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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-11
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】シリカ膜形成用組成物およびシリカ膜
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20220117BHJP
   C01B 33/12 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
H01L21/316 G
C01B33/12 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020131909
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2021034727
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2020-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0102596
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲はい▼ 鎭 希
(72)【発明者】
【氏名】郭 澤 秀
(72)【発明者】
【氏名】姜 明 鎬
(72)【発明者】
【氏名】張 勝 宇
(72)【発明者】
【氏名】盧 健 培
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037641(JP,A)
【文献】特開2017-063178(JP,A)
【文献】特開2017-031040(JP,A)
【文献】特開2016-216341(JP,A)
【文献】特開2016-117881(JP,A)
【文献】特開2013-001721(JP,A)
【文献】特開2001-308090(JP,A)
【文献】特開2003-197611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
C01B 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素含有重合体および溶媒を含むシリカ膜形成用組成物であって、
前記シリカ膜形成用組成物を100ml容器内に70g添加し、これを40℃で28日間放置した後、前記組成物から発生される1mlのガスを取った後、前記1mlのガスが水素ガス、シランガスおよびアンモニアガスを含み、前記水素ガス、シランガスおよびアンモニアガスが下記数式1を満たす、シリカ膜形成用組成物。
【数1】
【請求項2】
前記水素ガスおよびアンモニアガスが下記数式2を満たす、請求項1に記載のシリカ膜形成用組成物。
【数2】
【請求項3】
前記ケイ素含有重合体は、ポリシラザン、ポリシロキサザンまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1または2に記載のシリカ膜形成用組成物。
【請求項4】
前記ポリシラザンは、無機ポリシラザンである、請求項3に記載のシリカ膜形成用組成物。
【請求項5】
前記ケイ素含有重合体の重量平均分子量は、4,000~13,000g/molである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシリカ膜形成用組成物。
【請求項6】
前記溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、p-メンタン、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、酢酸ブチル、酢酸アミル、メチルイソブチルケトン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシリカ膜形成用組成物。
【請求項7】
前記ケイ素含有重合体は、前記シリカ膜形成用組成物の総量に対して0.1~30質量%で含まれている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシリカ膜形成用組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシリカ膜形成用組成物を利用してシリカ膜を製造することを含む、シリカ膜の製造方法
【請求項9】
請求項8に記載の製造方法によりシリカ膜を製造することを含む電子素子の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ膜形成用組成物および前記組成物を用いて製造されたシリカ膜に関する。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置では、スイッチング素子としてゲート電極、ソース電極、ドレイン電極および半導体を含む薄膜トランジスター(thin film transistor、TFT)を用い、この薄膜トランジスターを制御するための走査信号を伝達するゲート線(gate line)と、画素電極に印加される信号を伝達するデータ線(data line)が平板表示装置に備えられる。また、半導体と様々な電極との間にはこれらを区分するための絶縁膜が形成されている。
