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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ズームレンズおよび撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20220117BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018125342
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020003729
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸吉
(72)【発明者】
【氏名】田中 琢也
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/187000(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/073186(WO,A1)
【文献】特開2012-027308(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とからなり、
変倍時に、前記第1レンズ群および前記第5レンズ群は像面に対し固定され、前記第2レンズ群、前記第3レンズ群、および、前記第4レンズ群は相互間隔を変化させて移動し、
広角端から望遠端への変倍時に、前記第4レンズ群は像側から物体側へ移動し、かつ、前記第2レンズ群と、前記第3レンズ群および前記第4レンズ群からなる合成群とは、それぞれの横倍率が-1倍の点を同時に通り、
前記第5レンズ群は、物体側から順に、防振時に光軸と垂直方向の成分を持つ方向に移動して像ぶれ補正を行う負の屈折力を有する第5Aレンズ群と、防振時に固定され正の屈折力を有する第5Bレンズ群とからなり、
前記第5Aレンズ群は、物体側から順に、両凹レンズと、正の屈折力を有するメニスカスレンズと、両凹レンズとの3枚のレンズからなり、
前記第5Aレンズ群の横倍率は負であるズームレンズ。
【請求項2】
前記第5Aレンズ群の横倍率をβ5Aとした場合、
-0.3<1/β5A<0 (1)
で表される条件式(1)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第5Aレンズ群の横倍率をβ5A、前記第5Bレンズ群の横倍率をβ5Bとした場合、
-1.3<(1-β5A)×β5B<-1 (2)
で表される条件式(2)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第5レンズ群の横倍率をβ5とした場合、
0.9<1/β5<1.1 (3)
で表される条件式(3)を満足する請求項1からのいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第5Aレンズ群の横倍率をβ5A、前記第5Bレンズ群の横倍率をβ5B、前記第5レンズ群の横倍率をβ5とした場合、
-1.4<(1-β5A)×β5B/β5<-1 (4)
で表される条件式(4)を満足する請求項1からのいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第5Aレンズ群の焦点距離をf5A、前記第5レンズ群の焦点距離をf5とした場合、
-1.2<f5A/f5<-0.5 (5)
で表される条件式(5)を満足する請求項1からのいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記第5Aレンズ群の焦点距離をf5A、前記第5Bレンズ群の焦点距離をf5Bとした場合、
-1<f5A/f5B<-0.6 (6)
で表される条件式(6)を満足する請求項1からのいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第5Aレンズ群は、2枚の負レンズと1枚の正レンズとからなる請求項1からのいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第5Bレンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第5B1Nレンズ群と、正の屈折力を有する第5B2レンズ群とからなり、
前記第5B1Nレンズ群は、結像倍率を拡大させる第5B1Eレンズ群と置換可能であり、
前記第5B1Nレンズ群と前記第5B2レンズ群とを分割する位置は、前記第5B2レンズ群の横倍率をβ5B2とした場合、
-1<β5B2<1 (7)
で表される条件式(7)を満足する中で、光軸上の空気間隔が最も広い箇所であり、
前記第5B2レンズ群の焦点距離をf5B2、前記第5B1Nレンズ群の焦点距離をf5B1Nとした場合、
f5B2/f5B1N<0.5 (8)
で表される条件式(8)を満足する請求項1からのいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第5Aレンズ群の焦点距離をf5A、前記第5B1Nレンズ群の焦点距離をf5B1Nとした場合、
