(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20220117BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20220117BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220117BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/058
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2019540636
(86)(22)【出願日】2018-04-17
(86)【国際出願番号】 KR2018004447
(87)【国際公開番号】W WO2018212466
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2019-07-31
(31)【優先権主張番号】10-2017-0061893
(32)【優先日】2017-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、テ キュ
(72)【発明者】
【氏名】ク、チャ フン
(72)【発明者】
【氏名】ピョ、ジュン クワン
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05778515(US,A)
【文献】特許第3474853(JP,B2)
【文献】特開平05-006775(JP,A)
【文献】特開平06-256947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39
H01G 13/00
H01G 11/84-86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極及び分離膜の間の界面接着力を増大させるために、メルティング(Melting)誘導溶媒を介して前記分離膜の外面部のメルティングを誘導するメルティング誘導過程と、
前記電極及び前記分離膜を交互に結集させて積層するラミネーション(lamination)過程を含み、
前記メルティング誘導過程は、前記メルティング誘導溶媒を蒸気化し蒸気加湿状態の空間を形成させる蒸気化過程を含み、
前記蒸気加湿状態の空間に前記電極及び前記分離膜を位置させ、前記分離膜の外面部の均一なメルティングを誘導し、
前記メルティング誘導過程は、前記電極及び前記分離膜をチェンバーの収容部を通過させつつ前記分離膜の外面部をメルティングし、
前記電極及び分離膜の進行方向に対して前記チェンバーの両側部に真空フードが備えられ、前記チェンバーの外部へ流出される前記メルティング誘導溶媒を前記真空フードで吸い込む電極組立体の製造方法。
【請求項2】
前記分離膜は、基材及び前記基材の外面部に有機物を含むメルティング層が形成され、
前記メルティング誘導過程は、前記メルティング誘導溶媒を介して前記メルティング層の有機物をメルティングし前記メルティング層をソフト(Soft)化させる請求項1に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項3】
前記メルティング層は、無機物及び前記有機物を含み、
前記有機物は、バインダー及び分散剤を含む請求項2に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項4】
前記基材は、高分子重合体でなる樹脂フィルムでなる請求項3に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項5】
前記メルティング誘導過程は、
前記蒸気加湿状態の空間をチェンバー内部に形成された収容部に形成させ、
前記電極及び前記分離膜を前記チェンバーの収容部に位置させて前記分離膜のメルティングを誘導する請求項1に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項6】
前記蒸気化過程は、
前記チェンバーの収容部に前記メルティング誘導溶媒を収容させ、ヒーターを介して前記メルティング誘導溶媒を加熱し、前記メルティング誘導溶媒を蒸気化させる請求項5に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項7】
前記メルティング誘導過程は、前記メルティング誘導溶媒としてDMC(Di-Methyl Carbonate、ジメチルカーボネート)溶媒を用い、前記分離膜のメルティング層に含まれた有機物のメルティングを誘導する請求項1から6のうち何れか一項に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項8】
前記蒸気化過程は、
前記DMC溶媒を80~90℃に加熱し蒸気化させる請求項7に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項9】
前記ラミネーション(lamination)過程は、
前記チェンバーの収容部内で行う請求項5に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項10】
前記ラミネーション過程は、
一対のロールの間に前記電極及び前記分離膜を通過させつつ加圧し、前記電極及び前記分離膜を結集させて積層する請求項
9に記載の電極組立体の製造方法。
