IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】偏光板
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20220114BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220114BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220114BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220114BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20220114BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G02B5/30
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/14 A
G02F1/1335 510
G02F1/13363
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019104543
(22)【出願日】2019-06-04
(62)【分割の表示】P 2018020133の分割
【原出願日】2012-12-18
(65)【公開番号】P2019152883
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2019-06-04
(31)【優先権主張番号】10-2011-0137172
(32)【優先日】2011-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0148912
(32)【優先日】2012-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ビョン クン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ムーン スー
(72)【発明者】
【氏名】ユーン、ヒュク
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/058633(WO,A1)
【文献】特開2004-226838(JP,A)
【文献】国際公開第2011/013399(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第2015-0109852(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
H01L 27/32
H05B 33/02
H01L 51/50
G02F 1/1335
G02F 1/13363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子;及び上記偏光子の一側に積層されている位相差層を備え、
上記位相差層は、正の二軸性位相差フィルム及び負の二軸性位相差フィルムを含み、
上記正の二軸性位相差フィルムに比べて上記負の二軸性位相差フィルムが、上記偏光子に近く位置されており、
上記位相差層は、下記数式7を満足し、
上記正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と上記偏光子の光吸収軸とが成す角度が、40度から50度までの範囲内であり、
上記負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と上記偏光子の光吸収軸とが平行であり、
上記位相差層の全体の厚さ方向の位相差は、50nmから150nmであり、上記位相差層の全体の厚さ方向の位相差は、上記位相差層に含まれる各位相差フィルムの下記数式1で計算される厚さ方向の位相差の合計である、有機発光表示装置用偏光板。
[数式1]
Rth=d×(Nz-Ny)
上記数式1で、dは、位相差フィルムの厚さであり、Ny及びNzは、それぞれ位相差フィルムのy軸方向及びz軸方向の550nmの波長の光に対する屈折率であり、上記y軸方向は、上記位相差フィルムの面内進相軸と平行な方向であり、上記z軸方向は、上記位相差フィルムの遅相軸と上記y軸によって形成される平面の法線の方向であり、
[数式7]
R(450)/R(550)<R(650)/R(550)
上記数式7で、R(450)は、450nmの波長の光に対する上記位相差フィルムの面内の位相差であり、R(550)は、550nmの波長の光に対する上記位相差フィルムの面内の位相差であり、R(650)は、650nmの波長の光に対する上記位相差フィルムの面内の位相差であり、R(450)/R(550)が0.83から0.99であり、R(650)/R(550)が1.03から1.17である。
【請求項2】
偏光子;及び上記偏光子の一側に積層されている位相差層を備え、
上記位相差層は、正の二軸性位相差フィルム及び負の二軸性位相差フィルムを含み、
上記負の二軸性位相差フィルムに比べて上記正の二軸性位相差フィルムが、上記偏光子に近く位置されており、
上記位相差層は、下記数式7を満足し、
上記負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と上記偏光子の光吸収軸とが成す角度が、40度から50度までの範囲内であり、
上記正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と上記偏光子の光吸収軸とが平行であり、
上記負の二軸性位相差フィルムの下記数式1で計算される厚さ方向の位相差と上記正の二軸性位相差フィルムの下記数式1で計算される厚さ方向の位相差との合計は、120nmから220nmまでの範囲の内である、有機発光表示装置用偏光板。
[数式1]
Rth=d×(Nz-Ny)
上記数式1で、dは、位相差フィルムの厚さであり、Ny及びNzは、それぞれ位相差フィルムのy軸方向及びz軸方向の550nmの波長の光に対する屈折率であり、上記y軸方向は、上記位相差フィルムの面内進相軸と平行な方向であり、上記z軸方向は、上記位相差フィルムの遅相軸と上記y軸によって形成される平面の法線の方向であり、
[数式7]
R(450)/R(550)<R(650)/R(550)
上記数式7で、R(450)は、450nmの波長の光に対する上記位相差フィルムの面内の位相差であり、R(550)は、550nmの波長の光に対する上記位相差フィルムの面内の位相差であり、R(650)は、650nmの波長の光に対する上記位相差フィルムの面内の位相差であり、R(450)/R(550)が0.83から0.99であり、R(650)/R(550)が1.03から1.17である。
【請求項3】
上記偏光子側で測定した、全可視光全領域での傾斜角50度での反射率が10%以下である、請求項1に記載の有機発光表示装置用偏光板。
【請求項4】
550nmの波長の光に対する上記負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差が、60nm~180nmの範囲である、請求項1に記載の有機発光表示装置用偏光板。
【請求項5】
550nmの波長の光に対する上記正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差が、90nm~200nmの範囲である、請求項2に記載の有機発光表示装置用偏光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板及びディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
