(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】反射構造を有する半導体発光ダイオードおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20220117BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20220117BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/22
(21)【出願番号】P 2019239699
(22)【出願日】2019-12-27
(62)【分割の表示】P 2018112918の分割
【原出願日】2010-02-23
【審査請求日】2019-12-27
(32)【優先日】2009-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】クリー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CREE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ドノフリオ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】イベトソン、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ヤオ、ジンミン ジャミー
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-047988(JP,A)
【文献】特開2008-288548(JP,A)
【文献】特開2005-019939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードであって、
第1面とこれに対向する第2面とを有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域と、
前記p型層にオーム接触して、前記第1面上に延在する反射アノードコンタクトと、
前記n型層にオーム接触して、前記第1面上に延在する反射カソードコンタクトと、
前記アノードコンタクトに電気的に接続されたアノードパッドと、
前記カソードコンタクトに電気的に接続されたカソードパッドと
を備え、
前記アノードコンタクトおよび前記カソードコンタクトは、前記第1面上に延在して、全体として前記第1面の少なくとも85%を覆い、
前記アノードパッドおよび前記カソードパッドは、互いに間隔を空けて離れて配置されて前記第1面上に延在し、その間に間隙を画定し、
前記アノードパッド及び前記カソードパッドは共に、前記カソードコンタクト上に延在し、前記カソードコンタクトは、前記間隙に対応する割れ目を含む発光ダイオード。
【請求項2】
前記アノードコンタクトおよび前記カソードコンタクトは、前記第1面上に延在して、全体として前記第1面の少なくとも90%を覆う請求項1記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記アノードパッドおよび前記カソードパッドのそれぞれは、上面および下面を有し、前記アノードパッドおよび前記カソードパッドの上面は、同一平面上に位置する請求項1記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記第2面上に透明基板をさらに備える請求項1記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記透明基板は、サファイヤを備える請求項4記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記透明基板は、テクスチャ加工された表面を備えて、前記第2面と前記透明基板との間にテクスチャ加工された境界面を形成する請求項4記載の発光ダイオード。
【請求項7】
発光ダイオード(LED)であって、
第1面とこれに対向する第2面とを有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域と、
前記第1面上の少なくとも一つの誘電層と、
前記第1面上のアノードパッドであって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記p型層と電気的に接続するアノードパッドと、
前記第1面上のカソードパッドであって、前記少なくとも一つの誘電層を貫通する部分を備えて、前記n型層と電気的に接続するカソードパッドと、
前記アノードパッドと前記ダイオード領域との間の透明アノードコンタクトと、
前記カソードパッドを前記n型層に電気的に接続する反射カソードコンタクトと、
前記透明アノードコンタクト上に延在する透明絶縁層と
を備え、
前記LEDの前記第2面に隣接する側から発光し、
前記反射カソードコンタクトはまた、前記透明アノードコンタクト上にある前記透明絶縁層上に延在して、前記透明アノードコンタクトの少なくとも一部分を覆う発光ダイオード。
【請求項8】
前記アノードパッドと前記透明アノードコンタクトとの間に電流拡散層をさらに備える請求項7記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記第2面上に透明基板をさらに備える請求項7記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記透明基板は、サファイヤを備える請求項9記載の発光ダイオード。
【請求項11】
発光ダイオードであって、
第1面とこれに対向する第2面とを有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域と、
前記第1面上のアノードパッドであって、前記p型層に電気的に接続されるアノードパッドと、
前記第1面上のカソードパッドであって、前記n型層に電気的に接続されるカソードパッドと、
前記第1面の少なくとも90%を覆う、前記第1面上のミラーであって、前記ミラーに入射する光の少なくとも90%を反射するミラーと
を備え、
前記ミラーは、
前記アノードパッドと前記p型層との間に位置し、前記第1面上に延在する反射アノードコンタクトと、
前記カソードパッドと前記n型層との間に位置し、前記第1面上に延在する反射カソードコンタクトと、
を含み、
前記アノードパッドおよび前記カソードパッドは、互いに間隔を空けて離れて配置されて前記第1面上に延在し、その間に間隙を画定し、
前記カソードパッドは、前記反射カソードコンタクト上に延在し、前記反射カソードコンタクトは、
前記アノードパッドとの間に前記間隙に対応する
隙間を含み、
前記発光ダイオードは、前記発光ダイオードの前記第2面に隣接する側から発光する発光ダイオード。
【請求項12】
前記ミラーは、前記第1面上の透明絶縁層を更に備え、
前記反射カソードコンタクトは、前記透明絶縁層上にある請求項11記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記反射カソードコンタクトは、前記カソードパッドを前記n型層に電気的に接続する請求項12記載の発光ダイオード。
【請求項14】
前記透明絶縁層の屈折率は、前記ダイオード領域の屈折率よりも低い請求項12記載の発光ダイオード。
【請求項15】
前記反射カソードコンタクトは、前記反射アノードコンタクト上に広がり、前記透明絶縁層は、前記反射カソードコンタクトを前記反射アノードコンタクトから電気的に絶縁する請求項12記載の発光ダイオード。
【請求項16】
前記第2面上に透明基板を更に備える請求項11記載の発光ダイオード。
【請求項17】
前記透明基板は、サファイヤを備える請求項16記載の発光ダイオード。
【請求項18】
前記透明基板は、テクスチャ加工された表面を備えて、前記第2面と前記透明基板との間にテクスチャ加工された境界面を形成する請求項16記載の発光ダイオード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光デバイスおよびその製造方法に係り、より詳しくは、半導体発光ダイオード(LED)およびその製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
本願は、2007年11月14日に「ワイヤボンドを利用しないウェハレベルのLED」なる名称で提出された米国特許出願第11/985,410号明細書、および、2008年12月8日に「光取り出し性能が向上した発光ダイオード」なる名称で提出された米国特許出願第12/329,713号明細書の一部継続出願であり、これらの文献の開示は、その全体を本明細書に、実際に記載したものとして組み込まれる。
【0003】
本発明は、米国商務省の政府支援契約番号70NANB4H3037として開発された。政府も本発明の権利を有する。
半導体LEDは、電圧を受けて発光する機能を有する固体発光素子として周知である。一般的にLEDは、第1および第2の対向する面を有し、n型層、p型層、およびp-n接合部を含むダイオード領域を含む。アノード接触がp型層にオーム接触して、カソード接触がn型層にオーム接触する。ダイオード領域は、基板(例えば、サファイヤ、シリコン、炭化ケイ素、ガリウム砒素、窒化ガリウム等の成長基板)の上にエピタキシャル成長させられてよいが、完成品は基板を含まなくてよい。ダイオード領域は、例えば、炭化ケイ素、窒化ガリウム、リン化ガリウム、窒化アルミニウム、および/または、ガリウム砒素ベースの材料から製造されても、および/または、有機半導体ベースの材料から製造することができる。最後になったが、LEDの発光は、可視光領域または紫外線(UV)領域のものであってよく、LEDは、蛍光体(phosphor)等の波長変換材料を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDの発光/照明分野での利用は増えており、その究極目標は、最も多く利用されている白熱電球の代替物とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態の発光ダイオードは、第1および第2の対向する面を有し、n型層、p型層、およびp-n接合部を含むダイオード領域と、p型層にオーム接触して第1面上に延在するアノード接触と、n型層にオーム接触して第1面上に延在するカソード接触とを含む。アノード接触および/またはカソード接触はさらに、第1面から生じる実質的に全ての光を第1面に向けて反射するよう構成された反射構造を第1面上に含む。一部の実施形態では、反射構造は、第1面の面積の少なくとも90%からの光を、第1面に向けて反射することができる。さらに、反射構造自身が、自身に入射する光の少なくとも90%を反射する機能を有してよい。従って本発明の実施形態では、接触を両方とも一面上に有する横型の発光ダイオードおよび統合型の反射構造を提供することができる。横型の発光ダイオードは、LEDをパッケージ基板上に搭載する際にコンタクトが利用され、光が発光ダイオードの第1面以外の面から射出されるフリップチップ構成で利用することができる。
