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特許7005882フィルム印刷可能な紫外線硬化型インク組成物、それを用いたベゼルパターンの製造方法、それによって製造したベゼルパターン及びそれを含むフォルダブルディスプレイ基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】フィルム印刷可能な紫外線硬化型インク組成物、それを用いたベゼルパターンの製造方法、それによって製造したベゼルパターン及びそれを含むフォルダブルディスプレイ基板
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/322 20140101AFI20220117BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20220117BHJP
   C09D 11/38 20140101ALI20220117BHJP
   C09D 11/324 20140101ALI20220117BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220117BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20220117BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C09D11/322
C09D11/101
C09D11/38
C09D11/324
G09F9/00 313
B41M5/00 120
B41M5/00 100
B41J2/01 129
B41J2/01 501
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020520588
(86)(22)【出願日】2019-08-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2019010323
(87)【国際公開番号】W WO2020036420
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2020-04-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0095805
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ジェヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヒェオク
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/070654(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/111043(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0147535(KR,A)
【文献】特開2010-235640(JP,A)
【文献】特開2016-021722(JP,A)
【文献】特開2016-199034(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0298241(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00-13/00
G09F 9/00
B41M 5/00
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラック顔料、
分散剤、
脂環式エポキシ化合物、
オキセタン化合物、
アクリル系またはシリコン系界面活性剤、
沸点が200℃以上である有機溶媒、
光増感剤、
光重合開始剤及び
付着力増進剤
を含む紫外線硬化型インク組成物であって
前記脂環式エポキシ化合物:オキセタン化合物の重量比が、1:3~1:5であり、
前記ブラック顔料の含量は、全体インク組成物に対して16.5~18重量%であり、
前記紫外線硬化型インク組成物は、硬化後、基材との付着力がクロスカットテスト4B以上であり、
フォールディング半径2.5Rで100,000回フォールディング時に、クラックが発生しない
フォルダブルディスプレイ基板のベゼルパターン形成用
紫外線硬化型インク組成物。
【請求項2】
前記脂環式エポキシ化合物:オキセタン化合物の重量比が、1:3~1:4である
請求項1に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項3】
前記分散剤の含量は、全体インク組成物に対して0.5~5重量%である
請求項1または2に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項4】
前記脂環式エポキシ化合物の含量は、全体インク組成物に対して3~25重量%である
請求項1からのいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項5】
前記オキセタン化合物の含量は、全体インク組成物に対して25~50重量%である
請求項1からのいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項6】
前記アクリル系またはシリコン系界面活性剤の含量は、全体インク組成物に対して0.1~1.0重量%である
請求項1からのいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項7】
前記有機溶媒の含量は、全体インク組成物に対して20~30重量%である
請求項1からのいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項8】
前記光重合開始剤の含量は、全体インク組成物に対して1~10重量%である
請求項1からのいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項9】
前記付着力増進剤の含量は、全体インク組成物に対して1~5重量%である
請求項1からのいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項10】
前記ブラック顔料は、カーボンブラック顔料、ラクタムブラック顔料またはペリレンブラック顔料、またはその組合わせである
請求項1からのいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項11】
前記有機溶媒は、ブチルジグライム、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチレート、コハク酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、及びエチルカプラートからなる群から選択される1つ以上である
請求項1から10のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項12】
前記光重合開始剤は、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩のうち何れか1つ以上を含む
請求項1から11のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項13】
