(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ポンプ、塗布装置および塗布方法
(51)【国際特許分類】
F04B 53/06 20060101AFI20220114BHJP
【FI】
F04B53/06
(21)【出願番号】P 2017217646
(22)【出願日】2017-11-10
【審査請求日】2020-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 士朗
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-054698(JP,A)
【文献】特開2007-303402(JP,A)
【文献】特開平03-222875(JP,A)
【文献】特開2012-251460(JP,A)
【文献】特開2016-070132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 53/06
F04B 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配置され、液体が収容される可撓性部材と、
作動流体を収容するシリンダ部と、
前記シリンダ部に対して往復移動可能に挿入され、前記筐体と前記可撓性部材との隙間に前記作動流体を供給して前記可撓性部材から前記液体を排出させるプランジャと、を含み、
前記筐体は、前記液体の流動方向に対して直交する第一面と、前記第一面に対向する第二面と、を有し、
前記筐体は、前記第一面の中心が前記第二面の中心よりも上側に位置するように傾斜し、
前記第一面には、前記可撓性部材に連通する第一連通口と、前記可撓性部材に連通するエア抜き口と、が設けられ、
前記第二面には、前記可撓性部材に連通する第二連通口が設けられ、
前記第一連通口を開閉可能な第一バルブと、前記第二連通口を開閉可能な第二バルブと、前記エア抜き口を開閉可能なエア抜きバルブと、を更に備え、
前記エア抜き口は、前記第一連通口および前記第二連通口よりも上側に配置され、
ポンプの内圧として前記可撓性部材に収容されている液体の圧力を検知するセンサを更に備え
、
前記センサは、前記可撓性部材の下流側に連通する排出口の側に配置され、かつ、前記可撓性部材内において前記筐体が有する蓋部のうち前記排出口寄りの部分に配置されている
ポンプ。
【請求項2】
前記第一連通口は前記液体の供給口であり、
前記第二連通口は前記液体の排出口である
請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記第一連通口は前記液体の排出口であり、
前記第二連通口は前記液体の供給口である
請求項1に記載のポンプ。
【請求項4】
前記第一連通口は、前記第二連通口よりも上側に配置されている
請求項1から3の何れか一項に記載のポンプ。
【請求項5】
前記第一バルブ、前記第二バルブおよび前記エア抜きバルブの開閉を制御するバルブ制御部を更に備える
請求項1から4の何れか一項に記載のポンプ。
【請求項6】
液体を被塗布物に対して塗布する塗布部と、
請求項1から5の何れか一項に記載のポンプと、を含む
塗布装置。
【請求項7】
請求項6に記載の塗布装置を用いて被塗布物に対して液体を塗布する
塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ、塗布装置および塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス基板等の被処理基板に被膜等を形成するための塗布液を塗布する塗布装置が知られている。このような塗布装置としては、基板が配置されるステージと、塗布液を吐出可能なノズルと、ノズルに塗布液を供給可能なポンプと、を備えるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1および2には、可撓性チューブの伸縮によって塗布液を移送するチューブフラムポンプが開示されている。
例えば、特許文献1のチューブフラムポンプにおける筐体は、出口側が上方に位置し入口が下方に位置するように斜めに配置されている。チューブフラムポンプは、フレキシブルチューブを介してスリットノズルに接続されている。
例えば、特許文献2のチューブフラムポンプにおける筐体は、吸入口および吐出口が下方に位置し、エア抜き口が上方に位置するように直立して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-54698号公報
【文献】特開2007-303402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ポンプ内の塗布液に気体が混入した場合、ノズルの流路内を流動する塗布液内に気泡が発生し、塗膜に気泡に起因するスジムラが発生することがある。しかしながら、上記従来技術においては、ポンプ内の塗布液に混入した気体を効率的に排気する上で改善の余地があった。特に、塗布液として高粘度の液体を用いた場合、塗布液に混入した気体を排気することが困難となる可能性が高い。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、ポンプ内の液体に混入した気体を効率的に排気することが可能なポンプを提供することを目的とする。