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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-21
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/10 20200101AFI20220114BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20220114BHJP
   H04N 13/356 20180101ALI20220114BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
G02B30/10
G02F1/13 505
H04N13/356
G02F1/13357
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017216259
(22)【出願日】2017-11-09
(65)【公開番号】P2019086710
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】河北 真宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 久幸
(72)【発明者】
【氏名】岡市 直人
(72)【発明者】
【氏名】三科 智之
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045424(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0252971(US,A1)
【文献】Seong-Woo Cho, et al.,Convertible two-dimensional-three-dimensional display using an LED array based on modified integral imaging,OPTICS LETTERS,Vol. 31, No. 19,2006年10月,pp.2852-2854
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00
G02F 1/13
H04N 13/30
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体像と二次元画像とを、切り替えて、または、領域別に区分して表示する画像表示装置であって、
点光源を二次元平面上に配列した発光手段と、
前記点光源に対応して、光を透過させる光透過領域を、光を拡散させる光拡散領域に対して予め定めたパターンで配置した透過・拡散手段と、
前記点光源をバックライトとして、前記立体像を表示するためのインテグラル方式の要素画像群または前記二次元画像を表示するとともに、前記光透過領域を透過した光が個々の要素画像を照射する位置に配置した表示手段と、
前記点光源の点灯および消灯を制御する制御手段と、を備え、
前記透過・拡散手段を複数離間して備え、前記表示手段に最も近い前記透過・拡散手段の前記光透過領域を透過した光が個々の要素画像を照射する位置に前記表示手段を備え、
前記制御手段は、
前記表示手段に前記要素画像群を全面表示、または、部分表示する場合、前記要素画像群の表示領域において、前記光透過領域に対応する点光源を点灯させるとともに前記光拡散領域に対応する点光源を消灯させ、
前記表示手段に前記二次元画像を全面表示、または、部分表示する場合、前記二次元画像の表示領域において、前記光拡散領域に対応する点光源を点灯させるとともに、前記光透過領域に対応する点光源を消灯させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記透過・拡散手段のパターンとして、水平方向および垂直方向に、前記点光源に対応して予め定めた数だけ離間して前記光透過領域を配置したことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記透過・拡散手段のパターンは、水平方向または垂直方向に、前記点光源に対して予め定めた数だけ離間して前記光透過領域を配置したことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
立体像と二次元画像とを、切り替えて、または、領域別に区分して表示する画像表示装置であって、
予め定めたパターンの光を投影する投影手段と、前記投影手段で投影されたパターンの光を平行光に変換するコリメータレンズと、前記平行光から疑似的な点光源を生成するレンズを二次元平面上に配列したレンズアレイと、を備えた発光手段と、
前記レンズに対応して、光を透過させる光透過領域を、光を拡散させる光拡散領域に対して予め定めたパターンで配置した透過・拡散手段と、
前記点光源をバックライトとして、前記立体像を表示するためのインテグラル方式の要素画像群または前記二次元画像を表示するとともに、前記光透過領域を透過した光が個々の要素画像を照射する位置に配置した表示手段と、
前記投影手段が投影するパターンの光の切り替えを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記表示手段に前記要素画像群を全面表示、または、部分表示する場合、前記要素画像群の表示領域において、前記光透過領域のみに光が投影されるようなパターンの光を前記投影手段に投影させ、
