(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】多孔質体中の溶液の電気伝導度推定装置、電気伝導度推定モデル構築装置および電気伝導度推定モデル構築方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/06 20060101AFI20220117BHJP
G01N 33/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G01N27/06 Z
G01N33/00 Z
(21)【出願番号】P 2018080205
(22)【出願日】2018-04-18
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】501061319
【氏名又は名称】学校法人 東洋大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】岩田 幸良
(72)【発明者】
【氏名】宮本 輝仁
(72)【発明者】
【氏名】関 勝寿
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-166871(JP,A)
【文献】特開2001-215203(JP,A)
【文献】特開2003-125623(JP,A)
【文献】特表平03-505124(JP,A)
【文献】米国特許第05673637(US,A)
【文献】土壌溶液ECを推定するRhoadesモデルとHilhorstモデルの関係,土壌物理学会大会講演要旨集,Vol.56,2014年,P34
【文献】圃場の土壌溶液の電気伝導度をTDRによって測定する方法,水文・水資源学会誌,2005年01月05日,Vol.18, No.1 ,Pages 55-63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-G01N 27/24
G01N 33/00-G01N 33/46
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
AgriKnowledge
KAKEN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質体から測定された多孔質体の水分量、多孔質体の電気伝導度および多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の各測定値を複数組取得する測定値取得部と、
伝導効率一次係数、伝導効率二次係数および多孔質体に含まれる固体の電気伝導度である固相の電気伝導度を3つのパラメータとし、上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を3つの変数とする非線形推定モデルについて、上記固相の電気伝導度が所定値であると仮定した上で、上記測定値取得部により取得された上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値を用いた線形回帰分析によって、上記伝導効率一次係数および上記伝導効率二次係数の2つのパラメータを仮算出するパラメータ仮算出部と、
上記パラメータ仮算出部により仮算出された上記伝導効率一次係数および上記伝導効率二次係数と上記仮定した固相の電気伝導度の所定値とを上記3つのパラメータの初期値として、上記3つのパラメータと、上記測定値取得部により取得された上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値とを用いた非線形回帰分析によって、上記3つのパラメータを反復計算により最適化するパラメータ最適化部と、
上記パラメータ最適化部により最適化された上記3つのパラメータを適用した上記非線形推定モデルを用いて、上記測定値取得部により取得される上記多孔質体の水分量および上記多孔質体の電気伝導度をもとに上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を推定する多孔質体溶液電気伝導度推定部とを備えたことを特徴とする多孔質体中の溶液の電気伝導度推定装置。
【請求項2】
上記パラメータ最適化部は、
上記3つのパラメータを適用した上記非線形推定モデルを用いて、上記測定値取得部により取得された上記多孔質体の水分量および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値から上記多孔質体の電気伝導度を当該複数組ごとに推定する多孔質体電気伝導度推定部と、
上記多孔質体電気伝導度推定部により推定された複数の多孔質体の電気伝導度と、上記測定値取得部により取得された複数の多孔質体の電気伝導度とのそれぞれの差分の二乗和を最小化するような上記3つのパラメータを算出する非線形最小二乗和演算部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の多孔質体中の溶液の電気伝導度推定装置。
【請求項3】
多孔質体から測定された多孔質体の水分量、多孔質体の電気伝導度および多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の各測定値を複数組取得する測定値取得部と、
