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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】収納物検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3581 20140101AFI20220118BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G01N21/3581
G01N22/00 S
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020031995
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021135188
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2020-03-05
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「共鳴トンネルダイオードとフォトニック結晶の融合」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000100942
【氏名又は名称】アイレック技建株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】久々津 直哉
(72)【発明者】
【氏名】菊地 真人
(72)【発明者】
【氏名】永妻 忠夫
(72)【発明者】
【氏名】冨士田 誠之
(72)【発明者】
【氏名】ヘッドランド ダニエル ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】匂坂 知貴
(72)【発明者】
【氏名】易 利
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253800(JP,A)
【文献】国際公開第2010/044193(WO,A1)
【文献】特開2015-187716(JP,A)
【文献】特表2003-530589(JP,A)
【文献】特表2002-511952(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104407416(CN,A)
【文献】Daniel Headland,Terahertz multi-beam antenna using photonic crystal waveguide and Luneburg lens,APL Photonics (Web),Vol.3 No.12,2018年,pp.126105-126105-18,https://aip.scitation.org/doi/10.1063/1.5060631,検索日:2021-04-05
【文献】Daniel Headland,Integrated Luneburg and Maxwell Fisheye Lenses for the Terahertz Range,2019 44th International Conference on Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves (IRMMW-THz) (Web),2019年10月21日,pp.1-2,https://ieeexplore.ieee.org/abstract/document/8874367,検索日:2021-04-05
【文献】Zhenhai Wu,Compact terahertz wave polarization beam splitter based on self-collimating photonic crystals,Optik,2013年,Vol.124 No.17,pp.2844-2847
【文献】GUO-QIANG MO,Compact terahertz wave polarization beam splitter using photonic crystal,Applied Optics,2016年,Vol.55 No.25,pp.7093-7097
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
G01N 22/00-22/04
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納物と添付物を収納する箱を搬送する搬送機構と、
テラヘルツ波信号を生成し出力する送信部と、前記送信部から出力された前記テラヘルツ波信号を前記箱に出射し、前記箱で反射された前記テラヘルツ波信号の反射波信号を入射する光学系と、前記光学系から入射した前記反射波信号から検出信号を生成する受信部と、誘電性を有する1つの平坦な基板に形成され、前記送信部と前記光学系と前記受信部との間の前記テラヘルツ波信号を平行波に変換して伝搬する伝送デバイスと、を含む検出部と、
前記検出部により検出された前記反射波信号から生成された検出信号から干渉波信号を抽出する信号処理部と、前記干渉波信号の有無により前記箱内に前記収納物と前記添付物が収納されているか否かを判断する判断部と、を含む制御部と、
を備え
前記伝送デバイスは、
前記送信部から伝搬された前記テラヘルツ波信号を複数の第1貫通孔により設定された第1屈折率により、円弧状に拡散して平行に伝送する第1平面レンズ部を含む第1ポートと、
複数の第2の貫通孔の格子状の配列により設定された反射率又は透過率を有し、前記第1平面レンズ部に接する前記配列の第1側面に設けられた第1反射面及び、前記配列の内部で前記第1側面と対向する第2側面に設けられた第2反射面を有し、
前記第1平面レンズ部から入射した前記テラヘルツ波信号を前記第1反射面で反射することで第1反射信号が生成され、前記配列の内部に入射した前記テラヘルツ波信号を前記第2反射面と前記第1反射面との間で多重反射することで多重反射波信号が生成され、
前記第2の貫通孔の前記配列の幅、前記テラヘルツ波信号の波長、前記多重反射波信号の反射角度、及び前記誘電性を有する前記基板の屈折率によって前記多重反射波信号の位相が決定されて、前記第2の貫通孔の前記配列の幅を調整して前記第1反射信号の位相に前記多重反射波信号の位相を合わせることで、前記第1反射信号と前記多重反射波信号とを同じ方向に出射するビームスプリッタ部と、
前記ビームスプリッタ部から反射された前記テラヘルツ波信号を、複数の第3貫通孔により設定された第2屈折率により収束し前記光学系へ伝搬し、且つ前記光学系から入射された前記テラヘルツ波信号の反射波信号を前記第2屈折率により円弧状に拡散して平行に伝送し、前記ビームスプリッタ部へ伝搬する第2平面レンズ部を含む第2ポートと、
前記ビームスプリッタ部を通過した前記平行に伝送される前記テラヘルツ波信号の前記反射波信号を複数の第4貫通孔により設定された第3屈折率により、収束し前記受信部へ伝搬する第3平面レンズ部を含む第3ポートと、
具備する、収納物検査装置。
【請求項2】
前記伝送デバイスにおいて、
前記第1ポートは、前記テラヘルツ波信号を伝搬する第1導波路、
前記第2ポートは、前記テラヘルツ波信号を伝搬する第2導波路、及び、
前記第3ポートは、前記テラヘルツ波信号を伝搬する第3導波路をそれぞれ有し、
