(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20220203BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20220203BHJP
G03G 15/04 20060101ALN20220203BHJP
【FI】
G03G15/00 303
B41J29/393 107
G03G15/04
(21)【出願番号】P 2017229672
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 浩平
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 克也
(72)【発明者】
【氏名】新地 康人
(72)【発明者】
【氏名】赤津 慎一
(72)【発明者】
【氏名】武藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山村 宏樹
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-010569(JP,A)
【文献】特開2014-132318(JP,A)
【文献】特開2006-256086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0067882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
B41J 29/393
G03G 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの入力を受け付ける入力受付部と、
像担持体上に画像形成を行う画像形成部と、
前記像担持体上の画像濃度を検知し、検知結果を出力する濃度検知部と、
少なくとも前記画像形成部による画像形成を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記画像形成部が形成する画像の濃度ムラの補正を行う画像形成装置において、
前記濃度ムラは、前記像担持体に対する画像形成時の前記像担持体の搬送方向と直交する方向である主走査方向の濃度ムラであって、
前記画像形成部は、互いに濃度が異なる複数の濃度ムラ補正用パターンを形成し、
前記制御部は、前記複数の濃度ムラ補正用パターン毎に、前記濃度検知部が検知した前記複数の濃度ムラ補正用パターンの画像濃度に基づいて前記濃度ムラの補正をするための前記画像形成部による画像形成条件の補正量を算出し、
前記入力受付部が受け付けた濃度レベルに応じて前記各補正量に重み付けを行って、前記濃度レベルの画像についての前記濃度ムラの補正をするための補正量を算出し、
異なる複数の濃度レベルのうち、前記入力受付部が受け付けた前記濃度レベルの画像について、前記濃度ムラの補正を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数の濃度レベルの数よりも、形成される前記複数の濃度ムラ補正用パターンの数の方が少ないことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記濃度検知部は、検知部と、位置ずれ補正部とを有し、
前記検知部は主走査方向の位置に応じた画像濃度である画像濃度分布を検知し、
前記位置ずれ補正部は、前記画像濃度分布から前記濃度ムラ補正用パターンの主走査方向の中心位置である検知結果中心位置を算出し、
前記濃度ムラ補正用パターンの主走査方向の中心位置である補正パターン中心位置と前記検知結果中心位置とのずれ幅を算出し、
前記ずれ幅分、主走査方向の検知位置をずらして前記検知結果として前記画像濃度を出力することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成部は、
感光体と、
前記感光体の表面を帯電させる帯電部と、
帯電された前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する露光部と、
前記静電潜像にトナーを付着させトナー像を形成する現像部と、
前記トナー像を前記像担持体上に転写する転写部と、
前記トナー像を前記像担持体に定着させる定着部とを有し、
前記補正量は、前記露光部の露光パワーの補正量であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記濃度検知部は、前記定着部から排出された前記像担持体上の画像を検知する位置に配置されることを特徴とする
請求項4記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(複合機)のような用紙に出力する画像の処理を行う機器等において、用紙の搬送方向に直交する方向である主走査方向の濃度ムラを補正するシェーディング補正技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、ユーザの作業負荷の軽減とダウンタイム削減を目的として、用紙上に印刷されたパターンを測定して補正の必要があるかどうかの判定を行い、必要な場合に主走査方向のシェーディング補正を行う装置が記載されている。また、特許文献1には、この装置において判定の基準となる値をユーザが設定できることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の装置は所望の濃度に特化した濃度ムラ補正ができないため、高画質の印刷を必要とするユーザに対応できない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、ユーザの入力を受け付ける入力受付部と、像担持体上に画像形成を行う画像形成部と、前記像担持体上の画像濃度を検知し、検知結果を出力する濃度検知部と、少なくとも前記画像形成部による画像形成を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記画像形成部が形成する画像の濃度ムラの補正を行う画像形成装置において、前記濃度ムラは、前記像担持体に対する画像形成時の前記像担持体の搬送方向と直交する方向である主走査方向の濃度ムラであって、前記画像形成部は、互いに濃度が異なる複数の濃度ムラ補正用パターンを形成し、前記制御部は、前記複数の濃度ムラ補正用パターン毎に、前記濃度検知部が検知した前記複数の濃度ムラ補正用パターンの画像濃度に基づいて前記濃度ムラの補正をするための前記画像形成部による画像形成条件の補正量を算出し、前記入力受付部が受け付けた濃度レベルに応じて前記各補正量に重み付けを行って、前記濃度レベルの画像についての前記濃度ムラの補正をするための補正量を算出し、異なる複数の濃度レベルのうち、前記入力受付部が受け付けた前記濃度レベルの画像について、前記濃度ムラの補正を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザが所望する濃度レベルにおいて濃度ムラ補正を行うことができるため、より高画質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】プリンタエンジンのハードウェア構成図である。