【0006】
一部の実施形態では、反射構造は、p型層にオーム接触するアノード接触の反射面、カソード接触の反射面、および、カソード接触の延長部の反射面を含む。さらに反射構造は、カソード構造およびその延長部の下に透明絶縁層を含む。これらの実施形態の一部にお
いては、アノード接触上(側壁上を含む)に障壁層を設けて、反射構造が、アノード接触の側壁の障壁層が吸収する光を除く、第1面からの光を全て第1面に反射するようにすることができる。他の実施形態では、アノード接触は透明であり、反射構造はさらに、透明アノード接触上に伸びるカソード接触の延長部の反射面を含む。透明絶縁層はさらに、透明アノード接触の上にあるカソード接触の延長部の下にも延在してよい。これらの実施形態の一部では、電流拡散層を透明なアノード接触の上に設け、反射構造が、電流拡散層が吸収した光を除く、第1面からの光を全て第1面に反射することができるようにしている。
【0007】
これら実施形態のいずれかにおいては、透明基板を第2面上に設け、光が透明基板から出るようにしてもよい。透明基板は、ダイオード領域から離れた外面に含まれていてもよく、外面の第1の部分に、第2の部分とは異なるテクスチャ加工を施すことにより、発光ダイオードの方向インジケータとして機能させることもできる。
【0008】
他の実施形態では、アノードパッドをアノード接触に電気接続して、カソードパッドを反射性のカソード接触に電気接続する。アノードパッドおよびカソードパッドは第1面上にあり、互いの間の間隔が極近く、間隙が画定されている。さらに一部の実施形態では、発光ダイオードが、搭載基板上にフリップチップ接続されており、アノードパッドおよびカソードパッドは搭載基板に密着させつつ、ダイオード領域を搭載基板から離すことができる。
【0009】
他の実施形態の発光ダイオードは、n型層およびp型層、ならびに、n型層またはp型層の一方についての接触を含むダイオード領域を含む。接触は、n型層またはp型層の一方の上に、n型層またはp型層の一方よりも小さい屈折率を有する透明絶縁層を含む。反射層は、n型層またはp型層の一方に電気接触し、透明絶縁層の上に延在する。一部の実施形態では、反射層は、透明絶縁層内から透明絶縁層の上まで延在することにより、n型層またはp型層の一方に電気接触する。他の実施形態では、反射層は、n型層またはp型層の一方にオーム接触する。透明絶縁層および反射層は、混合型の反射構造または「ハイブリッドミラー」を提供することができ、下にある透明絶縁層が屈折率の不整合、または屈折率の差を生じさせ、透明絶縁層を設けない場合よりも、ダイオード領域の全反射(TIR)を向上させることができる。
【0010】
また他の実施形態では、接触は第1の接触であり、反射層は第1の反射層であり、発光ダイオードはさらに、n型層またはp型層の他方のための第2の接触を含む。第2の接触は、n型層またはp型層の他方にオーム接触する第2の反射層を含む。また他の実施形態では、n型層またはp型層の他方のための第2の接触は、n型層またはp型層の他方にオーム接触する透明導電層を含み、透明絶縁層および反射層は、両方とも透明導電層上へと延びる。一部の実施形態では、透明導電層は、n型層またはp型層の他方と、透明絶縁層との間の屈折率を有する。さらにこれら実施形態のいずれかにおいて、第1および第2の接触は両方とも、ダイオード領域の第1面から延在してよく、透明基板は、ダイオード領域と略同じの屈折率を有する第2面に設けられてよい。このようにすることで基板の光取り出し性能を高めることができる。
【0011】
また他の実施形態の発光ダイオードは、第1および第2の対向する面を有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域を含む。反射アノード接触は、p型層にオーム接触して、第1面上に延在する。反射カソード接触も、n型層にオーム接触して、第1面上に延在する。反射アノード接触および反射カソード接触は、第1面からの光を実質的に全て、第1面にまとめて反射するように構成されている。上述したように反射アノード接触は反射層および障壁層を含むことができる。他の実施形態では、反射カソード層は、上述したように透明絶縁層と反射層とを含む。
【0012】
また他の実施形態の発光ダイオードは、第1および第2の対向する面を有し、n型層とp型層とを含むダイオード領域を含む。アノード接触は、p型層にオーム接触して、第1面上に延在する。透明絶縁層は、アノード接触外の第1面上に延在する。反射カソード接触は、n型層に電気接触して、透明絶縁層内から、アノード接触の外の透明絶縁層へと延び、反射カソード接触でアノード接触の外の第1面の実質的に全体を覆う。一部の実施形態では、透明絶縁層はさらにアノード接触に延在し、反射カソード層もさらに、アノード接触の上にある透明絶縁層に延在して、反射カソード接触でアノードの外にある第1面の全てを実質的に覆い、且つ、反射カソード接触でアノード接触の少なくとも一部を覆う。さらに一部の実施形態は、第1面にビアを含み、n型層を露呈させ、透明絶縁層がビア内に延在する。反射カソード接触はさらに、透明絶縁層上を通りビア内に到達し、ビア内に露呈しているn型層と電気接触する。透明絶縁層および反射層は、混合型の反射構造または「ハイブリッドミラー」を提供することができ、下にある透明絶縁層が屈折率の不整合、または屈折率の差を生じさせ、透明絶縁層を設けない場合よりも、ダイオード領域の全反射(TIR)を向上させることができる。
【0013】
一部の実施形態では、反射カソード接触は、n型層に直接オーム接触する。しかし他の実施形態では、オーム接触は、n型層に直接オーム接触するよう提供され、反射カソード接触をオーム接触に設ける。さらに一部の実施形態では、透明絶縁層は、複数の透明サブレイヤを有し、例えば分散型のブラッグ反射体を提供してよく、および/または、反射層は複数のサブレイヤを含んでもよい。
【0014】
一部の実施形態は反射アノード接触を含み、他の実施形態は透明アノード接触を含む。従って一部の実施形態では、アノード接触は、p型層にオーム接触して、第1面上に延在する反射アノード接触を含む。反射アノード接触は側壁を含んでよく、発光ダイオードはさらに、側壁上を含む反射アノード接触上に障壁層を含んでよい。
【0015】
他の実施形態では、アノード接触は、p型層にオーム接触し、第1面上に延在する透明アノード接触を含む。さらに電流拡散層が、透明アノード接触の一部の上に形成されていてよい。透明絶縁層は、透明アノード接触の上に延在してよく、反射カソード接触が、透明アノード接触の上にある透明絶縁層の上に延在して、反射カソード接触で透明アノード接触の少なくとも一部を覆ってよい。さらに、電流拡散層が透明アノード接触の一部の上にある場合には、透明絶縁層が、その部分の外にある透明アノード層の上に延在してよく、反射カソード接触も、その部分の外にある透明アノード接触の上のある透明絶縁層へと延び、反射カソード接触でその部分の外にある透明アノード接触を覆うようにすることもできる。
【0016】
上述した実施形態のいずれかは、アノード接触に電気接続されたアノードパッドと、反射カソード接触に電気接続されたカソードパッドとを含んでよい。アノードパッドおよびカソードパッドは第1面上にあり、互いの間の間隔が極近く、間隙が画定されている。一部の実施形態では、アノードパッドおよびカソードパッドの両方が、反射アノード接触の上に延在して、反射アノード接触は、間隙に対応する割れ目(break)を含み、カソードパッドをアノードパッドから電気絶縁している。これら実施形態では、発光ダイオードは、さらに、アノードパッドおよび/またはカソードパッドから絶縁され、割れ目を越えて延在する反射層を含んでよい。さらに一部の実施形態では、反射カソード接触は、めっきシード層も提供し、アノードパッドおよびカソードパッドは、シード層上にめっきされたアノードパッドおよびカソードパッドである。他の実施形態では、別個のめっきシード層を提供することもできる。また他の実施形態では、発光ダイオードは、搭載基板上にフリップチップ接続されており、アノードパッドおよびカソードパッドを搭載基板に密着させ、ダイオード領域を搭載基板から離すことができる。
【0017】
他の実施形態では、透明基板が第2面に含まれていてよい。透明基板は、ダイオード領域から離れた外面を含んでよい。透明基板は、光取り出し機能を向上させることができる。外面の第1の部分に、第2の部分とは異なるテクスチャ加工を施すことにより、発光ダイオードの方向インジケータとして機能させることができる。また他の実施形態では、基板を含めず、ダイオード領域の第2の対向する面にテクスチャ加工を施すが、これには方向インジケータとしての機能は持たせても持たせなくてもよい。
【0018】
また他の実施形態の発光ダイオードは、第1および第2の対向する面を有し、n型層、p型層を含むダイオード領域を含む。透明アノード接触は、p型層にオーム接触して、第1面上に延在する。透明カソード接触は、n型層にオーム接触して、さらに第1面上に延在する。透明絶縁層は、第1面上の、透明アノード接触および透明カソード接触の上を含む領域に延在する。反射層は、第1面を実質的に覆う透明絶縁層の上に設けられる。透明絶縁層および反射層は、混合型の反射構造または「ハイブリッドミラー」を提供することができ、下にある透明絶縁層が屈折率の不整合、または屈折率の差を生じさせ、透明絶縁層を設けない場合よりも、ダイオード領域の全反射(TIR)を向上させることができる。
【0019】
一部の実施形態では、さらに電流拡散層が、透明アノード接触および反射層の間に、および、透明カソード接触および反射層の間に設けられてよい。一部の実施形態では、反射層は、第1の部分および第2の部分を含み、電流拡散層が、透明アノード接触を第1の部分に電気接続して、透明カソード接触を第2の部分に電気接続する。さらに、他の実施形態では、透明アノード接触および透明カソード接触は、両方とも、透明の導電性金属酸化物(例えばインジウム錫酸化物)を含む。反射層は、第1面から間隔を置いて設けられる元素金属層を含む(例えば、第1面は元素金属とは直接接触しない)。