前記光重合開始剤は、スルホニウム塩を含む
請求項12に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項14】
前記紫外線硬化型インク組成物は、硬化ドーズ量が100~5,000mJ/cmであり、250~410nmの波長範囲の放射線を吸収して硬化される
請求項1から13のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物のUV硬化で形成された
ベゼルパターン。
【請求項16】
前記ベゼルパターンは、総厚さが2~5μmであり、OD値が4~5である
請求項15に記載のベゼルパターン。
【請求項17】
a)基板に請求項1から14のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク組成物を1色インクジェットプリンティングする段階と、
b)1次UV硬化してベゼルパターンを形成する段階と、
c)前記b)段階で形成されたベゼルパターン上に請求項1に記載の紫外線硬化型インク組成物を2色インクジェットプリンティングする段階と、
d)2次UV硬化してベゼルパターンを形成する段階と、
を含み、
前記b)段階及びd)段階の硬化ドーズ量は、200~3,000mJ/cmであり、
前記a)段階遂行後のベゼルパターンは、厚さが1~2.5μmであり、OD値が2~2.5であり、
前記d)段階遂行後のベゼルパターンは、厚さが2~5μmであり、OD値が4~5である
フォルダブルディスプレイ基板用ベゼルパターンの製造方法。
【請求項18】
b)段階及びd)段階の硬化は、360~410nmの波長範囲の紫外線を吸収してなる
請求項17に記載のフォルダブルディスプレイ基板用ベゼルパターンの製造方法。
【請求項19】
請求項15または16に記載のベゼルパターンを含む
フォルダブルディスプレイ基板。
【請求項20】
前記フォルダブルディスプレイ基板は、フォルダブルディスプレイフィルムを含む
請求項19に記載のフォルダブルディスプレイ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム印刷可能な紫外線硬化型インク組成物、それを用いたベゼルパターンの製造方法、それによって製造したベゼルパターン及びそれを含むフォルダブルディスプレイ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルディスプレイ市場は、平面とカーブド製品において自在に折りたたんだり開いたりするフォルダブル製品に進化しており、フォルダブルディスプレイも、他のディスプレイ機器と同様にパネルの非表示領域パターンが視認されないながら、色感を与えるためのベゼルパターンが必要である。モバイル機器の特性上、人の目と近い距離に接するために、パネルパターンが視認されず、光漏れが発生しないためには、遮光特性が高いベゼルを形成しなければならず、ベゼルが厚くなれば、ベゼル段差が画面部で視認され、OCA(optically clear adhesive:光学用透明接着剤)付着時に、気泡が抜けないという問題が発生する。これにより、薄肉でありながらも、遮光特性に優れたベゼルパターンが必要である。しかし、高遮光ブラックインクを1色印刷で硬化するためには、5,000mJ/cm以上の高い光量が必要であるが、ベゼルパターンは、カバーウィンドウフィルムや偏光フィルムなど多様なフィルム層に形成されなければならないために、耐熱性が弱いフィルムでは変形が発生し、フィルムに変形が発生しない低い光量、例えば、2,000mJ/cm以下の光量では表面しわが発生して、ベゼルの遮光性と付着力とが低くなる。これにより、耐熱性が弱いフィルムでも、変形及び表面しわが発生しないようにするインク組成及び印刷工程が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】大韓民国特許公開10-2016-0147535号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、モバイル機器などのフォルダブルディスプレイのパネルパターンが視認されず、光漏れが発生しないように薄肉でありながら、遮光特性に優れたベゼルパターンを形成しながらも、ベゼルパターンが形成されるカバーウィンドウフィルムや偏光フィルムなど多様なフィルムに対してフィルム変形及び表面しわを発生させないフィルム印刷可能な紫外線硬化型インク組成物、それを用いたベゼルパターンの製造方法、それによって製造したベゼルパターン及びそれを含むフォルダブルディスプレイ基板を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を果たすために、本発明は、ブラック顔料、分散剤、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物、アクリル系またはシリコン系界面活性剤、沸点が200℃以上である有機溶媒、光重合開始剤及び付着力増進剤を含み、前記エポキシ化合物:オキセタン化合物の重量比が、1:3~1:5であるフォルダブルディスプレイ基板のベゼルパターン形成用紫外線硬化型インク組成物を提供する。
【0006】
また、本発明は、前記紫外線硬化型インク組成物のUV硬化で形成されたベゼルパターンを提供する。
【0007】
また、本発明は、a)基板に前記紫外線硬化型インク組成物を1色インクジェットプリンティングする段階;b)1次UV硬化してベゼルパターンを形成する段階;c)前記b)段階で形成されたベゼルパターン上に前記紫外線硬化型インク組成物を2色インクジェットプリンティングする段階;及びd)2次UV硬化してベゼルパターンを形成する段階;を含み、前記b)段階及びd)段階の硬化ドーズ量は、100~5,000mJ/cmであり、前記a)段階遂行後のベゼルパターンは、厚さが1~2.5μmであり、OD値が2~2.5であり、前記d)段階遂行後のベゼルパターンは、厚さが2~5μmであり、OD値が4~5であるフォルダブルディスプレイ基板用ベゼルパターンの製造方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、前記ベゼルパターンの製造方法によって製造したベゼルパターンを提供する。
【0009】
また、本発明は、前記ベゼルパターンを含むディスプレイ基板を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるフィルム印刷可能な紫外線硬化型インク組成物及び前記インク組成物を適用した2色印刷工程のフォルダブルディスプレイ基板用ベゼルパターンの製造方法は、1色印刷時に、低いUV照射量(<2,000mJ/cm)で硬化しても、フィルム変形がなく、遮光性が低くて(O.D<2.5)、表面しわが発生せず、2色印刷時に、薄肉であって遮光特性に優れて、パネルのパターン視認性及び段差視認問題、OCA付着後、気泡発生の問題が発生せず、ベゼル特性(フォールディング、付着、パターン)に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明は、多様な変換を加え、さまざまな実施態様を有することができるので、特定実施態様を例示する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる、あらゆる変換、均等物または代替物を含むものと理解しなければならない。本発明を説明するに当って、関連した公知技術についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0013】