前記表示手段に前記二次元画像を全面表示、または、部分表示する場合、前記二次元画像の表示領域において、前記光拡散領域のみに光が投影されるようなパターンの光を前記投影手段に投影させることを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体像と二次元画像とを表示可能な画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3Dメガネを用いた二眼立体方式を始めとして、多種多様な立体像表示技術が提案されている。なかでも、インテグラル方式は、特殊なメガネが不要で、水平および垂直に視差を有する自然な立体像を再生可能であることから、将来の多様な立体アプリケーションへの応用が期待されている。一般的に、インテグラル方式は、要素レンズで構成されたレンズアレイを表示パネルの前面、または、点光源で構成された点光源アレイを表示パネルの背面に設置して、要素レンズまたは点光源に対応する表示パネルの位置に要素画像を表示することで、観察者に立体像を視認させることができる。
今後、多様な映像コンテンツを表示するためには、インテグラル方式の立体像の表示(以下、3D表示)だけでなく、高精細な二次元画像の表示(以下、2D表示)も可能であることが望ましい。
【0003】
このような背景から、点光源アレイを用いたインテグラル方式において、3D表示と2D表示とを切り替える方法が提案されている(非特許文献1,2参照)。
非特許文献1に記載の方法は、図16に示すように、光源101と、コリメータレンズ102と、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal;高分子分散型液晶)103と、レンズアレイ104と、表示パネル105と、を備える画像表示装置100Aで、3D表示と2D表示とを切り替える。
図16(a)に示すように、画像表示装置100Aは、3D表示を行う場合、電圧制御により光の透過/拡散を制御可能なPDLC103を光が透過するように制御し、表示パネル105に要素画像eを表示する。
これによって、画像表示装置100Aは、光源101の光をコリメータレンズ102により平行光に変換し、PDLC103を透過させる。そして、画像表示装置100Aは、レンズアレイ104ごとに、平行光を集光させて集光位置Loに点光源となる光を生成し、表示パネル105に投射することで、観察者Mに立体像を視認させることができる。
【0004】
一方、図16(b)に示すように、画像表示装置100Aは、2D表示を行う場合、PDLC103を光が拡散するように制御し、表示パネル105に二次元画像Gを表示する。これによって、画像表示装置100Aは、拡散光を表示パネル105に照射することができ、表示パネル105に表示した二次元画像Gを観察者Mに視認させることができる。
【0005】
非特許文献2に記載の方法は、図17に示すように、2層構造のLEDアレイ111と、開口部を有する拡散板112と、レンズアレイ113と、表示パネル114と、を備える画像表示装置100Bで、3D表示と2D表示とを切り替える。
図17(a)に示すように、画像表示装置100Bは、3D表示を行う場合、LEDアレイ111の拡散板112の開口部にほぼ接する層のLEDを発光させ、表示パネル114に要素画像eを表示する。
これによって、画像表示装置100Bは、拡散板112の開口部を通過した光を、レンズアレイ113ごとに集光させて集光位置Loに点光源となる光を生成し、表示パネル114に投射することで、観察者Mに立体像を視認させることができる。
【0006】
一方、図17(b)に示すように、画像表示装置100Bは、2D表示を行う場合、LEDアレイ111の拡散板112の拡散部に対応する層のLEDを発光させ、表示パネル114に二次元画像Gを表示する。これによって、画像表示装置100Bは、拡散光を表示パネル114に照射することができ、表示パネル114に表示した二次元画像Gを観察者Mに視認させることができる。なお、図17では、LEDアレイ111の点灯を白、消灯を黒で示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Jae-Hyeung Park, Hak-Rin Kim, Yunhee Kim, Joohwan Kim, Jisoo Hong, Sin-Doo Lee, and Byoungho Lee, “Depth-enhanced three-dimensional-two-dimensional convertible display based on modified integral imaging”, OPTICS LETTERS, vol.29, No.23, pp.2734-2736, December 1, 2004.
【文献】Seong-Woo Cho, Jae-Hyeung Park, Yunhee Kim, Heejin Choi, Joohwan Kim, and Byoungho Lee, “Convertible two-dimensional-three-dimensional display using an LED array based on modified integral imaging”, OPTICS LETTERS, Vol.31, No.19, pp.2852-2854, October 1, 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、非特許文献1に記載の方法は、3D表示と2D表示とを切り替えるために、電気的に光の透過/拡散を制御するPDLCの層を備える必要があり、装置構成が複雑になるという問題がある。
また、非特許文献2に記載の方法は、3D表示と2D表示とを切り替えるために、表示パネルからの距離が異なる2層構造のLEDアレイを備える必要があり、装置構成が複雑になるという問題がある。