【請求項11】
電極及び分離膜が交互に備えられる電極組立体と、前記分離膜の外面部のメルティングを誘導し前記電極及び前記分離膜の間の界面接着力を増大させるメルティング誘導溶媒とを内部に収容する収容部が形成されたチェンバーと、
前記チェンバーの収容部に位置される前記分離膜の外面部の均一なメルティングを誘導するように、前記チェンバーに収容された前記メルティング誘導溶媒を蒸気化させるヒーターとを含み、
前記電極及び前記分離膜が前記チェンバーの収容部を通過時、前記チェンバーの外部へ前記メルティング誘導溶媒が流出されないように、
前記電極及び前記分離膜の進行方向に対して前記チェンバーの両側部に備えられ、前記メルティング誘導溶媒を吸い込む真空フードをさらに含む電極組立体の製造装置。
【請求項12】
外面部のメルティングが誘導された前記分離膜及び前記電極を加圧し交互に結集させて積層するラミネーション部を含む請求項
11に記載の電極組立体の製造装置。
【請求項13】
前記ラミネーション部は一対のロールを含み、
前記一対のロールの間に前記電極及び前記分離膜を通過させつつ加圧して積層させる請求項
12に記載の電極組立体の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年5月18日付韓国特許出願第10-2017-0061893号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、一次電池とは異なり再充電が可能で、また、小型及び大容量化可能性によって近来に多く研究開発されている。モバイル機器に対する技術開発と需要の増加によってエネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加している。
【0004】
二次電池は、電池ケースの形状によって、コイン型電池、円筒型電池、角形電池、及びパウチ型電池に分類される。二次電池で電池ケースの内部に装着される電極組立体は、電極及び分離膜の積層構造でなる充放電が可能な発電素子である。
【0005】
電極組立体は、活物質が塗布されたシート型の正極と負極の間に分離膜を介在し巻取ったゼリーロール(Jelly-roll)型、多数の正極と負極を分離膜が介在された状態で順次に積層したステック型、及びステック型の単位セルを長い長さの分離フィルムで巻取ったステック/フォールディング型に大体分類できる。
【0006】
従来には、電極と分離膜の相互接着力を高めるために、高温状態でラミネーション(Lamination)を進行した。しかし、高温によって分離膜が収縮する等の損傷が発生し、セル抵抗が高くなる問題が発生してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一つの観点は、分離膜の損傷を防止しつつ電極と分離膜の間の接着力を高めることができる電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を提供するためのことである。
【0008】
本発明の他の観点は、電極と分離膜の間の界面接着力を均一に高めることができる電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を提供するためのことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態による電極組立体の製造方法は、電極及び分離膜の間の界面接着力を増大させるために、メルティング(Melting)誘導溶媒を介して前記分離膜の外面部のメルティングを誘導するメルティング誘導過程、及び、前記電極及び前記分離膜を交互に結集させて積層するラミネーション(lamination)過程を含み、前記メルティング誘導過程は、前記メルティング誘導溶媒を蒸気化し蒸気加湿状態の空間を形成させる蒸気化過程を含み、前記蒸気加湿状態の空間に前記電極及び前記分離膜を位置させ、前記分離膜の外面部の均一なメルティングを誘導できる。
【0010】
また、本発明の実施形態による電極組立体の製造装置は、電極及び分離膜が交互に備えられる電極組立体と、前記分離膜の外面部のメルティングを誘導し前記電極及び前記分離膜の間の界面接着力を増大させるメルティング誘導溶媒とを内部に収容する収容部が形成されたチェンバーと、前記チェンバーの収容部に位置される前記分離膜の外面部の均一なメルティングを誘導するように、前記チェンバーに収容された前記メルティング誘導溶媒を蒸気化させるヒーターとを含んでよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、メルティング(Melting)誘導溶媒を用いて、電極及び分離膜の間の界面接着力を増大させることができる。より詳しく、メルティング(Melting)誘導溶媒としてDMC(Di-Methyl Carbonate)を用いて分離膜の外面部のメルティングを誘導することで、低温でも電極及び分離膜のラミネーションが可能になり得る。すなわち、高熱のラミネーションによって分離膜が損傷されることを防止しつつ電極と分離膜の接着力を高めることができる。
【0012】
また、本発明によれば、メルティング誘導溶媒で蒸気加湿状態となった空間に電極及び分離膜を通過させ、分離膜の外面部が均一にメルティングされ得る。これによって、電極及び分離膜の間の界面接着力が均一に増大され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を示した例示断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体を含む二次電池を示した分離斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体、及び、従来の電極組立体の接着力を比較したグラフである。
