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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ゴム組成物、その製造及び使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20220117BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220117BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20220117BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C08L21/00
C08K3/36
C08L71/02
B60C1/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018567927
(86)(22)【出願日】2017-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2017064918
(87)【国際公開番号】W WO2018001772
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-17
(31)【優先権主張番号】16176688.6
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッファー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ニムツ,フリッツ
(72)【発明者】
【氏名】フェッセンベッカー,アヒム
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア マルコス,アレハンドラ
【審査官】藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-028129(JP,A)
【文献】特開2015-157878(JP,A)
【文献】国際公開第2014/038650(WO,A1)
【文献】特開平10-147668(JP,A)
【文献】特開2008-260887(JP,A)
【文献】特開2002-338733(JP,A)
【文献】特開平09-176174(JP,A)
【文献】特開平03-103465(JP,A)
【文献】特表平09-503516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 65/00-67/04
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)硫黄加硫性ゴム様エラストマーから選択される少なくとも1種のゴムと、
(B)シリカと、
(C)一般式(Ia)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-R2 (Ia)
に従う化合物、及び一般式(Ib)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-A1-O-(AO)y-CH2-CH(OH)-R1 (Ib)
に従う化合物、及び一般式(Ic)
R1-CO-NH-CH2-CH2-O-(AO)x-CH2-CH2-NH-CO-R1 (Ic)
に従う化合物
(式中、
R1は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C4~C30-アルキルから選択され、
R2は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C1~C30-アルキルから選択され、
A1は、直鎖又は分岐鎖C2~C10-アルキレンから選択され、
x、yは、同じ又は異なり、10~50から選択され、
AOは、CH2-CH2-O、(CH2)3-O、(CH2)4-O、CH2CH(CH3)-O、CH(CH3)-CH2-O-及びCH2CH(n-C3H7)-Oから選択される、同一又は異なるアルキレンオキシドから選択される)
から選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(C)と
を含むゴム組成物。
【請求項2】
一般式(Ia)又は(Ib)に従う化合物におけるR1が、n-C6~C16-アルキルから選択される、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
一般式(Ia)に従う化合物におけるR2が、C6~C18-アルキルから選択される、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
xが、12~20から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
一般式(Ia)、(Ib)又は(Ic)に従う化合物において、全てのAOがCH2-CH2-O基である、請求項1から4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
シリカ(B)が、沈降シリカ及びフュームドシリカから選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項7】
(D)ポリアルコキシル化された、又はポリアルコキシル化されていないポリアルキレンイミンから選択される少なくとも1種のポリマーをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項8】
全体で10~100phrの範囲内のシリカ(B)及び0.5~5phrの範囲内の非イオン性界面活性剤(C)及び0~1phrの範囲内のポリアルキレンイミン(D)を含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項9】
タイヤ部品の製造のための、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴム組成物の使用。
【請求項10】
タイヤトレッドの製造のための、請求項1から8のいずれか一項に記載のゴム組成物の使用。
【請求項11】
タイヤトレッドを作製する方法であって、シリカ(B)を、一般式(Ia)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-R2 (Ia)