【0009】
さらに、多様な映像コンテンツとして、3D表示と2D表示とを部分的に混在させて表示させることが考えられる。
しかし、非特許文献1に記載の方法は、PDLCによって入力光全体を透過/拡散することしか制御できない。また、非特許文献2に記載の方法は、1つのLEDの光をレンズアレイの複数のレンズに投射している。
そのため、非特許文献1,2に記載の方法は、3D表示または2D表示を画面全体で切り替えることしかできない。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で3D表示と2D表示とを切り替えるとともに、3D表示と2D表示とを部分的に混在させて表示することが可能な画像表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明に係る画像表示装置は、立体像と二次元画像とを、切り替えて、または、領域別に区分して表示する画像表示装置であって、点光源を二次元平面上に配列した発光手段と、前記点光源に対応して、光を透過させる光透過領域を、光を拡散させる光拡散領域に対して予め定めたパターンで配置した透過・拡散手段と、前記点光源をバックライトとして、前記立体像を表示するためのインテグラル方式の要素画像群または前記二次元画像を表示するとともに、前記光透過領域を透過した光が個々の要素画像を照射する位置に配置した表示手段と、前記点光源の点灯および消灯を制御する制御手段と、を備える構成とした。
なお、前記透過・拡散手段を複数離間して備え、前記表示手段に最も近い前記透過・拡散手段の前記光透過領域を透過した光が個々の要素画像を照射する位置に前記表示手段を備えることとしてもよい。
また、前記透過・拡散手段のパターンとして、水平方向および垂直方向に、前記点光源に対応して予め定めた数だけ離間して前記光透過領域を配置してもよい。
また、前記透過・拡散手段のパターンは、水平方向または垂直方向に、前記点光源に対して予め定めた数だけ離間して前記光透過領域を配置してもよい。
【0012】
かかる構成において、画像表示装置は、表示手段に要素画像群を全面表示、または、部分表示する場合、制御手段によって、要素画像群の表示領域において、光透過領域に対応する点光源を点灯させるとともに光拡散領域に対応する点光源を消灯させる。これによって、光透過領域を透過した光が点光源として要素画像群の個々の要素画像を照射するため、画像表示装置は、観察者に立体像を視認させることができる。
【0013】
また、画像表示装置は、表示手段に二次元画像を全面表示、または、部分表示する場合、制御手段によって、二次元画像の表示領域において、光拡散領域に対応する点光源を点灯させるとともに、光透過領域に対応する点光源を消灯させる。これによって、光拡散領域で拡散された拡散光が二次元画像を表示した表示手段を背面から照射することで、画像表示装置は、観察者に二次元画像を視認させることができる。
【0014】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る画像表示装置は、立体像と二次元画像とを、切り替えて、または、領域別に区分して表示する画像表示装置であって、予め定めたパターンの光を投影する投影手段と、前記投影手段で投影されたパターンの光を平行光に変換するコリメータレンズと、前記平行光から疑似的な点光源を生成するレンズを二次元平面上に配列したレンズアレイと、を備えた発光手段と、前記レンズに対応して、光を透過させる光透過領域を、光を拡散させる光拡散領域に対して予め定めたパターンで配置した透過・拡散手段と、前記点光源をバックライトとして、前記立体像を表示するためのインテグラル方式の要素画像群または前記二次元画像を表示するとともに、前記光透過領域を透過した光が個々の要素画像を照射する位置に配置した表示手段と、前記投影手段が投影するパターンの光の切り替えを制御する制御手段と、を備える構成とした。
【0015】
かかる構成において、画像表示装置は、表示手段に要素画像群を全面表示、または、部分表示する場合、制御手段によって、要素画像群の表示領域において、光透過領域のみに光が投影されるようなパターンの光を投影手段に投影させる。これによって、画像表示装置は、光透過領域に対応した要素画像によって、観察者に立体像を視認させることができる。
【0016】
また、画像表示装置は、表示手段に二次元画像を全面表示、または、部分表示する場合、制御手段によって、二次元画像の表示領域において、光拡散領域のみに光が投影されるようなパターンの光を投影手段に投影させる。これによって、拡散された拡散光が二次元画像を表示した表示手段を背面から照射することで、画像表示装置は、観察者に二次元画像を視認させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
本発明によれば、表示手段に照射する点光源の光を個別に制御するだけの簡易な構成で、立体像と二次元画像とを切り替えて表示することができる。
また、本発明によれば、個別に点光源を制御することができるため、部分的に立体像と二次元画像とを混在させて表示することもできる。