【0020】
他の材料に関しては、他の実施形態において、ダイオード領域がIII族窒化物(例えば窒化ガリウムベースの材料)を含む。透明絶縁材料は、二酸化ケイ素を含み、反射カソード接触はアルミニウムを含む。反射アノード接触はニッケルおよび銀を含む。透明アノード接触はインジウム錫酸化物を含む。さらに、透明基板は、炭化ケイ素を含む。他の実施形態では他の材料を利用することもできる。
【0021】
他の実施形態では、発光ダイオードを製造する方法が提供されてよい。一部の実施形態では、ダイオード領域の第1面のp型層にビアをエッチングにより設けて内部にn型層を露呈させる。p型層にオーム接触する第1面にアノード接触を形成する。透明絶縁層を、ビアの側面上からビアの外の第1面上に延在するように形成する。n型層のビアの床部にオーム接触し、ビアの側壁の上の透明層およびビアの外の第1面の上の透明層に延在する反射カソード接触を形成する。
【0022】
より詳しくは、アノード接触は、p型層にオーム接触し、第1面上に伸びる透明アノード接触を形成することで形成されてよい。次に、電流拡散層を、透明アノード接触の一部の上に形成することができる。さらに、透明絶縁層を、透明アノード接触上に形成してよく、反射カソード接触を、透明アノード接触の上にある透明絶縁層の上にも延在するように形成することもできる。他の実施形態では、アノード接触を、p型層にオーム接触する反射層を形成して、反射層上(側壁上を含む)に障壁層を形成することにより形成してもよい。さらに、透明絶縁層を、透明絶縁層、並びに、透明絶縁層内にn型層およびp型層にまで達する開口ビアを形成するブランケットにより形成してもよい。ここに記載する他の実施形態を製造するための方法も提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態における発光ダイオードの断面図である。
【
図2】一実施形態における発光ダイオードの断面図である。
【
図3】一実施形態における発光ダイオードの断面図である。
【
図4】一実施形態における発光ダイオードの断面図である。
【
図5A】一実施形態における発光ダイオードの上面図である。
【
図5B】一実施形態における発光ダイオードの上面図である。
【
図6】様々な実施形態における発光ダイオードを製造するために行われてよい処理のフローチャートである。
【
図7A】様々な他の実施形態における発光ダイコードの正面図である。
【
図7B】様々な他の実施形態における発光ダイコードの、
図7Aの線7B-7B’でとった断面図である。
【
図8A】他の実施形態における中間製造工程における
図7Aおよび
図7Bの発光ダイオードの断面図である。
【
図8B】他の実施形態における中間製造工程における
図7Aおよび
図7Bの発光ダイオードの断面図である。
【
図8C】他の実施形態における中間製造工程における
図7Aおよび
図7Bの発光ダイオードの断面図である。
【
図9】また他の実施形態の発光ダイオードの断面図である。
【
図10A】
図10Aは一実施形態における製造工程の一実施形態における発光ダイオードの断面図であり、
図10A’は一実施形態における製造工程の一実施形態における発光ダイオードの正面図である。
【
図10B】
図10Bは一実施形態における製造工程の一実施形態における発光ダイオードの断面図であり、
図10B’は一実施形態における製造工程の一実施形態における発光ダイオードの正面図である。
【
図10C】
図10Cは一実施形態における製造工程の一実施形態における発光ダイオードの断面図であり、
図10C’は一実施形態における製造工程の一実施形態における発光ダイオードの正面図である。
【
図10D】
図10Dは一実施形態における製造工程の一実施形態における発光ダイオードの断面図であり、
図10D’は一実施形態における製造工程の一実施形態における発光ダイオードの正面図である。
【
図12】様々な実施形態において、搭載基板に、
図3の実施形態による発光ダイオードがフリップチップ構成で設けられている様子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を、様々な実施形態が例示されている添付図面を参照しながら、より詳しく説明する。しかし、本発明は、数多くの形態で実施することができ、ここに記載する実施形態に限定はされないことを理解されたい。これら実施形態は、当業者に対して本発明の範囲全体を完全に伝えることができるよう本開示を完全および全部を網羅することを目的として提供されている。図面においては、層および領域の大きさおよび相対的な大きさは、明瞭化のために誇張されている場合がある。同様の参照番号を付されている場合、それらの部材同士は全図にわたり同様の部材であることを示す。
【0025】
層、領域、または基板といった部材が別の部材の「上」にあるといった表現が利用されている場合には、これは該別の部材に接する場合もあれば、他の部材を介在させている場合もあることを理解されたい。さらに、「下」または「上にある」といった相対表現が利用されている場合には、ある層または領域の、別の層または領域との間の、図面に示す基板またはベース層を基準とした関係を示すものである。これらの用語は、図面に示す様々な方向だけでなく、デバイスの異なる方向も含む場合もあることを理解されたい。また、「直接」という用語は、介在する部材がないことを示している。ここで利用される「およ
び/または」という表現は、関連するリストのアイテムの1以上のうちのいずれか、または全ての組み合わせを含んでおり、「/」と省略される場合もある。
【0026】
また、本書類で第1、第2といった用語が、様々な部材、コンポーネント、領域、層、および/または、セクションを記載する目的で利用されている場合には、これら部材、コンポーネント、領域、層、および/または、セクションが、これら用語に限定されるべきではない。これら用語は、部材、コンポーネント、領域、層、および/または、セクション同士の区別を付ける目的で利用されているにすぎない。従って、以下で利用される第1の部材、コンポーネント、領域、層、および/または、セクションを、第2の部材、コンポーネント、領域、層、および/または、セクションとしたところで、本発明の教示を逸脱するわけではない場合がある。
【0027】
本発明の実施形態は、理想化された本発明の実施形態の概略図である断面図その他の図示を参照して記載される。従って、製造技術および/または公差を考慮に入れた場合には、例示されている形状の変形例が可能となる。従って本発明の実施形態は、ここに記載する領域の特定の形状に限定されるものに解釈されるべきではなく、例えば製造によって生じうる形状の変形例も含まれる。例えば、矩形として説明または図示されていたりする領域は、通常の製造公差によって円形または曲線形状になったりすることも十分想定される。従って、そうではないと明記していない限り、図面に示す領域は、その性質上概略図であり、その形状はデバイスの領域の正確な形状を示すことは意図しておらず、本発明の範囲を限定することも意図していない。
【0028】
ここにそうではないと定義されていない限り、ここで利用される全ての用語(技術用語および科学用語を含み)は、本発明の当業者であれば普通に理解するような、同じ意味を有する。通常利用される辞書に定義されているような用語は、関連技術および本明細書のコンテキストに合致する意味で理解されるべきであり、ここでそうではないと明らかに定義されない限り、理想的な、あるいは全体的に形式的な意味で解釈されるべきではない。
【0029】
ここで利用されるLEDの層または領域は、LEDからその層または領域に入射する発光の少なくとも90%が、その領域を透過するときに、「透明」であるとみなされる。例えば、窒化ガリウムベースの材料から製造される青色および/または緑色のLEDの場合には、二酸化ケイ素が透明絶縁層(例えば少なくとも90%透明のもの)を提供することができ、インジウム錫酸化物(ITO)が、透明導電層(例えば少なくとも90%透明なもの)を提供することができる(サファイヤ基板の上での透過成分および反射成分を想定した場合の計測値)。さらに、ここで利用されるLEDの層または領域は、LEDから反射層または領域に入射する平均角発光(angle averaged radiation)の少なくとも90%が、LEDに反射されて戻るときに、「反射する/反射性を有する(reflective)」とみなされる。例えば、窒化ガリウムベースの青色および/または緑色のLEDの場合には、アルミニウム(例えば少なくとも90%の反射性を有する)を、反射性の材料とすることができる。紫外線(UV)LEDの場合には、所望の、実施形態によっては高い反射率、および/または、実施形態によっては低い吸収率を提供することができる適切な材料を選択することができる。
【0030】
以下の実施形態の説明では、主に、炭化ケイ素(SiC)ベースの搭載基板の上に設けられた窒化ガリウム(GaN)ベースの発光ダイオードを例にとって説明を行い、理解を助ける。しかし、当業者には、本発明の他の実施形態では、搭載基板およびエピタキシャル層の様々な異なる組み合わせを利用することもできることが明らかである。例えば組み合わせには、GaP搭載基板上のALGaInPダイオード、GaAs搭載基板上のInGaAsダイオード、GaAs搭載基板上のAlGaAsダイオード、SiCまたはサファイヤ(Al2O3)搭載基板上のSiCダイオード、および/または、窒化ガリウム、
炭化ケイ素、窒化アルミニウム、サファイヤ、酸化亜鉛、および/または、その他の搭載基板の上に設けられるIII族窒化物ベースのダイオードが含まれてよい。さらに他の実施形態では、搭載基板が完成品には含まれていなくてもよい。一部の実施形態では、発光ダイオードは、ノースカロライナ州のダラムのCree.Inc.が製造販売する窒化ガリウムベースのLEDデバイスであってよい。
【0031】
図1は、一実施形態における発光ダイオードの断面図である。
図1を参照すると、これら発光ダイオードは、第1および第2の対向する面110a、110bを有し、n型層112およびp型層114を含むダイオード領域110を含む。ここには必ずしも記載されないが、他の層または領域116(例えば量子井戸、バッファ層等)も提供されてよい。ダイオード領域110は通常、基板120上にエピタキシャル成長により形成されることから、ここでは、「LEDepi領域」とも称される場合がある。例えば、III族窒化物ベースのLEDepi110が、炭化ケイ素成長基板120の上に形成されてよい。一部の実施形態では、後述するように、成長基板120が完成品に存在していてもよい。他の実施形態では、成長基板120は取り除かれてもよい。