加えて、このようなポンプを備えることで、スジムラの発生を抑え、高品質の塗膜を形成することが可能な塗布装置および塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るポンプは、筐体と、前記筐体の内部に配置され、液体が収容される可撓性部材と、作動流体を収容するシリンダ部と、前記シリンダ部に対して往復移動可能に挿入され、前記筐体と前記可撓性部材との隙間に前記作動流体を供給して前記可撓性部材から前記液体を排出させるプランジャと、を含み、前記筐体は、前記液体の流動方向に対して直交する第一面と、前記第一面に対向する第二面と、を有し、前記筐体は、前記第一面の中心が前記第二面の中心よりも上側に位置するように傾斜し、前記第一面には、前記可撓性部材に連通する第一連通口と、前記可撓性部材に連通するエア抜き口と、が設けられ、前記第二面には、前記可撓性部材に連通する第二連通口が設けられ、前記第一連通口を開閉可能な第一バルブと、前記第二連通口を開閉可能な第二バルブと、前記エア抜き口を開閉可能なエア抜きバルブと、を更に備え、前記エア抜き口は、前記第一連通口および前記第二連通口よりも上側に配置されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、筐体を第一面の中心が第二面の中心よりも上側に位置するように傾斜させたことで、ポンプ内の液体に混入した気体を筐体の傾斜に沿って案内することができる。加えて、第一面にエア抜き口を設けたことで、ポンプ内の液体に混入した気体を、浮力でエア抜き口に向かわせることができる。したがって、ポンプ内の液体に混入した気体を効率的に排気することができる。例えば、液体として1~10Pa・sの高粘度の液状体を用いた場合であっても、液体に混入した気体を効率的に排気することができる。加えて、筐体を第一面の中心が第二面の中心よりも上側に位置するように傾斜させ、第一面に第一連通口を設け、第二面に第二連通口を設けたことで、ポンプにおけるエアの噛み込みを防止することができる。加えて、筐体を直立して配置した場合と比較して、ポンプの重心が低くなるため、移動時に発生する振動を低減することができる。加えて、第一連通口を開閉可能な第一バルブと、第二連通口を開閉可能な第二バルブと、エア抜き口を開閉可能なエア抜きバルブと、を備えることで、第一バルブ、第二バルブおよびエア抜きバルブの開閉を行うことによって、液体の流れ及び気体の流れを所望の方向に設定することができる。加えて、液体を可撓性部材に収容した状態で、可撓性部材に対する作動流体の押圧を利用して、可撓性部材から液体を排出させることができるため、塗布部へ液体を供給する際に液体が汚染されることを回避することができる。
【0009】
上記のポンプにおいて、前記第一連通口は前記液体の供給口であり、前記第二連通口は前記液体の排出口であってもよい。
この構成によれば、供給口から排出口へと向かう液体の流れ(下向きの流れ)と、エア抜き口へと向かう気体の流れ(上向きの流れ)とが互いに逆向きの流れ(以下「対向流」ともいう。)となる。液体の流れと気体の流れとが対向流となると、ポンプ内の液体は筐体の上側(第一面の側)で淀み易くなり、ポンプ内の液体に混入した気体は筐体の上側で滞留しやすくなる。したがって、ポンプ内の液体に混入した気体をより一層効率的に排気することができる。加えて、筐体の上側で淀んでいる液体を異物と一緒にエア抜き口から排出することができるため、ポンプ内の液体の鮮度を維持することができる。
【0010】
上記のポンプにおいて、前記第一連通口は前記液体の排出口であり、前記第二連通口は前記液体の供給口であってもよい。
この構成によれば、供給口から排出口へ向かう液体の流れ(上向きの流れ)と、エア抜き口へと向かう気体の流れ(上向きの流れ)とが互いに同じ向きの流れ(以下「同方向流」ともいう。)となる。液体の流れと気体の流れとが同方向流となると、ポンプ内の液体に混入した気体を液体の流れに乗せてエア抜き口に向かわせやすくなる。したがって、ポンプ内の液体に混入した気体を効率的に排気することができる。
【0011】
上記のポンプにおいて、前記第一連通口は、前記第二連通口よりも上側に配置されていてもよい。
この構成によれば、第一連通口を第二連通口よりも下側に配置した場合と比較して、筐体の傾斜に適合するように第一連通口および第二連通口をレイアウトしやすい。加えて、液体の流れと気体の流れとが対向流または同方向流となるときの作用をより効果的に生じさせることができるため、ポンプ内の液体に混入した気体をより一層効率的に排気することができる。
【0012】
上記のポンプにおいて、前記第一バルブ、前記第二バルブおよび前記エア抜きバルブの開閉を制御するバルブ制御部を更に備えていてもよい。
この構成によれば、第一バルブ、第二バルブおよびエア抜きバルブの開閉を制御することによって、液体の流れ及び気体の流れを所望の方向に自動的に設定することができる。
【0013】
本発明の一態様に係る塗布装置は、液体を被塗布物に対して塗布する塗布部と、上記のポンプと、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、上記のポンプを備えることで、スジムラの発生を抑え、高品質の塗膜を形成することが可能な塗布装置を提供することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る塗布方法は、上記の塗布装置を用いて被塗布物に対して液体を塗布することを特徴とする。
この方法によれば、上記の塗布装置を用いることで、スジムラの発生を抑え、高品質の塗膜を形成することが可能な塗布方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ポンプ内の液体に混入した気体を効率的に排気することが可能なポンプを提供することができる。加えて、このようなポンプを備えることで、スジムラの発生を抑え、高品質の塗膜を形成することが可能な塗布装置および塗布方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】実施形態に係るポンプの動作説明図。
図4(a)は、初期状態の説明図。
図4(b)は、液入れ動作の説明図。
図4(c)は、液吐出動作の説明図。
図4(d)は、再吸入動作の説明図。
図4(e)は、エア抜き動作の説明図。
【
図5】実施形態の変形例に係るポンプの動作説明図。
図5(a)は、初期状態の説明図。
図5(b)は、液入れ動作の説明図。
