(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】化学機械研磨後製剤および使用方法
(51)【国際特許分類】
C11D 7/32 20060101AFI20220203BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20220203BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20220203BHJP
C11D 7/36 20060101ALI20220203BHJP
C11D 7/22 20060101ALI20220203BHJP
C11D 7/34 20060101ALI20220203BHJP
C23G 1/18 20060101ALI20220203BHJP
C23G 1/20 20060101ALI20220203BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C11D7/32
C11D7/50
C11D7/26
C11D7/36
C11D7/22
C11D7/34
C23G1/18
C23G1/20
H01L21/304 622Q
H01L21/304 647A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019136686
(22)【出願日】2019-07-25
(62)【分割の表示】P 2017535748の分割
【原出願日】2016-01-05
【審査請求日】2019-08-22
(32)【優先日】2015-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】518071899
【氏名又は名称】インテグリス アジア エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】トーマス, エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】フライ, ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】リウ, チュン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, チャオ-ユイ
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-243610(JP,A)
【文献】国際公開第2013/142250(WO,A1)
【文献】特開2013-157516(JP,A)
【文献】特表2013-533360(JP,A)
【文献】特開2014-212262(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
C23G 1/18
C23G 1/20
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロニクスデバイスから残留物および/または汚染物を洗浄除去するための組成物であって、
少なくとも1種の有機アミン、水、少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の還元剤、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含む組成物であって、前記組成物が、
0.1重量%未満の範囲のアルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを含み、
前記少なくとも1種の有機アミンが、
アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、他のC
1
~C
8
アルカノールアミン、トリエチレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、1-メトキシ-2-アミノエタン、ジグリコールアミン、モルホリン、及びこれらの組合せからなるグループから選択され、
前記少なくとも1種の第四級塩基が、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化トリブチルメチルアンモニウム(TBMAH)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(BTMAH)、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化コリン、水酸化トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルホスホニウム(TBPH)、水酸化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム、水酸化テトラプロピルホスホニウム、水酸化ベンジルトリフェニルホスホニウム、水酸化メチルトリフェニルホスホニウム、水酸化エチルトリフェニルホスホニウム、水酸化N-プロピルトリフェニルホスホニウム、およびこれらの組合せからなるグループから選択された種を含み、
前記少なくとも1種の錯化剤が、システインを含み、
前記少なくとも1種の還元剤が、アスコルビン酸、L(+)-アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、没食子酸、ホルムアミジンスルフィン酸、尿酸、酒石酸、システイン、およびこれらの任意の組合せからなるグループから選択された種を含
み、
前記少なくとも1種の有機アミンの量が、前記組成物の総重量に対して、2重量%から8重量%の範囲であり、
前記少なくとも1種の第四級塩基の量が、前記組成物の総重量に対して、5重量%から10重量%の範囲であり、
前記少なくとも1種の錯化剤の量が、前記組成物の総重量に対して、0.00005重量%から0.2重量%の範囲であり、
前記少なくとも1種の還元剤の量が、前記組成物の総重量に対して、2重量%から8重量%の範囲である、
組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種の有機アミンが、モノエタノールアミンを含む、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の還元剤が、アスコルビン酸を含む、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の追加のエッチング剤を含み、前記少なくとも1種の追加のエッチング剤が、モルホリン、ジグリコールアミン、3-ブトキシプロピルアミン、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ヒドロキシエチルモルホリン、ヒドロキシプロピルモルホリン、アミノエチルモルホリン、アミノプロピルモルホリン、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、およびこれらの組合せからなるグループから選択された、請求項1から
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含み、前記少なくとも1種の洗浄除去添加剤が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドン単量体を使用して生成された任意のポリマー、ポリアクリル酸エステルおよびポリアクリル酸エステルの類似体、ポリアラニン、ポリロイシン、ポリグリシン、ポリアミドヒドロキシウレタン、ポリラクトン、ポリアクリルアミド、キサンタンガム、キトサン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、ソルビトール、キシリトール、アンヒドロソルビトールのエステル、第二級アルコールエトキシレート、およびこれらの組合せからなるグループから選択された、請求項1から