【0032】
図1の説明を続けると、アノード接触130は、「p接触」とも称され、p型層114にオーム接触して、ダイオード領域110の第1面110a上に延在する。p型層114の上に延在するアノード接触130の大きさは、
図1に示されているものより大きくても小さくてもよい。透明絶縁層140も、アノード接触130の外の第1面110aの上に延在している。反射カソード接触150は、「n接触」とも称され、n型層112に電気接続して、透明絶縁層140の内部を通り、アノード接触130の外の透明絶縁層140の上に延在する。一部の実施形態では、反射カソード接触150は、n型層112に直接、オーム接触してよい。他の実施形態では、薄いオーム接触層(例えばチタン製の層)がn型層112に実際のオーム接触を行ってもよい。透明絶縁層140および反射カソード接触150は、混合型の反射構造または「ハイブリッドミラー」を提供することができ、下にある透明絶縁層140が屈折率の不整合、または屈折率の差を生じさせ、透明絶縁層140を設けない場合よりも、反射層150からの全反射(TIR)を向上させることができる。さらには、他の実施形態では、透明絶縁層140が、複数のサブレイヤ(例えば酸化物および窒化物のサブレイヤ)を有し、例えば分散型のブラッグ反射体を提供してよい。さらに、反射カソード接触150も複数のサブレイヤを含んでよい。
【0033】
図1にさらに示すように、一部の実施形態では、ビア118が、第1面110aから形成され、n型層112を露呈させ、透明絶縁層140がビア118内に延びる。さらに反射カソード接触150も、透明絶縁層140の上からビア118内に延びて、ビア118内に露呈しているn型層112と、電気接続しても、実施形態によってはオーム接触してもよい。
【0034】
アノード接触130に電気接続されるアノードパッド160も提供されている。反射カソード接触150に電気接続されるカソードパッド170も提供されている。図示されているように、アノードパッド160およびカソードパッド170は、互いに極近い間隔で第1面110a上に延在して、その間に間隙172を画定している。間隙には、後述する絶縁体が充填されてよい。ここに例示するいずれの実施形態においても、間隙172は、任意の所望の位置にあってよく、ここで例示される位置に限定はされない。一部の実施形態では、カソードパッド170を、可能な限り大きく形成して、接地されたヒートシンクに直接連結を可能とすると、熱効率を下げてしまいかねない電気絶縁層を介在させる必要がなくなり、フリップ接続構成における放熱特性を向上させることができる。
【0035】
さらに
図1に示すように、透明基板(例えば透明炭化ケイ素成長基板120等)を、ダイオード領域110の第2面110bに含めてもよい。透明基板120は、斜角の側壁1
20aを含んでよく、さらに、ダイオード領域110とは離れた側に外面120bがあってよい。図示されているように、外面120bはテクスチャ加工することができる。基板120の厚み、基板の抵抗率、側壁120aの形状、および/または、離れた面120bのテクスチャ加工は、ダイオード領域110から基板120への遠距離発光性能を向上させるように構成することができる。ダイオード領域110からの発光は、ダイオード領域110から基板120へと直接行うこともできるし、反射カソード接触150から、ダイオード領域110および基板120への方向の反射により行うこともできる。一部の実施形態では、アノード接触130から反射させることもできるが、これに関しては後述する。
【0036】
さらに
図1に示すように、一部の実施形態では、透明基板120がサファイヤである場合には、パターニングされたサファイヤ基板(PSS:Patterned Sapphire Substrate)技術を利用して、サファイヤ基板120とダイオード領域110との界面にテクスチャ加工を施すことができる(基板120と、ダイオード領域110の第2面110bとの間のぎざぎざの界面の図示を参照のこと)。PSS技術により、例えば3μmのサイズのフィーチャを約5μmのピッチで設けることができることが知られている。PSS技術を利用することで、窒化ガリウムベースのダイオード領域110と、屈折率(index)が異なるサファイヤ基板120との間の光取り出し効率を高めることができる。
【0037】
従って、本発明の一部の実施形態では、フリップチップ接続に適したLEDを提供することができ(
図1の方向とは反対の搭載)、ここでアノードパッド160およびカソードパッド170は、支持基板(例えばプリント回路基板その他の配線基板)に搭載され、発光は、アノードパッド160およびカソードパッド170から離れた位置にある基板120から生じる。従って、アノード接触130およびカソード接触150の両方がダイオード領域の任意の面(第1面110a)に延在し、ダイオード領域の第2面110bと基板120という、アノード接触130およびカソード接触150から離れた位置で発光が生じるような、横型のLEDを提供することができる。他の実施形態では、基板をなくして、発光がダイオード領域110の第2面110bから直接生じるようにしてもよい。
【0038】
上述したように、基板120の形状は、ランバード発光(Lambertian emission)等の所望の遠距離発光パターンを提供するようなものとすることが可能である。さらに、テクスチャ加工は、基板120の側壁120aおよび/または面120bに行うことができる。テクスチャ加工については、ランダム・テクスチャ加工、マイクロレンズ、マイクロアレイ、散乱領域および/またはその他の光学領域等の数多くの異なる構成を利用することができる。一部の実施形態によると、外面120bにおいては第1の部分120cに第2の部分120dとは異なる加工を施すことで、発光ダイオードの方向インジケータとして機能させることもできる。従って、
図1に示すように、マイクロレンズ120dのアレイを、透明カソード接触に隣接する領域以外の位置に設けて、そこに、小さなバー120cその他のインジケータ(例えば「+」サイン等)を設けることができる。基板の遠隔の面120bに異なるテクスチャ加工を施すことにより、LEDの構造がテクスチャ基板に遮られるためにピックアンドプレース機器からは「見えない」場合であっても、ピックアンドプレース機器が、LEDをパッケージに対して正確に方向付けることができるようになる。
【0039】
一部の実施形態では、アノード接触およびカソード接触により、第1面110aから生じる光の実質的に全てを第1面110aに反射して戻すよう構成された反射構造が第1面110aの上に提供される。反射構造はさらに、透明絶縁層140を、カソード接触150およびその延長部150aの下に含む。特に一部の実施形態では、反射構造は、第1面110aの面積の少なくとも90%から生じる光を反射する。反射構造は、自身に入射す
る光の少なくとも90%を自ら反射する機能を有する反射材料を含んでよい。一部の実施形態では、アノード接触130は、p型層114にオーム接触する反射アノード接触であってよい。これら実施形態では、反射構造は、p型層114にオーム接触するアノード接触130の反射面、n型層112にオーム接触するカソード接触150の反射面、および、
図1で150aとして示されており、ビア118およびアノード接触130の間の第1面110aに延在するカソード接触の反射面と、透明絶縁層140との組み合わせにより提供されてよい。他の実施形態では、アノード接触130は透明であり、反射カソード接触150(特に反射カソード接触150の延長150a)は、透明アノード接触130上へと延び、透明絶縁層140との組み合わせにより反射構造が提供されてよい。従って一部の実施形態では、反射カソード接触は、アノード接触外の第1面の実質的に全面を、反射カソード接触で覆うよう延びてよい。他の実施形態では、反射カソード接触は、アノード接触外の第1面の実質的に全面、且つ、アノード接触の少なくとも一部を覆ってもよい。以下で様々な実施形態を説明する。
【0040】
一部の実施形態では、横型のフリップチップ構成を有するLEDを提供することができる。一部の実施形態では、p型層およびn型層の上にデュアルミラーを提供することもできる。さらにn型ミラーを、LEDepiの少なくとも1つのn型層と電気接続することのできる統合型のn型接触ミラー(n-contact mirror)としてもよく、さらに、LEDepiの少なくとも1つのp型接触の上に延在させてもよい。統合型のn型接触ミラーは、LEDepiが生じる波長に対して光反射特性を有する、アルミニウム等の材料を含んでもよい。透明絶縁層および反射層は、混合型の反射構造または「ハイブリッドミラー」を提供することができ、下にある透明絶縁層が屈折率の不整合、または屈折率の差を生じさせ、下にある透明絶縁層を設けない場合よりも、ダイオード領域の全反射(TIR)を向上させることができる。さらに、ミラーの反対側のLEDチップの発光面に、成長基板を含めてもよい。成長基板は、さらに、成形された面(例えば、テーパ形状の側壁および/またはテクスチャ加工)を含み、光取り出しを促してもよい。テーパおよび/またはテクスチャ加工の量は、成長基板を含むLEDの全厚みとの関係において決定されてよい。基板の形状(例えば厚み/側壁の斜角)および/またはテクスチャ加工は、所望の遠距離発光パターンを達成するように調整されてよい。さらに、基板は電流を通す必要がないために、透明とするために高い抵抗率を有してもよい。
【0041】
様々な実施形態におけるLEDチップは、従来のLEDチップよりも起伏があり、でこぼこしていてよい(rugged or robust)。特に、LEDチップの唯一露呈した表面には、片面に固体のpまたはn接触部があり、他面には成長基板があってよい。これと比して、従来のLEDチップは、繊細なワイヤボンドを必要とする場合が多く、LEDepiの上部および/または底部が露呈している場合が多い。
【0042】
さらに、様々な実施形態では、ダイオード領域および反射カソード接触の間に透明絶縁層を設けることで、屈折率の不整合または屈折率の差を生じさせることで反射率を実際に高めることができる。従って、例えば
図1に示すように、透明絶縁層140は、LEDに所望の電気的絶縁性能を提供することに加えて、反射カソード接触150に、総合光学機器を提供することもできる。さらに、透明絶縁層140よび反射カソード接触150は、ハイブリッドミラーを提供することができる。
