(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】バッグインボックスのバッグ収納装置及びバッグ収納方法
(51)【国際特許分類】
B65B 5/04 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
B65B5/04
(21)【出願番号】P 2017226371
(22)【出願日】2017-11-24
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】511087372
【氏名又は名称】アルトリスト株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100144509
【氏名又は名称】山本 洋三
(72)【発明者】
【氏名】水谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】守屋 健志
(72)【発明者】
【氏名】田村 正和
(72)【発明者】
【氏名】喜谷 匡史
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-080244(JP,A)
【文献】登録実用新案第3164956(JP,U)
【文献】特開平11-171101(JP,A)
【文献】特開2002-053101(JP,A)
【文献】米国特許第05195305(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパウトを備え且つ流動物が充填された可撓性材質でなるバッグを開函状態にあるボックスに収納するバッグインボックスのバッグ収納装置であって、
上記バッグを搬送するバッグ搬送手段と、
上記バッグの上記スパウト取り付け部分を該バッグの上下両面から挟持して該スパウトの姿勢を保持する姿勢保持手段と、
上記姿勢保持手段により姿勢が保持された上記スパウトを把持するとともに、該スパウトを把持したまま上記バッグの搬送に追従して移動する把持手段と、
上記バッグ搬送手段の前端側において上記ボックスを開函状態で保持するボックス保持手段を備え、
上記把持手段は、上記バッグが上記バッグ搬送手段側から上記ボックス内に落し込み収納され且つ上記スパウトが該ボックス内の所定位置に配置された後に該スパウトに対する把持状態を解除するように構成されたことを特徴とするバッグインボックスのバッグ収納装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記把持手段が、ロボットアームの先端部に上記スパウトを把持するチャック爪を備えたロボットで構成されたことを特徴とするバッグインボックスのバッグ収納装置。
【請求項3】
スパウトを備え且つ流動物が充填された可撓性のバッグを開函状態にあるボックスに収納するバッグインボックスのバッグ収納方法であって、
バッグ搬送手段によって搬送される上記バッグの上記スパウト取り付け部分を該バッグの上下両面から挟持して該スパウトの姿勢を保持するスパウト姿勢保持工程と、
姿勢保持された上記スパウトを把持手段によって把持するスパウト把持工程と、
該スパウトを把持したまま上記バッグの搬送に追従して上記把持手段を移動させて該バッグを開函状態で保持されたボックスに落し込んで収納するバッグ収納工程と、
上記スパウトを上記ボックス内の所定位置に配置するスパウト配置工程と、
上記スパウトが上記所定位置に配置された後に上記把持手段による該スパウトに対する把持状態を解除する把持解除工程を備えたことを特徴とするバッグインボックスのバッグ収納方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、流動物が充填された可撓性のバッグをボックス内に収納して成るバッグインボックスの製造過程において、上記ボックス内に上記バッグを収納するためのバッグ収納装置及びバッグ収納方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッグインボックスは、飲料(清涼飲料・ミネラルウォーター等)、液体調味料(しょう油・ソース等)、食用油脂(サラダ油、流動状ショートニング等)等の流動性の内容物を、運搬・保管するための容器であって、内容物が充填された可撓性のバッグを、例えば、ダンボール製のボックス内に収納して構成される。そして、上記バッグにはスパウトが取り付けられており、このスパウトはバッグインボックスの流通過程においては該ボックス内に収容されているが、使用時には上記ボックスに設けたスパウト取出穴から外に引き出されて該スパウト取出穴部分にセットされ、内容物の任意量ずつの取出しに使用される。