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の金属腐食抑制剤をさらに含み、前記少なくとも1種の金属腐食抑制剤が、アデノシン、アデニン、ピラゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール、イミダゾール、1H-ピラゾール-4-カルボン酸、3-アミノ-5-tert-ブチル-1H-ピラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、4-メチルピラゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-アミノ-5-(エチルチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2-アミノ-5-エチル-1,3,4-チアジアゾール、これらの誘導体、およびこれらの組合せからなるグループから選択された、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
残留物および汚染物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残留物および汚染物を除去する方法であって、前記残留物および汚染物を前記マイクロエレクトロニクスデバイスから少なくとも部分的に洗浄除去するのに十分な時間、前記マイクロエレクトロニクスデバイスを、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物と接触させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、残留物および/または汚染物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから残留物および/または汚染物を洗浄除去する(clean)組成物であって、水酸化テトラメチルアンモニウムを含まない組成物に関する。この組成物は、改良されたコバルト適合性(cobalt compatibility)を有する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスデバイスウェーハは、集積回路を形成する目的に使用される。マイクロエレクトロニクスデバイスウェーハは、シリコンなどの基板を包含し、この基板には、絶縁性、導電性または半導電性を有するさまざまな材料を付着させるための領域がパターン形成される。
【0003】
正しいパターン形成を得るためには、基板上に層を形成する際に使用した過剰な材料を除去しなければならない。さらに、機能性および信頼性の高い回路を製造するためには、後続の処理の前に、平坦なまたは平らなマイクロエレクトロニクスウェーハ表面を準備することが重要である。したがって、マイクロエレクトロニクスデバイスウェーハのある表面を除去および/または研磨する必要がある。
【0004】
化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)または平坦化(Planarization)(「CMP」)は、摩耗(abrasion)などの物理プロセスと酸化またはキレート化などの化学プロセスとを結合することによって、マイクロエレクトロニクスデバイスウェーハの表面から材料を除去し、ウェーハの表面を研磨(より具体的には平坦化)するプロセスである。その最も基本的な形態では、CMPが、マイクロエレクトロニクスデバイスウェーハの表面を磨く研磨パッドに、スラリ、例えば研磨剤と活性ケミストリとの溶液を塗布して、除去、平坦化および研磨プロセスを達成することを含む。高速で均一な除去を達成するためには、この除去または研磨プロセスが、純粋に物理的な作用だけからまたは純粋に化学的な作用だけからなることは望ましくなく、このプロセスが、これらの両方の作用の相乗効果的な組合せからなることが望ましい。集積回路の製造では、後続のフォトリソグラフィ、またはパターン形成、エッチングおよび薄膜処理のために非常に平らな表面を生み出すことができるように、CMPスラリがさらに、金属および他の材料の複雑な層を含む膜を優先的に除去することができなければならない。
【0005】
最近、集積回路内の金属相互接続に対して銅がますます使用されている。マイクロエレクトロニクスデバイス製造における回路メタライゼーションに対して一般的に使用されている銅ダマシンプロセスでは、除去しなければならない層および平坦化しなければならない層が、厚さ約1~1.5μmの銅層および厚さ約0.05~0.15μmの銅シード層を包含する。これらの銅層は、通常は約50~300Åの厚さを有するバリア材料層によって、誘電体材料表面から分離されている。このバリア材料層は、酸化物誘電体材料中への銅の拡散を防ぐ。ウェーハ表面全体にわたって良好な均一性を研磨後に得るための1つの鍵は、それぞれの材料に対する正しい除去選択性を有するCMPスラリを使用することである。
【0006】
ウェーハ基板表面の準備、付着、めっき、エッチングおよび化学機械研磨を含む上記の処理操作は、マイクロエレクトロニクスデバイス製品の機能に有害な影響を及ぼし、または製品の意図された機能に対して製品を使い物にならないものする汚染物を製品が持たないことを保証する洗浄除去操作(cleaning operation)をさまざまに必要とする。これらの汚染物の粒子はしばしば0.3μmよりも小さい。
【0007】
この点に関する特定の1つの問題は、CMP処理後にマイクロエレクトロニクスデバイス基板上に残る残留物である。このような残留物は、CMP材料化合物およびベンゾトリアゾール(BTA)などの腐食抑制剤化合物を包含する。除去されない場合、これらの残留物は、銅線を傷つけ、または銅メタライゼーションの表面を重度に粗くし、CMP後にデバイス基板上に付着させた層の接着を不良にし得る。過度に粗い銅は、マイクロエレクトロニクスデバイス製品の電気的性能が不十分になる原因となり得るため、銅メタライゼーションの重度の粗面化は特に問題である。
【0008】
マイクロエレクトロニクスデバイス製造に共通する別の残留物生成プロセスは、現像されたフォトレジストコーティングのパターンをその下の層に転写するための気相プラズマエッチングを含む。このその下の層は、ハードマスク、レベル間誘電体(interlevel dielectric:ILD)およびエッチングストップ層からなることがある。基板上およびプラズマガス中に存在する化学元素を包含し得る気相プラズマエッチング後残留物は通常、バックエンドオブザライン(back end of the line:BEOL)構造体上に付着し、除去されない場合には、後続のケイ化またはコンタクト形成を妨害する可能性がある。従来の洗浄除去ケミストリはしばしば、ILDを傷つけ、ILDの細孔の内部に吸収し、それによって誘電率を増大させかつ/または金属構造体を腐食する。
【0009】
当技術分野では、残留物、例えばCMP後残留物、エッチング後残留物およびアッシング後(post-ash)残留物を基板から効果的に除去する組成物および方法を提供することが引き続き求められている。それらの組成物は、先行技術の組成物よりも環境に優しく、革新的な成分を包含することができ、そのため、先行技術の組成物に代わる組成物であると考えることができる。
【発明の概要】
【0010】
本発明は一般に、残留物および汚染物をその上に有するイクロエレクトロニクスデバイスから前記残留物および/または汚染物を洗浄除去する組成物およびプロセスに関する。本発明の洗浄除去組成物は、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。この残留物は、CMP後残留物、エッチング後残留物および/またはアッシング後残留物を包含することがある。有利には、本明細書に記載される組成物は、先行技術の組成物に比べて改良されたコバルト適合性を示す。
【0011】
一態様では、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種の錯化剤、任意選択で少なくとも1種の還元剤、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含む組成物であって、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない組成物が記載される。
【0012】
別の態様では、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の還元剤、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含む組成物であって、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない組成物が記載される。
