(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-07
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】半導体パッケージ用絶縁層製造方法およびこれによって形成された半導体パッケージ用絶縁層
(51)【国際特許分類】
H01L 23/14 20060101AFI20220117BHJP
B01J 31/02 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
H01L23/14 R
B01J31/02 Z
(21)【出願番号】P 2020526526
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 KR2018016351
(87)【国際公開番号】W WO2019139274
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-05-14
(31)【優先権主張番号】10-2018-0003579
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミンス・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ジン・キョン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ジュ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ジェ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジョ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウンビュル・チョ
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0107373(KR,A)
【文献】特開2014-122337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/14
B01J 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒、および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムを回路基板上に形成する第1段階;および
前記熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる第2段階;を含み、
前記第1段階または第2段階のうちの少なくとも一つの段階で熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入することを特徴と
し、
前記熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入した以後、熱硬化性樹脂フィルムに含まれている気孔の平均直径が1μm以下に減少する、半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入時、前記熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング多孔性構造体のMoment/Mass測定値(VSMによって測定)が0.6emu/g~2.0emu/gである、請求項1に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂フィルムは、平均直径が1.2μm以上である気孔を含む、請求項1または2に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項4】
前記金属グラフティング多孔性構造体は、シリケートを含む分子体に金属がグラフトされたものである、請求項1から
3のいずれか一項に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項5】
前記シリケートを含む分子体は、ゼオライトおよび微細気孔が均一に形成されたシリカ分子体からなる群より選択された1種以上を含む、請求項
4に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項6】
前記ゼオライトは、モルデナイト、フェリエライト、ZSM-5、β-ゼオライト、Ga-シリケート、Ti-シリケート、Fe-シリケートおよびMn-シリケートからなる群より選択される1種以上である、請求項
5に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項7】
前記微細気孔が均一に形成されたシリカ分子体は、MCM-22、MCM-41、およびMCM-48からなる群より選択される1種以上を含む、請求項
5に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項8】
前記金属は、ニッケル、銅、鉄、およびアルミニウムからなる群より選択される1種以上である、請求項
4に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項9】
前記金属グラフティング多孔性構造体は、1nm~30nmの直径を有する微細気孔が均一に形成されたシリカ分子体に金属がグラフティングされた構造体を含む、請求項1から
8のいずれか一項に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項10】
前記金属グラフティング多孔性構造体は、Ni/MCM-41、Fe/MCM-41、およびCu/MCM-41からなる群より選択される1種以上である、請求項1から
9のいずれか一項に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項11】
前記金属グラフティング多孔性構造体は、1μm以下の粒径を有する、請求項1から1
0のいずれか一項に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項12】
前記熱硬化性樹脂フィルムは、熱硬化性バインダー樹脂1重量%~65重量%;熱硬化触媒0.1重量%~20重量%;および金属グラフティング多孔性構造体30重量%~90重量%を含む、請求項1から1
1のいずれか一項に記載の半導体パッケージ用絶縁層製造方法。
【請求項13】
熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムの硬化物を含み、
前記熱硬化性樹脂フィルムの硬化物に含まれている気孔の平均直径が1μm以下である、半導体パッケージ用絶縁層。
【請求項14】
請求項1
3の半導体パッケージ用絶縁層を含む、半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2018年1月10日付韓国特許出願第10-2018-0003579号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、半導体パッケージ用絶縁層製造方法およびこれによって形成された半導体パッケージ用絶縁層に関するものであって、より詳しくは、半導体パッケージ用絶縁層製造時、絶縁層内部に発生する気孔を磁気的特性を用いて除去して信頼性を高めることができ、優れた耐熱性を有することができる半導体パッケージ用絶縁層製造方法およびこのような半導体パッケージ用絶縁層製造方法を用いて得られる半導体パッケージ用絶縁層に関するものである。
【背景技術】
【0003】
最近、電子機器はますます小型化、軽量化、高機能化しており、このために、電子機器内部には、印刷回路基板(PCB:Printed Circuit Board)、半導体パッケージ基板、フレキシブル半導体パッケージ(FPCB)基板などが単一または複数の個数で含まれている。
【0004】