前記第1平面レンズ部と前記第1導波路が接合する第1接合部分、前記第2平面レンズ部と前記第2導波路が接合する第2接合部分、及び、前記第3平面レンズ部と前記第3導波路が接合する第3接合部分のそれぞれに、導波路と平面レンズ部の間のインピーダンス整合を行う接合箇所を備え、
前記接合箇所は、それぞれに前記第1導波路乃至前記第3導波路から前記第1平面レンズ部乃至前記第3平面レンズ部に向かい、徐々に大径化する複数の第5貫通孔を有する、請求項1に記載の収納物検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テラヘルツ波帯域の検査信号を用いて、箱内に収納された収納物及び添付物の有無を検出する収納物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、薬剤が充填されたチューブ容器等の収納物が箱に収納される際に、その収納物と共に、使用方法や注意事項が記載された取扱説明書(能書き)等の添付物が同梱されている。このため、出荷前の製品検査において、添付物が同梱されているか否かを検査する必要がある。この箱内の添付物の有無を検出する検査装置として、例えば、特許文献1には、ミリ波帯域又はテラヘルツ波帯域の電磁波を検査信号として、外側から箱に向けて照射し、その反射波を検出して、収納物と能書きの境目で生じる反射波信号のピーク値の有無から箱内の能書きの有無を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-253800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1の能書検査装置においては、テラヘルツ波発生手段(又は、ミリ波発生手段)と、光学手段とで構成される。能書検査装置の光学手段は、複数の凸レンズ、複数のミラー及びビームスプリッタを含む光学素子で、テラヘルツ波信号を箱に出射する出射経路及び、箱からのテラヘルツ波の反射波信号を入射する入射経路の空間光学系を有している。光学手段において、複数の光学素子を組み合わせた場合、テラヘルツ波信号の検査対象物を経由する経路を構築するために、各光学素子に対して微妙な位置調整や角度調整の作業が必要な上に、これらの光学素子を移動可能に支持する支持部材も必要となり、システムが大型化している。また、ミリ波帯域の信号は、その多くが周波数毎に用途が振り分けられているため、検査装置に対して使用する帯域に制限が掛かっている。
【0005】
そこで本発明の実施形態は、テラヘルツ波帯域の検査信号を用いて、箱内の収納物及び添付物から反射された検査信号を取得して収納状態を検出する収納物検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に従う実施形態の収納物検査装置は、収納物と添付物を収納する箱を搬送する搬送機構と、テラヘルツ波信号を生成し出力する送信部と、前記送信部から出力された前記テラヘルツ波信号を前記箱に出射し、前記箱で反射された前記テラヘルツ波信号の反射波信号を入射する光学系と、前記光学系から入射した前記反射波信号から検出信号を生成する受信部と、誘電性を有する1つの平坦な基板に形成され、前記送信部と前記光学系と前記受信部との間の前記テラヘルツ波信号を平行波に変換して伝搬する伝送デバイスと、を含む検出部と、前記検出部により検出された前記反射波信号から生成された検出信号から干渉波信号を抽出する信号処理部と、前記干渉波信号の有無により前記箱内に前記収納物と前記添付物が収納されているか否かを判断する判断部と、を含む制御部と、を備え、前記伝送デバイスは、前記送信部から伝搬された前記テラヘルツ波信号を複数の第1貫通孔により設定された第1屈折率により、円弧状に拡散して平行に伝送する第1平面レンズ部を含む第1ポートと、複数の第2の貫通孔の格子状の配列により設定された反射率又は透過率を有し、前記第1平面レンズ部に接する前記配列の第1側面に設けられた第1反射面及び、前記配列の内部で前記第1側面と対向する第2側面に設けられた第2反射面を有し、前記第1平面レンズ部から入射した前記テラヘルツ波信号を前記第1反射面で反射することで第1反射信号を生成し、前記配列の内部に入射した前記テラヘルツ波信号を前記第2反射面と前記第1反射面との間で多重反射することで多重反射波信号を生成し、前記第2の貫通孔の前記配列の幅、前記テラヘルツ波信号の波長、前記多重反射波信号の反射角度、及び前記誘電性を有する前記基板の屈折率によって前記多重反射波信号の位相が決定され、前記第2の貫通孔の前記配列の幅を調整して、前記第1反射信号の位相に前記多重反射波信号の位相を合わせることで、前記第1反射信号と前記多重反射波信号とを同じ方向に出射するビームスプリッタ部と、前記ビームスプリッタ部から反射された前記テラヘルツ波信号を、複数の第3貫通孔により設定された第2屈折率により収束し前記光学系へ伝搬し、且つ前記光学系から入射された前記テラヘルツ波信号の反射波信号を前記第2屈折率により円弧状に拡散して平行に伝送し、前記ビームスプリッタ部へ伝搬する第2平面レンズ部を含む第2ポートと、前記ビームスプリッタ部を通過した前記平行に伝送される前記テラヘルツ波信号の前記反射波信号を複数の第4貫通孔により設定された第3屈折率により、収束し前記受信部へ伝搬する第3平面レンズ部を含む第3ポートと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、テラヘルツ波帯域の検査信号を用いて、箱内の収納物及び添付物から反射された検査信号を取得して収納状態を検出する収納物検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係るテラヘルツ波帯域の検査信号を用いる収納物検査装置の構成を示す図である。
図2図2は、伝送デバイスを含む検出部の構成例を示す図である。
図3図3は、3ポートの伝送デバイスの概念的な構成を示す図である。
図4図4は、フォトニック結晶導波部を有する第1ポートの構成例を示す図である。
図5図5は、フォトニック結晶導波部と平面レンズ部の接合箇所の構成を示す図である。
図6図6は、第1平面レンズ部の構成を示す図である。
図7図7は、第1平面レンズ部の貫通孔の配置について説明するための概念図である。
図8図8は、貫通孔を通過するテラヘルツ波信号の経路の一例を示す図である。
図9A図9Aは、平行波となるテラヘルツ波信号の経路の概念的に示す図である。
図9B図9Bは、収束するテラヘルツ波信号の経路の概念的に示す図である。
図10図10は、ビームスプリッタ部を形成する貫通孔の配置例を示す図である。
図11図11は、貫通孔の配置関係を説明するための図である。
図12図12は、ビームスプリッタ部におけるテラヘルツ波信号の反射と透過を説明するための図である。
図13図13は、出射されたテラヘルツ波信号の収納物と添付物の反射波信号について説明するための図である。
図14図14は、収納物と添付物からの干渉波を含む反射波信号の波形例を示す図である。
図15図15は、収納物と添付物にテラヘルツ波信号を照射した際に生じる干渉波の態様を模擬的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るテラヘルツ波帯域の検査信号を用いる収納物検査装置の構成を示す図である。以下の説明において、テラヘルツ波信号は、電磁波の領域と光の領域に掛かる周波数帯域にあり、ここでは、周波数100GHz~3THz程度又は、波長30μm~1mm程度の電磁波とするが、明確に定義されているものではない。また、利用対象等によっては、テラヘルツ波の周波数の上限を10THzまでの範囲に設定してもよい。
