(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-06
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】加熱シャワーヘッドアセンブリを有する基板処理チャンバ
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20220114BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/44 J
(21)【出願番号】P 2020514956
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(86)【国際出願番号】 US2018047161
(87)【国際公開番号】W WO2019055172
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2020-04-13
(32)【優先日】2017-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】グンゴール ファルク
(72)【発明者】
【氏名】ウー ディエン-イェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューストン ジョエル エム
(72)【発明者】
【氏名】チャン メイ
(72)【発明者】
【氏名】ユアン シャオション
(72)【発明者】
【氏名】大東 和也
(72)【発明者】
【氏名】ジェラトス アヴゲリノス ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】倉富 敬
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユー
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ ビン
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-103356(JP,A)
【文献】特表2006-515039(JP,A)
【文献】特表2010-507232(JP,A)
【文献】特表2016-511935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/455
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開孔を有するガス分配プレートと、
壁、前記壁の下部から延在して前記ガス分配プレートに結合された半径方向内向きに延在するフランジ、および前記壁の上部から延在し半径方向外向きに延在するフランジを有するホルダであって、前記壁が約0.015インチ~約0.2インチの厚さを有する、ホルダと、
前記ガス分配プレートの上方に、前記ガス分配プレートから離間されて配置された加熱装置であって、前記ガス分配プレートを加熱するように構成されたヒータを含む、加熱装置と、
を備え
、
前記ガス分配プレートと前記加熱装置との間の空間にプラズマを形成することができるように、前記加熱装置内に配置されたRF電極
をさらに備える、シャワーヘッドアセンブリ。
【請求項2】
前記ホルダが、前記ガス分配プレートの第2の熱膨張係数(CTE)の約5%以内の第1のCTEを有する、請求項1に記載のシャワーヘッドアセンブリ。
【請求項3】
前記ホルダが、約30W/m・K未満の熱伝導率を有する導電性材料で形成されている、請求項1に記載のシャワーヘッドアセンブリ。
【請求項4】
チャンバ本体と、
前記チャンバ本体の上方に配置されて、前記チャンバ本体および頂部プレート内の内部容積を画定する、頂部プレートと、
前記内部容積の下部に配置された基板支持体であって、第1のヒータを含む、基板支持体と、
複数の開孔を有し、前記基板支持体に対向して前記内部容積の上部に配置されたガス分配プレートと、
第2のヒータを有し、前記ガス分配プレートと前記頂部プレートとの間に、これらのプレートから離間されて配置され、それにより、ガスが加熱装置の上方、加熱装置の周囲、および加熱装置の下方から前記ガス分配プレートに流れるガス流路が画定される、加熱装置と、
を備え
、
前記ガス分配プレートと前記加熱装置との間の空間にプラズマを形成することができるように、前記加熱装置内に配置されたRF電極
をさらに備える、基板処理チャンバ。
【請求項5】
前記第1のヒータが1つもしくは複数の第1の抵抗加熱器要素または1つもしくは複数の第1の加熱ランプを含み、前記第2のヒータが1つもしくは複数の第2の抵抗加熱器要素または1つもしくは複数の第2の加熱ランプを含む、請求項
4に記載の基板処理チャンバ。
【請求項6】
壁、前記壁の下部から延在し前記ガス分配プレートに結合された半径方向内向きに延在するフランジ、および前記壁の上部から延在し前記チャンバ本体と前記頂部プレートとの間に配置された半径方向外向きに延在するフランジを有するホルダ