図5(c)は、液吐出動作の説明図。
図4(d)は、再吸入動作の説明図。
図5(e)は、エア抜き動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
<塗布装置>
図1に示すように、塗布装置1は、基板10(被塗布物)に被膜等を形成するための塗布液を塗布するものである。塗布装置1は、塗布部2、供給部3、ステージ7、移動装置8及び制御部9を備える。制御部9は、塗布装置1の構成要素を統括制御する。
【0019】
<塗布部>
塗布部2は、基板10に塗布液を吐出するノズル2aを備える。ノズル2aは、長尺状に形成されている。ノズル2aの内部には、塗布液を収容可能である。ノズル2aは、ノズル2aの先端(下端)に塗布液を吐出するスリット状の吐出口2bを有する。例えば、ノズル2aは、スリットノズルである。
【0020】
<供給部>
供給部3は、塗布部2に塗布液を供給可能なポンプ31と、ポンプ31に塗布液を供給可能な供給源30と、を備える。
【0021】
図2に示すように、供給源30は、塗布部2に供給するための塗布液3aを貯留する貯留タンク30aを備える。貯留タンク30aには、窒素ガス等の不活性ガスを導入可能な配管30bが接続されている。配管30bは、不図示のバルブを介して加圧源に接続されている。バルブの開閉制御によって、貯留タンク30a内の圧力が調整される。供給源30は、貯留タンク30a内の圧力調整によって、所定量の塗布液3aをポンプ31に向けて供給する。
【0022】
例えば、塗布液3aは、樹脂基板及び層間絶縁膜等を形成するための液状体を用いる。本実施形態において、塗布液3aは、1~10Pa・s程度の粘度を有するポリイミドを含む液状体を用いる。一般に、液晶表示装置に用いられるTFT及び液晶層等を形成するための液状体は、0.01Pa・s以下の粘度を有する。したがって、ポリイミドを含む液状体は、TFT及び液晶層等を形成するための液状体と比較して高い粘度を有する。なお、塗布液3aとして、ポリイミドを含む液状体以外の液状体、例えばフォトレジスト等の薬液(液体)を用いてもよい。
【0023】
塗布装置1は、塗布液3aの供給路(流路)を形成する複数の配管101~105を備える。上述の通り、塗布液3aは、供給源30から塗布部2に向けて流れる。以下、塗布液3aが流れる方向において、供給源30側を「上流側」、塗布部2側を「下流側」ともいう。
【0024】
図2に示すように、ポンプ31は、3つのバルブ51,52,53と、3つのバルブ51,52,53の開閉を制御するバルブ制御部50と、ポンプ31の内圧を検知するセンサ61と、ポンプ31の内圧を調整可能な内圧調整部70と、を備える。
【0025】
3つのバルブ51,52,53は、第一バルブ51、第二バルブ52およびエア抜きバルブ53である。
第一バルブ51は、ポンプ31への塗布液3aの供給路を開閉可能とする。
第二バルブ52は、ポンプ31から塗布部2への塗布液3aの供給路を開閉可能とする。
エア抜きバルブ53は、ポンプ31からエア抜きを行うための流路を開閉可能とする。
バルブ制御部50は、第一バルブ51、第二バルブ52およびエア抜きバルブ53の開閉を制御する。
【0026】
内圧調整部70は、回転数の増減によってポンプ31の内圧を調整可能なモータ71と、モータ71の回転数を制御するモータ制御部72と、を備える。
【0027】
供給源30と第一バルブ51との間の流路上には、塗布液3aに含まれる異物を除去するための除去部6が設けられている。除去部6は、第一配管101と第二配管102との間に配置されている。例えば、除去部6は、テフロン(登録商標)により形成されたフィルターを備える。
【0028】
<塗布液の供給>
ポンプ31は、上流側から順に、第一配管101、除去部6、第二配管102、第一バルブ51及び第三配管103を介して供給源30に接続されている。
第一バルブ51の開閉によって、第二配管102側(供給源30)から第三配管103側(ポンプ31)への塗布液3aの供給が開始又は停止される。
【0029】
塗布部2は、上流側から順に、第四配管104、第二バルブ52、第五配管105を介してポンプ31に接続されている。
第二バルブ52の開閉によって、第四配管104側(ポンプ31)から第五配管105側(塗布部2)への塗布液3aの供給が開始又は停止される。
【0030】
塗布部2のノズル2aは、ポンプ31の駆動によって塗布液3aを吐出可能とされる。
例えば、ポンプ31の内圧を調整することによって、高粘度の塗布液3aを用いた場合であっても、塗布部2に向けて塗布液3aをスムーズに流すことができる。
【0031】
<気泡および塗布液の排出>
ポンプ31は、第一エア抜き配管106、エア抜きバルブ53、第二エア抜き配管107を介してエア抜きボトル40に接続されている。エア抜きバルブ53の開閉によって、第一エア抜き配管106側(ポンプ31)から第二エア抜き配管107側(エア抜きボトル40)への気泡(エア)および塗布液3aの排出が開始又は停止される。
【0032】
<ステージ>
図1に示すように、ステージ7は、直方体状に形成されている。ステージ7の上面には、矩形状の基板10が配置されている。ステージ7には、基板10を搬送するための複数のローラ(不図示)が設けられている。なお、ステージ7には、基板10を浮上させて搬送する不図示の浮上搬送部が設けられていてもよい。
【0033】
<移動装置>
移動装置8は、一対のレール81と、門型フレーム82と、を備える。
一対のレール81は、第一レール81a及び第二レール81bである。
第一レール81a及び第二レール81bは、ステージ7の長手方向に沿う方向に延びる直方体状をなしている。第一レール81a及び第二レール81bは、ステージ7を挟んで互いに対向するように配置されている。
【0034】
門型フレーム82は、基板10が配置されるステージ7を跨ぐように門型に形成されている。門型フレーム82は、ステージ7に対して移動可能とされる。