【0003】
前記絶縁膜は、ケイ素含有重合体をシリカに転換させて形成されるシリカ膜を用いることが一般的である。この時、ケイ素含有重合体がシリカ膜に転換されながら水素ガス、アンモニアガス、シランガスなどの気体が発生するようになるが、前記発生した気体によりシリカ膜内部に空いた空間(ボイド;void)が生成されるようになり、これは素子収率および信頼性に良くない影響を与えるようになる。したがって、シリカ膜内部に空いた空間(ボイド;void)の個数を最小化することが素子収率および信頼性向上に非常に重要であり、前記空いた空間(ボイド;void)の個数を減らす方向でシリカ膜形成用組成物に対する研究が続いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第2011-0062158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、シリカ膜内部の空いた空間(ボイド;void)の個数を最小化することができるシリカ膜形成用組成物を提供する。
【0006】
本発明の他の実施形態は、前記シリカ膜形成用組成物から製造されたシリカ膜を提供する。
【0007】
本発明のまた他の実施形態は、前記シリカ膜を含む電子素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、ケイ素含有重合体および溶媒を含むシリカ膜形成用組成物であって、前記シリカ膜形成用組成物を100ml容器内に70g添加し、これを40℃で28日間放置した後、前記組成物から発生される1mlのガスを取った後、前記1mlのガスが水素ガス(H)、シランガス(SiH)およびアンモニアガス(NH)を含み、前記水素ガス、シランガスおよびアンモニアガスが下記数式1を満たすシリカ膜形成用組成物を提供するものである。
【0009】
【数1】
【0010】
前記水素ガスおよびアンモニアガスが下記数式2を満たすことができる。
【0011】
【数2】
【0012】
前記ケイ素含有重合体は、ポリシラザン、ポリシロキサザンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0013】
前記ポリシラザンは、無機ポリシラザンであってもよい。
【0014】
前記ケイ素含有重合体の重量平均分子量は、4,000~13,000g/molであってもよい。
【0015】
前記溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、p-メンタン、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、酢酸ブチル、酢酸アミル、メチルイソブチルケトン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0016】
前記ケイ素含有重合体は、前記シリカ膜形成用組成物の総量に対して0.1~30重量%で含まれていてもよい。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、前述のシリカ膜形成用組成物から製造されるシリカ膜を提供するものである。
【0018】
本発明のまた他の実施形態によれば、前記シリカ膜を含む電子素子を提供するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一実施形態によるシリカ膜形成用組成物を利用すれば表面に空いた空間(void)を最小化したシリカ膜を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例および比較例によるシリカ膜形成用組成物それぞれを100ml容器内に70g添加し、これを40℃で28日間放置した後、前記組成物から発生される1mlのガスを採取した後、前記1mlのガス中に含まれる水素ガス、シランガスおよびアンモニアガスのそれぞれの含有量(ppm)を示すグラフである。
図2】実施例1によるシリカ膜形成用組成物から形成された膜表面の垂直走査電子顕微鏡(V-SEM)イメージ図面である。
図3】比較例1によるシリカ膜形成用組成物から形成された膜表面の垂直走査電子顕微鏡(V-SEM)イメージ図面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態を実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0022】
図面において、複数の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分については同一の図面符号を付した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという時、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直上」にあるという時には中間にまた他の部分がないことを意味する。
【0023】
