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特許7005690基板処理装置、半導体装置の製造方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20220203BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20220203BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20220203BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20220203BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
H01L21/31 B
H01L21/316 M
H01L21/318 M
H01L21/68 A
C23C16/44 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020104646
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021197510
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2020-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】大橋 直史
(72)【発明者】
【氏名】八幡 橘
(72)【発明者】
【氏名】油谷 幸則
(72)【発明者】
【氏名】松井 俊
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-033220(JP,A)
【文献】特開2001-077171(JP,A)
【文献】特開平10-125758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
H01L 21/316
H01L 21/318
H01L 21/677
C23C 16/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
前記処理室内へガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に配置され、基板を載置する基板載置面を有する基板載置部と、
前記基板載置面に対し、基板の下面を支持して当該基板を搬送するアームと、
を有し、
前記アームは、基板を支持する支持部が傾斜を有して構成され、前記支持部の下端部分に、上方に向かって湾曲する湾曲部をさらに有して構成されており、
前記湾曲部は、基板の外周側壁部に接触しない曲率半径を有する、
基板処理装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記傾斜の上端側が基板の端縁近傍に位置した状態で当該基板を支持するように構成されている、
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記アームは、回転軸に取り付けられ、
前記基板載置部は、前記回転軸を中心として周状に複数配置され、
前記アームは、前記回転軸が回転することにより、複数の前記基板載置面の間で基板を搬送する、
請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記アームが基板を支持するときに、前記外周側壁部における最も前記湾曲部側に突出している部分の位置は、前記湾曲部の先端部の位置よりも上方にある、
請求項1~3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記アームにおける前記湾曲部の先端の位置と、前記アームの他端の位置とは、所定の範囲の差になるように構成されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
処理室内で基板を処理する工程と、
ガス供給部から前記処理室内へガスを供給する工程と、
前記処理室内に配置され、基板を載置する基板載置面を有する基板載置部に対し、基板を支持する支持部が傾斜を有して構成され、前記支持部の下端部分に、上方に向かって湾曲し、基板の外周側壁部に接触しない曲率半径を有する湾曲部をさらに有して構成されているアームにより、基板の下面を支持して当該基板を搬送する搬送工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
処理室内で基板を処理する手順と、
ガス供給部から前記処理室内へガスを供給する手順と、
前記処理室内に配置され、基板を載置する基板載置面を有する基板載置部に対し、基板を支持する支持部が傾斜を有して構成され、前記支持部の下端部分に、上方に向かって湾曲し、基板の外周側壁部に接触しない曲率半径を有する湾曲部をさらに有して構成されているアームにより、基板の下面を支持して当該基板を搬送する搬送手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理が行われることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-160507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
膜を形成する過程において、基板が歪んでしまう場合がある。歪んだ基板は不安定なので、当該基板を搬送する際に落下させてしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、歪んだ基板を落下させずに安定して搬送する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内へガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に配置され、基板を載置する基板載置面を有する基板載置部と、
前記基板載置面に対し、基板の下面を支持して当該基板を搬送するアームと、
を有し、
前記アームは、基板を支持する支持部が傾斜を有して構成されている、