【0013】
別の態様では、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の追加のエッチング剤、任意選択で少なくとも1種の還元剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含む組成物であって、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない組成物が記載される。
【0014】
別の態様では、残留物および汚染物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残留物および汚染物を除去する方法であって、前記残留物および汚染物をマイクロエレクトロニクスデバイスから少なくとも部分的に洗浄除去するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスを、洗浄除去組成物と接触させることを含み、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種の錯化剤、任意選択で少なくとも1種の還元剤、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含み、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない方法が記載される。
【0015】
他の態様、機能および利点は、以下の開示および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は一般に、残留物および汚染物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスからそのような材料を除去するのに有用な組成物に関する。この組成物は、CMP後残留物、エッチング後残留物またはアッシング後残留物の除去に特に有用である。
【0017】
参照しやすくするために言うと、「マイクロエレクトロニクスデバイス」は、マイクロエレクトロニクス用途、集積回路用途またはコンピュータチップ用途で使用するために製造された、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、太陽電池パネル、ならびに太陽電池基板、光電装置およびマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を包含する他の製品に対応する。太陽電池基板は、限定はされないが、シリコン、アモルファスシリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、およびガリウム上のヒ化ガリウムを包含する。太陽電池基板は、ドープされていることまたはドープされていないことがある。用語「マイクロエレクトロニクスデバイス」は、どんな形であれ限定を意図したものではないこと、および、用語「マイクロエレクトロニクスデバイス」は、最終的にマイクロエレクトロニクスデバイスまたはマイクロエレクトロニクスアセンブリになる任意の基板を包含することを理解すべきである。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「残留物」は、限定はされないが、プラズマエッチング、アッシング、化学機械研磨、ウェットエッチング、およびこれらの組合せを包含するマイクロエレクトロニクスデバイスの製造中に生成される粒子に対応する。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「汚染物」は、CMPスラリ中に存在する化学物質、研磨スラリの反応副生物、ウェットエッチング組成物中に存在する化学物質、ウェットエッチング組成物の反応副生物、およびCMPプロセス、ウェットエッチング、プラズマエッチングまたはプラズマアッシングプロセスの副生物である他の材料に対応する。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「CMP後残留物」は、研磨スラリからの粒子、例えばシリカ含有粒子、スラリ中に存在する化学物質、研磨スラリの反応副生物、炭素に富む粒子、研磨パッド粒子、ブラシデローディング(brush deloading)粒子、機器構造材料粒子、金属、金属酸化物、有機残留物、およびCMPプロセスの副生物である任意の他の材料に対応する。本明細書での定義のとおり、通常研磨される「金属」は、銅、アルミニウムおよびタングステンを包含する。
【0021】
本明細書での定義のとおり、「低k誘電体材料」は、積層マイクロエレクトロニクスデバイス内で誘電体材料として使用される任意の材料に対応し、この材料は、約3.5よりも小さい誘電率を有する。好ましくは、低k誘電体材料は、シリコン含有有機ポリマー、シリコン含有ハイブリッド有機/無機材料、有機ケイ酸塩ガラス(organosiliate glass:OSG)、TEOS、フッ化ケイ酸塩ガラス(fluorinated silicate glass:FSG)、二酸化シリコン、炭素ドープ酸化物(carbon-doped oxikde:CDO)ガラスなどの低極性材料(low-polarity material)を包含する。低k誘電体材料は、さまざまな密度およびさまざまな空隙率を有することを理解されたい。
【0022】
本明細書での定義のとおり、「錯化剤」は、錯化剤、キレート剤および/または金属イオン封鎖剤(sequestering agent)であると当業者が理解する化合物を包含する。錯化剤は、本明細書に記載された組成物を使用して除去しようとする金属原子および/もしくは金属イオンと化学的に結合し、またはそのような金属原子および/もしくは金属イオンを物理的に保持する。
【0023】
本明細書での定義のとおり、用語「バリア材料」は、金属線、例えば銅相互接続を密封して、誘電体材料中への前記金属の拡散、例えば銅の拡散を最小化するために当技術分野で使用されている任意の材料に対応する。好ましいバリア層材料は、タンタル、チタン、ルテニウム、ハフニウム、タングステン、コバルトおよび他の高融点金属、ならびにそれらの窒化物およびケイ化物を包含する。
【0024】
本明細書での定義のとおり、「エッチング後残留物」は、気相プラズマエッチングプロセス、例えばBEOLデュアルダマシン処理の後、またはウェットエッチング処理の後に残る材料に対応する。エッチング後残留物は、性質上、有機、有機金属、有機ケイ酸または無機であることがあり、例えば、シリコン含有材料、炭素ベースの有機材料、および酸素、フッ素などのエッチングガス残留物である。
【0025】
本明細書での定義のとおり、本明細書で使用される「アッシング後残留物」は、硬化したフォトレジストおよび/または底面反射防止コーティング(bottom anti-reflective coating:BARC)材料を除去する酸化または還元プラズマアッシングの後に残る物質に対応する。アッシング後残留物は、性質上、有機、有機金属、有機ケイ酸または無機である場合がある。
【0026】
本明細書では、「実質的に含まない」が、2重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満と定義される。一実施形態では、「実質的に含まない」が0パーセントに対応する。
【0027】
本明細書での定義のとおり、コバルト含有材料は、その材料の総重量の50重量%超の元素コバルトを含む任意の材料を包含する。コバルト含有材料の例は、限定はされないが、純粋なコバルト、窒化コバルト(Ta、Liなどの追加の元素を含む窒化コバルトを包含する)、CoP、CoSiおよびケイ化コバルトを包含する。
【0028】
本明細書で使用されるとき、「約」は、示された値の±5%に対応する。
【0029】
本明細書での定義のとおり、「反応生成物または分解生成物」は、限定はされないが、表面における触媒反応、酸化、還元、組成物成分との反応の結果として形成され、または他の方法で重合する生成物または副生物、ならびに物質もしくは材料(例えば分子、化合物など)が、他の物質もしくは材料と結合し、他の物質もしくは材料と成分を交換し、分解し、再配置し、または他の方法で化学的におよび/もしくは物理的に変更される変化または変形の結果として形成された生成物または副生物を包含し、これには、上記の反応、変化および/または変形の上記の組合せまたは任意の任意の組合せの中間生成物または中間副生物が包含される。反応生成物または分解生成物は、元の反応物よりも大きなモル質量または元の反応物よりも小さなモル質量を有することがあることを理解すべきである。
