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特許7004393粘着組成物およびその硬化物を含む粘着フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】粘着組成物およびその硬化物を含む粘着フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20220114BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20220114BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20220114BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J133/00
C09J7/38
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020508494
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 KR2018012372
(87)【国際公開番号】W WO2019078656
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-02-14
(31)【優先権主張番号】10-2017-0136849
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ホ・キョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】スレ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・マン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・スン・キム
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/115224(WO,A1)
【文献】特開2002-285105(JP,A)
【文献】国際公開第2011/040422(WO,A1)
【文献】特開2008-239872(JP,A)
【文献】特開平04-145183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、カルボキシ基含有単量体、およびアミン基含有単量体を含み、
前記アミン基含有単量体は、総単量体100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下の含有量で含まれ、
前記アミン基含有単量体は、ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、N-ビニルピロリドン、N-メタクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、2-メチル-2-オキサゾリン、2-エチル-2-オキサゾリン、N-イソプロピル-2-オキサゾリン、およびエチレンイミンのうちの少なくとも1つを含み、
前記カルボキシ基含有単量体は、総単量体100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下の含有量で含まれ、
ヒドロキシ基含有単量体を含まない、粘着組成物。
【請求項2】
前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、総単量体100重量部に対して、60重量部以上80重量部以下の含有量で含まれる、請求項1に記載の粘着組成物。
【請求項3】
前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、総単量体100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下の含有量で含まれる、請求項1または2に記載の粘着組成物。
【請求項4】
前記粘着組成物は、無溶剤型である、請求項1~のいずれか一項に記載の粘着組成物。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルム。
【請求項6】
前記粘着フィルムのゲル含有量は、60%以上95%以下である、請求項に記載の粘着フィルム。
【請求項7】
前記粘着フィルムは、下記式1を満足する、請求項またはに記載の粘着フィルム:
[式1]
Y-X≦10
前記式1中、
Xは、前記粘着フィルムを製膜した後のゲル含有量(%)を意味し、
Yは、前記粘着フィルムを製膜した後に60℃の温度で7日間放置した後のゲル含有量(%)を意味する。
【請求項8】
前記粘着フィルムの厚さは、25μm以上250μm以下である、請求項のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
【請求項9】
前記粘着フィルムのガラス転移温度は、-40℃以上-20℃以下である、請求項のいずれか一項に記載の粘着フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2017年10月20日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0136849号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、粘着組成物およびその硬化物を含む粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
表示装置には多様な光学部材が粘着フィルムによって付着できる。前記粘着フィルムは、表示装置が外部環境に晒しても長時間粘着性を維持しなければならない。したがって、前記粘着フィルムの粘着物性を向上させるための研究が活発に行われている。
