもある。
【0024】
第1電極層110は、第1金属集電体(112)、第1金属集電体112の表面に第1活物質が塗布された第1活物質部114、及び第1活物質が塗布されていない第1無地部116を含んでもよい。それと同様に、第2電極層120は、第2金属集電体122、第2金属集電体122の表面に第2活物質が塗布されて形成された第2活物質部124、及び第2活物質が塗布されていない領域である第2無地部126を含んでもよい。
【0025】
第1電極層110が正極フィルムである場合、第1金属集電体112は、正極集電体であり、第1活物質部114は、正極活物質部でもある。そして、第2電極層120が負極フィルムである場合、第2金属集電体122は、負極集電体であり、第2活物質部124は、負極活物質部でもある。
【0026】
正極集電体は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、銀、またはそれらから選択された物質の組み合わせによって形成された金属でもある。該正極活物質部は、正極活物質、バインダ及び導電剤を含んでもよい。
前記正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することができる物質によって形成される。例えば、該正極活物質は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、マンガン酸リチウム及びリン酸鉄リチウムのようなリチウム遷移金属酸化物;硫化ニッケル;硫化銅;硫黄;酸化鉄;及び酸化バナジウム;からなる群から選択された少なくとも1つの物質を含んでもよい。
【0027】
前記バインダは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレンコポリマーなどのポリフッ化ビニリデン系バインダ;ナトリウム-カルボキシメチルセルロース、リチウム-カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシメチルセルロース系バインダ;ポリアクリル酸、リチウム-ポリアクリル酸、アクリル、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレートなどのアクリレート系バインダ;ポリアミドイミド;ポリテトラフルオロエチレン;ポリ酸化エチレン;ポリピロール;リチウム-ナフィオン;及びスチレンブタジエンゴム系ポリマー;からなる群から選択された少なくとも1つの物質を含んでもよい。
【0028】
前記導電剤は、カーボンブラック、炭素ファイバ及び黒鉛のような炭素系導電剤;金属ファイバのような導電性ファイバ;フッ化カーボン粉末、アルミニウム粉末及びニッケル粉末のような金属粉末;酸化亜鉛及びチタン酸カリウムのような導電性ウィスカ;酸化チタンのような導電性金属酸化物;及びポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子;からなる群から選択された少なくとも1つの物質を含んでもよい。
【0029】
前記負極集電体は、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンなどからなる群から選択された少なくとも1つの金属を含んでもよい。前記負極活物質部は、負極活物質、バインダ及び導電剤を含んでもよい。
前記負極活物質は、リチウムとの合金化、またはリチウムの可逆的な吸蔵及び放出が可能な物質によって形成される。例えば、前記負極活物質は、金属、炭素系材料、金属酸化物及びリチウム金属チッ化物からなる群から選択された少なくとも1つの物質を含んでもよい。
【0030】
前記金属は、リチウム、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、銅、鉄、ニッケル、コバルト及びインジウムからなる群から選択された少なくとも1つの物質を含んでもよい。
【0031】
前記炭素系材料は、黒鉛、黒鉛炭素ファイバ、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、ポリアセン、ピッチ系炭素ファイバ及び難黒鉛化性炭素(hard carbon)からなる群から選択された少なくとも1つの物質を含んでもよい。
前記金属酸化物は、リチウムチタン酸化物、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化タングステン、酸化スズ、非晶質スズ複合酸化物、シリコンモノオキシド、酸化コバルト及び酸化ニッケルからなる群から選択された少なくとも一つを含んでもよい。
【0032】
前記バインダ及び前記導電剤は、それぞれ前記正極活物質部に含まれたバインダ及び導電剤と同一のものを使用することができる。
セパレータ130は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、及びポリエチレン(PE)とポリプロピレン(PP)との共重合体(co-polymer)からなる群のうち選択されるいずれか1つの基材に、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP co-polymer)をコーティングすることによって製造されるが、それに限定されるものではない。