をさらに備える、請求項
4に記載の基板処理チャンバ。
【請求項7】
前記壁が、約0.015インチ~約0.2インチの厚さを有する、請求項
6に記載の基板処理チャンバ。
【請求項8】
前記基板処理チャンバにRFエネルギーを送達するために前記頂部プレートに電気的に結合された高周波(RF)電源であって、前記頂部プレートが導電性材料で形成されている、高周波(RF)電源
をさらに備える、請求項
6に記載の基板処理チャンバ。
【請求項9】
前記半径方向外向きに延在するフランジと前記頂部プレートとの間に配置されて、前記頂部プレートから前記ホルダを通って前記ガス分配プレートへのRFエネルギーの結合を促進するRFガスケット、または
前記ガス分配プレートと前記加熱装置との間の前記空間にプラズマを形成することができるように、前記加熱装置内に配置されたRF電極
をさらに備える、請求項
8に記載の基板処理チャンバ。
【請求項10】
前記ホルダが、前記ガス分配プレートの第2の熱膨張係数(CTE)の約5%以内の第1のCTEを有する、請求項
6に記載の基板処理チャンバ。
【請求項11】
前記ホルダが、約30W/m・K未満の熱伝導率を有する導電性材料で形成されている、請求項
6に記載の基板処理チャンバ。
【請求項12】
前記チャンバ本体の壁の頂部に配置され、チャンバリッドを前記チャンバ本体に結合するように構成されたリッドプレートと、
本体、前記本体の上部から延在し前記リッドプレートの一部の頂部に配置された外向きに延在する部分、および前記本体の下部から延在し内向きに延在する部分を有するアイソレータリングであって、前記内向きに延在する部分が前記ガス分配プレートに隣接し、間隙が前記ガス分配プレートと前記内向きに延在する部分との間に配置されて、前記ガス分配プレートの熱膨張に適応する、アイソレータリングと、
をさらに備える、請求項
4から
11までのいずれか1項に記載の基板処理チャンバ。
【請求項13】
前記間隙が、前記ガス分配プレートが最大熱膨張であるときの約0.04インチであり、前記ガス分配プレートが室温にあるときの約0.08インチとの間である、請求項
12に記載の基板処理チャンバ。
【請求項14】
前記第1のヒータが1つまたは複数の第1の加熱ゾーンを含み、前記第2のヒータが1つまたは複数の第2の加熱ゾーンを含む、請求項
4から
11までのいずれか1項に記載の基板処理チャンバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、一般に、基板を処理するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の化学気相(CVD)プロセスでは、金属層の「キャッピング」が望ましい場合がある。キャッピングは、金属層の酸化を避けるために、以前に堆積させた金属層の上にセラミック層を形成することを含む。例えば、チタン(Ti)層を基板上に堆積させる場合、下にあるTi層の酸化を防ぐために、Ti層の頂部にチタン窒化物(TiN)層を形成することが望ましい場合がある。TiN層を形成するための一方法は、窒素プラズマを使用して、Ti層の上部の窒化を達成することである。しかし、本発明者らは、処理チャンバ内のシャワーヘッドが十分に高い温度に達しないため、キャッピング後にシャワーヘッドの開孔内にいくらかの前駆体が残ることに気付いた。シャワーヘッド内に残っている前駆体は、チャンバ内で処理される後続の基板上に形成されるTi層を汚染する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明者らは、基板を処理するための改良されたシャワーヘッドアセンブリおよびこれを組み込んだ処理チャンバの実施形態を提供した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
基板を処理するための装置が本明細書で開示される。一部の実施形態では、シャワーヘッドアセンブリは、複数の開孔を有するガス分配プレートと、壁、壁の下部から延在しガス分配プレートに結合された半径方向内向きに延在するフランジ、および壁の上部から延在し半径方向外向きに延在するフランジを有するホルダであって、壁が約0.015インチ~約0.2インチの厚さを有する、ホルダと、ガス分配プレートの上方に、ガス分配プレートから離間されて配置された加熱装置であって、ガス分配プレートを加熱するように構成されたヒータを含む、加熱装置と、を含む。
【0005】
一部の実施形態では、基板処理チャンバは、チャンバ本体と、チャンバ本体の上方に配置されて、チャンバ本体および頂部プレート内の内部容積を画定する頂部プレートと、内部容積の下部に配置された基板支持体であって、第1のヒータを含む、基板支持体と、複数の開孔を有し、基板支持体に対向して内部容積の上部に配置されたガス分配プレートと、第2のヒータを有し、ガス分配プレートと頂部プレートとの間に、これらのプレートから離間されて配置され、それにより、ガスが加熱装置の上方、加熱装置の周囲、および加熱装置の下方からガス分配プレートに流れるガス流路が画定される、加熱装置と、を含む。