本発明は、ブラック顔料、分散剤、脂環式エポキシ化合物、オキセタン化合物、アクリル系またはシリコン系界面活性剤、沸点が200℃以上である有機溶媒、光重合開始剤及び付着力増進剤を含み、前記エポキシ化合物:オキセタン化合物の重量比が、1:3~1:5であるフォルダブルディスプレイ基板のベゼルパターン形成用紫外線硬化型インク組成物を提供する。
【0014】
前記紫外線硬化型インク組成物は、着色剤としてブラック顔料を含む。
【0015】
本発明の一態様において、ブラック顔料としてカーボンブラック、黒鉛、金属酸化物、有機ブラック顔料などを使用することができる。
【0016】
カーボンブラックの例としては、シスト5HIISAF-HS、シストKH、シスト3HHAF-HS、シストNH、シスト3M、シスト300HAF-LS、シスト116HMMAF-HS、シスト116MAF、シストFMFEF-HS、シストSOFEF、シストVGPF、シストSVHSRF-HS及びシストSSRF(東海カーボン(株));ダイヤグラムブラックII、ダイヤグラムブラックN339、ダイヤグラムブラックSH、ダイヤグラムブラックH、ダイヤグラムLH、ダイヤグラムHA、ダイヤグラムSF、ダイヤグラムN550M、ダイヤグラムM、ダイヤグラムE、ダイヤグラムG、ダイヤグラムR、ダイヤグラムN760M、ダイヤグラムLR、#2700、#2600、#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#900、MCF88、#52、#50、#47、#45、#45L、#25、#CF9、#95、#3030、#3050、MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA40、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B及びOIL31B(三菱化学(株));PRINTEX-U、PRINTEX-V、PRINTEX-140U、PRINTEX-140V、PRINTEX-95、PRINTEX-85、PRINTEX-75、PRINTEX-55、PRINTEX-45、PRINTEX-300、PRINTEX-35、PRINTEX-25、PRINTEX-200、PRINTEX-40、PRINTEX-30、PRINTEX-3、PRINTEX-A、SPECIAL BLACK-550、SPECIAL BLACK-350、SPECIAL BLACK-250、SPECIAL BLACK-100、及びLAMP BLACK-101(テクサ(株));RAVEN-1100ULTRA、RAVEN-1080ULTRA、RAVEN-1060ULTRA、RAVEN-1040、RAVEN-1035、RAVEN-1020、RAVEN-1000、RAVEN-890H、RAVEN-890、RAVEN-880ULTRA、RAVEN-860ULTRA、RAVEN-850、RAVEN-820、RAVEN-790ULTRA、RAVEN-780ULTRA、RAVEN-760ULTRA、RAVEN-520、RAVEN-500、RAVEN-460、RAVEN-450、RAVEN-430ULTRA、RAVEN-420、RAVEN-410、RAVEN-2500ULTRA、RAVEN-2000、RAVEN-1500、RAVEN-1255、RAVEN-1250、RAVEN-1200、RAVEN-1190ULTRA、及びRAVEN-1170(コロンビアカーボン(株))またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0017】
前記有機ブラック顔料としてアニリンブラック、ラクタムブラックまたはペリレンブラック系などを使用することができるが、これらに限定するものではない。
【0018】
前記ブラック顔料の含量は、紫外線硬化型インク組成物の全重量に対して5~20重量%であり、または10~20重量%である。ブラック顔料の含量が5重量%未満である場合、ベゼルに適用するほどのレベルのODが表われず、25重量%超過である場合、インクの粘度が過度に高くなるか、過量のブラック顔料がインクに分散されず、沈殿物が形成されうる。
【0019】
前記紫外線硬化型インク組成物は、分散剤を含む。
【0020】
前記分散剤は、前記ブラック顔料を均一なサイズの粒子で作り、また、インクの製造時間を短縮させるために使われる。前記分散剤としては、高分子型、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の分散剤を使用し、その例としては、アクリル系、ポリアルキレングリコール及びそのエステル、ポリオキシアルキレン多価アルコール、エステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物及びアルキルアミンなどがあり、単独で使用するか、2つ以上混合して使用し、そのうち、インクの貯蔵性などに優れたアクリル系の分散剤を使用することが望ましい。
【0021】
前記分散剤の含量は、全体インク組成物に対して0.5~5重量%、または2~4重量%、または約3重量%であって、前記分散剤の含量が、全体インク組成物に対して0.5重量%未満である場合には、顔料が均一に分散されない恐れがあり、5重量%を超過する場合には、顔料が凝集されるか、硬化感度が低下する恐れがある。
【0022】
前記紫外線硬化型インク組成物は、脂環式エポキシ化合物を含む。
【0023】
前記脂環式エポキシ化合物は、陽イオン重合型であって、カチオン重合性脂環式エポキシ単量体を含む脂環式エポキシ化合物のうちから選択される1種または2種の混合物である。このような脂環式エポキシ化合物は、エポキシ化肪族環基を1または2個含みうるが、ここで、前記エポキシ化肪族環基は、例えば、脂環式環に形成されたエポキシ基を有する化合物でもあり、また、脂環式環の水素原子は、アルキル基などの置換基によって置換されても良い。
【0024】
前記脂環式エポキシ化合物、言い換えれば、前記エポキシ化合物の例を挙げると、ジシクロペンタジエンジオキシド、リモネンジオキシド、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボン酸塩、3-ビニルシクロヘキセンオキシド、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルアルコール、(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル)メチル-3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキサンカルボン酸塩、エチレングリコールビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)エーテル、3,4-エポキシシクロヘキセンカルボン酸エチレングリコールジエステル及び(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどがあり、これらに限定されるものではない。
【0025】