技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、歪んだ基板を落下させずに安定して搬送する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一態様に係る多枚葉式の基板処理装置における要部の概略断面図である。
図2】本開示の一態様に係る基板処理装置における要部の概略平面図である。
図3】本開示の一態様に係る基板処理装置における要部の概略平面図である。
図4】本開示の一態様に係る基板処理装置における要部の概略断面図である。
図5】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるガス供給部を説明する図である。
図6】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるガス供給部を説明する図である。
図7】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
図8】本開示の一態様に係るウエハの処理状態を説明する説明図である。
図9】本開示の一態様に係る基板処理工程の概要のフロー図である。
図10】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるローテーションアームの動作を示す図である。図10(a)は、ローテーションアームがウエハを載置する前の状態を示す図である。図10(b)は、ローテーションアームがウエハの載置を開始した状態を示す図である。図10(c)は、ローテーションアームがウエハを載置した後の状態を示す図である。
図11】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるローテーションアームの側面図である。
図12】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるローテーションアームとウエハの関係を示す図である。図12(a)は、ローテーションアームがウエハを載置している状態を示す図である。図12(b)は、ローテーションアームが回転しウエハの搬送している状態を示す図である。
図13】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるローテーションアームとウエハの関係を示す図である。図13(a)は、ローテーションアームがウエハを載置している状態を示す図である。図13(b)は、ローテーションアームが回転しウエハの搬送している状態を示す図である。
図14】本開示の一態様に係る基板処理装置におけるローテーションアームが、ウエハを載置している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の一態様>
以下に、本開示の一態様について説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
まず、図1図7を用いて、本態様に係る基板処理装置の構成について説明する。本態様に係る基板処理装置は、半導体装置の製造工程で用いられるもので、処理対象となる基板を複数枚ごとに処理する装置として構成されている。処理対象となる基板としては、例えば、半導体装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「ウエハ」という。)が挙げられる。
【0011】
(処理容器)
図1に示すように、基板処理装置200は、処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば、横断面が角形であり、扁平な密閉容器として構成されている。処理容器202は、アルミニウム(Al)やステンレス(SUS)等の金属材料により構成されている。処理容器202内には、シリコンウエハ等のウエハ100を処理する処理室201が形成されている。処理室201は、後述するガス分散構造230、基板載置部としての基台210等で構成される。
【0012】
処理容器202の側面には、ゲートバルブ208に隣接した基板搬入出口205が設けられており、ウエハ100は基板搬入出口205を介して図示しない搬送室との間を移動する。
【0013】
処理室201には、ウエハ100を加熱する基台210が配置される。基台210は、後述する回転軸221を中心に、周状に複数配置される。基台210の配置について、図2を用いて説明する。図2は、後述する、アームとしてのローテーションアーム222の付近を上方から見た図である。ロボットアーム240は、処理容器202の外部に配置され、ウエハ100を処理容器202の内外に移載する機能を有する。B-B’における縦断面図が図1に相当する。
【0014】
基台210は、例えば、4個配置される。具体的には、基板搬入出口205と対向する位置から時計回りに基台210a,210b,210c,210dが配置される。処理容器202に搬入されたウエハ100は、基台210a~210dの順に移動される。
【0015】
基台210a~210dは、それぞれウエハ100を載置する基板載置面211(211a,211b,211c,211d)と、基台210を支持するシャフト217(217a,217b,217c,217b)と、加熱源としてのヒータ213(213a,213b,213c,213d)を有する。基台210には、リフトピン207が貫通する貫通孔が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。シャフト217は、処理容器202の底部204を貫通している。シャフト217は、処理容器202と絶縁されている。
【0016】
底部204を貫通するように、リフトピン207が設けられている。リフトピン207は、基台210に設けられた貫通孔を通過可能な位置に配される。リフトピン207の先端は、基板搬入/搬出時等にウエハ100を支持する。
【0017】
リフトピン207の下端には、リフトピン支持部212(212a,212b,212c,212d)が設けられる。それぞれのリフトピン支持部212a~212dには、リフトピン昇降部216(216a,216b,216c,216d)が設けられる。リフトピン昇降部216は、リフトピン207を昇降させる。リフトピン支持部212a~212dとリフトピン昇降部216a~216dは、それぞれ基台210a~210dに対応して設けられる。リフトピン207、リフトピン支持部212、リフトピン昇降部216をまとめてウエハ昇降部と呼ぶ。