【0006】
一部の実施形態では、基板処理チャンバは、チャンバ本体と、チャンバ本体の上方に配置されて、チャンバ本体および導電性頂部プレート内の内部容積を画定する導電性頂部プレートと、内部容積の下部に配置された基板支持体であって、第1のヒータを含む、基板支持体と、基板支持体に対向して内部容積の上部に配置されたガス分配プレートと、第2のヒータを有し、ガス分配プレートと導電性頂部プレートの間に、これらのプレートから離間されて配置され、それにより、ガスが加熱装置の上方、加熱装置の周囲、および加熱装置の下方から加熱装置ガス分配プレートに流れるガス流路が画定される、加熱装置と、壁、壁の下部から延在しガス分配プレートに結合された半径方向内向きに延在するフランジ、および壁の上部から延在しチャンバ本体と導電性頂部プレートとの間に配置された半径方向外向きに延在するフランジを有するホルダと、半径方向外向きに延在するフランジと導電性頂部プレートとの間に配置されて、導電性頂部プレートからホルダを通ってガス分配プレートへのRFエネルギーの結合を促進するRFガスケットと、を含む。
【0007】
本開示の他のおよびさらなる実施形態が以下に記載される。
【0008】
上で簡単に要約され、以下でより詳細に論じられる本開示の実施形態は、添付図面に表される本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解され得る。しかしながら、添付図面は、本開示の典型的な実施形態のみ例示しており、したがって、本開示が他の等しく効果的な実施形態を受け入れることができるため、範囲を限定していると考えられるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一部の実施形態によるプロセスチャンバの概略図である。
【
図2】
図1のプロセスチャンバの一部の断面図である。
【
図3】本開示の一部の実施形態による基板支持体内に配置されたヒータの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、各図に共通の同一の要素を指定するために、可能な場合は、同一の参照数字が使用された。図は、縮尺通りには描かれておらず、明瞭にするために簡略化されることがある。一実施形態の要素および特徴は、さらに詳説することなく他の実施形態に有益に組み込まれることがある。
【0011】
本開示の実施形態は、シャワーヘッドアセンブリのガス分配プレートの適切な動作温度を確保するために、化学気相堆積(CVD)チャンバなどの基板処理チャンバで使用することができるシャワーヘッドアセンブリを提供する。本発明のシャワーヘッドは、有利には、ガス分配プレートに残された前駆体を低減または排除し、したがって、処理されている基板の汚染を低減または排除する。本明細書に記載の装置を組み込むための適切な処理チャンバの例には、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なCVD堆積チャンバが含まれる。以下のプロセスチャンバの説明は、文脈および例示の目的で提供されており、本開示の範囲を限定するものとして理解または解釈されるべきではない。
【0012】
図1は、本開示の一部の実施形態によるCVDプロセスに適合されたガス供給システム130を含む基板処理チャンバ(プロセスチャンバ100)の概略断面図である。
図2は、プロセスチャンバ100の一部の断面図である。プロセスチャンバ100は、チャンバ本体102内およびチャンバリッドアセンブリ132の下に処理容積を有するチャンバ本体102を含む。プロセスチャンバ100のスリットバルブ108は、ロボット(図示せず)が200mmもしくは300mmの半導体ウェハまたはガラス基板などの基板110をプロセスチャンバ100に送達およびそれから回収するためのアクセスを提供する。チャンバライナー177は、プロセスチャンバ100の壁に沿って配置され、処理/洗浄中に使用される腐食性ガスからチャンバを保護する。
【0013】
基板支持体112は、プロセスチャンバ100内の基板受け面111上で基板110を支持する。基板支持体112は、基板支持体112および基板支持体上に配置された基板110を上げ下げするためのリフトモータ114に取り付けられている。リフトモータ118に接続されたリフトプレート116(
図1に示す)は、プロセスチャンバ100に取り付けられ、基板支持体112を貫いて移動可能に配置されたリフトピン120を上げ下げする。リフトピン120は、基板支持体112の表面上で基板110を上げ下げする。基板支持体112は、堆積プロセス中に基板110を基板支持体112に固定するための真空チャック(図示せず)、静電チャック(図示せず)、またはクランプリング(図示せず)を含むことがある。
【0014】
基板支持体112の温度を調整して、基板110の温度を制御することができる。例えば、基板支持体112は、1つまたは複数の第1の抵抗加熱器要素144などの第1のヒータを使用して加熱されてもよく、加熱ランプ(