【0043】
混合型の反射構造の一部である透明絶縁層140の処理について以下で説明する。特に、LEDは、通常、異なる材料からなる複数の層を含んでいる。この結果、活性領域からの発光は、通常、LEDから放射される前に、これらの層の1以上を通過することになる。スネルの法則によると、光子は、材料間を通過する際に屈折する。光子の屈折角度は、2つの材料の屈折率の差と、光が界面に衝突する入射角度とに応じて決まる。
【0044】
LEDでは、一部の反射光はLEDのある他の場所から放出されてしまうが、一定の割合が全反射して決してLEDから出ることがないので、機能的にLEDの外部効率(external efficiency)を低減させることができる。光子が外に出ていってしまう割合を個々に低減させる効果は比較的小さいように見えるが、累積効果は大きく、他の点において非常に類似しているLEDが、これら小さな割合の損失のために大きく異なる性能効率を有するようになる。
【0045】
スネルの法則により、光が界面を越えて、より高い屈折率を有する媒体に到達すると、光は法線に近づく方向に屈折する。同様に、光が高い屈折率の媒体から界面を越えて、より低い屈折率の媒体に到達すると、光は法線から遠ざかる方向に屈折する。臨界角として定義される角度においては、高い屈折率を有する媒体から、低い屈折率を有する媒体へと光が移動すると、光は90度の角度で(つまり、境界線に平行な方向に)屈折する。臨界角より大きい角度においては、入射する光線は全反射(TIR)する。このように臨界角は、屈折率の比率の関数である。光が、この臨界角より大きい角度で界面に衝突すると、光は第2の媒体を全く通らないことになる。界面が光を第1の媒体に反射して戻すプロセスは全反射として知られている。この全反射による光の損失は、臨界角損失として知られており、LEDの外部効率が低減する別の一因である。
【0046】
ここに記載するハイブリッドミラーの実施形態は、屈折率の不整合を利用してスネルの法則に基づき全反射(TIR)を向上させる。TIRを向上させるためには、GaNベースのダイオード領域に対して低い屈折率の材料に大きな屈折率の変化を与えることが望ましい。従って、スネルの法則が定める円錐角の外に逃げる光は、ダイオード領域へと内部反射されて、実質的に損失がでない。次に、反射カソード接触150および/または反射アノード接触を利用して、自身に入射した光の一部を、全方向光源から自身へと反射することができる。従って、透明絶縁層150および反射カソード接触は、様々な実施形態において、ダイオード領域からの光をダイオード領域へと反射して戻す性能を高めることができる混合型の反射器として機能する。
【0047】
本発明の他の実施形態では、垂直LEDの反射層を提供することもできる。従って、様々な実施形態における発光ダイオードは、さらに、n型層およびp型層、並びに、n型層またはp型層の一方の接触を含むダイオード領域を含んでよい。接触は、n型層またはp型層の一方の上に、屈折率がn型層またはp型層の一方より低い透明絶縁層140を含んでよい。n型層またはp型層の一方に電気接続し、透明絶縁層の上に延在する反射層150が設けられる。従って、透明絶縁層140は、ダイオード領域110との間に、屈折率の不整合、または屈折率の差を有するので、反射層150の総合光学機器を提供することができ、透明絶縁層140がないときよりも、反射層150の反射率を向上させることのできるハイブリッドミラーを提供することができる。他の実施形態では、反射層150はさらに、n型層またはp型層の一方に、透明絶縁層140を介して電気接触、および、一部の実施形態では、オーム接触することができ、この接触を行うために、透明絶縁層140を介して延在してよい。また他の実施形態では、n型層またはp型層の他方に第2の接触が提供される。第2の接触は、n型層またはp型層の他方にオーム接触する第2の反射層を含んでよい。他の実施形態では、第2の接触は、n型層またはp型層の他方にオーム接触する透明導電層を含み、透明絶縁層140および反射層150は両方とも、この透明導電層へと延びてよい。これら他の実施形態を、
図2および
図3を参照しながら以下で説明する。
【0048】
ここに記載する様々な実施形態は、第1および第2の対向する面110a、110bを有し、n型層112およびp型層114を含むダイオード領域110も提供する。反射アノード接触130は、p型層にオーム接触して、第1面110aの上に延在する。反射カソード接触150は、n型層にオーム接触して、第1面上に延在する。反射アノード接触
130および反射カソード接触150は、第1面110aからの光を実質的に全て第1面110aに反射させるよう構成されている。言い換えると、反射カソード接触150は、アノード接触130の外の第1面110aの実質的に全体を覆うことができる。さらに、他の実施形態では、反射カソード接触150は、さらに、アノード接触130の少なくとも一部を覆うことができてもよい。
【0049】
図2は、他の実施形態におけるLEDの断面図である。これら実施形態では、反射カソード接触に加えて反射アノード接触が設けられている。
詳しくは、
図1を参照して説明したダイオード領域110が
図2にも示されている。基板120も提供されているが、他の実施形態では不要な場合もある。基板120は、成長基板の厚みより薄くされてよい。p型層114にオーム接触し、第1面110aの上に延在する反射アノード接触130’が提供されている。反射アノード接触130’は、例えば、p型層114に直接接する約5オングストロームのニッケル(Ni)と、ニッケルの上の約1000オングストロームの銀(Ag)という、2層構造を含むことで、「NiAgミラー」130’を提供することができる。NiAgミラー130’は、ダイオード領域110から入射してきた可視光の少なくとも90%を反射することができる。他の実施形態では、p型の窒化ガリウムにもオーム接触を提供する他の反射層を利用することもできる。非常に薄いNi層(一部の実施形態では10オングストローム未満程度)のみが利用されることから、NiAgミラーの反射率は、主にAgから定まると理解することができる。さらに、アニーリング処理を施すと、このニッケルは酸化ニッケルに変質して、Agのp型の窒化ガリウムへのオーム接触性能を向上させることができる。従ってNiAgミラー130’は、Ag単体の反射率と略同等の反射率を有しうるが、p型層に対してより良く接触し、より低い電圧を提供することができる。他の実施形態では、純銀を利用することもできる。
【0050】
NiAgミラー130’の周りには、障壁層210が設けられ、この障壁層210は、チタンタングステン(TiW)を約1000オングストローム、プラチナ(Pt)を約500オングストローム、および、チタンタングステン(TiW)を約1000オングストロームが積層されたサブレイヤを含んでよい。チタンタングステン/プラチナのサブレイヤは、所望の拡散障壁を提供するために、複数繰り返し設けられてよい。拡散障壁層210は、一般的には反射性能を有さない。従ってこの例では、NiAgミラー130’の、p型層114に直接接する面は反射構造を有するものの、NiAgミラー130’の側壁の上の障壁層210は反射構造を提供しない。
【0051】
図2の説明を続けると、透明絶縁層140が、ビア118の側壁と、ビア118の外の第1面110aとに設けられている。一部の実施形態では、図示されているように、透明絶縁層140はさらに、NiAgミラー130’の少なくとも一部へと延びてよい。一部の実施形態では、透明絶縁層140は、約0.5μmのシリコン・ダイオード(SiO
2)を含んでよい。SiO
2の厚みは、LEDの動作波長および/または絶縁層の屈折率に基づいて、当業者には公知な技術を利用することで、反射カソード接触150からの反射率を高めるよう構成することができる。特に、二酸化ケイ素は、窒化ガリウムの屈折率(約2.5)より小さい約1.5の屈折率を有してよく、これにより、透明絶縁層140により屈折率の不整合または屈折率の差が生じるので、ダイオード領域110からのTIRを実際に向上させることができる。
【0052】
さらに
図2に示すように、反射カソード接触150は、n型層112(例えばビア118の床部)にオーム接触することができ、ビア118の側壁の透明絶縁層140の上に延在してよく、150aで示されるビア118の外の透明絶縁層140へと延びてよい。一部の実施形態では、反射カソード接触150は、約1500オングストロームのアルミニウムを含んでよい。これより厚い反射カソード接触を利用することもできる。透明絶縁層
140およびアルミニウム製の反射カソード接触150を含む混合型の反射器は、ダイオード領域110から自身に入射する可視光の少なくとも90%を反射することができる。他の実施形態では、反射カソード接触150とn型層112との間に別個のオーム接触層250を設けることで、n型層112にオーム接触を提供することもできる。一部の実施形態では、オーム接触層250は、チタン(例えばアニーリングされたチタン、アルミニウム/チタン合金)を含んでよい。オーム接触層250は、ここに記載されるいずれか、または全ての実施形態において、反射接触150とn型またはp型層との間で利用することができることを理解されたい。
【0053】
最後になったが、アノードパッド160とカソードパッド170が設けられている。アノードパッド160およびカソードパッド170は、約500オングストロームのチタン(Ti)、約2000オングストロームのニッケル(Ni)、および、約1-3μmの80/20の比率の金・錫(AuSn)合金の積層体を含み、「TiNiAuSnパッド」を形成することができる。他の材料を利用することもでき、また、これらの層全てが利用されなくてもよい。例えば、より低い融点を有することから純錫を利用することもできる。さらに他の実施形態では、めっきシード層を、アノード接触および反射カソード接触の上に設けて、アノードパッドおよび/またはカソードパッドの少なくとも一部で、シード層の上をめっきすることもできる。また他の実施形態では、反射カソード接触150および/または障壁層140は、その上のパッド160/170をめっきする、めっきシード層を設けてよい。めっきされたアノードパッドおよびカソードパッドは、さらに、物理的な強度補強となり、熱効率を向上させることができる。
【0054】
図2の実施形態では、第1面110aからの光の実質的に全て(例えば少なくとも90%)を第1面110aに反射するよう構成された反射構造を、第1面110aの上に設けてよい。