【0018】
処理容器202の蓋部203であって、それぞれの基板載置面211a~211dと対向する位置には、ガス分散機構としてのガス分散構造230(230a,230b,230c,230d)がそれぞれ設けられている。上方から見ると、図3に示すように、4つのガス分散構造230が配される。ガス分散構造230は、蓋部203に支持される。
【0019】
図3に示すように、それぞれのガス分散構造230には、ガス導入孔が設けられる。具体的には、ガス分散構造230aにはガス導入孔231aが、ガス分散構造230bにはガス導入孔233bが、ガス分散構造230cにはガス導入孔231cが、ガス分散構造230dにはガス導入孔233dが設けられる。ガス導入孔231a,231cは後述する第一ガス供給管311と連通される。ガス導入孔233b,233dは後述する共通ガス供給管341と連通される。なお、A-A’線における縦断面図が図1に相当する。
【0020】
ガス分散構造230a~230dと基板載置面211a~211dとの間の空間を、処理空間209(209a,209b,209c,209d)と呼ぶ。本態様においては、ガス分散構造230aと基板載置面211aの間の空間を処理空間209aと呼ぶ。ガス分散構造230bと基板載置面211bの間の空間を処理空間209bと呼ぶ。ガス分散構造230cと基板載置面211cの間の空間を処理空間209cと呼ぶ。ガス分散構造230dと基板載置面211dの間の空間を処理空間209dと呼ぶ。
【0021】
また、処理空間209を構成する構造を処理室201と呼ぶ。本態様においては、処理空間209aを構成し、少なくともガス分散構造230aと基台210aを有する構造を処理室201aと呼ぶ。処理空間209bを構成し、少なくともガス分散構造230bと基台210bを有する構造を処理室201bと呼ぶ。処理空間209cを構成し、少なくともガス分散構造230cと基台210cを有する構造を処理室201cと呼ぶ。処理空間209dを構成し、少なくともガス分散構造230dと基台210dとを有する構造を処理室201dと呼ぶ。
【0022】
ここでは、処理室201aは、少なくともガス分散構造230aと基台210aとを有すると記載したが、ウエハ100を処理する処理空間209を構成する構造であればよく、ガス分散構造230等を有する構造に限定されるものではない。他の処理室201b~201dも同様である。
【0023】
図2に示すように、基台210a~210dは、回転軸221を中心として周状に配置される。回転軸221上には、基板載置面(例えば、基板載置面211a)に載置されたウエハ100の下面を支持して、隣接する基板載置面(例えば、基板載置面211b)へ搬送する、ローテーションアーム222が取り付けられている。本態様では、4つのローテーションアーム222は、回転軸221に取り付けられている。
【0024】
回転軸221は、処理容器202の底部204を貫通するよう構成されている。処理容器202の外側であって、ローテーションアーム222と異なる側にはローテーションアーム昇降回転部(以下、「アーム昇降部」と略する場合がある。)223が設けられている。アーム昇降回転部223は、回転軸221を昇降、回転させることにより、ローテーションアーム222を昇降、回転させる。回転方向は、例えば図2における矢印225の方向(時計回り方向)である。
【0025】
なお、本態様においては、ローテーションアーム222を昇降させる機能、回転させる機能を有するものをアーム昇降回転部と呼んだが、いずれかの機能を独立して持たせる構成としてもよい。その場合、アーム回転部やアーム昇降部と呼ぶ。また、両方若しくはいずれかの機能を有している構成の場合、アーム制御部とも呼ぶ。
【0026】
ローテーションアーム222の具体的な構成および動作については後述する。
【0027】
(排気系)
処理容器202の雰囲気を排気する排気系260を説明する。排気系260は、それぞれの処理空間209(209a~209d)に対応するように設けられている(図1参照)。例えば、処理空間209aは排気系260a、処理空間209bは排気系260b、処理空間209cは排気系260c、処理空間209dは排気系260dが対応する。
【0028】
排気系260は、処理容器202に設けられた排気孔261(261a,261b,261c,261d)と連通する排気管262(262a,262b,262c,262d)を有し、さらには排気管262に設けられたAPC(Auto Pressure Controller)266(266a,266b,266c,266d)を有する。APC266は開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、コントローラ280からの指示に応じて排気管262のコンダクタンスを調整する。また、排気管262においてAPC266の上流側にはバルブ267(267a,267b,267c,267d)が設けられる。排気管262、バルブ267、APC266をまとめて排気系260と呼ぶ。
【0029】
排気管262の下流には、DP(Dry Pump)269(269a,269b,269c,269d)が設けられる。DP269は、排気管262を介して処理室201の雰囲気を排気する。本実施形態においてはDP269を排気系260ごとに設けたが、それに限るものではなく、各排気系に共通させてもよい。
【0030】
(第一ガス供給部)
図5を用いて、ガス導入孔231a,231cに連通される第一ガス供給部300を説明する。
【0031】
ガス導入孔231a,231cと共通ガス供給管301が連通するよう、ガス分散構造230a、230cは、バルブ302a,302c、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)303a,303cを介して、共通ガス供給管301に接続される。各処理室201a,201cへのガス供給量は、バルブ302a,302c、MFC303a,303cを用いて調整される。共通ガス供給管301には、第一ガス供給管311、第二ガス供給管321が接続されている。
【0032】
第一ガス供給管311には、上流方向から順に、第一ガス源312、MFC313、及び開閉弁であるバルブ314が設けられている。