門型フレーム82は、上下に延びる柱状をなす一対の支柱部82a,82bと、一対の支柱部82a,82bとの間をわたす架橋部82cと、を備える。
【0035】
一対の支柱部82a,82bは、第一支柱部82a及び第二支柱部82bである。
例えば、第一支柱部82a及び第二支柱部82bの下端部は、それぞれ不図示のスライダを介して第一レール81a及び第二レール81bに取り付けられている。門型フレーム82は、一対のレール81a,81bの長手方向に沿って
図1中矢印v方向に移動可能である。
なお、架橋部82cは、一対の支柱部82a,82bに対して上下に昇降可能(
図1中矢印u方向に移動可能)とされていてもよい。
【0036】
架橋部82cの中央部には、塗布部2及び供給部3を保持する矩形板状の板部材83が着脱可能に支持されている。例えば、板部材83は、不図示のビス等によって架橋部82cに着脱可能に取り付けられている。
【0037】
塗布部2及び供給部3は、板部材83を介して門型フレーム82の架橋部82cに取り付けられている。塗布部2は、不図示の駆動機構の駆動によって、供給部3と共に、一対のレール81a,81bの長手方向に沿って
図1中矢印v方向に移動可能とされる。
【0038】
<ポンプ>
図3に示すように、ポンプ31は、ポンプ本体130と、シリンダ部140と、プランジャ150(ピストン)と、を備える。ポンプ31は、プランジャ方式のポンプである。
【0039】
ポンプ本体130は、シリンダ部140に対してボルト(不図示)により固定される筐体131と、筐体131の内部に配置された可撓性チューブ132(可撓性部材)と、を備える。
【0040】
筐体131は、塗布液3aの流動方向に対して直交する第一面133aと、第一面133aに対向する第二面134aと、有する。ここで、塗布液3aの流動方向は、塗布液3aが収容される可撓性チューブ132に沿う方向を意味する。すなわち、塗布液3aの流動方向は、可撓性チューブ132の長手方向(筐体本体135の長手方向)と平行な方向である。第一面133aおよび第二面134aは、互いに平行な平面である。筐体131は、筒状の筐体本体135と、筐体本体135の一方側に配置され第一面133aを有する第一蓋部133と、筐体本体135の他方側に配置され第二面134aを有する第二蓋部134と、を備える。例えば、筐体131は、アルミニウム等の金属部材で形成されている。筐体本体135と各蓋部133,134との間には、シール部材137が設けられている。
【0041】
筐体131は、第一面133aの中心P1が第二面134aの中心P2よりも上側に位置するように傾斜している。第一面133aの中心P1は、第一蓋部133の外面の中心である。第二面134aの中心P2は、第二蓋部134の外面の中心である。ポンプ31は、筐体131を斜めに固定する台座部160を介して板部材83(
図1参照)に取り付けられている。台座部160は、第一蓋部133の側ほど上方に位置するように傾斜した楔形状をなしている。
【0042】
筐体本体135は、第一蓋部133と第二蓋部134の間をわたすように延在している。筐体本体135には、シリンダ部140の側に開口する本体側開口部135hが形成されている。本体側開口部135hは、筒体本体135の延在方向において第二蓋部134の側の端部に位置している。
【0043】
第一蓋部133(第一面133a)には、可撓性チューブ132の上流側に連通する供給口133h(第一連通口)と、可撓性チューブ132の上流側に連通するエア抜き口133iと、が設けられている。
【0044】
供給口133hは、第一蓋部133の下部に配置されている。供給口133hには、第三配管103を介して、供給口133hへの連通路を開閉可能な第一バルブ51(
図2参照)が接続されている。第一バルブ51を「開」とすることによって、供給口133hを介して、第三配管103側(
図2に示す供給源30)から可撓性チューブ132内への塗布液3aの供給が可能とされる(供給方向は、
図3中矢印m方向)。
【0045】
エア抜き口133iは、第一蓋部133の上部に配置されている。エア抜き口133iは、供給口133hよりも上側に配置されている。エア抜き口133iには、第一エア抜き配管106を介して、エア抜き口133iへの連通路を開閉可能なエア抜きバルブ53(
図2参照)が接続されている。エア抜きバルブ53を「開」とすることによって、エア抜き口133iを介して、可撓性チューブ132内から第一エア抜き配管106側(
図2に示すエア抜きボトル40)へのエアおよび塗布液3aの排出が可能とされる(排出方向は、
図3中矢印q方向)。
【0046】
第二蓋部134(第二面134a)には、可撓性チューブ132の下流側に連通する排出口134h(第二連通口)が設けられている。
【0047】
排出口134hは、第二蓋部134の下部に配置されている。排出口134hは、供給口133hよりも下方に配置されている。排出口134hには、第四配管104を介して、排出口134hへの連通路を開閉可能な第二バルブ52(
図2参照)が接続されている。第二バルブ52を「開」とした場合、後述する作動流体130aによって、排出口134hを介して、可撓性チューブ132内から配管104側(塗布部2)への塗布液3aの排出が可能とされる(排出方向は、
図3中矢印n方向)。
【0048】
可撓性チューブ132は、筐体本体135の長手方向に沿う筒状をなしている。可撓性チューブ132は、筐体131の内部に同軸的に配置されている。可撓性チューブ132には、塗布液3aが収容される。例えば、可撓性チューブ132の厚みは、1.8mm程度である。
【0049】
可撓性チューブ132は、径方向に膨張収縮自在の弾性部材で形成されている。可撓性チューブ132は、筐体131の内部に収容されている。可撓性チューブ132と筐体131との間には、作動流体130aが流れ込むことで可撓性チューブ132を膨張収縮させる隙間136(以下「本体側駆動室136」ともいう。)が形成されている。