-0.5<f5A/f5B1N (9)
で表される条件式(9)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記第5B1Nレンズ群は、物体側から順に、少なくとも2つの連続した接合レンズと、物体側の面が凸形状の正レンズとを備える請求項または10記載のズームレンズ。
【請求項12】
-0.2<1/β5A<0 (1-1)
で表される条件式(1-1)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項13】
-1.2<(1-β5A)×β5B<-1.1 (2-1)
で表される条件式(2-1)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項14】
0.91<1/β5<1 (3-1)
で表される条件式(3-1)を満足する請求項載のズームレンズ。
【請求項15】
-1.3<(1-β5A)×β5B/β5<-1 (4-1)
で表される条件式(4-1)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項16】
-1.1<f5A/f5<-0.5 (5-1)
で表される条件式(5-1)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項17】
-0.9<f5A/f5B<-0.7 (6-1)
で表される条件式(6-1)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項18】
0.1<f5B2/f5B1N<0.4 (8-1)
で表される条件式(8-1)を満足する請求項記載のズームレンズ。
【請求項19】
-0.4<f5A/f5B1N<-0.1 (9-1)
で表される条件式(9-1)を満足する請求項10記載のズームレンズ。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項記載のズームレンズを備えた撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ズームレンズおよび撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像の高画質化が進んでおり、放送用カメラ等の撮像装置に使用可能な4K以上の解像性能を有するレンズ系が求められている。また、放送用カメラ用のレンズ系としては、多様なシーンに対応できるよう変倍機能を有するものが好まれることから、高倍率のズームレンズが要望されている。さらに、ズームレンズの倍率を大きくして望遠側の焦点距離が長くなるほど、振動や手ぶれの影響を受けやすくなるため、撮影する上で防振機能が必要となってくる。このような防振機能付きのズームレンズとして、下記特許文献1または2のズームレンズが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-109952号公報
【文献】特許第5836654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1または2に記載のズームレンズは、防振時の収差変動の抑制が十分ではないという問題がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑み、防振機能付きのズームレンズにおいて、防振時の収差変動が抑制された、高画質かつ高倍率のズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
【0007】
<1> 物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群とからなり、変倍時に、第1レンズ群および第5レンズ群は像面に対し固定され、第2レンズ群、第3レンズ群、および、第4レンズ群は相互間隔を変化させて移動し、広角端から望遠端への変倍時に、第4レンズ群は像側から物体側へ移動し、かつ、第2レンズ群と、第3レンズ群および第4レンズ群からなる合成群とは、それぞれの横倍率が-1倍の点を同時に通り、第5レンズ群は、物体側から順に、防振時に光軸と垂直方向の成分を持つ方向に移動して像ぶれ補正を行う負の屈折力を有する第5Aレンズ群と、防振時に固定され正の屈折力を有する第5Bレンズ群とからなり、第5Aレンズ群の横倍率は負であるズームレンズ。
【0008】
<2> 第5Aレンズ群の横倍率をβ5Aとした場合、条件式(1)を満足する<1>のズームレンズ。
-0.3<1/β5A<0 (1)
【0009】
<3> 第5Aレンズ群の横倍率をβ5A、第5Bレンズ群の横倍率をβ5Bとした場合、条件式(2)を満足する<1>または<2>のズームレンズ。
-1.3<(1-β5A)×β5B<-1 (2)
【0010】
<4> 第5レンズ群の横倍率をβ5とした場合、条件式(3)を満足する<1>から<3>のいずれかのズームレンズ。
0.9<1/β5<1.1 (3)
【0011】
<5> 第5Aレンズ群の横倍率をβ5A、第5Bレンズ群の横倍率をβ5B、第5レンズ群の横倍率をβ5とした場合、条件式(4)を満足する<1>から<4>のいずれかのズームレンズ。