に従う化合物、及び一般式(Ib)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-A1-O-(AO)y-CH2-CH(OH)-R1 (Ib)
に従う化合物、及び一般式(Ic)
R1-CO-NH-CH2-CH2-O-(AO)x-CH2-CH2-NH-CO-R1 (Ic)
に従う化合物
(式中、
R1は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C4~C30-アルキルから選択され、
R2は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C1~C30-アルキルから選択され、
A1は、直鎖又は分岐鎖C2~C10-アルキレンから選択され、
x、yは、同じ又は異なり、10~50から選択され、
AOは、CH2-CH2-O、(CH2)3-O、(CH2)4-O、CH2CH(CH3)-O、CH(CH3)-CH2-O-及びCH2CH(n-C3H7)-Oから選択される、同一又は異なるアルキレンオキシドから選択される)
から選択される非イオン性界面活性剤(C)、並びに硫黄又は少なくとも1種の硫黄化合物(E)、並びに任意選択で1つ以上のさらなる成分(F)を、ニーダー、ミル、押出機又は内部バッチミキサー内で混合し、ゴム(A)を加硫するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
(A)硫黄加硫性ゴム様エラストマーから選択される少なくとも1種のゴムと、
(B)シリカと、
(C)一般式(Ia)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-R2 (Ia)
に従う化合物、及び一般式(Ib)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-A1-O-(AO)y-CH2-CH(OH)-R1 (Ib)
に従う化合物、及び一般式(Ic)
R1-CO-NH-CH2-CH2-O-(AO)x-CH2-CH2-NH-CO-R1 (Ic)
に従う化合物
(式中、
R1は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C4~C30-アルキル及び直鎖又は分岐鎖C4~C30-アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、
R2は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C1~C30-アルキル及び直鎖又は分岐鎖C2~C30-アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、
A1は、直鎖又は分岐鎖C2~C10-アルキレンから選択され、
x、yは、同じ又は異なり、10~50から選択され、
AOは、CH2-CH2-O、(CH2)3-O、(CH2)4-O、CH2CH(CH3)-O、CH(CH3)-CH2-O-及びCH2CH(n-C3H7)-Oから選択される、同一又は異なるアルキレンオキシドから選択される)
から選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(C)と
を含むゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカ強化ゴムは、タイヤ産業において高い関心を集めている。多くのタイヤ用途において、カーボンブラックの少なくとも一部をシリカで置き換えることが望まれている。そのようなシリカ強化タイヤは、純粋なカーボンブラック強化タイヤの環境に優しい代替品とされている。さらに、いくつかの用途において、着色タイヤを提供することが望まれている。しかしながら、純粋なカーボンブラック強化は、一般に黒色タイヤをもたらす。さらに、特にシリカ強化は、純粋なカーボン強化及び純粋なシリカ強化と比較して改善された性能をもたらす。
【0003】
トレッドは地面に直接接し、またタイヤの他の部分と比較してトレッドは最大限まで摩耗を受けるため、安全性及び運転性能の観点から、トレッドはタイヤにおいて重要な役割を果たす。
【0004】
シリカ強化ゴムは、当技術分野において知られている。例えば、US3,867,326、DE102004005132、及びWO2005/056664を参照されたい。重要なステップは、1種以上の強化剤及びさらなる添加剤が好ましくはゴムに導入される加硫ステップである。それと同時に、加硫が生じる。加硫ステップ中の強化剤及びさらなる添加剤の不均一な分布は、タイヤの好ましくない特性をもたらす可能性があるが、これは直すことができない。したがって、重要な加工ステップは、混合ステップである。混合を改善するために、例えば好適な混合機器、混合条件及び加工助剤に応じて様々な方式が示唆されている。いかなる加工助剤も、いくつかの条件を満たす必要がある。加工助剤は、混合自体を良好に改善しなければならず、また容易に除去可能でなければならないか、又は代替として、タイヤに悪影響を与えずにタイヤ内に残留してもよい。
【0005】
隣接ジオールは混合補助剤として知られ(EP0761734を参照されたい)、例えば、ソルビタンモノ-又はジエステル、及びトリオール、例えば1,1,1-トリメチロールプロパンがある。しかしながら、タイヤの好ましくない経年劣化挙動が、ジオールの使用によるものとされる場合がある。
【0006】
最近では、転がり抵抗が可能な限り低い、改善された運転特性を有するタイヤが益々要求されており、転がり抵抗は、実質的にはトレッドゴム化合物の転がり抵抗であり、タイヤ幅及びトレッドパターンの圧力により決定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、環境に優しいタイヤ部品、特にトレッドの製造を可能にし、加工及び加硫が容易であるゴム組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、タイヤ部品を作製する方法を提供することである。さらに、目的は、優れた運転特性、例えば転がり特性を有するタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、冒頭で定義されたゴム組成物を見出した。これは、以下、本発明のゴム組成物とも称する。「ゴム組成物」という用語は、本明細書において使用される場合、加硫前の組成物を指す。これはまた、ゴムストック又はゴムストック組成物と称することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のゴム組成物は、