伝導効率一次係数、伝導効率二次係数および多孔質体に含まれる固体の電気伝導度である固相の電気伝導度を3つのパラメータとし、上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を3つの変数とする非線形推定モデルについて、上記固相の電気伝導度が所定値であると仮定した上で、上記測定値取得部により取得された上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値を用いた線形回帰分析によって、上記伝導効率一次係数および上記伝導効率二次係数の2つのパラメータを仮算出するパラメータ仮算出部と、
上記パラメータ仮算出部により仮算出された上記伝導効率一次係数および上記伝導効率二次係数と上記仮定した固相の電気伝導度の所定値とを上記3つのパラメータの初期値として、上記3つのパラメータと、上記測定値取得部により取得された上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値とを用いた非線形回帰分析によって、上記3つのパラメータを反復計算により最適化するパラメータ最適化部とを備えたことを特徴とする多孔質体中の溶液の電気伝導度推定モデル構築装置。
【請求項4】
上記パラメータ最適化部は、
上記3つのパラメータを適用した上記非線形推定モデルを用いて、上記測定値取得部により取得された上記多孔質体の水分量および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値から上記多孔質体の電気伝導度を当該複数組ごとに推定する多孔質体電気伝導度推定部と、
上記多孔質体電気伝導度推定部により推定された複数の多孔質体の電気伝導度と、上記測定値取得部により取得された複数の多孔質体の電気伝導度とのそれぞれの差分の二乗和を最小化するような上記3つのパラメータを算出する非線形最小二乗和演算部とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の多孔質体中の溶液の電気伝導度推定モデル構築装置。
【請求項5】
コンピュータの測定値取得部が、多孔質体から測定された多孔質体の水分量、多孔質体の電気伝導度および多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の各測定値を複数組取得する第1のステップと、
上記コンピュータのパラメータ仮算出部が、伝導効率一次係数、伝導効率二次係数および多孔質体に含まれる固体の電気伝導度である固相の電気伝導度を3つのパラメータとし、上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を3つの変数とする非線形推定モデルについて、上記固相の電気伝導度が所定値であると仮定した上で、上記測定値取得部により取得された上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値を用いた線形回帰分析によって、上記伝導効率一次係数および上記伝導効率二次係数の2つのパラメータを仮算出する第2のステップと、
上記コンピュータのパラメータ最適化部が、上記パラメータ仮算出部により仮算出された上記伝導効率一次係数および上記伝導効率二次係数と上記仮定した固相の電気伝導度の所定値とを上記3つのパラメータの初期値として、上記3つのパラメータと、上記測定値取得部により取得された上記多孔質体の水分量、上記多孔質体の電気伝導度および上記多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値とを用いた非線形回帰分析によって、上記3つのパラメータを反復計算により最適化する第3のステップとを有することを特徴とする多孔質体中の溶液の電気伝導度推定モデル構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質体中の溶液の電気伝導度推定装置、電気伝導度推定モデル構築装置および電気伝導度推定モデル構築方法に関し、特に、土壌または有機質固形培地(ヤシガラ培地等)などの多孔質体の水分量および多孔質体の電気伝導度の各測定値から、多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を推定する装置、並びにこの電気伝導度推定装置において用いる推定モデルを構築する装置および方法に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
農地における土壌の水分量や電気伝導度は、天候や灌漑によって刻々と変化する。また、土壌中に存在している肥料分の含有傾向を数値で表した土壌溶液の電気伝導度も、施肥の状態によって刻々と変化する。これらの変化は作物の生育に強く影響するため、継続的に測定して管理することの意義は大きい。特に、肥培管理を適切に行うという目的から、農地での利用で特に重要なのは、土壌溶液の電気伝導度の測定である。
【0003】