【0004】
特に、前記粘着フィルムがスマートディスプレイなどのような小型表示装置に適用される場合、薄い厚さの表示装置を好む近年の消費者の需要に応じて表示装置の総厚さを最小化することが、近年の技術的傾向である。
【0005】
一般的に、表示装置のカバー部材は、表示部とベゼル領域とを区分するために段差を有する印刷層が別途に形成される。ただし、この場合、印刷層による段差によってカバー部材と表示部材との間のエアギャップ(Air Gap)が形成されることにより、表示装置の総厚さが増加する問題点があった。
【0006】
これによって、前記表示装置の総厚さを最小化するための方法の一環として、カバー部材と表示部材との間に粘着フィルムを直接埋め込むことにより、カバー部材と表示部材との間のエアギャップを形成しないダイレクトボンディング(Direct Bonding)方式が浮上している。
【0007】
すなわち、粘着フィルムが部材上に形成された段差を十分に埋め込むことにより、前記表示装置の総厚さを減少させると同時に、前記カバー部材と表示部材との間の粘着力を確保できる方法が浮上している。
【0008】
また、このようなカバー部材と表示部材とを付着させて表示装置を製造する工程中、配列(Align)に問題があるような不良が発生した製品を廃棄する場合、廃棄物による環境汚染をはじめとする経済的損失が発生するが、相対的に安価な粘着フィルムが容易に除去できれば、高価な部品の再利用が可能で再作業性を向上させることができる。
【0009】
ただし、従来の粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルムは、時間に応じてゲル含有量が増加して粘着物性が低下する経時変化の問題点を抱えていた。すなわち、従来の粘着フィルムは、時間に応じて粘着物性が変化して前記カバー部材と表示部材との間に形成された段差を十分に埋め込むことができないので、前記カバー部材と表示部材との間の浮き上がり現象などを発生させる問題点があった。
【0010】
また、従来の粘着フィルムは、カバー部材と表示部材とを付着させた後に除去する過程で前記部材上に残留物が残ってしまい、再作業性が低下する問題点があった。
【0011】
そこで、カバー基材と表示部材との間の段差を十分に埋め込むことにより、前記カバー基材と表示部材との付着力を向上させながらも再作業性が容易な粘着フィルムを提供可能な粘着組成物に関する研究が必要なのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2016-0011785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、粘着組成物およびその硬化物を含む粘着フィルムを提供しようとする。
【0014】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていない他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施態様は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、カルボキシ基含有単量体、およびアミン基含有単量体を含み、前記アミン基含有単量体は、総単量体100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下の含有量で含まれる粘着組成物を提供する。
【0016】
本発明の他の実施態様は、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルムを提供する。
【0017】
本発明のさらに他の実施態様は、前記粘着組成物を用いて製造された粘着フィルムを提供する。
【0018】
本発明の一実施態様は、第1外郭粘着フィルム;中間粘着フィルム;および第2外郭粘着フィルムが順次に備えられ、前記中間粘着フィルムは、前記粘着フィルムを含む多層粘着シートを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施態様は、高い段差を有する基材に十分に埋め込まれるという利点がある粘着フィルムを提供することができる。
【0020】
本発明の一実施態様に係る粘着フィルムは、高温・高湿の極限条件に放置されても優れた粘着物性を維持することができる。
【0021】
本発明の一実施態様に係る粘着フィルムは、白濁抑制性能に優れている。
【0022】
本発明の一実施態様に係る粘着フィルムは、被着体に付着させた後に除去しても、被着体への残留物がほとんど残らず再作業が容易である。
【0023】
本発明の一実施態様に係る粘着フィルムは、粘着物性が時間経過後にも低下せずに維持できる。
【0024】
本発明の一実施態様に係る多層粘着シートは、高い段差埋め込み性を示し、同時に、高いリワーク性を有するという利点がある。
【0025】
また、本発明の一実施態様に係る多層粘着シートは、高い打抜性を有するので、裁断時の誤差を最小化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0027】
本明細書において、単位「重量部」は、各成分間の重量の比率を意味することができる。
【0028】
本明細書において、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味することができる。
【0029】
本明細書において、用語「単量体に由来する繰り返し単位」は、その単量体が重合反応を経てその重合体の骨格、例えば、主鎖または側鎖を形成している形態を意味することができる。
【0030】
本明細書において、用語「単量体」は、重合体を形成するための単位体を意味することができ、同一の繰り返し単位からなるプレポリマーを意味することができる。
【0031】