偏光子と位相差フィルム(retardation film)を積層させた構造の偏光板は、例えば、液晶表示装置や有機発光表示装置などのようなディスプレイ装置で外部光の反射防止または視認性の確保などのために使用されることができる。
上記で位相差フィルムは、位相遅延特性によって1/2波長または1/4波長の位相差フィルムなどがある。現在まで知られている1/2または1/4波長の位相差フィルムは、位相差が波長ごとに変わり、これにより、1/2または1/4波長の位相差フィルムとして作用する波長の範囲が一部範囲にのみ制限される。例えば、550nmの波長の光に対しては、1/4波長の位相差フィルムとして機能するフィルムが、450nmまたは650nmの波長の光に対しては1/4波長の位相差フィルムとして機能しない場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-321381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、偏光板及びディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例示的な偏光板は、偏光子と位相差層を含むことができる。上記位相差層は、上記偏光子の一側に積層されていてもよい。図1は、順次積層されている偏光子101及び位相差層102を含む例示的な偏光板を示す。上記位相差層は、一軸性位相差フィルムまたは二軸性位相差フィルムを含むことができる。上記位相差層は、単層構造であるか、または多層構造であることができる。
【0006】
本明細書で用語「偏光子と偏光板」は、互いに区別される対象を指称する。用語「偏光子」は、偏光機能を有するフィルム、シートまたは素子その自体を意味し、用語「偏光板」は、上記偏光子及び該偏光子の一面または両面に積層されている他の要素を含む対象を意味する。上記で他の要素としては、上記位相差層や偏光子保護フィルムなどが例示されることができるが、これに制限されるものではない。
【0007】
本明細書で用語「一軸性位相差フィルム」は、x軸方向の屈折率(以下、Nx)、y軸方向の屈折率(以下、Ny)及びz軸方向の屈折率(以下、Nz)のうち2個の屈折率は同一であり、残りの1つの屈折率が異なっている層、フィルム、シートまたは素子を意味する。本明細書で用語「同一」は、実質的な同一であり、例えば、製造過程で発生する誤差または偏差を勘案した同一を意味する。上記でx軸は、例えば、図2に示されたように、フィルム100の面内のいずれか一方向を意味し、y軸は、上記x軸に垂直する面内の方向を意味し、z軸は、上記x軸とy軸によって形成される平面の法線の方向、例えば位相差フィルム100の厚さ方向を意味することができる。1つの例示で、上記x軸は、位相差フィルムの遅相軸(slow axis)と平行な方向であり、y軸は、位相差フィルムの進相軸(fast axis)と平行な方向であることができる。特に別途規定しない限り、本明細書で用語「屈折率」は、約550nm波長の光に対する屈折率である。
【0008】
本明細書で一軸性位相差フィルムのうち下記数式1を満足するものは、正の一軸性位相差フィルムとして定義され、下記数式2を満足するものは、Cプレートとして定義される。
【0009】
[数式1]
Nx≠Ny=Nz
【0010】
[数式2]
Nx=Ny≠Nz
【0011】
本明細書で用語「二軸性位相差フィルム」は、Nx、Ny及びNzの3方向の屈折率がすべて互いに異なっている層、フィルム、シートまたは素子を意味することができる。二軸性位相差フィルムのうち下記数式3を満足するものは、正の二軸性位相差フィルムとして定義され、下記数式4を満足するものは、負の二軸性位相差フィルムとして定義されることができる。
【0012】
[数式3]
Nx≠Ny<Nz
【0013】
[数式4]
Nx≠Ny>Nz
【0014】
本明細書で位相差層または位相差フィルムの面内の位相差Rinは、下記数式5で計算され、厚さ方向の位相差Rthは、下記数式6で計算される。
【0015】
[数式5]
Rin=d×(Nx-Ny)
【0016】
[数式6]
Rth=d×(Nz-Ny)
【0017】
数式5及び6で、Rinは、面内の位相差であり、Rthは、厚さ方向の位相差であり、dは、位相差層または位相差フィルムの厚さであり、Nx、Ny及びNzは、それぞれ上記で定義したx軸、y軸及びz軸方向の屈折率である。
【0018】
偏光子は、様々な方向に振動する入射光から一方の方向に振動する光を抽出することができる機能性素子である。偏光子としては、例えば、公知された吸収型線偏光子を使用することができる。このような偏光子としては、PVA(poly(vinyl alcohol))偏光子が例示されることができる。1つの例示で、偏光板に含まれる偏光子は、二色性色素またはヨードが吸着及び配向されているPVAフィルムまたはシートであることができる。上記PVAは、例えば、ポリビニルアセテートをゲル化して得ることができる。
【0019】
ポリビニルアセテートとしては、ビニルアセテートの単独重合体;及びビニルアセテート及び他の単量体の共重合体などが例示されることができる。上記でビニルアセテートと共重合される他の単量体としては、不飽和カルボキシル酸化合物、オレフィン化合物、ビニルエーテル化合物、不飽和スルホン酸化合物及びアンモニウム基を有するアクリルアミド化合物などの一種または二種以上が例示されることができる。ポリビニルアセテートのゲル化度は、一般的に約85モル%~約100モル%または98モル%~100モル%程度である。線偏光子のポリビニルアルコールの重合度は、一般的に約1,000~約10,000または約1,500~約5,000であることができる。
【0020】
偏光板に含まれる位相差層は、厚さ方向の位相差が0nmを超過し、300nm以下であることができる。上記位相差層が2個以上の位相差フィルムを含む多層構造であり、多層構造の位相差層で2個以上の位相差フィルムがすべて厚さ方向の位相差を有する場合、上記厚さ方向の位相差は、各位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値であることができる。位相差層の厚さ方向の位相差の上限は、他の例示で270nm、250nm、240nm、230nm、220nm、200nm、190nm、180nm、170nm、160nm、155nm、150nm、130nm、120nm、110nm、100nm、80nmまたは70nmであることができる。位相差層の厚さ方向の位相差の下限は、他の例示で5nm、10nm、20nm、40nm、50nm、90nm、100nm、110nm、120nmまたは150nmであることができる。偏光板に厚さ方向の位相差を上記のように調節し、反射特性及び視感特性、特に傾斜角で反射特性と視感特性に優れた偏光板を提供することができる。
【0021】
これにより、偏光板は、例えば傾斜角50度で測定した反射率が12%以下、10%以下、8%以下、6%以下または5%以下であることができる。上記反射率は、可視光領域内のいずれか1つの波長の光に対する反射率、例えば、380nm~700nm範囲のうちいずれか1つの波長の光に対する反射率であるか、あるいは可視光全領域に属する光に対する反射率であることができる。上記反射率は、例えば、偏光板の偏光子側で測定した反射率であることができる。上記反射率は、傾斜角50度の特定動径角または所定範囲の動径角で測定した反射率であるか、あるいは傾斜角50度でのすべての動径角に対して測定した強度であり、後述する実施例で記載した方式で測定した数値である。