このような、印刷回路基板(PCB:Printed Circuit Board)、半導体パッケージ基板、フレキシブル半導体パッケージ(FPCB)基板などが電子機器内部で露出された状態で存在する場合、その他の付属品との物理的接触や電子機器使用時発生する熱によって損傷を受けることがあり、この場合、信頼性が下落する問題が発生することがある。
【0005】
これを防止するために、印刷回路基板(PCB:Printed Circuit Board)、半導体パッケージ基板、フレキシブル半導体パッケージ(FPCB)基板がそのまま露出されることを防止する保護フィルムとして絶縁層を導入している。
【0006】
特に、絶縁層として半導体パッケージ用絶縁層を使用する場合、一般に熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物の塗布、乾燥、硬化を通じて絶縁層を形成することができ、このような半導体パッケージ用絶縁層を導入して多層印刷回路基板や半導体パッケージングでの高信頼性を確保することができる。
【0007】
しかし、半導体パッケージ用絶縁層を製造する工程中には絶縁層内部で微細な気孔(void)が発生して、気孔によって多層印刷回路基板や半導体パッケージングでの信頼性が減少するか絶縁層自体の物性が減少するなどの限界があった。
【0008】
よって、半導体パッケージ用絶縁層製造時、絶縁層内部に発生する気孔を効果的に除去して信頼性を高めることができ、優れた耐熱性を有することができる新たな半導体パッケージ用絶縁層製造方法の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、半導体パッケージ用絶縁層製造時、絶縁層内部に発生する気孔を磁気的特性を用いて除去して信頼性を高めることができ、優れた耐熱性を有することができる半導体パッケージ用絶縁層製造方法を提供するためのものである。
また、本発明は、前記半導体パッケージ用絶縁層製造方法を用いて得られる半導体パッケージ用絶縁層を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒、および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムを回路基板上に形成する第1段階;および前記熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる第2段階;を含み、前記第1段階または第2段階のうちの少なくとも一つの段階で熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入することを特徴とする、半導体パッケージ用絶縁層製造方法が提供される。
【0011】
本明細書ではまた、熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒、および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムの硬化物を含み、前記熱硬化性樹脂フィルムの硬化物に含まれている気孔の平均直径が1.0μm以下である、半導体パッケージ用絶縁層が提供される。
【0012】
以下、発明の具体的な実施形態による半導体パッケージ用絶縁層製造方法およびこれによって形成された半導体パッケージ用絶縁層についてより詳細に説明する。
【0013】
本明細書で、ある部分がある構成要素を“含む”というとき、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0014】
本明細書で、重量平均分子量は、GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られている分析装置と示差屈折検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを使用することができ、通常適用される温度条件、溶媒、flow rateを適用することができる。前記測定条件の具体的な例を挙げれば、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さカラムを用いてWaters PL-GPC220機器を用いて、評価温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として使用し、流速は1mL/minの速度で、サンプルは10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された検定曲線を用いてMwの値を求めることができる。ポリスチレン標準品の分子量は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用した。
【0015】
1.半導体パッケージ用絶縁層製造方法
発明の一実施形態によれば、熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒、および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムを回路基板上に形成する第1段階;および前記熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる第2段階;を含み、前記第1段階または第2段階のうちの少なくとも一つの段階で熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入することを特徴とする、半導体パッケージ用絶縁層製造方法を提供することができる。
【0016】
具体的に、前記一実施形態の半導体パッケージ用絶縁層製造方法は、第1段階で熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入するか、第2段階で熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入するか、第1段階および第2段階の両方で熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入することができる。
【0017】
本発明者らは、30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムを絶縁層として回路基板上に導入し、熱硬化させる過程、即ち、完全に熱硬化される前までの工程段階で、熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入する場合、熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング(grafting)多孔性構造体が磁性特性によって磁場内で振動しながら、熱硬化性樹脂フィルム内に残存する気孔直径を減少させ最終的には気孔を完全に除去するか、新たな気孔の発生を抑制して、最終的に得られる絶縁層の信頼性を向上させることができるのを実験を通じて確認し発明を完成した。
【0018】
特に、前記金属グラフティング多孔性構造体は、単純な添加剤ではなく、熱硬化性樹脂フィルムの全体重量を基準にして30重量%~90重量%の高含量で含まれ、熱硬化性樹脂と共に主成分をなすことができる。これにより、前記高含量の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムに前述の範囲の特定磁場を注入して、気孔直径を十分な水準まで減少させ、好ましくは気孔を完全に除去して絶縁層の信頼性を極度に向上させることができる。
【0019】
また、前記金属グラフティング多孔性構造体は、磁場の強さが増加するにつれて大体振動数も増加する磁気特性を有していて、0.1T~1T水準の十分な磁場を注入時、最適の気孔除去効率を示すことができるのを確認した。
【0020】
以下、本発明の半導体パッケージ用絶縁層製造方法の各段階別に細部的な内容を説明する。
【0021】
(1)第1段階:熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒、および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムを回路基板上に形成する段階