これによって、本発明は、1つの装置で、多様な映像コンテンツを提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る画像表示装置の概要を説明するための装置外観の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置の表示部の構成を示す側面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置の透過・拡散板の光透過領域と光拡散領域の例を示すパターン図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置の表示部の配置例を説明するための説明図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置の3D表示と2D表示との切り替え動作を説明するための説明図であって、(a)は3D表示、(b)は2D表示の動作を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る画像表示装置で立体像(要素画像群)と二次元画像とを領域別に混在して表示する例を説明するための説明図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る画像表示装置の表示部の構成を示す構成図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る画像表示装置の3D表示と2D表示との切り替え動作を説明するための説明図であって、(a)は3D表示、(b)は2D表示の動作を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る画像表示装置の表示部の構成を示す構成図である。
図11】本発明の第4実施形態に係る画像表示装置の表示部の構成を示す構成図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る画像表示装置の透過・拡散板の光透過領域と光拡散領域の例を示すパターン図であって、(a)は水平方向、垂直方向ともに光透過領域を点光源に対して2個置きに配置した例、(b)は水平方向に、光透過領域を点光源に対して2個置きに配置し、垂直方向に、光透過領域を点光源ごとに配置した例を示す。
図13】本発明の第5実施形態に係る画像表示装置の表示部の構成を示す構成図である。
図14】本発明の第5実施形態に係る画像表示装置の投影手段が投影するパターン画像を説明するための図であって、(a)は透過・拡散板のパターン、(b),(c)はそれぞれ、3D表示および2D表示を行うためのパターン画像である。
図15】本発明の第5実施形態に係る画像表示装置の3D表示と2D表示との切り替え動作を説明するための説明図であって、(a)は3D表示、(b)は2D表示の動作を示す図である。
図16】従来の画像表示装置の例を説明するための説明図であって、(a)は3D表示、(b)は2D表示の動作を示す図である。
図17】従来の画像表示装置の他の例を説明するための説明図であって、(a)は3D表示、(b)は2D表示の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〔画像表示装置の概要〕
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置1の概要について説明する。
画像表示装置1は、立体像I3Dと二次元画像I2Dとを切り替えて表示するものである。図1に示すように、画像表示装置1は、表示部10と、制御部20と、を備える。
【0020】
表示部10は、画像(立体像I3D、二次元画像I2D)を表示するものである。なお、表示部10は、立体像I3Dについては、インテグラル方式の要素画像群を表示することで、観察者Mに立体像I3Dを視認させる。一方、表示部10は、二次元画像I2Dについては、画面上に二次元画像そのものを表示する。
【0021】
制御部20は、表示部10における立体像I3Dの表示と、二次元画像I2Dの表示とを切り替える制御を行うものである。
なお、画像表示装置1は、立体像I3Dと二次元画像I2Dとの切り替えを画面全体で行うことも可能であるし、画面の領域別に立体像I3Dと二次元画像I2Dとを混在させることも可能である。
以下、画像表示装置1の構成について詳細に説明する。
【0022】
〔画像表示装置の構成〕
次に、図2図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置1の構成について説明する。図2は、図1に示した画像表示装置1の符号Aで示す領域を透視した表示部10の構成を示す側面図である。図3は、画像表示装置1の制御部20の構成を示すブロック構成図である。
【0023】
まず、図2を参照して、表示部10の構成について説明する。
図2に示すように、表示部10は、点光源アレイ11と、透過・拡散板12と、表示パネル13と、を備える。
【0024】
点光源アレイ(発光手段)11は、点光源Lとなる微小な発光素子(例えば、LED:Light Emitting Diode)を二次元平面上に配列したものである。点光源Lの発光領域の大きさは、後記する表示パネル13である空間光変調器の1画素以下であることが好ましい。なお、平行光源とレンズアレイとにより疑似的に点光源アレイを構成することとしてもよい。
個々の点光源Lは、点灯時に、予め定めた配光角で透過・拡散板12を照射する。なお、点光源Lの点消灯は、制御部20(図1)により制御される。
【0025】
透過・拡散板(透過・拡散手段)12は、点光源アレイ11の光を部分的に透過、拡散させるものである。この透過・拡散板12は、光を透過させる光透過領域Pを、光を拡散させる光拡散領域Dに対して予め定めたパターンで配置している。
例えば、透過・拡散板12は、図4に示すように、二次元平面上に配列した点光源アレイ11のそれぞれの点光源Lに対して、水平方向および垂直方向のそれぞれに、1つ置きに光透過領域Pと光拡散領域Dとなるようなパターンを有している。
点光源Lを点灯した場合、その光は、光透過領域Pを透過して表示パネル13に照射される。また、点光源Lを点灯した場合、その光は、光拡散領域Dで拡散して表示パネル13に照射される。
【0026】