図3に示す)などの放射熱を使用して加熱されてもよい。パージリング122を基板支持体112上に配置して、基板110の周辺部にパージガスを提供するパージチャネル124を画定し、基板110の周辺部への堆積を防止することができる。
【0015】
ガス供給システム130は、チャンバ本体102の上部に配置され、プロセスガスおよび/またはパージガスなどのガスをプロセスチャンバ100に提供する。真空システム(図示せず)は、プロセスチャンバ100から任意の所望のガスを排出し、プロセスチャンバ100内の所望の圧力または圧力範囲を維持するのを助けるために、ポンピングチャネル179と連結している。
【0016】
一部の実施形態では、チャンバリッドアセンブリ132は、チャンバリッドアセンブリ132の中央部分を貫いて延びるガス分散チャネル134を含む。
図1に示すように、ガス分散チャネル134は、頂部プレート170を貫いて下面160まで基板受け面111に向かって垂直に延在する。一部の実施形態では、ガス分散チャネル134の上部は実質的に円筒形であり、ガス分散チャネル134の下部は、ガス分散チャネル134の中心軸からテーパ付けされている。下面160は、基板支持体112の基板受け面111上に配置された基板110を実質的に覆うようにサイズが調整され、成形されている。一部の実施形態では、下面160は、頂部プレート170の外側エッジからガス分散チャネル134に向かってテーパ付けされている。下面160は、ガス分散チャネル134を通るガスの流れを制御するために、直線面、凹面、凸面、またはそれらの組合せなどの1つもしくは複数の表面を含むことができる。
【0017】
ガス供給システム130は、1つまたは複数のガスをガス分散チャネル134に供給して、基板110を処理することができる。一部の実施形態では、ガス供給システム130は、1つのガス入り口を介してガス分散チャネル134に結合されてもよい。一部の実施形態では、代替として、ガス供給システムは、複数の入り口を介してガス分散チャネル134に結合されてもよい。
【0018】
プロセスチャンバ100は、ガス分配プレート125を貫いて配置された複数の開孔126を有するガス分配プレート125と、ガス分配プレート125と頂部プレート170との間に配置された加熱装置150と、ガス分配プレート125を適所に保持するように構成されたホルダ152と、を有するシャワーヘッドアセンブリ142をさらに含む。ガス分配プレート125は、ガス分散チャネル134から基板への唯一の経路がガス分配プレート125の複数の開孔126を通るように、ガス分散チャネル134の表面上に延在する。ホルダ152は、ガス分配プレート125からプロセスチャンバ100への熱損失を最小限に抑えるのに十分な第1の厚さt1を有する。第1の厚さt1は、ホルダ152が形成される材料に依存するが、第1の厚さt1は、ガス分配プレート125の重量を支持するのに十分に堅牢であり、しかもガス分配プレート125からの熱損失を最小限に抑えるのに十分に小さくなければならない。一部の実施形態では、第1の厚さt1は、約0.015インチ~約0.2インチであってもよい。一部の実施形態では、第1の厚さt1は、代替として、約0.05インチ~約0.15インチであってもよい。
【0019】
ホルダ152は、(上で概説したように)比較的薄い厚さを維持しながら、ガス分配プレート125を支持することができる任意のプロセス適合性材料で形成することができる。一部の実施形態では、材料は、ガス分配プレートの第2の熱膨張係数(CTE)の約5%以内である第1のCTEを有する。ホルダ152は、約30W/m・K未満の熱伝導率を有する導電性材料で形成され、ガス分配プレート125からの熱損失を最小限に抑え、RFエネルギーをガス分配プレート125に結合する。一部の実施形態では、ホルダ152は、例えば、インコネル625(登録商標)などのオーステナイトニッケルクロムベースの超合金で形成されてもよい。一部の実施形態では、代替として、ホルダ152は、ステンレス鋼またはニッケル合金で形成されてもよい。
【0020】
加熱装置150は、ガス分配プレート125および頂部プレート170から離間され、それにより、矢印149によって示すように、ガスが加熱装置150の上方、加熱装置150の周囲、および加熱装置の下方からガス分配プレート内に流れるガス流路が画定される。
【0021】
本発明者らは、前駆体残留物を開孔126内にほとんどまたは全く残さないことを保証するのに十分な温度にガス分配プレート125を維持するために、ガス分配プレート125を十分に高い温度に維持しなければならないことに気付いた。そのような温度を達成するために、ガス分配プレート125は、ガス分配プレート125の温度が処理中に約300℃よりも高い所定の温度に維持されるように、加熱装置150によって上方から、および基板支持体112によって下方から加熱される。一部の実施形態では、ガス分配プレートは、代替として、処理中に約400℃よりも高い所定の温度に維持される。加熱装置150は、例えば、1つまたは複数の第2の抵抗加熱器要素154などの第2のヒータを含む。ヒータ電源197は、第2のヒータに電力を供給するために第2のヒータに電気的に結合されている。上で説明したように、基板支持体は、例えば、1つまたは複数の第1の抵抗加熱器要素144などの第1のヒータを含む。一緒になって、第1および第2のヒータは、ガス分配プレート125を上で論じた所定の温度に維持する。