前記熱硬化性樹脂フィルムは、熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒、および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含むことができる。
【0022】
前記‘金属グラフティング多孔性構造体’は、微細な気孔が複数形成された無機物上に一定の金属が吸着または物理的/化学的に結合して形成された錯体(complex)を意味する。
【0023】
前記金属グラフティング多孔性構造体としては多孔性構造を有する無機物に金属がグラフティングされた構造物を使用することができ、例えば、触媒、触媒の担体、または吸着剤などに通常使用されると知られている金属グラフティング多孔性構造体を使用することができる。具体的に、前記金属グラフティング多孔性構造体としてシリケートを含む分子体に金属がグラフティングされた形態の構造体を使用することが好ましく、このようなシリケートを含む分子体を使用する場合、低い線膨脹係数および優れた高温安定性を確保することができる。
【0024】
前記シリケートを含む分子体は、ゼオライト、微細気孔が均一に形成されたシリカ分子体またはこれらの混合物を含むことができる。
【0025】
前記ゼオライトの具体的な例としては、モルデナイト、フェリエライト、ZSM-5、β-ゼオライト、Ga-シリケート、Ti-シリケート、Fe-シリケートまたはMn-シリケートが挙げられるが、前記ゼオライトに関する内容が上述の例に限定されるのではない。
【0026】
また、前記微細気孔が均一に形成されたシリカ分子体は、数ナノメートルから数十ナノメートル以下の直径(例えば、1nm~30nmの直径)を有する気孔が均一に形成されたシリカ分子体を意味し、その具体的な例として、MCM-22、MCM-41、MCM-48またはこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
一方、前記MCM(Mobile Crystalline Material)系の分子体は米国のモービル(Mobil)社で開発されたものであって、特にMCM-41はシリカ板の上に一定の大きさを有する一直線状の気孔が六角形配列、即ち、ハニカム形態に均一にチャンネルを形成している構造を有する。MCM-41は最近までの研究結果によれば液晶鋳型経路を通じて製造されると知られている。即ち、界面活性剤が水溶液内で液晶構造を形成し、この周囲を珪酸塩イオンが囲みながら、水熱反応(hydrothermal reaction)を通じて界面活性剤とMCM-41物質の接合体が形成され、界面活性剤を500℃~600℃の温度で焼成処理して除去すれば、MCM-41を得ることができる。
【0028】
このようなシリケートを含む分子体に金属がグラフトされた形態の金属グラフティング多孔性構造体を熱硬化性樹脂フィルムに適用すれば、前記フィルムが色を有することができるようにしながら、耐熱安定性、高温安定性または耐熱信頼性を向上させることができる。
【0029】
一方、前記グラフティング(grafting)される金属としては、水和された時に金属イオンとして存在可能な金属を使用することができ、好ましくは、ニッケル、銅、鉄およびアルミニウムからなる群より選択される1種以上を使用することができる。そして、金属イオンによって発現される組成物の色を考慮して、前記金属グラフティング多孔性構造体としてはNi/MCM-41、Fe/MCM-41、およびCu/MCM-41からなる群より選択される1種以上を使用することが好ましい。
【0030】
前記‘Ni/MCM-41’、‘Fe/MCM-41’、および‘Cu/MCM-41’はそれぞれ、ニッケル、鉄、および銅の金属がMCM-41、MCM-41、およびMCM-41のシリケートを含む分子体にグラフティングされたものを意味する。
【0031】
そして、前記金属グラフティング多孔性構造体は、数ナノメートルから数十ナノメートル以下の直径を有する気孔が形成された構造体であって、1μm未満の粒径を有することができる。
図2は、実施例に使用されたNi/MCM-41の走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)写真である。
【0032】
前記熱硬化性樹脂フィルムの使用段階または保管段階の分散度を考慮して、前記金属グラフティング多孔性構造体は10nm~2000nmの粒径、または100nm~600nmの粒径を有することができる。
【0033】
一方、ゼオライトなどの分子体に金属をグラフティングする方法としては、ゼオライトなどを担体にした金属触媒の製造方法として使用されるものと通常知られている方法を格別な制限なく使用することができる。
【0034】
そして、ゼオライト以外に、MCM-22、MCM-41またはMCM-48のようなMCMシリーズの分子体を準備する方法は、市販する物質を購入してもよく、下記のような方法でも製造可能である。
【0035】
具体的に、前記MCMシリーズの分子体は、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム水溶液に金属塩化物を添加する段階;前記混合物にアンモニア水を添加して攪拌する段階;前記攪拌後に、テトラエチルオルトシリケートを滴加した後に攪拌する段階;および焼成する段階を経て製造できる。このような製造方法の概略的な内容を
図1に示した。
図1に示されているように、界面活性剤に該当するハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム水溶液に金属塩化物を添加して、核形成(nucleation)反応を行うことができる。
【0036】
前記製造方法には通常知られているハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム化合物を別段の制限なく使用することができ、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルトリメチルアンモニウムブロミドなどを使用することができる。
【0037】
また、前記金属塩化物は、シリケートを含む分子体にグラフトされる金属の種類を考慮して選択することができる。前記金属塩化物の具体的な例としては、二塩化ニッケル、塩化第一鉄、塩化第ニ鉄、塩化第一銅、塩化第二銅またはこれらの混合物が挙げられる。
【0038】
そして、前記ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムおよび金属塩化物が添加された混合溶液にアンモニア水を添加して攪拌した後、追加的にテトラエチルオルトシリケートを滴加して攪拌すれば、
図1に示されているように液晶結晶形成反応と無機架橋反応を通じて、液晶鋳型経路が形成された分子体前駆体を形成することができる。そして、最終的に焼成を通じて、分子体前駆体の有機物を除去し、多孔性構造体を得ることができる。
【0039】
一方、前記で添加される金属塩化物の含量は、金属塩化物を含むハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム溶液全体に対して1モル%~30モル%になるように添加することが反応収率を向上させるために好ましい。
【0040】
そして、前記焼成段階は、分子体前駆体に含まれる有機物質を焼却して除去するために、300℃~800℃の温度で行うことが好ましい。
【0041】
前記熱硬化性樹脂フィルムは、前記熱硬化性樹脂フィルム全体重量を基準に金属グラフティング多孔性構造体を30重量%~90重量%、または40重量%~80重量%を含むことができる。前記金属グラフティング多孔性構造体が30重量%未満、または40重量%未満で添加される場合、熱硬化性樹脂層内部で気孔を十分に除去しにくくて耐熱信頼性向上効果が微小であるだけでなく、最終製造される熱硬化性樹脂フィルムの機械的物性が減少することがある。前記金属グラフティング多孔性構造体が80重量%超過、または90重量%超過の過量で含まれる場合、前記組成物から得られる最終製品の機械的物性が低下するだけでなく、前記組成物からフィルムを製造する過程で加工性が減少することがある。