【0022】
偏光板に含まれる位相差層は、例えば、1/4波長位相遅延特性を有することができる範囲で面内の位相差を有することができる。本明細書で用語「n波長の位相遅延特性」は、少なくとも一部の波長範囲内で、入射光を該入射光の波長のn倍だけ位相遅延させることができる特性を意味することができる。1つの例示で、位相差層は、550nmの波長の光に対する面内の位相差が100nm~250nm、100nm~220nm、100nm~200nmまたは140nm~170nm程度であることができる。上記位相差層が2個以上の位相差フィルムを含む多層構造であり、多層構造の位相差層で2個以上の位相差フィルムがいずれも面内の位相差を有する場合、上記位相差層の面内の位相差は、各位相差フィルムの面内の位相差の合計数値であることができる。
【0023】
1つの例示で上記位相差層は、下記数式7を満足することができる。
【0024】
[数式7]
R(450)/R(550)<R(650)/R(550)
【0025】
数式7でR(450)は、450nmの波長の光に対する位相差層の面内の位相差であり、R(550)は、550nmの波長の光に対する位相差層の面内の位相差であり、R(650)は、650nmの波長の光に対する位相差層の面内の位相差である。上記位相差層が2個以上の位相差フィルムを含む多層構造であり、多層構造の位相差層で2個以上の位相差フィルムがすべて面内の位相差を有する場合、上記位相差層の面内の位相差は、各位相差フィルムの面内の位相差の合計数値であることができる。
【0026】
数式7を満足する位相差層は、いわゆる逆波長分散特性(reverse wavelength dispersion)を満足する位相差層であり、このような位相差は、広い波長範囲で設計された位相遅延特性を示すことができる。例えば、位相差層は、数式8のR(450)/R(550)は、0.81~0.99、0.82~0.98、0.83~0.97、0.84~0.96、0.85~0.95、0.86~0.94、0.87~0.93、0.88~0.92または0.89~0.91であり、数式8のR(650)/R(550)は、上記R(450)/R(550)より大きい値を有し、1.01~1.19、1.02~1.18、1.03~1.17、1.04~1.16、1.05~1.15、1.06~1.14、1.07~1.13、1.08~1.12または1.09~1.11であることができる。位相差層が上記数式8を満足するようにする方法は、特に制限されず、例えば、後述するような位相差フィルムを使用して位相差層を構成する方式がある。
【0027】
1つの例示で、上記位相差層は、正の一軸性位相差フィルム及びCプレートを含むことができる。すなわち、位相差層は、正の一軸性位相差フィルムとCプレートの積層フィルムであることができる。位相差層が正の一軸性位相差フィルムとCプレートを含む場合に、例えば、図4のように、偏光板で正の一軸性位相差フィルム1022に比べてCプレート1021が吸収型偏光子101に近く配置されているか、または図5のように、正の一軸性位相差フィルム1022がCプレート1021に比べて偏光子101に近く配置されていてもよい。
【0028】
図4のような構造で、正の一軸性位相差フィルムの遅相軸(slow axis)と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度~60度または約40度~50度または約45度程度であることができる。このような配置で偏光板が適切な性能を示すことができる。図4のような構造で、Cプレートの厚さ方向の位相差は、前述した位相差層の厚さ方向の位相差と同一の範囲であることができ、例えば、0nm~200nm程度または約0nm超過及び200nm以下程度であることができる。また、図4の構造で、正の一軸性位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差と同一の範囲にあり得る。
【0029】
図5のような構造では、正の一軸性位相差フィルムの遅相軸(slow axis)と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度~60度または約40度~50度または約45度程度であることができる。このような配置で偏光板が適切な性能を示すことができる。図5のような構造で、Cプレートの厚さ方向の位相差は、前述した位相差層の厚さ方向の位相差と同一の範囲であることができ、例えば、0nm~200nm程度または約0nmを超過し、約200nm以下の範囲であることができる。また、図5の構造で正の一軸性位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差と同一の範囲にあり得る。
【0030】
他の例示で、位相差層は、正の二軸性位相差フィルムを含むことができる。正の二軸性位相差フィルムを含む場合に、位相差層は、上記フィルムの単層構造であるか、あるいは上記正の二軸性位相差フィルムと異なる位相差フィルムを含む多層構造であることができる。
【0031】
正の二軸性位相差フィルムの単層構造の場合に、上記正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度~60度または約40度~50度または約45度程度であることができる。このような関係で、偏光板が適切な性能を示すことができる。このような構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、上記位相差層の厚さ方向の位相差と同一の範囲であることができる。例えば、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、160nm以下、120nm以下、10nm~110nmまたは40nm~80nm程度であることができる。また、上記正の位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差と同一の範囲にあり得る。
【0032】
正の二軸性位相差フィルムを含む多層構造の場合に、位相差層は、正の一軸性位相差フィルムをさらに含むことができる。このような場合に、図6のように、位相差層で上記正の一軸性位相差フィルム1022に比べて正の二軸性位相差フィルム1023が吸収型偏光子101に近く配置されていてもよい。
【0033】
図6のような構造では、正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸は、互いに水平を成し、正の一軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、約30度~60度または約40度~50度または約45度程度であることができる。本明細書で、用語「垂直、直交、水平または平行」は、目的する効果を損傷させない範囲での実質的な垂直、直交、水平または平行を意味する。したがって、上記各用語は、例えば、±15度以内、±10度以内、±5度以内または±3度以内の誤差を含むことができる。
【0034】
図6のような構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、前述した位相差層の厚さ方向の位相差と同一の範囲にあり得る。例えば、図6の構造で正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、220nm以下、190nm以下、180nm以下、150nm以下、130nm以下または100nm以下であることができる。また、上記正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、例えば、10nm以上または40nm以上であることができる。