【0022】
図1は、抵抗加熱器要素として第1および第2のヒータを表しているが、一部の実施形態では、基板支持体112の第1のヒータおよび/または加熱装置150の第2のヒータは、
図3に表されるように、1つまたは複数の第1の加熱ランプ302を含むことができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の第1の加熱ランプ302は、複数の独立に制御可能な加熱ゾーンに配置されてもよい。
図3には、3つの加熱ゾーン、すなわち、第1のすなわち内側の加熱ゾーン304、第2のすなわち中間の加熱ゾーン306、および第3のすなわち外側の加熱ゾーン308が表されている。
図3には3つの加熱ゾーンが表されているが、より少ないまたはより多いゾーンが考えられる。
図3は、基板支持体112または加熱装置150に配置された加熱ランプを表す。同様に、第1および第2のヒータは、独立して制御可能な複数のゾーンに配置された抵抗加熱器要素を含むことができる。
【0023】
図1に戻ると、一部の実施形態では、プロセスチャンバ100は、RFエネルギーを基板処理チャンバ(例えば、ガス分配プレート125)に送達するために、整合ネットワーク199を介して頂部プレート170に電気的に結合された高周波(RF)電源198を含むことができる。RFエネルギーのガス分配プレート125への結合を促進するために、頂部プレート170は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルめっきアルミニウム、ニッケル、それらの合金、または他の適切な材料などの導電性材料で形成されている。
【0024】
一部の実施形態では、RF電極(例えば、第1のRF電極)が基板支持体112内に設けられている。一部の実施形態では、1つまたは複数の第1の抵抗加熱器要素144は、第1のRF電極として構成されてもよい。一部の実施形態では、
図1に示すように、電極145などの別個の電極が第1のRF電極として設けられてもよい。第1のRF電極は、ガス分配プレート125と基板支持体112との間の空間にプラズマを形成することができるように、ガス分配プレート125と第1のRF電極との間にRFエネルギーの接地経路を提供する。
【0025】
あるいは、または組み合わせて、一部の実施形態では、シャワーヘッドアセンブリ142内にRF電極(例えば、第2のRF電極)が設けられている。一部の実施形態では、1つまたは複数の第2の抵抗加熱器要素154は、第2のRF電極として構成されてもよい。一部の実施形態では、
図1に示すように、電極155などの別個の電極が第2のRF電極として設けられてもよい。第2のRF電極は、ガス分配プレート125と加熱装置150との間の空間にプラズマを形成することができるように、ガス分配プレート125と第2のRF電極との間にRFエネルギーの接地経路を提供する。一部の実施形態では、プロセスチャンバ100は、ガス分散チャネル134に結合された遠隔プラズマ源(RPS)190をさらに含む。
【0026】
図2は、本開示の一部実施形態によるプロセスチャンバ100の一部の断面図を示す。
図2に示すように、プロセスチャンバ100は、チャンバ本体102の壁の頂部に配置されたリッドプレート202と、アイソレータリング204と、をさらに含む。アイソレータリング204は、ガス分配プレート125に送達されるRFエネルギーからチャンバ本体102を電気的に絶縁するように構成されている。一部の実施形態では、アイソレータリング204は、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、または同様のプロセス適合性材料で形成されてもよい。リッドプレートは、チャンバリッド(図示せず)をチャンバ本体102に結合するように構成されている。一部の実施形態では、アイソレータリング204は、本体206、本体206の上部から延在し外向きに延在する部分208、および本体206の下部から延在し内向きに延在する部分210を含む。内向きに延在する部分210は、ガス分配プレート125の熱膨張に対応するために、間隙212によってガス分配プレート125に隣接し、そこから離間されている。一部の実施形態では、間隙212の幅は、ガス分配プレート125が最大熱膨張であるときの約0.04インチと、ガス分配プレート125が室温(すなわち、熱膨張なし)にあるときの約0.08インチとの間である。一部の実施形態では、プロセスチャンバ100は、ホルダ152を支持するためにホルダ152とアイソレータリング204との間に配置されたワッシャリング213も含む。一部の実施形態では、ワッシャリング213は、アルミニウム、ステンレス鋼、または同様のプロセス適合性材料で形成されてもよい。