【0042】
一方、前記熱硬化性バインダー樹脂は、エポキシ基、オキセタニル基、環状エーテル基および環状チオエーテル基からなる群より選択される1種以上の官能基を含む熱硬化性樹脂であってもよい。このような熱硬化性バインダー樹脂は、熱硬化性樹脂フィルムに追加的に適用されるエポキシ硬化剤などを通じて熱硬化される。
【0043】
一方、前記熱硬化性バインダー樹脂は、軟化点が70℃~100℃であるものを使用してこそラミネーション時凹凸を最少化することができ、軟化点が低い熱硬化性バインダー樹脂を使用する場合、フィルムのねばつき(Tackiness)が増加し、軟化点が高い熱硬化性バインダー樹脂を使用する場合、熱硬化性樹脂フィルムの流れが悪くなることがある。
【0044】
前記熱硬化性バインダー樹脂の好ましい例として、2つ以上の環状エーテル基および/または環状チオエーテル基(以下、“環状(チオ)エーテル基”という)を有する熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも2官能性エポキシ樹脂が好ましく、その外にはジイソシアネートやその2官能性ブロックイソシアネートも使用できる。
【0045】
前記2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性バインダー樹脂は、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基、または環状チオエーテル基のうちのいずれか一方または2種の官能基を2つ以上有する化合物であってもよい。
【0046】
具体的に、前記熱硬化性バインダー樹脂は、少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂、少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する多官能オキセタン樹脂、少なくとも2つ以上のチオエーテル基を有するエピスルフィド樹脂であってもよい。
【0047】
前記多官能エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N-グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロシクリックエポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、シリコン変性エポキシ樹脂、ε-カプロラクトン変性エポキシ樹脂などが挙げられる。また、難燃性付与のために、前述の多官能エポキシ樹脂の内部にリン(P)などの原子を追加的に導入して使用することもできる。このような多官能エポキシ樹脂は、熱硬化時、硬化被膜の密着性、ハンダ耐熱性、無電解メッキ耐性などの特性を向上させることができる。そして、市販されているものであって、國都化学社のYD-127などを使用することができる。
【0048】
そして、前記多官能オキセタン樹脂の具体例としては、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレートやこれらのオリゴマーまたは共重合体などの多官能オキセタン化合物以外に、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール化合物、カリックスアレーン化合物、カリックスレゾルシンアレーン化合物、またはシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他の、オキセタン環を有する不飽和単量体とアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0049】
一方、前記2つ以上のチオエーテル基を有するエピスルフィド樹脂の例として市販製品のジャパンエポキシレジン社のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂YL7000などを使用することができるが、使用可能な樹脂の例がこれに限定されるのではない。
【0050】
また、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子で代替したエピスルフィド樹脂なども使用することができる。そして、市販されているものであって、國都化学社のYDCN-500-80Pなどを使用することができる。
【0051】
一方、前記熱硬化性樹脂フィルムは、前記熱硬化性バインダー樹脂1重量%~65重量%、または5重量%~50重量%を含むことができる。前記熱硬化性バインダー樹脂の含量が過度に少ない場合、硬化被膜にカルボキシル基が残って耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが低下するため好ましくなく、前記熱硬化性バインダー樹脂の含量が過度に高い場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基などが乾燥塗膜に残存することによって、塗膜の強度などが低下するため好ましくない。
【0052】
また、前記熱硬化触媒は、熱硬化時、前記熱硬化性バインダー樹脂の硬化を促進させる役割を果たす。
【0053】
前述のように、本発明の一実施形態による熱硬化性樹脂フィルムは、2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性バインダー樹脂を含むことができるため、これにより熱硬化触媒を含有することができる。添加可能な熱硬化触媒としては、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミンなどのアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィンなどの化合物などが挙げられる。
【0054】
また、市販されているものとしては、例えば、四国化成工業社製造の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製造のU-CAT3503N、UCAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。
【0055】
但し、使用可能な熱硬化触媒が前述の例に限定されるのではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、またはエポキシ基および/またはオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進する熱硬化触媒として知られた化合物は別段の制限なく使用することができる。
【0056】
また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジンイソシアヌル酸付加物などのS-トリアジン誘導体を用いることもできる。
【0057】
前記熱硬化触媒は熱硬化性バインダー樹脂の硬化程度を考慮して適切な量で使用でき、例えば、前記熱硬化性樹脂フィルムは前記熱硬化触媒0.1重量%~20重量%を含むことができる。
【0058】
前記熱硬化性樹脂フィルムは、平均直径が1.2μm以上、または1.5μm~5.0μm、または1.8μm~3.8μmの気孔をさらに含むことができる。前記気孔は熱硬化性樹脂組成物から熱硬化性フィルムを形成するか熱硬化性フィルムを回路基板上に接合させる工程などで発生することがあり、最終的に前記熱硬化性樹脂フィルムの熱硬化を通じて得られる絶縁層内で前記気孔が存在する場合、絶縁層が優れた信頼性を有しにくい限界がある。
【0059】
追加的に、前記熱硬化性樹脂フィルムは必要によって、顔料、エポキシ硬化剤、レベリング剤、または分散剤をさらに含むことができる。
【0060】