本明細書において、ある部材の厚さは、当該部材の断面を厚さゲージ(gauge)で測定するか、当該部材の断面を光学顕微鏡で観察することで得られた任意の10点の測定値の平均値であってもよい。当該部材の厚さが非常に薄い場合には、高倍率で観察された写真を拡大して測定することができ、拡大時、層間界面ラインを幅方向に二等分した中心部分を境界線として測定することができる。
【0032】
本明細書において、用語「アルキル基」は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素鎖構造を含むことを意味することができ、炭素数1~20の直鎖状または分枝状の炭素鎖構造を含むことを意味することができる。
【0033】
本明細書において、シクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素環構造を含むことを意味することができ、炭素数2~20の単一環(monocyclic ring)または多重環(polycyclic ring)を含むことを意味することができる。
【0034】
本明細書において、用語「ゲル含有量」は、下記式2により求めた値を意味することができる。
[式2]
ゲル含有量(%)=(C-B)/A
式2中、
前記Aは、5cm×5cmの大きさに裁断した試験片の重量であって、前記試験片の入ったポリエチレン素材の瓶の重量と空きのポリエチレン素材の瓶の重量との差で測定されたものであり、
前記Bは、14cm×14cmの大きさに裁断した鉄製網の重量を意味し、
前記Cは、ポリエチレン瓶に入った前記試験片をエチルアセテートで24時間常温(25℃)で膨張させ、鉄製網で濾過した後、前記試験片の残留物が残っている前記鉄製網を110℃の恒温条件で2時間乾燥した後に測定した重量を意味する。
【0035】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0036】
本発明の一実施態様は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、カルボキシ基含有単量体、およびアミン基含有単量体を含み、前記アミン基含有単量体は、総単量体100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下の含有量で含まれる粘着組成物を提供する。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、カルボキシ基含有単量体、およびアミン基含有単量体を含むことができる。
【0038】
具体的には、前記粘着組成物は、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、およびカルボキシ基含有単量体を含むことにより、光学的に透明(Optically Clear)な形態を形成することができる。これによって、多様な分野の表示装置に適用可能であるという利点がある。
【0039】
また、本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、ヒドロキシ基含有単量体を含まなくてもよい。
【0040】
従来の粘着組成物は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体;シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体;およびカルボキシ基含有単量体およびヒドロキシ基含有単量体を含み、白濁の発生を抑制することができた。ただし、従来の粘着組成物は、ヒドロキシ基含有単量体のヒドロキシ基(-OH)とカルボキシ基含有単量体のカルボキシ基(-COOH)とが反応して硬化物を形成することにより、時間経過によって粘着物性が低下する経時変化の問題点があった。
【0041】
これによって、本発明の一実施態様に係る粘着組成物は、前記ヒドロキシ基含有単量体を含まず、前記ヒドロキシ基含有単量体の代わりにアミン基含有単量体を含む。したがって、白濁の発生を抑制することができ、同時に、前述した経時変化の問題点を解決することができるという利点がある。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、前述したアルキル基が(メタ)アクリレートに結合した形態であってもよい。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、前記粘着組成物において基底単量体として作用することにより、前記粘着組成物の構造的安定性を実現することができる。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、メタクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、およびイソオクチル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができる。ただし、これに限定されるものではなく、前述したアルキル基が一側に結合した(メタ)アクリレート単量体であれば、当業界で知られたものの中から適宜選択可能である。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、前述したシクロアルキル基が(メタ)アクリレートに結合した形態であってもよい。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体および前記カルボキシ基含有単量体の重合反応を仲介することができ、これによって、前記粘着組成物の構造的安定性および優れた粘着物性を実現することができる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、イソボルニルメタクリレート(IBOMA)、イソボルニルメチル(メタ)アクリレート、および3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(TMCHA、3,3,5-trimethylcyclohexylacrylate)のうちの少なくとも1つを含むことができる。ただし、これに限定されず、前述したシクロアルキル基が一側に結合した(メタ)アクリレート単量体であれば、当業界で知られたものの中から適宜選択可能である。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、カルボキシ基含有単量体を含むことができる。