(A)硫黄加硫性ゴム様エラストマーから選択される少なくとも1種のゴム
を含み、これは、以下、未硬化ゴム(A)とも称する。
【0010】
そのようなゴムは、化学的には、単一のゴム、又は少なくとも2種の化学的に異なる未硬化ゴム(A)の混合物であってもよい。本発明に関連する加硫性ゴムは、未硬化ゴムである。未硬化ゴムは、C-C二重結合を含有する。そのようなC-C二重結合は、ビニル基、-CH=CH2、若しくは-C-(CH3)=CH2)基、又は内部二重結合、例えば-CH=C(CH3)-基であってもよい。ビニル基及びC-C二重結合は両方とも、未硬化ゴムのポリマー鎖と硫黄との架橋を可能にする。
【0011】
未硬化ゴム(A)として機能し得るポリマーの例は、ポリブタジエン、ネオプレンとも称されるポリクロロプレン、アクリロニトリルブタジエンゴム(「NBR」)、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム(「EPDM」)、天然ゴム、ポリ-2,3-ジメチルブタジエン、スチレンブタジエンゴム(「SBR」)、ブチルゴム、カルボキシル化ニトリルゴム(「XNBR」)、水素化カルボキシル化ニトリルゴム(「HXNBR」)、及びこれらの少なくとも2種の混合物である。好ましい未硬化ゴム(A)は、SBRである。好ましい二元混合物は、SBR及びネオプレン、並びにSBR及び天然ゴム、並びにSBR及びブチルゴムの共加硫物である。SBRは、溶液(「S-SBR」)又はエマルション(「E-SBR」)として作製され得る。
【0012】
本発明のゴム組成物は、
(B)シリカ
をさらに含む。
【0013】
シリカ(B)は、沈降シリカ及びフュームドシリカから選択され得る。好ましくは、シリカ(B)は、吸湿性及び硬化剤の不活性化を低減するために処理されたシリカ(B)から選択される。例えば、シリカ(B)は、いわゆる疎水性修飾シリカ、例えば有機シランで、例えばヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジフェニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザンで、特に少なくとも二官能性のシラン、例えば一般式(R3O)3Si-(CH2)n-SY及び(C2H5O)3Si-(CH2)3-Sm-(CH2)n-Si(OR3)3(R3は、同じ又は異なり、C1~C4-アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、及びsec-ブチルから選択され、好ましくはエチルであり、nは、2~5から選択され、好ましくは3であり、mは、1~10から選択され、Yは、H及びシアニドから選択される)のシランで処理されたシリカから選択され得る。特に好ましいのは、(C2H5O)3Si-(CH2)3-SH、(C2H5O)3Si-(CH2)3-SCN及び(C2H5O)3Si-(CH2)3-S4-(CH2)3-Si(OC2H5)3である。
【0014】
他の実施形態において、シリカ(B)は、熱処理シリカ、例えば400~1,000℃で処理されたシリカから選択される。
【0015】
シリカ(B)は、好ましくは、球状粒子形状を有する。球状粒子形状は、沈降シリカ(B)の場合には噴霧乾燥により達成することができ、又は、球状粒子形状は、フュームドシリカの場合に好ましく得られる。
【0016】
本発明の一実施形態において、シリカ(B)の平均粒子直径(数平均)は、2~200μm、好ましくは10~80μmの範囲内であり、電子顕微鏡により決定される。シリカ(B)が凝集体の形態である実施形態において、平均粒子直径(数平均)は、凝集体の平均直径(数平均)を指し、平均二次粒子直径(数平均)と称することができる。凝集体を構成する一次粒子は、5~50nmの範囲内の平均粒子直径を有し得る。
【0017】
本発明の一実施形態において、シリカ(B)のBET表面積は、50~450m2/g、好ましくは50~200m2/gの範囲内であり、DIN ISO 9277:2003-05に従ってN2吸着により決定される。
【0018】
シリカ(B)の好ましい例は、(C2H5O)3Si-(CH2)3-SCN又は(C2H5O)3Si-(CH2)3-S4-(CH2)3-Si(OC2H5)3でシラン化された、10~0μmの範囲内の平均二次粒子直径(数平均)を有するシリカである。
【0019】
本発明の一実施形態において、本発明のゴム組成物は、10~100phrの範囲内、好ましくは85phr以下のシリカ(B)を含む。略語phrは、「ゴム100部当たりの部」を意味し、重量部を指す。
【0020】
シリカ(B)をin situでシラン化する、又はシラン化物の混合から開始することが可能である。
【0021】
本発明のゴム組成物は、
(C)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(C)
をさらに含み、これは以下、界面活性剤(C)とも称し、前記界面活性剤(C)は、一般式(Ia)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-R2 (Ia)
に従う化合物、及び一般式(Ib)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-A1-O-(AO)y-CH2-CH(OH)-R1 (Ib)
に従う化合物、及び一般式(Ic)
R1-CO-NH-CH2-CH2-O-(AO)x-CH2-CH2-NH-CO-R1 (Ic)
に従う化合物から選択される。
前記式において、R1は、同じ又は該当する場合には異なり、直鎖又は分岐鎖C4~C30-アルキル及び直鎖又は分岐鎖C4~C30-アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、好ましくは直鎖又は分岐鎖C4~C30-アルキルであり、より好ましくは直鎖C4~C30-アルキルであり、さらにより好ましくはn-C6~C16-アルキル、例えばn-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、及びn-ヘキサデシルであるから選択される。一般式(Ib)に従う化合物において、両方のR1が同じであることが好ましい。