【0030】
本明細書で使用されるとき、残留物および汚染物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残留物および汚染物を洗浄除去する「適性(suitability)」は、マイクロエレクトロニクスデバイスからの前記残留物/汚染物の少なくとも部分的な除去に対応する。洗浄除去効率(cleaning efficacy)は、マイクロエレクトロニクスデバイス上の物体の低減によって評価される。例えば、原子間力顕微鏡を使用して、洗浄除去前および洗浄除去後に解析を実施することができる。試料上の粒子は、ある範囲のピクセルとして記録することができる。ヒストグラム(例えばSigma Scan Pro)を適用して、ある強度のピクセル、例えば強度231~235のピクセルをフィルタリングし、粒子の数を計数することができる。粒子の低減は、下式を使用することによって計算することができる。
洗浄除去効率を決定するこの方法は、例示のためだけに提供したものであり、この方法だけに限定されることは意図されていないことに留意されたい。代替として、洗浄除去効率を、粒子状物質によって覆われた全体の表面積の百分率と考えることもできる。例えば、z平面走査を実行して、ある高さしきい値よりも大きな関心のトポグラフィエリアを識別し、次いで前記関心のエリアによって覆われた全体の表面積を計算するように、AFMをプログラムすることもできる。洗浄除去後に前記関心のエリアが占める面積が小さいほど、洗浄除去組成物より効率的な(efficacious)ことを当業者は容易に理解するであろう。好ましくは、本明細書に記載された組成物を使用することによって、残留物/汚染物の少なくとも75%が、マイクロエレクトロニクスデバイスから除去され、より好ましくは残留物/汚染物の少なくとも90%、よりいっそう好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%が除去される。
【0031】
本明細書に記載された組成物は、以下により完全に記載される多種多様な特定の製剤として実施することができる。
【0032】
組成物の特定の成分が、下限をゼロとする重量百分率範囲に関して論じられている全ての組成物では、組成物のさまざまな特定の実施形態において、そのような成分は存在してもまたは存在しなくてもよいこと、およびそのような成分が存在する場合、そのような成分は、そのような成分が使用されている組成物の総重量の0.001重量パーセントという低い濃度で存在することができることが理解される。
【0033】
第1の態様では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の第四級塩基、任意選択で少なくとも1種の錯化剤、任意選択で少なくとも1種の還元剤、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。一実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の錯化剤および少なくとも1種の第四級塩基を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。別の実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の第四級塩基および少なくとも1種の還元剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。別の実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の還元剤、少なくとも1種の錯化剤および少なくとも1種の第四級塩基を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。別の実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の第四級塩基および少なくとも1種の追加のエッチング剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。別の実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の第四級塩基および少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。別の実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の還元剤、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の第四級塩基および少なくとも1種の追加のエッチング剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。別の実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の還元剤、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の第四級塩基および少なくとも1種の追加の洗浄除去添加剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。さらに別の実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の還元剤、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種の追加のエッチング剤および少なくとも1種の追加の洗浄除去添加剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。有利には、本明細書に記載された組成物は、先行技術の組成物に比べて改良されたコバルト適合性を示す。
【0034】
好ましい一実施形態では、第1の態様の洗浄除去組成物が、少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の溶媒(例えば水)および少なくとも1種の還元剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、少なくとも1種の錯化剤がシステインを含み、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、この洗浄除去組成物が、下表の濃縮された実施形態として製剤されている。下表の百分率は全て、製剤の総重量に基づく重量百分率である。
存在するとき、システインの量は、約0.00005重量%から約0.2重量%の範囲にあることが好ましい。特定の理論に縛られることを望むものではないが、システインの量が約0.2重量%よりも大きいと、銅上およびコバルト上に非常に厚い不動態化層が形成される。この層は、あまり簡単にはすすぎ落とすことができず、したがって有機残留物の一因となる。重量パーセントの比は次のとおりであり、有機アミン/錯化剤比は、約1から約200、好ましくは約10から約150、より好ましくは約50から約120の範囲、第四級塩基/錯化剤比は、約1から約300、好ましくは約10から約250、より好ましくは約50から約200の範囲、または好ましくは約1から約10の範囲、還元剤/錯化剤比は、約1から約200、好ましくは約10から約150、より好ましくは約50から約120の範囲である。
【0035】
好ましい別の実施形態では、第1の態様の洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の溶媒(例えば水)および少なくとも1種の第四級塩基を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、少なくとも1種の錯化剤がシステインを含み、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、この洗浄除去組成物が、下表の濃縮された実施形態として製剤されている。下表の百分率は全て、製剤の総重量に基づく重量百分率である。