【0049】
具体的には、前記粘着組成物は、前記カルボキシ基含有単量体を含むことにより、高い粘着物性を実現することができる。
【0050】
また、本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、ヒドロキシ基含有単量体を含まなくてもよい。
【0051】
前記粘着組成物が前記ヒドロキシ基含有単量体を含まないことにより、高温・高湿の極限条件でも粘着物性が変化する経時変化の問題点を抑制することができる。
【0052】
具体的には、前記粘着組成物は、既存の粘着組成物が主に含んでいたヒドロキシ基含有単量体の代わりにアミン基含有単量体をさらに含むことにより、経時変化特性および白濁の発生を抑制することができるという利点がある。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記カルボキシ基含有単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、およびアクリル酸二量体のうちの少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0054】
前記ヒドロキシ基含有単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1つを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、カルボキシ基含有(メタ)アクリレート単量体、およびアミン基含有単量体は、この後、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルムの形成時、互いに重合できる。
【0056】
すなわち、後述する粘着フィルムは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体に由来する重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体に由来する重合単位、カルボキシ基含有単量体に由来する重合単位、およびアミン基含有単量体に由来する重合単位を含むことができる。
【0057】
また、本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、無溶剤型であってもよい。
【0058】
すなわち、前記粘着組成物は、溶媒を含まなくてもよい。
【0059】
そのため、本発明の一実施態様に係る粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルムは、前記粘着組成物を塊状重合(bulk polymerization)して形成されるものであってもよい。
【0060】
また、前記重合方法は特に制限されず、前記粘着フィルムは、前記粘着組成物を当業界で一般的に知られた熱重合、光重合、および熱重合と光重合とのデュアル重合(dual polymerization)方法で重合して形成されるものであってもよい。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、重合開始剤を必要に応じてさらに含んでもよい。ただし、前記重合開始剤の種類は特に制限されるものではなく、組成物中に含まれた単量体の重合反応を開始するために、当業界における一般的な重合開始剤の中から自由に選択可能である。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、硬化剤を必要に応じてさらに含んでもよい。すなわち、後述する前記粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルムは、前記粘着組成物の硬化反応により形成されるものであってもよい。
【0063】
また、前記硬化剤の種類は特に制限されるものではなく、当業界で知られた一般的な硬化剤の中から自由に選択されるものであってもよい。
【0064】
本明細書において、用語「硬化剤」は、単量体間のブリッジ結合を起こして形成された重合体の硬化反応を誘導して、前記重合体の強度を向上させるための用途に使用される化合物を意味することができる。
【0065】
また、前記粘着組成物の硬化反応は、前述した重合反応と同時に行われるものであってもよい。
【0066】
さらに、前記硬化反応の方法は特に制限されず、前記粘着フィルムは、前記粘着組成物を当業界で一般的に知られた熱硬化、光硬化、および熱硬化と光硬化とのデュアル硬化(dual curing)方法で硬化して形成されるものであってもよい。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着組成物は、架橋剤を必要に応じてさらに含んでもよい。ただし、前記架橋剤の種類は特に制限されず、当業界で一般的に知られた架橋剤の中から自由に選択可能である。
【0068】
本明細書において、用語「架橋剤」は、単量体間のブリッジ結合を起こして重合体を形成するための用途に使用される化合物を意味することができる。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記アミン基含有単量体は、総単量体100重量部に対して、1重量部以上10重量部以下、1重量部以上7重量部以下、3重量部以上10重量部以下、または3重量部以上7重量部以下の含有量で含まれる。
【0070】