前記顔料は視認性、隠ぺい力を発揮し、顔料としては赤色、青色、緑色、黄色、黒色顔料などを使用することができる。青色顔料としては、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー60などを使用することができる。緑色顔料としては、ピグメントグリーン7、ピグメントグリーン36、ソルベントグリーン3、ソルベントグリーン5、ソルベントグリーン20、ソルベントグリーン28などを使用することができる。黄色顔料としては、アントラキノン系、イソインドリノン系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系などがあり、例えば、ピグメントイエロー108、ピグメントイエロー147、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー166、ピグメントイエロー181、ピグメントイエロー193などを使用することができる。赤色顔料としては、ピグメントレッド254などを使用することができる。前記顔料の含量は、熱硬化性樹脂フィルム全体重量に対して0.1重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%で使用するのが好ましい。
【0061】
前記エポキシ硬化剤としては、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物などを使用することができる。アミン系化合物としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミンなどを使用することができる。酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナド酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などを使用することができる。アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の二量体とエチレンジアミンから合成されるポリアミド樹脂などを使用することができる。フェノール系化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノールなどの多価フェノール類;フェノール類とアルデヒド類、ケトン類またはジエン類などの縮合によって得られるフェノール樹脂;フェノール類および/またはフェノール樹脂の変性物;テトラブロモビスフェノールA、臭素化フェノール樹脂などのハロゲン化フェノール類;その他のイミダゾール類、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体などを使用することができる。
【0062】
前記エポキシ硬化剤は製造される絶縁フィルムの機械的物性を考慮して適切な量で使用でき、例えば、前記熱硬化性樹脂フィルムは前記エポキシ硬化剤0.01重量%~10重量%、または0.1重量%~5重量%を含むことができる。
【0063】
前記レべリング剤は、フィルムコーティング時、表面のポッピング(Popping)やクレーター(Crater)を除去する役割を果たす。前記レべリング剤としてはシリコン系、フッ素系、高分子系などを使用することができ、例えば、BYK-Chemie GmbHのBYK-380N、BYK-307、BYK-378、BYK-350などを使用することができる。
【0064】
前記レべリング剤は製造される絶縁フィルムの表面特性を考慮して適切な量で使用でき、例えば、前記熱硬化性樹脂フィルムは前記レべリング剤0.1重量%~20重量%、または1重量%~10重量%を含むことができる。前記レべリング剤を過度に少量で添加する場合、ポッピングやクレーターの除去効果が微少であり、過度に多い量で添加する場合、気泡が多く発生することがある。
【0065】
前記フィラー、顔料などの分散安定性を向上させるために分散剤を追加することができる。使用可能な分散剤の例としては、BYK-Chemie GmbHのDisperbyk-110、Disperbyk-162、Disperbyk-168などが挙げられる。
【0066】
前記分散剤は、前記熱硬化性樹脂フィルムに使用されるそれぞれの成分の分散性を考慮して適切な量で使用でき、例えば、前記熱硬化性樹脂フィルムは分散剤0.1重量%~30重量%、または1重量%~20重量%を含むことができる。前記分散剤の添加量が過度に少ない場合、分散が充分になされなく、過度に多い量の分散剤を追加する場合には耐熱性および信頼性に影響を及ぼすことがある。
【0067】
一方、前述のフィラー、レべリング剤、分散剤などの添加剤以外に、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系などのシランカップリング剤;および/またはリン系難燃剤、アンチモン系難燃剤などの難燃剤などのような公知慣用の添加剤を配合することができる。そして、このようなシランカップリング剤、および/または難燃剤などを追加する場合、前記熱硬化性樹脂フィルムに対して0.01重量%~30重量%、または0.1重量%~20重量%で含まれてもよい。
【0068】
一方、前記第1段階では、前述の熱硬化性樹脂フィルムを回路基板上に形成することができる。
【0069】
前記回路基板の例として印刷回路基板(PCB:Printed Circuit Board)、半導体パッケージ基板またはフレキシブル半導体パッケージ(FPCB)基板などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、好ましくは半導体チップが実装された半導体パッケージ基板を使用することができる。
【0070】
前記回路基板として半導体チップが実装された半導体パッケージ基板を使用する場合、前記一実施形態の半導体パッケージ用絶縁層製造方法は半導体パッケージ用途に適用でき、具体的に半導体パッケージ用絶縁層を製造することができる。
【0071】
前記回路基板上に前記熱硬化性樹脂フィルムを形成する方法の例が大きく限定されるのではないが、例えば、熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂組成物を基材上に塗布し乾燥して熱硬化性樹脂フィルムを形成する段階;および前記熱硬化性樹脂フィルムを回路基板と接合させる段階を通じて得ることができる。前記熱硬化性樹脂組成物に含まれている熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体に関する内容は前記熱硬化性樹脂フィルムについて前述した内容を含むことができる。
【0072】
また、前記熱硬化性樹脂組成物は必要によって、顔料、エポキシ硬化剤、レべリング剤、分散剤または溶媒をさらに含むことができる。前記顔料、エポキシ硬化剤、レべリング剤、分散剤に関する内容は前記熱硬化性樹脂フィルムについて前述した内容を含むことができる。
【0073】
前記溶媒は、前記熱硬化性樹脂組成物を溶解させ、また組成物を塗布するのに適切な程度の粘度を付与する目的で使用できる。前記溶媒の具体的な例としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類(セロソルブ);酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、カルビトールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水素添加石油ナフサ、溶媒ナフサなどの石油系溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類などが挙げられる。これら溶媒は、単独でまたは2種以上の混合物として使用することができる。
【0074】
前記溶媒は前記熱硬化性樹脂組成物の分散性、溶解度または粘度などを考慮して適切な量で使用でき、例えば、前記熱硬化性樹脂組成物は前記溶媒0.1重量%~50重量%、または1重量%~30重量%を含むことができる。前記溶媒の含量が過度に少ない場合には熱硬化性樹脂組成物の粘度を高めてコーティング性を低下させることがあり、溶媒の含量が過度に高い場合には乾燥がよく行われなくて、形成されたフィルムのねばつきが増加することがある。
【0075】