【0050】
例えば、可撓性チューブ132は、樹脂材料やゴム材料等の可撓性材料で形成されている。
なお、可撓性チューブ132は、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂で形成されていてもよい。フッ素樹脂はフォトレジストと反応しないため、塗布液3aとしてフォトレジスト等の薬液を用いた場合、塗布液3aの品質を保つ上で好適である。塗布液3aとしてフォトレジスト等の薬液を用いた場合、第一蓋部133及び第二蓋部134も、フッ素樹脂で形成されていることが好ましい。なお、塗布液3aとしてフォトレジスト等の薬液を用いた場合、第一蓋部133のうち少なくとも供給口133hおよびエア抜き口133iの形成部分、並びに第二蓋部134のうち少なくとも排出口134hの形成部分がフッ素樹脂で形成されていればよい。
【0051】
シリンダ部140は、筐体本体135の長手方向に沿うように延びる筒状をなしている。シリンダ部140には、シリンダ部140の長手方向に延在するシリンダ孔140aが形成されている。シリンダ部140には、本体側開口部135hに連通するようにポンプ本体130側に開口するシリンダ側開口部140hが形成されている。
【0052】
プランジャ150は、シリンダ部140の長手方向に延在するプランジャ本体151と、プランジャ本体151のシリンダ部140側とは反対側の端部に設けられたガイドブロック152と、を備える。
【0053】
プランジャ本体151は、シリンダ部140に対して往復移動可能に挿入されている。
ガイドブロック152は、モータ等を含む駆動装置(不図示)に接続されている。ガイドブロック152は、モータの駆動によって、プランジャ本体151と共に、
図3中矢印g方向に移動可能とされる。このようにして、プランジャ150は、シリンダ部140に対して往復移動可能とされている。
【0054】
シリンダ部140において、プランジャ本体151の先端面151aと、シリンダ孔140aに臨む側壁面140bとの間には、プランジャ150の往復移動によって容積が変動するシリンダ側駆動室141が形成されている。シリンダ側駆動室141は、シリンダ側開口部140h及び本体側開口部135hを介して本体側駆動室136に連通している。
【0055】
本体側駆動室136及びシリンダ側駆動室141には、作動流体130aが封入されている。例えば、作動流体130aは、非圧縮性媒体を用いる。各駆動室136,141の内部の作動流体130aは、各開口部135h,140hを介して流動自在とされている。
【0056】
<プランジャ本体(作動流体)の作用>
プランジャ本体151をシリンダ部140の側壁面140bに向けて移動(側壁面140bへ近接)させると、シリンダ側駆動室141は収縮する。シリンダ側駆動室141の収縮によって、シリンダ側駆動室141内の作動流体130aは、シリンダ側開口部140h及び本体側開口部135hを介して、本体側駆動室136内に流入する。すると、可撓性チューブ132は、作動流体130aに押圧されて収縮する。これにより、可撓性チューブ132内に収容された塗布液3aは、排出口134hから第四配管104側(塗布部2)へ排出される。すなわち、プランジャ本体151は、筐体131と可撓性チューブ132との間の隙間(本体側駆動室136)に作動流体130aを供給して可撓性チューブ132から塗布液3aを排出させる。
【0057】
一方、プランジャ本体151をシリンダ部140の側壁面140bとは反対側に向けて移動(側壁面140bから離反)させると、シリンダ側駆動室141が膨張する。シリンダ側駆動室141の膨張によって、本体側駆動室136内の作動流体130aは、本体側開口部135h及びシリンダ側開口部140hを介して、シリンダ側駆動室141内に流入する。すると、作動流体130aによる可撓性チューブ132の押圧が解除される。
【0058】
このように、シリンダ部140に対してプランジャ本体151が往復移動すると、各駆動室136,141内に封入された作動流体130aの移動により本体側駆動室136が膨張収縮する。そのため、本体側駆動室136の膨張収縮に連動させて第二バルブ52を開閉することによって、第四配管104等を介して塗布液3aを塗布部2に供給することができる。
【0059】
<センサ>
センサ61は、ポンプ31の内圧として、可撓性チューブ132に収容されている塗布液3aの圧力を検知する。これにより、ポンプ31と塗布部2との間の供給路(第四配管104など)を流れる塗布液3aの圧力を検知する場合と比較して、供給路による圧力損失分を除外した値を得ることができ、ポンプ31の内圧を精度よく調整することができる。加えて、ポンプ31の内圧として塗布液3aの圧力を直接的に検知することができるため、作動流体130aの圧力を検知する場合と比較して、ポンプ31の内圧を精度よく調整することができる。
【0060】
センサ61は、可撓性チューブ132の下流側に連通する排出口134hの側に配置されている。センサ61は、可撓性チューブ132内において、第二蓋部134のうち排出口134h寄りの部分に配置されている。これにより、可撓性チューブ132から排出される直前の塗布液3aの圧力(すなわち、可撓性チューブ132内の塗布液3aのうち塗布部2に近い部分の圧力)を検知することができるため、センサ61が可撓性チューブ132の上流側に配置された場合と比較して、ポンプ31の内圧を精度よく調整することができる。
【0061】
センサ61の検知結果は、モータ制御部72及びバルブ制御部50に送られる(
図2参照)。モータ制御部72は、センサ61の検知結果に基づいて、モータ71の回転数を制御する。バルブ制御部50は、センサ61の検知結果に基づいて、各バルブ51~53の開閉を制御する。
【0062】