前記脂環式エポキシ化合物の含量は、全体インク組成物に対して3~25重量%、または5~15重量%、または約10重量%であって、前記エポキシ化合物の含量が、全体インク組成物に対して3重量%未満である場合には、硬化感度が低下し、25重量%を超過する場合には、インクの粘度が上昇して、インクジェット工程性能が低下する。
【0026】
前記紫外線硬化型インク組成物は、他のカチオン重合性単量体としてオキセタン化合物を含む。
【0027】
前記オキセタン化合物は、分子構造内に4員環状エーテル基を有する化合物であって、カチオン重合性インク組成物の粘度を低めるために使われ、その例としては、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[(3-エチル-3-オキセタニル)メチル]エーテル、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-シクロヘキシルオキシメチルオキセタン及びフェノールノボラックオキセタンなどがあり、商品名としては、東亞合成(株)の「アロンオキセタンOXT-101」、「アロンオキセタンOXT-121」、「アロンオキセタンOXT-211」、「アロンオキセタンOXT-221」または「アロンオキセタンOXT-212」などを例示し、これらは、単独で、または2種以上混合して使用することができる。
【0028】
前記オキセタン化合物の含量は、全体インク組成物に対して25~50重量%、または30~45重量%、または32~40重量%であって、前記オキセタン化合物の含量が、全体インク組成物に対して25重量%未満である場合には、粘度が上昇して、インクジェット工程性が低下する恐れがあり、50重量%を超過する場合には、硬化感度が低くなる。
【0029】
また、本発明による組成物において、前記脂環式エポキシ化合物:オキセタン化合物の重量比は、1:2.5~1:6であり、さらに他の態様において、1:3~1:5であるか、または1:3~1:4である。エポキシ化合物とオキセタン化合物との比率が1:6を超過する場合には、組成物の粘度が低いことによって、組成物のコーティング性は優れているが、コーティング膜の強度及び硬化感度が低下し、1:2.5未満である場合には、組成物の粘度が高いことによって、コーティング性が低下し、UV硬化後、塗膜に表面しわが発生する。
【0030】
前記紫外線硬化型インク組成物は、界面活性剤を含む。
【0031】
本発明による2色印刷を行うためには、印刷後、硬化された塗膜表面でインクの拡散性に優れていなければならないので、前記界面活性剤は、アクリル系またはシリコン系界面活性剤であることが望ましい。前記アクリル系またはシリコン系界面活性剤を含むことにより、本発明による紫外線硬化型インク組成物は、親水性表面処理(プラズマ、コロナ、UVO3など)をしなくても、再塗装性に優れたベゼルパターンを形成しうる。
【0032】
前記アクリル系またはシリコン系界面活性剤としては、市販品を使用することができる。例えば、BYK社のBYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-320、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-342、BYK-350、BYK-354、BYK-355、BYK-3550、BYK-356、BYK-358N、BYK-359、BYK-361N、BYK-381、BYK-370、BYK-371、BYK-378、BYK-388、BYK-392、BYK-394、BYK-399、BYK-3440、BYK-3441、BYK-UV 3530、BYK-UV 3570、またはテゴ社のRad 2100、Rad 2011、Glide 100、Glide 410、Glide 450、Flow 370、Flow 425、Wet 500などからなる群から選択されるものを使用することができる。
【0033】
前記界面活性剤は、紫外線硬化型インク組成物総重量に対して0.01~2.0重量%、または0.1~1.0重量%で含まれうる。前記界面活性剤の含量が0.01重量%未満である場合には、組成物の表面張力を低める効果が十分ではなくて、基材に組成物をコーティング時に、コーティング不良が発生し、2.0重量%を超過する場合には、界面活性剤が過量で使われて組成物の相溶性及び消泡性がむしろ減少するという問題点がある。
【0034】
前記紫外線硬化型インク組成物は、有機溶媒を含む。
【0035】
前記有機溶媒は、本発明によるインク組成物が硬化後、高い遮光性を示しながら薄肉を保持するために必須的な成分であって、本発明によるインク組成物を用いてディスプレイ基板にベゼルパターンを印刷した後にも、硬化感度に優れたものであれば、特別な制限なしに使用することができるが、インクジェット工程性能を向上させるために、沸点が200℃以上であり、25℃で粘度が1~5cPまたは1~3cPであるものを使用することが良い。
【0036】
本発明によるブラック顔料が全体インク組成物に10重量%未満(特に、7重量%以下)の低い含量で含まれる場合には、沸点が200℃未満であるエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCsA)のような有機溶媒を使用しても、インクジェット工程性能に大きな問題がないが、インク組成物に前記ブラック顔料が10重量%以上の比較的高い含量で含まれる場合には、インクジェット工程性能が低下する。
【0037】
したがって、本発明では、インクジェット工程性能を向上または改善させる有機溶媒の使用が要求されるが、インクジェット工程性能は、前述したような高沸点及び底粘度の条件(沸点が200℃以上であり、25℃で粘度が1~5cP、特に、3cP以下)を満足する有機溶媒を使用するほど向上するので、このような条件を満足する有機溶媒、例えば、ブチルジグライム(Butyl diglyme、またはジエチレングリコールジブチルエーテル)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(Dipropylene glycol methyl ether acetate)、エチレングリコールジブチレート(ethylene glycol dibutyrate)、コハク酸ジエチル(Diethyl succinate)、γ-ブチロラクトン(gamma-butyrolactone:GBL)及びエチルカプラート(Ethyl caprate)のような有機溶媒を使用しなければならず、前記ブチルジグライム及びコハク酸ジエチルを使用することが望ましい。
【0038】
前記有機溶媒の含量は、全体インク組成物に対して10~40重量%、または15~30重量%、または20~30重量%、または20~25重量%であって、前記有機溶媒の含量が10重量%未満である場合には、インクの粘度が高くなるか、ベゼル層の厚さが厚くなる恐れがあり、40重量%を超過する場合には、硬化感度が低くなる問題が発生する。
【0039】
前記紫外線硬化型インク組成物は、光重合開始剤を含む。
【0040】
前記光重合開始剤は、紫外線の照射によって陽イオン(cation)種やブレンステッド酸を作り出す化合物、例えば、ヨードニウム塩またはスルホニウム塩などを含んでいるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0041】
前記ヨードニウム塩またはスルホニウム塩は、紫外線硬化過程でインクに含有された不飽和二重結合を有するモノマーが反応して高分子を形成する硬化反応が起こるようにし、重合効率によって光増感剤を使用することもできる。