本明細書で別途の定義がない限り、「置換の」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、Cl、またはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸基やその塩、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C30アリール基、C7~C30アリールアルキル基、C1~C30アルコキシ基、C1~C20ヘテロアルキル基、C2~C20ヘテロアリール基、C3~C20ヘテロアリールアルキル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C15シクロアルケニル基、C6~C15シクロアルキニル基、C2~C30ヘテロシクロアルキル基およびこれらの組み合わせから選択された置換基に置換されたことを意味する。また、本明細書で別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、SおよびPから選択されたヘテロ原子を1~3個含有したものを意味する。
【0024】
また、本明細書で「*」は、同一または異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0025】
以下、本発明の一実施形態によるシリカ膜形成用組成物を説明する。
【0026】
本発明の一実施形態によるシリカ膜形成用組成物は、ケイ素含有重合体および溶媒を含み、前記シリカ膜形成用組成物を100ml容器内に70g添加し、これを40℃で28日間放置した後、前記組成物から発生される1mlのガスを取った後、ガスクロマトグラフィー分析を行う場合、前記1mlのガスが水素ガス、シランガスおよびアンモニアガスを含み、前記水素ガス、シランガスおよびアンモニアガスが下記数式1を満たす。
【0027】
【数3】
【0028】
前記条件下で放置されたシリカ膜形成用組成物が前記数式1を満たす場合、前記シリカ膜形成用組成物を利用して製造されたシリカ膜は、表面に発生される空いた空間(ボイド;void)を最小化することができる。
【0029】
具体的に、同一の面積のウエハー内に多量のチップを作り、低い電圧でも半導体を駆動させるために半導体素子などの電子素子の線幅は持続的に小さくなる傾向にある。特に、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ)とNAND Flash(NANDフラッシュメモリ)に代表されるメモリ半導体の線幅微細化により半導体素子の収率および電気的信頼性に対する重要性は大きくなっており、このような収率および電気的信頼性を高めるためにSTI(シャロートレンチアイソレーション;Shallow trench isolation)/ILD(Inter Layer Dielectric)絶縁膜製造工程で高温硬化後に現れるvoid defect(ボイド欠陥)現象が改善されたシリカ膜素材が要求されている。前記void defect(ボイド欠陥)現象が改善されたシリカ膜素材の場合、工程に対するマージンを高めて性能および品質を画期的に向上させることができるためである。
【0030】
一般にシリカ膜は、素子の所定領域にケイ素含有重合体および溶媒を含むシリカ膜形成用組成物をコーティングした後に硬化して形成されるが、前記ケイ素含有重合体がシリカ膜に転換されながらH、NH、SiHなどの気体が発生するようになり、前記発生した気体が前記シリカ膜表面に発生されるvoid defect(ボイド欠陥)現象の直接的な原因になる。
【0031】
しかし、シリカ膜形成用組成物を100ml容器内に70g添加し、これを40℃で28日間放置した後、前記組成物から発生される1mlのガスを取った後(条件A)、前記組成物から発生される気体に対するガスクロマトグラフィー分析を行うと、前記気体は数式1を満たし、これは究極的にシリカ膜表面に発生されるvoid defect(ボイド欠陥)現象を大きく改善させることができる。
【0032】
つまり、本発明の一実施形態によるシリカ膜形成用組成物は、前記条件A下で測定されたガスのクロマトグラフィー分析結果が前記数式1を満たす((水素ガス量)/(シランガス量+アンモニアガス量)が1.5以上、例えば、1.55以上(ppm基準))ため、工程上空いた空間(ボイド;void)発生が少なく、ギャップ充填が良好な膜を形成することができる。また、後続する硬化(curing)工程で低いエッチング速度を維持して物理化学的特性を強化することもできる。
【0033】
本発明の一実施形態によるシリカ膜形成用組成物が前記条件A下で数式1を満たすことができるのは、究極的に前記シリカ膜形成用組成物を構成するケイ素含有重合体の構造的差に起因すると思われ、前記重合体の構造的差により後続する高温硬化時に水分の浸透がホール(Hole)内部の深い領域まで到達してシリカ転換量を増やし、この時に発生されるガスは脱気(degassing)が良好に行われるようにして、ホール深層部のエッチング速度を低め、空いた空間(ボイド;void)発生が最小化されたシリカ膜を提供すると思われる。
【0034】
本発明の一実施形態によるシリカ膜形成用組成物は、前記条件A下で測定されたガスクロマトグラフィー分析結果が前記数式1を満たすようにケイ素含有重合体構造が設計されるようにすることによって、表面に空いた空間(ボイド;void)発生を最小化することができる。
【0035】
例えば、前記条件A下で測定されたガスクロマトグラフィー分析結果は、前記数式1だけでなく、下記数式2も共に満たす((アンモニアガス量)/(水素ガス量)が0.68以下、例えば、0.64以下(ppm基準))ことができる。
【0036】
【数4】
【0037】