【0010】
図1に示す収納物検査装置1は、少なくとも検査対象となる外装箱2と、外装箱2を搬送する搬送機構3と、外装箱2内の収納物等の有無を検出する検出部4と、装置全体を制御する制御部5と、表示部6と、検査を実施するための情報を記憶するメモリ7と、を備えている。尚、図示していないが、検査条件の設定や種々入力を行うためのキーボードやタッチパネル等の入力機器を有している。また、制御部5においては、外部との通信を行うインターフェース機能を有しており、外部のネットワーク、例えば、LAN、インターネット等を通じて、外部の機器によるリモート制御や判断結果等の情報の通信を行うことができる。
【0011】
検査対象の外装箱2(以下、箱と称する)は、収納物を収納している外容器であり、収納物が直視できない、紙及び/又は不透明樹脂等により形成されている。例えば、紙製の箱の外装に透明樹脂の箱が重ねられた2重構造であってもよい。また、箱内で収納物を固定するためのトレイを備えていてもよい。尚、箱2の材料は、テラヘルツ波が透過可能な材料により形成されているのであれば、紙又は樹脂等に限定されるものではなく、さらに、箱の形状も限定されない。即ち、検査対象を箱2を例として説明しているが、これに限定されず、内部が見えずテラヘルツ波信号を透過する収納容器に、テラヘルツ波信号を透過しない収納物101が収納された形態であれば、本実施形態の収納物検査装置1を用いて、収納物の有無の検査を行うことができる。
【0012】
本実施形態における添付物102は、テラヘルツ波信号のある程度の透過性を有し、収納物101とは、テラヘルツ波信号に対する反射率又は吸収率が異なっている。他にも、箱2内に、反射率又は吸収率の異なる複数の収納物が並んで収納されていた場合であっても同様に、収納物検査装置1を用いて、収納物の有無の検査を行うことができる。
【0013】
本実施形態における検査対象となる箱2内には、例えば、薬剤が充填された容器である収納物101と、使用方法や注意事項が記載された取扱説明書(能書き)等の添付物102とが同梱されている。収納物101が薬剤である場合には、取扱説明書の添付は必須であるため、同梱作業後に、箱内に収納物と添付物の有無を確認する検査を行っている。箱2を未開封で同梱検査を行う場合、収納物101の有無の判断は、収納後に箱2の重量を計測することで可能である。しかし、添付物102が取扱説明書であった場合には、添付物102自体が軽量であるため、箱2の重量測定では、適正な有無の判断を行うことが難しい。
【0014】
本実施形態の収納物検査装置1は、テラヘルツ波帯域の検査信号を用いて、箱2内の収納物101と添付物102の有無を検査する。尚、添付物102においては、紙製の取扱説明書に限定されるものではなく、後述する反射波信号に干渉波信号を重畳させる添付物であれば、同梱されているか否かを検出することが可能である。例えば、添付物102は、取扱説明書以外のものとして、使用時に用いるカップやスプーンの付属品等の添付物であってもよい。
【0015】
次に、搬送機構3は、搬送手段となる無限軌道のベルトコンベヤ8と、ベルトコンベヤ8を回転駆動するモータ9と、モータ9を駆動制御するための駆動制御部10とで構成される。駆動制御部10は、制御部5の制御信号に従って、モータ9を駆動する。ベルトコンベヤ8は、図示しないコンベヤベースの両端に設けられる一対のプーリ3a,3bに掛け渡され、モータ9によりプーリ3bが駆動され、ベルトコンベヤ8が回転される。この時、ベルトコンベヤ8上には間隔を空けて複数の箱2が並んで載置され、箱2は、検出部4の前方を一定の速度で搬送される。また、ベルトコンベヤ8は、テラヘルツ波信号を透過させる材料又は、テラヘルツ波信号を吸収する材料により形成されることが好ましい。勿論、搬送手段は、ベルトコンベヤに限定されるものではなく、例えば、箱2が載置可能なサイズの矩形プレートをチェーン状に連結した構成であってもよい。
【0016】
また、ベルトコンベヤ8における検出部4の上流側には、図示しない同梱装置が配置されて、箱2に収納物101及び添付物102が同時に同梱される。ここで、同梱装置におけるチューブ容器からなる収納物101及び、取扱説明書からなる添付物102の同梱について説明する。例えば、一方の蓋が開けられて、開口する状態の箱2に対して、開口幅以下で縦長に折り畳まれた添付物102の中央が、その開口に宛がわれる。収納物101の先端が添付物102の中央を押して折り曲げながら、収納物101と共に添付物102が開口から箱2内に押し込まれるように侵入して収納される。この収納により、添付物102は、収納物101の先端から収納物101を挟み込むように折り曲げられた状態で収納されている。
【0017】
表示部6は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置を用いている。また、表示画面上に入力部となるタッチパッドを設けたタッチパネルを使用してもよい。表示部6は、制御部5から送信された装置内各部の駆動状況、検査に関する設定情報、収納物情報及び、添付物102の有無の判断結果を選択的に表示する。収納物情報は、製品名、箱に収納される部材名、製造番号又はロット番号を含む情報である。検査に関する設定情報は、現在設定されている、後述する判断基準の情報、検査項目等の情報である。
【0018】
メモリ7は、制御部5が装置各部を駆動制御するためのプログラムや情報を記憶している。メモリ7は、十分な記憶容量を確保するために、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等により構成される。また、メモリ7は、後述する判断部43が箱2内の添付物102の有無を判断するための判断基準のデータ及び判断結果を記憶する。この判断基準のデータは、正常な箱2のサンプル、即ち、収納物101及び添付物102が正しく同梱されている箱2に対して、検査信号であるテラヘルツ波信号を出射し、そのテラヘルツ波信号の反射波信号を判断基準(第1判断基準)として、検査開始前に予め取得したデータである。
【0019】
判断基準のデータは、収納された添付物102が箱2内で位置ずれを生じている場合も想定されるため、複数の箱2のサンプルから取得することが好ましい。また同様に、添付物102が収納されていない欠陥がある箱2に対しても、テラヘルツ波信号を出射し、そのテラヘルツ波信号の反射波信号を不良判断基準(第2判断基準)として、検査開始前に予め取得してもよい。この場合、最初に第1判断基準を用いて判断処理を行った後、その判断結果の状況に応じて、例えば、誤判断の可能性が生じていた際には、第2判断基準を用いて、2回目の判断を行ってもよい。
【0020】
制御部5は、少なくとも演算処理部41、信号処理部42及び判断部43を備える。これらの演算処理部41及び判断部43は、例えば、CPUまたはASCI等の電子回路、またはハードウエアを含むプロセッサが用いられている。信号処理部42は、図示しない信号増幅部、ノイズ処理部、フィルタ部(ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ及びバンドパスフィルタ等)、A/D変換部等を備えており、必要に応じて、検出した反射波信号に処理を施している。これらの処理は、回路素子でハードウェア的に処理してもよいし、反射波信号のデジタル化処理を含みプログラムソフトウェアによる処理であってもよい。演算処理部41及び判断部43における各々の処理は、メモリ7に記憶されたプログラムに従って実行される。演算処理部41は、検出部4に対して、検査信号であるテラヘルツ波信号を箱2に向けて出射及び、そのテラヘルツ波信号の反射波信号を取得する動作を行う制御信号を与える。判断部43は、前述した予め設定された判断基準のデータと、検出したテラヘルツ波信号の反射波信号を比較し、信号パターンが略一致又は、予め設定した閾値内であれば、箱2内に添付物102が収納されていると判断する。また、制御部5及びメモリ7は、パーソナルコンピュータにより代用することも可能である。
