(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】埋め込み型透明電極基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 13/00 20060101AFI20220114BHJP
H01B 5/14 20060101ALI20220114BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H01B13/00 503D
H01B5/14 A
H01B5/14 B
B32B15/08 J
(21)【出願番号】P 2020524006
(86)(22)【出願日】2019-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2019002782
(87)【国際公開番号】W WO2019177319
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0029686
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・グ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】クン・ソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・オク・ムン
(72)【発明者】
【氏名】キソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ホン・イ
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-191806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/00
H01B 5/14
B32B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材、前記透明基材上に備えられた接着層、および前記接着層上に備えられた金属箔(metal foil)を含む構造体を形成するステップと、
前記金属箔をパターニングして金属箔パターンを形成するステップと、
前記金属箔パターンを含む構造体を70℃~100℃の温度で熱処理するステップと、
前記接着層を完全硬化させるステップと、
を含
み、
前記熱処理するステップの前の前記接着層の表面の十点平均粗さ(Rz)は0.5μm超過であり、
前記熱処理するステップの後の前記接着層の表面の十点平均粗さ(Rz)は0.1μm以下である、埋め込み型透明電極基板の製造方法。
【請求項2】
前記構造体を形成するステップは、
金属箔上に接着層を形成し、前記接着層上に透明基材を形成するステップ、または
透明基材上に接着層を形成し、前記接着層上に金属箔を形成するステップを含むものである、請求項1に記載の埋め込み型透明電極基板の製造方法。
【請求項3】
前記70℃~100℃の温度で熱処理するステップにより、前記接着層の内部に前記金属箔パターンが埋め込まれるものである、請求項1または2に記載の埋め込み型透明電極基板の製造方法。
【請求項4】
前記接着層は、70℃以上の温度で流動性を有するものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の埋め込み型透明電極基板の製造方法。
【請求項5】
前記接着層は、熱硬化型接着剤組成物またはUV硬化型接着剤組成物を含み、
前記接着層を完全硬化させるステップは、接着層を120℃以上の温度で熱硬化させるか、UV硬化させるステップを含むものである、請求項1から
4のいずれか一項に記載の埋め込み型透明電極基板の製造方法。
【請求項6】
前記接着層は、シラン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、開始剤、およびシランカップリング剤を含むものである、請求項1から
5のいずれか一項に記載の埋め込み型透明電極基板の製造方法。
【請求項7】
前記金属箔の厚さは2μm~20μmである、請求項1から
6のいずれか一項に記載の埋め込み型透明電極基板の製造方法。
【請求項8】
前記金属箔は、銅箔またはアルミニウム箔を含むものである、請求項1から
7のいずれか一項に記載の埋め込み型透明電極基板の製造方法。
【請求項9】
前記金属箔パターンの形成は、フォトリソグラフィ工程を利用するものである、請求項1から
8のいずれか一項に記載の透明電極基板の製造方法。
【請求項10】
透明基材と、前記透明基材上に備えられた接着層と、前記接着層の内部に埋め込まれた金属箔パターンとを含む埋め込み型透明電極基板であり、