存在するとき、システインの量は、約0.00005重量%から約0.2重量%の範囲にあることが好ましい。重量パーセントの比は次のとおりであり、有機アミン/錯化剤比は、約1から約200、好ましくは約10から約150、より好ましくは約50から約120の範囲、第四級塩基/錯化剤比は、約1から約300、好ましくは約10から約250、より好ましくは約50から約200の範囲、または好ましくは約1から約10の範囲である。
【0036】
別の実施形態では、この洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、システイン、少なくとも1種の追加の錯化剤、少なくとも1種の第四級塩基、水、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、下表の濃縮された実施形態として製剤されている。下表の百分率は全て、製剤の総重量に基づく重量百分率である。
重量パーセントの比は次のとおりであり、有機アミン/システイン比は、約1から約200、好ましくは約10から約150、より好ましくは約50から約120の範囲、第四級塩基/システイン比は、約0.1から約100、好ましくは約1から約60、より好ましくは約2から約25の範囲、還元剤/システイン比は、約0.01から約50、好ましくは約0.1から約30、より好ましくは約1から約10の範囲である。
【0037】
好ましい別の実施形態では、第1の態様の洗浄除去組成物が、少なくとも1種の有機アミン、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の溶媒(例えば水)、少なくとも1種の第四級塩基および少なくとも1種の追加のエッチング剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、少なくとも1種の錯化剤がシステインを含み、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、システインの量が、組成物の総重量の約0.00005重量%から約0.2重量%の範囲にある。重量パーセントの比は次のとおりであり、有機アミン/錯化剤比は、約1から約200、好ましくは約1から約40、より好ましくは約1から約20の範囲、第四級塩基/錯化剤比は、約1から約300、好ましくは約10から約100、より好ましくは約20から約80または約1から約10の範囲、追加のエッチング剤/錯化剤比は、約1から約100、好ましくは約10から約80、より好ましくは約10から約50の範囲である。
【0038】
特定の組成物中で有用である可能性がある例示的な有機アミンは、一般式NR1R2R3を有する種を包含し、R1、R2およびR3は、互いに同じでもまたは互いに異なっていてもよく、R1、R2およびR3は、水素、直鎖または分岐C1~C6アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル)、直鎖または分岐C1~C6アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびヘキサノール)、および式R4-O-R5を有する直鎖または分岐エーテルからなるグループから選択され、R4とR5は、互いに同じでもまたは互いに異なっていてもよく、R4およびR5は、上で定義したC1~C6アルキルからなるグループから選択される。R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つが、直鎖または分岐C1~C6アルコールであることが最も好ましい。有機アミンの例は、限定はされないが、アルカノールアミン、例えばアミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、ジイソプロピルアミン、イソプロピルアミン、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、他のC1~C8アルカノールアミン、およびこれらの組合せ;アミン、例えばトリエチレンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、およびこれらの組合せ;ジグリコールアミン;モルホリン;ならびにアミンとアルカノールアミンの組合せを包含する。アミンがエーテル成分を包含するとき、アミンは、アルコキシアミン、例えば1-メトキシ-2-アミノエタンと考えることができる。有機アミンは、モノエタノールアミンを含むことが好ましい。
【0039】
存在するとき、還元剤は、限定はされないが、アスコルビン酸、L(+)-アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、没食子酸、ホルムアミジンスルフィン酸、尿酸、酒石酸、システイン、およびこれらの任意の組合せを包含する。還元剤は、アスコルビン酸、酒石酸、またはアスコルビン酸と酒石酸の組合せを含むことが好ましい。
【0040】
第四級塩基は、式NR1R2R3R4OHを有する化合物を包含し、R1、R2、R3およびR4は、互いに同じでもまたは互いに異なっていてもよく、R1、R2、R3およびR4は、水素、直鎖または分岐C2~C6アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシル)、および置換または非置換C6~C10アリール、例えばベンジルからなるグループから選択される。市販されている水酸化テトラアルキルアンモニウムは、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム(TPAH)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、水酸化トリブチルメチルアンモニウム(TBMAH)、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム(BTMAH)、水酸化コリン、水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム、水酸化ジエチルジメチルアンモニウム、およびこれらの組合せを包含し、使用され得る。市販されていない水酸化テトラアルキルアンモニウムは、TEAH、TPAH、TBAH、TBMAHおよびBTMAHを調製する目的に使用されている公開された合成方法と類似の方法で調製することができる。それらの合成方法は当業者に知られている。これの代わりにまたはこれに加えて、少なくとも1種の第四級塩基を、式(PR1R2R3R4)OHの化合物とすることもでき、R1、R2、R3およびR4は、互いに同じでもまたは互いに異なっていてもよく、R1、R2、R3およびR4は、水素、直鎖C1~C6アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、分岐C1~C6アルキル、C1~C6アルカノール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール)、置換C6~C10アリール、非置換C6~C10アリール(例えばベンジル)、およびこれらの任意の組合せからなるグループから選択される。式(PR1R2R3R4)OHの化合物の例は、水酸化テトラブチルホスホニウム(TBPH)、水酸化テトラメチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム、水酸化テトラプロピルホスホニウム、水酸化ベンジルトリフェニルホスホニウム、水酸化メチルトリフェニルホスホニウム、水酸化エチルトリフェニルホスホニウム、水酸化N-プロピルトリフェニルホスホニウムである。第四級塩基は、水酸化コリンを含むことが好ましい。
【0041】