【0021】
次に、図2乃至図11を参照して、検出部4について説明する。
ここで、図2は、テラヘルツ波の信号を伝送する伝送デバイスを含む検出部の構成例を示す図である。
図2に示すように、検出部4は、半導体基板に集積されたテラヘルツ波信号を伝送する伝送デバイス27を含む構成である。検出部4は、テラヘルツ波信号を発信・受信及び伝送するテラヘルツ波検出部21と、箱2にテラヘルツ波信号を出射し、そのテラヘルツ波信号の反射波信号を入射する光学系22と、で構成される。
【0022】
光学系22は、テラヘルツ波検出部21から伝搬されたテラヘルツ波信号を箱2に向けて出射する出射部23と、そのテラヘルツ波信号の反射波信号を入射してテラヘルツ波検出部21へ伝搬する入射部24とを有している。出射部23及び入射部24は、複数の対物レンズやミラー等の光学素子が組み合わされて構成される。それぞれの出射部23及び入射部24は、最小ユニットとして、テラヘルツ波信号を検査対象に合焦する対物レンズと、出射方向を設定するミラーの1組で構成することも可能である。また、検出部4は、テラヘルツ波検出部21と光学系22とを、1つのベース基板上に実装して一体的に構成することも容易に実現できる。
【0023】
また出射部23は、箱2等の検査対象のサイズや検査位置に応じて、出射するテラヘルツ波信号を揺動するガルバノミラー又は回転するポリゴンミラーにより掃引させて、スキャン信号に変更するスキャン部(図示せず)を搭載してもよい。但し、スキャン部は、検出部4の使用目的や装置仕様に応じて備えられる構成部位であり、必須ではない。
【0024】
尚、本実施形態の光学系22は、テラヘルツ波信号を照射する出射部23と、箱2からの反射波信号を入射する入射部24をそれぞ個別に設けた構造である。しかし、これに限定されるものではなく、対物レンズ又はアンテナ等の1つの部材で出射及び入射を行う構造であってもよい。
【0025】
次に、テラヘルツ波検出部21について説明する。
図2に示すように、テラヘルツ波検出部21は、テラヘルツ波信号を発信出力する送信器25と、ビームスプリッタ部35を含む導波部34を有し、テラヘルツ波信号、及びテラヘルツ波信号の反射波信号の伝送路を構成する伝送デバイス27と、入射部24から伝搬されたテラヘルツ波信号の反射波信号を入力し、その反射波信号に基づく検出信号を生成する受信器26と、を備えている。送信器25と受信器26は、制御部5により駆動制御される。
【0026】
送信器25は、テラヘルツ波信号を発信する、例えば、負性抵抗素子に共振器を集積した発振器を含み、一構成例として、共鳴トンネルダイオード(Resonant tunneling Diode : RTD)である負性抵抗素子と、スロットアンテナである共振器との組み合わせで構成される。または、送信器25は、RTDとマイクロストリップ共振器とを含む構成であってもよい。RTD等の回路素子は、半導体基板上に形成することができる。
【0027】
受信器26は、常温の環境下で利用可能な直接検出方式におけるダイオード(ショットキーバリヤダイオード等)又は、ボロメータ又は、ヘテロダイン検波器等の周知な構成を用いることができる。その他の受信器として、極低温環境下で利用可能な量子型検出器等がある。
【0028】
伝送デバイス27は、例えば、シリコン:Si、リン化インジウム:InP、ヒ化ガリウム:GaAs又は、窒化ガリウム:GaN等の半導体基板を用いて形成される。本実施形態においては、半導体基板は、導体ではなく誘電体の形態で用いられる。尚、上述の材料に限定されるものではなく、電気的特性が本実施形態で用いた誘電体の特性と同等の特性を有するものであれば、他の材料により形成される基板を用いることも可能である。以下、本実施形態の伝送デバイス27は、基板にシリコン半導体を用いた例で説明する。
【0029】
伝送デバイス27は、1つのシリコン半導体基板から一体的に形成される、導波部(平面シリコンスラブ)34と、ビームスプリッタ部35と、信号供給ポート[第1ポート]31と、信号送受ポート[第2ポート]32と、反射波信号受信ポート[第3ポート]33とを有する3ポートタイプ伝送デバイスである。ビームスプリッタ部35は、後述するように、導波部34内に形成される。
【0030】
また、図2に示す導波部34においては、第1ポート31と対向する辺のポートが設けられていない箇所には、ドーピング処理を施して、ビームスプリッタ部35を透過したテラヘルツ波信号の吸収体の機能を形成する。この吸収体の機能により、ビームスプリッタ部35を透過し導波部34の端部で反射してビームスプリッタ部35へ戻るテラヘルツ波信号の反射波信号を消滅させる。また、第1ポート31と対向する導波部34の箇所を開放しておくことで、反射波信号を抑制することも可能である。
または、伝送デバイス27は、前述した導波部34における第1ポート31と対向する辺に新たな第4ポートを設けて、出力されるテラヘルツ波信号を他のシステム又は機能に利用することが可能である。伝送デバイス27は、第4ポートを、例えば、伝搬されるテラヘルツ波信号をモニタするシステムに利用する、さらには、ビームスプリッタ部35へ戻るテラヘルツ波信号の干渉信号を意図的に生成する機能にも利用することができる。
【0031】
以下の説明において、スラブは、平行平板状の半導体又は半導体薄膜を示す。また、スラブモードは、スラブをコアとし、上下の空気をクラッドとして、テラヘルツ波信号をコアに閉じ込めた状態で伝搬する電磁界の状態(モード)を示す。尚、本実施形態におけるスラブモードは、スラブ内においては、閉じ込め機構がないため、図9Aに示すように、第1ポート31である平面シリコンスラブの面内を空間伝搬のように半円状に広がった後、導波部34のスラブ内を平面波的に伝搬するモードを意味する。
【0032】
導波部34の平面シリコンスラブは、使用するテラヘルツ波信号の周波数(波長)により設定し、本実施形態において、例えば、330GHz(0.33THz)の周波数であれば、厚さ200μmのシリコン半導体基板が用いられている。本実施形態における導波部34は、矩形の外形形状であり、平行に対向する両主面で矩形の断面形状を有する。
【0033】
導波部34は、後述するように第1平面レンズ部54及び、第2平面レンズ部64により、それぞれ平行波(コリメーション)に偏向されたテラヘルツ波信号をシリコン基板内に閉じ込めた状態で伝送する。本実施形態においては、導波部34のシリコン基板内を閉じ込めた状態で伝送するテラヘルツ波信号をスラブモードビームと称する。
【0034】
図3は、フォトニック結晶導波部を用いた3つのポートが設けられる伝送デバイス27の概念的な構成を示す図である。
