(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-12
(45)【発行日】2022-01-24
(54)【発明の名称】発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20220117BHJP
【FI】
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2019102708
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2020-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山内 繁晴
(72)【発明者】
【氏名】仁木 健太
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0284950(US,A1)
【文献】特開2015-195356(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0038280(US,A1)
【文献】特開2018-206886(JP,A)
【文献】特開2005-183986(JP,A)
【文献】特表2012-518293(JP,A)
【文献】特表2012-509590(JP,A)
【文献】特開2013-045544(JP,A)
【文献】特開2013-045839(JP,A)
【文献】特表2018-513532(JP,A)
【文献】特開2009-267239(JP,A)
【文献】特表2011-508939(JP,A)
【文献】特表2004-515891(JP,A)
【文献】特表2004-533097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
F21S 2/00
F21V 1/00-15/04
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/58
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を備えるパッケージと、前記凹部内に配置される第1光源であって、第1発光素子と第1波長変換部材とを含む第1光源と、前記凹部内に配置される第2光源と、前記第1光源及び前記第2光源と接するように覆う第2波長変換部材と、を備え、前記第1光源と前記第2光源を個別に発光可能な発光装置を準備する工程と、
前記第1光源及び前記第2光源を同時に発光させ、前記第1光源からの光と、
前記第2光源からの光と、前記第2波長変換部材からの光とを混合させた混合光を発光させる発光工程と、
前記混合光の色度を判定し、該判定結果に基づいて前記発光装置を選別する混合光選別工程を含
み、
前記凹部内に前記第1光源および前記第2光源を配置した状態で、
前記第1光源のみを発光させて第1光を発光させる第1光発光工程と、
前記第1光の色度を判定し、該判定結果に基づいて第1光を選別する第1光選別工程は、色度図上において前記混合光の色温度よりも低い色温度に対して設定されたマクアダム楕円であって、前記混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepと同じ大きさのマクアダム楕円のstep、もしくは、それよりも大きいマクアダム楕円のstepで選別する第1光選別工程とを含む、発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記凹部内に前記第1光源および前記第2光源を配置した状態で、
前記第2光源のみを発光させて第2光を発光させる第2光発光工程を含み、
前記第2光の色度を判定し、該判定結果に基づいて第2光を選別する第2光選別工程は、色度図上において前記混合光の色温度よりも高い色温度に対して設定されたマクアダム楕円であって、前記混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepと同じ大きさのマクアダム楕円のstep、前記混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepよりも大きいマクアダム楕円のstepで選別する第2光選別工程を含む、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
凹部を備えるパッケージと、前記凹部内に配置される第1光源であって、第1発光素子と第1波長変換部材とを含む第1光源と、前記凹部内に配置される第2光源と、前記第1光源及び前記第2光源と接するように覆う第2波長変換部材と、を備え、前記第1光源と前記第2光源を個別に発光可能な発光装置を準備する工程と、
前記第1光源及び前記第2光源を同時に発光させ、前記第1光源からの光と、前記第2光源からの光と、前記第2波長変換部材からの光とを混合させた混合光を発光させる発光工程と、
前記混合光の色度を判定し、該判定結果に基づいて前記発光装置を選別する混合光選別工程を含み、