より具体的に、前記回路基板上に前記熱硬化性樹脂フィルムを形成する方法の例としては、PETなどのキャリアフィルム(Carrier Film)上に前述の熱硬化性樹脂組成物を塗布し、オーブンなどの乾燥装置を通じて乾燥して、下からキャリアフィルム(Carrier Film)、熱硬化性樹脂フィルムから構成される多層フィルムを製造することができる。
【0076】
前記塗布段階では、熱硬化性樹脂組成物を塗布するのに使用できると知られた通常の方法および装置を使用することができ、例えば、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、噴霧コーターなどを使用することができる。
【0077】
前記熱硬化性樹脂フィルムの厚さは、5μm~500μm、または10μm~200μmであってもよい。
【0078】
前記キャリアフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルムなどのプラスチックフィルムなどを使用することができる。
【0079】
前記オーブンでの乾燥温度は、50℃~130℃、または70℃~100℃であってもよい。
【0080】
前記熱硬化性樹脂フィルムを回路基板と接合させる段階では、キャリアフィルムをはがし回路が形成された基板の上に熱硬化性樹脂フィルムを真空積層(Vacuum Lamination)する方法が使用できる。このような真空積層のために真空ラミネータ、ホットロールラミネータ、真空プレスなどを用いて接合することができる。
【0081】
一方、前記回路基板上に前記熱硬化性樹脂フィルムを形成する段階、具体的には前記熱硬化性樹脂フィルムを回路基板と接合させる段階で熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1T、または0.3T~0.8T、または0.5T~0.6Tの磁場を注入することができる。これにより、硬化が完了していない熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング(grafting)多孔性構造体が磁性特性によって磁場内で振動しながら、熱硬化性樹脂フィルム内残存する気孔を除去するか新たな気孔の発生を抑制して、最終的に得られる絶縁層の信頼性を向上させることができる。
【0082】
前記熱硬化性樹脂フィルムに磁場を注入する方法の例が大きく限定されるのではなく、前記熱硬化性樹脂フィルムの一面上にN極電磁石、前記熱硬化性樹脂フィルムの一面と対向する反対面上にS極電磁石を配置して、電磁石に印加される電流によって磁場の強さを調節しながら注入することができる。
【0083】
前記回路基板上に前記熱硬化性樹脂フィルムを形成する第1段階で、前記熱硬化性樹脂フィルムに0.1T未満の磁場を印加する場合、前記熱硬化性樹脂フィルム内で金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の振動が十分に発生しなくて、フィルム内部気孔除去効率が減少することがある。
【0084】
また、前記回路基板上に前記熱硬化性樹脂フィルムを形成する第1段階で、前記熱硬化性樹脂フィルムに1T超過の過度な磁場を印加する場合、下記
図3に示されているように、前記熱硬化性樹脂フィルム内で金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の磁性がすでに飽和状態に達して、振動数が大きく向上しなくて過度な電力使用による工程効率性が減少する問題があり、過度な磁場注入によって回路基板に実装された半導体チップに影響を及ぼす恐れがある。
【0085】
一方、前記熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入時、前記熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング多孔性構造体のMoment/Mass測定値(VSMによって測定)が0.6emu/g~2.0emu/g、または0.7emu/g~1.8emu/gであってもよい。前記熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング多孔性構造体のMoment/Mass測定値(VSMによって測定)が0.6emu/g未満に減少する場合、前記熱硬化性樹脂フィルム内で金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の振動が十分に発生しなくて、フィルム内部気孔除去効率が減少することがある。
【0086】
一方、前記熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入した以後、熱硬化性樹脂フィルムに含まれている気孔の平均直径が1μm以下、または0μm~1μm、または0μm~0.7μmに減少できる。前記気孔の平均直径が0μmであるというのは、気孔がない状態を意味することができる。これは前述の、磁場の注入による熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の振動による気孔除去乃至発生抑制による結果と見られる。
【0087】
(2)第2段階:熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる段階
前記熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムを回路基板上に形成する第1段階以後に、熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる段階を含むことができる。
【0088】
前記熱硬化条件の例が大きく限定されるのではないが、例えば、140℃~200℃オーブンで0.5時間~2時間程度加熱硬化させることができる。
【0089】
前記熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる段階では必要によって、前記熱硬化性樹脂フィルムに接着されたキャリアフィルム乃至離型フィルムを除去する段階を含むことができる。
【0090】
一方、前記熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる段階で、熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1T、または0.3T~0.8T、または0.5T~0.6Tの磁場を注入することができる。これにより、硬化が完了していない熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング(grafting)多孔性構造体が磁性特性によって磁場内で振動しながら、熱硬化性樹脂フィルム内残存する気孔を除去するか新たな気孔の発生を抑制して、最終的に得られる絶縁層の信頼性を向上させることができる。
【0091】
前記熱硬化性樹脂フィルムに磁場を注入する方法の例が大きく限定されるのではなく、前記熱硬化性樹脂フィルムの一面上にN極電磁石、前記熱硬化性樹脂フィルムの一面と対向する反対面上にS極を電磁石を配置して、電磁石に印加される電流によって磁場の強さを調節しながら注入することができる。
【0092】
前記熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる第2段階で、前記熱硬化性樹脂フィルムに0.1T未満の磁場を印加する場合、前記熱硬化性樹脂フィルム内で金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の振動が十分に発生しなくて、フィルム内部気孔除去効率が減少することがある。
【0093】
また、前記熱硬化性樹脂フィルムを熱硬化させる第2段階で、前記熱硬化性樹脂フィルムに1T超過の過度な磁場を印加する場合、下記
図3に示されているように、前記熱硬化性樹脂フィルム内で金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の磁性がすでに飽和状態に達して、振動数が大きく向上しなくて過度な電力使用による工程効率性が減少する問題があり、過度な磁場注入によって回路基板に実装された半導体チップに影響を及ぼす恐れがある。