この透過・拡散板12には、ガラス板等の光学素子の一部に拡散加工処理を行ったものを使用することができる。例えば、拡散加工処理には、マイクロブラスト加工法、エッチング法、印刷法等を用いることができる。なお、光拡散領域Dにおける拡散度はより高い方が望ましく、例えば、ヘイズ(全光線透過光に対する拡散透過光の割合)が70%以上であることが望ましい。また、透過・拡散板12には、光の反射や映り込みを防止するため、反射防止膜(AR〔Anti Reflection〕コート)をコーティングしておくことが望ましい。
なお、透過・拡散板12には、拡散板や拡散フィルムに対して、部分的に領域を切り取り、切り取った部分を光透過領域Pとしてもよい。
【0027】
表示パネル(表示手段)13は、点光源アレイ11からの光をバックライトとして、画像を表示するものである。この表示パネル13には、空間光変調器(例えば、透過型液晶パネル)を用いることができる。
この表示パネル13は、立体像を表示する場合、制御部20を介して、インテグラル方式の要素画像群を表示する。また、表示パネル13は、二次元画像を表示する場合、制御部20を介して、二次元画像そのものを表示する。この表示パネル13が表示する画像は、静止画像であってもいし、複数の画像が連続する動画像であってもよい。
なお、点光源アレイ11、透過・拡散板12および表示パネル13の具体的な配置例については、後で詳細に説明する。
【0028】
次に、図3を参照して、制御部(制御手段)20の構成について説明する。
図3に示すように、制御部20は、3D/2D画像表示手段21と、3D/2D表示切替手段22と、点光源点消灯手段23と、を備える。
【0029】
3D/2D画像表示手段21は、インテグラル方式の要素画像群または二次元画像を入力し、表示パネル13に表示するものである。この3D/2D画像表示手段21は、図示を省略した信号線を介して、表示パネル13と接続され、外部のディスク装置や、通信回線を介して入力される要素画像群(3D表示)または二次元画像(2D表示)を表示パネル13に出力する。
【0030】
3D/2D表示切替手段22は、図示を省略したスイッチや、通信回線を介して、3D表示と2D表示との表示方式の切替指示を入力するものである。この3D/2D表示切替手段22は、指示された表示方式を点光源点消灯手段23に出力する。
【0031】
点光源点消灯手段23は、3D/2D表示切替手段22から入力される表示方式に応じて、点光源アレイ11の各点光源の点灯および消灯を行うものである。この点光源点消灯手段23は、図示を省略した信号線を介して、点光源アレイ11に接続され、各点光源の点灯および消灯を行う。
【0032】
点光源点消灯手段23は、3D/2D表示切替手段22から入力される表示方式が3D表示である場合、透過・拡散板12の光透過領域Pに対応する点光源L図4参照)を点灯させ、光拡散領域Dに対応する点光源L図4参照)を消灯させる。
また、点光源点消灯手段23は、3D/2D表示切替手段22から入力される表示方式が2D表示である場合、透過・拡散板12の光拡散領域Dに対応する点光源L図4参照)を点灯させ、光透過領域Pに対応する点光源L図4参照)を消灯させる。
【0033】
以上説明したように画像表示装置1を構成することで、画像表示装置1は、点光源アレイ11の点光源Lを点灯または消灯だけの簡易な構成で、立体像と二次元画像とを切り替えて表示することができる。
【0034】
(配置位置)
次に、図5を参照して、画像表示装置1の表示部10におけるそれぞれの部材の最適な配置位置について説明する。まず、点光源アレイ11と表示パネル13との距離について説明する。
インテグラル方式の要素画像群(要素画像e,e,…)を表示パネル13に表示する場合、点光源Lから射出された光は、表示パネル13に到達したときの広がり(幅w)が表示パネル13を隙間なく照射することで、表示パネル13の画素を有効に活用することができる。そのうえで、幅wの重なりが可能な限り小さくなるように表示パネル13を配置することで、点光源Lの光量を有効に活用することができる。
【0035】
透過・拡散板12の光透過領域Pに対応する点光源Lの配光角をθ、点光源Lの間隔をpとしたとき、点光源アレイ11と表示パネル13との最適な距離gは、以下の式(1)で表すことができる。
【0036】
【数1】
【0037】
次に、点光源アレイ11と透過・拡散板12との距離について説明する。
点光源アレイ11と透過・拡散板12との距離は、点光源アレイ11の各点光源(L,L,…)から射出された光の広がりが交わらない範囲で最長とすることが、光拡散領域Dでより広い拡散範囲の光を表示パネル13に照射することができるため望ましい。
【0038】
透過・拡散板12の光透過領域Pに対応する点光源Lの配光角をθ、光拡散領域Dに対応する点光源Lの配光角をθ、点光源Lの間隔をpとしたとき、点光源アレイ11と透過・拡散板12との距離dは、以下の式(2)で表すことができる。
【0039】
【数2】
【0040】
このとき、光透過領域Pの幅wは、以下の式(3)で表すことができる。
【0041】
【数3】
【0042】
なお、点光源アレイ11で、配光角が同じ点光源Lと点光源Lとを用いることとした場合、すなわち、θ=θとした場合、前記式(2)の点光源アレイ11と透過・拡散板12との距離は、d=g/2となる。
以上、表示部10の構成の最適な配置位置について説明したが、必ずしもこの配置に限定されるものではない。例えば、要素画像eの大きさによって、幅wのすべての領域に光を照射する必要がなければ、距離gを短くしてもよい。また、透過・拡散板12のパターンや点光源Lの配光形状によって、幅wを重ねる必要があれば、距離gを長くしてもよい。
【0043】
〔画像表示装置の動作〕