【0033】
第一ガス源312は、第一元素を含有する第一ガス(「第一元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第一元素含有ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。ここで、第一元素は、シリコン(Si)である。すなわち、第一元素含有ガスは、Si含有ガスである。具体的には、Si含有ガスとして、ジクロロシラン(SiHCl、DCSとも呼ぶ)やヘキサクロロジシラン(SiCl、HCDSとも呼ぶ。)ガスが用いられる。
【0034】
主に、第一ガス供給管311、MFC313、バルブ314により、第一ガス供給系310(Si含有ガス供給系ともいう)が構成される。
【0035】
第二ガス供給管321には、上流方向から順に、第二ガス源322、MFC323、及びバルブ324が設けられている。
【0036】
第二ガス源322は、第二元素を含有する第二ガス(以下、「第二元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第二元素含有ガスは、処理ガスの一つである。なお、第二元素含有ガスは、反応ガスとして考えてもよい。
【0037】
ここで、第二元素含有ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素は、例えば、酸素(O)である。本態様では、第二元素含有ガスは、例えば、O含有ガスである。具体的には、O含有ガスとして、オゾン(O)ガスが用いられる。
【0038】
主に、第二ガス供給管321、MFC323、バルブ324により、第二ガス供給系320(反応ガス供給系ともいう)が構成される。
【0039】
第一ガス供給系、第二ガス供給系のいずれか、もしくはその組み合わせを第一ガス供給部300と呼ぶ。
【0040】
(第二ガス供給部)
図6を用いて、ガス導入孔233b,233dに連通される第二ガス供給部340を説明する。
【0041】
ガス導入孔233b,233dと共通ガス供給管341が連通するよう、ガス分散構造230b,230dは、バルブ342b,342d、MFC343b,343dを介して、共通ガス供給管341に接続される。各処理室201b,201dへのガス供給量は、バルブ342b,342d、MFC343b,343dを用いて調整される。共通ガス供給管341には、第三ガス供給管351、第四ガス供給管361が接続されている。
【0042】
第三ガス供給管351には、上流方向から順に、第三ガス源352、MFC353、及びバルブ354が設けられている。
【0043】
第三ガス源352は、第一元素含有ガス源である。第一ガス源312と同様、Si系ガスが用いられる。第三ガス源352は、第一ガス源312と共有してもよい。
【0044】
主に、第三ガス供給管351、MFC353、バルブ354により、第三ガス供給系350(Si含有ガス供給系ともいう)が構成される。
【0045】
第四ガス供給管361には、上流方向から順に、第四ガス源362、MFC363、及びバルブ364が設けられている。
【0046】
第四ガス源362は、第三元素を含有する第三ガス(以下、「第三元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第三元素含有ガスは、処理ガスの一つである。第三元素含有ガスは、反応ガスとして考えてもよい。
【0047】
ここで、第三元素含有ガスは、第二元素と異なる第三元素を含有する。第三元素は、例えば、窒素(N)である。本態様では、第二元素含有ガスは、例えばN含有ガスである。具体的には、N含有ガスとして、アンモニア(NH)ガスが用いられる。
【0048】
主に、第四ガス供給管361、MFC363、バルブ364により、第四ガス供給系360(反応ガス供給系ともいう)が構成される。
【0049】
なお、第三ガス供給系、第四ガス供給系のいずれか、もしくはその組み合わせを第二ガス供給部340と呼ぶ。
【0050】
また、第一ガス供給部300と第二ガス供給部340をまとめて、単にガス供給部と呼んでもよい。
【0051】
(コントローラ)
基板処理装置200は、基板処理装置200の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。コントローラ280は、図7に記載のように、演算部(CPU)280a、一時記憶部(RAM)280b、記憶部280c、I/Oポート280dを少なくとも有する。コントローラ280は、I/Oポート280dを介して基板処理装置200の各構成に接続され、上位装置270や使用者の指示に応じて記憶部280cからプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御する。
【0052】
送受信制御は、例えば、CPU280a内の送受信指示部280eが行う。なお、コントローラ280は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)282を用意し、外部記憶装置282を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本態様に係るコントローラ280を構成することができる。
【0053】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置282を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用いても良いし、上位装置270から受信部283を介して情報を受信し、外部記憶装置282を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。また、キーボードやタッチパネル等の入出力装置281を用いて、コントローラ280に指示をしてもよい。
【0054】
なお、記憶部280cや外部記憶装置282は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部280c単体のみを含む場合、外部記憶装置282単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0055】
(2)基板処理工程