【0042】
一例として、前記光重合開始剤は、SbF-、AsF-、BF-、(CB-、PF-あるいはRf6-nに表示される陰イオンを有するものであるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0043】
前記光重合開始剤は、紫外線硬化型インク組成物の総重量に対して1~15重量%で含まれ、さらに他の態様において、1~10重量%や2~10重量%や3~5重量%で含まれうる。光重合開始剤の含量が1重量%未満であれば、硬化反応が十分ではなく、15重量%超過であれば、いずれも溶解されないか、粘度が増加して、コーティング性が低下する。
【0044】
前記紫外線硬化型インク組成物は、光重合開始剤溶媒を含みうる。
【0045】
前記光重合開始剤溶媒は、溶解度(solubility)が高くて、開始剤を溶かすことができる溶媒であれば、制限なしに使用が可能であり、炭酸プロピレン、γ-ブチロラクトン(GBL)、N-エチルピロリドン(NEP)からなる群から選択された1種以上を使用することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0046】
前記光重合開始剤溶媒の含量は、光重合開始剤含量に対して50~150重量%であり、または75~125重量%である。50重量%未満であれば、光重合開始剤が溶けず、析出され、150重量%超過すれば、硬化感度が低下する。
【0047】
前記紫外線硬化型インク組成物は、付着力増進剤を含む。
【0048】
前記付着力増進剤は、基材と印刷層との付着力を向上させるものであって、アルコキシシラン化合物及びリン酸アクリレート(phosphate acrylate)などのホスフェート系アクリレートからなる群から選択される1種以上のものを使用し、前記アルコキシシラン化合物の例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-Glycidoxypropyl trimethoxysilane、KBM-403(Shin-Etsu社、米国))、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(3-Glycidoxypropyl methyldimethoxysilane、KBM-402)、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane、KBM-303)、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(3-Glycidoxypropyl methyldiethoxysilane、KBE-402)、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3-Glycidoxypropyl triethoxysilane、KBE-403)及び3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-Methacryloxypropyl trimethoxysilane、KBM-503)などが挙げられ、1種以上使用することができる。
【0049】
前記付着力増進剤が使われる場合、その含量は、全体インク組成物に対して1~5重量%、または2~4重量%であって、前記付着力増進剤の含量が1重量%未満である場合には、基材と印刷層との付着力が低下し、5重量%を超過する場合には、硬化感度が低くなるか、インクの安定性が低下する。
【0050】
前記紫外線硬化型インク組成物は、長波長の活性エネルギー線での硬化性を補完するために、光増感剤をさらに含みうる。
【0051】
前記光増感剤は、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセンなどのアントラセン系化合物;ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイル安息香酸、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、3,3,4,4-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;アセトフェノン;ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、プロパノンなどのケトン系化合物;ペリレン;9-フルオレノン、2-クロロ-9-フルオレノン、2-メチル-9-フルオレノンなどのフルオレノン系化合物;チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルオキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン(ITX)、ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物;キサントン、2-メチルキサントンなどのキサントン系化合物;アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,6-ジクロロ-9,10-アントラキノンなどのアントラキノン系化合物;9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス(9-アクリジニルペンタン)、1,3-ビス(9-アクリジニル)プロパンなどのアクリジン系化合物;1,7,7-トリメチル-ビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2,3-ジオン、9,10-フェナントレンキノンなどのジカルボニル化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドなどのホスフィンオキシド系化合物;メチル-4-(ジメチルアミノ)安息香酸、エチル-4-(ジメチルアミノ)安息香酸、2-n-ブトキシエチル-4-(ジメチルアミノ)安息香酸などの安息香酸系化合物;2,5-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4-ジエチルアミノベンザル)-4-メチル-シクロペンタノンなどのアミノシナジスト;3,3-カルボニルビニル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-(2-ベンゾチアゾリル)-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシ-クマリン、10,10-カルボニルビス[1,1,7,7-テトラメチル-2,3,6,7-テトラヒドロ-1H、5H、11H-C1]-ベンゾピラノ[6,7,8-ij]-キノリジン-11-オンなどのクマリン系化合物;4-ジエチルアミノカルコン、4-アジドベンザルアセトフェノンなどのカルコン化合物;2-ベンゾイルメチレン3-メチル-β-ナフトチアゾリンからなる群から選択される1種以上である。
【0052】
前記光増減剤は、紫外線硬化型インク組成物の総重量に対して1~5重量%で含まれ、さらに他の態様において、2~4重量%で含まれうる。光増感剤の含量が1重量%未満であれば、所望の波長での硬化感度の上昇作用を期待することができず、5重量%超過であれば、光増感剤が溶解されず、析出されるか、パターンの接着力及び架橋密度を低下させる問題点がある。
【0053】