【
図6】濃度センサの主走査方向に垂直な断面図である。
【
図10】濃度ムラ補正における重み付けの説明図である。
【
図11】主走査方向における、補正量の算出に寄与する画像濃度分布、重みづけの結果得られる書き込み補正量分布、重みづけの結果得られるLDパワー分布を示す概念図である。
【
図13】ユーザが濃度ムラ補正レベルを選択する画面例である。
【
図14】ユーザが補正開始を入力する画面例である。
【
図19】用紙ずれが生じた場合の画像濃度検知結果のグラフである
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0009】
本実施形態の画像形成装置1は、コピー機能、ファクス機能、プリンタ機能、スキャナ機能、また、入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿や、プリンタ機能あるいはファクス機能により入力された画像)に画像処理を施す機能、入力画像を保存や配信する機能等を複合して有するいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称される複合機である。なお、本実施形態において、画像形成装置1で処理される「画像」には画像データだけでなく、画像データが含まれていないデータ、つまりテキスト情報のみのデータも含むものとする。
【0010】
図1は、画像形成装置1のハードウェア構成図である。画像形成装置1は、
図1に示すように、画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、ROM(Read Only Memory)20と、RAM(Random Access Memory)30と、HDD(Hard Disc Drive)40と、外部通信I/F50と操作パネル60と、濃度センサ70と、プリンタエンジン100とを有する。また、これらを相互接続するシステムバス80を有している。
【0011】
CPU10は、画像形成装置1の動作を制御する。すなわちCPU10は、RAM30をワークエリア(作業領域)として、ROM20又はHDD40に記憶されたプログラムを実行することで、画像形成装置1全体の動作を制御し、上述したコピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能などの各種機能を実現する。
【0012】
ROM20は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM30は、プログラムやデータを一時記憶する揮発性の半導体メモリである。
【0013】
HDD40は、プログラムやデータを記憶している不揮発性のメモリである。HDD40に記憶されるプログラムやデータには、画像形成装置1の全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)やOS上で動作する各種アプリケーションプログラム、上述したコピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能などの各種機能の動作条件等がある。これらの各種機能が実行した動作(以降ジョブと呼ぶことがある)は、その都度、画像形成装置1の動作なども記憶可能である。
【0014】
外部通信I/F50は、画像形成装置1をインターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークに接続するためのインターフェースである。画像形成装置1は、外部通信I/F50を介して、外部装置からの印刷指示や画像データ等を受信することができる。
【0015】
操作パネル60は、利用者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば受け付けた操作を示す情報、画像形成装置1の動作状況を示す情報、画像形成装置1の設定状態を示す情報など)を表示する。操作パネル60は、一例としてタッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electro-Luminescence)表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。操作パネル60は、CPU10により制御される
【0016】
画像形成部であるプリンタエンジン100は、プリンタ機能、コピー機能、ファクス機能、などを実現させるためのハードウェアである。すなわちプリンタ、コピー、ファクス,スキャナ等のハードウェアである。プリンタ機能は電子写真方式、インクジェット方式などが適用可能だが、これに限られない。その他印刷済み用紙を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(Auto Document Feeder)のような特定のオプションを備えることもできる。プリンタエンジン100は、CPU10により制御される。
【0017】
画像形成装置1はさらに、外部インターフェースを有し、外部インターフェースを介して、CD(Compact Disc)やDVD、SD(Secure Degital)メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部記録媒体の読み取りや書き込みを行うようにしてもよい。
【0018】
なお、ROM20又はHDD40に記憶されたプログラムは、コンピュータで処理可能なプログラムである。画像形成装置1の製造時や出荷時にROM20又はHDD40にインストールしてもよいし、販売後にインストールすることもできる。販売後にインストールする方法としては、プログラムが記憶された外部記憶媒体を用い外部記憶媒体ドライブを介してインストールする方法や、外部通信I/F50を用いてネットワークを介してインストールする方法が可能である。
【0019】
図2はプリンタエンジン100のハードウェア構成図である。なお、説明のために操作パネル60および濃度センサ70も図示している。
【0020】