【0033】
電極組立体110には、第1電極タブ118と、第2電極タブ128とが付着される。具体的には、複数個積層された第1無地部116及び第2無地部126には、それぞれ第1電極タブ118及び第2電極タブ128が、溶接などによって付着する。
電極組立体100は、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の一端部を互いに固定する固定部材140をさらに含んでもよい。固定部材140は、一例であり、第1無地部116とセパレータ130との間及び、セパレータ130と第2無地部126との間に形成された接着剤、または該接着剤が塗布されたテープでもよいが、それに限定されるものではない。
【0034】
固定部材140は、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の一端部のみを互いに固定する。従って、固定部材140が形成されていない領域において、電極組立体100は、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の間のスリップによってベンディングが可能になり、電極組立体100の反復的な曲がり運動時にも、固定部材140によって、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の相対的位置が維持される。
【0035】
一方、固定部材140は、電極組立体100の長手方向を基準に、第1電極タブ118及び第2電極タブ128が配置された側と同一側に形成されることが望ましい。
固定部材140が形成されていない第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の他端部は、電極組立体100のベンディング時、固定部材140が形成された第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の一端部より相対的な位置変化が大きくなる。一方、第1電極タブ118は、複数の第1無地部116と接合され、第2電極タブ128は、複数の第2無地部126と接合されるので、第1電極タブ118と第2電極タブ128は、実質的に、第1電極層110及び2電極層120をそれぞれ固定する固定手段として作用することができる。
【0036】
従って、固定部材140が、電極組立体100の長手方向を基準に、第1電極タブ118及び第2電極タブ128が配置された側と反対側に形成された場合は、電極組立体100のベンディング時、第1電極タブ118及び第2電極タブ128と、固定部材140との間で、第1電極層110及び/または第2電極層120の内部的な曲がり現象が発生し、固定部材140の一部が破壊され、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の間の整列が維持され難くなる。
【0037】
電極組立体100は、最外部面に、保護層(図示せず)をさらに含んでもよい。保護層(図示せず)は、電極組立体100がベンディングを行うとき、第1電極層110、セパレータ130または第2電極層120にしわなどが発生することを防止することができる。すなわち、電極組立体100が反れば、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120は、しわを発生させ、圧縮ストレスを緩和させる傾向を有するが、保護層(図示せず)は、第1電極層110、セパレータ130または第2電極層120にしわと共に、曲率半径が小さい変形が起きるとき、それを抑え、さらに大きい変形が起きることを防止し、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120が受けるストレスを緩和させることができる。
【0038】
このように、保護層(図示せず)が、第1電極層110、セパレータ130または第2電極層120にしわなどが発生する現象を防止するために、保護層(図示せず)の曲げ剛性(bending stiffness)は、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の平均曲げ剛性より大きい値を有することができる。例えば、保護層(図示せず)の曲げ剛性は、第1電極層110、セパレータ130及び第2電極層120の平均曲げ剛性の1.5倍ほど以上の値を有することができる。
【0039】
また、保護層(図示せず)は、電極組立体100の反りに大きい影響を与えないように、一定剛性と共に、ある程度の柔軟性を有した物質から形成される。例えば、保護層(図示せず)は、高分子フィルム、ラミネートされた高分子フィルム層を含むフィルム、金属ホイル、炭素を含む複合材フィルムから形成されるが、それらに限定されるものではない。一例として、保護層(図示せず)は、15μmないし1mmほどの厚みを有し、保護層(図示せず)の引っ張り弾性率(tensile modulus of elasticity)は、0.5ないし300GPaでもある。
【0040】
ガスケット200は、電極組立体100のエッジを取り囲み、ガスケット200の第1面には、第1密封シート310が付着され、第1面と反対面であるガスケット200の第2面には、第2密封シート320が付着される。第1密封シート310と第2密封シート320は、ガスケット200と共に、電極組立体100を密封することができる。