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成の基板処理装置200を用いて、ウエハ100に対する処理を行う基板処理工程について説明する。ここでは、基板処理工程として、図8に示すように、ウエハ100上に絶縁膜102と犠牲膜112とを交互に積層する場合を例に挙げる。図9は、ウエハ100上に絶縁膜102と犠牲膜112とを積層するためのフローである。以下の説明において、各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0056】
(第一絶縁膜形成工程:S02)
所定の処理空間209において、ウエハ100を所定の温度に維持するとともに、Si含有ガスとO含有ガスとをウエハ100上に供給する。このようにして、ウエハ100上に、絶縁膜102(1)としてのSiO膜が形成される。
【0057】
(第一犠牲膜形成工程:S04)
所定の処理空間209において、ウエハ100を所定の温度に維持するとともに、Si含有ガスとN含有ガスとをウエハ100上に供給する。このようにして、ウエハ100上に、犠牲膜112(1)としてのSiN膜が形成される。
【0058】
(第二絶縁膜形成工程:S06)
所定の処理空間209において、ウエハ100を所定の温度に維持するとともに、Si含有ガスとO含有ガスとをウエハ100上に供給する。このようにして、ウエハ100上に、絶縁膜102(2)としてのSiO膜が形成される。
【0059】
(第二犠牲膜形成工程:S08)
所定の処理空間209において、ウエハ100を所定の温度に維持するとともに、Si含有ガスとN含有ガスとをウエハ100上に供給する。このようにして、ウエハ100上に、犠牲膜112(2)としてのSiN膜が形成される。
【0060】
(判定工程:S10)
第一絶縁膜形成工程S02から第二犠牲膜形成工程S08までの組み合わせを所定回数行ったかどうかを判断する。すなわち、絶縁膜102と犠牲膜112が所定層形成されたか否かを判断する。例えば、絶縁膜102と犠牲膜112との合計総数の所望数が16層の場合には、上述した組み合わせが4回繰り返されたか否かを判断する。
【0061】
所定回数行ったと判断されたら、基板処理装置200における処理を終了し、所定回数行っていないと判断されたら、第一絶縁膜形成工程(S02)に進む。
【0062】
(3)ローテーションアームについて
上述したように、ローテーションアーム222は、基板載置面(例えば、基板載置面211a)に載置されたウエハ100を支持して、隣接する基板載置面(例えば、基板載置面211b)へ搬送する。
【0063】
本態様においては、ローテーションアーム222が搬送するウエハ100にはSiO膜とSiN膜が積層される。一般的に、SiO膜は圧縮応力が高く、SiN膜は引張応力が高いことが知られている。すなわち、SiO膜とSiN膜は、膜応力に関して逆の特性を有する。これらの応力の性質は、膜が加熱された場合に顕著となる。
【0064】
上述した基板処理工程においては、SiO膜で構成される絶縁膜102の形成とSiN膜で構成される犠牲膜112の形成を繰り返すが、一部の膜では絶縁膜102と犠牲膜112が同時に存在した状態でウエハ100を加熱処理する。例えば、犠牲膜112(8)を形成するとき(図9参照)、SiN膜を形成する温度にウエハ100を加熱する。そのとき、犠牲膜112(8)よりも下方に設けられた絶縁膜102(1)~102(8)は圧縮応力が高くなり、犠牲膜112(1)~112(7)は引張応力が高くなる。従って、絶縁膜102と犠牲膜112との間で応力差が発生する。その結果、ウエハ100が歪んでしまう場合がある。
【0065】
例えば、歪んだウエハ100を搬送するときに、従来の水平姿勢の棒部材によって形成されたローテーションアームでは、ウエハ100を落下させるおそれがある。
本件開示者は、ウエハ100の歪みは、基板処理工程における様々な条件に対応してランダムに発生する場合があるので、従来のローテーションアームでは、支持部とウエハ100との接触の方向を規制することができない、という知見を得た。
【0066】
この知見に基づき、本件開示者は、支持部とウエハ100との接触の方向を規制することにより、ウエハ100の落下を防止することができるとの着想を得て、歪みの有無にかかわらずウエハ100を安定して搬送するローテーションアーム222を完成させた。以下に、ローテーションアーム222の具体的な構成および動作について説明する。
【0067】
図2に示すように、ローテーションアーム222は、平面視において、直線状の棒部材が複数の角部を有して連続するように形成されている。この複数の角部近傍により、ウエハ100を支持できるように構成されている。
【0068】
図4に示すように、ローテーションアーム222は、ウエハ100を支持する支持部222aと、湾曲部222bと、を有している。図10(a)~図10(c)に示すように、支持部222aは、側面視において、回転軸221近傍から下方へ傾斜を有して構成されている。本態様では、支持部222aは、その一部が傾斜しており、その傾斜の勾配は一律となるように構成されている。ローテーションアーム222がウエハ100を搬送するにおいて、支持部222aは、傾斜の上端側がウエハ100の端縁近傍に位置した状態でウエハ100を支持するように構成されている(図10(a)~図10(c)参照)。また、湾曲部222bは、支持部222aの下端部分に、上方に向かって湾曲して設けられている。
【0069】
図1および図2に示すように、ウエハ100が基板載置面211上に載置されているときは、4つのローテーションアーム222は、隣り合う処理空間209と処理空間209との間にあって、底部204付近にある、4つの退避空間Yにそれぞれ退避している。
【0070】
基板載置面211上に載置されているウエハ100を、隣接する基板載置面211へ搬送するときは、図4に示すように、リフトピン207が上昇することにより、各基板載置面211a~211dに載置されていたウエハ100が、それぞれリフトピン207上に載置される。
【0071】