前記条件A下で測定されたガスクロマトグラフィー分析結果が前記数式1および数式2を同時に満たす場合、膜表面に発生される空いた空間(ボイド;void)の個数を最小化して、究極的に本発明の一実施形態によるシリカ膜形成用組成物を利用して製造されたシリカ膜を含む電子素子の性能を大きく改善させることができる。
【0038】
例えば、前記条件A下で測定されたガスクロマトグラフィー分析結果で、水素ガスは2500ppm未満の含有量を有することができ、シランガスは30ppm未満の含有量を有することができ、アンモニアガスは1000ppm未満の含有量を有することができる。
【0039】
例えば、前記ケイ素含有重合体は、ポリシラザン、ポリシロキサザンまたはこれらの組み合わせを含むことができる。例えば、前記ケイ素含有重合体は、4,000~20,000g/mol、好ましくは4,000~13,000g/molの重量平均分子量を有することができるが、これに限定されるのではない。前記ケイ素含有重合体の重量平均分子量が前記範囲を満たす場合、前記条件A下で測定されたガスクロマトグラフィー分析結果が前記数式1を満たすのが遥かに容易になり得る。
【0040】
一方、前記ケイ素含有重合体は、例えば、下記化学式1で表される部分(moiety)を含むことができる。
【0041】
【化1】
【0042】
前記化学式1で、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC7~C30アリールアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C30ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30アルケニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、ヒドロキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
前記「*」は、連結地点を意味する。
【0043】
一例として、前記ケイ素含有重合体は、ハロシランとアンモニアが反応して生成されるポリシラザン、例えば、無機ポリシラザンであってもよい。
【0044】
例えば、前記シリカ膜形成用組成物に含まれているケイ素含有重合体は、前記化学式1で表される部分(moiety)以外に、下記化学式2で表される部分(moiety)をさらに含むことができる。
【0045】
【化2】
【0046】
前記化学式2のR~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換のC1~C30アルキル基、置換もしくは非置換のC3~C30シクロアルキル基、置換もしくは非置換のC6~C30アリール基、置換もしくは非置換のC7~C30アリールアルキル基、置換もしくは非置換のC1~C30ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30ヘテロシクロアルキル基、置換もしくは非置換のC2~C30アルケニル基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、ヒドロキシ基、またはこれらの組み合わせであり、
前記「*」は、連結地点を意味する。
【0047】
この場合、前記ケイ素含有重合体は、その構造内にケイ素-窒素(Si-N)結合部分以外にケイ素-酸素-ケイ素(Si-O-Si)結合部分を含んで、このようなケイ素-酸素-ケイ素(Si-O-Si)結合部分が熱処理による硬化時に応力を緩和させて収縮を減らすことができる。
【0048】
例えば、前記ケイ素含有重合体は、前記化学式1で表される部分、前記化学式2で表される部分を含み、ひいては、下記化学式3で表される部分をさらに含むことができる。
【0049】
【化3】
【0050】
前記化学式3で表される部分は、末端部が水素でキャッピングされている構造であり、これは前記ポリシラザンまたはポリシロキサザン構造中にSi-H結合の総含有量に対して15~35重量%で含まれてもよい。前記化学式3の部分がポリシラザンまたはポリシロキサザン構造中に前記範囲で含まれる場合、熱処理時に酸化反応が十分に起こりながらも、熱処理時にSiH部分がSiHになって飛散されることを防止して収縮を防止し、これからクラックが発生することを防止することができる。
【0051】
前記ケイ素含有重合体は、前記シリカ膜形成用組成物の総含有量に対して0.1~50重量%で含まれてもよく、例えば、0.1~30重量%で含まれてもよい。前記範囲で含まれる場合、適切な粘度を維持することができ、膜形成時に空いた空間(void)なしに平坦で均一に形成され得る。
【0052】
前記シリカ膜形成用組成物に含まれる溶媒は、前記ケイ素含有重合体を溶かすことができる溶媒であれば特に制限されず、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、デカヒドロナフタレン、ジペンテン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、p-メンタン、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、酢酸ブチル、酢酸アミル、メチルイソブチルケトンおよびこれらの組み合わせからなる群より選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0053】