【0041】
ガスケット200は、中央部が開口した状態で、内部に電極組立体100が位置することができる空間を提供する。ガスケット200は、可撓性を有することができる。ガスケット200が可撓性を有すれば、ガスケット200は、電極組立体100のベンディング時、電極組立体100と共に反る。従って、電極組立体100のベンディング時、電極組立体100に集中する応力を分散させ、電極組立体100の損傷を防止することができる。また、ガスケット200は、可撓性を有する単一素材から形成される。従って、ガスケット200に、局部的に弾性力の異なる領域が形成されることを防止することができ、ガスケット200のベンディング時、応力をさらに効果的に分散させることができる。
【0042】
第1密封シート310と第2密封シート320は、それぞれ順次に積層された第1絶縁層、金属層及び第2絶縁層を含んでもよい。前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンなどから形成され、前記金属層は、アルミニウム、スチール、ステンレススチールなどから形成することができるが、それらに限定されるものではない。
【0043】
例えば、前記第1密封シート310と前記第2密封シート320は、ポリプロピレン(PP)から形成された第1絶縁層、アルミニウムから形成された金属層、及びポリエチレンテレフタレート(PET)から形成された第2絶縁層の3層構造からもなり、第1密封シート310と第2密封シート320との第1絶縁層が、それぞれガスケット200と接するように配置してもよい。
【0044】
前記第1絶縁層は、一例であり、熱融着によってガスケット200と付着される。そのとき、前記第1絶縁層と前記ガスケット200との熱融着効率及び接合力を向上させるために、ガスケット200は、前記第1絶縁層との溶融点差が50℃以下である材質から形成される。一例として、ガスケット200は、前記第1絶縁層と同一材質からも形成することができる。
【0045】
一方、ガスケット200の厚みは、電極組立体100の厚みの80%ないし120%に形成され、第1密封シート310及び第2密封シート320に、曲折部位が形成されることを防止することができる。
第1密封シート310及び第2密封シート320に曲折部位、すなわち、折れ部位が形成された場合は、可撓性二次電池10のベンディング時、第1密封シート310と第2密封シート320とに形成された曲折部位に応力が集中し、第1密封シート310及び第2密封シート320に破れなどの損傷が誘発されもする。
【0046】
しかし、本発明によれば、ガスケット200の厚みが電極組立体100の厚みの80%ないし120%に形成されることにより、二次電池10のベンディング時、第1密封シート310及び第2密封シート320の特定部位に応力が集中する現象を防止し、応力を等しく分散させることができるので、可撓性二次電池10の安定性が向上するのである。
【0047】
以下では、可撓性二次電池10の製造方法について簡略に説明する。
まず、ガスケット200の第2面上に、第2密封シート320を付着させる。第2密封シート320は、第1絶縁層がガスケット200を向くように配置された後、第1絶縁層とガスケット200とが熱融着することにより、ガスケット200の第2面上に付着される。
【0048】
次に、電極組立体100を、ガスケット200の内部空間に配置した後、第1密封シート310をガスケット200の第1面に付着させる。第1密封シート310の付着方法は、第2密封シート320の付着方法と同一である。
【0049】
一方、電極組立体100の第1電極タブ118と第2電極タブ128は、ガスケット200と第1密封シート310との間を介して外部に引き出され、ガスケット200及び第1密封シート310との接合力の向上、及び第1電極タブ118と第2電極タブ128との短絡を防止するために、ガスケット200と重畳された第1電極タブ118と第2電極タブ128との外面には、絶縁フィルム150が付着される。
【0050】
以上では、第2密封シート320が、ガスケット200にまず付着された後、第1密封シート310が付着された例について説明したが、それとは異なり、第1密封シート310がまず付着されてもよく、他の例として、ガスケット200内に、電極組立体100が配置された後、第1密封シート310と第2密封シート320とが同時に、または順次にガスケット200に付着することもできる。
【0051】
このように、本発明による可撓性二次電池10は、ガスケット200によって、電極組立体100の収容空間を確保するので、従来のように、ポーチに電極組立体100を収容するための空間を形成するドローイング加工工程を省略することができる。
また、従来には、電極組立体100の厚みが増大すれば、電極組立体100の厚みほどの深みを有するようにドローイング加工深さが増大し、それにより、ポーチに亀裂などが発生することもあったが、本発明による可撓性二次電池10は、電極組立体100の厚みにより、ガスケット200の厚みが自由に形成されるので、容量が大きい可撓性二次電池10を容易に製造することができる。
【0052】