【0003】
ところで、バッグインボックスの使用に際して、ダンボール等の比較的硬質のボックスに設けたスパウト取出穴から、該ボックス内に収納されている上記バッグのスパウトを外に引き出してこれをセットする場合、予め上記スパウトがボックスの上記スパウト取出穴の近傍に配置されていることが必要であり、このスパウトとスパウト取出穴の位置ズレが大きくなると、上記ボックスが硬質であることとも相まって、該スパウトの上記スパウト取出穴からの取出しが困難となる。このため、ボックスに設けられたスパウト取出穴の位置に、バッグのスパウトを精度よく配置することができる技術の開発が要請されるところである。
【0004】
このような要請に応えるものとして、例えば、特許文献1においては、内容物が充填された内袋Baを吸着ユニット6で吊り上げて外装箱10に落とし込んで収納する技術が提案されている。また、特許文献2においては、内容物が充填された内袋aを、バッグシュータ6内にオーバハングさせた状態にしてから切り離して外装箱8内に落し込み収納することで、該内袋aに設けたスパウト部2を上記外装箱8内の所定位置に配置する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-18348号公報
【文献】特許第5003360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に示されたものでは、上記吸着ユニット6は、シューター9の上方で上記内袋Baに対する吸着を解除し、該内袋Baを自然落下によりシューター9に投入する構成であることから、例えシューター9の上方に達するまでは吸着ユニット6による拘束作用によって該内袋Baの適正な姿勢とか方向が維持されていたとしても、該吸着ユニット6による吸着作用が解除された後は、該内袋Baには何ら規制作用が働かず、該内袋Baは自然落下により外箱内に収納され、しかも該内袋Baが変形し易い可撓性材質であることから、該内袋Baに設けられたスパウト部の位置を外箱に設けたスパウト取出穴に精度よく配置することは困難である。
【0007】
また、特許文献2に示されたものでは、内袋aをバッグシュータ6内にオーバハングさせた状態から、これを切り離して自然落下状態で外装箱8内に落とし込み収納する構成であることから、例え切り離し時点までは該内袋aの方向が適正に維持されていたとしても、切り離すタイミングが該内袋aの幅方向両端でズレたような場合には、該内袋aを予定した方向で外装箱8内に収納することができず、したがって、内袋aに設けたスパウト部2を外箱のスパウト取出穴の位置に精度よく配置することは困難である。
【0008】
そこで本願発明は、バッグインボックスにおいて、液体が充填されたバッグに設けたスパウトをボックスの所定位置に正確に配置し得るバッグ収納装置及びバッグ収納方法を提案することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0010】
本願の第1の発明では、スパウトを備え且つ流動物が充填された可撓性材質でなるバッグを開函状態にあるボックスに収納するバッグインボックスのバッグ収納装置でおいて、上記バッグを搬送するバッグ搬送手段と、上記バッグの上記スパウト取り付け部分を該バッグの上下両面から挟持して該スパウトの姿勢を保持する姿勢保持手段と、上記姿勢保持手段により姿勢が保持された上記スパウトを把持するとともに、該スパウトを把持したまま上記バッグの搬送に追従して移動する把持手段と、上記バッグ搬送手段の前端側において上記ボックスを開函状態で保持するボックス保持手段を備え、上記把持手段は、上記バッグが上記バッグ搬送手段側から上記ボックス内に落し込み収納され且つ上記スパウトが該ボックス内の所定位置に配置された後に該スパウトに対する把持状態を解除するように構成されたことを特徴としている。
【0011】
本願の第2の発明では、上記第1の発明において、上記把持手段を、ロボットアームの先端部に上記スパウトを把持するチャック爪を備えたロボットで構成したことを特徴としている。
【0012】