第1乃至第3ポート31,32,33は、ビームスプリッタ部35によるテラヘルツ波信号の透過と反射を利用する伝送路の経路の設定に応じて、矩形の導波部34の各辺に配置される。本実施形態におけるテラヘルツ波信号の伝送経路は、送信器25から第1ポート31に入射したテラヘルツ波信号204(出射信号201)をビームスプリッタ部35で反射して、第2ポート32に伝搬する出射経路と、検査対象で反射して第2ポートに入射したテラヘルツ波信号の検出信号205(反射波信号202)をビームスプリッタ部35で透過して第3ポート33に伝搬する入射経路と、に設定されている。即ち、テラヘルツ波信号の経路は、ビームスプリッタ部35によるテラヘルツ波信号の透過と反射の利用の仕方で適宜、変更可能である。
【0035】
図3及び図4を参照して、第3ポート31,32,33にフォトニック結晶導波部を用いた例について説明する。図4は、フォトニック結晶導波部を有する第1ポートの構成例を示す図である。
第1乃至第3ポート31,32,33は、矩形状の導波部34の各辺に、導波部34と一体的に形成される。尚、残りの第4ポートに相当する辺には、前述したテラヘルツ波信号の吸収体が設けられており、後述するビームスプリッタ部35から漏れ出たテラヘルツ波信号を吸収し、反射波信号の発生を防止する。これらの第1乃至第3ポート31,32,33は、共に、平面レンズ部54,64,74と、フォトニック結晶導波部53,63,73と、を含む構成である。フォトニック結晶導波部53,63,73には、中央を通過するようにフォトニック結晶導波路52,62,72が設けられている。これらのフォトニック結晶導波路52,62,72には、それぞれに第1、第2、第3金属導波管51,61,71が差し込まれて結合されている。この結合は、接着剤や溶着材等を用いて固定してもよい。
【0036】
詳細には、第1ポート[信号供給ポート]31は、第1平面レンズ部54と、第1フォトニック結晶導波部53とを有し、送信器25から第1金属導波管51を通じて送信されたテラヘルツ波信号を導波部34に供給(入力)する。
【0037】
第2ポート[信号送受ポート]32は、第2平面レンズ部64と、第2フォトニック結晶導波部63とを有する。第2ポート32は、導波部34を伝搬されたテラヘルツ波信号を、第2金属導波管61を通じて光学系22へ出力し、且つ光学系22から入射された図2示す箱2からのテラヘルツ波信号の反射波信号(検出信号)を入力し、導波部34へ伝搬する。
第3ポート[反射波信号受信ポート]33は、第3平面レンズ部74と、第3フォトニック結晶導波部73とを有し、導波部34を伝搬した反射波信号を第3金属導波管71を通じて、受信器26に出力する。
【0038】
まず、第1乃至第3金属導波管51,61,71について説明する。
これらの第1金属導波管51と第2金属導波管61と第3金属導波管71は、中空で断面が矩形形状の同等な導波管である。導波管の断面形状は矩形に限定されるものではなく、楕円等の円形であってもよい。各導波管において、第1金属導波管51は、一端を送信器25と接続し、他端を後述する第1フォトニック結晶導波路52と結合して、送信器25から送信されたテラヘルツ波信号を第1フォトニック結晶導波路52に供給する。
第2金属導波管61は、一端を光学系22と接続し、他端を後述する第2フォトニック結晶導波路62と結合する。第2金属導波管61は、第2フォトニック結晶導波路62から伝搬されたテラヘルツ波信号を光学系22に伝搬し、光学系22から戻った箱2(図1)で反射したテラヘルツ波信号の反射波信号を第2フォトニック結晶導波路62へ伝搬する。
【0039】
第3金属導波管71は、一端を受信器26と接続し、他端を後述する第3フォトニック結晶導波路72と結合して、第3フォトニック結晶導波路72から導波部34を経て伝搬されたテラヘルツ波信号の反射波信号を受信器26に出力する。
これらの第1乃至第3金属導波管51,61,71は、例えば、アルミニウムや銅等の金属材料を用いて、断面が矩形の中空に形成される方形導波管である。これらの金属導波管は、第1乃至第3フォトニック結晶導波路52,62,72の終端から断面が矩形のテーパー状に張り出すように設けられる尖端導波路(テーパースパイク)にそれぞれ嵌合して結合される。
【0040】
次に、図4及び図5を参照して、第1乃至第3フォトニック結晶導波部53,63,73について説明する。図5は、フォトニック結晶導波部と平面レンズ部の接合箇所の構成を示す図である。第1乃至第3フォトニック結晶導波部53,63,73は、中央に導波部34に直線的に向かう中実な第1乃至第3フォトニック結晶導波路52,62,72が配置される2次フォトニック結晶スラブを用いたテラヘルツ波信号の入出力インターフェースである。尚、第1乃至第3フォトニック結晶導波部53,63,73は、共に同等な構成であり、以下では、代表的に第1フォトニック結晶導波部53を例として説明する。
【0041】
第1フォトニック結晶導波部53は、例えば、厚さ200μmのシリコン半導体基板に、第1平面レンズ部54に直線的に繋がる幅L1の第1フォトニック結晶導波路52を配置し、第1フォトニック結晶導波路52の両側に、半導体製造技術として用いられているフォトリソグラフィー技術及び、異方向性エッチング技術(例えば、プラズマエッチング)等を用いて、多数の貫通孔(スルーホール)56がアレイ状に形成される。これらの貫通孔56は、列毎に1/2ピッチずれて、近接する貫通孔56どうしが正三角形の位置関係を構成する千鳥配置を形成するように開口されている。
【0042】
内部が中実な第1フォトニック結晶導波路52の両側面に貫通孔56が形成される構造は、貫通孔56によるフォトニックバンドギャップ効果により、第1フォトニック結晶導波路52にテラヘルツ波信号が留まる。また、第1フォトニック結晶導波路52の上下面は、大気に晒されていた場合に、シリコンと空気との屈折率の差で全反射が生じ、同様に、第1フォトニック結晶導波路52にテラヘルツ波信号が留まる。よって、テラヘルツ波信号は、第1フォトニック結晶導波路52に留まった状態で伝搬されるため、第1フォトニック結晶導波路52が伝送路として機能する。
【0043】
第1フォトニック結晶導波路52と第1平面レンズ部54との接合箇所においては、第1フォトニック結晶導波路52側に、第1フォトニック結晶導波路52から第1平面レンズ部54に向かい徐々に径が大きくなるように大径化する複数の貫通孔52aを形成する。これらの貫通孔52aは、第1フォトニック結晶導波路52と第1平面レンズ部54とのインピーダンス整合を取り、電磁波であるテラヘルツ波信号の反射波が発生することを防止する。この接合箇所を設けることで、帯域幅を1オクターブよりも広くすることができる。接合箇所に形成される貫通孔52aは、後述する第1平面レンズ部54に形成される貫通孔57よりも小径である。
【0044】
また、図5に示すように、第1フォトニック結晶導波路52に接する貫通孔56aは、半円筒形状の中心軸に掛かる錐面(切断面)側が接するように形成されている。この第1フォトニック結晶導波部53の第1フォトニック結晶導波路52及び貫通孔56は、後述する第1平面レンズ部54の貫通孔57と同時に形成される。
【0045】
この第1フォトニック結晶導波路52は、テラヘルツ波信号をほぼ半波長の周期で反射する反射鏡として形成されて、導波路として機能する。このため、第1フォトニック結晶導波路52は、伝搬するテラヘルツ波信号の周波数(波長)によって、断面の大きさ(主として、導波路の幅)が設定される。本実施形態においては、例えばテラヘルツ波信号の周波数が0.33THz(330GHz)である場合には、導波路の幅L1は、459.7μm、貫通孔56の半径rは、137.8μm、及びピッチ(隣接する貫通孔の中心どうし間の距離)Pは、336μmの正三角形の等辺格子に配置される。勿論、これらの数値は、一例であり、限定されるものではない。