【0022】
x、yは、同じ又は該当する場合には異なり、6~50、好ましくは12~25から選択される。一般式(Ib)に従う化合物において、x及びyが同じ値をとることが好ましい。
【0023】
AOは、CH2-CH2-O、-(CH2)3-O、-(CH2)4-O、-CH2CH(CH3)-O、-CH(CH3)-CH2-O-及びCH2CH(n-C3H7)-Oから選択される同一又は異なるアルキレンオキシドから選択される。AOの好ましい例は、CH2-CH2-O(「EO」)である。
【0024】
本発明に関連して、EO及びEO基という表現は、互換的に使用され得る。
【0025】
本発明の一実施形態において、(AO)xは、(EO)x1から選択され、x1は、1~50から選択される。
【0026】
本発明の一実施形態において、(AO)xは、-(EO)x2-(CH2CH(CH3)-O)x3及び-(EO)x2-(CH(CH3)CH2-O)x3から選択され、x2及びx3は、同一又は異なり、1~30から選択される。
【0027】
本発明の一実施形態において、(AO)xは、-(EO)x4から選択され、x4は、10~50の範囲内であり、AOは、EOであり、R1及びR2は、それぞれ独立してC8~C14-アルキルから選択される。
【0028】
本発明に関連して、x又はx1又はx2及びx3又はx4は、平均値として理解されるべきであり、好ましくは数平均である。したがって、該当する場合には、各x又はx1又はx2又はx3又はx4は割合を示し得るが、特定の分子は、整数のアルキレンオキシド単位のみを有し得る。
【0029】
一般式(Ib)に従う化合物において、(AO)yに対し同様のことが必要な変更を加えて適用される。
【0030】
一般式(Ia)に従う化合物において、R2は、直鎖又は分岐鎖C1~C30-アルキル及び直鎖又は分岐鎖C2~C30-アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、好ましくはC6~C18-アルキル、例えばn-ヘキシル、iso-ヘキシル、n-ヘプチル、iso-ヘプチル、n-オクチル、iso-オクチル、n-ノニル、iso-ノニル、n-デシル、iso-デシル、2-n-プロピルヘプチル、n-ウンデシル、iso-ウンデシル、n-ドデシル、イソドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、及びこれらのいずれかの異性体の組合せであり、より好ましくはC8~C11-アルキルである。
【0031】
一般式(Ib)に従う化合物において、A1は、直鎖又は分岐鎖C2~C10-アルキレン、例えば
-CH2-CH2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH2CH3)-、-CH2-CH(n-C3H7)-、-CH2-CH(n-C4H9)-、-CH2-CH(n-C5H11)-、-CH2-CH(n-C6H13)-、-CH2-CH(n-C8H17)-、-CH(CH3)-CH(CH3)-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-(CH2)8-、-(CH2)10-、-C(CH3)2-、-CH2-C(CH3)2-CH2-、及び-CH2-[C(CH3)2]2-CH2-
から選択される。
【0032】
好ましい残基A1は、-CH2-CH2-、CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH2CH3)-、-CH2-CH(n-C3H7)-、-CH2-CH(n-C4H9)-、-CH2-CH(n-C6H13)-、及び-(CH2)4-である。
【0033】
一般式(Ia)に従う化合物、及び一般式(Ib)に従う化合物のうち、一般式(Ia)に従う化合物が好ましい。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、一般式(Ia)に従う化合物は、分子当たり少なくとも1つの分岐を有する。
【0035】
前記好ましい実施形態の例の1つのクラスにおいて、一般式(Ia)に従う化合物におけるR2は、分岐鎖C6~C18-アルキルから選択され、全てのAOがEOである。そのような分岐鎖C6~C18-アルキルは、例えばiso-ヘキシル、iso-ヘプチル、2-エチルヘキシル(「2-EH」)、イソオクチル、イソデシル、2-n-プロピルヘプチル(「2-PH」)、2-イソプロピル-5-メチルヘキシル、イソトリデシル、特にテトラメチルノニル等、1つ以上の分岐を有し得る。
【0036】
本発明の別の好ましい実施形態において、一般式(Ia)に従う化合物におけるR2は、直鎖C6~C18-アルキルから選択され、分子当たり平均少なくとも0.5個のAOがプロピレンオキシド基であり、他のAO基は、好ましくはEO基である。例えば、そのような化合物において、分子当たり平均0.5~1個のAO基がプロピレンオキシド基であり、他のAO基はEO基である。
【0037】
一般式(Ia)に従う特に好適な界面活性剤(C)の例は、
n-C8H17-CH(OH)-CH2-(EO)40-イソ-C11H23
n-C8H17-CH(OH)-CH2-(EO)40-イソ-C13H27
n-C8H17-CH(OH)-CH2-(EO)22-CH(CH3)-CH2-O-n-C10H21
n-C10H21-CH(OH)-CH2-(EO)22-CH(CH3)-CH2-O-n-C10H21
n-C10H21-CH(OH)-CH2-(EO)22-CH(CH3)-CH2-O-n-C8H17
n-C8H17-CH(OH)-CH2-(EO)22-CH(CH3)-CH2-O-n-C8H17
n-C8H17-CH(OH)-CH2-(EO)40-CH(CH3)-CH2-O-n-C10H21
n-C10H21-CH(OH)-CH2-(EO)40-CH(CH3)-CH2-O-n-C10H21
n-C10H21-CH(OH)-CH2-(EO)40-CH(CH3)-CH2-O-n-C8H17
n-C8H17-CH(OH)-CH2-(EO)40-CH(CH3)-CH2-O-n-C8H17

n-C10H21-CH(OH)-CH2-O-(EO)22-イソ-C11H23
n-C8H17-CH(OH)-CH2-O-(EO)22-イソ-C11H23
n-C10H21-CH(OH)-CH2-O-(EO)19.5-イソ-C11H23