次に、図6を参照(適宜図1図3参照)して、本発明の実施形態に係る画像表示装置1における3D表示と2D表示との切り替え動作について説明する。
図6(a)に示すように、3D表示を行う場合、画像表示装置1は、制御部20の3D/2D表示切替手段22に3D表示の表示方式が指示された段階で、点光源点消灯手段23によって、透過・拡散板12の光透過領域Pに対応する点光源Lのみを点灯させる。
そして、画像表示装置1は、制御部20の3D/2D画像表示手段21によって、要素画像群E(要素画像e,e,…)を、表示パネル13に表示する。
これによって、点光源Lから射出された光は、表示パネル13に表示した要素画像eを背面から照射することになり、正面から表示パネル13を観察する観察者Mは、インテグラル方式の立体像を視認することができる。
【0044】
また、図6(b)に示すように、2D表示を行う場合、画像表示装置1は、制御部20の3D/2D表示切替手段22に2D表示の表示方式が指示された段階で、点光源点消灯手段23によって、透過・拡散板12の光拡散領域Dに対応する点光源Lのみを点灯させる。
そして、画像表示装置1は、制御部20の3D/2D画像表示手段21によって、二次元画像Gを、表示パネル13に表示する。
これによって、点光源Lから射出された光は拡散して、表示パネル13に表示した二次元画像Gを背面から照射することになり、正面から表示パネル13を観察する観察者Mは、二次元画像を視認することができる。
【0045】
なお、ここでは、画像表示装置1は、3D表示と2D表示とを切り替えて、表示パネル13の全面に3D表示または2D表示を行う例(全面表示)を説明した。しかし、画像表示装置1は、表示パネル13の画面全体を区分した領域で、3D表示と2D表示とを個別に表示(部分表示)させて混在させることも可能である。
【0046】
ここで、図7を参照して、画像表示装置1において、3D表示と2D表示とを領域別に区分して混在して行う方法を説明する。なお、図7では、制御部20を省略している。
図7に示すように、3D表示と2D表示とを混在させる場合、画像表示装置1は、表示パネル13に要素画像群Eを表示する領域と、二次元画像Gを表示する領域とを区分し、それぞれの画像を混在させた画像を、表示パネル13に表示する。
【0047】
また、画像表示装置1は、要素画像群Eを表示する表示パネル13の領域に対応する点光源アレイ11の領域において、透過・拡散板12の光透過領域Pに対応する点光源Lのみを点灯し、他は消灯する。
また、画像表示装置1は、二次元画像Gを表示する表示パネル13の領域に対応する点光源アレイ11の領域において、透過・拡散板12の光拡散領域Dに対応する点光源Lのみを点灯し、他の点光源は消灯する。
【0048】
なお、この場合、図2に示した制御部20の3D/2D画像表示手段21は、要素画像群Eと二次元画像Gとを領域別に混在させた画像を入力し、表示パネル13に出力する。
また、制御部20の3D/2D表示切替手段22は、切替指示として、表示方式が3D表示である領域と、表示方式が2D表示である領域とを入力する。そして、3D/2D表示切替手段22は、領域別の表示方式を点光源点消灯手段23に出力する。
【0049】
そして、点光源点消灯手段23は、表示方式が3D表示として指定された領域に対応する点光源アレイ11の領域において、透過・拡散板12の光透過領域Pに対応する点光源Lのみを点灯し、他の点光源は消灯する。
また、点光源点消灯手段23は、表示方式が2D表示として指定された領域に対応する点光源アレイ11の領域において、透過・拡散板12の光拡散領域Dに対応する点光源Lのみを点灯し、他の点光源は消灯する。
【0050】
これによって、画像表示装置1は、立体像と二次元画像とを混在させて観察者に視認させることができる。例えば、画像表示装置1は、人物、風景等の立体像と、それを説明する文字列を二次元画像とで、同じ画面で表示することができる。
以上、本発明の実施形態に係る画像表示装置1の構成および動作について説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0051】
〔変形例1〕
画像表示装置1では、点光源アレイ11と表示パネル13との間に、透過・拡散板12を1つだけ配置した構成とした。
しかし、透過・拡散板12は、点光源アレイ11と表示パネル13との間に、複数離間して配置してもよい。
【0052】
ここで、図8を参照して、透過・拡散板12を複数備えた画像表示装置1B(第2実施形態)について説明する。なお、図8では、透過・拡散板を2つ配置した表示部10Bの例を示し、制御部20は図示を省略している。
図8では、点光源アレイ11と表示パネル13との間に、2つの透過・拡散板12A,12Bを備える。
図8の構成において、点光源アレイ11と表示パネル13との距離gは、図5で説明した距離(前記式(1))と同じである。
【0053】
点光源アレイ11と透過・拡散板12Aとの距離dは、光拡散領域Dにおける拡散光を次層の透過・拡散板12Bに対してより広い範囲に照射させるため、可能な限り点光源アレイ11に近い方が望ましい。
点光源アレイ11と透過・拡散板12Bとの距離dは、点光源アレイ11の各点光源(L,L,…)から射出された光の広がりが透過・拡散板12Bの光拡散領域Dと交わらない範囲で最長とすることが、光拡散領域Dでより広い拡散範囲の光を表示パネル13に照射することができるため望ましい。
【0054】
具体的には、光透過領域Pに対応する点光源Lの配光角をθ、光拡散領域Dに対応する点光源Lの配光角をθ、光拡散領域Dの拡散角をφ、点光源Lの間隔をpとしたとき、点光源アレイ11と透過・拡散板12Bとの距離dは、以下の式(4)で表すことができる。