-1.4<(1-β5A)×β5B/β5<-1 (4)
【0012】
<6> 第5Aレンズ群の焦点距離をf5A、第5レンズ群の焦点距離をf5とした場合、条件式(5)を満足する<1>から<5>のいずれかのズームレンズ。
-1.2<f5A/f5<-0.5 (5)
【0013】
<7> 第5Aレンズ群の焦点距離をf5A、第5Bレンズ群の焦点距離をf5Bとした場合、条件式(6)を満足する<1>から<6>のいずれかのズームレンズ。
-1<f5A/f5B<-0.6 (6)
【0014】
<8> 第5Aレンズ群は、2枚の負レンズと1枚の正レンズとからなる<1>から<7>のいずれかのズームレンズ。
【0015】
<9> 第5Bレンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する第5B1Nレンズ群と、正の屈折力を有する第5B2レンズ群とからなり、第5B1Nレンズ群は、結像倍率を拡大させる第5B1Eレンズ群と置換可能であり、第5B1Nレンズ群と第5B2レンズ群とを分割する位置は、第5B2レンズ群の横倍率をβ5B2とした場合、条件式(7)を満足する中で、光軸上の空気間隔が最も広い箇所であり、第5B2レンズ群の焦点距離をf5B2、第5B1Nレンズ群の焦点距離をf5B1Nとした場合、条件式(8)を満足する<1>から<8>のいずれかのズームレンズ。
-1<β5B2<1 (7)
f5B2/f5B1N<0.5 (8)
【0016】
<10> 第5Aレンズ群の焦点距離をf5A、第5B1Nレンズ群の焦点距離をf5B1Nとした場合、条件式(9)を満足する<9>のズームレンズ。
-0.5<f5A/f5B1N (9)
【0017】
<11> 第5B1Nレンズ群は、物体側から順に、少なくとも2つの連続した接合レンズと、物体側の面が凸形状の正レンズとを備える<9>または<10>のズームレンズ。
【0018】
<12> 条件式(1-1)を満足する<2>のズームレンズ。
-0.2<1/β5A<0 (1-1)
【0019】
<13> 条件式(2-1)を満足する<3>のズームレンズ。
-1.2<(1-β5A)×β5B<-1.1 (2-1)
【0020】
<14> 条件式(3-1)を満足する<4>のズームレンズ。
0.91<1/β5<1 (3-1)
【0021】
<15> 条件式(4-1)を満足する<5>のズームレンズ。
-1.3<(1-β5A)×β5B/β5<-1 (4-1)
【0022】
<16> 条件式(5-1)を満足する<6>のズームレンズ。
-1.1<f5A/f5<-0.5 (5-1)
【0023】
<17> 条件式(6-1)を満足する<7>のズームレンズ。
-0.9<f5A/f5B<-0.7 (6-1)
【0024】
<18> 条件式(8-1)を満足する<9>のズームレンズ。
0.1<f5B2/f5B1N<0.4 (8-1)
【0025】
<19> 条件式(9-1)を満足する<10>のズームレンズ。
-0.4<f5A/f5B1N<-0.1 (9-1)
【0026】
<20> <1>から<19>のいずれかのズームレンズを備えた撮像装置。
【0027】
なお、本明細書の「~からなり」、「~からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、及びカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、及び手振れ補正機構等の機構部分、等が含まれていてもよいことを意図する。
【0028】
また、本明細書の「正の屈折力を有する~群」は、群全体として正の屈折力を有することを意味する。同様に「負の屈折力を有する~群」は、群全体として負の屈折力を有することを意味する。「正の屈折力を有するレンズ」と「正レンズ」とは同義である。「負の屈折力を有するレンズ」と「負レンズ」とは同義である。「レンズ群」は、複数のレンズからなる構成に限らず、1枚のみのレンズからなる構成としてもよい。
【0029】
また、条件式で用いている値は、無限遠物体に合焦した状態でd線を基準とした場合の値である。また、あるレンズのg線とF線間の部分分散比θgFとは、g線、F線、および、C線に対するそのレンズの屈折率をそれぞれNg、NF、および、NCとした場合に、θgF=(Ng-NF)/(NF-NC)で定義される。本明細書に記載の「d線」、「C線」、「F線」、および、「g線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)、g線の波長は435.84nm(ナノメートル)である。
【発明の効果】
【0030】
本開示によれば、防振機能付きのズームレンズにおいて、防振時の収差変動が抑制された、高画質かつ高倍率のズームレンズおよびこのズームレンズを備えた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施例1のズームレンズの構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施例2のズームレンズの構成を示す断面図である。