【
図4】本発明の他の実施形態による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を示した例示断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態による電極組立体の製造方法は、電極及び分離膜の間の界面接着力を増大させるために、メルティング(Melting)誘導溶媒を介して前記分離膜の外面部のメルティングを誘導するメルティング誘導過程、及び、前記電極及び前記分離膜を交互に結集させて積層するラミネーション(lamination)過程を含み、前記メルティング誘導過程は、前記メルティング誘導溶媒を蒸気化し蒸気加湿状態の空間を形成させる蒸気化過程を含み、前記蒸気加湿状態の空間に前記電極及び前記分離膜を位置させ、前記分離膜の外面部の均一なメルティングを誘導できる。
【0015】
また、本発明の実施形態による電極組立体の製造装置は、電極と分離膜が交互に備えられる電極組立体及び前記分離膜の外面部のメルティングを誘導し前記電極及び前記分離膜の間の界面接着力を増大させるメルティング誘導溶媒を内部に収容する収容部が形成されたチェンバー、及び、前記チェンバーの収容部に位置される前記分離膜の外面部の均一なメルティングを誘導するように、前記チェンバーに収容された前記メルティング誘導溶媒を蒸気化させるヒーターを含んでよい。
【0016】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付の図面と関連付けられる以下の詳細な説明と好ましい実施形態からさらに明白になる。本明細書で各図面の構成要素に参照番号を付加することにおいて、同一の構成要素に限っては、たとえ他の図面上に表示されるとしても、出来る限り同一の番号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明は、色々と異なる形態で具現されてよく、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、本発明を説明するにおいて、本発明の要旨を不要に不明確にする関連された公知技術に対する詳細な説明は省略する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を示した例示断面図であり、
図2は、本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体を含む二次電池を示した分離斜視図である。
【0018】
図1を参考すれば、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法は、分離膜14の外面部のメルティング(Melting)を誘導するメルティング誘導過程、及び、電極13及び分離膜14を交互に結集させて積層するラミネーション(lamination)過程を含め電極組立体10を製造する。ここで、
図2を参考すれば、電極組立体10は、電極13及び分離膜14が交互に積層された充放電が可能な発電素子であって、電池ケース30に収容され二次電池1を構成する。
【0019】
以下で、
図1から
図3を参照し、本発明の第1実施形態である電極組立体の製造方法に対してより詳しく説明する。
【0020】
図1及び
図2を参考すれば、メルティング誘導過程は、電極13及び分離膜14の間の界面接着力を増大させるために、メルティング誘導溶媒Mを介して分離膜14の外面部のメルティングを誘導する。
【0021】
この時、電極13及び分離膜14は交互に位置されてよい。ここで、電極13は、正極11及び負極12を含み、正極11、分離膜14及び負極12が交互に位置されてよい。
【0022】
正極11は、正極集電体(図示省略)及び正極集電体に塗布された正極活物質(図示省略)を含み、負極12は、負極集電体(図示省略)及び負極集電体に塗布された負極活物質(図示省略)を含んでよい。
【0023】
正極集電体は、例えば、アルミニウム(Al)材質のホイル(foil)でなってよい。
【0024】
正極活物質は、一例として、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムリン酸鉄、又は、これらのうち1種以上が含まれた化合物及び混合物等でなってよい。
【0025】
また、正極活物質は、他の例として、HiNi系の正極材でなってよい。ここで、HiNi系正極材は、LiNiMnCoO系、LiNiCoAl系又はLiMiMnCoAl系のうち何れか一つ以上を含んでよい。
【0026】
負極集電体は、例えば、銅(Cu)又はニッケル(Ni)材質でなるホイル(foil)でなってよい。
【0027】
負極活物質は、一例として、人造黒鉛を含む材質でなってよい。
【0028】
また、負極活物質は、他の例として、リチウム金属、リチウム合金、カーボン、石油コークス、活性化カーボン、グラファイト、シリコン化合物、スズ化合物、チタン化合物又はこれらの合金でなってよい。
【0029】
分離膜14は、絶縁材質でなり正極11と負極12の間を電気的に絶縁する。
【0030】