前記凹部内に前記第1光源と前記第2光源を配置した状態で、
前記第2光源のみを発光させて第2光を発光させる第2光発光工程と、
前記第2光の色度を判定し、該判定結果に基づいて第2光を選別する第2光選別工程は、色度図上において前記混合光の色温度よりも高い色温度に対して設定されたマクアダム楕円であって、前記混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepと同じ大きさのマクアダム楕円のstep、前記混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepよりも大きいマクアダム楕円のstepで選別する第2光選別工程とを含む、
発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記混合光選別工程は、色度図上の所定の色温度に対して設定されたマクアダム楕円で選別する工程を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記混合光選別工程は、色度図上の所定の色温度に対して設定されたマクアダム楕円の領域を、それぞれの楕円の中心を通る線で分割された分割領域のいずれかに選別する工程を含む、
請求項4に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記混合光選別工程は、マクアダム楕円の領域を、それぞれのマクアダム楕円の中心を通る線で6分割された領域のいずれかに選別する工程を含む、
請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記混合光選別工程は、マクアダム楕円の領域を、それぞれのマクアダム楕円の中心を通る線で4分割された領域のいずれかに選別する工程を含む、
請求項5に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記マクアダム楕円の領域は7stepの範囲内の領域である、
請求項4~請求項7のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記マクアダム楕円の領域は、5stepの範囲内の領域である、
請求項4~請求項7のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記マクアダム楕円の領域は、3stepの範囲内の領域である、
請求項4~請求項7のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1光源のみを発光させて得られる第1光の色温度と、第2光源のみを発光させて得られる第2光の色温度は、600K以上の差がある、
請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1光源のみを発光させて得られる第1光は、色温度が2200K~3000Kである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2光源のみを発光させて得られる第2光は、色温度が4000K~6500Kである、
請求項2または請求項3に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
前記混合光を発光させる工程は、前記第1光源を先に発光させた後、前記第1光源を発光させた状態で前記第2光源を発光させて前記混合光を得る工程を含む、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記混合光を発光させる工程は、前記第2光源を先に発光させた後、前記第2光源を発光させた状態で前記第1光源を発光させて前記混合光を得る工程を含む、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記第2光源は、第2発光素子と、前記第2発光素子上に配置され、実質的に蛍光体を含まない透光性部材とを含み、
前記第2波長変換部材は、前記第2発光素子の側面に接して配置される、請求項1~15のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項17】
凹部を備えるパッケージと、前記凹部内に配置される第1光源であって、第1発光素子と第1波長変換部材とを含む第1光源と、前記凹部内に配置される第2光源と、前記第1光源及び前記第2光源と接するように覆う第2波長変換部材と、を備え、前記第1光源と前記第2光源を個別に発光可能な発光装置を準備する工程と、
前記第1光源及び前記第2光源を同時に発光させ、前記第1光源からの光と、前記第2光源からの光と、前記第2波長変換部材からの光とを混合させた混合光を発光させる発光工程と、
前記混合光の色度を判定し、該判定結果に基づいて前記発光装置を選別する混合光選別工程を含み、
前記混合光を発光させる工程は、前記第1光源を先に発光させた後、前記第1光源を発光させた状態で前記第2光源を発光させて前記混合光を得る工程を含む、発光装置の製造方法。
【請求項18】