前記シリカ膜形成用組成物は、熱酸発生剤(thermal acid generator、TAG)をさらに含むことができる。
【0054】
熱酸発生剤は、前記シリカ膜形成用組成物の現像性を改善するための添加剤として、前記組成物に含まれている有機シラン系縮重合体が比較的低い温度で現像され得るようにする。
【0055】
前記熱酸発生剤は、熱により酸(H)を発生することができる化合物であれば特に限定されないが、90℃以上で活性化されて十分な酸を発生し、揮発性が低いものを選択することができる。
【0056】
前記熱酸発生剤は、例えば、ニトロベンジルトシレート、ニトロベンジルベンゼンスルホネート、フェノールスルホネート、およびこれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0057】
前記熱酸発生剤は、シリカ膜形成用組成物の総含有量に対して0.01~25重量%で含まれてもよく、前記範囲で含まれる場合、比較的低い温度で前記縮重合体が現像(developing;成長、重合)され得ると同時に、コーティング性を改善することができる。
【0058】
前記シリカ膜形成用組成物は、界面活性剤をさらに含むことができる。
【0059】
界面活性剤は、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエテール、ポリオキシエチレンセチルエテール、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF352(三菱マテリアル電子化成株式会社(旧株式会社トーケムプロダクツ)製)、メガファック(登録商標)F171、同F173(DIC株式会社(旧大日本インキ化学工業株式会社)製)、フロラードFC430、同FC431(住友スリーエム株式会社製)、アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S-382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子株式会社製)などのフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業株式会社製)などとその他シリコン系界面活性剤が挙げられる。
【0060】
界面活性剤は、シリカ膜形成用組成物の総含有量に対して0.001乃至10重量%で含まれてもよく、前記範囲で含まれる場合、溶液の分散性を改善すると同時に膜形成時に膜厚さの均一性を高めることができる。
【0061】
前記シリカ膜形成用組成物は、前記ケイ素含有重合体および前記成分が溶媒に溶解された溶液形態であってもよい。
【0062】
本発明の他の実施形態によれば、基板上に前述したシリカ膜形成用組成物を塗布する段階;前記シリカ膜形成用組成物が塗布された基板を乾燥する段階;そして約150℃以上の非活性気体雰囲気下で硬化する段階を含むシリカ膜製造方法を提供する。
【0063】
前記シリカ膜形成用組成物は、溶液工程で塗布することができ、例えば、スピンオンコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷などのような方法で塗布することができる。
【0064】
前記基板は、例えば、半導体、液晶などのデバイス基板であってもよいが、これに限定されるのではない。
【0065】
本発明の他の実施形態によれば、前述したシリカ膜形成用組成物から製造されたシリカ膜を提供するものであり、詳しくは、前記シリカ膜形成用組成物中の前記ケイ素含有重合体が転換されて得られるシリカ成分を含むシリカ膜を提供する。
【0066】
前記シリカ膜は、例えば、絶縁膜、分離膜、ハードコーティング膜などであってもよいが、これに限定されるのではない。
【0067】
本発明のまた他の実施形態によれば、前記シリカ膜を含む電子素子を提供する。前記電子素子は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)やLED(発光ダイオード)などのようなディスプレイ素子、または半導体素子であってもよい。
【実施例
【0068】
以下、実施例を通じて前述した本発明の実施形態をより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0069】
<ケイ素含有重合体の準備>
本明細書内の無機ポリシラザンの重量平均分子量は、Waters(ウォーターズ)社製のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)(PLC Pump 1515)を用いて測定し、ガスクロマトグラフィー分析は、Agilent社製7890A(Column;Restek、(10ft×2mmID×1/8inOD))を用いて測定した。
【0070】
(比較重合例1)