本明細書で企図される錯化剤は、限定はされないが、酢酸、アセトンオキシム、アクリル酸、アジピン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、ベタイン、ジメチルグリオキシム、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタミン、グルタル酸、グリセリン酸、グルセロール、グリコール酸、グリオキシル酸、ヒスチジン、イミノ二酢酸、イソフタル酸、イタコン酸、乳酸、ロイシン、リシン、マレイン酸、無水マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、2,4-ペンタンジオン、フェニル酢酸、フェニルアラニン、フタル酸、プロリン、プロピオン酸、ピロカテコール、ピロメリット酸、キナ酸、セリン、ソルビトール、コハク酸、酒石酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、チロシン、バリン、キシリトール、エチレンジアミン、シュウ酸、タンニン酸、安息香酸、安息香酸アンモニウム、カテコール、ピロガロール、レゾルシノール、ヒドロキノン、シアヌル酸、バルビツール酸および誘導体、例えば1,2-ジメチルバルビツール酸、α-ケト酸、例えばピルビン酸、プロパンチオール、ベンゾヒドロキサム酸、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン(HEM)、N-アミノエチルピペラジン(N-AEP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,2-シクロヘキサンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸(CDTA)、グリシン/アスコルビン酸、イミノ二酢酸(IDA)、2-(ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HIDA)、ニトリロ三酢酸、チオ尿素、1,1,3,3-テトラメチル尿素、尿素、尿素誘導体、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタル酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、ピペラジン(piperadine)、N-(2-アミノエチル)ピペラジン(N-(2-aminoethyl)piperadine)、プロリン、ピロリジン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ホスホン酸およびその誘導体、例えば1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラキス(メチレンホスホン酸)(DOTP)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、イス(ヘキサメチレン)トリアミンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、これらの塩および誘導体、ならびにこれらの組合せを包含する。好ましい実施形態では、好ましくは、錯化剤が、システイン、シュウ酸、ジメチルグリオキシム、酒石酸、またはこれらの任意の組合せを含む。好ましい一実施形態では、錯化剤が、システインおよびシュウ酸を含む。
【0042】
存在するとき、少なくとも1種の追加のエッチング剤は、限定はされないが、モルホリン、ジグリコールアミン、3-ブトキシプロピルアミン、プロピレングリコールモノブチルエーテル(例えばDOWANOL PnB(The Dow Chemical Company)、ヒドロキシエチルモルホリン、ヒドロキシプロピルモルホリン、アミノエチルモルホリン、アミノプロピルモルホリン、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、トリメチルアミノプロピルエタノールアミン、およびこれらの組合せを包含する。存在するとき、少なくとも1種の追加のエッチング剤は、モルホリン、ジグリコールアミン、またはモルホリンとジグリコールアミンの組合せを含む。
【0043】
存在するとき、少なくとも1種の洗浄除去添加剤は、限定はされないが、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Na CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、N-ビニルピロリドン単量体を使用して生成された任意のポリマー、ポリアクリル酸エステルおよびポリアクリル酸エステルの類似体、ポリアミノ酸(例えばポリアラニン、ポリロイシン、ポリグリシンなど)、ポリアミドヒドロキシウレタン、ポリラクトン、ポリアクリルアミド、キサンタンガム、キトサン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、ポリエチレンイミン、糖アルコール、例えばソルビトールおよびキシリトール、アンヒドロソルビトールのエステル、第二級アルコールエトキシレート、例えばTERGITOL、およびこれらの組合せを包含する。存在するとき、少なくとも1種の洗浄除去添加剤は、第1の態様の洗浄除去組成物中に、組成物の総重量の約0.0001重量%から約1重量%、好ましくは約0.0001重量%から約0.2重量%の量で存在する。
【0044】
特に好ましい実施形態では、第1の態様の洗浄除去組成物が、水酸化コリン、少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の還元剤および水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。例えば、第1の態様の洗浄除去組成物は、水酸化コリン、少なくとも1種のアルカノールアミン、システイン、少なくとも1種の還元剤および水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、好ましくは、水酸化コリン、モノエタノールアミン(MEA)、システイン、アスコルビン酸および水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、この洗浄除去組成物は、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、システインの量は、約0.00005重量%から約0.2重量%の範囲にある。重量パーセントの比は次のとおりであり、有機アミン/錯化剤比は、約1から約200、好ましくは約10から約150、より好ましくは約50から約120の範囲、水酸化コリン/錯化剤比は、約1から約300、好ましくは約10から約250、より好ましくは約50から約200の範囲、または好ましくは約1から約10の範囲、還元剤/錯化剤比は、約1から約200、好ましくは約10から約150、より好ましくは約50から約120の範囲である。
【0045】
特に好ましい別の実施形態では、第1の態様の洗浄除去組成物が、少なくとも1種のアミン、システイン、水酸化コリンおよび水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。例えば、この洗浄除去組成物は、少なくとも1種のアルカノールアミン、システイン、水酸化コリンおよび水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、好ましくは、モノエタノールアミン、システイン、水酸化コリン、任意選択で酒石酸、および水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、システインの量が、約0.00005重量%から約0.2重量%の範囲にある。別の実施形態では、第1の態様の洗浄除去組成物が、少なくとも1種のアルカノールアミン、システイン、少なくとも1種の追加の錯化剤、水酸化コリンおよび水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、好ましくは、モノエタノールアミン、システイン、水酸化コリン、シュウ酸および水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、システインの量が、約0.00005重量%から約0.2重量%の範囲にある。重量パーセントの比は次のとおりであり、有機アミン/錯化剤比は、約1から約200、好ましくは約10から約150、より好ましくは約50から約120の範囲、第四級塩基/錯化剤比は、約1から約300、好ましくは約10から約250、より好ましくは約50から約200の範囲、または好ましくは約1から約10の範囲である。
【0046】