例えば、ポンプ31の内圧は、ポンプ31の内部に気泡が発生したり、発生した気泡が消滅したりすることによって変動する。そのため、塗布液3aの排出速度を一定の速度で維持することによっては、ポンプ31の内圧の変動に起因して塗布液3aの排出量が不安定になる可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、センサ61の検知結果に基づいてポンプ31の内圧を調整することができるため、塗布部2に供給される塗布液3aの供給量を安定して維持することができる。
【0063】
<塗布方法>
次に、本実施形態に係る塗布方法を説明する。本実施形態では、上記の塗布装置1を用いて基板10に塗布液を塗布する。塗布装置1の各部で行われる動作は、制御部9によって制御される。
【0064】
本実施形態に係る塗布方法は、塗布ステップ、供給ステップ、内圧検知ステップ、内圧調整ステップ及びバルブ制御ステップを含む。
塗布ステップは、基板10に塗布液3aを塗布する。
供給ステップは、塗布部2に対して、塗布液3aをポンプ31から供給する。
内圧検知ステップは、ポンプ31の内圧を検知する。
内圧調整ステップは、ポンプ31の内圧を調整する。内圧調整ステップは、モータ71の回転数を増減する。
バルブ制御ステップは、第一バルブ51、第二バルブ52およびエア抜きバルブ53の開閉を制御する。バルブ制御ステップは、第一ステップから第五ステップの5つのステップを含む。
【0065】
図4においては、第一バルブ51の側を「in」、第二バルブ52の側を「out」、エア抜きバルブ53の側を「vent」とし、バルブが閉じている状態を矢印に「×」を付して図示している。
図4においては、センサ61などの図示を省略している。
【0066】
図4(a)に示すように、第一ステップでは、第一バルブ51(in)、第二バルブ52(out)およびエア抜きバルブ53(vent)の全てを閉じる。第一ステップは、塗布動作を実行する前の初期状態におけるステップである。第一ステップの後、第二ステップに進む。
【0067】
図4(b)に示すように、第二ステップでは、第一バルブ51(in)およびエア抜きバルブ53(vent)を開き、第二バルブ52(out)を閉じる。第二ステップは、塗布動作を実行するための液入れ動作時のステップである。
第二ステップにおいて、第一バルブ51(in)を開くことにより、供給口133hからポンプ31内への塗布液の供給を開始する。
第二ステップにおいて、エア抜きバルブ53(vent)を開くことにより、エア抜き口133iからポンプ31外へのエアの排出を開始する。第二ステップは、液入れ動作とエア抜き動作(
図4(e)参照)とを兼ねる。
第二ステップの後、第三ステップに進む。
【0068】
図4(c)に示すように、第三ステップでは、第一バルブ51(in)およびエア抜きバルブ53(vent)を閉じ、第二バルブ52(out)を開く。第三ステップは、塗布動作を実行するための液吐出動作時のステップである。第三ステップにおいて、第二バルブ52(out)を開くことにより、排出口134hからノズルへの塗布液の供給を開始する。上記第二ステップにおいてエア抜きが行われているため、第三ステップにおいては、気泡などが除去された塗布液をノズルへ供給することができる。
【0069】
例えば、第三ステップでは、ポンプ31の内圧を所定の吐出圧に調整した後に、第二バルブ52(out)を開く。例えば、所定の吐出圧は、塗布液の粘度に適合した吐出圧とする。このようにポンプ31の内圧を調整することによって、高粘度の塗布液を用いた場合であっても、ノズルに向けて塗布液をスムーズに流すことができる。
第三ステップの後、第四ステップに進む。
【0070】
図4(d)に示すように、第四ステップでは、第二バルブ52(out)およびエア抜きバルブ53(vent)を閉じ、第一バルブ51(in)を開く。第四ステップは、ポンプ31内に塗布液を再び供給する再吸入動作時のステップである。第四ステップにおいて、第一バルブ51(in)を開くことにより、供給口133hからポンプ31内への塗布液の供給を開始する。第四ステップの後、第五ステップに進む。
【0071】
図4(e)に示すように、第五ステップでは、第一バルブ51(in)およびエア抜きバルブ53(vent)を開き、第二バルブ52(out)を閉じる。第五ステップは、ポンプ31内のエア抜きを実行するためのエア抜き動作時のステップである。
第五ステップにおいて、エア抜きバルブ53(vent)を開くことにより、エア抜き口133iからポンプ31外へのエアの排出を開始する。
第五ステップにおいて、第一バルブ51(in)を開くことにより、供給口133hからポンプ31内への塗布液の供給を開始する。第五ステップは、エア抜き動作と液入れ動作(
図4(b)参照)とを兼ねる。
第五ステップの後、第一ステップに戻る。
【0072】
以上のように、本実施形態のポンプ31は、筐体131と、筐体131の内部に配置され、塗布液3aが収容される可撓性チューブ132と、作動流体130aを収容するシリンダ部140と、シリンダ部140に対して往復移動可能に挿入され、筐体131と可撓性チューブ132との隙間136に作動流体130aを供給して可撓性チューブ132から塗布液3aを排出させるプランジャ150と、を含み、筐体131は、塗布液3aの流動方向に対して直交する第一面133aと、第一面133aに対向する第二面134aと、を有し、筐体131は、第一面133aの中心P1が第二面134aの中心P2よりも上側に位置するように傾斜し、第一面133aには、可撓性チューブ132に連通する第一連通口133hと、可撓性チューブ132に連通するエア抜き口133iと、が設けられ、第二面134aには、可撓性チューブ132に連通する第二連通口134hが設けられ、第一連通口133hを開閉可能な第一バルブ51と、第二連通口134hを開閉可能な第二バルブ52と、エア抜き口133iを開閉可能なエア抜きバルブ53と、を更に備え、エア抜き口133iは、第一連通口133hおよび第二連通口134hよりも上側に配置されている。