凹部を備えるパッケージと、前記凹部内に配置される第1光源であって、第1発光素子と第1波長変換部材とを含む第1光源と、前記凹部内に配置される第2光源と、前記第1光源及び前記第2光源と接するように覆う第2波長変換部材と、を備え、前記第1光源と前記第2光源を個別に発光可能な発光装置を準備する工程と、
前記第1光源及び前記第2光源を同時に発光させ、前記第1光源からの光と、前記第2光源からの光と、前記第2波長変換部材からの光とを混合させた混合光を発光させる発光工程と、
前記混合光の色度を判定し、該判定結果に基づいて前記発光装置を選別する混合光選別工程を含み、
前記混合光を発光させる工程は、前記第2光源を先に発光させた後、前記第2光源を発光させた状態で前記第1光源を発光させて前記混合光を得る工程を含む、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
照明用のLED(Light Emitting Diode)として、異なる色温度の光を発光可能な複数の光源を備えることで、調色可能な発光装置が知られている。
【0003】
例えば、色温度が2000Kの光源(電球色)と、色温度が5000Kの光源(白色)とを備える発光装置の場合、各光源に印加する電流を調整することで2000K~5000Kの間の色温度の光が発光可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような発光装置の場合、上述の例では色温度2000Kの光源のみを発光させて選別し、色温度5000Kの光源のみを発光させて選別している。1つの発光装置が2つ以上の光源を備え、それぞれ個別に発光可能な場合、それぞれの色温度で選別を行うと、歩留まりの低下の要因の1つとなっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の構成を含む。
凹部を備えるパッケージと、前記凹部内に配置される第1光源であって、第1発光素子と第1波長変換部材とを含む第1光源と、前記凹部内に配置される第2光源と、前記第1光源及び前記第2光源と接するように覆う第2波長変換部材と、を備え、前記第1光源と前記第2光源を個別に発光可能な発光装置を準備する工程と、
前記第1光源及び前記第2光源を同時に発光させ、前記第1光源からの光と、第2光源からの光と、前記第2波長変換部材からの光とを混合させた混合光を発光させる発光工程と、
前記混合光の色度を判定し、該判定結果に基づいて前記発光装置を選別する混合光選別工程を含む、発光装置の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
以上により、調色可能な発光装置の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本実施形態に係る発光装置の製造方法で得られる発光装置の一例を示す概略断面図である。
【
図1B】本実施形態に係る発光装置の製造方法で得られる発光装置の一例を示す概略断面図である。
【
図1C】本実施形態に係る発光装置の製造方法で得られる発光装置の一例を示す概略断面図である。
【
図2】CIE1931(x、y)色度図上における、ANSIの色度範囲と7stepのマクアダム楕円を示す図である。
【
図3A】マクアダム楕円7step以内の色度範囲をCIE1931標準色度図上に示したグラフである。
【
図3B】マクアダム楕円7step以内の色度範囲をCIE1931標準色度図上に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態を、以下に図面を参照しながら説明する。ただし、以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置の製造方法を例示するものであって、本発明は、発光装置の製造方法を以下に限定するものではない。
【0010】
実施形態に係る発光装置の製造方法は、個別に発光可能な第1光源及び第2光源を備える発光装置を準備する工程と、第1光源と第2光源の両方を発光させて混合光を発光させる混合光発光工程と、その混合光の色度を判定して選別する混合光選別工程と、を含む。
【0011】
<発光装置を準備する工程>
発光装置10の一例を
図1Aに図示する。発光装置10は、凹部Rを備えるパッケージ14と、凹部R内に配置される第1光源11と第2光源12と、を含む。
【0012】
第1光源11は、第1発光素子111と第1波長変換部材112とを含む。第1波長変換部材112は、第1発光素子111からの光を吸収し、第1発光素子111からの光と異なる波長の光に変換する蛍光体等の波長変換物質を含む透光性の部材である。第2光源12は、第2発光素子121を含む。
【0013】
発光装置10は、さらに、第1光源11及び第2光源12を覆う第2波長変換部材13を備える。第2波長変換部材13は、第1光源11及び第2光源12と接している。第2波長変換部材13は、第1発光素子111及び第2発光素子121からの光を吸収し、第1発光素子111からの光及び第2発光素子121からの光と異なる波長の光に変換する蛍光体等の波長変換物質を含む透光性の部材である。