また、分離膜14は、基材14a及び基材14aの外面部に形成されたメルティング層14bを含んでよい。この時、メルティング層14bは、有機物を含み、メルティング誘導溶媒Mを介してメルティング層14bの有機物をメルティングできる。すなわち、メルティング誘導溶媒Mは、基材14aをメルティングせずにメルティング層14bの有機物のみメルティングし、メルティング層14bをソフト(Soft)化できる。
【0031】
基材14aは、例えば、微多孔性を有するポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂膜で形成されてよい。ここで、基材14aは、高分子重合体として樹脂化され、メルティング誘導溶媒Mに熔融(melting)されない。この時、基材14aは、フィルム(Film)形態で形成されてよい。
【0032】
メルティング層14bは、無機物及び有機物を含んでよい。ここで、有機物は、バインダー及び分散剤を含んでよい。この時、バインダー及び分散剤は、単分子有機物でなりメルティング誘導溶媒Mにメルティングされてよい。
【0033】
また、メルティング層14bは、例えば、無機物80~90重量%、バインダー9~18重量%及び分散剤1~2重量%を含んでよい。
【0034】
無機物は、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)でなってよい。
【0035】
バインダー(Binder)は、例えば、ポリフルオリン化ビニリデン(PVdF;Polyvinylidene Fluoride)共重合体(copolymer)でなってよい。
【0036】
分散剤は、例えば、シアノエチル(cyanoethyl)ポリビニルアルコール(PVA;polyvinyl alcohol)でなってよい。
【0037】
そして、メルティング誘導過程は、メルティング誘導溶媒Mを蒸気化し蒸気加湿状態の空間を形成させる蒸気化過程をさらに含んでよい。この時、蒸気化過程を介して蒸気加湿状態の空間に電極13及び分離膜14を位置させ、分離膜14表面の均一なメルティングを誘導できる。すなわち、メルティング誘導溶媒Mが蒸気加湿状態になった空間に分離膜14が位置され、分離膜14から電極13と向かい合う面のメルティングが均一に誘導され、電極13と分離膜14の間の接着力が均一になり得る。
【0038】
また、蒸気化過程は、チェンバー(chamber)110の内部に形成された収容部111に収容されるメルティング誘導溶媒Mを蒸気化できる。この時、メルティング誘導溶媒Mが蒸気化されることで、チェンバー110の収容部111に蒸気加湿状態の空間を形成できる。これによって、電極13及び分離膜14をチェンバー110の収容部111に位置させ、分離膜14のメルティングを誘導できる。
【0039】
同時に、蒸気化過程は、チェンバー110の収容部111に収容されたメルティング誘導溶媒Mをヒーター(Heater)130を介して加熱し、メルティング誘導溶媒Mを蒸気化させることができる。この時、チェンバー110の収容部111の下部にメルティング誘導溶媒Mを収容させ、チェンバー110の下部側にヒーター130を備えてメルティング誘導溶媒Mを蒸気化させることができる。ここで、ヒーター130を、例えば、ヒーターケース(図示省略)とヒーターケースの内部に巻取られたコイル(図示省略)を含み、コイルの抵抗熱によってメルティング誘導溶媒Mを加熱できる。
【0040】
一方、メルティング誘導過程は、メルティング誘導溶媒Mとしてメルティング層14bの有機物に親和力のある溶媒を用いてよい。ここで、メルティング誘導溶媒Mは、DMC(Di-Methyl Carbonate、ジメチルカーボネート)溶媒を用いてよい。この時、蒸気化過程にて、DMC溶媒をヒーター130で80~90℃に加熱し蒸気化させることができる。
【0041】
これによって、増加化されたDMC溶媒は、分離膜14のメルティング層14bに含まれた有機物をメルティングし、分離膜14の外面部の均一なメルティングを誘導し、電極13及び分離膜14の間の界面接着力が均一で、増大されるようにすることができる。
【0042】
一方、メルティング誘導過程は、電極13及び分離膜14をチェンバー110の収容部111を通過させつつ分離膜14をメルティングできる。
【0043】
この時、電極13及び分離膜14の進行方向に対して、チェンバー110の両側に真空フード140が備えられ、チェンバー110の収容部111から外部へ流出される蒸気化されたDMC溶媒を真空フード140の真空ホール141を介して吸い込むことができる。これによって、人体に有害なDMC溶媒がチェンバー110の外部へ流出されることを防止できる。
【0044】
図1及び
図2を参考すれば、ラミネーション(lamination)過程は、一対のロール121、122を含むラミネーション部120を介して電極13及び分離膜14を交互に結集させて積層できる。
【0045】
また、ラミネーション過程は、チェンバー110の収容部111内で行われてよい。
【0046】
同時に、ラミネーション過程は、一対のロール121、122の間に電極13及び分離膜14を通過させつつ加圧することで、電極13及び分離膜14を結集させ積層できる。この時、メルティング誘導溶媒Mを介してメルティングされた分離膜14の外面部と電極13の接着面が接着され得る。ここで、電極13と向かい合う分離膜14の外面部がメルティング誘導溶媒Mを介して均一にメルティングされ、一対のロール121、122を介して高熱を加えなくても分離膜14と電極13の間が強い接着力で均一に接着され得る。これによって、高温による分離膜14が損傷されることを防止でき、分離膜14の損傷による電極組立体10の抵抗が高くなる問題を予防できる。