従来、電気伝導度については、4極法やTDR(Time Domain Reflectometry)法などの測定法が確立されており、測定するためのセンサの普及が進んでいる。しかしながら、これらのセンサで測定しているのは、土壌全体の電気伝導度である。土壌の電気伝導度は、土壌溶液の電気伝導度の他に土粒子(固相)の電気伝導度や土壌水分量の影響も大きく受けていることから、土壌溶液のみの電気伝導度を測定するためには、土壌の電気伝導度と土壌の水分量とを同時に測定し、これらの測定値から土粒子の電気伝導度を考慮して土壌溶液の電気伝導度を推定する必要がある。
【0004】
土壌溶液の電気伝導度の推定方法として、Rhoadesモデル(非特許文献1参照)をはじめ、いくつかの推定モデルが提案されている(例えば、非特許文献2,3参照)。Rhoadesモデルは、推定精度が最も高いとされているが、モデルの数式が非線形であり、かつパラメータが3つあることから、土壌溶液の電気伝導度を推定するためには、土壌水分量および土壌の電気伝導度に関して多数のデータを測定する必要があり、簡便に推定することができないという欠点があった。
【0005】
これに対し、非特許文献2,3に記載されているHilhorstモデルは、数式で使用するパラメータの数を少なくすることで、Rhoadesモデルに比べて推定精度は落ちるものの、土壌溶液の電気伝導度を比較的簡便に推定できるようにすることを目的としたものである。
【0006】
なお、土壌用EC(電気伝導度)センサと土壌水分センサとを使用して、算出される土壌溶液EC値を常時モニタリングし、土壌中肥料濃度を適正維持するようにした施肥管理制御器が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1には、Rhoadesモデルを用いて土壌溶液EC値を推定することが記載されており、パラメータの1つである固相の電気伝導度の決定に際し、粘土含量を説明変数とする経験式を用いることで、従来よりも簡便にRhoadesモデルのパラメータを決定する方法が提案されている。
【0007】
ところで現在、農地の現場では、土壌溶液の電気伝導度の推定モデルに使用するパラメータを次のような手順で決定している。
図3は、この手順を模式的に示す図であり、(1)~(8)は手順の順番を示した番号である。以下、
図3に参照しながら、従来の推定モデル構築方法を説明する。
【0008】
(1)現場の圃場から土壌および土壌溶液を採取し、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaをセンサによって測定するとともに、採取した土壌および土壌溶液を実験室へ持ち帰る。土壌は推定モデルを構築する際に用い、土壌溶液は構築した推定モデルを検証する際に用いるものである。
(2)採取した土壌から、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaが異なる複数の土壌試料を作成する。例えば、数段階に濃度を変化させた塩化カリウム溶液など電気伝導度の異なる液体を土壌試料に加えることで、数段階に土壌水分量θを変化させて全体の土壌の電気伝導度ECaが異なる複数の土壌試料を作成する。
【0009】
(3)作成したそれぞれの土壌試料について、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaをセンサなどによって測定する。
(4)測定が終了した土壌試料について、遠心分離機等を用いて土壌溶液を抽出し、土壌溶液の電気伝導度ECwをECセンサによって測定する。
【0010】
(5)それぞれの土壌試料について測定した土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwの関係性を線形回帰分析等により求めることにより、線形推定モデルのパラメータを決定する。例えば、
図3に示すように、縦軸に土壌の電気伝導度ECa、横軸に土壌溶液の電気伝導度ECwをとり、土壌の電気伝導度ECaと土壌溶液の電気伝導度ECwとの線形的な相関を表す近似直線を線形推定モデルとして土壌水分量θごとに求め、当該近似直線を表す線形関数のパラメータを土壌水分量θごとに決定する。
【0011】
(6)上記手順(1)において現場から採取した土壌溶液の電気伝導度ECwをセンサによって測定する。
(7)上記手順(5)で決定したパラメータを適用した線形推定モデルを用いて、現場の圃場で測定した土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaをもとに土壌溶液の電気伝導度ECwを推定する。
(8)推定した土壌溶液の電気伝導度ECwと上記手順(6)で測定した土壌溶液の電気伝導度ECwとを比較することによって、推定結果の妥当性を検証する。
【0012】
ここで、Rhoadesモデルのような非線形推定モデルではなく、