特に好ましい別の実施形態では、第1の態様の洗浄除去組成物が、少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の錯化剤、水酸化コリン、少なくとも1種の追加のエッチング剤および水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなり、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まない。例えば、この洗浄除去組成物は、少なくとも1種のアルカノールアミン、システイン、水酸化コリン、少なくとも1種の追加のエッチング剤、水、および任意選択で少なくとも1種の追加の錯化剤を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、好ましくは、(i)モノエタノールアミン、システイン、水酸化コリン、モルホリンもしくはジグリコールアミンおよび水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、あるいは(ii)好ましくは、モノエタノールアミン、システイン、シュウ酸、水酸化コリン、モルホリンもしくはジグリコールアミンおよび水を含み、またはこれらの成分からなり、または本質的にこれらの成分からなることができ、この洗浄除去組成物が、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、システインの量が、約0.00005重量%から約0.2重量%の範囲にある。重量パーセントの比は次のとおりであり、有機アミン/システイン比は、約1から約100、好ましくは約1から約40、より好ましくは約1から約20の範囲、第四級塩基/錯化剤比は、約1から約300、好ましくは約10から約100、より好ましくは約20から約80または約1から約10の範囲、追加のエッチング剤/錯化剤比は、約1から約100、好ましくは約10から約80、より好ましくは約10から約50の範囲である。
【0047】
第1の態様の洗浄除去組成物は、少なくとも1種の金属腐食抑制剤をさらに含むことができる。存在するとき、この少なくとも1種の金属腐食抑制剤は、金属、例えば銅、アルミニウムの腐食速度を引き下げるため、また、洗浄除去性能を高めるために、第1の態様の洗浄除去組成物に加えられる。企図される腐食抑制剤は、限定はされないが、アデノシン、アデニン、ピラゾール、1,2,4-トリアゾール、1,2,3-トリアゾール、イミダゾール、1H-ピラゾール-4-カルボン酸、3-アミノ-5-tert-ブチル-1H-ピラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、4-メチルピラゾール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-アミノ-5-(エチルチオ)-1,3,4-チアジアゾール、2-アミノ-5-エチル-1,3,4-チアジアゾール、これらの誘導体、およびこれらの組合せを包含する。この少なくとも1種の腐食抑制剤の量は、約0.001重量%から約1重量%の範囲にあることが好ましい。
【0048】
第1の態様の洗浄除去組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイス構造体から、残留物および汚染物、例えばCMP後残留物、エッチング後残留物、アッシング後残留物および汚染物を洗浄除去するのに特に有用であり、それにも関わらず、表面に存在するコバルト含有材料に対して適合性である。実施形態に関わらず、洗浄除去組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイスから残留物を除去する前に、酸化剤(例えば過酸化水素)、フッ化物含有源、研磨材、アルカリ塩基および/またはアルカリ土類金属塩基、水酸化テトラメチルアンモニウム、システイン誘導体、界面活性剤、スルホニウム化合物、アミドキシム化合物、ならびにこれらの組合せのうちの少なくとも1つを実質的に含まないか、または全く含まないことが好ましい。加えて、この洗浄除去組成物は、固化してポリマー固形物、例えばフォトレジストを形成すべきではない。
【0049】
第1の態様の洗浄除去組成物のpHは、7よりも大きく、好ましくは約10から14超の範囲にあり、最も好ましくは約12から約14の範囲にある。
【0050】
これらの成分の重量パーセントの比の範囲は、第1の態様の組成物の濃縮されたまたは希釈された全ての可能な実施形態をカバーする。その目的のため、一実施形態では、希釈して洗浄除去溶液として使用することができる濃縮された洗浄除去組成物が提供される。濃縮された洗浄除去組成物または「濃縮物」は、有利には、ユーザ、例えばCMPプロセス技術者が、使用時点の所望の強度およびpHまで濃縮物を希釈することを可能にする。濃縮された洗浄除去組成物の希釈度は、約1:1から約2500:1、好ましくは約5:1から約200:1、最も好ましくは約25:1から約100:1の範囲とすることができ、洗浄除去組成物は、ツールにおいてまたはツールの直前において溶媒、例えば脱イオン水で希釈される。希釈後も、本明細書に開示された成分の重量パーセントの比の範囲は不変でなければならないことを当業者は理解すべきである。
【0051】
第1の態様の組成物は、限定はされないが、エッチング後残留物除去、アッシング後残留物除去表面準備、めっき後洗浄除去およびCMP後残留物除去を包含する用途において有用性を有する。加えて、限定はされないが、金属または金属合金を使用した装飾金属、金属ワイヤボンディング、プリント回路板および他の電子パッケージングを包含する他の金属製品(例えば銅含有製品)の洗浄除去および保護に対してこの洗浄除去組成物が有用であることが企図される。
【0052】
好ましい別の実施形態では、第1の態様の洗浄除去組成物がさらに、残留物および/または汚染物を包含する。この残留物および汚染物は、組成物中に溶解していてもよい。あるいは、この残留物および汚染物は組成物中に懸濁していてもよい。好ましくは、この残留物が、CMP後残留物、エッチング後残留物、アッシング後残留物、汚染物、またはこれらの組合せを包含する。
【0053】
本明細書に記載された洗浄除去組成物は、対応するそれぞれの原料成分を単純に加え混合して均質な状態にすることによって簡単に製剤される。また、この組成物は、単一パッケージ製剤として、または使用時点においてもしくは使用時点の前に混合されるマルチパート製剤として容易に製剤することができる。例えば、マルチパート製剤の個々の部分は、ツールのところで混合され、またはツールの上流の貯蔵タンク内で混合される。対応するそれぞれの原料成分の濃度は、組成物の特定の倍数で広範囲に変化させることができる。すなわちより薄くまたはより濃くすることができる。本明細書に記載された組成物は、さまざまにかつ代替的に、本明細書の開示と矛盾しない原料成分の任意の組合せを含み、またはそれらの組合せからなり、または本質的にそれらの組合せからなることを理解されたい。
【0054】
これに従って、別の態様は、本明細書に記載された洗浄除去組成物を形成するように適合された1つまたは複数の成分を1つまたは複数の容器内に包含するキットに関する。このキットは、1つまたは複数の容器内に、製造時または使用時に溶媒、例えば水と混合するための少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の錯化剤、少なくとも1種の還元剤、水、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を包含することができる。別の実施形態では、このキットが、1つまたは複数の容器内に、製造時または使用時に溶媒、例えば水と混合するための少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の錯化剤、水、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を包含することができる。あるいは、このキットは、第1の容器内に、製造時または使用時に互いに混合し、さらに溶媒、例えば水と混合するための少なくとも1種のアミン、システイン、少なくとも1種の第四級塩基および水を包含することができる。別の代替実施形態では、このキットが、1つまたは複数の容器内に、製造時または使用時に溶媒、例えば水と混合するための少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種のアミン、システイン、少なくとも1種の追加の錯化剤、水、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、および任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤を包含することができる。このキットの容器は、前記洗浄除去組成物を保管および輸送するのに適していなければならない。この容器は例えば、NOWPak(登録商標)容器(Entegris,Inc.、米マサチューセッツ州Billerica)である。このキット容器は、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まないことが好ましい。