図3】本発明の実施例3のズームレンズの構成を示す断面図である。
図4】本発明の実施例4のズームレンズの構成を示す断面図である。
図5】本発明の実施例5のズームレンズの構成を示す断面図である。
図6】本発明の実施例1のズームレンズの各収差図である。
図7】本発明の実施例2のズームレンズの各収差図である。
図8】本発明の実施例3のズームレンズの各収差図である。
図9】本発明の実施例4のズームレンズの各収差図である。
図10】本発明の実施例5のズームレンズの各収差図である。
図11】本発明の一実施形態に係る撮像装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るズームレンズの広角端における構成を示す断面図である。図1に示す構成例は、後述する本発明の実施例1に係るズームレンズに対応している。図1では、左側が物体側、右側が像側である。また、図1は、無限遠物体に合焦した状態を示しており、軸上光束Waおよび最大画角の光束Wbを併せて記入している。また、図1では、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および、第4レンズ群G4の変倍時の移動軌跡を併せて記入している。さらに、図1では、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4からなる合成群とのそれぞれの横倍率が-1倍の位置を併せて記入している。
【0033】
図1に示すズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とからなり、変倍時に、第1レンズ群G1および第5レンズ群G5は像面Simに対し固定され、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、および、第4レンズ群G4は相互間隔を変化させて移動するように構成されている。
【0034】
このような構成とすることによって、変倍時の収差変動を抑えつつ、特に軸上色収差が拡大し易い望遠側の軸上色収差を抑えることができるため、変倍比が30倍以上のズームレンズを可能とすることができる。
【0035】
なお、図1の例では第5レンズ群G5と像面Simとの間に入射面および出射面が光軸Zに垂直な光学部材PPが配置されている。光学部材PPは、各種フィルタ、プリズム、および/またはカバーガラス等を想定したものである。本発明においては、光学部材PPは図1の例とは異なる位置に配置されていてもよく、光学部材PPを省略した構成も可能である。また、図1に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。
【0036】
また、広角端から望遠端への変倍時に、第4レンズ群G4は像側から物体側へ移動し、かつ、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3および第4レンズ群G4からなる合成群とは、それぞれの横倍率が-1倍の点を同時に通るように構成されている。このような構成とすることによって、高画質をズーム全域で維持したまま、変倍比が30倍以上のズームレンズを可能とすることができる。
【0037】
また、第5レンズ群G5は、物体側から順に、防振時に光軸Zと垂直方向の成分を持つ方向に移動して像ぶれ補正を行う負の屈折力を有する第5Aレンズ群G5Aと、防振時に固定され正の屈折力を有する第5Bレンズ群G5Bとから構成されている。
【0038】
このような構成とすることによって、ズームレンズに防振機能を持たせることができる。また、本実施形態のズームレンズでは、第4レンズ群G4から収束光で第5レンズ群G5に光束が入射されるため、上記の通り、物体側から順に、負の屈折力を有する第5Aレンズ群G5A、正の屈折力を有する第5Bレンズ群G5Bの順に配置することによって、バックフォーカスを延ばし易くなり、ズーム全域での球面収差の抑制に有利となる。
【0039】
また、第5Aレンズ群G5Aの横倍率は負に構成されている。本実施形態のズームレンズでは、第4レンズ群G4から収束光で第5レンズ群G5に光束が入射されるため、第5Aレンズ群G5Aの横倍率が負である方が、正の場合に比べ、第5Aレンズ群G5Aに対する軸上マージナル光線の入射側と出射側の対称性が良くなるため、防振時の収差変動を少なくすることが可能となる。
【0040】
本実施形態に係るズームレンズにおいては、第5Aレンズ群G5Aの横倍率をβ5Aとした場合、条件式(1)を満足することが好ましい。条件式(1)の上限以上とならないようにすることによって、第5Aレンズ群G5Aに対する軸上マージナル光線の入射側と出射側の対称性が良くなるため、防振時の収差変動を少なくすることが可能となる。条件式(1)の下限以下とならないようにすることによって、第5Bレンズ群G5Bに入射する軸上マージナル光線の高さを低くできるため、球面収差の発生を抑えるのに有利となる。なお、条件式(1-1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
-0.3<1/β5A<0 (1)
-0.2<1/β5A<0 (1-1)
【0041】