【0035】
図6のような構造で、正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差と正の一軸性位相差フィルムの面内の位相差は、その合計が上記位相差層の面内の位相差と同一範囲に属するように調節されることができる。例えば、正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、10nm~200nmの範囲であり、正の一軸性位相差フィルムの面内の位相差は、100nm~200nmの範囲であり、且つその合計が上記位相差層の面内の位相差の範囲に属するように各フィルムの面内の位相差が調節されることができる。
【0036】
正の二軸性位相差フィルムを含む位相差層が多層構造の場合には、また、上記位相差層は、負の二軸性位相差フィルムをさらに含むことができる。このような場合には、例えば、図7のように、偏光板で上記負の二軸性位相差フィルム1024に比べて正の二軸性位相差フィルム1023が吸収型偏光子101に近く配置されるか、あるいは図8のように、負の二軸性位相差フィルム1024が正の二軸性位相差フィルム1023に比べて吸収型偏光子101にさらに近く配置されることができる。
【0037】
図7のような構造で、正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸は、互いに水平であることができる。また、負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度~60度または約40度~50度または約45度程度であることができる。
【0038】
図7の構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差と負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値は、上記位相差層の厚さ方向の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記合計数値は、60nm~270nm、90nm~240nm、120nm~240nmまたは150nm~220nmであることができる。例えば、上記正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、約200nm~約300nm、約200nm~約270nmまたは約240nm程度であり、負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、約0nm~-180nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。また、図7の構造で、正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差と負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差の合計数値は、上記位相差層の面内の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、10nm~200nm程度であり、負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、100nm~200nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。
【0039】
一方、図8の構造では、正の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、約30度~60度または約40度~50度または約45度程度であることができる。また、負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸は、互いに水平であることができる。
【0040】
図8の構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差と負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値は、上記位相差層の厚さ方向の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記合計数値は、60nm~200nm、70nm~180nm、90nm~160nmまたは100nm~155nmであることができる。例えば、上記正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、約190nm~300nmまたは約200nm~300nmまたは約240nm程度であり、負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、-60nm~-180nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。また、図8の構造で、正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差と負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差の合計数値は、上記位相差層の面内の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記正の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、約190nm~約300nmまたは約200nm~約300nmまたは約240nm程度であり、負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、-60nm~-180nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。
【0041】
偏光板の位相差層は、他の例示で、負の二軸性位相差フィルム及びCプレートを含むことができる。上記位相差層は、負の二軸性位相差フィルムとCプレートの積層フィルムであることができる。このような場合には、例えば、図9に示されたように、Cプレート1021が吸収型偏光子101にさらに近く配置されるか、図10に示されたように、負の二軸性位相差フィルム1024が吸収型偏光子101にさらに近く配置されることができる。
【0042】
図9のような構造で、負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度~60度または約40度~50度または約45度程度であることができる。このような関係で、偏光板が適切な性能を示すことができる。図9の構造で、Cプレートの厚さ方向の位相差と負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値は、上記位相差層の厚さ方向の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記合計数値は、70nm~250nm、80nm~220nm、100nm~190nmまたは120nm~170nmであることができる。例えば、上記負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、0nm~-170nm程度であり、Cプレートの厚さ方向の位相差は、約200nm~約300nmまたは約240nmの範囲にあり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。また、図9の構造で、負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差の範囲に属するように調節されることができる。