プリンタエンジン100は、筐体90内部に設けられ、露光部101と、作像部102と、転写部103と、定着装置104とを有する。そして筐体90の上部には、操作パネル60が設けられている。
【0021】
作像部102は、それぞれが像担持体であるイエロー(Y)用感光体120y、ブラック(K)用感光体120k、マゼンタ(M)用感光体120m、シアン(C)用感光体120cを有する。作像部102はまた、それぞれが現像部であるイエロー(Y)用現像器121y、ブラック(K)用現像器121k、マゼンタ(M)用現像器121m、シアン(C)用現像器121cを有する。作像部102はさらに、それぞれが帯電部であるイエロー(Y)用帯電器122y、ブラック(K)用帯電器122k、マゼンタ(M)用帯電器122m、シアン(C)用帯電器122cを有する。
【0022】
また、転写部103は、中間転写ベルト130、2次転写ベルト133などを有する。そして定着部である定着装置104は、定着部材141、排出ローラ142などを有する。
【0023】
以降
図2を用いてプリンタエンジン100の動作を説明する。
【0024】
露光部101は、作像部102の感光体120y~120cを露光し、各感光体上に画像データに応じた潜像を書き込むための書き込み光を出射する。つまり画像データの画像パターンに応じた書き込み位置と、画像濃度に応じた書き込み光量で選択的に光ビームを出射する。書き込み光は、レーザー光源やLED(Light Emittig Dilde)光源からの光などを用いればよいが、以下は一例として、LD(Laser Diode)を有するレーザー光源を用いた場合を説明する。
【0025】
まず、レーザー光源から出射された光ビームBMは、ポリゴンミラー110により偏向され、それぞれがfθレンズを含む走査レンズ111a,111bに入射する。なお、レーザー光源から光ビームBMが出射される構成および動作については後述する。
【0026】
上記光ビームは、イエロー(Y),ブラック(K),マゼンタ(M),シアン(C)の各色の画像に対応した数が発生されていて、それぞれ走査レンズ111a,111bを通過した後、反射ミラー112y~112cで反射される。
【0027】
例えば、イエローの光ビームYは走査レンズ111aを透過して反射ミラー112yで反射されてWTLレンズ113yへ入射される。ブラック,マゼンタ,シアンの各色の光ビームK,M,Cについても同じなのでそれらの説明は省略する。
【0028】
WTLレンズ113y~113cは、それぞれ入射された各光ビームY~Cを整形した後、反射ミラー114y~114cへと各光ビームY~Cを偏向させる。そしてその各光ビームY~Cはさらに反射ミラー115y~115cで反射され、それぞれ露光のために使用される光ビームY~Cとして感光体120y~120cへと照射される。
【0029】
感光体120y~120cへの光ビームY~Cの照射は、感光体120y~120cに対する主走査方向および副走査方向に関して、タイミング同期が行われている。なお、感光体は一例として主走査方向に長いドラム状であり、感光体ドラムということもある。
【0030】
以下、感光体120y~120cに対する主走査方向を、光ビームの走査方向として定義し、副走査方向を、主走査方向に対して直交する方向、すなわち、感光体120y~120cの回転する方向として定義する。
【0031】
感光体120y~120cは、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含む光導電層を備えている。
【0032】
上記光導電層は、それぞれ感光体120y~120cに対応して設けられ、コロトロン帯電器または、スコロトロン帯電器、又は帯電ローラなどを含んで構成される帯電部としての帯電器122y~122cにより、帯電バイアスに応じて表面電荷が付与される。
【0033】
各帯電器122y~122cによって感光体120y~120c上にそれぞれ付与された静電荷は、書き込み光としての光ビームY~Cによりそれぞれ画像パターンに応じて露光され、各帯電器122y~122cの被走査面上に静電潜像が形成される。
【0034】
感光体120y~120cの被走査面上にそれぞれ形成された静電潜像は、現像バイアスが印加された現像スリーブ,トナー供給ローラ,規制ブレードなどを含む現像部である現像器121y~121cによりそれぞれ現像され、感光体120y~120cの被走査面上にトナー像が形成される。
【0035】
感光体120y~120cの被走査面上に担持された各現像剤は、搬送ローラ131a~131cにより矢示Dの方向に移動する中間転写ベルト130上に転写される。132y~132cは、それぞれ感光体120y~120cに対する1次転写ローラである。
【0036】
像担持体としての中間転写ベルト130は、感光体120y~120cの被走査面上からそれぞれ転写されたY,K,M,Cの現像剤を担持した状態で2次転写位置Fへと搬送される。
【0037】
2次転写ベルト133は搬送ローラ134a,134bに架け渡され、さらに搬送ローラ134a,134bの回転により矢示Eの方向に搬送される。
【0038】
2次転写位置Fには、給紙カセットなどの用紙収容部Tから上質紙,プラスチックシートなどの受像材である用紙Pが搬送ローラ135により供給される。2次転写位置Fでは、2次転写バイアスを印加して、中間転写ベルト130上に担持された多色現像剤像を、2次転写ベルト133上に吸着保持された用紙Pに転写する。用紙Pは主走査方向と直交する方向に搬送される。
【0039】
上記用紙Pは、2次転写ベルト133の搬送に伴い、定着部としての定着装置104へと供給される。
【0040】
上記定着装置104は、シリコーンゴム,フッ素ゴムなどを含む定着ローラなどの定着部材141含んで構成されていて、用紙Pと多色現像剤像とを加圧加熱し、排出ローラ142によって画像形成後の用紙P′(以下用紙P´と呼ぶ。)として定着装置104の外部へと排出される。
【0041】
定着装置104から排出された像担持体としての用紙P´上の画像は、濃度センサ70によって画像濃度が検知される。濃度センサ70の詳細は後述するが、濃度センサ70によって検知された画像濃度に基づき、主走査方向の濃度ムラ補正が行われる。
【0042】
上記多色現像剤像を転写した後の中間転写ベルト130は、クリーニングブレードを含むクリーニング部139によって転写残現像剤が除去された後、次の像形成プロセスへと供給されている。
【0043】
以上のプリンタエンジン100の動作において、像担持体である感光体120y~120cの回転方向、像担持体である中間転写ベルト130の搬送方向、そして像担持体である用紙Pおよび用紙P´の搬送方向は、主走査方向に対してはいずれも直交する方向であり、副走査方向と同じ方向になる。