図2の実施形態では、反射構造は、2つの異なる反射体を含む。より詳しくは、反射構造は、p型層114にオーム接触するアノード接触130’の反射面と、n型層118にオーム接触するカソード接触150の反射面と、p型層114にオーム接触するアノード接触130’の反射面と、n型層118にオーム接触するカソード接触150の反射面との間に延在するカソード接触150の延長部150aの反射面とを、透明絶縁層140と組み合わせて有する。ダイオード領域110から見ると、ダイオード領域110からアノード接触およびカソード接触に向かう光は全て、アノード接触130の側壁上の障壁層210が吸収する光を除いて、ダイオード領域へと反射される。障壁層210は、概して、p型層114とオーム接触しないので、この領域では光は全く、または殆ど生成されない。従って、障壁層210に関しては光の損失は全く、または殆ど生じない。従って、面積としては、
図2の反射構造は、第1面の面積の少なくとも85%からの光を反射することができ、一部の実施形態では、面積の少なくとも90%からの光を反射することができる。言い換えると、ダイオード面の少なくとも90%がミラーによって覆われていてよい、ということになる。さらに、反射構造は、ニッケルおよび銀(アノード接触130’)、および、アルミニウム(カソード接触150)を含むことができ、反射構造に入射する光の少なくとも90%を反射することができる。言い換えると、ミラーは少なくとも90%の効率を有する、ということになる。従って、一部の実施形態では、p型層114における、高い反射率の構造により覆われていない活性光生成面積の領域のみが、誘電率および/または導電率の低減した領域となる。
【0055】
図3は、透明アノード接触を利用する他の実施形態の断面図である。特に
図3を参照すると、アノード接触は、p型層114にオーム接触して、第1面110aの上に延在する透明アノード接触130’’である。ここで、透明アノード接触130’’は、図示されているものよりも大きくても小さくてもよいことに留意されたい。一部の実施形態では、p型のIII族窒化物層114の透明オーム接触は、透明導電酸化物(例えばインジウム錫酸化物(ITO))であってよく、一部の実施形態では、厚みが約2500オングスト
ロームであってよい。ITOは、対象波長において少なくとも90%の透光性を有してよい。ITOに、他の物質(例えばニッケルまたはアルミニウム)を加えることもできる。電流拡散層330は、「電流拡散フィンガー」とも称されるが、透明アノード接触130’’の一部の上に設けられてよい。電流拡散層330は、例えば、約500オングストロームの厚みのプラチナ(Pt)のサブレイヤ、約500オングストロームの厚みのチタン(Ti)のサブレイヤ、および、約0.5μmの厚みの金(Au)のサブレイヤを含むことで、「Pt/Ti/Au」電流拡散層330を提供することができる。
【0056】
図3の実施形態では、透明絶縁層140が透明アノード層130’’の上に延在し、反射カソード接触150も、150aで示される、透明アノード接触130’’の上の透明絶縁層140の上に延在する。
図3に示すような一部の実施形態では、透明絶縁層140は、電流拡散層330が設けられている部分外の透明アノード接触130’’へと延び、反射カソード接触150も、この部分外の透明アノード接触130’’の上に設けられた透明絶縁層140へと延びる。このようにして、透明アノード接触130’’を透過する光をダイオード領域110へと反射する、統合型のn型接触のハイブリッドミラーを提供することができる。さらに、
図3の実施形態からは、オーム接触層250が省かれており、反射カソード接触150がn型層112に直接オーム接触する構造となっている。
【0057】
従って
図3の実施形態は、n型層112にオーム接触するカソード接触150の反射面、および、透明アノード接触130’’へと延びるカソード接触150の延長部150aの反射面と、透明絶縁層140との組み合わせにより反射構造を提供することができる。全反射の側面から、透明アノード接触130’’も、ダイオード領域より低い屈折率を有するので(ITOの屈折率は約1.94である)、屈折率の不整合によって、スネルの法則に基づいてTIRが向上する。透明アノード接触130’’の上にある透明絶縁層140も、さらに、約1.5というさらに低い屈折率を提供することで、TIRを向上させることができる。
【0058】
従って、ダイオード領域110からの反射という観点からは、電流拡散層330のみが光吸性能を有するといえる。電流拡散層は、第1面の表面積のうちの小さな部分なので、
図3の実施形態は、さらに、第1面の面積の少なくとも90%からの光を反射し、一部の実施形態では、第1面の面積の少なくとも93%からの光を反射する反射構造を提供することができる。つまり、ダイオード面の少なくとも90%がミラーで覆われているということである。さらに、ミラーは少なくとも90%の効率を有するということであってもよい。電流拡散層330単独の場合より、透明電流透明アノード接触130’’の上に電流拡散層330が設けられた場合のほうが、光吸収率が低い、ということが理解されよう。特に、ITO/GaNの界面で屈折率が変化することから、電流拡散層330は、角度平均において(on an angle average basis)、電流拡散層330単独の場合よりも吸収率が低い。これにより、ITOをN-GaN接触として利用して、金属層を半導体に直接載せないことで、さらなる利点が生じる。
【0059】
電流拡散層が持つ潜在的な悪影響も、電流拡散層330の下でp-GaNを急冷(quench)することで、金属製の電流拡散層に衝突する光を低減させて、その領域に入射する光が、電流拡散層330の直下の領域外の角度から殆ど来るようにすることで、低減させることができる。従って一部の実施形態では、例えば付近の、より不透明なフィーチャと調和するp型層に導電性が低い領域(例えば電流拡散層)を組み込むことができ、この技術は米国特許出願公開第2008/0217635号明細書に記載されており、この文献全体を本明細書に、実際記載したものとして組み込む。
【0060】
図3の説明を続けると、厚みが約0.5μmの二酸化ケイ素等の第2層等の絶縁層340が、反射カソード接触150の上に設けられてよい。アノードパッド160およびカソ
ードパッド170は、それぞれ、電流拡散層330および反射カソード層150に電気接続するように提供されてよい。
図3の実施形態では、絶縁層340が、アノード接触パッド160およびカソード接触パッド170同士の短絡を防ぐ。しかし他の実施形態では、アノードパッド160およびカソードパッド170は、電流拡散層330上に直接形成されても、反射カソード接触150上に直接形成されてもよく、または、互いから離間させて、間隙172が介在するよう形成されてもよい(
図2で説明した記載、および、
図10A、
図10A’の実施形態で後述する記載を参照のこと)。他の実施形態ではアノードパッド160およびカソードパッド170は数多くの他の構成にすることもできる。
【0061】
図4は、他の実施形態におけるLEDの断面図である。特に、上述したように、様々な実施形態においてアノードパッド160およびカソードパッド170の様々な構成を提供することができる。これら構成の一部においては、
図4に示すように、反射カソード接触150に割れ目を設けて、アノードパッドからカソードパッド170への短絡を防いで、間に間隙172を残しておくことが望ましい。残念ながら間隙には反射カソード接触150が存在しないので、間隙内の光は、ダイオード領域110には反射されない。
図4の実施形態では、この問題を、アノードパッド160および/またはカソードパッド170から絶縁され、間隙172を越えて延在する反射層450を提供することで軽減、または解消している。必要に応じて、さらなる(第2の)絶縁層440を設けて、この反射層450をダイオード領域110から絶縁することもできる。このようにすることで、反射カソード接触150が間隙172を越える割れ目を有する場合であっても、反射層450を間隙172内に設けることができる。
【0062】
図5Aおよび
図5Bは、様々な実施形態におけるアノードパッド160およびカソードパッド170の上面図である。しかし、横型のLEDの所望の外部接続に応じて、アノードパッド160およびカソードパッド170の構成に関しては様々な変形例が可能である。
【0063】
図6は、様々な実施形態における発光ダイオードを製造するために行うことができる処理のフローチャートである。特にブロック610で、ビア(例えばビア118)が、p型層(例えばp型層114)内の、ダイオード領域(例えばダイオード領域110)の第1面にエッチングされて、n型層(例えばn型層112)を内部に露呈させる。ブロック620で、アノード接触(例えばアノード接触130、130’、および/または、130’’)を、p型層とオーム接触する第1面上に形成する。ブロック630で、透明絶縁層(例えば層140)を、ビアの側壁、および、ビアの外の第1面の上に形成する。ブロック640で、ビアの床部のn型層にオーム接触し、ビアの側壁にある透明層に延在して、且つ、ビアの外の第1面の上の透明層の上にも延在するよう、反射カソード接触(例えば反射カソード接触150)を形成する。パッド(例えばアノードパッド160およびカソードパッド170)を形成する(ブロック650)。最後に、基板を取り除く、あるいは厚みを薄くしてよい(ブロック660)。基板および/または第2面はテクスチャ加工が施されてよい。
【0064】
図6の実施形態は、一般的には、ここに記載する様々な実施形態の製造に利用可能である。特定の実施形態を製造する際には特定の技術が提供されてよい。例えば
図3の実施形態は、ビア118をエッチングにより製造して、n型層112を露呈させることができる(ブロック610)。次いで、インジウム錫酸化物130’および電流拡散層330が形成されてよい(ブロック620)。二酸化ケイ素の層(例えば0.5μmの二酸化ケイ素)をブランケット成膜して、透明絶縁層140を提供してよい(ブロック630)。エッチングしてビアを形成して、n型層112を露呈させ、アルミニウムをブランケット成膜して、反射カソード接触150を提供して、ITO層130’’の上の間隙を残すようにすることができる(ブロック640)。TiNiAuSnパッド160および170が堆
積されてよい(ブロック650)。様々な実施形態における他の構造の生成には他の技術を利用することができる。
【0065】