【0043】
図10のような構造で、負の二軸性位相差フィルムの遅相軸と吸収型偏光子の光吸収軸とが成す角度は、例えば、約30度~60度または約40度~50度または約45度程度であることができる。このような関係で、偏光板が適切な性能を示すことができる。図10の構造で、Cプレートの厚さ方向の位相差と負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値は、上記位相差層の厚さ方向の位相差の範囲に属するように調節されることができ、例えば、上記合計数値は、50nm~250nm、70nm~230nm、90nm~200nmまたは110nm~180nmであることができる。例えば、上記負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差は、0nm~-160nm程度であり、Cプレートの厚さ方向の位相差は、約200nm~約300nmまたは約230nmであり、且つその合計が上記範囲に属するようにそれぞれの数値が調節されることができる。また、図10の構造で、負の二軸性位相差フィルムの面内の位相差は、前述した位相差層の面内の位相差の範囲に属するように調節されることができる。
【0044】
上記正の一軸性位相差フィルム、正または負の二軸性位相差フィルムまたはCプレートは、例えば、高分子フィルムまたは液晶フィルムであることができる。例えば、延伸により光学異方性を付与することができる光透過性の高分子フィルムを適切な方式で延伸したフィルムを使用するか、または液晶化合物を配向させて形成した液晶フィルムを使用して上記各フィルムを形成することができる。また、光学異方性を有する限り、無延伸の高分子フィルムをも使用することができる。1つの例示で、上記高分子フィルムとしては、光透過率が70%以上、80%以上または85%以上であり、吸収剤キャスト方式で製造されるフィルムを使用することができる。高分子フィルムは、通常、均質な延伸フィルムの生成可能性を考慮して、厚さが3mm以下、1μm~1mmまたは5μm~500μm程度のフィルムを使用することができる。
【0045】
高分子フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリノルボルネンフィルムなどの環状オレフィンポリマー(COP:Cycloolefin polymer)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルムまたはTAC(Triacetyl cellulose)フィルムなどのセルロースエステル系ポリマーフィルムや上記ポリマーを形成する単量体のうち2種以上の単量体の共重合体フィルムなどが例示されることができる。1つの例示で、高分子フィルムとしては、環状オレフィンポリマーフィルムまたはアクリルフィルムを使用することができる。上記で環状オレフィンポリマーとしては、ノルボルネンなどの環状オレフィンの開環重合体またはその水素添加物、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとアルファ-オレフィンのような他の共単量体の共重合体、または上記重合体または共重合体を不飽和カルボキシル酸やその誘導体などで変性させたグラフト重合体などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。上記正の一軸性位相差フィルム、正または負の二軸性位相差フィルムまたはCプレートは、また、この分野で上記各フィルムを形成することができるものと公知されている液晶フィルムを使用して形成することができる。
【0046】
上記各位相差フィルムまたは上記位相差層と吸収型偏光子は、例えば、適切な粘着剤または接着剤によって互いに付着し、光学フィルムを形成することができる。位相差フィルムまたは位相差層と吸収型偏光子は、上記接着剤層または粘着剤層を通じて直接付着していてもよく、必要に応じて、プライマー層をさらに含んで付着していてもよい。
【0047】
位相差フィルム間または位相差フィルムと偏光子を付着する方法は、特に制限されない。例えば、接着剤または粘着剤組成物を偏光子または位相差フィルムの一面にコーティングし、ラミネートした後、接着剤組成物を硬化させるか、または接着剤または粘着剤組成物を使用した液滴(dropping)方式によって偏光子または位相差フィルムをラミネートし、組成物を硬化させる方式などを使用することができる。上記で組成物の硬化は、例えば、組成物に含まれている成分を考慮して適切な強度の活性エネルギー線を適切な光量で照射して行うことができる。
【0048】
偏光板は、また、偏光子の一面、例えば、偏光子及び位相差層の間または偏光子の位相差層に当接する面とは反対側面、または上記両側面に存在する偏光子保護フィルムをさらに含むことができる。使用することができる偏光子保護フィルムの種類は、特に制限されず、この分野に公知されている通常のフィルムがすべて使用されることができる。
【0049】
本発明は、また、ディスプレイ装置に関する。例示的なディスプレイ装置は、上記偏光板を含むことができる。
【0050】
偏光板を含むディスプレイ装置の具体的な種類は、特に制限されない。上記装置は、例えば、反射型または半透過反射型液晶表示装置(Liquid Crystal Display)のような液晶表示装置であるか、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Device)などであることができる。
【0051】
ディスプレイ装置で偏光板の配置形態は、特に制限されず、例えば公知の形態が採用されることができる。例えば、反射型液晶表示装置において偏光板は、外部光の反射防止及び視認性の確保のために、液晶パネルの偏光板のうちいずれか1つの偏光板として使用されることができる。また、有機発光表示装置では、やはり外部光の反射防止と視認性の確保のために、上記偏光板は、有機発光表示装置の電極層の外側に配置されることができる。
【発明の効果】
【0052】
例示的な偏光板は、広い波長範囲で所望の特性を示すことができ、また、傾斜角での反射及び視感特性に優れている。例えば、上記偏光板は、反射型または半透過反射型液晶表示装置や有機発光表示装置などに使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】例示的な偏光板を示す図である。
図2】位相差フィルムのx、y及びz軸を模式的に表示した図である。
図3】傾斜角と動径角を説明するための図である。
図4】例示的な偏光板の模式図である。
図5】例示的な偏光板の模式図である。
図6】例示的な偏光板の模式図である。
図7】例示的な偏光板の模式図である。
図8】例示的な偏光板の模式図である。
図9】例示的な偏光板の模式図である。
図10】例示的な偏光板の模式図である。
図11】実施例の偏光板の反射率を示す図である。
図12】実施例の全方向色特性の評価結果を示す図である。
図13】実施例の偏光板の反射率を示す図である。
図14】実施例の全方向色特性の評価結果を示す図である。
図15】実施例の偏光板の反射率を示す図である。
図16】実施例の全方向色特性の評価結果を示す図である。