また、第5Aレンズ群G5Aの横倍率をβ5A、第5Bレンズ群G5Bの横倍率をβ5Bとした場合、条件式(2)を満足することが好ましい。条件式(2)の上限以上とならないようにすることによって、第5Aレンズ群G5Aの防振時の移動量を抑えることができるため、防振レンズ群(第5Aレンズ群G5A)の追随性を良好にすることができる。条件式(2)の下限以下とならないようにすることによって、防振レンズ群(第5Aレンズ群G5A)の敏感度が高くなり過ぎるのを防ぐことができるため、防振時の像位置を制御しやすくすることができる。なお、条件式(2-1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
-1.3<(1-β5A)×β5B<-1 (2)
-1.2<(1-β5A)×β5B<-1.1 (2-1)
【0042】
また、第5レンズ群G5の横倍率をβ5とした場合、条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)の上限以上とならないようにすることによって、第1レンズ群G1から第4レンズ群G4までの合成焦点距離を短く抑えることができ、変倍部(第2レンズ群G2から第4レンズ群G4)の全長を抑えることができるため、レンズ系の小型化に有利となる。条件式(3)の下限以下とならないようにすることによって、バックフォーカスを延ばし易くなり、ズーム全域での球面収差の抑制に有利となる。なお、条件式(3-1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
0.9<1/β5<1.1 (3)
0.91<1/β5<1 (3-1)
【0043】
また、第5Aレンズ群G5Aの横倍率をβ5A、第5Bレンズ群G5Bの横倍率をβ5B、第5レンズ群G5の横倍率をβ5とした場合、条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の上限以上とならないようにすることによって、防振レンズ群(第5Aレンズ群G5A)の移動量を抑えつつ、レンズ系を小型化するのに有利となる。条件式(4)の下限以下とならないようにすることによって、防振レンズ群(第5Aレンズ群G5A)の敏感度が高くなるのを防ぎつつ、ズーム全域での球面収差の抑制に有利となる。なお、条件式(4-1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
-1.4<(1-β5A)×β5B/β5<-1 (4)
-1.3<(1-β5A)×β5B/β5<-1 (4-1)
【0044】
また、第5Aレンズ群G5Aの焦点距離をf5A、第5レンズ群G5の焦点距離をf5とした場合、条件式(5)を満足することが好ましい。条件式(5)の上限以上とならないようにすることによって、第5レンズ群G5の全長の短縮化に有利となる。条件式(5)の下限以下とならないようにすることによって、防振レンズ群(第5Aレンズ群G5A)の敏感度を大きくすることが容易となる。なお、条件式(5-1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
-1.2<f5A/f5<-0.5 (5)
-1.1<f5A/f5<-0.5 (5-1)
【0045】
また、第5Aレンズ群G5Aの焦点距離をf5A、第5Bレンズ群G5Bの焦点距離をf5Bとした場合、条件式(6)を満足することが好ましい。条件式(6)の上限以上とならないようにすることによって、第5レンズ群G5の全長の短縮化に有利となる。条件式(6)の下限以下とならないようにすることによって、防振レンズ群(第5Aレンズ群G5A)の敏感度を大きくすることが容易となる。なお、条件式(6-1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
-1<f5A/f5B<-0.6 (6)
-0.9<f5A/f5B<-0.7 (6-1)
【0046】
また、第5Aレンズ群G5Aは、2枚の負レンズと1枚の正レンズとからなることが好ましい。このような構成とすることによって、防振時の球面収差の発生を抑えることができる。
【0047】
また、第5Bレンズ群G5Bは、物体側から順に、正の屈折力を有する第5B1Nレンズ群G5B1Nと、正の屈折力を有する第5B2レンズ群G5B2とからなり、第5B1Nレンズ群G5B1Nは、結像倍率を拡大させる第5B1Eレンズ群と置換可能であり、第5B1Nレンズ群G5B1Nと第5B2レンズ群G5B2とを分割する位置は、第5B2レンズ群G5B2の横倍率をβ5B2とした場合、条件式(7)を満足する中で、光軸上の空気間隔が最も広い箇所であり、第5B2レンズ群G5B2の焦点距離をf5B2、第5B1Nレンズ群G5B1Nの焦点距離をf5B1Nとした場合、条件式(8)を満足することが好ましい。
-1<β5B2<1 (7)
f5B2/f5B1N<0.5 (8)
0.1<f5B2/f5B1N<0.4 (8-1)
【0048】
一部のレンズ群と置換して置換後の全系の結像倍率を置換前の全系の結像倍率より拡大させるエクステンダーレンズ(第5B1Eレンズ群)を用いる場合、第5Aレンズ群G5Aの像側にエクステンダーレンズ(第5B1Eレンズ群)と置換する第5B1Nレンズ群G5B1Nを配置することにより、結像倍率を切り換えた場合でも防振角に対する防振レンズ群の制御量を変える必要がなくなる。