4つのローテーションアーム222は、それぞれ、退避空間Yから上昇し、時計回りに45°回転することにより、ウエハ100の下方に配置される。このとき、支持部222aは、支持部222aの傾斜の上端側がウエハ100の端縁近傍に位置した状態でウエハ100を支持する。その後、リフトピン207が下降することにより、ローテーションアーム222の支持部222a上にウエハ100が移載する。さらに、ローテーションアーム222は、ウエハ100を支持した状態で、例えば、時計回りに90°回転することにより、ウエハ100を隣接する基板載置面211の上方へ搬送する。その後、リフトピン207が上昇することにより、ローテーションアーム222に支持されていたウエハ100が、それぞれリフトピン207上に載置される。4つのローテーションアーム222は、それぞれ、時計回りに45°回転した後、退避空間Yへ下降する。その後、リフトピン207が下降することにより、リフトピン207上に載置されていたウエハ100が各基板載置面211a~211dに載置される(図2参照)。
【0072】
ローテーションアーム222は、支持部222aが傾斜を有して構成されている。従って、歪んだウエハ100であっても、ローテーションアーム222が支持するときは、まず、支持部222aの傾斜の上端側がウエハ100の端縁近傍を支持する(図10(a)、図10(b)参照)。その後、傾斜の上端側とウエハ100の端縁近傍とを接触開始点として、接触開始点における接触を維持したまま、傾斜の下側に向けて支持部222aとウエハ100の下面との接触点を増やすことできる(図10(c)参照)。このように、ローテーションアーム222は、支持部222aとウエハ100との接触の方向を規制することができるので、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制することができ、ウエハ100の落下を抑制することができる。
【0073】
また、上述のように、ローテーションアーム222は、支持部222aの下端部分に、上方に向かって湾曲する湾曲部222bを有して構成されている。図11に示すように、湾曲部222bは、支持部222aの下端部分から上方に向けてせり上がるように湾曲した湾曲部分Wを有している。
【0074】
この湾曲部分Wが、湾曲部222bへ移動するウエハ100の移動抵抗となり、湾曲部222bへのウエハ100の移動を制限することができる。具体的には、ローテーションアーム222がウエハ100を搬送するときに、ウエハ100に遠心力がかかって支持部222aから落ちそうになっても、湾曲部分Wにより、湾曲部222bへのウエハ100の移動を制限することができる。これにより、ウエハ100の落下をより確実に防止することができる。
【0075】
さらに、図12に記載のように、湾曲部222bは、ウエハ100の外周側壁部Cに接触しない曲率半径を有している。ここで、ウエハ100の外周側壁部Cとは、ウエハ100の上面および下面以外の外周部分をいう。ウエハ100は、半導体装置の製造工程の過程において、外周側壁部が面取りされるが、加工精度のばらつきにより、面取り後の外周側壁部の形状は固有差が大きく、多角形状、直線状等を形成する場合もあれば、図12に示すように、R形状を形成する場合もある。
【0076】
湾曲部222bが、ウエハ100の外周側壁部Cに接触しない曲率半径を有する一例として、湾曲部222bにおける湾曲部分Wの曲率半径が、ウエハ100の下面近傍における外周側壁部Cの曲率半径よりも大きい場合を例に挙げて説明する(図12(a)参照)。
【0077】
上述したように、ウエハ100の搬送時においては、湾曲部分Wにより、湾曲部222bへのウエハ100の移動を制限することができる。さらに、湾曲部分Wの湾曲は、ウエハ100の下面近傍における外周側壁部Cの湾曲よりも緩やかなので、外周側壁部Cが湾曲部222bの構成面に接触することを回避することができる(図12(b)参照)。従って、ウエハ100の外周側壁部Cに付着している余剰膜の剥離を回避できるので、処理室201内にパーティクルを発生させることを防止することができる。
【0078】
また、ローテーションアーム222がウエハ100を支持するときに、ウエハ100の外周側壁部Cにおける最も湾曲部222b側に突出している部分Eの位置は、湾曲部222bの先端部Dの位置よりも上方にあるように構成されている(図13(a)参照)。これにより、ウエハ100の搬送時に、ウエハ100が湾曲部222bへ移動することがあったとしても、湾曲部222bの先端部Dが外周側壁部Cの突出部分Eに接触することを回避することができる(図13(b)参照)。
【0079】
外周側壁部Cにおいて、最も余剰膜が付着しているのは突出部分E周辺である。また、湾曲部222bにおいて、最も余剰膜を剥離するのは先端部Dである。従って、ウエハ100が湾曲部222bへ移動したとしても、先端部Dの突出部分Eへの接触を回避することにより、余剰膜の剥離を最小限に抑えることができる。
【0080】
また、ローテーションアーム222における湾曲部222bの先端Fの位置と、ローテーションアーム222の他端の位置Gとは、所定の範囲の差になるように構成されている(図14参照)。所定の範囲の差とは、ウエハ100に想定できる最大の歪みが生じている場合であっても、支持部222aの傾斜の上端側がウエハ100の端縁近傍に位置した状態でウエハ100を支持できる最小の傾斜を、支持部222aが有しているときの、先端Fの位置と他端Gの位置との差をいう。すなわち、ウエハ100に想定できる最大の歪みが生じている場合であっても、ウエハ100を支持したときに、ウエハ100のガタつきを抑制することができる最小の傾斜を、支持部222aが有しているときの、先端Fの位置と他端Gの位置との差をいう。
【0081】
上述したように、ウエハ100の搬送時におけるウエハ100のガタつき抑制のために、ローテーションアーム222は、支持部222aが傾斜を有して構成されている。支持部222aが傾斜を有しているので、従来の水平姿勢のローテーションアームと比べると、ウエハ100の非載置状態から載置状態までのローテーションアーム222の上下方向の移動空間が大きくなってしまう。
【0082】
ローテーションアーム222の上下方向の移動空間が大きくなると、処理室201内におけるローテーションアーム222の移動空間の高さH(図4参照)も大きくなってしまう。ローテーションアーム222の移動空間の高さHが大きくなると、各処理空間209a~209dにおける処理ガス等が混合してしまい、上述した基板処理工程に不都合を生じさせてしまう。
【0083】