また、ガスケット200は、可撓性を有する材質から形成され、電極組立体100のようにベンディングされるので、可撓性二次電池10が、ベンディング時発に生する応力を等しく分散させ、可撓性二次電池10がベンディングを反復しても、可撓性二次電池10の安定性及び信頼性を維持させることができる。
【0053】
下記表1は、本発明によるガスケット200を含んだ可撓性二次電池10の実施形態と、ガスケット200を含んでいない可撓性二次電池の比較例とに対して、それぞれ25mmの曲率半径を有するように、1,000回及び2,000回ずつベンディングを反復させた後、それらの容量残存率を比較した結果である。ここで、該比較例は、ドローイング加工工程によって、ポーチに電極組立体100を収容することができる収容部を形成した後、収容部外郭で、ポーチを熱融着によって密封して形成した。
【表1】
【0054】
前記表1から分かるように、該比較例は、1,000回ベンディング後、容量残存率が75.4%に低下し、2,000回ベンディング後には、23.6%に急低下したということが分かる。一方、実施形態の場合は、2,000回のベンディング後にも、容量残存率が90%以上維持するということが分かる。このような結果は、可撓性二次電池10のベンディング時、ガスケット200が共にベンディングされることにより、応力を等しく分散させ、電極組立体100の損傷が効果的に防止されるからである。
【0055】
図4は、
図1の可撓性二次電池の変形例を概略的に図示した分解斜視図であり、
図5は、
図4の可撓性二次電池のガスケットを概略的に図示した平面図である。
図4及び
図5を参照すれば、可撓性二次電池20は、電極組立体100、電極組立体100のエッジを取り囲むガスケット210、ガスケット210の第1面に付着された第1密封シート310、及び第1面と反対面であるガスケット200の第2面に付着された第2密封シート320を含んでもよい。
【0056】
電極組立体100、第1密封シート310及び第2密封シート320は、
図1ないし
図3にも図示して説明したところと同一であるので、反復して説明しない。
ガスケット210は、電極組立体100のエッジを取り囲み、可撓性を有する材質から形成される。従って、可撓性二次電池20のベンディング時、ガスケット210が電極組立体100と共にベンディングされることにより、応力を等しく分散させ、電極組立体100の損傷を効果的に防止することができる。
【0057】
ガスケット210は、一側に、ガスケット210を貫通する第1リード電極212と、第2リード電極214を含んでもよい。第1リード電極212と第2リード電極214は、インサート射出などを介して、ガスケット210と一体的に形成される。
【0058】
第1リード電極212は、ガスケット210の内部領域において、第1電極タブ118と接合し、第2リード電極214は、ガスケット210の内部領域において、第2電極タブ128と接合することができる。第1電極タブ118は、第1無地部116と接合し、第2電極タブ128は、第2無地部126と接合された状態でもある。
【0059】
このように、第1電極タブ118及び第2電極タブ128が、それぞれ第1リード電極212及び第2リード電極214に連結されれば、第1電極タブ118と第2電極タブ128とが曲折されない状態で外部と連結され、第1電極タブ118と第2電極タブ128とが損傷されることを防止することができる。また、第1電極タブ118と第2電極タブ128とが、ガスケット210、及び第1密封シート310または第2密封シート320の間に位置しないので、ガスケット210と、第1密封シート310または第2密封シート320との接合力が向上する。
【0060】
可撓性二次電池20の製造方法は、
図1ないし
図3で説明した可撓性二次電池10の製造方法と基本的に同一である。ただし、ガスケット210内において、電極組立体100の内部空間に配置するとき、第1電極タブ118と第2電極タブ128は、それぞれ第1リード電極212と第2リード電極214とに溶接などによって付着される。
【0061】
以上、本発明の望ましい実施形態について図示して説明したが、本発明は、前述の特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を外れずに、当該発明が属する技術分野で当業者により、多様な変形実施が可能であるということは言うまでもなく、そのような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されることがあってはならない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の可撓性二次電池は、例えば、バッテリ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
10,20 可撓性二次電池
100 電極組立体
110 第1電極層
112 第1金属集電体
114 第1活物質部
116 第1無地部
118 第1電極タブ
120 第2電極層
122 第2金属集電体
124 第2活物質部
126 第2無地部
128 第2電極タブ
130 セパレータ
140 固定部材
150 絶縁フィルム
200,210 ガスケット
212 第1リード電極
214 第2リード電極
310 第1密封シート
320 第2密封シート