【0046】
次に、図3図4図6乃至図9A,9Bを参照して、第1乃至第3平面レンズ部54,64,74について説明する。図6は、第1平面レンズ部に形成されるレンズ機能を有する複数の貫通孔を示す図である。図7は、第1平面レンズ部の貫通孔の配置について説明するための概念図である。図8は貫通孔を通過するテラヘルツ波信号の経路の一例を示す図である。図9Aは、第1ポートにおけるテラヘルツ波信号が通過して平行波となるテラヘルツ波信号の経路の概念的に示す図、図9Bは、第2ポートにおけるテラヘルツ波信号が通過して収束するテラヘルツ波信号の経路の概念的に示す図である。
【0047】
これらの第1平面レンズ部54と、第2平面レンズ部64と、第3平面レンズ部74とは、同等の平面レンズであり、例えば、テラヘルツ波信号を発散して平行波の生成(コリメーションcollimation)と、テラヘルツ波信号の収束(focusing)との両方が可能な半円凸型テラヘルツレンズである。これらの第1平面レンズ部54と、第2平面レンズ部64と、第3平面レンズ部74は、それぞれの第1屈折率、第2屈折率及び第3屈折率が同一の屈折率でもよいし、それぞれに異なる屈折率に設定することも可能である。本実施形態では、第1平面レンズ部54乃至第3平面レンズ部74は、同等な構成で同じ性能であるものとし、代表的に第1平面レンズ部54を例にとって説明する。
【0048】
第1平面レンズ部54は、前述した半導体製造技術を用いて、第1フォトニック結晶導波部53と同時に形成される。第1平面レンズ部54は、矩形の第1フォトニック結晶導波部53の1辺に接し、図6及び図7に示す複数の貫通孔(スルーホール)57が複数列のアレイ状に形成される。これらの貫通孔57は、列毎に1/2ピッチずれて、図7に示すように、隣接する貫通孔57が同一の距離Pa1を離間した正三角形の位置関係を構成する千鳥配置を形成している。各貫通孔内は、気体、例えば、大気下では空気が充満している。
【0049】
第1平面レンズ部54は、マックスウェル魚眼レンズ(Maxwell fisheye lens)から派生し、テラヘルツ波の電磁波の範疇で例えば、グリンレンズ(Gradient Index lens)と同様に、工学的に屈折率を調整することが可能なレンズである。即ち、第1平面レンズ部54は、周期的な貫通孔マトリックスのパターンの形で、工学的に屈折率を調整することができ、平面レンズに容易に適用できる。ここで、第1平面レンズ部54に適用されているマックスウェル魚眼レンズは、屈折率を調整することにより、図8に示す光束の軌跡のように、点光源(入力点)P1を直径方向に対向する焦点(出力点)P2にマッピングし、レンズ内を光束が放射状に拡散・収束するように通過する光学部品であり、点光源及び焦点のどちらも同じ円周上に存在する。複数の点光源が異なる位置から入力した場合には、中心を通過した対向する円周上の位置にそれぞれ焦点が生じる。
【0050】
屈折率分布を(1)式に従うように設計すると、光束は、図8に示す軌跡を描く。つまり、レンズ内を通過する光束は、レンズ中心を垂直に通る図7に示す点線mで点光源P1の入射方向と平行な平行波になる。
【0051】
従って、円形のマックスウェル魚眼レンズを、入射方向に対する垂線で半円に切ることで、図8及び図9Aに示すように1つの点光源を平行光に変換することができる。また、図8及び図9Bに示すように、マックスウェル魚眼レンズの半円の平面側から平行光を入射すると、収束して平行光を1つの点光源に変換(合焦)することができる。また、シリコン半導体基板に貫通孔の無い状態を最大の屈折率として、貫通孔の径(大きさ)を変更することで、(1)式で示すような屈折率を1からnmaxまでの任意の屈折率(有効屈折率媒質)n(r)を得ることができる。但し、このような屈折率を得るためには、孔の大きさを波長の1/4以下に設定する。本実施形態では、半円のマックスウェル魚眼レンズ(又は、ハーフマックスウェル魚眼レンズと称する)を電磁波のテラヘルツ波信号に用いる。
【0052】
【数1】
【0053】
ここで、レンズ内部の最大の屈折率:nmax、レンズの最大半径:rmax、レンズ内部の半径位r、周囲に隣接する貫通孔どうしの中心間距離:a及び、貫通孔の径:D1とする。従って、第1に、屈折率は、本質的に自由なパラメータであり、設計に合わせて選択的に設定することができる。また、第2に、屈曲率の最大値は、レンズの中心を通る直径位置(r=0)で発生する。第3に、n(rmax)=nmax/2であるため、特定のマックスウェル魚眼レンズを実現するために使用される有効媒質の屈折率は、2:1の比率で連続的に変化する。
【0054】
以上のことから、第1平面レンズ部54は、グリンレンズと同様に、最大屈折率が任意に設定可能なパラメータであり、装置の設計に応じて、選択的に設定することができる。即ち、貫通孔の大きさと周期的な格子の形態、即ち、本実施形態のような千鳥配置のパターン化された配置により、屈折率が工学的に調整可能である。第1平面レンズ部54の幅(第1フォトニック結晶導波部53と導波部34の間の距離)は、形成するレンズの直径に準じる長さに設定される。
【0055】
次に、図3図8図9A及び図9Bを参照して、フォトニック結晶導波部を用いた第1ポート31における入力されたテラヘルツ波信号の放射による平行波の生成(コリメート)について説明する。
図3に示す送信器25から発信されたテラヘルツ波信号は、金属導波管51内を伝搬して、第1フォトニック結晶導波路52に伝達される。第1フォトニック結晶導波路52は、焦点の近くで3次元ビームのテラヘルツ波信号を局在化するため、狭い第1フォトニック結晶導波路52のフィールドに閉じ込めた状態でテラヘルツ波信号を伝搬し、第1平面レンズ部54に入射させる。
【0056】
第1平面レンズ部54は、前述した貫通孔57の大きさや配置パターンによって設定された屈折率(有効屈折率)に従い、図9Aに示すように、第1フォトニック結晶導波路52から幅L1の平行波で入射されたテラヘルツ波信号を屈折させて円弧Kに沿って放射状に拡散するように通過させて、幅L2(L2>L1)の平行波として、第1フォトニック結晶導波路52から導波部34へ伝搬する。導波部34は、平行波の状態でテラヘルツ波信号を伝搬する。
【0057】
また、導波部34を伝搬した平行波のテラヘルツ波信号を第2平面レンズ部64に入射する。第2平面レンズ部64は、入射した平行波のテラヘルツ波信号を屈折させて円弧Kに沿って一点に収束し、第2フォトニック結晶導波部63の第2フォトニック結晶導波路62に入力させる。第2フォトニック結晶導波路62は、入力したテラヘルツ波信号を接合する金属導波管61を伝搬させて、光学系22へ出力する。
【0058】
次に、図3図10乃至図12を参照して、導波部34内に形成されるビームスプリッタ部35について説明する。図10は、ビームスプリッタ部35を形成する貫通孔の配置例を示す図である。図11は、貫通孔の配置関係を説明するための図である。図12は、ビームスプリッタ部におけるテラヘルツ波信号の反射と透過について説明するための図である。
【0059】
ビームスプリッタ部35は、導波部34内に多数の貫通孔36を格子配置に配列し、任意の幅L3で形成される。これらの貫通孔36は、前述した半導体製造技術を用いて、各ポートの第1乃至第3平面レンズ部54,64,74及び第1乃至第3フォトニック結晶導波部53,63,73の各貫通孔と同時に形成される。
【0060】