n-C8H17-CH(OH)-CH2-O-(EO)19.5-イソ-C11H23

n-C10H21-CH(OH)-CH2-O-(EO)22-n-C16H33
n-C10H21-CH(OH)-CH2-O-(EO)22-イソ-C13H27
である。
【0038】
一般式(Ib)に従う特に好適な界面活性剤(C)の例は、
【0039】
【化1】
であり、式(Ib.1)及び(Ib.2)及び(b.3)における両方のR1は等しく、n-C8H17及びn-C10H21から選択される。
【0040】
本発明の一実施形態において、本発明の濃縮物は、一般式(Ia)に従う2種の異なる化合物、又は一般式(Ib)に従う2種の異なる化合物を含有する。
【0041】
本発明の一実施形態において、本発明のゴム組成物は、0.5~5phr、好ましくは1~4phrの非イオン性界面活性剤(C)を含有する。
【0042】
本発明の一実施形態において、本発明のゴム組成物は、
(D)ポリアルコキシル化された、又はポリアルコキシル化されていないポリアルキレンイミンから選択される少なくとも1種のポリマー
をさらに含んでもよく、これは、以下、場合によりポリアルキレンイミン(D)又はアルコキシル化ポリアルキレンイミン(D)とも称する。
【0043】
ポリアルキレンイミン(D)は、本明細書において使用される場合、それぞれのアルキレンイミンの開環重合により、又はアルキレンジアミン若しくはヒドロキシアルキルアミン、例えばこれに限定されないがエタノールアミンの重縮合反応により通常作製される、1種以上のポリアルキレンイミンのポリマーを指す。
【0044】
ポリアルキレンイミン(D)は、主鎖ポリアルキレンイミンの1級又は2級N原子に置換基を有してもよい。他の実施形態において、ポリアルキレンイミン(D)は、非置換である。好適な置換基は、ポリアルキレンオキシド鎖、例えば、これらに限定されないが、ポリエチレンオキシド鎖及びポリプロピレンオキシド鎖、並びに混合ポリアルキレンオキシド鎖である。置換基のさらなる例は、遊離酸としての、又は部分的若しくは完全にアルカリで中和されたCH2COOH基である。上記置換基の1つ以上を有するポリアルキレンイミンは、以下、置換ポリアルキレンイミン(D)とも称する。
【0045】
ポリアルキレンイミン(D)の好ましい例は、ポリエチレンイミン及びポリプロピレンイミンであり、これらは、以下でそれぞれポリエチレンイミン(D)及びポリプロピレンイミン(D)とも称する。置換ポリアルキレンイミン(B)の好ましい例は、置換ポリエチレンイミン及び置換ポリプロピレンイミンであり、これらは以下でそれぞれ置換ポリエチレンイミン(D)及び置換ポリプロピレンイミン(D)とも称する。ポリアルコキシル化されておらず、またCH2COOH基で置換されてもいないポリアルキレンイミン(B)が言及される実施形態において、そのようなポリアルキレンイミン(B)はまた、非置換ポリアルキレンイミン(B)と称することができる。
【0046】
本発明の一実施形態において、非置換のポリアルキレンイミン(D)、特にポリエチレンイミン(D)の平均分子量Mwは、400~50,000g/モル、好ましくは500~25,000g/モル、より好ましくは750~15,000g/モルの範囲内である。非置換ポリアルキレンイミン(D)の平均分子量Mwは、溶離液として1.5重量%のギ酸水溶液及び固定相として架橋ポリ-ヒドロキシエチルメタクリレートを使用したゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定され得る。
【0047】
本発明の一実施形態において、置換ポリアルキレンイミン(D)の平均分子量Mwは、800~500,000g/モル、好ましくは100,000g/モル以下の範囲内である。置換ポリアルキレンイミン(D)の平均分子量Mwは、溶離液として1.5重量%のギ酸水溶液及び固定相として架橋ポリ-ヒドロキシエチルメタクリレートを使用したゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により決定され得る。CH2COOH-置換基の場合、分子量は、それぞれの遊離酸に対するものである。
【0048】
非置換ポリエチレンイミン(D)及び置換ポリアルキレンイミン(D)を含むポリアルキレンイミン(D)は、1.1から20の範囲内、好ましくは1.5~10の範囲内、より好ましくは5.5以下の多分散性Q=Mw/Mnを示し得る。
【0049】
本発明の一実施形態において、置換ポリエチレンイミン(D)は、1:1~100:1の範囲内、好ましくは2:1~50:1の範囲内のモル比のアルキレンオキシド単位及びN原子を有するものから選択され、N原子は、アルキレンイミン単位に由来する。好ましくは、アルキレンイミン単位は、アルキレンイミン単位の合計に対して、その過半数、例えば少なくとも60モル%、好ましくは少なくとも70モル%がエチレンイミン単位である。
【0050】
本発明の特別な実施形態において、本発明のアルコキシル化ポリエチレンイミン(D)は、1:1~100:1の範囲内、好ましくは2:1~50:1の範囲内のモル比のアルキレンオキシド単位及びN原子を有するものから選択され、N原子は、エチレンイミン単位に由来し、エチレンイミン単位以外のアルキレンイミン単位は存在しない。
【0051】
本発明の一実施形態において、置換ポリエチレンイミン(D)は、全N原子の40~85%がCH2COOH基で置換されているものから選択され、N原子はNH-及びNH2-単位に由来し、CH2COOH基は、遊離酸である、又は部分的若しくは完全にアルカリで中和されている。
【0052】
アルコキシル化ポリアルキレンイミン(D)は、便利にも非置換ポリアルキレンイミン(D)のアルコキシル化により作製され得る。非置換ポリアルキレンイミン(D)を以下でより詳細に説明する。
【0053】
好ましい非置換ポリアルキレンイミン(D)は、非置換ポリプロピレンイミン(D)から選択され、さらにより好ましくは、非置換ポリエチレンイミン(D)である。
【0054】