【0049】
また、第5B1Nレンズ群G5B1Nと第5B2レンズ群G5B2とを分割する位置について、条件式(7)の範囲内とすることによって、第5B2レンズ群G5B2に入射する近軸軸上光線が光軸と平行に近くなり、第5B1Nレンズ群G5B1Nの光軸上の位置誤差による球面収差の変化を抑えられるため、分割位置として最適である。
【0050】
さらに、条件式(8)の上限以上とならないようにすることによって、バックフォーカスの確保に有利となる。なお、条件式(8-1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。条件式(8)の下限以下とならないようにすることによって、第5B1Nレンズ群G5B1Nと第5B2レンズ群G5B2とで正の屈折力を適切に分散させることができ、球面収差の補正に有利となる。
【0051】
また、第5Aレンズ群G5Aの焦点距離をf5A、第5B1Nレンズ群G5B1Nの焦点距離をf5B1Nとした場合、条件式(9)を満足することが好ましい。条件式(9)の下限以下とならないようにすることによって、第5Bレンズ群G5Bに入射する軸上マージナル光線の高さを低くできるため、球面収差の補正に有利となる。なお、条件式(9-1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。条件式(9)の上限以上とならないようにすることによって、バックフォーカスの確保に有利となる。
-0.5<f5A/f5B1N (9)
-0.4<f5A/f5B1N<-0.1 (9-1)
【0052】
また、第5B1Nレンズ群G5B1Nは、物体側から順に、少なくとも2つの連続した接合レンズと、物体側の面が凸形状の正レンズとを備えることが好ましい。このように接合レンズを連続して配置することによって、球面収差の波長による差の発生を抑えながら軸上色収差を補正することができる。また、続く正レンズの物体側の面を凸形状とすることによって、軸上マージナル光線が物体側の面に入射する角度を軽減できるため、球面収差の発生を抑えながら正の屈折力を与えることができる。
【0053】
以上述べた好ましい構成および可能な構成は、任意の組合せが可能であり、要求される仕様に応じて適宜選択的に採用されることが好ましい。
【0054】
次に、本発明のズームレンズの数値実施例について説明する。なお、実施例5は、本発明に含まれない参考例である。
【0055】
[実施例1(基準状態)]
実施例1のズームレンズの構成を図1に示す。図1の図示方法は上述しているため、ここでは重複説明を一部省略する。
【0056】
実施例1のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、レンズL1a~L1eの5枚のレンズからなる第1レンズ群G1と、レンズL2a~L2fの6枚のレンズからなる第2レンズ群G2と、レンズL3aのみの1枚のレンズからなる第3レンズ群G3と、レンズL4a~L4eの5枚のレンズからなる第4レンズ群G4と、レンズL5a~L5oの15枚のレンズからなる第5レンズ群G5とから構成されている。
【0057】
第5レンズ群G5は、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、レンズL5a~L5cの3枚のレンズからなる第5Aレンズ群G5Aと、レンズL5d~L5iの6枚のレンズからなる第5B1Nレンズ群G5B1Nと、レンズL5j~L5oの6枚のレンズからなる第5B2レンズ群G5B2とから構成されている。
【0058】
実施例1のズームレンズの基本レンズデータを表1Aおよび表1Bに、諸元に関するデータを表2に、可変面間隔に関するデータを表3に、非球面係数に関するデータを表4に示す。
【0059】
表1のレンズデータにおいて、面番号の欄には最も物体側の構成要素の面を1番目として像側に向かうに従い順次増加する面番号を示し、曲率半径の欄には各面の曲率半径を示し、面間隔の欄には各面とその次の面との光軸Z上の間隔を示す。また、nの欄には各光学要素のd線(波長587.56nm)における屈折率を示し、νの欄には各光学要素のd線(波長587.56nm)におけるアッベ数を示し、θgFの欄には各光学要素のg線(波長435.84nm)とF線(波長486.13nm)間の部分分散比を示す。
【0060】
曲率半径の符号は、面形状が物体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。基本レンズデータには、開口絞りSt、光学部材PPも含めて示している。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号とともに(絞り)という語句を記載している。また、表1のレンズデータにおいて、変倍時に間隔が変化する面間隔の欄にはそれぞれDD[面番号]と記載している。このDD[面番号]に対応する数値は表3に示している。
【0061】