一方、本発明による紫外線硬化型インク組成物は(または、インクは)、硬化ドーズ量が100~5,000mJ/cmまたは200~3,000mJ/cmであり、250~410nmの波長、望ましくは、360~410nmの波長範囲で放射線を吸収して硬化され、インクジェット工程に適するように、例えば、25℃で1~30cP、または工程温度で2~20cPの粘度を有し、後工程(熱処理)が排除された状態での基材との付着力がクロスカットテスト(cross cut test)4B以上または5B以上であり、フォールディング特性において、UV硬化後、フォールディング半径2.5Rで10万回フォールディング時に、クラックが発生しない。
【0054】
前記紫外線硬化型インク組成物は、カバーウィンドウフィルムあるいは偏光フィルム層にベゼルパターンを形成し、耐熱性が弱いフィルムでもフィルム変形なしにUV硬化が可能になるように低いUV照射量(例えば、<2,000mJ/cm)でも、高遮光(例えば、O.D>4)パターンを表面しわなしに硬化させることができる。また、薄肉であって遮光特性に優れて、パネルのパターン視認性及び段差視認問題、OCA付着後、気泡発生の問題が発生しない。そして、フォルダブル機器に適用するためのフォールディング(例えば、フォールディング半径2.5R、100,000回またはそれ以上)及び付着(例えば、Cross cut 5B)特性に優れているように表われる。本発明による紫外線硬化型インク組成物のUV硬化で形成されたベゼルパターンは、一態様において、総厚さが2~5μmであり、OD値が4~5である。
【0055】
前記紫外線硬化型インク組成物で形成したベゼルパターンの上端部は、上部基材用粘着剤層を介在して上部基材と付着されるが、前記紫外線硬化型インク組成物は、アクリル系粘着剤、スチレンブタジエンゴム系粘着剤、エポキシ粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤などの上部基材用粘着剤と優れた付着力を示すので、前記紫外線硬化型インク組成物を使用する場合、ベゼルパターンと上部基材との間の付着力が改善される効果が得られる。
【0056】
本発明のフォルダブルディスプレイ基板のベゼルパターンの製造方法は、前記紫外線硬化型インク組成物を利用する。
【0057】
具体的に、本発明のフォルダブルディスプレイ基板のベゼルパターンの製造方法は、a)基板に本発明の紫外線硬化型インク組成物を1色インクジェットプリンティングする段階;b)1次UV硬化してベゼルパターンを形成する段階;c)前記b)段階で形成されたベゼルパターン上に本発明の紫外線硬化型インク組成物を2色インクジェットプリンティングする段階;及びd)2次UV硬化してベゼルパターンを形成する段階;を含む。
【0058】
本発明は、フィルム変形及び表面しわを防止するために、2色印刷(2 layer printing)工程及び本発明による前記紫外線硬化型インク組成物を適用する。
【0059】
本発明は、1色印刷時に、OD値が2以上、厚さが2.5μm以下になるように印刷し、低いUV照射量で硬化してフィルム変形がなく、遮光性が低くて(例えば、OD値が2.5以下)、表面しわが発生しない。また、2色印刷時に、OD値が4以上、厚さが5μm以下になるように印刷し、これより形成されるベゼルパターンは、薄肉であって遮光特性に優れて、パネルのパターン視認性及び段差視認問題、OCA付着後、気泡発生が起こらないだけではなく、フォルダブル機器に適用するためのフォールディング及び付着特性に優れているように表われる。
【0060】
本発明の一態様において、前記フォルダブルディスプレイ基板は、フォルダブルディスプレイフィルムである。
【0061】
本発明の一態様において、前記フォルダブルディスプレイ基板は、フォルダブルディスプレイフィルムを含みうる。
【0062】
本発明の一態様において、前記b)段階及びd)段階の硬化ドーズ量は、100~5,000mJ/cmまたは200~3,000mJ/cmであり、前記a)段階遂行後、形成されるベゼルパターンは、厚さが1~2.5μmであり、OD値が2~2.5であり、前記d)段階遂行後、形成されるベゼルパターンは、厚さが2~5μmであり、OD値が4~5である。
【0063】
本発明の一態様において、前記b)段階及びd)段階の硬化は、360~410nmの波長範囲の紫外線を吸収してなる。
【0064】
本発明において、前記a)段階の基板は、フィルム、ガラス、プラスチックなどの多様な基材であり、例えば、カバーウィンドウフィルムや偏光フィルムである。
【0065】
また、本発明のディスプレイフィルムのベゼルパターンの製造方法は、前記a)ベゼルパターンを形成する段階以前に、フィルムの洗浄段階をさらに含みうる。これは、インクのコーティング性の向上及び異物による染みの除去のために、フィルムの表面エネルギーによって表面処理を選択的に実施するためである。
【0066】
具体的に、前記表面処理は、常圧プラズマ、コロナなどの処理によって実施される。
【0067】
前記ベゼルパターンは、硬化処理した後に測定されるテーパー角が0°超過30°であり、厚さが0.1~20μmであることを特徴とする。また、前記テーパー角は、望ましくは、0°超過10°である。また、前記厚さは、望ましくは、0.5~5μmである。本発明のベゼルパターンは、前記のような特徴を有することにより、大きな段差による短絡、気泡発生及びフィルムの異形による視感品位低下を示さないこともある。
【0068】
前記ベゼルパターンの光学密度は、膜厚さ4.0μm基準に4~5.5であり、必要に応じて、4.5~5である。この場合、ベゼルパターンによる遮蔽特性に優れた長所がある。光学密度が5.5を超過する場合には、投入しなければならない顔料の要求含量が非常に高くなるために、インクの製造及びインクジェット工程に悪影響を及ぼし、紫外線硬化性インク組成物が放射線によって硬化されることを阻害することができる。
【0069】
本発明は、前記方法によって製造されたフォルダブルディスプレイ基板のベゼルパターンを提供する。本発明において、ベゼルパターンは、時計、ディスプレイ装置など各種装置のフレーム部分に形成されるパターンを言う。
【0070】
本発明の一態様において、前記フォルダブルディスプレイ基板は、フォルダブルディスプレイフィルムである。
【0071】
本発明の一態様において、前記フォルダブルディスプレイ基板は、フォルダブルディスプレイフィルムを含みうる。
【0072】
前記ベゼルパターンは、硬化処理した後に測定されるテーパー角が0°超過30°であり、厚さが0.1~20μmであることを特徴とする。また、前記テーパー角は、0°超過10°である。また、前記厚さは、0.5~5μmである。本発明のベゼルパターンは、前記のような特徴を有することにより、大きな段差による短絡、気泡発生及びフィルムの異形による視感品位低下を示さないこともある。
【0073】
前記ベゼルパターンの光学密度は、膜厚さ4.0μm基準に4~5.5であり、必要に応じて、4.5~5である。この場合、ベゼルパターンによる遮蔽特性に優れた長所がある。光学密度が5.5を超過する場合には、投入しなければならない顔料の要求含量が非常に高くなるために、インクの製造及びインクジェット工程に悪影響を及ぼし、紫外線硬化性インク組成物が放射線によって硬化されることを阻害することができる。
【0074】
また、本発明は、前記ベゼルパターンを含むフォルダブルディスプレイ基板を提供する。
【0075】