前記接着層の一面と前記金属箔パターンの一面とは互いに同一平面上に備えられ、
前記透明基材に対向する前記金属箔パターンの面の十点平均粗さ(Rz)は0.5μm超過であり、
前記接着層の表面の十点平均粗さ(Rz)は0.1μm以下であり、
前記埋め込み型透明電極基板の金属箔パターンが備えられていない領域のヘイズが3%以下である埋め込み型透明電極基板。
【請求項11】
前記同一平面上に備えられる接着層の一面と金属箔パターンの一面との間の段差は0~20μmである、請求項
10に記載の埋め込み型透明電極基板。
【請求項12】
前記接着層の屈折率は1.45~1.55である、請求項
10または
11に記載の埋め込み型透明電極基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年3月14日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2018-0029686号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
本出願は、埋め込み型透明電極基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、韓国は先端ICT技術とLED技術との融合により、華やかな看板だけでなく、公園および都心内に多様な景観照明を演出して都市の人々に情報および見どころを提供している。特に、ITO透明電極素材を用いた透明LEDディスプレイは、ガラスとガラスとの間にLEDを適用するか、LEDが適用された透明フィルムをガラスの一面に付着させたものであって、電線が見えず高級な演出が可能であるという利点がある。これによって、ホテル、デパートなどの室内インテリアに活用されており、ビル外壁のメディアファサードの実現においてその重要性が増している。
【0003】
透明でありながらも電気が流れてタッチスクリーンなどに用いられる透明電極は、スマート機器の普及に伴ってその需要が爆発的に伸びており、そのうち最も多く用いる透明電極は、インジウムとスズの酸化物であるITO(Indium Tin Oxide)である。しかし、ITO透明電極素材の主原料であるインジウムは、全世界的に埋蔵量が多くなく、中国など一部の国でのみ生産されており、生産費用が高価である。また、抵抗値が一定に適用されず、表出されるLEDの明かりが一定でないという欠点を有している。これによって、ITOを活用した透明LEDは、高性能低費用の透明電極素材への活用には限界がある。
【0004】
透明電極素材としてITOが最も多い比重を占めて用いられてきたのは事実であるが、経済性、制限的性能などの限界によって新たな素材を活用した研究と技術開発が持続的に行われている。次世代新素材として注目されている透明電極素材には、メタルメッシュ(Metal Mesh)、ナノワイヤ(Ag Nanowire)、カーボンナノチューブ(CNT)、導電性高分子、グラフェン(Graphene)などがある。そのうち、メタルメッシュは、ITOを代替した物質の85%を占める新素材で低費用高導電度を有していて、その活用度の面から市場が広がっている。
【0005】
メタルメッシュを活用した透明LEDディスプレイは、既存のITO透明ディスプレイより維持補修が容易であり、資源を節約し、環境汚染を防止できるだけでなく、製造コストの節減で経済的である。また、多様な用途に拡大適用が可能で、新たな透明電極素材として多様な製品への適用および活用の可能性を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、埋め込み型透明電極基板およびその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の一実施態様は、
透明基材、前記透明基材上に備えられた接着層、および前記接着層上に備えられた金属箔(metal foil)を含む構造体を形成するステップと、
前記金属箔をパターニングして金属箔パターンを形成するステップと、
前記金属箔パターンを含む構造体を70℃~100℃の温度で熱処理するステップと、
前記接着層を完全硬化させるステップと、
を含む埋め込み型透明電極基板の製造方法を提供する。
【0008】
また、本出願の他の実施態様は、
透明基材;前記透明基材上に備えられた接着層;および前記接着層の内部に埋め込まれた金属箔パターンを含む埋め込み型透明電極基板であり、
前記接着層の一面と前記金属箔パターンの一面とは互いに同一平面上に備えられ、
前記透明基材に対向する前記金属箔パターンの面の十点平均粗さ(Rz)は0.5μm超過であり、