【0014】
第1光源11と第2光源12は、個別に発光可能である。すなわち、目的や用途に応じて、第1光源11又は第2光源12のいずれか1つのみを発光させることが可能である。あるいは、第1光源11と第2光源12の両方を発光させることが可能である。
【0015】
第1光源11のみを発光した場合、つまり、第1発光素子111のみに通電した場合、発光装置10からは第1発光素子111からの光と、第1波長変換部材112からの光と、第2波長変換部材13からの光と、が混合された第1光が発光される。第1光の色温度は、例えば2200K~3000Kとすることができる。
【0016】
第2光源12のみを発光させた場合、つまり、第2発光素子121のみに通電した場合、発光装置10からは第2発光素子121からの光と、第2波長変換部材13からの光とが混合された第2光が発光される。第2光の色温度は、例えば、4000K~6500Kとすることができる。
【0017】
尚、第1光源11と第2光源12の位置が近い場合には、第2光源12のみを発光させた場合に、第1波長変換部材112に光が照射されると、第1波長変換部材112からの光も第2光に含まれる場合がある。また、第1光及び第2光も発光素子からの光と波長変換物質からの光が混合された光であるが、これらは第1光及び第2光と称し、第1光源及び第2光源の両方を発光させて得られる光を混合光(第3光)と称している。
【0018】
第1光の色温度と第2光の色温度は、600K以上の差とすることができる。好ましくは、第1光の色温度と第2光の色温度は、1000K以上の差とすることができる。このように色温度の差が大きいほど、歩留まり低下を抑制する効果は大きい。
【0019】
また、第2光の色温度が5000K以上の白色である場合色度のバラツキが大きくなりやすい。これは、第2光の中で第2波長変換部材13に含まれる波長変換物質に起因する光の成分が少ないためであり、少ない量の波長変換物質の量を精度よく制御することが困難であるためである。そのため、このような色温度の高い第2光を含む調色可能な発光装置の製造工程において、第1光源11及び第2光源12を同時に発光させて得られる混合光(第3光)を選別する混合光選別工程を含むことで、歩留まり低下を抑制することができる。
【0020】
第1光源11と第2光源12の両方を発光した場合、発光装置10からは、第1光源11からの光(第1発光素子111からの光及び第1波長変換部材112からの光)、第2光源12からの光(第2発光素子121からの光)、及び第2波長変換部材13からの光が混合された混合光(第3光)が発光される。第3光の色温度は、例えば、2700K~5700Kとすることができる。
【0021】
図1B、
図1Cは発光装置の変形例を図示している。
図1Bに示す発光装置10Aは、第2光源12Aが、第2発光素子121と、第2発光素子121上に配置された透光性部材122と、を備える以外は、
図1Aに示す発光装置10と同様の構成である。透光性部材122は、実質的に蛍光体を含まない透光性の部材である。透光性部材122は、SiO
2、TiO
2等の拡散剤等を含有していてもよい。このような構成とすることで、第2光源12Aからの光、すなわち第2発光素子121からの光が外部に取り出しやすくなる。これにより、第2光源12Aのみを発光させる場合、より色温度の高い色度の発光が可能となる。第2光源12Aが透光性部材122を含む場合は、第2光の色温度は、例えば、5000K~7500Kとすることができ、第3光の色温度は、例えば、2700K~6500Kとすることができる。
【0022】
図1Cに示す発光装置10Bは、第2光源12Aが、第2発光素子121と、第2発光素子121上に配置された第3波長変換部材123と、を備える以外は、
図1Aに示す発光装置10と同様の構成である。第3波長変換部材123は、蛍光体等の波長変換物質を含む。このような場合の第2光の色温度は、例えば、5000K~7500Kとすることができ、第3光の色温度は、2700K~6500Kとすることができる。第3波長変換部材123の材料としては、第1波長変換部材112と同様の材料を用いることができる。
【0023】
図1A~
図1Cでは、パッケージ14として樹脂体141と導電部材142とが一体成型された樹脂パッケージを例示している。ただし、これに限らず、COB(chip on Board)タイプのパッケージなど、板状の基板上に枠体を備えることで凹部が形成されるパッケージ等も用いることができる。
【0024】
第1発光素子111と第2発光素子121は、例えば、紫外線~青色光を発光可能な半導体発光素子を用いることができる。例えば、第1発光素子111と第2発光素子121は、例えば、窒化物系半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた発光素子を用いることができる。また、第1発光素子111と第2発光素子121は、同じ波長であってもよく、異なる波長であってもよい。
【0025】