図3のようにθの値を一定とした線形推定モデルを用いているのは、モデルを表す数式で使用するパラメータの数を少なくすることで、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaに関する測定データの数を減らすことを目的としたものである。しかしながら、近似的な線形推定モデルであるが故に、推定の精度を一定レベル以上に保つためには、パラメータの数は多い方がよい。そのため、実際には実験室で多数の土壌試料を作成して、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaの測定を行うとともに、遠心分離機にかけて抽出した土壌溶液の電気伝導度ECwを測定するといった煩雑な作業を行っており、非線形推定モデルの構築に多大な手間と多くの時間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【非特許文献】
【0014】
【文献】“Effects of Liquid-phase Electrical Conductivity, Water Content, and Surface Conductivity on Bulk Soil Electrical Conductivity”:J. D. RHOADES, P. A. C. RAATS, AND R. J. PRATHER(Article in Soil Science Society of America Journal,January 1976)
【文献】“5TEセンサーで測定した土壌水分量の簡易補正と電気伝導率の検証”:武藤由子、渡辺晋生、山本清仁、倉島栄一(農業農村工学会論文集83巻(2015)2号 pp.I_9-I_17)
【文献】“圃場における土壌水分量と電気伝導率の連続観測のための5TEセンサーの簡易な原位置キャリブレーション”: 武藤由子、窪田有真、桐山直盛、渡辺晋生(土壌物理学会;土壌の物理性No.137 (2017) p.3~9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、非線形の推定モデルによって土壌などの多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を高精度に推定することができるようにするとともに、当該非線形の推定モデルを簡便に構築することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するために、本発明では、第1段階として、伝導効率一次係数、伝導効率二次係数および多孔質体に含まれる固体の電気伝導度である固相の電気伝導度を3つのパラメータとし、多孔質体の水分量、多孔質体の電気伝導度および多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を3つの変数とする非線形推定モデルについて、固相の電気伝導度が所定値であると仮定した上で、多孔質体から測定された多孔質体の水分量、多孔質体の電気伝導度および多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値を用いた線形回帰分析によって、伝導効率一次係数および伝導効率二次係数の2つのパラメータを仮算出する。そして、第2段階として、当該仮算出された伝導効率一次係数および伝導効率二次係数と、仮定した固相の電気伝導度の所定値とを3つのパラメータの初期値として、当該3つのパラメータと、多孔質体から測定された多孔質体の水分量、多孔質体の電気伝導度および多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値とを用いた非線形回帰分析によって、上記3つのパラメータを反復計算により最適化するようにしている。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成した本発明によれば、多孔質体の水分量と多孔質体の電気伝導度とを独立変数、多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を目的変数とする非線形推定モデルに基づき、伝導効率一次係数、伝導効率二次係数および固相の電気伝導度を3つのパラメータとして特定し、多孔質体の水分量および多孔質体の電気伝導度の測定値から、多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度を高精度に推定することができる。また、本発明によれば、非線形回帰分析を行う際に初期値として用いる伝導効率一次係数および伝導効率二次係数の2つのパラメータが、非線形回帰分析を行う前の線形回帰分析によって仮算出される。すなわち、固相の電気伝導度が所定値であると仮定した上で、多孔質体から測定された多孔質体の水分量、多孔質体の電気伝導度および多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の複数組の各測定値を用いた線形回帰分析によって2つのパラメータが仮算出されるので、最適値から比較的近い値を非線形回帰分析の初期値として与えることが可能となる。このため、多孔質体の水分量、多孔質体の電気伝導度および多孔質体に含まれる溶液の電気伝導度の3つの変数に関する測定値が少ない場合でも、非線形推定モデルの3つのパラメータについて最適な組を得ることができる。これにより、測定データ数を極力少なくして、非線形の推定モデルを簡便に構築することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態による多孔質体中の溶液の電気伝導度推定装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図2】土壌溶液の電気伝導度の推定モデルを構築する本実施形態の手順および土壌溶液の電気伝導度を推定する手順を模式的に示す図である。