前記フォルダブルディスプレイ基板は、フォルダブルディスプレイフィルムである。
【0076】
前記フォルダブルディスプレイ基板は、フォルダブルディスプレイフィルムを含みうる。
【0077】
前記ディスプレイは、有機発光素子(Organic Light Emitting Diode、OLED)に使われるものである。
【0078】
以下、本発明の理解を助けるために、望ましい実施例を提示するが、下記の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかなものであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属すことも当然である。
【0079】
実施例
【0080】
[実施例1]紫外線硬化型インク組成物の製造
【0081】
下記表1に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 36重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、本発明の紫外線硬化型インク組成物を製造した。
【0082】
[実施例2]紫外線硬化型インク組成物の製造
【0083】
下記表1に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック18重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 34.5重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、本発明の紫外線硬化型インク組成物を製造した。
【0084】
[実施例3]紫外線硬化型インク組成物の製造
【0085】
下記表1に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 35重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)2重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、本発明の紫外線硬化型インク組成物を製造した。
【0086】
[実施例4]紫外線硬化型インク組成物の製造
【0087】
下記表1に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 33重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)8重量部、増感剤(DBA)2重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、本発明の紫外線硬化型インク組成物を製造した。
【0088】
[実施例5]紫外線硬化型インク組成物の製造
【0089】
下記表1に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 39重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Irgacure 290)3重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、本発明の紫外線硬化型インク組成物を製造した。
【0090】
[実施例6]紫外線硬化型インク組成物の製造
【0091】
下記表1に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 38重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Irgacure 290)4重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、本発明の紫外線硬化型インク組成物を製造した。
【0092】
[実施例7]紫外線硬化型インク組成物の製造
【0093】
下記表1に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 36重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Wet 270)0.5重量部を6時間撹拌混合して、本発明の紫外線硬化型インク組成物を製造した。
【0094】
[実施例8]紫外線硬化型インク組成物の製造
【0095】
下記表1に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 36重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(BYK-3550)0.5重量部を6時間撹拌混合して、本発明の紫外線硬化型インク組成物を製造した。
【0096】
[比較例1]インク組成物の製造
【0097】
下記表2に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 15重量部、オキセタン221 31重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、インク組成物を製造した。
【0098】
[比較例2]インク組成物の製造
【0099】
下記表2に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 20重量部、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(Neopentyl glycol diglycidyl ether)16重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、インク組成物を製造した。
【0100】
[比較例3]インク組成物の製造
【0101】
下記表2に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 36重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(F-554)0.5重量部を6時間撹拌混合して、インク組成物を製造した。
【0102】
[比較例4]インク組成物の製造
【0103】
下記表2に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 38重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、インク組成物を製造した。
【0104】
[比較例5]インク組成物の製造
【0105】
下記表2に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック16.5重量部、分散剤3重量部、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート(Ethylene glycol monobutyl ether acetate)25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 36重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、インク組成物を製造した。
【0106】
[比較例6]インク組成物の製造
【0107】