本態様では、処理ガス等の混合を回避するため、湾曲部222bの先端Fの位置と、ローテーションアーム222の他端Gの位置の差が上述した範囲になるようにした。すなわち、本態様のローテーションアーム222によれば、処理室201内におけるローテーションアーム222の移動空間の高さHを最小限に抑えることができるので、各処理空間209a~209d内の圧力を高めて、それぞれのガスを分離することでき、適切に処理することが可能となる。
【0084】
(4)本態様にかかる効果
本態様によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0085】
(a)本態様のローテーションアーム222は、支持部222aが傾斜を有して構成されている。これにより、ウエハ100の搬送時において、ローテーションアーム222が歪んだウエハ100を支持するときに、支持部222aとウエハ100との接触の方向を規制することができるので、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制することができる。結果として、ローテーションアーム222は、ウエハ100の落下を防止することができる。
【0086】
(b)本態様では、ローテーションアーム222がウエハ100を支持するときに、傾斜の上端側がウエハ100の端縁近傍に位置した状態でウエハ100を支持するように構成されている。これにより、傾斜の上端側とウエハ100の端縁近傍とを接触開始点とし、接触開始点における接触を維持したまま、傾斜の下側に向けて支持部222aとウエハ100の下面との接触点を増やすことできる。このように、ローテーションアーム222は、支持部222aとウエハ100との接触の方向を規制することができるので、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制することができる。結果として、ローテーションアーム222は、ウエハ100の落下を確実に抑制することができる。
【0087】
(c)本態様のローテーションアーム222は、支持部222aの下端部分に、上方に向かって湾曲する湾曲部222bを有して構成されている。湾曲部222bは、支持部222aの下端部分から上方に向けてせり上がるように湾曲した湾曲部分Wを有している(図11参照)。この湾曲部分Wが、湾曲部222bへ移動するウエハ100の移動抵抗となり、湾曲部222bへのウエハ100の移動を制限することができる。これにより、ローテーションアーム222は、ウエハ100の落下を確実に抑制することができる。
【0088】
(d)本態様では、ローテーションアーム222の湾曲部222bは、ウエハ100の外周側壁部Cに接触しない曲率半径を有するように構成されている。これにより、ウエハ100の搬送時において、外周側壁部Cが湾曲部222bの構成面に接触することを回避することができる。従って、ウエハ100の外周側壁部Cに付着している余剰膜の剥離を回避できるので、処理室201内にパーティクルを発生させることを防止することができる。
【0089】
(e)本態様では、ローテーションアーム222がウエハ100を支持するときに、外周側壁部Cにおける最も前記湾曲部側に突出している部分Eの位置は、湾曲部222bの先端部Dの位置よりも上方にあるように構成されている。これにより、ローテーションアーム222によるウエハ100の搬送時において、湾曲部222bの先端部Dが外周側壁部Cの突出部分Eに接触することを回避することができる。ウエハ100が湾曲部222bへ移動したとしても、先端部Dの突出部分Eへの接触を回避することにより、余剰膜の剥離を最小限に抑えることができる。
【0090】
(f)本態様では、ローテーションアーム222における湾曲部222bの先端Fの位置と、ローテーションアーム222の他端の位置Gとは、所定の範囲の差になるように構成されている。これにより、処理室201内におけるローテーションアーム222の移動空間の高さHを最小限に抑えることができるので、各処理空間209a~209d内の圧力を高めて、それぞれのガスを分離することでき、適切に処理することが可能となる(図14参照)。
【0091】
<本開示の他の態様>
以上に、本開示の態様を具体的に説明したが、本開示が上述の態様に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【0092】
(a)上述した態様では、支持部222aは、回転軸221側から下方へ傾斜を有して構成されているものを例に挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、支持部222aが、回転軸221側から上方へ傾斜を有して構成されていてもよい。この場合においても、ローテーションアーム222は、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制し、ウエハ100の落下を防止することができる。
【0093】
(b)また、上述した態様では、支持部222aは、その一部が傾斜し、その傾斜の勾配は一律となるように構成されているものを例に挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、支持部222aは、全体が傾斜して構成されていてもよいし、傾斜の勾配が変化するように構成されていてもよい。支持部222aの全体が傾斜する場合には、支持部222aの上端と傾斜の上端が一致する。これらの場合においても、ローテーションアーム222は、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制し、ウエハ100の落下を防止することができる。
【0094】
(c)また、上述した態様では、支持部222aは、平面視において、直線状の棒部材が複数の角部を有して連続するように形成されているものを例に挙げたが、本開示はこれに限定されない。例えば、支持部222aは、ウエハ100を支持する領域を有していれば、平面視において、曲線状に形成されていてもよい。この場合においても、ローテーションアーム222は、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制し、ウエハ100の落下を防止することができる。
【0095】