【0055】
【数4】
【0056】
このとき、光透過領域Pの幅wは、以下の式(5)で表すことができる。
【0057】
【数5】
【0058】
このように、画像表示装置1Bは、複数の透過・拡散板12A,12Bを離間して配置することで、図9(a)に示すように、3D表示を行う場合、透過・拡散板12Bが、図6(a)で説明した透過・拡散板12と同じ機能となる。すなわち、点光源Lから射出された光は、透過・拡散板12Bの光透過領域Pを透過して、表示パネル13に表示した要素画像eを背面から照射することで立体像を観察者に視認させることができる。
【0059】
一方、図9(b)に示すように、2D表示を行う場合、透過・拡散板12A,12Bの光拡散領域Dに照射された光は、拡散を複数回(ここでは、2回)行うことになる。
これによって、画像表示装置1Bは、図6(b)で説明したように透過・拡散板12が単体の場合に比べて、より均一で拡散度の広い拡散光を表示パネル13に照射することができ、二次元画像を表示パネル13に表示したときに、視野角特性を向上させることができる。
【0060】
なお、複数の透過・拡散板12A,12Bを離間して配置する以外にも、図10に示す画像表示装置1C(第3実施形態)のように、ガラス板等の厚みのある光学素材の両面に個別に光拡散領域Dとして、拡散加工処理を施した透過・拡散板12Cを備えて表示部10Cを構成してもよい。これによって、画像表示装置1Cは、2つの透過・拡散板12A,12Bと等価な構成を1つの光学素子(透過・拡散板12C)で実現することができる。
【0061】
〔変形例2〕
画像表示装置1では、図4に示したように、透過・拡散板12を、光透過領域Pと光拡散領域Dとを点光源Lに対して交互に配置したパターンとした。
しかし、透過・拡散板12は、3D表示の立体表示特性に応じて、異なる配置パターンとしてもよい。
【0062】
例えば、図11に示すように、点光源アレイ11の平面に対して、水平方向または垂直方向において、光透過領域Pを点光源Lに対して予め定めた数(ここでは、2個)だけ離間して配置した透過・拡散板12Dとして構成した表示部10Dを備えた画像表示装置1D(第4実施形態)としてもよい。
このとき、光透過領域Pに対応する点光源Lの配光角をθ、光拡散領域Dに対応する点光源Lの配光角をθ、点光源Lの間隔をpとしたとき、点光源アレイ11と表示パネル13との最適な距離gは、前記式(1)で表すことができる。
さらに、光拡散領域Dに対応する点光源Lの配光角をθとしたとき、点光源アレイ11と透過・拡散板12Dとの最適な距離dは、以下の式(6)で表すことができる。
【0063】
【数6】
【0064】
なお、点光源アレイ11で、配光角が同じ点光源Lと点光源Lとを用いることとした場合、すなわち、θ=θとした場合、前記式(6)の点光源アレイ11と透過・拡散板12Dとの距離は、d=g/3となる。
【0065】
画像表示装置1Dは、例えば、図12(a)に示すように、透過・拡散板12Dのパターンとして、水平方向、垂直方向ともに光透過領域Pを点光源Lに対して2個置きに配置する。この場合、図4で説明した配置パターンに比べて、水平方向および垂直方向のそれぞれで、立体像の解像度が2/3に低下する代わりに、1要素画像の画素数を多くとることができるため、立体像の奥行き再現性能を1.5倍に向上させることができる。
【0066】
また、画像表示装置1Dは、例えば、図12(b)に示すように、透過・拡散板12Dのパターンとして、水平方向には、光透過領域Pを点光源Lに対して2個置きに配置し、垂直方向には、光透過領域Pを点光源Lごとに配置する。この場合、図4で説明した配置パターンに比べて、水平方向では、立体像の解像度は2/3に低下するが、奥行き再現性能を1.5倍に向上させることができる。一方、垂直方向では、視域角が1/3に低下するが、立体像の解像度を2倍に向上させるとともに、奥行き再現性能を1.5倍に向上させることができる。
【0067】
〔変形例3〕
画像表示装置1では、点光源が1色を発光するものとして説明した。
しかし、点光源を、例えば、RGBの3色の点光源としてもよい。すなわち、図2の点光源Lの位置に、3色(RGB)それぞれの発光素子(例えば、LED)を隣接して配置する。
このとき、表示パネル13は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッタ等を用い、フィールドシーケンシャル方式により、RGBの点光源を順次点灯するタイミングで、シャッタを開閉制御すればよい。なお、この開閉制御は、図3の制御部20の点光源点消灯手段23が、表示する画像のRGBの表示タイミングに同期させて行えばよい。
【0068】
〔変形例4〕
画像表示装置1では、点光源アレイ11が発光する点光源を用いて、立体像または二次元画像を表示した。
しかし、この点光源は、平行光からレンズアレイを用いて疑似的に生成するものであってもよい。
【0069】
図13に、点光源を疑似的に生成して、立体像または二次元画像を表示する画像表示装置1E(第5実施形態)の構成を示す。
画像表示装置1Eは、透過・拡散板12と、表示パネル13と、プロジェクタ14と、コリメータレンズ15と、レンズアレイ16と、を有する表示部10Eを備える。なお、制御部20は図示を省略している。
透過・拡散板12および表示パネル13は、図2で説明した表示部10の構成と同じものであるため、説明を省略する。
【0070】
プロジェクタ(投影手段)14は、予め定めたパターン画像を投影するものである。
3D表示を行う場合、プロジェクタ14が投影するパターン画像は、光拡散領域Dに照射する光をマスク(遮蔽)し、光透過領域Pへの光を発光するパターンとする。例えば、透過・拡散板12が図14(a)に示したパターンであった場合、プロジェクタ14が投影するパターン画像は、図14(b)に示すパターンとする。