第1波長変換部材112及び第2波長変換部材13は、蛍光体等の波長変換物質を透光性の樹脂材料と、を含む透光性の部材である。透光性の樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0026】
また、第1波長変換部材112に含まれる波長変換物質としては、例えば、例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、K2(Si,Ti,Ge)F6:Mn等を挙げることができる。また、第2波長変換部材13に含まれる波長変換物質としては、例えば、(Y,Lu,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceを用いることが好ましく、さらに、(Y,Lu,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ceと(Sr,Ca)AlSiN3:Euとを混合したものを挙げることができる。尚、波長変換物質としては、上記のほか、(Ca,Sr,Ba)5(PO4)3(Cl,Br):Eu、(Sr,Ca,Ba)4Al14O25:Eu、(Ca,Sr,Ba)8MgSi4O16(F,Cl,Br)2:Eu、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn、(x-s)MgO・(s/2)Sc2O3・yMgF2・uCaF2・(1-t)GeO2・(t/2)Mt
2O3:zMn、Ca3Sc2Si3O12:Ce、CaSc2O4:Ce、(La,Y)3Si6N11:Ce、(Ca,Sr,Ba)3Si6O9N4:Eu、(Ca,Sr,Ba)3Si6O12N2:Eu、(Ba,Sr,Ca)Si2O2N2:Eu、(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu、(Ca,Sr,Ba)S:Eu、(Ba,Sr,Ca)Ga2S4:Eu、等を用いることができる。さらに、量子ドットなども用いることができる。
【0027】
<発光装置を発光させる工程>
次に、第1光源11及び第2光源12の両方を発光させて、混合光(第3光)を発光させる。第1光源11及び第2光源12には、例えば、同じ電流を印加することができる。あるいは、第1光源11に印加する電流と、第2光源12に印加する電流とを、異ならせることができる。
【0028】
第1光源11及び第2光源12の両方を発光させて得られる混合光(第3光)は、あらかじめ設定された電流値の電流を印加することにより発光される光である。あらかじめ設定される電流値は、例えば、任意に選択される目標の色温度に対して設定される目標色度となるように定められる。
【0029】
第1光源11と第2光源12の両方を同時に発光させるとは、発光開始時期を同じにする場合と、発光開始時期をずらす場合とを含む。発光開始時期をずらす場合とは、例えば、第1光源11に含まれる第1波長変換部材112に含まれる波長変換物質の応答速度が遅い場合、先に第1光源11を発光させた後に、第1光源11を発光させた状態で第2光源12を発光させて混合光(第3光)を得てもよい。これにより、応答速度が遅い波長変換物質を含む場合においても、安定して精度よく選別することができる。このような応答速度の遅い波長変換物質としては、例えば、K2(Si,Ti,Ge)F6:Mnを挙げることができる。
【0030】
また、例えば、第1光源11に含まれる第1波長変換部材112に含まれる波長変換物質が、温度が高くなった場合に発光効率が低下するなどの影響が受けやすい物性である場合は、先に第2光源12を発光させた後に、第2光源12を発光させた状態で第1光源11を発光させて混合光(第3光)を得てもよい。これにより、安定して精度よく選別することができる。このような温度変化による影響を受けやすい波長変換物質としては、(Sr,Ca)AlSiN3:Euを挙げることができる。
【0031】
このように、発光開始時期をずらすこと、つまり通電のタイミングをずらすことで、安定して精度よく選別することができる。発光開始時期のずれは、例えば1msec~10msecとすることができる。
【0032】
<光の色度を判定し、選別する工程>
あらかじめ設定された電流値の電流を印加されて得られる混合光(第3光)の色度を判定し、判定結果に基づいて発光装置10を選別する。色度の判定は、例えば、照明としての色度としては、JIS、ANSI等で定められた色度範囲の規格があり、照明装置から得られる白色系の光がこの範囲内であることが好ましい。
【0033】
色度の選別は、色度上の所定の色温度に対して設定された色度範囲で選別することが好ましい。例えば、色度図上の所定の色温度に対して四角形に設定された色度楕円で選別することができる。好ましくは、色度図上の所定の色温度に対して設定されたマクアダム楕円で選別する工程を備えることが好ましい。
【0034】
色度の選別は、色度図上の所定の色温度に対して設定されたマクアダム楕円の7step以内となるように選別することが好ましい。より好ましくはマクアダム楕円の5step以内となるように選別し、さらに好ましくはマクアダム楕円の3step以内となるように選別する。用途等によっては、マクアダム楕円の2.5step以内、又は2step以内となるように選別することが特に好ましい。