前記埋め込み型透明電極基板の金属箔パターンが備えられていない領域のヘイズが3%以下である埋め込み型透明電極基板を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本出願の一実施態様によれば、安価な金属箔を用いて金属箔パターンを形成するので、透明電極基板の製造時、原材料費が節減できる特徴がある。特に、本出願の一実施態様によれば、接着層上に金属箔パターンを形成した後、70℃~100℃の温度で熱処理することにより、別途の圧力を印加する工程がなくても、前記接着層の内部に前記金属箔パターンが埋め込まれる埋め込み型透明電極基板を製造することができる。
【0010】
また、本出願の一実施態様によれば、接着層上に金属箔パターンを形成した後、70℃~100℃の温度で熱処理することにより、金属箔の表面粗さによる透明電極基板のヘイズが増加するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板を概略的に示す図である。
【
図2】本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板の製造方法を概略的に示す図である。
【
図3】本出願の実施例1による埋め込み型透明電極基板を示す図である。
【
図4】本出願の実施例1による埋め込み型透明電極基板を示す図である。
【
図5】本出願の実施例1による埋め込み型透明電極基板を示す図である。
【
図6】本出願の実施例1による埋め込み型透明電極基板を示す図である。
【
図7】本出願の比較例1による電極基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本出願について詳細に説明する。
本出願において、「透明」とは、可視光線領域(400nm~700nm)において約80%以上の透過率特性を有することを意味する。
【0013】
透明基材の上部に金属配線が備えられている透明LEDディスプレイに適用される透明電極基板の場合には、70%以上の透過率と0.5ohm/sq以下の面抵抗特性が確保されなければならない。前記透過率および面抵抗特性を確保するためには、比抵抗が低い銅蒸着層が1μm以上の厚さを有しなければならない。透明基材の上部に、スパッタリング、エバポレーション、めっき工程などを活用して1μm以上の銅蒸着層を形成することができるが、この場合には、高価な蒸着費用が発生し、銅蒸着層の付着力の低下および蒸着工程中の下部透明基材の損傷が発生しうる。
【0014】
また、安価な銅箔と透明基材とを接着剤を活用して貼り合わせる場合には、製造費用を大きく低減することができ、付着力が改善できるが、銅箔の表面粗さが接着剤の表面に転写されて開口部のヘイズ(haze)が増加する問題が発生する。
【0015】
さらに、優れた表面平坦度を有する埋め込み型電極を製造するために、電極パターンが備えられている透明基材上に追加的に樹脂層を塗布した後、電極の上部に存在する残留樹脂層を除去するか、離型基材上に電極パターンを形成した後、その上部に樹脂層を塗布および硬化して電極を樹脂層に転写する方法を利用することができるが、この場合には、工程が複雑で製造費用が上昇する問題点を抱えている。
【0016】
そこで、本出願では、価格競争力を確保するために、金属層として超低価格の金属箔を用い、透明電極基板のヘイズを改善できる埋め込み型透明電極基板およびその製造方法を提供しようとする。
【0017】
本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板の製造方法は、透明基材、前記透明基材上に備えられた接着層、および前記接着層上に備えられた金属箔(metal foil)を含む構造体を形成するステップと、前記金属箔をパターニングして金属箔パターンを形成するステップと、前記金属箔パターンを含む構造体を70℃~100℃の温度で熱処理するステップと、前記接着層を完全硬化させるステップと、を含む。
【0018】
本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板の製造方法は、透明基材、前記透明基材上に備えられた接着層、および前記接着層上に備えられた金属箔を含む構造体を形成するステップを含む。
前記構造体を形成するステップは、金属箔上に接着層を形成し、前記接着層上に透明基材を形成するステップ、または透明基材上に接着層を形成し、前記接着層上に金属箔を形成するステップを含むことができる。
【0019】