本願の第3の発明では、スパウトを備え且つ流動物が充填された可撓性のバッグを開函状態にあるボックスに収納するバッグインボックスのバッグ収納方法において、バッグ搬送手段によって搬送される上記バッグの上記スパウト取り付け部分を該バッグの上下両面から挟持して該スパウトの姿勢を保持するスパウト姿勢保持工程と、姿勢保持された上記スパウトを把持手段によって把持するスパウト把持工程と、該スパウトを把持したまま上記バッグの搬送に追従して上記把持手段を移動させて該バッグを開函状態で保持されたボックスに落し込んで収納するバッグ収納工程と、上記スパウトを上記ボックス内の所定位置に配置するスパウト配置工程と、上記スパウトが上記所定位置に配置された後に上記把持手段による該スパウトに対する把持状態を解除する把持解除工程を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本願各発明では次のような効果が得られる。
【0014】
(a)本願の第1の発明
本願の第1の発明に係るバッグインボックスのバッグ収納装置によれば、上記バッグを搬送するバッグ搬送手段と、上記バッグの上記スパウト取り付け部分を該バッグの上下両面から挟持して該スパウトの姿勢を保持する姿勢保持手段と、上記姿勢保持手段により姿勢が保持された上記スパウトを把持するとともに該スパウトを把持したまま上記バッグの搬送に追従して移動する把持手段と、上記バッグ搬送手段の前端側において上記ボックスを開函状態で保持するボックス保持手段を備え、上記把持手段は、上記バッグが上記バッグ搬送手段側から上記ボックス内に落し込み収納され且つ上記スパウトが該ボックス内の所定位置に配置された後に該スパウトに対する把持状態を解除するように構成したので、該把持手段による把持状態が解除された時点において、上記スパウトは上記ボックス内の所定位置に正確に配置され且つ保持される。
【0015】
したがって、このボックス内の上記所定位置を、閉函された状態において該ボックスに設けられるスパウト取出穴に対応する位置に設定しておけば、該バッグインボックスの使用に際して上記スパウト取出穴を開放すると該スパウト取出穴の内側に上記スパウトが臨むこととなり、該スパウトをスパウト取出穴から容易に引き出してセットすることができ、バッグインボックスの取扱性が向上することになる。
【0016】
また、上記姿勢保持手段により上記バッグの上記スパウト取り付け部分を該バッグの上下両面から挟持して該スパウトの姿勢を保持した状態で、上記把持手段によって上記スパウトを把持するようにしているので、例え上記スパウトが、可撓性材質でなり且つ流動物が充填されたバッグに設けられていることから外力によって該スパウトの姿勢が変化し易いものであっても、該スパウトを上記把持手段によって的確に把持することができ、把持作業における信頼性が担保される。
【0017】
(b)本願の第2の発明
本願の第2の発明に係るバッグインボックスのバッグ収納装置によれば、上記(a)に記載の効果に加えて、以下のような特有の効果が得られる。即ち、この発明では、上記把持手段を、ロボットアームの先端部に上記スパウトを把持するチャック爪を備えたロボットで構成したので、ロボットの作動の柔軟性によって、上記チャック爪によって上記スパウトを把持したまま、上記バッグの搬送からボックス側への落とし込み収納までの全移動期間を通じて該バッグの移動に的確に追従することができ、バッグ収納作業の円滑化が促進される。
【0018】
(c)本願の第3の発明
本願の第3の発明に係るバッグインボックスのバッグ収納方法によれば、バッグ搬送手段によって搬送される上記バッグの上記スパウト取り付け部分を該バッグの上下両面から挟持して該スパウトの姿勢を保持するスパウト姿勢保持工程と、姿勢保持された上記スパウトを把持手段によって把持するスパウト把持工程と、該スパウトを把持したまま上記バッグの搬送に追従して上記把持手段を移動させて該バッグを開函状態で保持されたボックスに落し込んで収納するバッグ収納工程と、上記スパウトを上記ボックス内の所定位置に配置するスパウト配置工程と、上記スパウトが上記所定位置に配置された後に上記把持手段による該スパウトに対する把持状態を解除する把持解除工程を備えたので、該把持手段による把持状態が解除された時点において、上記スパウトは上記ボックス内の所定位置に正確に配置され且つ保持される。
【0019】