【0044】
なお
図2において濃度センサ70は、定着装置の後に配置されているが、例えば搬送ローラ131aの近傍に設置すれば、中間転写ベルト130上に画像形成された画像の画像濃度を検出することもできる。
【0045】
図3は、露光部101の光源ユニットの概略構成図である。
図3を用いて、
図2の光ビームBMが出射され感光体を露光する構成・動作を説明する。
【0046】
露光部101は、光源ユニットであるLDユニット116-1、116-2を有している。LDユニット116-1、116-2はそれぞれレーザー素子を有しており、各レーザー素子は、画像データに応じた書き込み位置に、画像データに応じた書き込み光量で選択的に光ビームを出射するように駆動される。
【0047】
LDユニット116-1から出射された光ビームは、シリンダレンズ117-1を通り、ポリゴンモータによって回転するポリゴンミラー110に入射する。なお、LDユニット116-1は、上部と下部とにLDを有しており、上部のLDから出射されたM色の光ビームは、ポリゴンミラー110の上方面に入射し、下部のLDから出射されたC色の光ビームは、ポリゴンミラー110の下方面に入射するようになっている。
【0048】
ポリゴンミラー110の上方面に入射したM色の光ビームは、ポリゴンミラー110が回転することにより偏向され、偏向されたM色の光ビームは、走査レンズ111bを通り、反射ミラー112mに入射する。その後
図2で説明したように感光体120M上を走査する。
【0049】
ポリゴンミラー110の下方面に入射したC色の光ビームは、ポリゴンミラー110が回転することにより偏向され、偏向されたC色の光ビームは、走査レンズ111bを通り、反射ミラー112cに入射する。その後は
図2で説明したように感光体120C上を走査する。
【0050】
また、主走査方向の非画像書き込み領域の画像書き出し位置より前方である主走査方向書出し側端部には、同期ミラー118-1及び同期センサ119-1が備わっている。走査レンズ111bを透過したM、C各色の光ビームは、同期ミラー118-1によって反射され、同期センサ119-1に入射する。同期センサ119-1は、M、CY各色の光ビームが入射されることで、当該色の主走査の書き出しタイミングを決定するための同期検知信号を出力する。
【0051】
次にLDユニット116-2から出射された光ビームは、シリンダレンズ117-2を通り、ポリゴンモータによって回転するポリゴンミラー110に入射する。なお、LDユニット116-2は、上部と下部とにLDを有しており、上部のLDから出射されたK色の光ビームは、ポリゴンミラー110の上方面に入射し、下部のLDから出射されたY色の光ビームは、ポリゴンミラー110の下方面に入射するようになっている。
【0052】
ポリゴンミラー110の上方面に入射したK色の光ビームは、ポリゴンミラー110が回転することにより偏向され、偏向されたY色の光ビームは、走査レンズ111aを通り、反射ミラー112kに入射する。その後
図2で説明したように感光体120K上を走査する。
【0053】
ポリゴンミラー110の下方面に入射したY色の光ビームは、ポリゴンミラー110が回転することにより偏向され、偏向されたY色の光ビームは、走査レンズ111aを通り、反射ミラー112yに入射する。その後は
図2で説明したように感光体120Y上を走査する。
【0054】
また、主走査方向の非画像書き込み領域の画像書き出し位置より前方である主走査方向書出し側端部には、同期ミラー118-2及び同期センサ119-2が備わっている。走査レンズ111aを透過したK、Y各色の光ビームは、同期ミラー118-2によって反射され、同期センサ119-2に入射する。同期センサ119-2は、K、Y各色の光ビームが入射されることで、当該色の主走査の書き出しタイミングを決定するための同期検知信号を出力する。
【0055】
次に
図4を用いて濃度センサ70の構成について述べる。
図4は、濃度センサ70の斜視図である。濃度センサ70は主走査方向に長い形状をしている。内部に主走査方向に長い形状をした画像素子を有し、ラインセンサと呼ばれることもある。濃度センサ70の主走査方向の検知幅は、
図4中、主走査方向に点線で示される幅である。この検知幅は用紙P´の主走査方向の幅よりも長いため、主走査方向に点線で示される幅を通過するように用紙P´を搬送させると、用紙P´上の全域にわたり画像濃度を検出することが可能である。
【0056】
図5は、濃度センサ70が有する画像素子の概略構成図である。
図5に示すように画像素子71は、主走査方向に延びた形状をしており、小さな受光素子72-0~72-n(以降互いに区別しなくてよい場合は受光素子72と記載する)が主走査方向に並べて配置されている。受光素子72の並んだ範囲が、上述の濃度センサ70の主走査方向の検知幅となる。
【0057】
図6は、濃度センサ70の主走査方向に垂直な断面図である。
図6に示すように、濃度センサ70は内部に、前述の画像素子71と、さらに光源73と、レンズアレイ74と、出力回路75とを有している。点線は光源73から出射された光を表している。
【0058】
光源73としては、発光素子が導光体の端部に設けられたものやLEDアレイなどが使用可能である。光源73は、RGBの光を照射する。レンズアレイ74としては、セルフォック(登録商標)レンズなどが用いられる。
【0059】
光源73から出射された光は、用紙P´上で反射され、レンズアレイ74により結像される。画像素子71は、レンズアレイ74により結像された光を、
図5で示した各受光素子72で受光し、受光した光に応じた信号を出力する。画像素子71としては、CMOSセンサやCCDセンサなどが用いられる。
【0060】
出力回路75は、一例としてASIC(Application Specific Integrated Circuit)などが用いられ、画像素子71上の各受光素子72からの信号に基づき、パターンの用紙P´上の位置に応じた画像濃度を示すデータに変換して出力する。例えば8bitで表される0~255階調を出力する。
【0061】
図7は、画像形成装置1の機能ブロック図である。入力受付部150は、操作パネル60によって実現され、ユーザに対し操作に必要な情報を表示し、ユーザによる各種入力を受け付ける機能を実行する。また入力受付部150は、外部通信I/F50の処理によっても実現され、外部機器からLAN(Local Area Network)やインターネット経由で入力されるユーザによる印刷指示や設定変更を受け付ける機能を実行する。
【0062】
表示制御部160は、CPU10がRAM30を作業領域としてROM20またはHDD40に記憶されたプログラムを実行することで実現され、入力受付部150に表示する表示画面を制御する機能を実行する。