容量1Lの攪拌、温度制御装置付きの反応器の内部を乾燥窒素に置換した。そして乾燥ピリジン800gを反応器に注入して-1℃に冷却した。次いで、ジクロロシラン60gを65分にわたって200sccmの速度で注入した。そして攪拌しながら1時間エージング(aging)した後、ここにアンモニア37gを4時間にわたって200sccmの速度で徐々に注入した。次いで、攪拌しながら2時間エージング(aging)した。乾燥窒素を12時間注入して反応器内に残存するアンモニアを除去した。得られた白色のスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気中で孔径0.1μmのテフロン製濾過器を用いて濾過して、濾液680gを得た。ここに乾燥キシレン800gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をピリジンからキシレンに置換する操作を総3回繰り返しながら固形分濃度を20質量%に調整し、孔径0.1μmのテフロン製濾過器で濾過した。得られた無機ポリシラザン溶液に乾燥ピリジン約100gを入れ、固形分10質量%で100℃で重量平均分子量が3100g/molになるように重合した。重合が完了すると、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を20質量%に調節して、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、無機ポリシラザンを得た。
【0071】
(比較重合例2)
容量1Lの攪拌、温度制御装置付きの反応器の内部を乾燥窒素に置換した。そして乾燥ピリジン800gを反応器に注入して-1℃に冷却した。次いで、ジクロロシラン60gを65分にわたって200sccmの速度で注入した。そして攪拌しながら1時間エージング(aging)した後、ここにアンモニア37gを4時間にわたって200sccmの速度で徐々に注入した。次いで、攪拌しながら2時間エージング(aging)した。乾燥窒素を12時間注入して反応器内に残存するアンモニアを除去した。得られた白色のスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気中で孔径0.1μmのテフロン製濾過器を用いて濾過して、濾液680gを得た。ここに乾燥キシレン800gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をピリジンからキシレンに置換する操作を総3回繰り返しながら固形分濃度を20質量%に調整し、孔径0.1μmのテフロン製濾過器で濾過した。得られた無機ポリシラザン溶液に乾燥ピリジン約100gを入れ、固形分10質量%で100℃で重量平均分子量が8300g/molになるように重合した。重合が完了すると、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を20質量%に調節して、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、無機ポリシラザンを得た。
【0072】
前記無機ポリシラザンに、数平均分子量100,000未満であるトリペンチルアミン(Tripentylamine)、数平均分子量100,000未満であるトリオクチルアミン(Trioctylamine)および数平均分子量100,000未満であるメチルピペリジン(Methylpiperidine)を、前記無機ポリシロキサザン100質量部に対して、それぞれ3質量部(トリペンチルアミン、トリオクチルアミン、メチルピペリジンの添加割合=1:1:1(質量比))添加、混合して、アミン系を含む無機ポリシラザンを得た。
【0073】
(比較重合例3)
容量1Lの攪拌、温度制御装置付きの反応器の内部を乾燥窒素に置換した。そして乾燥ピリジン800gを反応器に注入して-1℃に冷却した。次いで、ジクロロシラン60gを65分にわたって200sccmの速度で注入した。そして攪拌しながら1時間エージング(aging)した後、ここにアンモニア37gを4時間にわたって200sccmの速度で徐々に注入した。次いで、攪拌しながら2時間エージング(aging)した。乾燥窒素を12時間注入して反応器内に残存するアンモニアを除去した。得られた白色のスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気中で孔径0.1μmのテフロン製濾過器を用いて濾過して、濾液680gを得た。ここに乾燥キシレン800gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をピリジンからキシレンに置換する操作を総3回繰り返しながら固形分濃度を20質量%に調整し、孔径0.1μmのテフロン製濾過器で濾過した。得られた無機ポリシラザン溶液に乾燥ピリジン約100gを入れ、固形分10質量%で100℃で重量平均分子量が15300g/molになるように重合した。重合が完了すると、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を20質量%に調節して、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、無機ポリシラザンを得た。
【0074】
(比較重合例4)