【0094】
一方、前記熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入時、前記熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング多孔性構造体のMoment/Mass測定値(VSMによって測定)が0.6emu/g~2.0emu/g、または0.7emu/g~1.8emu/gであってもよい。前記熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング多孔性構造体のMoment/Mass測定値(VSMによって測定)が0.6emu/g未満に減少する場合、前記熱硬化性樹脂フィルム内で金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の振動が十分に発生しなくて、フィルム内部気孔除去効率が減少することがある。
【0095】
一方、前記熱硬化性樹脂フィルムに0.1T~1Tの磁場を注入した以後、熱硬化性樹脂フィルムに含まれている気孔の平均直径が1μm以下、または0μm~1μm、または0μm~0.7μmに減少できる。前記気孔の平均直径が0μmであるというのは、気孔がない状態を意味することができる。これは前述の、磁場の注入による熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の振動による気孔除去乃至発生抑制による結果と見られる。
【0096】
2.半導体パッケージ用絶縁層
一方、発明の他の実施形態によれば、熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムの硬化物を含み、前記熱硬化性樹脂フィルムの硬化物に含まれている気孔の平均直径が1μm以下である、半導体パッケージ用絶縁層を提供することができる。
【0097】
前記熱硬化性バインダー樹脂、熱硬化触媒および30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む熱硬化性樹脂フィルムに関する内容は前記一実施形態で前述した内容を全て含む。
【0098】
前記熱硬化性樹脂フィルムの硬化物は前記熱硬化性樹脂フィルムの熱硬化工程を通じて得られる完全硬化フィルムを意味し、前記熱硬化条件の例が大きく限定されるのではないが、例えば、140℃~200℃オーブンで0.5時間~2時間程度加熱硬化させることができる。
【0099】
即ち、前記他の実施形態の半導体パッケージ用絶縁層は、前記一実施形態の半導体パッケージ用絶縁層製造方法によって得ることができる。
【0100】
一方、前記熱硬化性樹脂フィルムの硬化物に含まれている気孔の平均直径が1μm以下、または0μm~1μm、または0μm~0.7μmであってもよい。前記気孔の平均直径が0μmであるというのは、気孔がない状態を意味することができる。これは、前記一実施形態の半導体パッケージ用絶縁層製造方法で磁場を注入することによる熱硬化性樹脂フィルムに含まれている金属グラフティング(grafting)多孔性構造体の振動による気孔除去乃至発生抑制による結果と見られる。
【0101】
前記他の実施形態の半導体パッケージ用絶縁層は回路基板上に積層された状態で存在可能であり、前記回路基板は印刷回路基板(PCB:Printed Circuit Board)、半導体パッケージ基板またはフレキシブル半導体パッケージ(FPCB)基板などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、好ましくは半導体チップが実装された半導体パッケージ基板が挙げられる。
【0102】
即ち、前記他の実施形態の半導体パッケージ用絶縁層は、これを含む多層印刷回路基板、半導体パッケージ、フレキシブル半導体パッケージ用途として適用できる。特に、前記他の実施形態の半導体パッケージ用絶縁層を含む半導体パッケージにおいて、前記半導体パッケージは、半導体パッケージ基板上に積層された半導体パッケージ用絶縁層を含むことができる。前記半導体パッケージ基板は、好ましくは、半導体チップが実装された半導体パッケージ基板であってもよい。
【発明の効果】
【0103】
本発明によれば、半導体パッケージ用絶縁層製造時、絶縁層内部に発生する気孔を磁気的特性を用いて除去して信頼性を高めることができ、優れた耐熱性を有することができる半導体パッケージ用絶縁層製造方法およびこのような半導体パッケージ用絶縁層製造方法を用いて得られる半導体パッケージ用絶縁層を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】本発明の一実施形態によるシリケートを含む分子体の製造段階を簡単に図示化したものである。
【
図2】本発明の一実施例によって準備されたNi/MCM-41の走査電子顕微鏡イメージである。
【
図3】本発明の実施例1、実施例2、参考例の絶縁フィルムに対するVSM分析結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0105】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより詳述する。但し、このような実施例は発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が決められるのではない。
【実施例】
【0106】
[実施例]熱硬化性絶縁フィルムおよび半導体パッケージの製造
[実施例1]
(1)半導体パッケージ用絶縁フィルムの製造
熱硬化性バインダーとしてYD-127(國都化学社)を35重量%、フィラーとして金属グラフティング多孔性構造体Ni/MCM-41を40重量%、熱硬化触媒として2-フェニルイミダゾールを5重量%、コーティング添加剤としてレべリング剤を3重量%、溶剤としてPGMEAを17重量%を使用して各成分を配合して攪拌した後、3ロールミル装備で分散させて熱硬化性樹脂組成物を製造した。
【0107】
製造された熱硬化性樹脂組成物をコンマコーターを用いてキャリアフィルムとして使用されるPETに塗布した後、110℃のオーブンを4~5分間通過させて乾燥させ、キャリアフィルムが積層された絶縁フィルム(厚さ100μm)を製造した。
【0108】
(2)半導体パッケージの製造
前記製造された絶縁フィルムを、半導体チップが実装された半導体パッケージ基板上に真空ラミネータ(名機製作所社製MV LP-500)で真空積層しながらキャリアフィルムを除去し、磁場注入装備を用いて前記絶縁フィルムに0.5Tの磁場を注入して前記Ni/MCM-41を振動させた。その後、180℃で1時間加熱硬化させることによって、絶縁層を含む半導体パッケージを製造した。
【0109】
一方、前記半導体チップが実装された半導体パッケージ基板は、厚さが0.1mm、銅箔厚さが12μmであるLG化学の銅箔積層板LG-T-500GAを横5cm、縦5cmの基板に切断して、半導体チップを表面に実装させたものを使用した。
【0110】
[実施例2]
(1)半導体パッケージ用絶縁フィルムの製造
金属グラフティング多孔性構造体としてNi/MCM-41の代わりにFe/MCM-41を使用した点を除いては実施例1と同様の方法で熱硬化性樹脂組成物および絶縁フィルムを製造した。
【0111】
(2)半導体パッケージの製造
前記製造された絶縁フィルムを使用した点を除いては実施例1と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0112】
[実施例3]
(1)半導体パッケージ用絶縁フィルムの製造
熱硬化性バインダーとしてYD-127(國都化学社)を5重量%、フィラーとして金属グラフティング多孔性構造体Ni/MCM-41を80重量%、熱硬化触媒として2-フェニルイミダゾールを5重量%、コーティング添加剤としてレべリング剤を3重量%、溶剤としてPGMEAを7重量%を使用した点を除いては実施例1と同様の方法で熱硬化性樹脂組成物および絶縁フィルムを製造した。