前記透明基材は、透明性、表面平滑性、取扱容易性および防水性に優れたガラス基材または透明プラスチック基材になってもよいが、これに限定されず、電子素子に通常用いられる透明基材であれば制限はない。具体的には、前記透明基材としては、ガラス;ウレタン樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエステル樹脂;(メタ)アクリレート系高分子樹脂;ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などからなるもであってもよい。また、前記透明基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene terephthalate)、環状オレフィンポリマー(COP;cyclic olefin polymer)、ポリエチレンナフタレート(PEN;polyethylene naphthalate)、ポリエーテルスルホン(PES;polyethersulfone)、ポリカーボネート(PC;polycarbonate)、アセチルセルロイドなどの、可視光透過率80%以上のフィルムであってもよい。前記透明基材の厚さは25μm~250μmであってもよいが、これのみに限定されるものではない。
【0020】
前記金属箔は、当技術分野で知られた材料を用いることができ、より具体的には、銅箔(Cu Foil)またはアルミニウム箔(Al Foil)を含むことができるが、これのみに限定されるものではない。前記金属箔の厚さは2μm~20μmであってもよい。前記金属箔パターンの高さは、マイクロメータや厚さゲージで測定が可能である。
【0021】
前記接着層は、屈折率が1.45~1.55であってもよく、70℃以上の温度で流動性を有し得る。また、前記接着層は、熱硬化型接着剤組成物またはUV硬化型接着剤組成物を含むことができる。
【0022】
より具体的には、前記接着層は、シラン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、開始剤、およびシランカップリング剤を含むことができるが、これのみに限定されるものではない。
【0023】
前記接着層は、前述した接着剤組成物を用い、コンマコーティング、スロットダイコーティングなどの方法で5μm~30μmの厚さ範囲に形成することができるが、これのみに限定されるものではない。
【0024】
本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板の製造方法は、前記金属箔をパターニングして金属箔パターンを形成するステップを含む。
【0025】
前記金属箔パターンを形成する方法は、当技術分野で知られた方法を利用することができ、例えば、フォトリソグラフィ工程を利用することができる。より具体的には、前記金属箔パターンを形成する方法は、金属箔上にレジストパターンを形成した後、前記金属箔をエッチングするステップと、前記レジストパターンを剥離するステップとを含むことができるが、これのみに限定されるものではない。
【0026】
前記金属箔パターンは、十点平均粗さ(Rz)が相対的に高いマット(matt)面を少なくとも一面含む金属箔から製造される。この時、前記金属箔のマット面が前記透明基材に対向する。
【0027】
前記金属箔パターンは、互いに線幅が異なる2種以上の金属箔パターンを含むことができる。また、前記金属箔パターンは、互いに線幅が異なる2種の金属箔パターンを含み、1種の金属箔パターンの線幅は3μm~30μmであり、他の1種の金属箔パターンの線幅は50μm以上であってもよい。前記線幅が3μm~30μmの金属箔パターンは、電極パターンの役割を果たすことができ、前記線幅が50μm以上の金属箔パターンは、外部端子を連結するための電極パッド部パターンの役割を果たすことができる。すなわち、前記金属箔パターンは、電極パターンおよび電極パッド部パターンを含むことができる。
【0028】
前記電極パターンの線幅は3μm~30μmであってもよく、3μm~20μmであってもよいし、3μm~10μmであってもよいが、これのみに限定されるものではない。また、前記電極パッド部パターンの線幅は50μm以上であってもよく、50μm~1,000μmであってもよいが、これのみに限定されるものではない。
【0029】
本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板の製造方法は、前記金属箔パターンを含む構造体を70℃~100℃の温度で熱処理するステップを含む。
【0030】
前記70℃~100℃の温度で熱処理するステップにより、前記接着層の内部に前記金属箔パターンが埋め込まれる。特に、本出願の一実施態様によれば、接着層上に金属箔パターンを形成した後、70℃~100℃の温度で熱処理することにより、別途の圧力を印加する工程がなくても、前記接着層の内部に前記金属箔パターンが埋め込まれる埋め込み型透明電極基板を製造することができる。
【0031】