したがって、このボックス内の上記所定位置が、閉函された状態において該ボックスに設けられるスパウト取出穴に対応する位置に設定すれば、該バッグインボックスの使用に際して上記スパウト取出穴を開放すると該スパウト取出穴の内側に上記スパウトが臨むこととなり、該スパウトをスパウト取出穴から容易に引き出してセットすることができ、バッグインボックスの取扱性が向上することになる。
【0020】
また、バッグ搬送手段によって搬送される上記バッグの上記スパウト取り付け部分を該バッグの上下両面から挟持して該スパウトの姿勢を保持した状態で、該上記スパウトを上記スパウト把持手段によって把持するようにしていることから、例え上記スパウトが、可撓性材質でなり且つ流動物が充填されたバッグに設けられていることから外力によって該スパウトの姿勢が変化し易いものであっても、該スパウトを上記把持手段によって的確に把持することができ、把持作業における信頼性が担保される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本願発明の実施形態に係るバッグインボックスのバッグ収納装置の平面図である。
【
図5】
図1に示したロボットハンドの構造説明図である。
【
図7】バッグ収納作業における第1作業工程説明図である。
【
図8】バッグ収納作業における第2作業工程説明図である。
【
図9】バッグ収納作業における第3作業工程説明図である。
【
図10】バッグ収納作業における第4作業工程説明図である。
【
図11】バッグ収納作業における第5作業工程説明図である。
【
図12】バッグ収納作業における第6作業工程説明図である。
【
図13】バッグ収納作業における第7作業工程説明図である。
【
図14】バッグ収納作業における第8作業工程説明図である。
【
図15】バッグ収納作業における第9作業工程説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び
図2には、本願発明の実施形態に係るバッグ収納装置1を示している。このバッグ収納装置1は、図示しない流動物充填作業部において所要の流動物が充填及び密封された後、該流動物充填作業部のコンベア15側から搬送されるバッグ55をボックス60に収納してバッグインボックスとするものであって、上記流動物充填作業部15に連続する搬送コンベア2(特許請求の範囲中の「バッグ搬送手段」に該当する)と、該搬送コンベア2の前端側に位置する排出コンベア3(特許請求の範囲中の「ボックス保持手段」に該当する)と、上記搬送コンベア2の側方に配置されたロボット4(特許請求の範囲中の「把持手段」に該当する)と、上記搬送コンベア2側に設置された姿勢保持装置5(特許請求の範囲中の「姿勢保持手段」に該当する)を備えて構成される。
【0023】
A:各構成要素の具体的構造
「バッグ55」
上記バッグ55は、
図6に示すように、可撓性材質の矩形袋体で構成され、その一端55a側には樹脂製のスパウト56が取り付けられている。このバッグ55は、このバッグ収納装置1の前段に位置する図示しない流動物充填作業部において流動物(飲料、液体調味料、流動状ショートニング等)が充填及び密封された状態で、流動物充填作業部のコンベア15側から後述の搬送コンベア2側に搬入される。
【0024】
「ボックス60」
上記ボックス60は、
図6に示すように、所定大きさのダンボール製の筐体であって、その本体部61の上面側を開放した状態において該本体部61の内部に上記バッグ55が収納される。また、上記本体部61の上面側には、前側フラップ63と後側フラップ64及び左右の側部フラップ65,65が備えられており、これら各フラップを閉じることで上面が閉止される。この場合、上記前側フラップ63には、スパウト取出穴66がミシン線にて設けられており、該ミシン線において切断することで上記スパウト取出穴66が開口するようになっている。
【0025】
「搬送コンベア2」
上記搬送コンベア2は、
図1及び
図2に示すように、多数のローラ21を備えたローラコンベアで構成され、上記流動物充填作業部のコンベア15の延長上に設置され、該流動物充填作業部15側から搬入される上記バッグ55を順次先端部2a側へ向けて搬送する。なお、この搬送コンベア2は、連続運転されるものではなく、後述する姿勢保持装置5による上記バッグ55のスパウト56の姿勢保持作業、及びこれに続く後述するロボットハンド50のチャック爪53によるスパウト56の把持作業時には停止され、これらの作業の完了後、再運転される。
【0026】
「排出コンベア3」
上記排出コンベア3は、
図1及び