【0073】
この構成によれば、筐体131を第一面133aの中心P1が第二面134aの中心P2よりも上側に位置するように傾斜させたことで、ポンプ31内の塗布液3aに混入した気体を筐体131の傾斜に沿って案内することができる。加えて、第一面133aにエア抜き口133iを設けたことで、ポンプ31内の塗布液3aに混入した気体を、浮力でエア抜き口133iに向かわせることができる。したがって、ポンプ31内の塗布液3aに混入した気体を効率的に排気することができる。例えば、塗布液3aとして1~10Pa・sの高粘度の液状体を用いた場合であっても、塗布液3aに混入した気体を効率的に排気することができる。加えて、筐体131を第一面133aの中心P1が第二面134aの中心P2よりも上側に位置するように傾斜させ、第一面133aに第一連通口133hを設け、第二面134aに第二連通口134hを設けたことで、ポンプ31におけるエアの噛み込みを防止することができる。加えて、筐体131を直立して配置した場合と比較して、ポンプ31の重心が低くなるため、移動時に発生する振動を低減することができる。加えて、第一連通口133hを開閉可能な第一バルブ51と、第二連通口134hを開閉可能な第二バルブ52と、エア抜き口133iを開閉可能なエア抜きバルブ53と、を備えることで、第一バルブ51、第二バルブ52およびエア抜きバルブ53の開閉を行うことによって、塗布液3aの流れ及び気体の流れを所望の方向に設定することができる。加えて、塗布液3aを可撓性チューブ132に収容した状態で、可撓性チューブ132に対する作動流体130aの押圧を利用して、可撓性チューブ132から塗布液3aを排出させることができるため、塗布部2へ塗布液3aを供給する際に塗布液3aが汚染されることを回避することができる。
【0074】
また、第一連通口133hは塗布液3aの供給口であり、第二連通口134hは塗布液3aの排出口であることで、以下の効果を奏する。
この構成によれば、供給口133hから排出口134hへと向かう塗布液3aの流れ(下向きの流れ)と、エア抜き口133iへと向かう気体の流れ(上向きの流れ)とが対向流となる。塗布液3aの流れと気体の流れとが対向流となると、ポンプ31内の塗布液3aは筐体131の上側(第一面133aの側)で淀み易くなり、ポンプ31内の塗布液3aに混入した気体は筐体131の上側で滞留しやすくなる。したがって、ポンプ31内の塗布液3aに混入した気体をより一層効率的に排気することができる。加えて、筐体131の上側で淀んでいる塗布液3aを異物と一緒にエア抜き口133iから排出することができるため、ポンプ31内の塗布液3aの鮮度を維持することができる。
【0075】
また、第一連通口133hは、第二連通口134hよりも上側に配置されていることで、以下の効果を奏する。
この構成によれば、第一連通口133hを第二連通口134hよりも下側に配置した場合と比較して、筐体131の傾斜に適合するように第一連通口133hおよび第二連通口134hをレイアウトしやすい。加えて、塗布液3aの流れと気体の流れとが対向流となるときの作用をより効果的に生じさせることができるため、ポンプ31内の塗布液3aに混入した気体をより一層効率的に排気することができる。
【0076】
また、第一バルブ51、第二バルブ52およびエア抜きバルブ53の開閉を制御するバルブ制御部50を更に備えることで、以下の効果を奏する。
この構成によれば、第一バルブ51、第二バルブ52およびエア抜きバルブ53の開閉を制御することによって、塗布液3aの流れ及び気体の流れを所望の方向に自動的に設定することができる。
【0077】
本実施形態の塗布装置1は、塗布液3aを基板10に対して塗布する塗布部2と、上記のポンプ31と、を含む。
この構成によれば、上記のポンプ31を備えることで、スジムラの発生を抑え、高品質の塗膜を形成することが可能な塗布装置1を提供することができる。
【0078】
本実施形態の塗布方法は、上記の塗布装置1を用いて基板10に対して塗布液3aを塗布する。
この方法によれば、上記の塗布装置1を用いることで、スジムラの発生を抑え、高品質の塗膜を形成することが可能な塗布方法を提供することができる。
【0079】
なお、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0080】
<変形例>
例えば、上記実施形態においては、第一連通口133hが塗布液3aの供給口であり、第二連通口134hが塗布液3aの排出口である例を挙げたが、これに限らない。例えば、第一連通口133hが塗布液3aの排出口であり、第二連通口134hが塗布液3aの供給口であってもよい。すなわち、塗布液3aが流れる方向において、第二連通口134hの側が上流側(供給源30側)であり、第一連通口133h側が下流側(塗布部2側)であってもよい。変形例において、実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0081】
実施形態の変形例に係るバルブ制御ステップを説明する。
バルブ制御ステップは、第一バルブ51、第二バルブ52およびエア抜きバルブ53の開閉を制御する。バルブ制御ステップは、上記実施形態と同様、第一ステップから第五ステップの5つのステップを含む。
【0082】
図5においては、第一バルブ51の側を「out」、第二バルブ52の側を「in」、エア抜きバルブ53の側を「vent」とし、バルブが閉じている状態を矢印に「×」を付して図示している。
図5においては、センサ61などの図示を省略している。
【0083】
図5(a)に示すように、第一ステップでは、第一バルブ51(out)、第二バルブ52(in)およびエア抜きバルブ53(vent)の全てを閉じる。第一ステップの後、第二ステップに進む。
【0084】
図5(b)に示すように、第二ステップでは、第二バルブ52(in)およびエア抜きバルブ53(vent)を開き、第一バルブ51(out)を閉じる。