【0071】
一方、2D表示を行う場合、プロジェクタ14が投影するパターン画像は、光透過領域Pに照射する光をマスク(遮蔽)し、光拡散領域Dへの光を発光するパターンとする。例えば、透過・拡散板12が図14(a)に示したパターンであった場合、プロジェクタ14が投影するパターン画像は、図14(c)に示すパターンとする。
なお、図14(b),(c)中、黒領域が光を遮蔽したマスク領域Rで、白領域が光を照射した領域である。また、図14(b),(c)中、レンズアレイ16の各レンズの位置を参考として破線で示している。
【0072】
コリメータレンズ15は、プロジェクタ14が投影するパターン画像の光を平行光に変換するものである。コリメータレンズ15は、変換した平行光を透過・拡散板12に照射する。
このコリメータレンズ15は、プロジェクタ14の光源位置からコリメータレンズ15の焦点距離fだけ離間した位置に配置される。これによって、コリメータレンズ15は、プロジェクタ14が投射したパターン画像を、平行光として透過・拡散板12に照射することができる。
【0073】
レンズアレイ16は、透過・拡散板12の光透過領域Pと光拡散領域Dとにそれぞれ対応したレンズ(凸レンズ)Lを二次元平面上に配列したものである。
このレンズアレイ16は、光透過領域Pに対応するレンズLに、光透過領域Pを透過した光が照射されることで、焦点距離fの集光位置Loに疑似的な点光源を生成し、表示パネル13に照射する。また、レンズアレイ16は、光拡散領域Dに対応するレンズに、光拡散領域Dで拡散された光が照射されることで、表示パネル13に拡散光を照射する。なお、ここでは、レンズアレイ16を、透過・拡散板12と表示パネル13との間に備えることとした。しかし、レンズアレイ16を、コリメータレンズ15と透過・拡散板12との間に備えることとしてもよい。
【0074】
以上説明したプロジェクタ14と、コリメータレンズ15と、レンズアレイ16とにより、図2で示した点光源アレイ11の機能(発光手段の機能)を実現することができる。
このように、画像表示装置1Eは、図13に示した表示部10Eを備え、制御部20によって、プロジェクタ14で投影するパターン画像を切り替えることで、3D表示と2D表示とを切り替えることができる。
【0075】
ここで、図15を参照(制御部20については適宜図2参照)して、画像表示装置1Eにおける3D表示と2D表示との切り替え動作について説明する。
図15(a)に示すように、3D表示を行う場合、画像表示装置1Eは、制御部20の3D/2D表示切替手段22に3D表示の表示方式が指示された段階で、点光源点消灯手段23によって、透過・拡散板12の光透過領域Pに対して光を照射するパターン画像(図14(b)参照)をプロジェクタ14に投影させる。
そして、画像表示装置1Eは、制御部20の3D/2D画像表示手段21によって、要素画像群E(要素画像e,e,…)を、表示パネル13に表示する。
これによって、レンズアレイ16の焦点距離の集光位置Loに疑似的に点光源が生成される。そして、疑似的な点光源は、表示パネル13に表示した要素画像eを背面から照射することになり、正面から表示パネル13を観察する観察者は、インテグラル方式の立体像を視認することができる。
【0076】
また、図15(b)に示すように、2D表示を行う場合、画像表示装置1Eは、制御部20の3D/2D表示切替手段22に2D表示の表示方式が指示された段階で、点光源点消灯手段23によって、透過・拡散板12の光拡散領域Dに対して光を照射するパターン画像(図14(c)参照)をプロジェクタ14に投影させる。
そして、画像表示装置1Eは、制御部20の3D/2D画像表示手段21によって、二次元画像Gを、表示パネル13に表示する。
これによって、透過・拡散板12で拡散し、レンズアレイ16を通過した拡散光は、表示パネル13に表示した二次元画像Gを背面から照射することになり、正面から表示パネル13を観察する観察者は、二次元画像を視認することができる。
【0077】
なお、画像表示装置1Eは、3D表示と2D表示とを混在させることも可能である。
3D表示と2D表示とを混在させる場合、画像表示装置1Eは、図14(b),(c)に示したパターン画像を3D表示または2D表示を行う領域に区分して混在したパターン画像を用い、それぞれの領域に表示させる要素画像群と二次元画像とを混在させた画像を表示パネル13に表示すればよい。
【0078】
また、画像表示装置1Eは、透過・拡散板12を、図8に示したように複数離間して備えてもよい。また、画像表示装置1Eは、透過・拡散板12として、図10に示したように、ガラス板等の厚みのある光学素材の両面に個別に拡散加工処理を施したものを用いてもよい。
【0079】
また、画像表示装置1Eは、透過・拡散板12の光透過領域Pと光拡散領域Dとの配置パターンを、図11図12に示したように、立体像の表示特性(解像度、奥行き再現性能)に応じて、種々のパターンとすることができる。その場合、プロジェクタ14が表示するパターン画像は、透過・拡散板12の光透過領域Pと光拡散領域Dとの配置パターンに対応したものとする。
【符号の説明】
【0080】
1 画像表示装置
10 表示部
11 点光源アレイ(発光手段)
12 透過・拡散板(透過・拡散手段)
13 表示パネル(表示手段)
14 プロジェクタ(投影手段)
15 コリメータレンズ
16 レンズアレイ
20 制御部(制御手段)
21 3D/2D画像表示手段
22 3D/2D表示切替手段
23 点光源点消灯手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17