【0063】
通信制御部170は、外部通信I/F50の処理によって実現され、画像情報を外部へメール送信したり、各種設定情報を外部機器から設定可能な場合には、外部装置とネットワーク経由で通信したりする機能を実行する。
【0064】
制御部180は、CPU10がRAM30を作業領域としてROM20またはHDD40を実行することによって実現され、画像形形成装置1全体の機能、一例として、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能を実行する。
【0065】
制御部180は、補正制御部181と、補正量算出部と、プリンタ制御部183とを有する。補正制御部181は、プリンタ機能における濃度ムラ補正を制御する機能を実行する。補正量算出部182は、濃度ムラを補正するための、画像形成条件の補正量を算出する機能を実行する。プリンタ制御部は、特にプリンタエンジン100を制御する機能を実行する。補正制御部181と、補正量算出部182と、プリンタ制御部183の詳細については後述する。
【0066】
濃度検知部190は、濃度センサ70によって実現され、プリンタエンジン100によって形成された画像パターンの濃度を検知し、検知した結果を出力する機能を実行する。
【0067】
濃度検知部190は、検知部191と、用紙ずれ補正部192とを有する。検知部191は、画像素子71によって実行され、画像濃度を示す信号を検知する機能を実行する。用紙ずれ補正部192は、出力回路75によって実行され、画像濃度を示す信号から用紙の搬送ずれを検知し、搬送ずれを補正したデータを検知結果として出力する。
【0068】
読出・書込処理部200は、CPU10がRAM30を作業領域としてROM20またはHDD40を実行することによって実現され、記憶部210に各種データを記憶したり、記憶された各種データを読み出したりする機能を実行する。
【0069】
記憶部210は、ROM2またはHDD40の処理によって実行され、プログラムや文書データ、画像形成装置1の動作に必要な画像形成条件や各種設定情報、画像形成装置1の動作ログ等を記憶する機能を実行する。画像形成条件の例としては、帯電バイアス、現像バイアス、光書き込み光量、転写バイアスなどが挙げられる。
【0070】
なお、記憶部210に記憶される各種情報は、画像形成装置1出荷前に設定してもよいし、販売後に更新されてもよい。なお記憶される情報によって、RAM30の一時的な記憶機能により実行してもよい。
【0071】
記憶部210は、補正内容記憶部211と、パターン記憶部212と、重み付け記憶部213とを有する。補正内容記憶部211は、各種画像形成条件の補正内容を記憶する機能を実行する。パターン記憶部212は、補正パターンなど、あらかじめ決められた各種画像パターンを記憶する機能を実行する。重み付け記憶部213は、後述する濃度ムラ補正の補正量を算出するために用いる重み付けを記憶する機能を実行する。
【0072】
図8は、画像形成装置1が実行する濃度ムラ補正処理のフロー図である。
【0073】
まず、入力受付部150が、ユーザが入力した濃度ムラ補正を実行したい濃度レベルを受け付ける(S1)。すると制御部180は、受け付けた濃度レベルについて、主走査方向の濃度ムラ補正を行う(S2)。濃度ムラ補正とは、画像形成条件の少なくとも一部を、濃度ムラをなくすように変更する補正である。
【0074】
このように本実施形態ではユーザが入力した濃度レベルについて濃度ムラ補正を実行するので、よりユーザの要求に合致した画像品質を得ることができる。
【0075】
次に入力受付部150は、確認印刷をするかどうかをユーザから受け付ける(S3)。確認印刷とは、濃度ムラ補正の効果をユーザが確認するために印刷である。ユーザは確認印刷の結果出力された用紙上の画像を見て、望んだ画像が得られたかを確認できる。
【0076】
制御部180は、ユーザからの入力が、確認印刷「不要」の場合は(S4)は、補正結果の反映を行う(S8)。補正結果とは、一例として補正後の画像形成条件、他の例として、画像形成時に画像形成条件に加えられる補正量などである。補正結果の反映とは、一例として補正結果を補正内容記憶部211に記憶するということもできる。この時の記憶は、一時記憶ではなく、一度画像形成装置1の電源を切ったとしても消去されない、HDD40のような不揮発性記憶媒体への記憶が望ましい。そうすることで、補正結果を次回の画像形成の際に読み出して、補正後の画像形成条件で画像形成を行うことができる。
【0077】
ステップS8で補正結果の反映を行った後は、表示制御部160が、例えば濃度ムラ補正を完了した旨のメッセージを、操作パネル60に表示して終了する(S9)。
【0078】
ステップS4に戻ると、制御部180は、ユーザからの入力が、確認印刷「要」の場合は(S4)は、濃度ムラ補正の結果である画像形成条件で、確認印刷を実行する(S5)。
【0079】
入力受付部150は、ユーザが確認印刷を確認した結果、補正結果を反映するかどうかの入力を受け付ける(S6)。
【0080】
制御部180は、ユーザの入力結果が「反映する」の場合は補正結果を反映し(S8)、その後、表示制御部160が、例えば濃度ムラ補正を完了した旨のメッセージを、操作パネル60に表示して終了する(S9)。
【0081】
ユーザの入力結果が「反映しない」の場合は、表示制御部160は、例えば濃度ムラ補正を行わずに終了する旨メッセージを操作パネル60に表示して(S10)、本処理フローは終了する。
【0082】
またステップS7におけるユーザの入力結果が「再度確認印刷を行う」の場合は、確認印刷実行(ステップS5)に戻り、確認印刷を繰り返して実行可能である。
【0083】
ここで、濃度ムラ補正技術について述べると、画像形成装置1を構成する各部材の形状・性質のばらつきや、経時変化、画像形成装置1が設置された環境の環境変化などにより、画像データに従った画像の濃度が得られず、画像濃度に、ユーザが望まないムラが生じることがある。そこで用紙や中間転写ベルト上に主走査方向に一定濃度の画像パターンである濃度ムラ補正用パターンを形成し、当該パターンの画像濃度を読み取って、ムラがあればそのムラが無くなるように各種画像形成条件を補正する技術がある。
【0084】
しかし、高画質を望むユーザからはさらに、ある特定範囲の濃度レベルについて濃度ムラをなくしたいというニーズがある。また、濃度ムラの発生原因によっては、ある特定範囲の濃度レベルに濃度ムラが発生しやすくなることもある。そこで本実施形態は、ユーザから受け付けた濃度レベルについて、濃度ムラ補正を実施するものである。