【0055】
マイクロエレクトロニクス製造操作に対して適用されたとき、本明細書に記載された洗浄除去組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイスの表面からCMP後残留物および/または汚染物を洗浄除去するために有用に使用される。この洗浄除去組成物は、低k誘電体材料、コバルト含有材料を実質的に損傷せず、またはデバイス表面の金属相互接続を腐食しない。好ましくは、この洗浄除去組成物は、残留物除去の前にデバイス上に存在する残留物の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、よりいっそう好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%を除去する。
【0056】
CMP後残留物および汚染物の洗浄除去用途では、本明細書に記載された洗浄除去組成物を、限定はされないが、Verteqシングルウェーハメガソニック(megsonic)Goldfinger、OnTrakシステムズDDS(両面スクラバ)、SEZまたは他の単一ウェーハ噴霧すすぎ(single wafer spray rinse)、Applied Materials Mirra-Mesa(商標)/Reflexion(商標)/Reflexion LK(商標)、およびMegasonicバッチウェットベンチシステムを包含するメガソニック、ブラシスクラビングなどの従来の多種多様な洗浄除去ツールとともに使用することができる。
【0057】
この組成物を使用して、CMP後残留物、エッチング後残留物、アッシング後残留物および/または汚染物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから、それらの残留物および/または汚染物を洗浄除去する際には、通常、約20℃から約90℃、好ましくは約20℃から約50℃の範囲の温度で、この洗浄除去組成物を、約5秒から約10分、好ましくは約1秒から20分、好ましくは約15秒から約5分の間、デバイスと接触させる。このような接触時間および温度は例であり、この方法の幅広い実施においては、CMP後残留物/汚染物をデバイスから少なくとも部分的に洗浄除去するのに効率的な他の適当な時間および温度条件を使用することもできる。「少なくとも部分的に洗浄除去する」と「実質的な除去」はともに、残留物除去の前にデバイス上に存在する残留物の少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、よりいっそう好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%を除去することに対応する。
【0058】
所望の洗浄除去動作の達成に続いて、洗浄除去組成物を以前に塗布したデバイスから洗浄除去組成物を容易に除去することができる。洗浄除去組成物の除去は、本明細書に記載された組成物の所与の最終使用用途において望ましくかつ効率的であることがある。好ましくは、すすぎ液が脱イオン水を包含する。その後、窒素またはスピンドライサイクルを使用してデバイスを乾燥させることができる。
【0059】
別の態様は、本明細書に記載された方法に従って製造された改良されたマイクロエレクトロニクスデバイス、およびそのようなマイクロエレクトロニクスデバイスを含む製品に関する。
【0060】
別の態様は、再循環させた洗浄除去組成物に関し、このような洗浄除去組成物では、洗浄除去組成物中の残留物および/または汚染物の量が洗浄除去組成物が収容できる最大量に達するまで洗浄除去組成物を再循環させることができる。この最大量は、当業者によって容易に決定される。
【0061】
さらに別の態様は、マイクロエレクトロニクスデバイスを含む物品を製造する方法に関し、前記方法は、本明細書に記載された洗浄除去組成物を使用して、CMP後残留物および汚染物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスから前記残留物および汚染物を洗浄除去するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスを洗浄除去組成物と接触させること、ならびに前記マイクロエレクトロニクスデバイスを前記物品に組み込むことを含む。
【0062】
別の態様では、CMP後残留物および汚染物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイスからそれらの残留物および汚染物を除去する方法が記載される。前記方法は、
CMPスラリを用いてマイクロエレクトロニクスデバイスを研磨すること、
マイクロエレクトロニクスデバイスからCMP後残留物および汚染物を除去するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスを、本明細書に記載された洗浄除去組成物と接触させて、CMP後残留物を含有する組成物を形成すること、ならびに
マイクロエレクトロニクスデバイスの実質的な洗浄除去を達成するのに十分な時間、マイクロエレクトロニクスデバイスを、このCMP後残留物含有組成物と連続的に接触させること
を含む。
【0063】
別の態様は、洗浄除去組成物と、マイクロエレクトロニクスデバイスと、残留物、汚染物およびこれらの組合せからなるグループから選択された材料とを含む製造物品に関し、この洗浄除去組成物は、少なくとも1種の第四級塩基、少なくとも1種のアミン、少なくとも1種の錯化剤、任意選択で少なくとも1種の還元剤、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤および水を含み、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、この残留物は、CMP後残留物、エッチング後残留物およびアッシング後残留物のうちの少なくとも1つを含む。
【0064】
別の態様は、洗浄除去組成物と、マイクロエレクトロニクスデバイスと、残留物、汚染物およびこれらの組合せからなるグループから選択された材料とを含む製造物品に関し、この洗浄除去組成物は、少なくとも1種のアミン、システイン、少なくとも1種の第四級塩基、任意選択で少なくとも1種の追加のキレート剤、任意選択で少なくとも1種の還元剤、任意選択で少なくとも1種の追加のエッチング剤、任意選択で少なくとも1種の洗浄除去添加剤および水を含み、アルカリ水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、および水酸化テトラメチルアンモニウムを実質的に含まず、この残留物は、CMP後残留物、エッチング後残留物およびアッシング後残留物のうちの少なくとも1つを含む。
【実施例1】
【0065】
5種類の溶液A~Eを、下表に示すとおりに調製した。これらの濃縮物を、脱イオン水を用いて約60:1から250:1の範囲に希釈した。その後、CoおよびCuのPVDクーポン(coupon)をそれぞれの溶液に25℃の条件で30分浸漬することによって、銅およびコバルトのエッチング速度を決定した。
【0066】
製剤DのCoエッチング速度が最も低いことが分かった。特定の理論に縛られるわけではないが、より低いエッチング速度は、おそらく、pH(約10から約14の範囲)および/またはシステインの存在の結果であると考えられる。これらの条件は、CoOおよび/またはCo水酸化物層の形成を可能にし、したがってCo金属を不動態化する。製剤Eの場合、Coエッチング速度は製剤Dよりも高かったが、銅は実質的に保護された。
【0067】
本明細書では、例示的な実施形態および特徴を参照して本発明をさまざまに開示したが、上に記載された実施形態および特徴が本発明を限定することは意図されていないこと、ならびに当業者であれば、本明細書の開示に基づいて、他の変形、変更および他の実施形態を思いつくことを理解されたい。したがって、以下に記載される特許請求項の趣旨および範囲に含まれる全ての変形、変更および代替実施形態を包含するものと、本発明を広く解釈すべきである。