【0035】
図2は、CIE1931(x,y)色度図上におけるANSIの色度範囲と7stepのマクアダム楕円を示す図である。
図3A及び
図3Bは、CIE1931(x,y)色度図上におけるマクアダム楕円7stepとほぼ一致する色度範囲を示す楕円E3と、
図2中の色温度4000Kにおける楕円を例示している。
図3A及び
図3Bでは、マクアダム楕円7stepの内側にさらに2つの楕円として
図3AではE2及びE1、
図3BではE2a、E1aを図示している。混合光の選別は、このようなマクアダム楕円の範囲内に含まれるように選別することができる。
【0036】
さらに、マクアダム楕円の中心を通る線で分割された分割領域で選別することもできる。分割数は、例えば、2分割、3分割、4分割、6分割等とすることができる。
図3A及び
図3Bでは、を、マクアダム楕円の中心を通る3本の直線で6つの領域に分割された分割領域を備える例を示している。
【0037】
図3Aでは、マクアダム楕円3stepに近似する楕円E1に外接し、マクアダム楕円5stepに近似する楕円E2に内接する三角形の3つの頂点(a、b、c)と、各頂点と楕円の中心とを結ぶ直線が楕円E2と交わる点(d、e、f)を規定する。そして、3つの直線ad、be、cf及びそれらから延長された直線によって6分割することができる。
【0038】
さらに、6分割する場合は、上述の3つの直線ad、be、cfと2点で交わる大きさの楕円を設定することもできる。例えば、
図3Bに示すように、上述の例においてマクアダム楕円3stepとほぼ一致する楕円E1aを規定する場合は、直線ad、be、cfはそれぞれ楕円E1aと2点で交わる。
【0039】
マクアダム楕円を上述のように6分割する場合は、例えば、線対称位置にあるランクの発光装置を組み合わせて灯具等の照明装置とすることで、照明装置のバラツキをより低減することができる。
【0040】
このように第1光源11と第2光源12の両方を発光させて得られる混合光(第3光)を選別することで、歩留まりを向上させることができる。
【0041】
さらに、第3光の選別に加え、第1光の選別工程、又は、第2光の選別工程を行ってもよい。
【0042】
例えば、第1光源11のみを発光させて第1光を発光させる第1光発光工程を備えることができる。上述のように、第1光の色温度は、2200K~3000Kであり、色度図上において混合光(第3光)の色温度よりも低い色温度である。そして、この色温度に対して設定されたマクアダム楕円を用いて選別する第1光選別工程を行うことができる。この場合、第1光選別工程では、混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepと同じ大きさのマクアダム楕円のstepを用いて選別することができる。あるいは、第1光選別工程では、混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepよりも大きいマクアダム楕円のstepを用いて選別することができる。例えば、混合光選別工程においてマクアダム楕円の3stepを用いて選別し、第1光選別工程においてマクアダム楕円の3step又は、それよりも大きい5step又は7stepで選別することができる。このように第1光の選別を、混合光の選別と同等又はそれよりも緩和された判定基準とすることで、歩留まりの低下を抑制するとともに、第1光のバラツキが抑制された発光装置とすることができる。
【0043】
同様に、第2光源12のみを発光させて第2光を発光させる第2光発光工程を備えることができる。上述のように、第2光の色温度は、4000K~6500Kであり、色度図上において混合光(第3光)の色温度よりも高い色温度である。そして、この色温度に対して設定されたマクアダム楕円を用いて選別する第2光選別工程を行うことができる。この場合、第2光選別工程では、混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepと同じ大きさのマクアダム楕円のstepを用いて選別することができる。あるいは、第2光選別工程では、混合光選別工程で用いられるマクアダム楕円のstepよりも大きいマクアダム楕円のstepを用いて選別することができる。例えば、混合光選別工程においてマクアダム楕円の3stepを用いて選別し、第2光選別工程においてマクアダム楕円の3stepよりも大きい5step又は7stepで選別することができる。このように第2光の選別を、混合光の選別と同等又はそれよりも緩和された判定基準とすることで、歩留まりの低下を抑制するとともに、第2光のバラツキが抑制された発光装置とすることができる。
【符号の説明】
【0044】
10、10A、10B…発光装置
11…第1光源
111…第1発光素子
112…第1波長変換部材
12、12A、12B…第2光源
121…第2発光素子
122…透光性部材
123…第3波長変換部材
13…第2波長変換部材
14…パッケージ
R…凹部
141…樹脂体
142…導電部材