図17】実施例の偏光板の反射率を示す図である。
図18】実施例の全方向色特性の評価結果を示す図である。
図19】実施例の偏光板の反射率を示す図である。
図20】実施例の全方向色特性の評価結果を示す図である。
図21】実施例の偏光板の反射率を示す図である。
図22】実施例の全方向色特性の評価結果を示す図である。
図23】実施例の偏光板の反射率を示す図である。
図24】実施例の全方向色特性の評価結果を示す図である。
図25】実施例の偏光板の反射率を示す図である。
図26】実施例の全方向色特性の評価結果を示す図である。
図27】比較例の色特性の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、実施例及び比較例を参照して上記偏光板をさらに詳しく説明するが、上記偏光板の範囲が下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0055】
1.面内または厚さ方向の位相差
位相差フィルムの面内または厚さ方向の位相差は、16個のミュラーマトリックス(Muller Matrix)を測定することができるAxoscan装備(Axomatrics社製)を使用して550nm波長の光に対して測定した。Axoscan装備を使用して製造社のマニュアルによって16個のミュラーマトリックスを求め、これを通じて位相差を抽出した。
【0056】
2.反射率及び全方向色特性の評価
傾斜角50度での反射率は、実施例または比較例で製造された偏光板の吸収型偏光子側で傾斜角50度での反射度を400nm~700nm波長の光に対してスペクトロメーター(spectrometer)(N&K)を使用して測定した。また、偏光板の全方向色特性は、Eldim社のEZ-contrast機器を使用して製造社のマニュアルによって所定の視野角で反射度と色特性を測定する方式で測定した。
【0057】
実施例1
正の一軸性位相差フィルムとしては、面内の位相差が約137.5nmの液晶フィルムを使用し、Cプレートとしては、Cプレートの特性を示す公知された高分子フィルム(厚さ方向の位相差が0nm~150nm)を使用して偏光板を構成した。具体的には、PVA吸収型偏光子、上記正の一軸性位相差フィルム及びCプレートを順次積層し、図5に示された構造の偏光板を製作した。上記製作時に偏光子の光吸収軸と正の一軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約45度程度になるようにした。
【0058】
図11は、上記のような構造でCプレートの厚さ方向の位相差を0nmから150nmまで連続的に変化させながら測定した傾斜角50度での反射率であり、図12は、上記構造の偏光板の全方向色特性を示す図である。図12の(a)は、厚さ方向の位相差が0nmのCプレートが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(b)は、厚さ方向の位相差が30nmのCプレートが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(c)は、厚さ方向の位相差が60nmのCプレートが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(d)は、厚さ方向の位相差が90nmのCプレートが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(e)は、厚さ方向の位相差が120nmのCプレートが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(f)は、厚さ方向の位相差が150nmのCプレートが適用された上記構造で動径角50度での色特性である。
【0059】
実施例2
正の二軸性位相差フィルムとしては、面内の位相差が約137.5nmである高分子フィルムを使用して偏光板を構成した。具体的には、PVA吸収型偏光子及び上記正の二軸性位相差フィルムを順次積層し、偏光板を製作した。上記製作時に偏光子の光吸収軸と正の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は約45度程度になるようにした。
【0060】
図13は、上記のような構造で、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を0nmから120nmまで連続的に変化させながら測定した傾斜角50度での反射率であり、図14は、上記構造の偏光板の全方向色特性を示す図である。図14の(a)は、厚さ方向の位相差が0nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(b)は、厚さ方向の位相差が30nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(c)は、厚さ方向の位相差が60nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(d)は、厚さ方向の位相差が90nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(e)は、厚さ方向の位相差が120nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性である。
【0061】
実施例3
正の一軸性位相差フィルムとしては、面内の位相差が約137.5nmである液晶フィルムを使用し、正の二軸性位相差フィルムとして、面内の位相差が約90nmである高分子フィルムを使用して偏光板を構成した。具体的には、PVA吸収型偏光子、上記正の二軸性位相差フィルム及び正の一軸性位相差フィルムを順次積層し、図6に示された構造の偏光板を製作した。図6のような構造を有し、且つ上記偏光板の偏光子101と正の二軸性位相差フィルム1023との間には、厚さ方向の位相差が約-60nm程度であり、面内の位相差が約2~3nm程度である偏光子保護フィルム(TACフィルム)が存在した。上記製作時に、偏光子の光吸収軸と正の一軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約45度程度になるようにし、上記光吸収軸と正の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約0度程度になるようにした。図15は、上記のような構造で正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を60nmから260nmまで連続的に変化させながら測定した傾斜角50度での反射率であり、図16は、上記構造の偏光板の全方向色特性を示す図である。図16の(a)は、厚さ方向の位相差が60nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(b)は、厚さ方向の位相差が90nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(c)は、厚さ方向の位相差が120nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(d)は、厚さ方向の位相差が150nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(e)は、厚さ方向の位相差が180nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(f)は、厚さ方向の位相差が210nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(g)は、厚さ方向の位相差が240nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性である。