【
図3】土壌溶液の電気伝導度の推定モデルを構築する従来の手順を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による多孔質体中の溶液の電気伝導度推定装置(以下、電気伝導度推定装置100と記す)の機能構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の電気伝導度推定装置100は、その機能構成として、推定モデル構築部10および土壌溶液電気伝導度推定部20(特許請求の範囲の多孔質体溶液電気伝導度推定部に相当)を備えて構成されている。推定モデル構築部10は、その具体的な機能構成として、測定値取得部11、パラメータ仮算出部12およびパラメータ最適化部13を備えている。また、本実施形態の電気伝導度推定装置100は、記憶媒体として推定モデル記憶部30を備えている。
【0020】
上記各機能ブロック11~13,20は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~13,20は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0021】
なお、
図1では、電気伝導度推定装置100が推定モデル構築部10および土壌溶液電気伝導度推定部20を備える構成を示しているが、推定モデル構築部10と土壌溶液電気伝導度推定部20とを別の装置構成としてもよい。この場合、推定モデル構築部10は、特許請求の範囲の電気伝導度推定モデル構築装置に相当する。
【0022】
図2は、土壌溶液の電気伝導度の推定モデルを構築する本実施形態の手順および土壌溶液の電気伝導度を推定する手順を模式的に示す図である。ここで、(1)~(8)は推定モデルを構築する手順の順番を示した番号である。また、(9)~(10)は土壌溶液の電気伝導度を推定する手順の順番を示した番号である。以下、
図2に参照しながら、本実施形態による推定モデル構築方法および土壌溶液の電気伝導度の推定方法を説明する。
【0023】
(1)現場の圃場から土壌(特許請求の範囲の「多孔質体」に相当)および土壌溶液(特許請求の範囲の「多孔質体に含まれる溶液」に相当)を採取し、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaをセンサによって測定するとともに、採取した土壌および土壌溶液を実験室へ持ち帰る。土壌は推定モデルを構築する際に用い、土壌溶液は構築した推定モデルを検証する際に用いるものである。
(2)採取した土壌から、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaが異なる複数の土壌試料を作成する。例えば、数段階に濃度を変化させた塩化カリウム溶液など電気伝導度の異なる液体を土壌試料に加えることで、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaが異なる複数の土壌試料を作成する。
【0024】
本実施形態において作成する土壌試料は、従来に比べて少なくてよい。土壌水分量θが少ないものと多いもの、土壌の電気伝導度ECaが小さいものと大きいものとの組み合わせで、4~6個程度の土壌試料を作成すれば十分である。なお、
図2では、4個の土壌試料を作成する例を示している。これに対し、
図3に示した従来例では16個の土壌試料を作成する例を示しているが、これは一例である。線形回帰分析により求める線形推定モデルの精度を上げるためには、より多数の土壌試料を作成することが好ましいが、手間のかかる作業となる。
【0025】
本実施形態では、後述するように、4~6個の土壌試料を作成するだけで高精度の非線形推定モデルを構築することができるので、土壌試料を作成する手間を大幅に軽減することが可能である。なお、作成する土壌試料の数が従来に比べて少なくてよい理由については、
図1に示した電気伝導度推定装置100の構成を後述することによって説明する。
【0026】
(3)作成したそれぞれの土壌試料について、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaをセンサによって測定する。なお、土壌水分量θについては、センサを用いた測定の他に、重さを計って最後に土壌試料を炉乾燥させることで水分量を計算する方法(重量法)で求めることも可能である。また、4極法などの方法で土壌水分量θを測定することも可能である。
【0027】
(4)測定が終了した土壌試料について、遠心分離機等を用いて土壌溶液を抽出し、土壌溶液の電気伝導度ECwをセンサによって測定する。
上述した通り、本実施形態では、4~6個の土壌試料を作成するだけでよいので、土壌水分量θが同一で土壌の電気伝導度ECaが異なる複数の土壌試料を作成する手間が省ける。また、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaをセンサによって測定するための労力も、土壌試料を遠心分離機にかけた後センサによって土壌溶液の電気伝導度ECwを測定する労力も削減できる。そのため、従来に比べて大幅に手間を軽減することが可能である。