容量1Lの攪拌、温度制御装置付きの反応器の内部を乾燥窒素に置換した。そして乾燥ピリジン800gを反応器に注入して-1℃に冷却した。次いで、ジクロロシラン60gを65分にわたって200sccmの速度で注入した。そして攪拌しながら1時間エージング(aging)した後、ここに第一級アミン(エチルアミン)または第二級アミン(ジエチルアミン)を後述するアンモニアに対して10mol%投入した後、1時間エージング(aging)した。その後、アンモニア37gを4時間にわたって200sccmの速度で徐々に注入した。次いで、攪拌しながら2時間エージング(aging)した。乾燥窒素を12時間注入して反応器内に残存するアンモニアを除去した。得られた白色のスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気中で孔径0.1μmのテフロン製濾過器を用いて濾過して、濾液680gを得た。ここに乾燥キシレン800gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をピリジンからキシレンに置換する操作を総3回繰り返しながら固形分濃度を20質量%に調整し、孔径0.1μmのテフロン製濾過器で濾過した。得られた無機ポリシラザン溶液に乾燥ピリジン約200gを入れ、固形分10質量%で100℃で重量平均分子量が8400g/molになるように重合した。重合が完了すると、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を20質量%に調節して、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、無機ポリシラザンを得た。
【0075】
(重合例1)
容量1Lの攪拌、温度制御装置付きの反応器の内部を乾燥窒素に置換した。そして乾燥ピリジン800gを反応器に注入して-1℃に冷却した。次いで、ジクロロシラン60gを65分にわたって200sccmの速度で注入した。そして攪拌しながら1時間エージング(aging)した後、ここにアンモニア37gを8時間にわたって200sccmの速度で徐々に注入した。次いで、攪拌しながら2時間エージング(aging)した。乾燥窒素を12時間注入して反応器内に残存するアンモニアを除去した。得られた白色のスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気中で孔径0.1μmのテフロン製濾過器を用いて濾過して、濾液680gを得た。ここに乾燥キシレン800gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をピリジンからキシレンに置換する操作を総3回繰り返しながら固形分濃度を20質量%に調整し、孔径0.1μmのテフロン製濾過器で濾過した。得られた無機ポリシラザン溶液に乾燥ピリジン約200gを入れ、固形分10質量%で100℃で重量平均分子量が4100g/molになるように重合した。重合が完了すると、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を20質量%に調節して、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、無機ポリシラザンを得た。
【0076】
(重合例2)
容量1Lの攪拌、温度制御装置付きの反応器の内部を乾燥窒素に置換した。そして乾燥ピリジン800gを反応器に注入して-1℃に冷却した。次いで、ジクロロシラン60gを65分にわたって200sccmの速度で注入した。そして攪拌しながら1時間エージング(aging)した後、ここにアンモニア37gを8時間にわたって200sccmの速度で徐々に注入した。次いで、攪拌しながら2時間エージング(aging)した。乾燥窒素を12時間注入して反応器内に残存するアンモニアを除去した。得られた白色のスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気中で孔径0.1μmのテフロン製濾過器を用いて濾過して、濾液680gを得た。ここに乾燥キシレン800gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をピリジンからキシレンに置換する操作を総3回繰り返しながら固形分濃度を20質量%に調整し、孔径0.1μmのテフロン製濾過器で濾過した。得られた無機ポリシラザン溶液に乾燥ピリジン約200gを入れ、固形分10質量%で100℃で重量平均分子量が12500g/molになるように重合した。重合が完了すると、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を20質量%に調節して、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、無機ポリシラザンを得た。
【0077】
(重合例3)
容量1Lの攪拌、温度制御装置付きの反応器の内部を乾燥窒素に置換した。そして乾燥ピリジン800gを反応器に注入して-1℃に冷却した。次いで、ジクロロシラン60gを65分にわたって200sccmの速度で注入した。そして攪拌しながら1時間エージング(aging)した後、ここにアンモニア37gを8時間にわたって200sccmの速度で徐々に注入した。次いで、攪拌しながら2時間エージング(aging)した。乾燥窒素を12時間注入して反応器内に残存するアンモニアを除去した。得られた白色のスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気中で孔径0.1μmのテフロン製濾過器を用いて濾過して、濾液680gを得た。ここに乾燥キシレン800gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をピリジンからキシレンに置換する操作を総3回繰り返しながら固形分濃度を20質量%に調整し、孔径0.1μmのテフロン製濾過器で濾過した。得られた無機ポリシラザン溶液に乾燥ピリジン約200gを入れ、固形分13質量%で100℃で重量平均分子量が8600g/molになるように重合した。重合が完了すると、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を20質量%に調節して、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、無機ポリシラザンを得た。