【0085】
以下では、一例として補正する画像形成条件が、露光部101による書き込み光の露光パワーであるLDパワーである場合を説明する。この場合、例えば主走査方向に形成した一定濃度の画像の画像濃度を検知し、検知された濃度ムラが無くなるように、濃度ムラの位置に応じた書き込み位置における書き込み光のLDパワーの強弱を補正すればよい。
【0086】
図9は、濃度ムラ補正用パターンの例である。(以降濃度ムラ補正用パターンを補正パターンと呼ぶことがある。)なお、
図9中のR,C,Fは、画像形成装置1の主走査方向の奥行きを示している。つまりRは主走査方向に装置の奥側、Cが中央部を示し、Fは前面側、つまり例えばユーザが操作パネル60などを操作する側を表している。以降の説明や図においても同様である。
【0087】
図9は、補正パターンを画像形成された用紙P´が、濃度センサ70に向かって搬送されていることを示している。用紙P´上には、K色で互いに異なる濃度の補正パターン4つと、M色で互いに異なる補正パターン4つとが形成されている。M色の補正パターン4つの中で、濃度の低い方からD1~D4と示す。それぞれの補正パターンは、それぞれの補正パターンの中では同じ濃度となるよう形成されている。
【0088】
本実施形態の画像形成装置1は、
図9に示したように、各色の互いに異なる濃度の複数の補正パターンを作成し、それぞれの補正パターン毎に検知された画像濃度に基づき画像ムラを補正するためのLDパワー補正量を算出する。各濃度の補正パターンの検知結果に基づきそれぞれ補正量を算出するため、異なる濃度レベルに応じた補正量が得られる。したがって、ユーザは、複数の濃度レベル、少なくとも画像形成した補正パターンの数に対応する濃度レベルから選択した濃度レベルについて濃度ムラ補正を行うことができる。
【0089】
図10は、濃度ムラ補正における重み付けの説明図である。補正量算出過程において、以下に説明するような重み付けを行うことで、ユーザが選択できる濃度レベルのバリエーションを増やすことが可能となる。
【0090】
図10中の左に示すグラフは、
図9のM色の補正パターンD1~D4を濃度センサ70で検知した結果である。濃度ムラ補正は、このような濃度の異なる複数の補正用トナーパターンの画像濃度の検知結果に基づき実施される。
【0091】
光書き込み位置xにおける補正量を、一例として以下の(式1)、(式2)であらわす。
M(x)=M1(x)×α1+M2(x)×α2+M3(x)×α3+M4(x)×α4 (式1)
α1+α2+α3+α4=1(式2)
M1:補正パターンD1の濃度ムラに基づく補正量
M2:補正パターンD2の濃度ムラに基づく補正量
M3:補正パターンD3の濃度ムラに基づく補正量
M4:補正パターンD4の濃度ムラに基づく補正量
【0092】
一例として、D1とD2の間の濃度レベルについて補正したい場合に、D1~D4それぞれにおいて算出された補正量に、重みづけを乗じて足し合わせたものを、その濃度レベルのM色についての補正量とすればよい。重み付けの一例として、
図10中央に、D1は50%、D2は50%、D3は0%、D4は0%とする表を示す。D3、D4は0%なので、
図10中の右に示す式に示すように、D1から算出した補正量の50%とD2から算出した補正量の50%を足し合わせたものを書き込み補正量とする。
【0093】
つまりこの場合、本例の補正の結果、M色書き込み光の補正量は式3で表される。
M(x)=0.5×M1(x)+0.5×M2(x) (式3)
【0094】
図11(a)は、上述の重み付けを行った場合に補正量の算出に寄与する画像濃度分布を示す概念図である。検知されたD1~D4における画像濃度分布ムラのうち、D1,D2の画像濃度分布が補正量の算出に寄与することを示している。
【0095】
そして
図11(b)は、上述の重みづけの結果得られる書き込み補正量を示す概念図、さらに
図11(c)は、上述の重みづけの結果得られるLDパワーを示す概念図ある。重み付けをしたうえで算出された
図11(b)に示される補正量を、補正パターンを形成した際のLDパワーに補正量として加えることにより、D1とD2の間の濃度レベルの濃度ムラを補正できる。したがって特にユーザは、補正パターンを形成した4つの濃度レベルよりさらに多くの濃度レベルを選択して濃度ムラを補正できる。
【0096】
濃度ムラ補正を行う濃度レベルの他の例として、D1の濃度の濃度レベルについてユーザが選択した場合は、D1は100%、D2は0%、D3は0%、D4は0%との重み付けを行えばよい。このように、
図10に示したような重み付けの表を、ユーザが選択可能な濃度レベル毎に決定し、重み付け記憶部213にあらかじめ記憶させておく。
【0097】
以上M色の補正について説明したが、
図9のK色4つの補正パターンについても同様に補正を行うことができる。またC色、Y色についても、例えば二枚目の用紙上に同様に補正パターンを形成して、全色について同様に補正を行えばよい。また、LDパワーに対する量を例に説明したがパルス幅変調の変調度に対する補正量でもよい。また書込み光としてLED光を用いた場合にも適用可能である。
【0098】
このように、互いに異なる濃度の複数の濃度ムラ補正用パターンからそれぞれの画像濃度ムラを補正するための補正量を算出し、各補正量に対する重み付けを行って補正量を算出することで、実際に濃度ムラ補正用パターンを画像形成した数よりも多くの数の濃度レベルから選択して、濃度ムラ補正を行うことができる。
【0099】
図12は、濃度ムラ補正処理のシーケンス図である。
図12を用いて、
図8のステップS1~ステップS2の詳細を説明する。
【0100】
まず、入力受付部150が、ユーザが入力した濃度ムラ補正を実行したい濃度レベルを受け付ける(S1)。この時にユーザに対して表示される画面例を
図13に示す。
【0101】
図13は、ユーザが濃度ムラ補正レベルを選択する画面例である。操作パネル60に、画像形成装置1が「濃度ムラ補正レベル選択モード」であることが示されている。さらにユーザに対して、濃度選択をする補助としてD1~D4の各濃度の例を示している。
【0102】
図13においてさらに、ユーザが操作パネル70上で選択可能な複数の選択ボタン群b1が示される。ユーザは複数の選択ボタン群から濃度ムラを補正したい濃度に近い箇所を選択する。
【0103】
図13の画面にユーザが入力した濃度レベル情報を入力受付部150が濃度レベル情報を受け付けるとするとステップ2の濃度ムラ補正が開始される。
【0104】
入力受付部150は、ユーザから濃度レベル情報を受け付けると(S1)、入力された濃度レベル情報を補正制御部181に出力する(S2-1)。補正制御部181は、さらに濃度レベル情報を補正量算出部182に出力する(S2-2)。