また、前記熱処理するステップの前の前記接着層の表面の十点平均粗さ(Rz)は0.5μm超過であり、前記熱処理するステップの後の前記接着層の表面の十点平均粗さ(Rz)は0.1μm以下であってもよい。さらに、前記熱処理するステップの前の前記接着層の表面の十点平均粗さ(Rz)は0.5μm超過3μm未満であってもよい。また、前記熱処理するステップの後の前記接着層の表面の十点平均粗さ(Rz)は0~0.1μmであってもよい。前記熱処理するステップの前の前記接着層の表面のRzが0.5μm以下の場合には、低い凹凸によって金属箔特有の高い反射率を有する。したがって、これより製造される透明電極基板の反射率を低下させにくいので、高い反射率によってパターンが視認されやすいという欠点がある。また、前記熱処理するステップの前の前記接着層の表面のRzが0.5μm以下の場合には、金属箔と接着層との間の付着力が低下して金属箔パターンを形成する過程(フォト工程)中に金属箔パターンが接着層から脱離する問題が発生しうる。
【0032】
すなわち、透明基材上に接着層を備えた後、安価な金属箔を貼り合わせる場合には、金属箔の表面粗さが接着層の表面に転写されて最終製品のヘイズが増加する問題が発生しうる。よって、本出願の一実施態様によれば、接着層上に金属箔パターンを形成した後、70℃~100℃の温度で熱処理することにより、金属箔の表面粗さによる透明電極基板のヘイズが増加するのを防止することができる。
【0033】
本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板の製造方法は、前記接着層を完全硬化させるステップを含む。前記接着層は、熱硬化型接着剤組成物またはUV硬化型接着剤組成物を含み、前記接着層を完全硬化させるステップは、接着層を120℃以上の温度で熱硬化させるか、UV硬化させるステップを含むことができる。
【0034】
また、本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板の製造方法を下記の
図2に概略的に示した。
【0035】
下記の
図2のように、本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板の製造方法は、透明基材10、前記透明基材10上に備えられた接着層20、および前記接着層20上に備えられた金属箔(metal foil)30を含む構造体を形成するステップと、前記金属箔30をパターニングして金属箔パターン40を形成するステップと、前記金属箔パターン40を含む構造体を70℃~100℃の温度で熱処理するステップと、前記接着層20を完全硬化させるステップと、を含む。
【0036】
また、本出願の一実施態様は、透明基材;前記透明基材上に備えられた接着層;および前記接着層の内部に埋め込まれた金属箔パターンを含む埋め込み型透明電極基板であり、前記接着層の一面と前記金属箔パターンの一面とは互いに同一平面上に備えられ、前記透明基材に対向する前記金属箔パターンの面の十点平均粗さ(Rz)は0.5μm超過であり、前記埋め込み型透明電極基板の金属箔パターンが備えられていない領域のヘイズが3%以下である埋め込み型透明電極基板を提供する。
【0037】
本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板において、前記透明基材、接着層、および金属箔パターンに関する内容は、前述したものと同じである。
【0038】
本出願の一実施態様において、前記同一平面上に備えられる接着層の一面と金属箔パターンの一面との間の段差は0~20μmであってもよい。
【0039】
本出願の一実施態様において、前記接着層の屈折率は1.45~1.55であってもよく、前記透明基材に対向する前記金属箔パターンの面の十点平均粗さ(Rz)は0.5μm超過であってもよい。
【0040】
また、前記埋め込み型透明電極基板の金属箔パターンが備えられていない領域のヘイズが3%以下であってもよい。
さらに、本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板を下記の
図1に概略的に示した。
【0041】
下記の
図1のように、本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板は、透明基材10;前記透明基材10上に備えられた接着層20;および前記接着層20の内部に埋め込まれた金属箔パターン40を含み、前記接着層20の一面と前記金属箔パターン40の一面とは互いに同一平面上に備えられる。
【0042】
本出願の一実施態様に係る埋め込み型透明電極基板は、電子素子の透明電極に適用可能である。