【0078】
(重合例4)
容量1Lの攪拌、温度制御装置付きの反応器の内部を乾燥窒素に置換した。そして乾燥ピリジン800gを反応器に注入して-1℃に冷却した。次いで、ジクロロシラン60gを65分にわたって200sccmの速度で注入した。そして攪拌しながら1時間エージング(aging)した後、ここにアンモニア37gを8時間にわたって200sccmの速度で徐々に注入した。次いで、攪拌しながら2時間エージング(aging)した。乾燥窒素を12時間注入して反応器内に残存するアンモニアを除去した。得られた白色のスラリー状の生成物を乾燥窒素雰囲気中で孔径0.1μmのテフロン製濾過器を用いて濾過して、濾液680gを得た。ここに乾燥キシレン800gを添加した後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をピリジンからキシレンに置換する操作を総3回繰り返しながら固形分濃度を20質量%に調整し、孔径0.1μmのテフロン製濾過器で濾過した。得られた無機ポリシラザン溶液に乾燥ピリジン約200gを入れ、固形分10質量%で100℃で重量平均分子量が8900g/molになるように重合した。重合が完了すると、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を20質量%に調節して、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、無機ポリシラザンを得た。
【0079】
前記無機ポリシラザンに、ジメチルエタノールアミン(n,n-dimethylethanolamine)を前記無機ポリシラザン総量に対して0.5mol%混合して無機ポリシラザンを得た。
【0080】
<ケイ素含有重合体のGC分析>
比較重合例1~4および重合例1~4によるケイ素含有重合体(無機ポリシラザン)をジブチルエーテル(Dibuthylether、DBE)溶媒に添加して固形分含有量18±1質量%であるサンプルを準備した。次いで、前記サンプルを70g取って、100ml セプタムガラスボトル(septum glass bottle)に小分後、40℃で28日(4週)放置した。その後、注射器を利用してセプタムガラスボトル(septum glass bottle)上部で1mlのガス(gas)をサンプリング後、ガスクロマトグラフィー(GC;Gas Chromatography)分析を行った。
【0081】
その結果を下記表1および図1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
前記表1および図1を参照すると、重合例1~4によるケイ素含有重合体は、比較重合例1~4によるケイ素含有重合体とは異なり、(水素ガス量)/(シランガス量+アンモニアガス量)の値が1.5以上、具体的に1.55以上であり、(アンモニアガス量/水素ガス量)の値が0.68以下、具体的に0.64以下の範囲を有し、重量平均分子量は4000~13000g/molであることが分かる。
【0084】
<シリカ膜形成用組成物の製造>
(実施例1~4および比較例1~4)
前記重合例1~4および比較重合例1~4で得られたケイ素含有重合体をロータリーエバポレーターを用いて溶媒をジブチルエーテルに置換する操作を70℃で4回繰り返して固形分濃度を15質量%に調節し、孔径0.1μmテフロン製濾過器で濾過して、それぞれ実施例1~4および比較例1~4によるシリカ膜形成用組成物を得た。
【0085】
<膜表面の空いた空間(void)の評価>
実施例1~4および比較例1~4によるシリカ膜形成用組成物をそれぞれ3ccずつ取ってスピンコーター(MIKASA社製、MS-A200)で直径8インチのシリコンウエハーの中央部分にディスペンシングした後、1500rpmで20秒間スピン塗布した。その後、150℃で3分間ホットプレートで加熱および乾燥した後、600℃で湿式硬化(WET curing)工程を30分間行ってシリカ膜を形成した。その後、1質量%のDHF(希フッ酸;Dilute Hydrofluoric acid)に120秒間浸漬させた後、膜断面を垂直走査電子顕微鏡(V-SEM)写真を通じて観察した。
【0086】
図2は、実施例1によるシリカ膜形成用組成物から形成された膜表面の垂直走査電子顕微鏡(V-SEM)イメージ図面であり、図3は、比較例1によるシリカ膜形成用組成物から形成された膜表面の垂直走査電子顕微鏡(V-SEM)イメージ図面である。
【0087】
図2および図3を参照すると、実施例によるシリカ膜形成用組成物から形成された膜は、比較例によるシリカ膜形成用組成物から形成された膜と比較して、湿式エッチング過程を経た後の膜表面の空いた空間(ボイド;void)の個数が相対的に小さいことが分かる。
【0088】
以上で本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1
図2
図3