【0062】
実施例4
正の一軸性位相差フィルムとしては、面内の位相差が約137.5nmである液晶フィルムを使用し、正の二軸性位相差フィルムとして面内の位相差が約90nmである高分子フィルムを使用して偏光板を構成した。具体的には、PVA吸収型偏光子、上記正の二軸性位相差フィルム及び正の一軸性位相差フィルムを順次積層し、図6に示された構造の偏光板を製作し、実施例3とは異なって、偏光子101と正の二軸性位相差フィルム1023との間には偏光子保護フィルムを配置しなかった。上記製作時に、偏光子の光吸収軸と正の一軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約45度程度になるようにし、上記光吸収軸と正の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約0度程度になるようにした。
【0063】
図17は、上記のような構造で正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を0nmから150nmまで連続的に変化させながら測定した傾斜角50度での反射率であり、図18は、上記構造の偏光板の全方向色特性を示す図である。図18の(a)は、厚さ方向の位相差が0nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(b)は、厚さ方向の位相差が30nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(c)は、厚さ方向の位相差が60nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(d)は、厚さ方向の位相差が90nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(e)は、厚さ方向の位相差が120nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(f)は、厚さ方向の位相差が150nmである正の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性である。
【0064】
実施例5
正の二軸性位相差フィルムとしては、面内の位相差が約90nmである高分子フィルムを使用し、負の二軸性位相差フィルムとして面内の位相差が約137.5nmである高分子フィルムを使用して偏光板を構成した。具体的には、PVA吸収型偏光子、上記正の二軸性位相差フィルム及び負の二軸性位相差フィルムを順次積層し、図7に示された構造の偏光板を製作した。上記製作時に、偏光子の光吸収軸と正の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約0度程度になるようにし、上記光吸収軸と負の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約45度程度になるようにした。
【0065】
図19は、上記のような構造で、正の二軸性位相差フィルムと負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値を90nmから240nmまで連続的に変化させながら測定した傾斜角50度での反射率であり、図20は、上記構造の偏光板の全方向色特性を示す図である。図19の反射率の測定時には、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を240nmに固定し、負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を変化させた。図20の(a)は、厚さ方向の位相差が60nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-180nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(b)は、厚さ方向の位相差が240nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-150nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(c)は、厚さ方向の位相差が240nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-120nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(d)は、厚さ方向の位相差が240nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-90nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角での色特性であり、(e)は、厚さ方向の位相差が240nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-60nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角での色特性であり、(f)は、厚さ方向の位相差が240nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-30nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性である。
【0066】
実施例6
正の二軸性位相差フィルムとしては、面内の位相差が約137.5nmである高分子フィルムを使用し、負の二軸性位相差フィルムとして面内の位相差が約-100nmである高分子フィルムを使用して偏光板を構成した。具体的には、PVA吸収型偏光子、上記負の二軸性位相差フィルム及び正の二軸性位相差フィルムを順次積層し、図8に示された構造の偏光板を製作した。上記製作時に、偏光子の光吸収軸と正の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約45度程度になるようにし、上記光吸収軸と負の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約0度程度になるようにした。図21は、上記のような構造で正の二軸性位相差フィルムと負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値を60nmから180nmまで連続的に変化させながら測定した傾斜角50度での反射率であり、図22は、上記構造の偏光板の全方向色特性を示す図である。図21の反射率の測定時には、正の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を180nmに固定し、負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を変化させた。図22の(a)は、厚さ方向の位相差が180nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-120nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(b)は、厚さ方向の位相差が180nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-90nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(c)は、厚さ方向の位相差が180nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-60nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(d)は、厚さ方向の位相差が180nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が-30nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(e)は、厚さ方向の位相差が180nmである正の二軸性位相差フィルムと厚さ方向の位相差が0nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性である。