【0047】
ここで、一対のロール121、122は、例えば、電極13及び分離膜14の上部及び下部に位置される上部ロール121及び下部ロール122を含んでよい。
【0048】
一方、ラミネーション過程は、交互に位置された電極13及び分離膜14の最外側面にPET(ポリエチレンテレフタレート、Polyethylene terephthalate)20を位置させることができる。すなわち、電極及び分離膜14を含む電極組立体10の両側面にPET20をそれぞれ位置させた後、一対のロール121、122がPET20を介して電極組立体10を加圧し、ラミネーション過程中に電極組立体10の損傷を防止できる。
【0049】
そして、ラミネーション過程は、例えば、一対のロール121、122を0~100℃の温度に維持できる。ここで、ラミネーション過程は、より具体的に、例えば、一対のロール121、122を45~90℃の温度に維持しつつ電極13及び分離膜14を加圧できる。この時、さらに具体的に、例えば、一対のロール121、122を50℃の温度を維持するようにし、電極13及び分離膜14を加圧できる。
【0050】
図3は、本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体、及び、従来の電極組立体の接着力を比較したグラフである。ここで、
図3での垂直軸は電極13と分離膜14の間の接着力を示し、水平軸は測定区間を示す。
【0051】
図3に示されたところのように、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体A1、A2において、電極13と分離膜14の間の接着力が従来の電極組立体B1、B2に比べ優秀であり、均一なことが分かる。
【0052】
より具体的に、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体A1、A2において、電極13と分離膜14の間の接着力は平均143.9~155.0(gf)であり、従来の電極組立体B1、B2において、電極13と分離膜14の間の接着力は平均39.9~41.5(gf)であって、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体A1、A2の接着力が、従来の電極組立体B1、B2より顕著に高いことが分かる。
【0053】
同時に、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体A1、A2において、電極13と分離膜14の間の接着力の偏差は3.2~4.8(gf)であり、従来の電極組立体B1、B2において、電極13と分離膜14の間の接着力の偏差は8.6~9.3(gf)であって、本発明の一実施形態による電極組立体の製造方法を介して製造された電極組立体A1、A2の接着力が、従来の電極組立体B1、B2より顕著に均一なことが分かる。(
図3参照)
【0054】
図4は、本発明の他の実施形態による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法を示した例示断面図である。
【0055】
図4を参照すれば、本発明の他の実施形態による電極組立体の製造方法は、分離膜14の外面部のメルティングを誘導するメルティング誘導過程、及び、電極及び分離膜14を交互に結集させて積層するラミネーション(lamination)過程を含む。この時、メルティング誘導過程は、メルティング誘導溶媒Mを蒸気化する蒸気化過程を含んでよい。
【0056】
本発明の他の実施形態による電極組立体の製造方法は、前述の一実施形態による電極組立体の製造方法と比較する時、チェンバー210内部を真空させる真空過程をさらに含む差がある。
【0057】
したがって、本実施形態は、一実施形態と重複する内容は簡略に記述し、相違点を中心に記述する。
【0058】
本発明の他の実施形態による電極組立体の製造方法は、メルティング誘導過程において、蒸気化過程の前にチェンバー210の収容部211を真空状態に作る真空過程をさらに含んでよい。これによって、チェンバー210内部の気圧を低めメルティング誘導溶媒Mの揮発性を高めることができる。
【0059】
そして、真空過程は、例えば、真空部220を介してチェンバー210の収容部211を真空状態に作ることができる。この時、真空部220は、例えば、真空ポンプでなってよい。
【0060】
また、チェンバー210は、真空部を介して収容部211の真空が容易なように密閉型チェンバー形態で形成されてよい。ここで、チェンバー210は、密閉型チェンバーで備えられてよい。
【0061】
同時に、チェンバー210の収容部211は、一例として、大気圧以下の圧力状態を維持できる。ここで、チェンバー210の収容部211は、例えば、-99~-80KPaの圧力状態を維持できる。この時、チェンバー210の収容部211は、より具体的に、例えば、-93~-80KPaの圧力状態を維持できる。
【0062】
以下では、
図1を参照し、本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置に対してより詳しく説明する。