前記範囲において、前記粘着組成物は、白濁現象を最小化しながらも経時変化を抑制可能な粘着フィルムを提供することができる。一方、前記アミン基含有単量体の含有量が1重量部未満の場合、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルムは、白濁現象が発生することがある。そして、前記アミン基含有単量体の含有量が10重量部超過の場合には、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルムは、段差を十分に埋め込むことができず、色差(b*)値が大きくなる。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、総単量体100重量部に対して、60重量部以上80重量部以下、60重量部以上75重量部以下、65重量部以上80重量部以下、または65重量部以上75重量部以下の含有量で含まれる。
【0072】
前記含有量範囲において、前記粘着組成物は、優れた白濁抑制性能を有し、経時変化の問題点を緩和可能な粘着フィルムを提供することができる。
【0073】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、総単量体100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下、5重量部以上15重量部以下、7重量部以上20重量部以下、または7重量部以上15重量部以下の含有量で含まれる。
【0074】
前記範囲内において、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体が形成した基本骨格に結合して、前記基本骨格の安定性を向上させることができる。これによって、前記粘着組成物は、高い機械的物性を有し、外部環境の変化でも粘着物性が低下しない粘着フィルムを提供することができる。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記カルボキシ基含有単量体は、総単量体100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下、5重量部以上15重量部以下、7重量部以上20重量部以下、または7重量部以上15重量部以下の含有量で含まれる。
【0076】
前記範囲内において、前記カルボキシ基含有単量体は、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、およびアミン基含有単量体それぞれに結合して、前記粘着組成物を構成する基本骨格に粘着性を付与することができる。これによって、前記粘着組成物は、高い粘着物性を有することができ、外部環境の変化による粘着物性の低下現象が発生せず、白濁の発生が抑制された粘着フィルムを提供することができる。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記アミン基含有単量体は、ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-メチル-N-ビニルアセトアミド、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、N-ビニルピロリドン、4-アクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、2-メチル-2-オキサゾリン、2-エチル-2-オキサゾリン、N-イソプロピル-2-オキサゾリン、およびエチレンイミンのうちの少なくとも1つを含むことができる。具体的には、前記アミン基含有単量体は、ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、およびN-メチル-N-ビニルアセトアミドのうちの少なくとも1つを含むことができ、より具体的には、前記アミン基含有単量体は、ジメチルアクリルアミドを含むことができる。
【0078】
前記粘着組成物は、前述のように、前記アミン基含有単量体を含むことにより、従来の粘着組成物が抱えていた経時変化特性の問題点を解決しながらも白濁発生現象を抑制可能な粘着フィルムを提供することができる。
【0079】
本発明の他の実施態様は、粘着フィルムを提供する。
【0080】
本発明の一実施態様は、前記粘着組成物の硬化物を含む粘着フィルムを提供する。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムは、前述のように、前記粘着組成物を塊状重合して形成されたものであってもよい。
【0082】
また、本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムは、前述のように、前記粘着組成物を硬化して形成されたものであってもよい。さらに、前述のように、前記粘着組成物の重合および/または硬化は、同時に行われるものであってもよい。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムは、ヒドロキシ基を含まないものであってもよい。
【0084】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムは、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、カルボキシ基含有単量体、およびアミン基含有単量体を含む粘着組成物を重合して形成されるものであってもよい。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムは、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体に由来する重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体に由来する重合単位、カルボキシ基含有単量体に由来する重合単位、およびアミン基含有単量体に由来する重合単位を含む重合体を含むことができる。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムのゲル含有量は、60%以上95%以下であってもよい。