図2に示すように、多数のローラ31を備えたローラコンベアで構成され、上記搬送コンベア2の先端部2a側で、且つ該搬送コンベア2より低位置に、該搬送コンベア2に略直交するように設置される。そして、この排出コンベア3上に上記ボックス60が、その後側フラップ64を上記搬送コンベア2の先端部2a側へ向けた姿勢で載置保持され、該ボックス60内に上記搬送コンベア2側から搬送される上記バッグ55が落し込み状態で収納される。なお、このボックス60の上方位置には、上記搬送コンベア2の端部側から下降傾斜する第1シュート板12と、該第1シュート板12の左右両側においてそれぞれ対向方向内側に向かって下降傾斜する左右一対の第2シュート板13から成るシュート11が配置されている。
【0027】
「ロボット4」
上記ロボット4は、上記搬送コンベア2の先端寄りの側部に設置されており、そのロボットアーム4aの先端には、ロボットハンド50が備えられている。このロボットハンド50は、
図5に示すように、複動型のエアシリンダ51によって進退駆動される左右一対の可動台52に、先端を鉤状に折曲して掛止部53aとしたチャック爪53をそれぞれ取り付けて構成される。そして、この左右一対のチャック爪53の掛止部53aを上記バッグ55に設けたスパウト56の掛止溝56aに掛止し且つ押圧することで該スパウト56を把持するようになっている。
【0028】
なお、上記ロボットハンド50は、上記ロボットアーム4aの旋回、起仰機能及び該ロボットアーム4aと上記ロボットハンド50の連結部に設けた回転機構(図示省略)によって三軸方向へ自由に移動可能とされ、この柔軟な移動機能によって、後述するように上記チャック爪53によって上記バッグ55のスパウト56を把持したまま、しかも該バッグ55側から力を殆ど受けることなく、該バッグ55の動きに追従して移動することができるようになっている。この場合、上記ロボットハンド50の移動速度は、該バッグ55の移動速度に同期するように制御される。
【0029】
「姿勢保持装置5」
上記姿勢保持装置5は、
図1~
図4に示すように、上記搬送コンベア2によって搬送されるバッグ55に設けられた上記スパウト56の姿勢を略直立状態としてこれを保持するものであって、上下方向に離間対向して配置された下側支持プレート6と上側支持プレート8を備えて構成される。
【0030】
上記下側支持プレート6は、長矩形の平板体で構成され、その長軸方向の一端部が、上下方向に進退可能に配置されたエアシリンダ7に取り付けられており、該エアシリンダ7の伸縮作動により上下方向に移動される。なお、該下側支持プレート6は、その最降下位置ではその上面が上記搬送コンベア2のローラ21の天面よりも所定寸法だけ下位に位置するようになっており、そのため、この下側支持プレート6に対応する部分では上記ローラ21の径寸法を部分的に小さくすることで該下側支持プレート6の配置スペースを確保している。
【0031】
上記上側支持プレート8は、長矩形の平板体で構成され、且つその長軸方向の一端側には所定幅で切れ込む切込溝8aが形成されている。そして、この上側支持プレート8は、その切込溝8aの開口を上記搬送コンベア2に前方側へ向けた状態で、支持フレーム10に上下方向に向けて固定されたエアシリンダ9に取り付けられており、該エアシリンダ9の伸縮作動によって上下方向に移動される。また、上記上側支持プレート8の切込溝8aの溝幅は、
図4に示すように、該切込溝8aを除く部分において上記バッグ55の上記スパウト56の近傍を避けてその周囲を押さえることができるとともに、該切込溝8a内に上記ロボットハンド50の上記チャック爪53が進入し得るように(
図11参照)、適宜設定される。
【0032】
そして、上記姿勢保持装置5は、上記搬送コンベア2の各ローラ21に乗って上記流動物充填作業部15側から搬送されてくる上記バッグ55の上記スパウト56の周辺を、上記下側支持プレート6と上記上側支持プレート8によって上下両側から挟み込むことで、該スパウト56の姿勢を安定的に保持し、これによって上記ロボットハンド50の上記チャック爪53による上記スパウト56の把持を容易且つ確実に行うことができるものである。なお、この姿勢保持装置5による上記スパウト56の姿勢保持作業と、これに引き続いて行われる上記ロボットハンド50による上記スパウト56の把持作業は、上記搬送コンベア2により搬送されて来る上記バッグ55が上記姿勢保持装置5の近傍の所定位置に到達した時点で上記搬送コンベア2の運転を一時的に停止させた状態で行われることは既述の通りである。