本発明に関連する「ポリエチレンイミン」という用語は、ポリエチレンイミンホモポリマーだけでなく、他のアルキレンジアミン構造要素、例えばNH-CH2-CH2-CH2-NH構造要素、NH-CH2-CH(CH3)-NH構造要素、NH-(CH2)4-NH構造要素、NH-(CH2)6-NH構造要素又は(NH-(CH2)8-NH構造要素と共にNH-CH2-CH2-NH構造要素を含有するポリアルキレンイミンも指すが、NH-CH2-CH2-NH構造単位がモル割合の点で過半数である。好ましいポリエチレンイミンは、モル割合の点で過半数である、例えば全アルキレンイミン構造要素に対して60モル%以上に達する、より好ましくは少なくとも70モル%に達するNH-CH2-CH2-NH構造要素を含有する。特別な実施形態において、ポリエチレンイミンという用語は、分子当たり、NH-CH2-CH2-NHと異なるただ1つのアルキレンイミン構造要素を有する、又はそのようなアルキレンイミン構造要素を有さないポリアルキレンイミンを指す。
【0055】
分岐は、アルキレンアミノ基、例えば、これらに限定されないが、-CH2-CH2-NH2基又は(CH2)3-NH2-基であってもよい。より長い分岐は、例えば、-(CH2)3-N(CH2CH2CH2NH2)2又は-(CH2)2-N(CH2CH2NH2)2基であってもよい。高分岐ポリエチレンイミンは、例えば、0.25~0.95の範囲内、好ましくは0.30~0.80の範囲内、特に好ましくは少なくとも0.5の分岐度を有するポリエチレンイミンデンドリマー又は関連分子である。分岐度は、例えば、13C-NMR又は15N-NMR分光法により、好ましくはD2O中で決定することができ、以下のように定義される。
DB=D+T/D+T+L
D(樹状)は、3級アミノ基の割合に対応し、L(直線)は、2級アミノ基の割合に対応し、T(末端)は、1級アミノ基の割合に対応する。
【0056】
本発明に関連して、好ましい非置換ポリエチレンイミン(D)は、0.25~0.95の範囲内、特に好ましくは0.30~0.90%の範囲内、極めて特に好ましくは少なくとも0.5のDBを有する非置換ポリエチレンイミン(D)である。
【0057】
本発明に関連して、CH3基は、ポリアルキレンイミン(D)における分岐として考慮されていない。
【0058】
本発明の一実施形態において、界面活性剤(C)は、一般式(Ia)又は(Ib)に従う化合物から選択され、ポリアルキレンイミン(D)は、400~25,000g/モルの範囲内の平均分子量Mwを有する非置換ポリエチレンイミンから選択される。
【0059】
ポリアルキレンイミン(D)が存在する実施形態において、本発明のゴム組成物は、好ましくは、0.01~1phrの範囲内、好ましくは0.05~0.5phrであるポリアルキレンイミン(D)を含有する。
【0060】
本発明のゴム混合物は、1つ以上のさらなる成分(F)を含有してもよい。そのようなさらなる成分は、様々な目的を果たし得、例えば、鉱物充填剤硬化促進剤、硬化遅延剤、加工助剤、例えばタール、油、又は脂肪酸若しくはそれらの塩、顔料、例えばカーボンブラック、酸化防止剤、及び強化剤、例えばガラス繊維等である。さらなる成分(F)のさらなる例は、安定剤、例えば熱安定剤、オゾン安定剤、光安定剤、特にUV安定剤である。
【0061】
カーボンブラックは、10~40phrの量で存在し得る。
【0062】
油の例は、パラフィン油、芳香族系油、及びナフテン油である。好ましくは、TDAEとしても知られる処理留出物芳香族系抽出物である。さらにより好ましくは、パラフィン油である。
【0063】
脂肪酸の例は、例えば分子当たり1つ、2つ又は3つのC-C二重結合を有するC11~C31-アルキルカルボン酸及びC11~C31-アルケニルカルボン酸である。具体例は、オレイン酸、ステアリン酸及びパルミチン酸、並びにそれらのそれぞれの塩である。一実施形態において、本発明のゴム組成物は、0.1~20重量%の範囲内の脂肪酸又はその塩を含有する。好適な対イオンは、Zn2+、NH4 +、Ca2+及びMg2+である。
【0064】
鉱物充填剤の好ましい例は、同様の酸化亜鉛、シリケート、例えば合成シリケート及び天然シリケート、例えばカオリン、さらには炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、又は粘土、二酸化チタン、タルク、石膏、アルミナであり、好ましくはベントナイト、カオリン、酸化亜鉛である。
【0065】
硬化遅延剤の例は、安息香酸、無水フタル酸、及びサリチル酸である。
【0066】
成分(F)のさらなる例は、アミン類、特にエタノールアミン類、例えばエタノールアミン、N,N-ジエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、及びN,N-ジメチルエタノールアミンである。
【0067】
本発明の一実施形態において、本発明のゴム組成物は、30~50ムーニー単位の範囲内のムーニー粘度を有し、これはDIN53523-2:1991-05に従い100℃で決定される。
【0068】
本発明のさらなる態様は、タイヤ部品の製造、特にトレッドの製造のための本発明のゴム組成物の使用である。したがって、さらなる態様は、本発明のゴム組成物を使用することによる、タイヤ部品、特にトレッドの製造のための方法であり、これは以下、本発明のタイヤ製造方法とも称する。本発明の製造方法によって、タイヤ部品、特にシリカ含有トレッドは、あまりにも面倒な混合プロセスなしに容易に作製され得る。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、本発明のゴム組成物の比較的低い粘度によって、混合がはるかにより容易に達成され得ると推測される。
【0069】
硬化を開始させるために、本発明のゴム組成物に硫黄が添加される。亜鉛ジエチルジチオカルバメート、亜鉛エチルフェニルジチオカルバメート、ジメチルジフェニルチウラムジスルフィド、亜鉛ジブチルジチオカルバメート、ジベンゾジアジルジスルフィド、亜鉛ジベンジルジチオカルバメート、テトラメチルチウラムジスルフィド (CH3)2N-C(=S)-S-S-C(=S)-N(CH3)2、又は1,3-ベンゾチアゾール-2-チオール等の1種以上の硫黄化合物も同様に添加され得る。好適な加硫促進剤のさらなる例は、キサントゲネート、トルイジン及びアニリンである。加硫促進剤は、そのままで、又はZnS若しくはSb2S3若しくはPbO等の活性剤と共に適用され得る。
【0070】
したがって、本発明のさらなる態様は、タイヤトレッドを作製する方法であって、シリカ(B)を、一般式(Ia)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-R2 (Ia)
に従う化合物、及び一般式(Ib)
R1-CH(OH)-CH2-O-(AO)x-A1-O-(AO)y-CH2-CH(OH)-R1 (Ib)