【0087】
前記範囲内において、優れた粘着物性および機械的強度を有し、白濁現象を抑制可能な粘着フィルムを提供することができる。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記ゲル含有量は、前記粘着フィルム内に含まれた固形分の含有量を意味することができる。
【0089】
すなわち、前記ゲル含有量は、前記粘着フィルム内に含まれた固相(solid phase)の不揮発性物質の含有量を意味することができ、製造された粘着フィルムを溶剤に入れてふやかした後、鉄網で濾過し、乾燥した後の残留物の含有量を意味することができる。
【0090】
より具体的には、前記粘着フィルムのゲル含有量は、前述した式2により測定されるものであってもよい。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムは、下記式1を満足することができる:
[式1]
Y-X≦10
前記式1中、Xは、前記粘着フィルムを製膜した後のゲル含有量(%)を意味し、Yは、前記粘着フィルムを製膜した後に60℃の温度で7日間放置した後のゲル含有量(%)を意味する。
【0092】
具体的には、前記粘着フィルムが前記式1を満足することは、前記粘着フィルムが、時間が経過しても前記粘着フィルムのゲル含有量の増加量が大きくないことを意味することができる。これによって、前記粘着フィルムが有する優れた粘着物性が時間経過によっても変化しないこと、すなわち経時変化特性が抑制されたことを意味することができる。
【0093】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムの厚さは、25μm以上250μm以下、25μm以上200μm以下、25μm以上150μm以下、50μm以上250μm以下、50μm以上200μm以下、50μm以上150μm以下、100μm以上250μm以下、100μm以上200μm以下、または100μm以上150μm以下であってもよい。
【0094】
前記範囲内において、前記粘着フィルムが前述した表示装置の総厚さを減少させて相溶性を高めることができ、前記カバー部材と表示部材とが十分に接合されるようにできる。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムのガラス転移温度は、-40℃以上-20℃以下であってもよい。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムのガラス転移温度(Tg)は、前記粘着フィルムをDSC(Differential Scanning Calorimeter)(Q-1000、TA Instrument社(製))を用いて、-70℃~100℃の温度範囲で加熱速度5℃/minで昇温して測定して、DSC曲線の中間点で決定された値であってもよい。
【0097】
前記範囲内において、前記粘着フィルムは、これを用いた部材の貼着作業時、扱いやすいという利点がある。
【0098】
本発明の他の実施態様は、前記粘着組成物を用いて製造された粘着フィルムを提供する。
【0099】
本発明の一実施態様によれば、前記粘着フィルムは、前記粘着組成物を硬化して製造されたものであってもよい。また、前記硬化の方法は特に制限されるものではなく、当業界で一般的に知られた熱硬化、光硬化、熱-光のデュアル硬化などの方法を利用することができる。
【0100】
すなわち、前記粘着フィルムは、前記粘着組成物を硬化して製造された前記粘着組成物の硬化物を含むことができる。
【0101】
本発明の他の実施態様は、多層粘着シートを提供する。
【0102】
本発明の一実施態様は、第1外郭粘着フィルム;中間粘着フィルム;および第2外郭粘着フィルムが順次に備えられ、前記中間粘着フィルムは、前記粘着フィルムを含む多層粘着シートを提供する。前記中間粘着フィルムは、本発明の一実施態様に係る前記粘着組成物を硬化して製造した前記粘着フィルムであってもよい。
【0103】
前記多層粘着シートは、優れたリワーク性および段差埋め込み性を確保することができ、白濁の発生および経時変化の問題を解決するという利点がある。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外郭粘着フィルムに含まれる第1外郭粘着重合体は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体および極性官能基含有単量体を含む第1外郭粘着組成物を溶液重合して形成されたものであってもよい。
【0105】
また、前記第2外郭粘着フィルムに含まれる第2外郭粘着重合体は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体および極性官能基含有単量体を含む第2外郭粘着組成物を溶液重合して形成されたものであってもよい。
【0106】
具体的には、前記組成物の熱重合および/または光重合により前記外郭粘着重合体を製造するものであってもよい。具体的には、前記組成物の熱重合および/または光重合により前記外郭粘着重合体を製造するものであってもよい。また、前記外郭粘着重合体を形成するための組成物は、当業界で一般的に用いられる架橋剤、開始剤、粘着付与剤などを必要に応じてさらに含んでもよい。
【0107】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外郭粘着フィルムおよび前記第2外郭粘着フィルムは、同じ組成の組成物を用いて形成されたものであってもよい。さらに、本発明の一実施態様によれば、前記第1外郭粘着フィルムおよび前記第2外郭粘着フィルムの厚さは同一であってもよい。