他の一部の実装例では、ブロックで示されている機能/動作が、フローチャートに示す順序外で行われてもよいことに留意されたい。例えば、関与する機能/動作によって、連続して示されている2つのブロックが、実際には実質的に同時に実行されたり、逆の順序で実行されたりする場合もある。さらに、フローチャートおよび/またはブロック図の任意のブロックの機能を、複数のブロックに分割することもでき、および/または、フローチャートおよび/またはブロック図の2以上のブロックの機能を少なくとも一部統合することできる。最後に、図示されているブロックの間に、他のブロックを追加/挿入することもできる。
【0066】
図7Aおよび
図7Bは、また別の実施形態のLEDの上面および側面断面図をそれぞれ示す。これら実施形態は、
図2の実施形態に類似したものであってよいが、反射シード層750が障壁層210の上に設けられており、その上のアノードパッド160およびカソードパッド170をめっきするための、めっきシードとして利用されている点が異なっている。さらに、上述した実施形態のいずれかに従って、オームカソード接触が、ダイオード領域110に直接接触するシード層の一部により提供されてよい。これら実施形態では、反射シード層750が、アルミニウム、チタン、および銅の連続層を含んでよく、パッド160および170は、めっき銅を含んでよい。
【0067】
より詳しくは、
図7Aおよび
図7Bの実施形態は、NiAgミラー130’を製造してp型アノード接触を提供して、NiAgミラー130’の上に障壁領域210を製造することにより製造してよい(
図2に関する記載参照)。次にダイオード領域110を、n型層112に至るまでエッチングして(
図7Aまたは
図7Bには不図示である)、さらにビアを画定する。次に、パッシベーション層140を成膜して、エッチングによりビア118の床部および障壁210の一部のn型領域を露呈させる。次に、n型領域および障壁に接触させてシード層750を成膜する。次に、アノードパッド160およびカソードパッド170をシード層750上にめっきして、フォトリソグラフィーにより画定した間隙172がアノードパッドとカソードパッドとの間に(例えば75μm幅で)存在するようにする。間隙172内にあるシード層750の部分はエッチングにより除去して、シード層の残りの部分が、実質的にアノードパッドおよびカソードパッドの部分と同じになるようにする。次に間隙172内に、の間隙充填層760(ポリイミドを含むもの等)を充たす。そして炭化ケイ素製の基板を取り除くと、
図7Bに示す最終的な構造が生成される。
【0068】
図7Aおよび
図7Bに示す実施形態は、反射アノード接触130’を有するLEDを提供することができ、障壁210がダイオード領域110に直接ある箇所を除く全面が反射性能を有する。従って
図7Aの実施形態では、16個のビア118を直接囲む領域を除く全構造がミラーを有する。さらに他の実施形態では、シード層750は、非反射性の金属を含むことで(例えば、n型層112に向上したオーム接触を提供するために)、光はシード層の16個のビア118に相当する部分のみでしか見ることができないことから、全ミラー反射率に対する影響を少なくすることができる。
【0069】
図8Aから
図8Cは、様々な実施形態における基板120を取り除くために実行しうる処理の断面図である。
図8Aに示すように、
図7Bを参照して記載したLEDを製造するための各処理を、成長基板120の上にあるLEDepi110に行うことができる。
図8Bに示すように、キャリアウェハ810は、半導体、ガラス、および/またはその他の従来のキャリアウェハであってよく、めっきされたアノードパッド160およびカソードパッド170に、接着剤820その他の結着材料/技術を用いて結合することができる。
図8Cでは、基板820が取り除かれ、ダイオード領域110の外面をテクスチャ加工し
て、
図7Bの構造を提供している。
【0070】
図9は、また別の実施形態における発光ダイオードの断面図である。
図9では、
図3を参照して記載したように、第1の透明アノード接触130’’および電流拡散層330が設けられている。しかし
図9の実施形態では、透明カソード接触930および電流拡散層940も提供することができる。透明カソード接触930は、n型層112にオーム接触して、第1面110aの上に延在する。透明アノード接触130’および透明カソード接触930は、
図9に示されているものよりも大きくても小さくてもよい。さらに、透明カソード接触930は、透明アノード接触130’’と同じ材料から形成されてもよい。例えばインジウム錫酸化物を利用することができる。他の実施形態では、接触130’’および接触930に対して異なる透明材料を利用してもよい。また別の実施形態では、同じ材料を利用するが、異なる技術および/または処理パラメータを利用して堆積させてもよい。同様に、2つの電流拡散層330、940の材料が同じであっても異なっていてもよく、同じまたは異なる処理を利用して製造されてよい。
【0071】
図9の説明を続けると、透明絶縁層140は、透明アノード接触130’’上および透明カソード接触930上を含む第1面の上に延びるよう設けられている。反射層150は、第1面110を実質的に覆う透明絶縁層の上に設けられる。電流拡散層330は、透明アノード接触130’’および反射層150の間に設けられてよく、電流拡散層940は、透明カソード接触930および反射層150の間に設けられてよい。前述したように、電流拡散層330、940は、同じ層の異なる部分であってよい。これも
図9に示されているように、反射層150は、電流拡散層330、940にそれぞれ接続されている層の第1の部分および第2の部分を含んでよい。
【0072】
図9の実施形態は、第1面を実質的に覆う反射層150を提供してよい。さらに、透明アノード接触130’’および透明カソード接触930は両方とも、屈折率が約1.9のITOを含んでよく、透明絶縁層140は、ITOより低い約1.5という屈折率を有する二酸化ケイ素等の材料を含んでよく、効率的な光取り出し性能を提供することができる。さらに、ダイオード領域110が、屈折率が約2.5のIII族窒化物(例えば窒化ガリウム)により形成される場合には、透明ITO層130’’、940および透明絶縁層140と、窒化ガリウムとの間に、屈折率の不整合、または屈折率の差が生じる。屈折率の差を有する混合型反射器によって、透明絶縁層140および透明ITO層130’、940がないときよりも、全反射を向上させることができる。さらに、透明基板120は、屈折率が約2.6の透明な炭化ケイ素を含んでよい。炭化ケイ素の基板120は導電性がなくてもよいので、高い抵抗率を有し、透明である。さらに、炭化ケイ素の基板120は、窒化ガリウムのダイオード領域110と屈折率が整合しているので(つまり、屈折率が略同じであるので)、炭化ケイ素の基板の斜角の側壁120aによって光取り出し性能を高めることができる。従って、透明な炭化ケイ素の基板120は、LEDの機械的および/または熱的基板としてだけではなくて、光取り出し器としても機能することができる。
【0073】
最後に
図9を参照すると、透明アノード接触および透明カソード接触は両方とも、透明な導電性の酸化金属(例えばITO)を含み、反射層150は、元素金属層(例えばアルミニウム)を含み、第1面110は、元素金属と直接接触せず、元素金属の反射器150が第1面を実質的に覆う。
【0074】
図10A、
図10D、および
図10A’-
図10D’は、それぞれ、また別の実施形態における中間製造工程における、また別の実施形態における発光ダイオードの断面図および上面図である。これらの実施形態では、
図3の実施形態に比べて1つの絶縁層のみを利用することができる。
【0075】
図10Aおよび
図10A’を参照すると、基板120の上に、n型層112よびp型層114を含むダイオード領域110が設けられている。次に、p型のオーム接触が形成されている。
図10Aおよび
図10A’では、ITO130’’を含む、透明のp型のオーム接触(p-type ohmic contact)が形成されている。他の実施形態では、NiAg等の金属ミラー/オーム接触が形成されてもよい。この場合、上述したように、銀のマイグレーションを低減させる、または防ぐために障壁層が形成されてもよい。
【0076】
図10Bおよび
図10B’を参照すると、ITO型の接触を利用する場合には、p型電流拡散層330が形成されている。
図10Cおよび
図10C’では、二酸化ケイ素その他の透明絶縁層、または、層140の組み合わせを、ブランケット成膜して、その後、n型層112および電流拡散層330にビアを開孔することが示されている。
【0077】
最後に、
図10Dおよび
図10D’には、Al/Ti/Ni/AuSn層を堆積して、それぞれアノード接触160およびカソード接触170を形成することが示されている。チタンおよびニッケルの層を適切な厚みに形成して、リフロー中の混合を低減させる、または防ぐと望ましい。一部の実施形態では、約1000オングストロームのチタン、および1000オングストロームのニッケルという厚みを利用することができる。さらに金錫は不要としてもよい。接触積層体の終端部を金で形成して、他のはんだ取着をし易くすることもできる。
【0078】
図10D、
図10D’に示す接触の形状は一実施形態ではあるが、
図11に示すような他の接触の形状を利用することもできる。所望の外部接続によっては、また別の接触の形状にすることもできる。
【0079】
図12は、様々な実施形態において、搭載基板に、
図3の実施形態による発光ダイオードがフリップチップ構成で設けられている様子の断面図である。ここで記載および/または図示する他の実施形態は、フリップチップ構成で搭載基板に搭載されてもよい。
【0080】
図12を参照すると、例えば窒化アルミニウム(AlN)を含む搭載基板1210(絶縁搭載基板)を、
図3のLEDをフリップチップ構成で搭載するために利用して、アノード接触160とカソード接触170とを、搭載基板1210に隣接させて、ダイオード領域110を搭載基板1210から離すことができる。導電トレース1216および1218は、ダイオードの外部接続を提供するために利用されてよい。導電トレース1216、1218は、はんだその他のダイ接着材料1220を利用して、接触160、170に電気接続または熱接続することができる。さらに、カソード接触170が占有する領域を拡大したり、一部の実施形態では、最大化することもでき、アノード接触160が占有する領域は、低減させたり、一部の実施形態では、最小化することができる。カソード接触170の面積を大きくすることで、カソード接触170を、接地された銅のスラグ1214その他のヒートシンク材料に直接電気接続することができ、パッケージの熱効率が上がる。熱効率を下げかねない電気絶縁層を介在させる必要がなくなる。