【0063】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置100は、電極組立体10及びメルティング誘導溶媒Mを収容するチェンバー110、及び、前記メルティング誘導溶媒Mを蒸気化させるヒーター130を含む。また、本発明の一実施形態による電極組立体の製造装置100は、ラミネーション部120及び真空フード140をさらに含んでよい。
【0064】
チェンバー110は、電極組立体10及びメルティング誘導溶媒Mを内部に収容できるように、収容部111が形成される。
【0065】
電極組立体10は、電極13及び分離膜14が交互に備えられ、メルティング誘導溶媒Mは、分離膜14の外面部のメルティングを誘導し、電極13及び分離膜14の間の界面接着力を増大させることができる。
【0066】
ここで、電極13は、正極11及び負極12を含み、正極11、分離膜14及び負極12が交互に位置されてよい。
【0067】
分離膜14は、絶縁材質でなり正極11と負極12の間を電気的に絶縁する。
【0068】
また、分離膜14は、基材14a及び基材14aの外面部に形成されたメルティング層14bを含んでよい。この時、メルティング層14bは、有機物を含み、メルティング誘導溶媒Mを介してメルティング層14bの有機物をメルティングできる。すなわち、メルティング誘導溶媒Mは、基材14aはメルティングせずにメルティング層14bの有機物のみメルティングし、メルティング層14bをソフト(Soft)化できる。
【0069】
基材14aは、例えば、微多孔性を有するポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂膜で形成されてよい。ここで、基材14aは、高分子重合体として樹脂化され、メルティング誘導溶媒Mに熔融(melting)されない。この時、基材14aは、フィルム(Film)形態で形成されてよい。
【0070】
メルティング層14bは、無機物及び有機物を含んでよい。ここで、有機物は、バインダー及び分散剤を含んでよい。ここで、バインダー及び分散剤は、単分子有機物でなりメルティング誘導溶媒Mにメルティングされてよい。
【0071】
一方、メルティング誘導溶媒Mは、メルティング層14bの有機物に親和力のある溶媒でなってよい。ここで、メルティング誘導溶媒Mは、DMC(Di-Methyl Carbonate)溶媒を用いてよい。
【0072】
ヒーター130は、チェンバー110の収容部111に収容されたメルティング誘導溶媒Mに熱を加えて蒸気化させ、チェンバー110の収容部111に蒸気加湿状態の空間を形成させることができる。これによって、蒸気加湿状態の空間に位置される分離膜14の外面部に均一なメルティングが誘導され、電極13と分離膜14の間に均一な接着が可能になり得る。
【0073】
また、ヒーター130を、例えば、ヒーターケースとヒーターケースの内部に巻取られたコイルを含み、コイルの抵抗熱によってメルティング誘導溶媒Mを加熱できる。
【0074】
ラミネーション部120は、外面部のメルティングが誘導された分離膜14及び電極13を加圧し交互に結集させて積層できる。ここで、ラミネーション部120は一対のロール121、122を含み、電極13及び分離膜14を一対のロール121、122の間に通過させつつ加圧し積層させることができる。
【0075】
真空フード140は、チェンバー110の収容部11を通過する電極13及び分離膜14の進行方向に対してチェンバー110の両側部に備えられてよい。ここで、チェンバー110の両側に電極13及び分離膜14が通過されるように、出口及び入口が形成されてよい。そして、真空フード140は、チェンバー110の出口及び入口を介して流出されるメルティング誘導溶媒Mを吸い込むことができる。結局、電極13及び分離膜14がチェンバー110の収容部11を通過時、チェンバー110の外部へメルティング誘導溶媒Mが流出されなくなる。また、真空フード140を介して流入される蒸気化されたメルティング誘導溶媒Mは、再び液化させ再利用できる。
【0076】
以下では、
図4を参照し、本発明の他の実施形態による電極組立体の製造装置に対してより詳しく説明する。
【0077】
図4を参照すれば、本発明の他の実施形態による電極組立体の製造装置200は、電極組立体10及びメルティング誘導溶媒Mを収容するチェンバー210、及び、メルティング誘導溶媒Mを蒸気化させるヒーター130を含む。
【0078】
本発明の他の実施形態による電極組立体の製造装置200は、前述の一実施形態による電極組立体の製造装置100と比較する時、チェンバー210内部を真空させる真空部220をさらに含む差がある。
【0079】
真空部220は、チェンバー210の収容部211と連結されチェンバー210の収容部211を真空させることができる。この時、チェンバー210は、真空部220を介して収容部211を真空させるに容易なように密閉型チェンバーでなってよい。そして、真空部220は、例えば、真空ポンプでなってよい。
【0080】
以上、本発明を具体的な実施形態を介して詳しく説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による電極組立体の製造装置及び電極組立体の製造方法は、これに限定されない。本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者によって多様な実施が可能であると言える。
【0081】
また、発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求範囲によって明確になるはずである。