【0108】
本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着シートは、前記第1外郭粘着フィルムと中間粘着フィルムとの間に備えられた第1界面混合フィルム;および前記第2外郭粘着フィルムと前記中間粘着フィルムとの間に備えられた第2界面混合フィルムをさらに含んでもよい。
【0109】
具体的には、前記第1界面混合層は、前記第1外郭粘着フィルムを構成する物質と前記中間粘着フィルムを構成する物質とをすべて含み、前記第2界面混合層は、前記第2外郭粘着フィルムを構成する物質と前記中間粘着フィルムを構成する物質とをすべて含むことができる。
【0110】
本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着シートは、第1外郭粘着組成物、前記粘着組成物、および第2外郭粘着組成物を順次に積層した後、同時に硬化して製造されるものであってもよい。また、前記多層粘着シートは、第1外郭粘着組成物、前記粘着組成物、および第2外郭粘着組成物を順次に積層した後、同時に光硬化して製造されるものであってもよい。
【0111】
前記第1外郭粘着組成物は、硬化後、前記第1外郭粘着フィルムを構成し、前記組成物は、硬化後、中間粘着フィルムを構成し、前記第2外郭粘着組成物は、硬化後、前記第2外郭粘着フィルムを構成することができる。
【0112】
具体的には、前記多層粘着シートは、各層を別途に製造した後、これを接合するのではなく、液状組成物を積層した後、これを同時に硬化する方法で製造されるので、各層の間に液混じりの区間が発生することがある。このような液混じりの区間によって、一般的な多層粘着シートに比べて優れた層間付着力を確保することができ、極低温の環境でも層間界面分離現象を防止することができる。
【0113】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外郭粘着組成物と前記中間粘着組成物との界面、および前記中間粘着組成物および前記外郭粘着組成物の界面はそれぞれ、液混じりによる界面層が存在することができる。具体的には、前記第1外郭粘着組成物と前記中間粘着組成物との界面での液混じりによる界面層は、硬化後、前記第1界面混合層を構成することができる。また、前記中間粘着組成物と前記第2外郭粘着組成物との界面での液混じりによる界面層は、硬化後、前記第2界面混合層を構成することができる。前記中間粘着組成物は、前記粘着組成物と同一のものを意味することができる。
【0114】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外郭粘着組成物、前記中間粘着組成物、および前記第2外郭粘着組成物は、順次に基材上に塗布される。また、前記第1外郭粘着組成物、前記中間粘着組成物、および前記第2外郭粘着組成物は、同時に基材上に順次に塗布される。前記塗布する方法は、スロット-ダイ、リップ-ダイなど当業界で一般的に用いられる方法が利用可能である。
【0115】
本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着シートは、前記中間粘着組成物および前記外郭粘着組成物をそれぞれフィルムに硬化した後、これを貼り合わせ工程で形成するものであってもよい。具体的には、第1外郭粘着フィルム、中間粘着フィルム、および第2外郭粘着フィルムをそれぞれ別途にフィルム形態に製造した後、これを順次に積層した後、圧着して前記多層粘着シートを製造することができる。
【0116】
ただし、上記の製造方法に限定されるものではなく、当業界で一般的に適用する製造法を用いて製造できる。
【実施例
【0117】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0118】
<粘着組成物の製造>
実施例1
単量体として、75重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、10重量部のアクリル酸、および5重量部のジメチルアクリルアミドを含み、光開始剤(Irgacure651、Ciba社)0.2重量部、硬化剤(ヘキサジオールジアクリレート、HDDA)0.1重量部、および架橋剤(SUO-1020、SHIN-A T&C社)1重量部を含む粘着組成物を製造した。
【0119】
実施例2
単量体として、70重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、10重量部のアクリル酸、および10重量部のジメチルアクリルアミドを含むことを除けば、実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。
【0120】
比較例1
単量体として、80重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、および10重量部のアクリル酸を含むことを除けば、実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。
【0121】
比較例2
単量体として、68重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、5重量部のジメチルアクリルアミド、7重量部のヒドロキシブチルアクリレート、および10重量部のアクリル酸を含むことを除けば、実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。
【0122】
比較例3
単量体として、70重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、3重量部のジメチルアクリルアミド、7重量部のヒドロキシブチルアクリレート、および10重量部のアクリル酸を含むことを除けば、実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。