【0081】
図12に示すようなLEDをフリップチップ実装する際、ダイオードの第1面を実質的に全部を覆い、第1面からの光の実質的に全てを第1面に反射するよう構成された反射構造(反射カソード接触150)が提供されると非常に有効である。特にフリップチップ構成では、第1面に反射されない光は、搭載基板1210が実質的に吸収するので、実質的に失われる。従って、フリップチップ構成の基板120からの発光率を高める、および/または、最大化するためには、ここに記載する様々な実施形態を利用してミラーが覆う第1面の面積を増加させる、または最大化することが望ましいと考えられる。
【0082】
さらに、金属コア基板、プリント回路基板、リードフレーム、および/または、他の従来の搭載基板等の他の形態の搭載基板を、ここに記載する実施形態の多くをフリップチップ構成で搭載する目的で利用することができる。
【0083】
本発明の様々な実施形態をさらに以下で説明する。特に、一部の実施形態では発光ダイオードを横型のフリップチップ設計とすることができる。基板120は、ダイオードの発光面とすることができ、レンチキュラーレンズおよびその他の補強部を含む、光取り出し機能が強化された面120dを含んでよい。さらに、基板120は、斜角の側壁端120aを含む。反射接触150は、p型層を実質的に覆ってよい。反射器150は、反射された周波数範囲を増加させる複数の金属層を含んでよい。
【0084】
従来の垂直LEDと比較して、ここに記載する横型の実施形態は、より大きな反射率を有する金属(アルミニウム等)と係合可能な接触をエピタキシャル層の上に提供することができる。さらに、透明炭化ケイ素をデバイス基板として利用する際には、透明性は、炭化ケイ素の抵抗率の範囲によって決定されうる。特に殆どの場合において、ドーパント原子がより少なく、抵抗率が高い炭化ケイ素結晶は、ドーパント原子がより多く、導電率が高い炭化ケイ素結晶よりも透光性が高い。垂直型のデバイスは一般的に、より高い導電性基板を利用する。垂直設計では、所望のより高い導電性の基板が、より多くの光を吸収する傾向にあるので、LEDの外部効率が低下しうる。従って、垂直設計においては炭化ケイ素基板の全てまたは一部を取り除く場合が多い。
【0085】
これと好対照に、様々な実施形態における横型の設計においては、導電性の基板は不要である。この結果、横型の設計は、より透明で(抵抗率が高い)炭化ケイ素基板を含むことができ、且つ、良好な順電圧特性を発揮することができる。例えば、0.5Ω-cmを超える抵抗率(一部の実施形態では、1Ω-cmを超える)を提供することができる。これは、約0.08Ω-cmから約0.2Ω-cmの間の抵抗率を利用する垂直設計と対照的である。
【0086】
ここで記載する様々な実施形態では、ダイオード領域からの光の実質的に全てをダイオード領域へ反射して戻すよう構成される反射構造を提供することができる。この反射構造は、搭載基板からの発光の吸収を低減させる、または防ぐ目的から、フリップチップデバイスには特に好適である。特に、結合パッドへの光の吸収を低減させるためには様々な技術が公知である。例えば、結合パッド内への発光を低減させるために、結合パッドの下の導電領域を小さくする方法が知られている。透明導電結合パッドの一部の下に絶縁層を含めることで、結合パッド内への発光を低減させる方法も知られている。さらに、結合パッドに入射する光を反射させる反射性の結合パッドを利用する方法も知られている(例えば米国特許出願公開第2007/0145380号明細書を参照のこと)。
【0087】
ここで記載した実施形態においては、反射性の結合パッド、結合パッドへの発光が低減されること以上の効果が得られる。ここに記載する幾つかの実施形態は、第1面からの光の実質的に全てを第1面に反射して戻すよう構成されうる反射構造を、ダイオード領域の第1面に設けることができる。従って、搭載基板の吸収を低減させる、または最小限に抑えることができるようになる。実際、一部の実施形態では、LED自身が全反射により複数の経路を低減させて、高い光取り出し効率を有することができるので、結合パッドの損失自身が重要ではなくなる場合がある。従って、ここに記載する様々な実施形態は、結合パッドからのあまり重要でない光損失を単に軽減する以上の効果を有することができる。
【0088】
横型設計は、さらに、所望のミラー層を配置する際により多くの選択肢を可能とし、横型設計チップの上下にエピタキシャル層を搭載することができる。特にエピタキシャル層
は、基板を基準として搭載構造の直近の位置に、または、基板を基準として搭載構造から離れた位置に、搭載することができる。エピタキシャル層が搭載基板の上に配置される場合(下に)、ミラーは、全デバイスのエピタキシャルの側に配置することができる。さらに、大型の集積回路素子に幅広く利用されている貫通シリコンビア(TSV)技術をここに記載する様々な実施形態で利用して、適宜、発光ダイオードを有するウェハをシリコン製のウェハに結合することができる。シリコン製のウェハは、炭化ケイ素の基板が非常に薄くされる場合(例えば、約50μm未満の炭化ケイ素とされる場合)、または、炭化ケイ素の成長基板が完全に取り除かれる場合に、支持構造を提供することができる。そして結合パッドが、TSVシリコン製のウェハの裏面に提供されてよく、実質的にLEDの接触パッドに位置合わせされて、搭載インタフェースを提供してよい。TSVは、LED上のパッドを、シリコン製のウェハの裏面のパッドに接続することができる。
【0089】
さらに、ここに記載する幾つかの実施形態では、Al/Ti/Ni/AuSnを含む統合接触積層体を、上述した幾つかの実施形態でこれら層について述べた厚みで提供することができる。さらにここに記載するように、Al反射層は、Ti/Ni/AuSnから分離されていてもよい。さらに、実際の結合金属(例えばAuSn)は、LEDがいずれの基板に搭載されていようとも、良好な結合を可能とする程度の厚みであればよい。従って、金属成膜プロセスにおいては、AuSn合金をスパッタリングすることができ、または、スパッタリングおよび/または電子ビーム(e-beam)堆積を利用して、AuSn層を個々にスパッタリングにより形成することができる。一部の実施形態では、約1μmから約3μmの間の厚みを利用することができ、他の実施形態では、これより層の厚みを増すこともできる。さらに、上述した幾つかの実施形態では、銅を厚くめっきして(例えば約20μmから約30μm、またはそれ以上)、物理的に強度補強することができる。
【0090】
従って、一部の実施形態では、結合パッドと金属とを統合させることで、パッド間の間隙を比較的小さくして、大面積の結合を可能としてよい。例えば、AuSnアノードおよびカソード層の間の約30μm以下程度の小さい間隙を、ブリッジをあまり心配せずに利用することができる。終端部にAuSnではなくてAuが利用されている場合、はんだ、ペースト、プリフォーム等を利用することができ、この場合には、接触間に大きな間隙を設ける、または、結合するパッドの面積を低下させることが好ましい。しかし、ここに記載する幾つかの実施形態では、フラックスのみが必要であり、放出の際の位置決めは重要ではない場合もある。
【0091】
従ってここに記載する幾つかの実施形態では、ダイ接着面の間の間隙の大きさを、アノード接触とカソード接触との間の間隙の大きさにまで小さくする場合もある。一部の実施形態では、約75μm未満の間隙を提供してよく、他の実施形態では、約50μ未満の間隙を提供してよく、これにより、機械的整合性および効率的な放熱特性が得られる。従って、ここに記載する幾つかの実施形態では、統合型の反射接触およびヒートシンクを提供して、ダイ接着面の間の小さな間隙を許容することができる。LEDは、サブマウント((鉛フレームベースのパッケージについて)トレースを有するシリコン、銅、アルミニウム、および/または、窒化アルミニウム)に、リードフレームに直接、または、リードフレームスラグに、またはセラミック製のサブマウントに、フリップチップ実装されてよい。このような搭載スキームにより、活性層から離れた位置に、効率的な熱導電経路を提供することができる。
【0092】
一部の実施形態は、横型のLEDに関して利点を提供することができるが、他の実施形態では、さらに垂直LEDの外部効率を高めることができる。様々な実施形態における光学面が向上した設計は、炭化ケイ素の屈折率に基づいてさらなる利点を提供することができる。特に、炭化ケイ素と空気との間の、および、炭化ケイ素と最もよく利用されるカプセル材料との間の屈折率の差は、通常は、他の基板の材料(例えばサファイヤ)と空気ま
たはカプセル材料との間の屈折率の差より大きい。この結果、炭化ケイ素は、他の基板材料よりも光を屈折させたり、内部反射したりする傾向がある。この理由から、炭化ケイ素ベースのダイオードの表面の光出力特性は、これらデバイスの外部量子効率(external quantum efficiency)に、相対的に大きな影響を及ぼす。
【0093】
従って、一部の実施形態では、透明な炭化ケイ素(屈折率が約2.6)を利用して、GaNベースのダイオード領域(屈折率が約2.5)から光を取り出すことができる。さらに、一部の実施形態では、ITO(屈折率が約1.9)および二酸化ケイ素(屈折率が約1.5)を利用して、GaN(屈折率が約2.5)を反射層(例えばアルミニウム)に連結することができる。従って、ロバストな電気的、熱的、光学特性を提供することができる。
【0094】
数多くの様々な実施形態を、上述した記載および図面との関連で開示してきた。しかし、これら実施形態の文字通り全ての組み合わせおよびサブコンビネーションを記載および図示すると、不当に冗長であり曖昧になりうる。従って本明細書は(図面を含む)、ここに記載する、これらを製造および利用する方法および手順の実施形態の全ての組み合わせおよびサブコンビネーションの完全な記載を構成し、これら組み合わせおよびサブコンビネーションに対する請求項の裏づけを提供するものとして解釈されるべきである。
【0095】
図面および明細書では、本発明の実施形態が開示されており、特定の用語が利用されていようとも、これらの用語は、一般的な記述的な意味でのみ利用されており、限定は意図しておらず、記載される本発明の範囲は以下の請求項によって限定される。