ビームスプリッタ部35は、図10及び図11に示すように、隣接する貫通孔36が縦横方向において、同じ距離Pa2のピッチを離間した格子配置(マトリックス配置)によるストライプ状に形成する。貫通孔36の存在により、導波部34における抵抗値(誘電率)に変化が生じ、伝搬されるテラヘルツ波信号の反射及び透過が発生する。また、各貫通孔36内は、気体、例えば、大気下では空気が充満している。図10で示すマトリックス配置におけるビームスプリッタ部35の貫通孔36による空気の含有率は、テラヘルツ波信号の反射及び透過に影響を与える。この空気の含有率とは、多数の貫通孔がマトリックス配置された際のシリコン半導体基板に対する空気(空間)が占める割合を示すものであり、貫通孔36の径D2とピッチPa2の距離により次式(2)で求めることができる。
【0061】
【数2】
【0062】
前述したように、多数の貫通孔36は、貫通孔36のサイズの選択、配列形態(ピッチ及び行数)及び、幅Lにより有効屈折率が変更でき、特定の帯域幅のテラヘルツ波信号に対して、貫通孔36によるストライプの2つの側面35a,35bを利用したDBR(Distributed Bragg Reflector)反射帯域をハーフミラーとして作用させて、反射及び透過による送信及び受信を行うことができる。本実施形態では、多数の貫通孔36をハーフミラーの機能を行うビームスプリッタ部35として用いる。
【0063】
前述した図3に示すように、ビームスプリッタ部35は、テラヘルツ波信号の伝送経路である出射経路(出射信号204)と入射経路(検出信号205)が形成されるように、第1乃至第3ポート31,32,33に対して傾きを持つように導波部34内に配置される。具体的には、ビームスプリッタ部35は、送信器25から第1ポート31に入射したテラヘルツ波信号(出射信号204)を反射して第2ポート32に伝搬する。且つ、ビームスプリッタ部35は、箱2で反射して第2ポート32に入射したテラヘルツ波信号の反射波信号(検出信号205)を透過して第3ポート33に伝搬する。尚、図10に示すビームスプリッタ部35の幅L3に沿って形成される貫通孔36の数は、一例であって限定されているものではない。
【0064】
次に、ビームスプリッタ部35におけるテラヘルツ波信号の反射及び透過について説明する。
ビームスプリッタ部35は、ストライプの2つの側面を反射面として利用しているため、ビームスプリッタ部の幅(厚み)を設定する上で、ファブリーペロー干渉の影響を考慮する必要がある。
【0065】
ビームスプリッタ部35は、図10及び図12に示すように、ビームスプリッタ部35の表面に相当する第1反射面(又は、第1側面)35aと、ビームスプリッタ部35の内部底面に相当する第2反射面(又は、第2側面)35bの2つの反射面を有している。ビームスプリッタ部35に入射したテラヘルツ波信号は、第1反射面35aで反射する。しかし、対向する2つの反射面35a,35bを有しているため、入射した一部のテラヘルツ波信号(204d,204e)は、ビームスプリッタ部35の内部に透過してビームスプリッタ部35内に閉じ込められ、第1反射面35aと反射面35bとの間で多重内部反射を行うファブリーペロー干渉が生じる。
【0066】
即ち、ビームスプリッタ部35に入射したテラヘルツ波信号の反射波信号において、損失が発生する。この透過は、テラヘルツ波信号の波長に依存している。この透過における波長依存性は、2つの反射面35a,35bの間で多重に反射された光同士の干渉により生じる。これらのテラヘルツ波信号の位相が合えば、透過光に強め合う干渉が起こり、透過率のピークが生じる。反対にテラヘルツ波信号の位相が逆位相となれば、弱め合う干渉が起こり透過率の谷が生じる。多重反射波信号の位相が合うか否かはテラヘルツ波信号の波長(λ)、ビームスプリッタ部35内を通過するテラヘルツ波信号の角度(θ)、ビームスプリッタ部35幅L3、及び半導体基板の屈折率(n)によって決定される。ここで、ビームスプリッタ部35の幅(行の幅又は、厚み)をL3とすると、ビームスプリッタ部35の反射率R(δ)、位相差(又は、偏角)δ(f)は、次式(3),(4)で求められる。
【0067】
【数3】
【0068】
ここで、n:屈折率、r:反射率、及び、θ:ビームスプリッタ部35への入射角度とする。
【0069】
図12に示すように、第1ポート31からビームスプリッタ部35に出射されたテラヘルツ波信号204は、ビームスプリッタ部35に入射する際に、第1反射面35aにおいて第1反射により入射角度θに応じた反射角で第1反射波信号204aが反射する。
また、入射されたテラヘルツ波信号の一部は、ビームスプリッタ部35の内部に透過して、2つの反射面35a,35bの間を複数回の反射、即ち、多重反射する。それらの反射の際に、テラヘルツ波信号の位相がビームスプリッタ部35の幅L3と合えば、反射する際に、第1反射面35aから第2次反射波信号204b、第3次反射波信号204cとして第1反射波信号204aと同じ方向に出射する。これにより、多重反射によるテラヘルツ波信号の損失が軽減される。
【0070】
次に、図1及び、図13乃至図15を参照して、本実施形態に係る収納物検査装置1の検出部4による、テラヘルツ波帯域の検査信号を用いた箱2内の収納物101と添付物102の有無の検査について説明する。図13は、出射されたテラヘルツ波信号の収納物と添付物の反射波信号について説明するための図である。図14は、収納物と添付物からの干渉波を含む反射波信号の波形例を示す図である。図15は、収納物と添付物にテラヘルツ波信号を照射した際に生じる干渉波の態様を模擬的に示す図である。
【0071】
図1に示す例では、収納物検査装置1の検出部4は、ベルトコンベヤ8の側方に配置され、ベルトコンベヤ8の載置面の面方向と平行する方向に検査用のテラヘルツ波信号Sが出射される。また、検出部4において、箱2に対する出射部23からのテラヘルツ波信号Sの出射角度と、入射部24へのテラヘルツ波信号Sの入射角度は、任意に設定可能であり、箱2から戻る反射波信号(検出信号)の強度(又は、信号値)が最も高くなるように、出射部23と入射部24とが位置調整されている。勿論、検出部4をベルトコンベヤ8の載置面の面方向と交差する方向に検査用のテラヘルツ波信号Sが出射される配置であってもよい。例えば、検出部4をベルトコンベヤ8の上方に配置し、箱2に対して、出射部23からテラヘルツ波信号Sを斜め上方から出射し、入射部24へテラヘルツ波信号Sの反射波信号が斜め下方から入射するように配置することもできる。
【0072】
また、図1に示すように、箱2が長方体であり、その長手方向がベルトコンベヤ8の幅方向と同方向に載置され、箱2の長手方向にテラヘルツ波信号Sを走査させるようにテラヘルツ波信号Sを出射させる場合には、前述したように、出射部23にスキャン部を設けてもよい。
【0073】
収納物検査装置1において、回転するベルトコンベヤ8に載置されたそれぞれの箱2は、検出部4の出射部23及び入射部24の前方を一定の速度で移動している。制御部5に制御された検出部4は、これらの移動する箱2に向けて、検出部4の出射部23から検査用のテラヘルツ波信号Sが出射される。このため、出射部23から出射されたテラヘルツ波信号Sが箱2を横切るように走査されると同様の照射が行われる。この場合、ベルトコンベヤ8に載置された箱2の向きによって、収納物101と添付物102を通過するテラヘルツ波信号Sの照射ラインが異なってくる。本実施形態では、テラヘルツ波信号Sの照射ラインは、少なくとも収納物101と添付物102との重なり部分を通過させる配置である。
【0074】