(e)また、上述した態様では、ローテーションアーム222を例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ロボットアーム240が上述した構成を有していてもよい。この場合においても、ロボットアーム240は、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制し、ウエハ100の落下を防止することができる。
【0096】
(d)なお、上述した態様では、ウエハ100の搬送時において、外周側壁部Cに付着している余剰膜の剥離を回避する構成として、湾曲部222bが、外周側壁部Cに接触しない曲率半径を有している場合と、外周側壁部Cの突出部分Eの位置が、湾曲部222bの先端部Dの位置よりも上方にある場合とを例に挙げて説明した。これは、2つの場合が揃ったときにのみ効果を奏することを示すものではない。いずれか一方の場合を満たせば効果を奏するものである。
【0097】
(e)また、上述した態様では、ウエハ100が歪む原因として、積層膜における絶縁膜102(SiO膜)と犠牲膜112(SiN膜)との間で生じる応力差を例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ウエハ100に対して加熱が不均一に行われた場合もウエハ100が歪む原因となり得る。つまり、発生原因を問わず、歪みが生じたウエハ100に対しては、上述した態様で説明したローテーションアーム222の適用により、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制し、ウエハ100の落下を防止することができる。
【0098】
(f)また、上述した態様では、ウエハ100上にSiO膜とSiN膜との積層膜が形成される場合を例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ウエハ100上にSiO膜、SiN膜がそれぞれ単独で形成されてもよい。つまり、ウエハ100上に形成された膜が積層膜か否かを問わず、歪みが生じたウエハ100に対しては、上述した態様で説明したローテーションアーム222の適用により、ウエハ100を支持したときのウエハ100のガタつきを抑制し、ウエハ100の落下を防止することができる。
【0099】
また、上述した態様では、ウエハ100上にSiO膜やSiN膜を形成することを例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。形成する膜としては、例えばTi等の金属成分を含む膜であってもよい。また、Siや金属成分等と結合するものとしてOやNを例に説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、炭素や他の金属等であってもよい。
【0100】
<本開示の好ましい態様>
以下に、本開示の好ましい態様について付記する。
【0101】
[付記1]
本開示の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内へガスを供給するガス供給部と、
前記処理室内に配置され、基板を載置する基板載置面を有する基板載置部と、
前記基板載置面に対し、基板の下面を支持して当該基板を搬送するアームと、
を有し、
前記アームは、基板を支持する支持部が傾斜を有して構成されている、
基板処理装置が提供される。
【0102】
[付記2]
好ましくは、
前記支持部は、前記傾斜の上端側が基板の端縁近傍に位置した状態で当該基板を支持するように構成されている、
付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0103】
[付記3]
好ましくは、
前記アームは、回転軸に取り付けられ、
前記基板載置部は、前記回転軸を中心として周状に複数配置され、
前記アームは、前記回転軸が回転することにより、複数の前記基板載置面の間で基板を搬送する、
付記1または2に記載の基板処理装置が提供される。
【0104】
[付記4]
好ましくは、
前記アームは、前記支持部の下端部分に、上方に向かって湾曲する湾曲部をさらに有して構成されている、
付記1~3のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0105】
[付記5]
好ましくは、
前記湾曲部は、基板の外周側壁部に接触しない曲率半径を有する、
付記4に記載の基板処理装置が提供される。
【0106】
[付記6]
好ましくは、
前記アームが基板を支持するときに、前記外周側壁部における最も前記湾曲部側に突出している部分の位置は、前記湾曲部の先端部の位置よりも上方にある、
付記5に記載の基板処理装置が提供される。
【0107】
[付記7]
好ましくは、
前記アームにおける前記湾曲部の先端の位置と、前記アームの他端の位置とは、所定の範囲の差になるように構成されている、
付記4~6のいずれか1態様に記載の基板処理装置が提供される。
【0108】
[付記8]
本開示の他の一態様によれば、
処理室内で基板を処理する工程と、
ガス供給部から前記処理室内へガスを供給する工程と、
前記処理室内に配置され、基板を載置する基板載置面を有する基板載置部に対し、基板の下面を支持して当該基板を搬送する搬送工程と、
を有し、
基板を支持する支持部が傾斜を有して構成されているアームにより、前記搬送工程を行う、
半導体装置の製造方法が提供される。
【0109】
[付記9]
本開示のさらに他の一態様によれば、
処理室内で基板を処理する手順と、
ガス供給部から前記処理室内へガスを供給する手順と、
基板を支持する支持部が傾斜を有して構成されているアームにより、前記処理室内に配置され、基板を載置する基板載置面を有する基板載置部に対し、基板の下面を支持して当該基板を搬送する搬送手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムが提供される。
【符号の説明】
【0110】
100 ウエハ(基板)
200 基板処理装置
201 処理室
210 基台
211,211a,211b,211c,211d 基板載置面
222 ローテーションアーム
222a 支持部
222b 湾曲部
300 第一ガス供給部
340 第二ガス供給部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14