第二ステップにおいて、第二バルブ52(in)を開くことにより、供給口(第二連通口134h)からポンプ31内への塗布液の供給を開始する。
第二ステップにおいて、エア抜きバルブ53(vent)を開くことにより、エア抜き口133iからポンプ31外へのエアの排出を開始する。第二ステップは、液入れ動作とエア抜き動作(
図5(e)参照)とを兼ねる。
第二ステップの後、第三ステップに進む。
【0085】
図5(c)に示すように、第三ステップでは、第二バルブ52(in)およびエア抜きバルブ53(vent)を閉じ、第一バルブ51(out)を開く。第三ステップにおいて、第一バルブ51(out)を開くことにより、排出口(第一連通口133h)からノズルへの塗布液の供給を開始する。上記第二ステップにおいてエア抜きが行われているため、第三ステップにおいては、気泡などが除去された塗布液をノズルへ供給することができる。
【0086】
例えば、第三ステップでは、ポンプ31の内圧を所定の吐出圧に調整した後に、第一バルブ51(out)を開く。例えば、所定の吐出圧は、塗布液の粘度に適合した吐出圧とする。このようにポンプ31の内圧を調整することによって、高粘度の塗布液を用いた場合であっても、ノズルに向けて塗布液をスムーズに流すことができる。
第三ステップの後、第四ステップに進む。
【0087】
図5(d)に示すように、第四ステップでは、第一バルブ51(out)およびエア抜きバルブ53(vent)を閉じ、第二バルブ52(in)を開く。第四ステップにおいて、第二バルブ52(in)を開くことにより、供給口(第二連通口134h)からポンプ31内への塗布液の供給を開始する。第四ステップの後、第五ステップに進む。
【0088】
図5(e)に示すように、第五ステップでは、第二バルブ52(in)およびエア抜きバルブ53(vent)を開き、第一バルブ51(out)を閉じる。
第五ステップにおいて、エア抜きバルブ53(vent)を開くことにより、エア抜き口133iからポンプ外へのエアの排出を開始する。
第五ステップにおいて、第二バルブ52(in)を開くことにより、供給口(第二連通口134h)からポンプ31内への塗布液の供給を開始する。第五ステップは、エア抜き動作と液入れ動作(
図5(b)参照)とを兼ねる。
第五ステップの後、第一ステップに戻る。
【0089】
以上のように、本変形例においては、第一連通口133hが塗布液の排出口であり、第二連通口134hが塗布液の供給口であることで、以下の効果を奏する。
この構成によれば、供給口134hから排出口133hへ向かう塗布液の流れ(上向きの流れ)と、エア抜き口133iへと向かう気体の流れ(上向きの流れ)とが同方向流となる。塗布液の流れと気体の流れとが同方向流となると、ポンプ31内の塗布液に混入した気体を塗布液の流れに乗せてエア抜き口133iに向かわせやすくなる。したがって、ポンプ31内の塗布液に混入した気体を効率的に排気することができる。
【0090】
また、第一連通口133hは、第二連通口134hよりも上側に配置されていることで、塗布液の流れと気体の流れとが同方向流となるときの作用をより効果的に生じさせることができるため、ポンプ31内の塗布液に混入した気体をより一層効率的に排気することができる。
【0091】
<他の変形例>
また、上記実施形態においては、塗布部2として、スリット型のノズル2aを用いたが、これに限らない。例えば、中央滴下型の塗布部を用いてもよいし、インクジェット型の塗布部を用いてもよい。また、基板10上に配置される液状体を、スキージなどを用いて拡散させて塗布する構成であってもよい。
【0092】
また、上記実施形態においては、塗布装置1が、基板10上に塗布液3aとしてポリイミドを含む液状体を塗布する例を挙げたが、これに限らない。例えば、塗布液3aとしてレジスト液を用いてもよいし、レジスト液以外の液体を用いてもよい。
【0093】
また、上記実施形態においては、本体側開口部135hは、筒体本体135の延在方向において第二蓋部134の側の端部に位置している例(
図3参照)を挙げたが、これに限らない。例えば、本体側開口部135hは、筒体本体135の延在方向中央部に位置していてもよい。
【0094】
また、上記実施形態においては、第一連通口133hには、第三配管103を介して第一バルブ51が接続されている例を挙げたが、これに限らない。例えば、第一連通口133hには、配管などを介さずに第一バルブ51が直接的に接続されていてもよい。
【0095】
また、上記実施形態においては、第二連通口134hには、第四配管104を介して第二バルブ52が接続されている例を挙げたが、これに限らない。例えば、第二連通口134hには、配管などを介さずに第二バルブ52が直接的に接続されていてもよい。
【0096】
また、上記実施形態においては、エア抜き口133iには、第一エア抜き配管106を介してエア抜きバルブ53が接続されている例を挙げたが、これに限らない。例えば、エア抜き口133iには、配管などを介さずにエア抜きバルブ53が直接的に接続されていてもよい。
【0097】
なお、上記において実施形態又はその変形例として記載した各構成要素は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせることができるし、また、組み合わされた複数の構成要素のうち一部の構成要素を適宜用いないようにすることもできる。
【符号の説明】
【0098】
1…塗布装置 2…塗布部 3a…塗布液(液体)、10…基板(被塗布物) 31…ポンプ 50…バルブ制御部 51…第一バルブ 52…第二バルブ 53…エア抜きバルブ 130a…作動流体 131…筐体 132…可撓性チューブ(可撓性部材) 133a…第一面 133h…第一連通口 133i…エア抜き口 134a…第二面 134h…第二連通口 140…シリンダ部 150…プランジャ P1…第一面の中心 P2…第二面の中心