次に、箱2に向けて出射されたテラヘルツ波信号Sは、図13に示すように、箱2を透過した後、最初に添付物102に照射されて、一部が反射して反射波信号S1となって、入射部24に向かう。一方、添付物102を透過したテラヘルツ波信号は、収納物101に照射され、ここで反射した反射波信号S2が、入射部24に向かう。入射部24においては、深さ方向において反射した位置が異なるため、第2ポート32への入射時のタイミング差、即ち、異なる位相で反射波信号S1と反射波信号S2とが入射する。
【0075】
【数4】
【0076】
これらの反射波信号S1と反射波信号S2は、伝送デバイス27を経て、受信器26に入力される。受信器26は、反射波信号S1と反射波信号S2に基づき、以下の式で求められる検出信号(反射強度)Iを生成する。生成された検出信号は、制御部5の信号処理部42に送出される。
【0077】
【数5】
【0078】
ここで、(5)式における、2A1 A2 cosψ(r)は、干渉波信号の項である。この干渉波信号の項は、図13に示す位置rに対する依存性、即ち、添付物102と収納物101との間の距離の変化に影響されるため、その距離の変化に応じて、干渉に強め合いと弱め合いが生じる。この干渉を図15に示すように、画像として検出した場合には、添付物102と収納物101の重なり部分において、添付物102が干渉縞として表示される。尚、本実施形態では、検査の効率化を図るため、検出結果を画像として取得せず、箱2に対してテラヘルツ波信号201を1つのラインとして通過するように出射しているため、図14に示すような特性の反射強度を有する反射波信号(検出信号)を取得する。この検出信号は、制御部5の信号処理部42に送出される。
【0079】
信号処理部42は、入力された検出信号に対して、予め設定された信号処理、例えば、増幅及びノイズ除去の処理が行われ、必要に応じて、検出信号のデジタル化処理及びフィルタ処理等が実施される。また、信号処理部42又は演算処理部41は、検出信号から干渉波信号を抽出し、干渉波信号の有無を判断部43に通知する。尚、干渉波信号は、収納物101のみを納入した箱2から取得した検出信号と、収納物101及び添付物102が同梱されている箱2から取得した検出信号との差分により求めることができる。
【0080】
また、制御部5は、判断基準のデータとして、納物101及び添付物102が同梱されている箱2から取得された結果を良品判定の正常判断基準(第1判断基準)として、メモリ7に予め記憶する。また合わせて、添付物102が収納されていない欠陥がある箱2から取得された結果を不良品判定の不良判断基準(第2判断基準)のとして、メモリ7に予め記憶しておいてもよい。この時、判断基準のデータをデジタル化処理を施してデータとして記憶させてもよい。このように、2つの判断基準を設定して、収納物101及び添付物102の有無の判断を行ってもよい。この場合、2回の判断は必須では無く、最初に第1判断基準を用いて判断処理を行った後、その判断結果の状況に応じて、例えば、誤判断の可能性が生じていた際には、第2判断基準を用いて、2回目の判断を行ってもよい。
【0081】
制御部5は、検査開始前の検査条件の設定時に、メモリ7より判断基準のデータを読み出して、判断部43に設定する。判断部43の判断手法としては、種々の方法がある。まず、第1の判断手法としては、予め設定された判断基準のデータと、検出したテラヘルツ波信号の反射波信号を比較し、干渉波信号が含まれているか否かを判断する。この場合、検出した反射波信号に干渉波信号が含まれていれば、良品と判断される。
【0082】
第2の判断手法としては、予め設定された判断基準のデータと、検出したテラヘルツ波信号の反射波信号を比較し、略一致する信号パターン、即ち干渉波信号のパターンがあれば、収納物101及び添付物102が適正に同梱されているものと判断するパターンマッチングによる判断がある。この場合、判断基準のデータと検出データのパターンがマッチングすれば良品と判断される。
【0083】
第3の判断手法としては、判断基準のデータの上限値(図14において例えば、反射強度4000)及び下限値(例えば、反射強度2000)を、それぞれ閾値として設定し、移動の予め設定した単位距離あたりに、閾値を超えた回数等を設定しておき、検査対象の箱2から検出された検出信号(テラヘルツ波信号の反射波信号)に対して、前述した閾値を超えた回数を計算して比較する。この比較において、閾値を超えた回数が判断基準で設定された回数の許容回数以上であれば、干渉波信号が存在している、即ち、収納物101及び添付物102が同梱されている良品であると判断する。一方、閾値を超えた回数が許容回数に満たなければ、干渉波信号が存在していない、即ち、収納物101及び/又は添付物102が同梱されていない不良品であると判断する。
【0084】
判断部43において、箱2内に収納物101及び/又は添付物102が正しく同梱されていると判断された場合には、制御部5を通じて、その判断結果をメモリ7に記憶すると共に、表示部6に良品である判断結果を表示する。一方、判断部43において、箱2内に収納物101及び/又は添付物102が同梱されず、不良品であると判断された場合には、同様に、不良品である判断結果をメモリ7に記憶すると共に、表示部6に不良品の判断結果を表示する。尚、図示していないが、制御部5に制御されて、不良品判定された箱2をベルトコンベヤ8上から排除し、不良品収納箱に排除する排除機構を設けてもよい。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の収納物検査装置によれば、検査装置の最重要部となる検出部4における空間光学系を構成する光学素子が1つの基板に集積して構成されるため、検出部4の構成が簡略化される。この構成の簡略化により、装置サイズの小型化を実現し、且つ光学素子の位置調整が不要であり、光学素子の支持部材も不要となるため、製造工程数が減少し、製造作業の簡易化及び、製造コストの低減が実現できる。
本実施形態の収納物検査装置は、テラヘルツ波帯域の検査信号を箱に照射し、その反射波信号から収納されている収納物及添付物の有無を検査するため、箱を開封せずに短時間で検査を実施することができる。
【0086】
本発明の実施形態及び適用例について説明したが、これらの実施形態等は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態等は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
1…収納物検査装置、2…外装箱(箱)、3…搬送機構、3a,3b…プーリ、4…検出部、5…制御部、6…表示部、7…メモリ、8…ベルトコンベヤ、9…モータ、10…駆動制御部、21…テラヘルツ波検出部出、22…光学系、23…出射部、24…入射部、25…送信器、26…受信器、27…伝送デバイス、31,32,33…ポート、34…導波部、35…ビームスプリッタ部、36,56,56a,57…貫通孔、41…演算処理部、42…信号処理部、43…判断部、51,61,71…金属導波管、52,62,72…フォトニック結晶導波路、53,63,73…フォトニック結晶導波部、54,64,74…平面レンズ部、101…収納物、102…添付物、201…波信号。
図1
図2
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図9A
図9B
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