下記表2に示した組成のように、顔料分散液(カーボンブラック12重量部、分散剤2重量部、コハク酸ジエチル25重量部)、セロキサイド2021P 10重量部、オキセタン221 41.5重量部、付着力増進剤(KBM-403)2重量部、光重合開始剤(Sppedcure 992)6重量部、増感剤(DBA)1重量部、界面活性剤(Flow 370)0.5重量部を6時間撹拌混合して、インク組成物を製造した。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
(A)顔料分散液:ブラック顔料分散液、BK-5313トクシキ製造
(B)脂環式エポキシ:セロキサイド2021Pディーゼル製造
(C)モノマー:OXT-221東亞合成製造、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(LD-203、国都化学製造)
(D)付着力増進剤:KBM-403信越製造
(E)光重合開始剤:カチオン重合性の開始剤Speedcure 992(PF6-、in Propylene carbonate 50%)、lambson製造)、Irgacure 290(BF6-、100% solid、IGM resin製造)、Irgacure 250(PF6-、in Propylene carbonate 25%、IGM resin製造)
(F)増感剤:DBA(9,10-Dibutoxyanrthracene、kawasaki製造、ANTHRACURETM UVS-1331)、ITX(isopropyl thioxanthone、IHT製造)
(G)界面活性剤:Flow 370(アクリル系、TEGO製造)、Wet 270(アクリル系、TEGO製造)、BYK-3550(シリコン系、BYK製造)、F-554(フッ素系、DIC製造)
【0111】
[実施例1から実施例8、比較例1から比較例6]インク組成物で製造された試片の物性評価
【0112】
前記実施例1から実施例8及び比較例1から比較例6で製造されたインク組成物を、横50mm、縦50mm、厚さ50μmのサイズを有する正方形状のTACフィルムに、光学濃度(Optical Density:O.D、X-rite 341C使用)2.5でインクジェットプリンティング(1色印刷)及び395nm UV LEDランプでUV硬化した後に、再び光学濃度2.5でインクジェットプリンティング(2色印刷)及び395nm UV LEDランプでUV硬化して、光学濃度5で試片(sample)を製作して、試片の厚さ及び硬化感度、付着力、再塗装性、硬化後、表面しわ、ダイナミックフォールディング(dynamic folding)、インクジェット工程性及びOCA付着後、気泡発生有無を評価し、その結果を表3及び表4に示した。
【0113】
ここで、硬化感度は、395nmの波長のUV LEDランプを用いて粘着力が消える地点(tack free point)でUVエネルギーを確認し、再塗装性は、1色印刷及び硬化後、2色印刷時に、空き空間なしにインクの塗布が可能か否かを肉眼で確認することで評価し、付着力は、クロスカットテストを実施測定して、0B~5Bで評価し(規格:ASTM D3002、D3359)、ダイナミックフォールディングは、フィルムフォールディングテストマシン(モデル:STS-VRT-5AXIS、サイエンスタウン製作)を使用してフォールディング半径2.5Rで10万回フォールディング(folding)してクラック(Crack)発生有無を確認し、インクジェット工程性は、全ノズルが出る状態でShort pause(3s)及びワイピング(wiping)後、休止時間(idle time)によるジェッティング(jetting)評価で確認し、表面しわは、UV硬化後、表面しわの有無を肉眼で確認して評価した。また、OCA付着後、気泡発生有無は、OCAラミネーション後、オートクレーブ(Autoclave)(50℃、90s)処理した後、顕微鏡でベゼル(bezel)境界面で気泡発生有無を確認して評価した。下記表3及び表4の表面しわ及び再塗装性の評価、OCA付着後、気泡発生において、OK表示は、優れていることを意味し、NG表示は、優れていないことを意味する。
【0114】
【表3】
【0115】
【表4】
【0116】
表1及び表3に示されたように、実施例1から実施例8のインク組成物は、1色印刷後の硬化感度、表面しわ、再塗装性、付着力、ダイナミックフォールディング及びインク工程性において、優れた結果を示した。具体的に、実施例1のインク組成物は、カーボンブラック16.5%、Solvent(コハク酸ジエチル)25%であって、O.D 5で厚さ4μmであり、フィルム変形が発生しない低いUV照射量(<2,000mJ/cm)で硬化可能なインクジェットインクであることを確認することができ、実施例2の組成物は、実施例1でカーボンブラック18%に変更したインクであって、O.D 5で厚さ3.6μmであり、表面しわがなく、2色印刷時に、再塗装性に優れ、実施例3の組成物は、実施例1で光増感剤DBA含量を1重量%から2重量%に高めたインクであって、ベゼル性能に優れ、実施例4の組成物は、実施例3で光重合開始剤speedcure 992の含量を6重量%から8重量%に高めたインクであって、ベゼル性能に優れ、実施例5の組成物は、実施例1で光重合開始剤をIrgacure 290に変更したインクであって、ベゼル性能に優れ、実施例6の組成物は、実施例1で光重合開始剤をIrgacure 250に変更したインクであって、ベゼル性能に優れ、実施例7の組成物は、実施例1で界面活性剤をWet 270に変更したインクであって、2色印刷時に、再塗装性に優れ、実施例8の組成物は、実施例1で界面活性剤をBYK-3550に変更したインクであって、2色印刷時に、再塗装性に優れた。一方、比較例1の組成物は、実施例1で脂環式エポキシ化合物(セロキサイド2021P)の含量を10重量%から15重量%に高め、オキセタン化合物(OXT-221)の含量を36重量%から31重量%に低めたインクであって、表面しわが発生して、再塗装性、付着力、フォールディング性能が良くなかった。また、比較例2の組成物は、実施例1でオキセタン化合物(OXT-221)の含量を36重量%から20重量%に低め、グリシジルエーテル(glycidyl ether)(LD-203、16重量%)を添加したインクであって、硬化感度(3,000mJ/cm)が良くなくて、フィルムに変形が発生した。比較例3の組成物は、実施例1でフッ素系界面活性剤(F-554)を適用したインクであって、再塗装性が良くなく、比較例4の組成物は、実施例1で付着力増進剤(KBM-403)を除去したインクであって、クロスカットテスト 0Bであり、フォールディング性能が良くなく、比較例5の組成物は、実施例1で沸点200℃以下であるエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートを溶媒として使用したものであって、インクジェット工程性が良くなかった。比較例6の組成物は、実施例1でカーボンブラック含量を(16.5%→12%)低めて、O.D 5レベルに2色印刷すれば、印刷厚さ6μmにOCA付着後、オートクレーブ処理しても、気泡が消えなかった。
【0117】
以上、本発明の内容の特定の部分を図面及び実施例を通じて詳しく記述したところ、当業者において、このような具体的技術は、単に望ましい実施態様であり、これにより、本発明の範囲が制限されるものではないという点は明白である。したがって、本発明の実質的な範囲は、下記の特許請求の範囲とそれらの等価物とによって定義される。