【0105】
補正量算出部182は、重み付け記憶部213から、受け付けた濃度レベルに対応する重み付けを取得する(S2-3)。
【0106】
図13の選択画面において、ユーザが異なる濃度レベルを選択しなおした場合は、ステップS2-1~ステップS2-3を繰り返す。
【0107】
また入力受付部150は、ユーザが入力した濃度ムラ補正を実行したい濃度レベルを受け付けると(S1)、補正開始入力画面を表示する(S2-4)。なお、ステップS2-1~S2-3の処理と、S2-4の処理は並行して行ってよい。
【0108】
図14は、ユーザが補正開始を入力する画面例である。一例として、
図13で濃度D1と濃度D2の間の濃度を選択した場合の画面である。
図14に示すように、ユーザが濃度レベルを選択すると調整スタートボタンb2が表示される。
【0109】
図12の説明を続ける。
図14で、ユーザが補正開始ボタンを押すと、入力受付部150は補正開始指示を受け付ける(S2-5)。すると入力受付部150は、補正制御部181に補正開始指示を出力する(S2-6)。補正制御部181は、パターン記憶部212から補正パターンを取得し、プリンタ制御部183に取得した補正パターンの画像形成を指示する(S2-7)。
【0110】
プリンタ制御部183は、指示された補正パターンを用紙に印刷する(S2-8)。補正制御部181はさらに、濃度検知部190に対し、プリンタ制御部183が印刷した補正パターンの画像濃度検知を指示する(S2-9)。濃度検知部190は、補正パターンの画像濃度検知を実行する(S2-10)。
【0111】
次に、補正制御部181は、補正量算出部182に補正量の算出を指示する(S2-11)。補正量算出部182は、濃度検知部190に対し、画像濃度検知データを要求する(S2-12)。濃度検知部190は、画像濃度検知データに対し用紙ずれ補正を行い(S2-13)、その結果を検知データとして補正量算出部182に回答する(S2-14)。用紙ずれ補正については後述する。
【0112】
補正量算出部182は、検知データに基づき、濃度の異なる各補正用濃度パターンについて各補正量を算出する(S2-15)。そして補正量算出部182は、各補正量と、ステップS2-3で取得した重み付けに基づき、濃度レベル情報に対応した補正量を算出する(S2-16)。
【0113】
補正量算出部182は、補正制御部181に補正量算出の終了を通知する(S2-17)。補正制御部181は、表示制御部160を介し入力受付部150に対し補正終了画面の指示をする(S2-18)。指示を受け、入力受付部150は補正終了画面を表示する(S2-19)。
【0114】
図15は補正終了画面の例を示す図である。操作パネル60に、ユーザに対する「補正を終了しました。」とのメッセージが表示されている。また「確認印刷を行いますか?」と確認印刷を行うか否かのメッセージも表示されている。ユーザは、確認印刷を行う場合はb3で示されるボタンを、確認印刷を行わない場合は、b4で示されるボタンを押すことで選択できる。したがって
図15の画面は、確認印刷確認画面としても機能する。
【0115】
図16は、補正反映処理のシーケンス図である。
図16を用いて、
図8で説明した処理フロー図のステップS7において補正を反映した場合と、補正を反映しない場合のステップS4~ステップS10の詳細を説明する。
【0116】
まず、
図15の画面例において、ユーザがb3のボタンを選択すると、入力受付部150が、確認印刷指示を受け付ける(S4)。入力受付部150は、補正制御部181に確認印刷の指示をする(S5-1)。指示を受けた補正制御部181は、補正量算出部182に補正の指示をする(S5-2)。
【0117】
指示を受けた補正量算出部182は、書込み補正量をプリンタ制御部183に送信する(S5-3)。さらに補正量算出部182は、パターン記憶部212から確認印刷用パターンを取得し、プリンタ制御部183に書き込み補正量による補正をした印刷を指示する(S5-4)。確認印刷用パターンは、補正パターンと同一でも良いし、異なっていても良い。
【0118】
プリンタ制御部183は、確認印刷用パターンを印刷する(S5-5)。補正量算出部182は、確認印刷が終了すると、補正制御部181に終了を通知する(S5-6)。通知を受けた補正制御部181は、表示制御部160の動作により、入力受付部150に印刷終了画面を表示する(S5-8)。なお、ステップS5-6は、用紙上への画像形成が完了するのを待たずに、ステップS5-4の印刷指示終了次第実行しても良い。
【0119】
図17は確認印刷終了画面の例である。操作パネル60に、ユーザに対する「確認印刷が終了しました。」とのメッセージが表示されている。また「補正を反映しますか?」と補正の反映を行うか確認するメッセージも表示されている。
【0120】
ユーザは、確認印刷の画質などを確認し、満足した場合は、b6で示されるボタンを、満足しない場合はb7で示されるボタンを押すことで補正を反映するか選択できる。また、再度確認印刷を行う場合は、b8で示されるボタンを押すことで、
図8のステップS5に戻り、再度確認印刷を行うことができる。したがって
図17の画面は、補正反映選択画面としても機能する。
【0121】
図16の説明を続けると、また入力受付部150は、ユーザが
図17のb6ボタンを押下すると(S7)、補正制御部181に、補正量の記憶を指示する(S8-1)。補正制御部181は、補正量算出部182に補正量の記憶を指示する(S8-2)。補正量制御部182は、補正量記憶部211に補正量を送信し(S8-3)、補正量記憶部211は当該補正量を記憶する(S8-4)。
【0122】
入力受付部は操作パネル60に反映が完了したことを示すメッセージを表示し(S9)、処理フローは終了する。
【0123】
一方、入力受付部150は、ユーザがb7を押下すると(S7)、操作パネル60に濃度ムラ補正を中止することを示すメッセージを表示し(S10)、処理フローは終了する。
【0124】
次に
図12のステップS2-13の用紙ずれ補正の詳細について説明する。まず、
図18(a)(b)を用いて用紙ずれの現象を説明する。
【0125】
図18(a)(b)において、用紙P´は濃度センサ70の画像素子71に向かって矢印方向に搬送されている。なお
図18(a)(b)では、用紙P´のうち、補正パターンD4が形成されている箇所のみが示されている。
【0126】
画像素子71には前述したとおり、複数の受光素子72が配置されている。
図18(a)(b)では64個の受光素子72-0~72-63がそれぞれに図の左から主走査方向に向かって並んでいる。なお