【0113】
(2)半導体パッケージの製造
前記製造された絶縁フィルムを使用した点を除いては実施例1と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0114】
[実施例4]
(1)半導体パッケージ用絶縁フィルムの製造
実施例1と同様の方法で熱硬化性樹脂組成物および絶縁フィルムを製造した。
(2)半導体パッケージの製造
絶縁フィルムに0.6Tの磁場を注入させた点を除いては実施例1と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0115】
[実施例5]
(1)半導体パッケージ用絶縁フィルムの製造
実施例1と同様の方法で熱硬化性樹脂組成物および絶縁フィルムを製造した。
(2)半導体パッケージの製造
前記製造された絶縁フィルムを、半導体チップが実装された半導体パッケージ基板上に真空ラミネータ(名機製作所社製MV LP-500)で真空積層した。その後、180℃で1時間加熱硬化させながら、磁場注入装備を用いて前記絶縁フィルムに0.5Tの磁場を注入して、前記Ni/MCM-41を振動させて、絶縁層を含む半導体パッケージを製造した。
【0116】
[実施例6]
(1)半導体パッケージ用絶縁フィルムの製造
金属グラフティング多孔性構造体としてNi/MCM-41の代わりにFe/MCM-41を使用した点を除いては実施例5と同様の方法で熱硬化性樹脂組成物および絶縁フィルムを製造した。
(2)半導体パッケージの製造
前記製造された絶縁フィルムを使用した点を除いては実施例5と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0117】
[実施例7]
(1)半導体パッケージ用絶縁フィルムの製造
熱硬化性バインダーとしてYD-127(國都化学社)を5重量%、フィラーとして金属グラフティング多孔性構造体Ni/MCM-41を80重量%、熱硬化触媒として2-フェニルイミダゾールを5重量%、コーティング添加剤としてレべリング剤を3重量%、溶剤としてPGMEAを7重量%を使用した点を除いては実施例5と同様の方法で熱硬化性樹脂組成物および絶縁フィルムを製造した。
(2)半導体パッケージの製造
前記製造された絶縁フィルムを使用した点を除いては実施例5と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0118】
[実施例8]
(1)半導体パッケージ用絶縁フィルムの製造
実施例5と同様の方法で熱硬化性樹脂組成物および絶縁フィルムを製造した。
(2)半導体パッケージの製造
絶縁フィルムに0.6Tの磁場を注入させた点を除いては実施例5と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0119】
[比較例]半導体パッケージ用絶縁フィルムおよび半導体パッケージの製造
[比較例1]
前記実施例1で絶縁フィルムに0.04Tの磁場を注入した点を除いては実施例1と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0120】
[比較例2]
熱硬化性バインダーとしてYD-127(國都化学社)を56.5重量%、フィラーとして金属グラフティング多孔性構造体Ni/MCM-41を18.5重量%、熱硬化触媒として2-フェニルイミダゾールを5重量%、コーティング添加剤としてレべリング剤を3重量%、溶剤としてPGMEAを17重量%を使用した点を除いては実施例1と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0121】
[比較例3]
前記実施例5で絶縁フィルムに0.04Tの磁場を注入した点を除いては実施例5と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0122】
[比較例4]
熱硬化性バインダーとしてYD-127(國都化学社)を56.5重量%、フィラーとして金属グラフティング多孔性構造体Ni/MCM-41を18.5重量%、熱硬化触媒として2-フェニルイミダゾールを5重量%、コーティング添加剤としてレべリング剤を3重量%、溶剤としてPGMEAを17重量%を使用した点を除いては実施例5と同様の方法で絶縁層を含む半導体パッケージを完成した。
【0123】
[試験例]
実施例1~8、比較例1~4で製造した半導体パッケージ用絶縁フィルムまたは半導体パッケージに含まれている絶縁層に対して、磁気特性、内部気孔特性および信頼性を評価して、その結果を表1に示した。
【0124】
1.磁気特性測定方法
実施例1および実施例2で得られた絶縁フィルムにそれぞれ含まれているNi/MCM-41およびFe/MCM-41に対して、VSM(Vibration sample magnetometer)を用いてX軸として磁場強さ(gauss)、Y軸としてMoment/Mass(emu/g)を満足する曲線を導出して、これを下記
図3に示した。また、参考例としてシリカに対するVSM曲線を共に下記
図3に示した。
具体的には、下記
図3で、実施例1で得られた絶縁フィルムに含まれているNi/MCM-41のVSM曲線が1番のグラフであり、実施例2で得られた絶縁フィルムに含まれているFe/MCM-41のVSM曲線が2番のグラフであり、参考例で得られた絶縁フィルムに含まれているシリカのVSM曲線が3番のグラフである。
【0125】
2.内部気孔特性測定方法
(1)気孔の存在の有無
前記実施例1~8、比較例1~4で得られた絶縁フィルムおよび半導体パッケージに含まれている絶縁層に対して、SONIX社のQuantum 350 Scanning Acoustic Microscopy装備を用いて、SAT(Scanning Acoustic Tomography、超音波探傷検査システム)方法で非破壊検査を行った後、下記基準によって気孔の存在の有無を評価した。
OK:気孔なし
NG:気孔あり
【0126】
(2)気孔直径
実施例1~8、比較例1~4で得られた絶縁フィルムおよび半導体パッケージに含まれている絶縁層に対して、FE-SEM(Hitachi、S-4800)を通じて内部気孔の平均直径を測定し、その結果を下記表1に記載した。前記気孔の平均直径は、複数の気孔ごとにそれぞれの最大直径を求めた後、これらの平均値で求めた。
【0127】
3.耐熱信頼性評価
実施例1~8、比較例1~4で得られた半導体パッケージ試片を146℃、100RH%のPressure Cooker Test Chamber内で24時間放置した後に取り出して表面の水気を除去した。これを288℃のはんだ槽の上にfilmがある面を上にして浮かした。テスト試片が外形的にフィルムの剥離や変形があるか検査して、耐熱信頼性を評価した。
OK:288、solder floatingで破裂しない
NG:288、solder floatingで破裂する
前記実験例2~3の測定結果を下記表1に示した。
【0128】
【0129】
上記表1に示されているように、実施例1~8の絶縁層製造方法では、30重量%~90重量%の金属グラフティング多孔性構造体を含む組成物からフィルム製造時、0.5T~0.6Tの磁場を注入することによって、磁場注入以後気孔が全て除去されるか、残っている気孔の平均直径が0.65μm水準に非常に低くなって、気孔による信頼性低下を最少化することができるのを確認した。
【0130】
反面、比較例1および比較例3のように、磁場注入強さを0.04Tに低くした場合、磁場注入以後残っている気孔の平均直径が2.5μmで実施例に比べて非常に高く示され、相対的に気孔の体積比率が増加することによって、絶縁層の信頼性評価結果が非常に不良であった。
【0131】
また、比較例2および比較例4のように、グラフティング多孔性構造体の含量を18.5重量%に低くした場合、磁場注入以後残っている気孔の平均直径が1.5μmで実施例に比べて高く示され、相対的に気孔の体積比率が増加することによって、絶縁層の信頼性評価結果が非常に不良であったのを確認した。