【0028】
(5)それぞれの土壌試料について測定した土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwを
図1に示した本実施形態の電気伝導度推定装置100に入力し、後述するように推定モデル構築部10が本実施形態に特有の分析を行うことにより、土壌溶液の電気伝導度ECwを推定するための推定モデルを構築する(推定モデルのパラメータを決定する)。
【0029】
(6)上記手順(1)において現場から採取した土壌溶液の電気伝導度ECwをセンサによって測定する。
(7)上記手順(5)で決定したパラメータを適用した推定モデルを用いて、土壌溶液電気伝導度推定部20が、上記手順(1)において現場の圃場で測定した土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaをもとに土壌溶液の電気伝導度ECwを推定する。
(8)推定した土壌溶液の電気伝導度ECwと、上記手順(6)で測定した土壌溶液の電気伝導度ECwとを比較することによって、推定結果の妥当性を検証する。
【0030】
以下に、上記手順(5)における処理を実行する本実施形態による電気伝導度推定装置100の構成について、
図1を用いて説明する。
【0031】
測定値取得部11は、上記手順(1)~(4)によって圃場より採取した土壌から測定された土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwの各測定値を複数組(4~6組)取得する。
【0032】
パラメータ仮算出部12およびパラメータ最適化部13は、推定精度が最も高いとされているRhoadesモデルに倣って、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaから土壌溶液の電気伝導度ECwを推定するための推定モデルを構築する。次に示す(式1)は、Rhoadesの式である。
ECa=(aθ+b)θ・ECw+ECs・・・(式1)
<測定値>
ECa:土壌の電気伝導度(みかけの電気伝導度)
ECw:土壌溶液の電気伝導度
θ:土壌水分量(体積含水率)
<パラメータ>
a:伝導効率二次係数
b:伝導効率一次係数
ECs:固相の電気伝導度(土壌固体の電気伝導度)
【0033】
本実施形態では、パラメータ仮算出部12による線形回帰分析によって3つのパラメータa,b,ECsを仮に決定した後、仮決定した各パラメータa,b,ECsをパラメータ最適化部13によって最適化することにより、高精度の推定モデルを構築する。
【0034】
まず、パラメータ仮算出部12による線形回帰分析の考え方を説明する。Rhoadesの(式1)は、次の(式2)のように変形することが可能である。
(ECa-ECs)/(θ・ECw)=aθ+b・・・(式2)
ここで、固相の電気伝導度ECsが0.25dsm-1であると仮定すると、左辺の(ECa-ECs)/(θ・ECw)は測定値取得部11により取得された3つの測定値から計算することができる。これをzと置けば、(式2)はz=aθ+bとなり、zとθとの間の1次関数とみることができる。よって、直線回帰分析によってパラメータa,bを得ることが可能である。
【0035】
すなわち、パラメータ仮算出部12は、伝導効率一次係数b、伝導効率二次係数aおよび固相の電気伝導度ECsを3つのパラメータとし、土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwを3つの変数(測定値)とする非線形推定モデル(Rhoadesモデル)について、固相の電気伝導度ECsが所定値(ECs=0.25dsm-1)であると仮定した上で、測定値取得部11により取得された土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwの複数組の各測定値を用いた線形回帰分析によって、伝導効率一次係数bおよび伝導効率二次係数aの2つのパラメータを仮算出する。
【0036】
パラメータ仮算出部12により算出された2つのパラメータa,bは、あまり精密なパラメータではない。また、パラメータ仮算出部12が2つのパラメータa,bを算出する際に、残りもう1つのパラメータである固相の電気伝導度ECsの値を0.25dsm-1であると仮定している。そこで、より良いパラメータa,b,ECsを推定するために、パラメータ最適化部13により非線形回帰分析を行う。
【0037】
すなわち、パラメータ最適化部13は、パラメータ仮算出部12により仮算出された伝導効率一次係数bおよび伝導効率二次係数aと、仮設定した固相の電気伝導度ECsの値0.25dsm-1とを初期値として、3つのパラメータa,b,ECsと、測定値取得部11により取得された土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwの複数組の各測定値とを用いた非線形回帰分析によって、伝導効率一次係数b、伝導効率二次係数aおよび固相の電気伝導度ECsの3つのパラメータを反復計算により最適化する。