【0033】
B:バッグ収納装置1の作動説明
以下、
図7~
図15を参照して、上記バッグ収納装置1の作動状態を作業工程順に説明する。
【0034】
「第1作業工程」
第1作業工程は、
図7に示すように、上記流動物充填作業部15側から流動物が充填及び密封されたバッグ55が搬入され、これが上記搬送コンベア2側に受け渡された後、上記姿勢保持装置5に至るまでの工程である。この時点においては、上記姿勢保持装置5は非作動状態、即ち、上記下側支持プレート6は上記搬送コンベア2側の最降下位置にあり、上記上側支持プレート8は上記下側支持プレート6から上方へ大きく離間する最上昇位置にある。また、上記排出コンベア3上には上記ボックス60が開函状態で載置保持されている。
【0035】
「第2作業工程」
第2作業工程は、
図8に示すように、
図7の第1作業工程から上記バッグ55がさらに前方へ搬送され、該バッグ55のスパウト56が上記姿勢保持装置5の位置に達するまでの工程であり、上記搬送コンベア2はこの時点で一時的に停止される。また、この時点において、上記ロボット4のロボットハンド50は上記バッグ55のスパウト56の直上において待機している。
【0036】
「第3作業工程」
第3作業工程は、
図9に示すように、上記第2作業工程の状態から、上記姿勢保持装置5の上記下側支持プレート6が上昇するとともに上記上側支持プレート8が降下して、これら両者によって、上記バッグ55の上記スパウト56が設けられた後端部55a部分を上下両側から挟持して該スパウト56を略直立姿勢とし、且つこれを保持する工程である。
なお、この第3作業工程は、特許請求の範囲中の「スパウト姿勢保持工程」に該当する。
【0037】
「第4作業工程」
第4作業工程は、
図10に示すように、上記姿勢保持装置5によって上記バッグ55のスパウト56の姿勢を保持した状態において、上記ロボットハンド50が降下してそのチャック爪53によって上記スパウト56を把持する工程である。この場合、上記スパウト56は、可撓性材質でなり且つ流動物が充填されたバッグ55に設けられていることから、外力によってその姿勢が変化し易いものであるが、上記姿勢保持装置5によって上記スパウト56の姿勢が保持されていることから、上記チャック爪53によって的確に把持することができ、把持作業における信頼性が担保される。
なお、この第4作業工程は、特許請求の範囲中の「スパウト把持工程」に該当する。
【0038】
「第5作業工程」
第5作業工程は、
図11に示すように、上記第4作業工程の状態から、上記姿勢保持装置5の上記上側支持プレート8が上昇し、該姿勢保持装置5による上記スパウト56の姿勢保持作用が解除された状態である。したがって、この状態では、上記バッグ55は、そのスパウト56が上記ロボットハンド50のチャック爪53によって把持されているだけで、他にこれを拘束するものは存在しない。
【0039】
この第5作業工程の完了後、上記搬送コンベア2が再駆動され、上記バッグ55は該搬送コンベア2によってその先端部2a側へ搬送される。この場合、上記ロボットハンド50は、そのチャック爪53によって上記バッグ55のスパウト56を把持したまま、該スパウト56部分に張力を殆ど掛けないように、該バッグ55の搬送速度に対応した速度で追従して移動するようにその移動速度が制御される。
なお、ロボットハンド50の移動速度は、あらかじめバッグ55の搬送速度の予測値に基づいて設定しておけばよいが、バッグ55の搬送速度に同期してロボットハンド50の移動速度を適宜に変化させるように制御してもよい。
【0040】
「第6作業工程」
第6作業工程は、
図12に示すように、上記スパウト56が上記ロボットハンド50のチャック爪53によって把持された状態のまま、上記バッグ55が上記搬送コンベア2によって搬送される工程であり、この作業工程の進行に伴って上記バッグ55はその先端部55b部分から次第に上記シュート11側に迫り出し、該バッグ収納装置1の第1シュート板12及び第2シュート板13に案内されながら上記ボックス60側に向けて降下し始める。このように、バッグ55が上記搬送コンベア2から前方へ迫り出して上記ボックス60側へ降下し始めると、該バッグ55には上記搬送コンベア2から前方へ迫り出した部分の自重による引下げ作用が働くことから、該バッグ55の移動速度は上記搬送コンベア2の搬送速度以上に上昇するが、このバッグ55の搬送速度の上昇に対応して上記ロボットハンド50の移動速度も上昇するように制御される。