図18(a)(b)において、受光素子72-0、72-63のみ符号を付しているが、受光素子72-0、72-63含め各受光素子72内に0~63の番号を付すことで各受光素子72を区別している。以降の図面でも同様とする。
【0127】
図18(a)は、用紙ずれの無い場合の図である。理想的には、
図18(a)のように補正パターンD4の主走査方向の中央位置と、図中太線で示される受光素子72-31と受光素子72-32の間の位置が一致することを示している。この場合、補正パターンD4の中央位置と、濃度センサ70の検知幅の主走査方向の中央位置が一致するということもできる。
【0128】
しかし、二次転写位置Fから濃度センサ70に到る間に、用紙P´が主走査方向へずれた状態で搬送されることがある。一例として
図18(b)は、図の右側より、つまり受光素子の番号nが大きい側に用紙ずれが生じた状態を示している。
【0129】
補正パターンD4の右側端は、
図18(a)に示される理想的な状態では、受光素子72-60と72-61の間を通過するのに対し、このような用紙ずれの結果、
図18(b)では受光素子72-61と72-62の間になっている。
【0130】
図18(a)となるように設計した画像形成装置1において、用紙ずれの結果、
図18(b)の状態で画像濃度検知を行うと、光書き込み等、実際に画像形成を実施した主走査方向位置と、濃度センサ70の検知した画像濃度の主走査方向の位置がずれることとなる。
【0131】
図19は、用紙ずれが生じた場合の画像濃度検知結果を説明するグラフである。
図19(a)(b)は、それぞれ
図18(a)(b)の場合に濃度センサ70で検知される画像濃度を示している。なお、D4に、画像濃度の検知結果に表れるような濃度ムラは生じていないものとする。
【0132】
図18(a)(b)で説明したように、
図19(b)の検知結果は画像形成を行った主走査方向位置とずれた検知結果となっている。すなわち、用紙ずれが起きていない場合には
図19(a)に示されるように補正パターンD4に対応する画像濃度が受光素子72-2~72-61で検知されるが、
図19(b)では、72-3~72-62受光素子で画像濃度が検知されている。したがって用紙ずれが起きた状態の検知結果である
図19(b)に基づいて濃度ムラ補正を行うと、適切な補正を行うことができない。
【0133】
そこで濃度検知部190は、用紙ずれを判断し、用紙ずれが生じている場合は、検知結果としての画像濃度の主走査方向での検知位置を補正して、検知結果として出力する。
【0134】
図20は、用紙ずれ補正処理のフロー図である。用紙ずれが発生していない場合に補正パターンから得られるはずの検知結果の特徴と、実際の検知結果とを比較して用紙ずれの度合いを判断し、用紙ずれの度合いから検知結果を補正するための処理フローである。
【0135】
まず用紙ずれ補正部192は、検知部191からの信号に基づき各受光素子72の位置における画像濃度を算出し、算出した画像濃度から主走査方向のエッジを特定する(S2-13-1)。
【0136】
具体的には、例えば画像濃度が0~255の階調であった場合、補正パターンD4のエッジに表れる可能性が高い値を、エッジ判定閾値として100(
図19(b)中一点鎖線)とあらかじめ決定し、一例として記憶部210等に記憶しておく。そして検知結果において主走査方向に低い濃度からエッジ判定閾値を超えて高い濃度に遷移した位置2箇所(図中丸で示した箇所)を、それぞれ補正パターンの検知結果のエッジと判断する。
【0137】
ずれ補正部192は次に、特定した検知結果のエッジ位置から、検知結果から算出した中央位置である検知結果中央位置を特定する(S2-13-2)。
図19(b)の場合は、画像濃度分布に黒矢印で示した位置、すなわち濃度センサ70においては受光素子72-32と72-33の間が、検知結果中央位置となる。
【0138】
次にずれ補正部192は、検知結果中央位置と、用紙ずれが無い場合の補正パターンD4の中央位置とから、検知結果の位置ずれを算出する(S2-13-3)。
【0139】
具体的には、用紙ずれが起きていない場合に、補正パターンD4の中央位置である補正パターン中心位置が受光素子72のどの位置に対応するかをあらかじめ、一例として記憶部210等に記憶しておく。つまりこの場合補正パターン中心位置が72-31と72-32との間であることをあらかじめ記憶しておけば、検知結果中央位置である72-32と72-33との間と比較すれば、用紙P´が、約受光素子72一つ分の幅、
図18、
図19でいうところの右側にずれて搬送されていることが判断できる。
【0140】
次にずれ補正部192は、算出したずれ幅から、画像濃度の各検知結果を補正する(S2-13-4)。つまり、各素子が受光した画像濃度を、一つ左隣の受光素子72が検知した画像濃度として検知結果とする。
【0141】
ずれ補正部192は最終的に補正したデータを検知結果として補正量算出部182に出力する。出力する前に検知データを出力回路75内に一時的に記憶しておいてもよい。
【0142】
以上説明した用紙ずれ補正においては、用紙ずれが起きていない場合には補正パターンの中央位置と、濃度センサ70の検知幅の中央位置が一致する場合について説明したが、これに限られない。すなわち、用紙ずれが起きていない場合に、補正パターンの中央位置と、濃度センサ70の検知幅の中央位置以外の位置が一致してもよい。
【0143】
また以上説明した用紙ずれ補正においては、補正パターンの中央位置について、用紙ずれが起きていない場合の位置を記憶して起き、検知結果とで比較して、用紙ずれを判断したが、比較する位置はあらかじめ決められた所定位置であればこれに限られない。すなわち、補正パターンのエッジ位置で比較しても良い。また、補正パターンを画像形成する際に、用紙ずれ判断のためのパターンを別途形成してその位置を比較しても良い。さらに、補正パターンの一部として用紙ずれ判断用のパターンを画像形成してその位置を比較しても良い。
【0144】
また以上の説明においては、定着装置104の用紙搬送方向に後ろに濃度センサ70を配置して像担持体としての用紙P´の検知結果に基づき濃度ムラ補正を行ったが、濃度センサ70で感光体上の画像濃度、または中間転写ベルト上の画像濃度を検知して、濃度ムラ補正を行ってもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 画像形成装置
150 入力受付部
180 制御部
181 補正制御部
182 補正量算出部
183 プリンタ制御部
190 濃度検知部
191 検知部
192 用紙ずれ補正部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0146】