表2の諸元に関するデータに、ズーム倍率、焦点距離f、FナンバーFNo.、全画角2ω(°)の値を示す。
【0062】
表1のレンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表4の非球面係数に関するデータには、非球面の面番号と、これら非球面に関する非球面係数を示す。表4の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10±n」を意味する。非球面係数は、下記式で表される非球面式における各係数KA、Amの値である。
Zd=C・h/{1+(1-KA・C・h1/2}+ΣAm・h
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数であり、非球面深さZdにおけるΣはmに関する総和を意味する。
【0063】
基本レンズデータおよび諸元に関するデータにおいて、角度の単位としては°を用い、長さの単位としてはmm(ミリメートル)を用いているが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても使用可能なため他の適当な単位を用いることもできる。
【0064】
【表1A】
【0065】
【表1B】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
図6に実施例1のズームレンズの無限遠物体に合焦した状態での各収差図を示す。図6では、上段左から順に、広角端での、球面収差、非点収差、歪曲収差(ディストーション)、および、倍率色収差(倍率の色収差)を示し、中段左から順に、中間位置での、球面収差、非点収差、歪曲収差(ディストーション)、および、倍率色収差(倍率の色収差)を示し、下段左から順に、望遠端での、球面収差、非点収差、歪曲収差(ディストーション)、および、倍率色収差(倍率の色収差)を示す。
【0070】
球面収差図では、d線(波長587.56nm)、C線(波長656.27nm)、および、F線(波長486.13nm)に関する収差をそれぞれ実線、長破線、および、短破線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線に関する収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線に関する収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線に関する収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線およびF線に関する収差をそれぞれ長破線および短破線で示す。球面収差図のFNo.はFナンバーを意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。
【0071】
上記の実施例1の説明で述べた各データの記号、意味、および記載方法は、特に断りがない限り以下に述べる実施例2~5のものについても同様であるので、以下では重複説明を省略する。
【0072】
[実施例2]
実施例2のズームレンズの構成を図2に示す。実施例2のズームレンズのレンズ枚数は、実施例1と同じである。実施例2のズームレンズについて、基本レンズデータを表5Aおよび表5Bに、諸元に関するデータを表6に、可変面間隔に関するデータを表7に、非球面係数に関するデータを表8に、各収差図を図7に示す。
【0073】
【表5A】
【0074】
【表5B】
【0075】
【表6】
【0076】
【表7】
【0077】
【表8】
【0078】
[実施例3]
実施例3のズームレンズの構成を図3に示す。実施例3のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、レンズL1a~L1eの5枚のレンズからなる第1レンズ群G1と、レンズL2a~L2fの6枚のレンズからなる第2レンズ群G2と、レンズL3aのみの1枚のレンズからなる第3レンズ群G3と、レンズL4a~L4eの5枚のレンズからなる第4レンズ群G4と、レンズL5a~L5oの15枚のレンズからなる第5レンズ群G5とから構成されている。
【0079】
第5レンズ群G5は、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、レンズL5a~L5cの3枚のレンズからなる第5Aレンズ群G5Aと、レンズL5d~L5hの5枚のレンズからなる第5B1Nレンズ群G5B1Nと、レンズL5i~L5oの7枚のレンズからなる第5B2レンズ群G5B2とから構成されている。
【0080】
実施例3のズームレンズについて、基本レンズデータを表9Aおよび表9Bに、諸元に関するデータを表10に、可変面間隔に関するデータを表11に、非球面係数に関するデータを表12に、各収差図を図8に示す。
【0081】
【表9A】
【0082】
【表9B】
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】
[実施例4]