【0038】
反復計算による最適化の手法には、最急降下法、ニュートン法など基本的なものから、これらを改良した多くのアルゴリズムが存在する。その中で、レーベンバーグ・マーカート法(Levenberg-Marquardt Method)は、非線形最小二乗問題(非線形な関数の二乗和を最小とする問題)を解く手法として広く使われている。パラメータ最適化部13は、これら公知の手法の何れかを適用してパラメータa,b,ECsの最適化を行うことが可能である。
【0039】
以下では、パラメータ最適化部13は、一例として、レーベンバーグ・マーカート法による非線形回帰分析を行うものとして説明する。レーベンバーグ・マーカート法は、「ある推定される値」を初期値として、その値が正解から遠い場合は最急降下法と同じように動作する一方、「ある推定される値」が正解から近い場合はニュートン法と同じように動作する。
【0040】
ここで、(式1)における右辺の独立変数の組(θ,ECw)をベクトルxとし、左辺の目的変数であるECaをyとして、3つのパラメータの組(a,b,ECs)をベクトルpとすると、(式1)は次の(式3)に示すような関数であると考えることができる。
y=f(x,p)・・・(式3)
【0041】
この場合、ある土壌試料に関するパラメータの組p=(a,b,ECs)に対して(式3)から計算されるyの値(=f(x,p))と、その土壌試料に関して測定値取得部11により取得された土壌の電気伝導度ECaの測定値との差Δ(=ECa-f(x,p)) の値を二乗する。そして、全ての土壌試料について同様に計算した値Δ2の合計値を残差二乗和とする。この残差二乗和が少ないほど、より実測値に近い値を表す「良いパラメータ」であることとなる。この計算を行うために、パラメータ最適化部13は、土壌電気伝導度推定部13Aおよび非線形最小二乗和演算部13Bを備えている。
【0042】
すなわち、土壌電気伝導度推定部13Aは、3つのパラメータの組p=(a,b,ECs)を適用した非線形推定モデル(Rhoadesモデル)を用いて、測定値取得部11により取得された土壌試料ごとの土壌水分量θおよび土壌溶液の電気伝導度ECwの複数組の各測定値(x=(θ,ECw))から(式3)の計算を行うことにより、土壌の電気伝導度y=f(x,p)を当該複数組ごとに(すなわち、作成した4~6個の土壌試料ごとに)推定する。
【0043】
非線形最小二乗和演算部13Bは、土壌電気伝導度推定部13Aにより土壌試料ごとに推定された複数の土壌電気伝導度y=f(x,p)と、測定値取得部11により土壌試料ごとに取得された複数の土壌の電気伝導度ECaとのそれぞれの差分の二乗和(上述した残差二乗和)を最小化するような3つのパラメータa,b,ECsを算出する。
【0044】
レーベンバーグ・マーカート法は、良い初期値からスタートすれば、良いパラメータが得られるものの、初期値の選び方が適切ではなければ、良い値に収束する保証がない。そのため、どのようにして「推定するための初期値」を選ぶかが重要である。本実施形態では、パラメータ仮算出部12によって「ほど良いパラメータ」を算出し、それを初期値としてパラメータ最適化部13によって精密なパラメータa,b,ECsを決定するようにしている。すなわち、パラメータ仮算出部12により算出された仮のパラメータをパラメータ最適化部13の「初期値」とすることで、レーベンバーグ・マーカート法によって、最適なパラメータa,b,ECsの組を決定することができる。つまり、多数の土壌試料を作成して多くの測定データを得ることなく、Rhoadesモデルに倣った最適な推定モデルを構築することが可能である。
【0045】
パラメータ最適化部13により算出されたRhoadesモデルの3つのパラメータa,b,ECsは、推定モデル記憶部30に記憶される。以上により、上述した手順(5)までが完了する。この後、上述した手順(6)~(8)を必要に応じて実行する。ここで、土壌溶液電気伝導度推定部20により推定モデルから推定された土壌溶液の電気伝導度ECwと、現場から採取した土壌溶液についてセンサにより測定された電気伝導度ECwとの差が大きく離れる場合には、土壌水分量θが異なる2つの土壌試料を追加で作成して土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwを測定し、この測定値を加えて推定モデルを再度構築する。
【0046】
推定モデル記憶部30に推定モデルが記憶された後は、この推定モデルを用いて、土壌溶液の電気伝導度ECwが未知の土壌について、
図2に示す以下の手順(9)~(10)によって土壌溶液の電気伝導度ECwを推定することが可能である。
【0047】
(9)現場の圃場に設置したセンサにより測定された土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaを、通信ネットワークを介して取得する。この取得は、例えば、一定の周期で繰り返し行うようにする。
(10)取得した土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaを電気伝導度推定装置100の土壌溶液電気伝導度推定部20に入力し、これらの測定値を推定モデル記憶部30に記憶されている推定モデルに適用することにより、土壌溶液の電気伝導度ECwを算出する。