【0123】
比較例4
単量体として、73重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、7重量部のヒドロキシブチルアクリレート、および10重量部のアクリル酸を含むことを除けば、実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。
【0124】
比較例5
単量体として、72重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、5重量部のジメチルアクリルアミド、3重量部のヒドロキシブチルアクリレート、および10重量部のアクリル酸を含むことを除けば、実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。
【0125】
比較例6
単量体として、68重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、5重量部のジメチルアクリルアミド、7重量部のヒドロキシエチルアクリレート、および10重量部のアクリル酸を含むことを除けば、実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。
【0126】
比較例7
単量体として、72重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、5重量部のジメチルアクリルアミド、3重量部のヒドロキシエチルアクリレート、および10重量部のアクリル酸を含むことを除けば、実施例1と同様の方法で粘着組成物を製造した。
【0127】
前記実施例1および比較例1~比較例7の単量体の成分および含有量をまとめると、下記表1の通りである。
【0128】
【表1】
【0129】
*単位:重量部
*2-EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(2-Ethylhexyl Acrylate)
*IBOMA:イソボルニルメタクリレート(Isobonyl Methacrylate)
*DMAA:ジメチルアクリルアミド(Dimethylamylamine)
*HBA:ヒドロキシブチルアクリレート(Hydroxybutyl Acrylate)
*HEA:ヒドロキシエチルアクリレート(Hydroxyethyl Acrylate)
*AA:アクリル酸(Acrylic Acid)
【0130】
<粘着フィルムの製造および評価>
前記実施例1、2および比較例1~比較例7による粘着組成物をUV硬化して粘着フィルムを製造した。
【0131】
前記粘着フィルムに対する物性評価結果は、下記表2の通りである。
【0132】
【表2】
【0133】
前記表2において、(1)は、粘着フィルムを製膜した後のゲル含有量を意味し、(2)は、粘着フィルムを製膜した後に60℃の温度および7日間放置した後のゲル含有量を示すものである。
【0134】
また、粘着フィルムの製膜後のゲル含有量、および粘着フィルムの製膜後に60℃および7日放置した後のゲル含有量は、前述した式2に示された方法により測定された。
【0135】
経時変化評価
粘着フィルムの製膜後のゲル含有量と粘着フィルムの製膜後に60℃および7日放置した後のゲル含有量との差、具体的には、60℃および7日放置した後の製膜された粘着フィルムのゲル含有量の増加量を基準として示した。より具体的には、製膜後に60℃および7日放置した後のゲル含有量の増加量が10%超過の場合をX、10%以下の場合を○と表した。
【0136】
白濁抑制性能評価
前記粘着フィルムを1.1Tの厚さのガラス基材に2kgのローラを用いて付着させ、その上に0.55Tの厚さのガラス基材を積層した。そして、40℃および4barの条件のオートクレーブに20分間放置した後、3Jの紫外線を照射した。さらに、紫外線の照射後の試験片を80℃の温度および95RH%の相対湿度条件のオーブンに入れて、3日後に白濁発生の有無を肉眼で確認した。
【0137】
ガラス基材の全体面積対比の白濁発生面積が10%以下の場合を◎、10%超過30%以下の場合を○、30%超過70%以下の場合を△、70%を超える場合を×と表した。
【0138】
また、前記白濁抑制性能評価が△の場合までは相溶性が確保されて表示装置に使用できると考えられた。
【0139】
表2の結果によれば、前記実施例1による粘着フィルムは、ヒドロキシ基含有単量体を含まないことにより、経時変化を抑制することができ、アミン基含有単量体を本発明の一実施態様に係る範囲に含むことにより、白濁抑制性能が相溶性を確保できる程度に十分であることを確認することができた。また、実施例2による粘着フィルムは、経時変化を抑制することができ、白濁抑制性能に優れていることを確認することができた。
【0140】
これに対し、アミン基含有単量体を含まない比較例1の場合、経時変化を抑制することができるが、白濁抑制性能を確保できず相溶性が低下することを確認することができた。
【0141】
アミン基含有単量体を含むものの、ヒドロキシ基含有単量体を除外しない比較例2~比較例7の場合、白濁抑制性能を確保できる場合も存在するが、前記比較例2~比較例7による粘着フィルムはいずれも経時変化を抑制することができず、高温・高湿の極限条件に晒す場合、粘着力が低下することを確認することができた。
【0142】
前記内容をまとめてみれば、ヒドロキシ基含有単量体を含まず、アミン基含有単量体を本発明の一実施態様に係る範囲に含んでこそ、白濁および経時変化を抑制する粘着フィルムを提供可能であることを確認することができた。
【0143】
また、本発明の一実施態様に係る粘着フィルムを中間粘着フィルムとして含む多層粘着シートを製造する場合、このような多層粘着シートは、優れた段差埋め込み性およびリワーク性を有することを十分に予想することができる。