に従う化合物、及び一般式(Ic)
R1-CO-NH-CH2-CH2-O-(AO)x-CH2-CH2-NH-CO-R1 (Ic)
に従う化合物
(式中、
R1は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C3~C30-アルキル及び直鎖又は分岐鎖C4~C30-アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、
R2は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C1~C30-アルキル及び直鎖又は分岐鎖C2~C30-アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、
A1は、直鎖又は分岐鎖C2~C10-アルキレンから選択され、
x、yは、同じ又は異なり、10~50から選択され、
AOは、CH2-CH2-O、(CH2)3-O、(CH2)4-O、CH2CH(CH3)-O、CH(CH3)-CH2-O-及びCH2CH(n-C3H7)-Oから選択される、同一又は異なるアルキレンオキシドから選択される)
から選択される非イオン性界面活性剤(C)、並びに硫黄又は少なくとも1種の硫黄化合物(E)、並びに任意選択で1つ以上のさらなる成分(F)を、ニーダー、ミル、押出機又は内部バッチミキサー内で混合し、ゴム(A)を加硫するステップを含む方法である。
【0071】
内部バッチミキサーの例は、いわゆるバンバリーミキサーである。
【0072】
ミルの例は、ローラミルである。
【0073】
硫黄は、0.1~5phr、好ましくは0.5~2.5phr等の量で適用され得る。
【0074】
混合は、1つ又は好ましくは1つ以上のサブステップで行われてもよい。ゴム(A)の加硫は、ほぼ本発明のゴム組成物を硫黄と混合した瞬間に開始する。最初にゴム(A)をシリカ(B)、さらなる成分(F)、及び任意選択でポリマー(D)と混合することにより本発明のゴム組成物を作製し、次いで界面活性剤(C)を添加し、次いで硫黄(E)、及び所望により1種以上の硫黄化合物(E)を添加することが好ましい。
【0075】
本発明の製造方法は、30~160℃の範囲内の温度で行われてもよい。加熱は、蒸気により、又はそのような混合中のエネルギー吸収により自動的に達成され得る。様々な混合サブステップの間で、得られた混合物を冷却することが好ましい。また、様々なサブステップにおいて混合を行うことが好ましく、最初のサブステップは、早期加硫を回避するために、30~120℃、好ましくは40~110℃の範囲内の温度である。
【0076】
好ましい実施形態において、最初にゴム(A)をシリカ(B)、さらなる成分(F)、及び任意選択でポリマー(D)と混合し、次いで界面活性剤(C)が添加されることにより本発明のゴム組成物が作製され、次いで硫黄(E)、及び所望により1種以上の硫黄化合物(E)が添加され、続いて125℃の最高温度で押出しが行われる。そのようにして得られた半製品は、次いで、タイヤ形成機に移送され得る。
【0077】
[実施例]
概説:
ムーニー粘度は、DIN53523-2 1991-05に従い、DEGUMA Schutz GmbH製せん断ディスク粘度計viscTECHで決定された。せん断ディスク粘度計は、加硫反応の開始をさらに検査するために、閉じた安全ガラス及び交換可能なチューブを用いて操作された。
【0078】
加硫時間は、ASTM D2084に従って測定された。
【0079】
トレッドと路面との間の摩擦係数は、関連するトレッドゴム混合物の損失係数(tanδ)である。これは、DIN53513に従い、60℃、一定変形、変形周波数:10Hz、振幅:0.2%、10%初期変形で決定された。
【0080】
以下の成分のベース混合物を使用した。
ゴム(A.1):S-SBRとしてのSBR
ゴム(A.2):Buna(登録商標)CB24として市販されているブチルゴム
シリカ(B.1):焼成SiO2、BET表面積(N2):175m2/g、平均二次粒子直径:5~25μm
シラン:(C2H5O)3Si-(CH2)3-S4-(CH2)3-Si(OC2H5)3
硬化剤:
Lanxess AGからVulkanox(登録商標)4010として市販されているN-イソプロピル-N'-フェニル-パラ-フェニレンジアミン(「IPPD」)
Lanxess AGからVulkanox(登録商標)4020として市販されているN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-パラ-フェニレンジアミン(「6PPD」)
Lanxess AGからVulkanox(登録商標)HS/LG TMQとして市販されている重合2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン(「HS-TMQ」)
(C.1): n-C10H21-CH(OH)-CH2-O-PO-(EO)22-n-C10H21 (I a.1)
(C.2): n-C10H21-CH(OH)-CH2-O-(EO)40-n-C10H21 (I a.2)
(C.3): n-C12H25-CH(OH)-CH2-O-(EO)40-n-C10H21 (I a.3)
(C.4): n-C18H37-CH(OH)-CH2-O-(EO)23-イソ-C3H7 (I a.4)
(C.5): C8H17-CH(OH)-CH2-O-(EO)10-n-C12H25 (I a.5)
(C.6): n-C10H21-CH(OH)-CH2-O-(EO)20-n-C12H25 (I a.6)
(C.7):
【0081】
【化2】
(式中、両方のR1がn-C10H21である)
(C.15):(I.b.2)であるが、x=y=44である。
(C.8):R1-CO-NH-CH2-CH2-O-(EO)25-CH2-CH2-NH-CO-R1 (Ic.1)
(C.9):R1-CO-NH-CH2-CH2-O-(EO)50-CH2-CH2-NH-CO-R1 (Ic.1)
【0082】
比較目的として、以下の非イオン性界面活性剤を同様に試験した。
c-(C.10):ポリエチレングリコール、Mw4,000g/モル
c-(C.11):エチレングリコール-プロピレングリコール-エチレングリコールのトリブロックコポリマー、平均式(EO)2-(PO)16-(EO)2
c-(C.12):エチレングリコール-プロピレングリコール-エチレングリコールのトリブロックコポリマー、平均式(EO)18-(PO)6-(EO)18