実施例4のズームレンズの構成を図4に示す。実施例4のズームレンズのレンズ枚数は、実施例3と同じである。実施例4のズームレンズについて、基本レンズデータを表13Aおよび表13Bに、諸元に関するデータを表14に、可変面間隔に関するデータを表15に、非球面係数に関するデータを表16に、各収差図を図9に示す。
【0087】
【表13A】
【0088】
【表13B】
【0089】
【表14】
【0090】
【表15】
【0091】
【表16】
【0092】
[実施例5]
実施例5のズームレンズの構成を図5に示す。実施例5のズームレンズは、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、レンズL1a~L1jの10枚のレンズからなる第1レンズ群G1と、レンズL2a~L2fの6枚のレンズからなる第2レンズ群G2と、レンズL3aのみの1枚のレンズからなる第3レンズ群G3と、レンズL4a~L4eの5枚のレンズからなる第4レンズ群G4と、レンズL5a~L5pの16枚のレンズからなる第5レンズ群G5とから構成されている。
【0093】
第5レンズ群G5は、光軸Zに沿って物体側から像側へ向かって順に、レンズL5a~L5cの3枚のレンズからなる第5Aレンズ群G5Aと、レンズL5d~L5jの7枚のレンズからなる第5B1Nレンズ群G5B1Nと、レンズL5k~L5pの6枚のレンズからなる第5B2レンズ群G5B2とから構成されている。
【0094】
実施例5のズームレンズについて、基本レンズデータを表17Aおよび表17Bに、諸元に関するデータを表18に、可変面間隔に関するデータを表19に、非球面係数に関するデータを表20に、各収差図を図10に示す。
【0095】
【表17A】
【0096】
【表17B】
【0097】
【表18】
【0098】
【表19】
【0099】
【表20】
【0100】
表21に、実施例1~5のズームレンズの条件式(1)~(9)の対応値を示す。表21に示す値はd線を基準とするものである。
【0101】
【表21】
【0102】
以上のデータから、実施例1~5のズームレンズは全て、防振時の収差変動が抑制された、高画質かつ高倍率のズームレンズであることがわかる。
【0103】
次に、本発明の実施形態に係る撮像装置について説明する。図11に、本発明の実施形態の撮像装置の一例として、本発明の実施形態に係るズームレンズ1を用いた撮像装置10の概略構成図を示す。撮像装置10としては、例えば、放送用カメラ、映画撮影用カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、および、監視用カメラ等を挙げることができる。
【0104】
撮像装置10は、ズームレンズ1と、ズームレンズ1の像側に配置された光学部材2と、光学部材2の像側に配置された撮像素子3とを備えている。光学部材2はフィルタおよび/またはプリズムを想定したものである。なお、図11では、ズームレンズ1が備える第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4、第5レンズ群G5、第5Aレンズ群G5A、第5B1Nレンズ群G5B1N、第5B1Eレンズ群G5B1E、および、第5B2レンズ群G5B2を概略的に図示し、開口絞りStは図示を省略している。
【0105】
撮像素子3はズームレンズ1により形成される光学像を電気信号に変換するものであり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。撮像素子3は、その撮像面がズームレンズ1の像面に一致するように配置される。なお、図9では1つの撮像素子3のみ図示しているが、本発明の撮像装置はこれに限定されず、3つの撮像素子を有するいわゆる3板方式の撮像装置であってもよい。
【0106】
撮像装置10はまた、撮像素子3からの出力信号を演算処理する信号処理部4と、ズームレンズ1の変倍を制御する変倍制御部5と、ズームレンズ1の合焦を制御するフォーカス制御部6とを備えている。変倍制御部5により第5B1Nレンズ群G5B1Nとエクステンダーレンズである第5B1Eレンズ群G5B1Eの置換が行われる。
【0107】
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ群が有するレンズの枚数、各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数、部分分散比および非球面係数は、上記各数値実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。
【符号の説明】
【0108】
1 ズームレンズ
2 光学部材
3 撮像素子
4 信号制御部
5 変倍制御部
6 フォーカス制御部
10 撮像装置
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G5A 第5Aレンズ群
G5B 第5Bレンズ群
G5B1N 第5B1Nレンズ群
G5B1E 第5B1Eレンズ群
G5B2 第5B2レンズ群
L1a~L5p レンズ
PP 光学部材
Sim 像面
St 開口絞り
Wa 軸上光束
Wb 最大画角の光束
Z 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11