【0067】
実施例7
Cプレートとして厚さ方向の位相差が約240nmである高分子フィルムを使用し、負の二軸性位相差フィルムとして面内の位相差が約137.5nmである高分子フィルムを使用して偏光板を構成した。具体的には、PVA吸収型偏光子、上記Cプレート及び負の二軸性位相差フィルムを順次積層し、図9に示された構造の偏光板を製作した。上記製作時に、偏光子の光吸収軸と負の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約45度程度になるようにした。図23は、上記のような構造でCプレートと負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値を70nmから220nmまで連続的に変化させながら測定した傾斜角50度での反射率であり、図24は、上記構造の偏光板の全方向色特性を示す図である。図23の反射率の測定時には、Cプレートの厚さ方向の位相差を240nmに固定し、負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を変化させた。図24の(a)は、厚さ方向の位相差が240nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-130nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(b)は、厚さ方向の位相差が240nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-100nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(c)は、厚さ方向の位相差が240nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-90nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(d)は、厚さ方向の位相差が240nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-60nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(e)は、厚さ方向の位相差が240nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-30nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(f)は、厚さ方向の位相差が240nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が0nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性である。
【0068】
実施例8
Cプレートとして厚さ方向の位相差が約230nm高分子フィルムを使用し、負の二軸性位相差フィルムとして面内の位相差が約137.5nmである高分子フィルムを使用して偏光板を構成した。具体的には、PVA吸収型偏光子、上記負の二軸性位相差フィルム及びCプレートを順次積層し、図10に示された構造の偏光板を製作した。上記製作時に、偏光子の光吸収軸と負の二軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約45度程度になるようにした。
【0069】
図25は、上記のような構造でCプレートと負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差の合計数値を70nmから220nmまで連続的に変化させながら測定した傾斜角50度での反射率であり、図26は、上記構造の偏光板の全方向色特性を示す図である。図25の反射率の測定時には、Cプレートの厚さ方向の位相差を230nmに固定し、負の二軸性位相差フィルムの厚さ方向の位相差を変化させた。図26の(a)は、厚さ方向の位相差が230nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-150nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(b)は、厚さ方向の位相差が-120nmであるCプレートと厚さ方向の位相差がnmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角での色特性であり、(c)は、厚さ方向の位相差が230nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-90nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(d)は、厚さ方向の位相差が230nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-60nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(e)は、厚さ方向の位相差が230nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が-30nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性であり、(f)は、厚さ方向の位相差が230nmであるCプレートと厚さ方向の位相差が0nmである負の二軸性位相差フィルムが適用された上記構造で動径角50度での色特性である。
【0070】
比較例1
正の一軸性位相差フィルムとして、面内の位相差が約137.5nm程度である高分子フィルムをPVA吸収型偏光子の一面に付着し、偏光板を製作した。上記製作時に、偏光子の光吸収軸と正の一軸性位相差フィルムの遅相軸とが成す角度は、約45度程度になるようにした。
【0071】
図27は、上記のような構造の偏光板に対して測定した傾斜角50度及び動径角50度での色特性である。また、上記比較例1の場合、傾斜角50度での反射率が約14.9%であった。
【符号の説明】
【0072】
100 位相差フィルム
101 偏光子
102 位相差層
1021 Cプレート
1022 正の一軸性位相差フィルム
1023 正の二軸性位相差フィルム
1024 負の二軸性位相差フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27