c-(C.13):プロピレングリコール-エチレングリコール-プロピレングリコールのトリブロックコポリマー、平均式(PO)27-(EO)8-(PO)27
【0083】
さらに、比較目的で以下のアニオン性界面活性剤を試験した。
c-(C.14):オレイン酸Zn
(D.1):ポリエチレンイミン、Mn:800g/モル、ブルックフィールドによる粘度:5,000mPa・s
【0084】
以下の一般的な加硫性ゴム(ゴムストック)を使用した。
70phrの(A.1)、30phrの(A.2)
80phrの(B.1)
10phrの煤、炉、ASTMコードN234
Vivatec(登録商標)500として市販されている20phrのTDAE(処理留出物芳香族系抽出油)
1.0phrのIPPD、2.0phrの6PPD、0.5phrのSH-TMQ
【0085】
表1に従って界面活性剤を添加し、得られた混合物を、40℃で10分の期間にわたりローラミルで混合した。次いで、試験を行った。試験結果は表1にまとめられる。
【0086】
【表1】
(付記)
(付記1)
(A)硫黄加硫性ゴム様エラストマーから選択される少なくとも1種のゴムと、
(B)シリカと、
(C)一般式(Ia)
R 1 -CH(OH)-CH 2 -O-(AO) x -R 2 (Ia)
に従う化合物、及び一般式(Ib)
R 1 -CH(OH)-CH 2 -O-(AO) x -A 1 -O-(AO) y -CH 2 -CH(OH)-R 1 (Ib)
に従う化合物、及び一般式(Ic)
R 1 -CO-NH-CH 2 -CH 2 -O-(AO) x -CH 2 -CH 2 -NH-CO-R 1 (Ic)
に従う化合物
(式中、
R 1 は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C 4 ~C 30 -アルキル及び直鎖又は分岐鎖C 4 ~C 30 -アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、
R 2 は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C 1 ~C 30 -アルキル及び直鎖又は分岐鎖C 2 ~C 30 -アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、
A 1 は、直鎖又は分岐鎖C 2 ~C 10 -アルキレンから選択され、
x、yは、同じ又は異なり、10~50から選択され、
AOは、CH 2 -CH 2 -O、(CH 2 ) 3 -O、(CH 2 ) 4 -O、CH 2 CH(CH 3 )-O、CH(CH 3 )-CH 2 -O-及びCH 2 CH(n-C 3 H 7 )-Oから選択される、同一又は異なるアルキレンオキシドから選択される)
から選択される、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤(C)と
を含むゴム組成物。
(付記2)
一般式(Ia)又は(Ib)に従う化合物におけるR 1 が、n-C 6 ~C 16 -アルキルから選択される、付記1に記載のゴム組成物。
(付記3)
一般式(Ia)に従う化合物におけるR 2 が、C 6 ~C 18 -アルキルから選択される、付記1又は2に記載のゴム組成物。
(付記4)
xが、12~20から選択される、付記1から3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
(付記5)
一般式(I)に従う化合物において、全てのAOがCH 2 -CH 2 -O基である、付記1から4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
(付記6)
シリカ(B)が、沈降シリカ及びフュームドシリカから選択される、付記1から5のいずれか一項に記載のゴム組成物。
(付記7)
(D)ポリアルコキシル化された、又はポリアルコキシル化されていないポリアルキレンイミンから選択される少なくとも1種のポリマーをさらに含む、付記1から6のいずれか一項に記載のゴム組成物。
(付記8)
全体で10~100phrの範囲内のシリカ(B)及び0.5~5phrの範囲内の非イオン性界面活性剤(C)及び0~1phrの範囲内のポリアルキレンイミン(D)を含有する、付記1から7のいずれか一項に記載のゴム組成物。
(付記9)
タイヤ部品の製造のための、付記1から8のいずれか一項に記載のゴム組成物の使用。
(付記10)
タイヤトレッドの製造のための、付記1から8のいずれか一項に記載のゴム組成物の使用。
(付記11)
タイヤトレッドを作製する方法であって、シリカ(B)を、一般式(Ia)
R 1 -CH(OH)-CH 2 -O-(AO) x -R 2 (Ia)
に従う化合物、及び一般式(Ib)
R 1 -CH(OH)-CH 2 -O-(AO) x -A 1 -O-(AO) y -CH 2 -CH(OH)-R 1 (Ib)
に従う化合物、及び一般式(Ic)
R 1 -CO-NH-CH 2 -CH 2 -O-(AO) x -CH 2 -CH 2 -NH-CO-R 1 (Ic)
に従う化合物
(式中、
R 1 は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C 4 ~C 30 -アルキル及び直鎖又は分岐鎖C 4 ~C 30 -アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、
R 2 は、同じ又は異なり、直鎖又は分岐鎖C 1 ~C 30 -アルキル及び直鎖又は分岐鎖C 2 ~C 30 -アルキレン(少なくとも1つのC-C二重結合を有する)から選択され、
A 1 は、直鎖又は分岐鎖C 2 ~C 10 -アルキレンから選択され、
x、yは、同じ又は異なり、10~50から選択され、
AOは、CH 2 -CH 2 -O、(CH 2 ) 3 -O、(CH 2 ) 4 -O、CH 2 CH(CH 3 )-O、CH(CH 3 )-CH 2 -O-及びCH 2 CH(n-C 3 H 7 )-Oから選択される、同一又は異なるアルキレンオキシドから選択される)
から選択される非イオン性界面活性剤(C)、並びに硫黄又は少なくとも1種の硫黄化合物(E)、並びに任意選択で1つ以上のさらなる成分(F)を、ニーダー、ミル、押出機又は内部バッチミキサー内で混合し、ゴム(A)を加硫するステップを含む方法。