前記電子素子は、発熱フィルム、透明LEDディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、またはトランジスタであってもよい。前記発熱フィルム、透明LEDディスプレイ、タッチパネル、太陽電池、またはトランジスタは、当業界で一般的に知られているものでもよいし、電極を本出願の一実施態様に係る透明電極基板として用いたものでもよい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を通じて本明細書に記載の実施態様を例示する。しかし、以下の実施例により前記実施態様の範囲が限定されることを意図するものではない。
【0044】
<実施例>
<実施例1>
250μmの厚さのPETフィルム上に、コンマコーターを用いてUV硬化型接着剤を塗布した後、100℃で5分間熱風乾燥して15μmの厚さの接着層を形成した。この時、前記UV硬化型接着剤は、シラン変性エポキシ樹脂KSR-277HMC70(Kukdo Chemical)33重量%、シラン変性エポキシ樹脂KSR-177(Kukdo Chemical)35重量%、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂YP-50E(Kukdo Chemical)30重量%、陽イオン開始剤Igacure290(BASF)1重量%、およびシランカップリング剤KBM-403(Shinetsu)1重量%を含んでいる。
【0045】
前記透明接着層が備えられたPETフィルムと8μmの厚さの銅箔とを、100℃、1.3mpm(meter per minute)の条件でホットロール(Hot Roll)によって貼り合わせた。
【0046】
前記銅箔貼り合わせフィルムの銅箔面にDFR(ドライフィルムレジスト;Dry Film Resist)を貼り合わせた後、露光および現像工程により20μm線幅の六角形(Hexagonal)形態のDFRパターンを形成した。
【0047】
塩化第二鉄系銅エッチング液を用いて露出した銅箔を除去し、DFRパターンを剥離して六角形(Hexagonal)形態の銅箔パターンを形成した。この時、銅箔パターンが備えられていない領域のヘイズは12.19%であった。
【0048】
前記銅箔パターンフィルムを100℃で5分間熱処理して銅箔パターンを接着層の内部に埋め込んだ後、銅箔パターンが備えられている面の反対面から2J/cm2の露光量でUV照射して接着層を完全硬化した。この時、銅箔パターンが備えられていない領域のヘイズは2.86%であった。
【0049】
本出願の実施例1による埋め込み型透明電極基板を下記の
図3~6に示した。より具体的には、下記の
図3は、銅箔貼り合わせ原反の上部にDFRパターンを形成したことを示すものであり、下記の
図4は、銅箔パターンの形成およびDFRの剥離後を示すものであり、下記の
図5は、熱処理工程後を示すものである。また、下記の
図6は、最終的に製造された実施例1の埋め込み型透明電極基板を示すものである。
【0050】
<比較例1>
250μmの厚さのPETフィルム上に、コンマコーターを用いてCCL(Copper Clad Laminate)用接着剤を塗布した後、100℃で5分間熱風乾燥して15μmの厚さの接着層を形成した。
【0051】
前記透明接着層が備えられたPETフィルムと8μmの厚さの銅箔とを、100℃、1.3mpm(meter per minute)の条件でホットロール(Hot Roll)によって貼り合わせた。
【0052】
前記銅箔貼り合わせフィルムを80℃で3日間熟成して前記接着層を完全硬化した。
前記銅箔貼り合わせフィルムの銅箔面にDFR(Dry Film Resist)を貼り合わせた後、露光および現像工程により20μm線幅の六角形(Hexagonal)形態のDFRパターンを形成した。
【0053】
塩化第二鉄系銅エッチング液を用いて露出した銅箔を除去し、DFRパターンを剥離して六角形(Hexagonal)形態の銅箔パターンを形成した。この時、銅箔パターンが備えられていない領域のヘイズは48.85%であった。
【0054】
本出願の比較例1による電極基板を下記の
図7に示した。
前記結果のように、本出願の一実施態様によれば、安価な金属箔を用いて金属箔パターンを形成するので、透明電極基板の製造時、原材料費が節減できる特徴がある。特に、本出願の一実施態様によれば、接着層上に金属箔パターンを形成した後、70℃~100℃の温度で熱処理することにより、別途の圧力を印加する工程がなくても、前記接着層の内部に前記金属箔パターンが埋め込まれる埋め込み型透明電極基板を製造することができる。
【0055】
また、本出願の一実施態様によれば、接着層上に金属箔パターンを形成した後、70℃~100℃の温度で熱処理することにより、金属箔の表面粗さによる透明電極基板のヘイズが増加するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0056】
10:透明基材
20:接着層
30:金属箔
40:金属箔パターン