このようなロボットハンド50の移動速度の変化の制御としては、あらかじめバッグ55の搬送速度の変化の予測値に基づいてロボットハンド50の移動速度が変化するように設定しておけばよいが、バッグ55の搬送速度の変化を検出して、かかる検出値に基づいてロボットハンド50の移動速度を瞬時に同期変化させるようにしてもよい。
【0041】
「第7作業工程」
第7作業工程は、
図13に示すように、上記第6作業工程からさらに上記バッグ55の搬送が進み、該バッグ55の大部分が上記シュート11に案内されながら上記ボックス60内に落とし込まれる工程である。この時点では、上記バッグ55は殆ど該バッグ55の自重による自然落下状態となり、その落とし込み速度はさらに大きくなっており、これに追従すべく上記ロボットハンド50の移動速度も上昇している。
【0042】
「第8作業工程」
第8作業工程は、
図14に示すように、上記バッグ55の全体が上記ボックス60内に落とし込まれてその先端部が該ボックス60の底面に載置されるとともに(符号55Aで示す状態)、さらにバッグ55が自重により流動変形して上記ボックス60内に充填される(符号55Bで示す状態)工程である。この工程においては、上記ロボットハンド50は、図示するように、上記スパウト56を把持したまま上記バッグ55の移動及び変形に追従して移動し、最終的には当初予定された位置に上記スパウト56を配置する(符号50Aで示す状態)。
【0043】
この最終的な上記ロボットハンド50の位置は、上記ボックス60のスパウト取出穴66の形成位置に対応して予め設定されており、例えば、上記バッグ55の上記ボックス60への落とし込み状態とか該ボックス60内での流動変形状態がバッグ55毎に異なったとしても、最終的には、該ロボットハンド50は予め設定された位置に移動して停止する。なお、この第8作業工程は、特許請求の範囲中の「バッグ収納工程」及び「スパウト配置工程」に該当する。
【0044】
「第9作業工程」
第9作業工程は、
図15に示すように、上記第8作業工程の最終段階、即ち、上記ロボットハンド50によって上記スパウト56が上記ボックス60内の予定位置に配置された状態から、上記ロボットハンド50がそのチャック爪53による上記スパウト56に対する把持状態を解除して上記ボックス60の上方側へ退避する工程である。この第9作業工程は、特許請求の範囲中の「把持解除工程」に該当する。
【0045】
この状態においては、上記バッグ55のスパウト56の配置位置は、上記第8作業工程の最終段階で設定された位置のまま維持されているので、上記ボックス60の各フラップ63~65を閉じてこれを閉函してバッグインボックスを構成したとき、上記スパウト56は上記前側フラップ63に設けた上記スパウト取出穴66に対応することになる。したがって、このバッグインボックスの使用に際して、上記ボックス60の前側フラップ63にミシン線で形成されたスパウト取出穴66を開口させた場合、該スパウト取出穴66の奥側に上記スパウト56が臨んでいるため、該スパウト取出穴66から上記スパウト56を引き出してこれを該スパウト取出穴66部分に容易にセットすることができ、該バッグインボックスの取扱性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明に係るバッグ収納装置及びバッグ収納方法は、飲料、液体調味料等の流動物の包装容器として用いられるバッグインボックスの製造分野において利用されるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 ・・バッグ収納装置
2 ・・搬送コンベア(バッグ搬送手段)
3 ・・排出コンベア(ボックス保持手段)
4 ・・ロボット(把持手段)
5 ・・姿勢保持装置(姿勢保持手段)
6 ・・下側支持プレート
7 ・・エアシリンダ
8 ・・上側支持プレート
9 ・・エアシリンダ
10 ・・支持フレーム
11 ・・シュート
12 ・・第1シュート板
13 ・・第2シュート板
15 ・・流動物充填作業部のコンベア
21 ・・ローラ
31 ・・ローラ
50 ・・ロボットハンド
51 ・・エアシリンダ
52 ・・可動台
53 ・・チャック爪
55 ・・バッグ
56 ・・スパウト
60 ・・ボックス
61 ・・本体部
63 ・・前側フラップ
64 ・・後側フラップ
65 ・・側部フラップ
66 ・・スパウト取出穴