【0048】
上記手順(10)において、土壌溶液電気伝導度推定部20は、パラメータ最適化部13により最適化され推定モデル記憶部30に記憶された3つのパラメータa,b,ECsを適用した非線形推定モデル(Rhoadesモデル)を用いて、測定値取得部11により取得される土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaをもとに土壌溶液の電気伝導度ECwを推定する。
【0049】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、第1段階としてパラメータ仮算出部12が、Rhoadesモデルについて固相の電気伝導度ECsが所定値であると仮定した上で、現場の圃場において採取した土壌から測定された土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwの複数組の各測定値を用いた線形回帰分析によって、伝導効率一次係数bおよび伝導効率二次係数aの2つのパラメータを仮算出する。そして、第2段階としてパラメータ最適化部13が、パラメータ仮算出部12により仮算出された伝導効率一次係数bおよび伝導効率二次係数aと、パラメータ仮算出部12により仮定された固相の電気伝導度の所定値とを初期値として、レーベンバーグ・マーカート法等の非線形回帰分析によって3つのパラメータa,b,ECsを反復計算により最適化するようにしている。
【0050】
このように構成した本実施形態によれば、土壌水分量θと土壌の電気伝導度ECaとを独立変数、土壌溶液の電気伝導度ECwを目的変数とする非線形推定モデル(Rhoadesモデル)に基づいて、伝導効率一次係数b、伝導効率二次係数aおよび固相の電気伝導度ECsを3つのパラメータとして特定し、これによって土壌溶液の電気伝導度ECwを推定することにより、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaのセンサ等による出力値から土壌溶液の電気伝導度ECwを高精度に推定することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、パラメータ最適化部13が非線形回帰分析を行う際に初期値として用いる伝導効率一次係数bおよび伝導効率二次係数aの2つのパラメータが、非線形回帰分析を行う前のパラメータ仮算出部12による線形回帰分析によって仮算出される。すなわち、固相の電気伝導度ECsが所定値であると仮定した上で、採取した土壌から測定された土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwの複数組の各測定値を用いた線形回帰分析によって2つのパラメータa,bが仮算出されるので、最適値から比較的近い値を非線形回帰分析の初期値として与えることが可能となる。このため、土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwを3つの変数に関する測定値が少ない場合(土壌試料の作成数が少ない場合)でも、Rhoadesモデルの3つのパラメータa,b,ECsについて最適な組を得ることができる。これにより、測定データ数を極力少なくして、非線形の推定モデルを簡便に構築することができるようになる。
【0052】
なお、上記実施形態では、現場の圃場から実験室に持ち帰って作成した4~6個の土壌試料について、それぞれ土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwを測定する例について説明したが、これらの測定方法はこれに限定されない。例えば、現場の圃場において土壌水分量θと土壌の電気伝導度ECaをセンサにより測定するとともに、現場の土壌から土壌溶液を採取して土壌溶液の電気伝導度ECwをセンサにより測定するようにしてもよい。このようにすれば、現場での測定データのみから非線形推定モデルのパラメータa,b,ECsを求めることができるので、実験室において土壌試料を作成し、土壌試料から土壌水分量θ、土壌の電気伝導度ECaおよび土壌溶液の電気伝導度ECwを測定する手間をなくすことができる。
【0053】
また、上記実施形態では、多孔質体が土壌であることを想定し、土壌水分量θおよび土壌の電気伝導度ECaの各測定値から土壌溶液の電気伝導度ECwを推定する例について説明したが、適用可能な多孔質体はこれに限定されない。例えば、有機質固形培地(ヤシガラ培地等)の水分量および有機質固形培地の電気伝導度の各測定値から、有機質固形培地に含まれる溶液の電気伝導度を推定する場合にも上記実施形態を同様に適用することが可能である。
【0054】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 推定モデル構築部
11 測定値取得部
12 パラメータ仮算出部
13 パラメータ最適化部
13A 土壌電気伝導度推定部
13B 非線形最小二乗和演算部
20 土壌溶液電気伝導度推定部
100 多孔質体中の溶液の電気伝導度推定装置