【0027】
また、
図2に示すように、ホルダ152は、壁214と、壁214の下部から延在し、固定要素218を介してガス分配プレート125に結合された半径方向内向きに延在するフランジ216と、壁214の上部から延在し、チャンバ本体(すなわち、ワッシャリング213)と頂部プレート170との間に配置された半径方向外向きに延在するフランジ220と、を含む。一部の実施形態では、固定要素218は、(
図2に示すように)ねじであってもよい。一部の実施形態では、半径方向内向きに延在するフランジ216は、代替として、ガス分配プレート125に溶接されてもよい。ホルダ152、したがってガス分配プレート125からの熱損失を最小限に抑えるために、頂部プレート170とホルダ152との間の直接接触を最小限に抑えることができる。例えば、頂部プレート170は、ホルダ152と頂部プレート170との間の直接的な表面接触を低減させる幾何学的構成を有することができる。一部の実施形態では、
図2に示すように、頂部プレート170は、最小接触領域222を有することができ、この接触領域222は、半径方向外向きに延在するフランジ220の頂部に位置するチャネルの両側に2つの隣接する環状脚を有する環状チャネルを含む。
【0028】
一部の実施形態では、RFガスケット224も頂部プレート170と半径方向外向きに延在するフランジ220との間に配置され、頂部プレート170からホルダ152を介してガス分配プレート125へのRF電力の結合を改善することができる。一部の実施形態では、プロセスチャンバ100は、プロセスチャンバ100が真空気密シールを維持することを保証するために、様々な部品インターフェースに配置されたシール226(例えば、Oリング)を含むことができる。
【0029】
図1に戻ると、一部の実施形態では、ガス分配プレート125は、例えば、ニッケルなどの非腐食性材料で形成される。一部の実施形態では、複数の開孔126のそれぞれは、同等の流体コンダクタンスを有することができる。一部の実施形態では、複数の開孔126の密度(例えば、開孔の数または単位面積当たりの開孔の開口部のサイズ)は、基板110上の所望の堆積プロファイルを達成するためにガス分配プレート125全体にわたって変化してもよい。例えば、高密度の開孔126をガス分配プレート125の中心に配置して、基板のエッジに対する基板の中心での堆積速度を高くし、堆積の均一性をさらに改善することができる。
【0030】
図1および
図2を参照すると、処理動作において、基板110は、ロボット(図示せず)によってスリットバルブ108を介してプロセスチャンバ100に送達される。基板110は、リフトピン120とロボットとの協働により基板支持体112上に位置付けられる。基板支持体112は、基板110を上昇させてガス分配プレート125の下面に密接に対向させる。第1のガス流(例えば、チタン含有前駆体ガス)は、第2のガス流と一緒にまたは別々に(すなわち、パルスで)ガス供給システム130によってプロセスチャンバ100のガス分散チャネル134に注入されてもよい。
【0031】
ガスは、ガス分散チャネル134を通過し、続いてガス分配プレート125の複数の開孔126を通過する。次いで、基板110の表面にガスを堆積させる。続いて、プラズマ(例えば、窒素含有プラズマ)を、RPS190を介してプロセスチャンバ100に提供することができる。例えば、窒素プラズマをプロセスチャンバ100に供給して、以前に堆積させたTi層の最上部からTiN層を形成することができる。処理動作全体を通して、基板支持体112の第1のヒータ(例えば、1つまたは複数の第1の抵抗加熱器要素144)および加熱装置150の第2のヒータ(例えば、1つまたは複数の第2の抵抗加熱器要素154)は、ガス分配プレート125を所定の温度に加熱して、ガス分配プレート125上および/または開孔126内に蓄積した固体副産物を加熱することができる。その結果、蓄積した固体副産物は、蒸発する。蒸発した副産物は、真空システム(図示せず)およびポンピングチャネル179によって排気される。一部の実施形態では、所定の温度は、処理中に約300℃よりも高い。一部の実施形態では、所定の温度は、処理中に約400℃よりも高い。
【0032】
化学気相堆積に適合したチャンバの他の実施形態は、これらの特徴の1つまたは複数を組み込む。化学気相堆積チャンバおよびプロセスに関連して開示されているが、高温シャワーヘッドが望ましい他のプロセス用に構成されたプロセスチャンバも、本明細書に開示される教示から利益を得ることができる。
【0033】
前述の事項は、本開示の一部の実施形態を対象としているが、他のおよびさらなる実施形態が本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてもよい。