(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】注出口閉鎖体用原反
(51)【国際特許分類】
B65D 35/10 20060101AFI20220118BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
B65D35/10 B
B32B15/08 F
(21)【出願番号】P 2017147508
(22)【出願日】2017-07-31
【審査請求日】2020-04-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117226
【氏名又は名称】吉村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 美帆子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 豊明
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 一志
(72)【発明者】
【氏名】鹿島 甲介
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-148512(JP,A)
【文献】特開2010-023399(JP,A)
【文献】特開昭60-045154(JP,A)
【文献】特開2015-142995(JP,A)
【文献】特開2016-199280(JP,A)
【文献】特開2016-124276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/10
B32B 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖型容器に収容された内容物を注出させる注出ユニットの注出口を閉じる閉鎖体として絞り成形したときにしわ又は破れの発生を抑制するために用いられる、複数の層からなる原反であって、
絞り成形可能なアルミニウム層と、前記アルミニウム層の少なくとも片面に設けられた第1の樹脂層と、前記アルミニウム層とは反対側の前記第1の樹脂層の面に設けられた第2の樹脂層と、を有し、
前記アルミニウム層の厚さが50μm以上200μm以下の範囲内であり、前記アルミニウム層を構成するアルミニウムの純度が98.0%以上であ
り、
前記第1の樹脂層がポリアミド系樹脂層であり、
前記第2の樹脂層がイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、環状オレフィンポリマー又は環状オレフィンコポリマーからなる層である、ことを特徴とする注出口閉鎖体用原反。
【請求項2】
接着剤層が、前記アルミニウム層と前記第1の樹脂層との間、及び/又は、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層との間に設けられている、
請求項1に記載の注出口閉鎖体用原反。
【請求項3】
前記アルミニウム層の表面には、滑剤を含む樹脂層が設けられるか、又は、前記アルミニウム層の静摩擦係数および動摩擦係数が0.3未満である、
請求項1又は2に記載の注出口閉鎖体用原反。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口閉鎖体用原反に関し、さらに詳しくは、閉鎖型容器に収容された内容物を注出させる注出口を閉じるための閉鎖体として成形される注出口閉鎖体用原反に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容する容器の中には、注出ユニットと、内容物が収容される胴部とで少なくとも構成されたものがある。このような容器では、内容物を収容している胴部を手で押しつぶすことによって、内容物が注出ユニットの注出口から注出される。容器は、例えば、食料品、医薬品及び化粧品等を収容するための容器として用いられている。例えば、チューブ容器において、チューブ容器を構成している注出ユニットは、注出ユニットの外殻をなす口頭部と、口頭部の内側に配置された閉鎖体とを有している。外殻をなす口頭部は、筒状の注出部と注出部の根元から外側に向けて張り出す肩部とを有しており、樹脂などの材料を成形することにより構成されている。一方、閉鎖体は複数の層からならなる原反に所定の加工を施して形成されている。閉鎖体をなす原反及びこの原反で成形された閉鎖体については、これまでに種々の形態のものが提案されている。
【0003】
特許文献1で提案されている原反は、チューブ容器を構成する口頭部の注出口を閉鎖するための閉鎖体に用いるものである。同文献で提案されている原反は、外層から内層側へ、ポリオレフィン系樹脂フィルム、2軸延伸ポリエステルフィルム、金属箔、エチレン-カルボン酸共重合体樹脂及びポリオレフィン系樹脂、少なくともポリオレフィン系樹脂フィルムを層構成に有する共押出延伸フィルムが順に積層されてなることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが特許文献1で提案されている原反で閉鎖体を製造した場合、完成した閉鎖体にはしわができてしまう。そのため、容器から内容物を注出するときに閉鎖体の内面に内容物が残留してしまう。また、しわは、完成されたチューブ容器の見栄えを悪くしたり、しわの分だけ材料を余計に使用したりしてしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、しわが形成されることがない注出口閉鎖体用原反を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る注出口閉鎖体用原反は、閉鎖型容器に収容された内容物を注出させる注出ユニットの注出口を閉じる閉鎖体として用いられ、複数の層からなる原反であって、絞り成形可能なアルミニウム層と、前記アルミニウム層の少なくとも片面に設けられた第1の樹脂層と、を有することを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、絞り成形可能なアルミニウム層と、アルミニウム層の少なくとも片面に設けられた第1の樹脂層とを有しているので、注出口閉鎖体用原反に適度な延性を持たせることができ、この出口閉鎖体用原反を用いて絞り成形を行って注出口閉鎖体を成形したときにしわができることを防止できる。
【0009】
本発明に係る注出口閉鎖体用原反において、前記アルミニウム層とは反対側の前記第1の樹脂層の面に第2の樹脂層が設けられている。
【0010】
この発明によれば、アルミニウム層とは反対側の第1の樹脂層の面に第2の樹脂層が設けられているので、第2の樹脂層に第1の樹脂層の機能とは異なる機能を付加することができる。
【0011】
本発明に係る注出口閉鎖体用原反において、前記第1の樹脂層は、ポリアミド系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、又はポリオレフィン系樹脂層である。
【0012】
この発明によれば、第1の樹脂層としてポリアミド系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、又はポリオレフィン系樹脂層を選択することにより、溶着性、耐熱性、耐薬品性、低溶出性、保香性等の機能を付加することができる。
【0013】
本発明に係る注出口閉鎖体用原反において、前記第2の樹脂層が、ポリエステル系樹脂層又は環状ポリオレフィン系樹脂層である。
【0014】
この発明によれば、第2の樹脂層のポリエステル系樹脂層又は環状ポリオレフィン系樹脂層は非吸着性を有するので、注出口閉鎖体用原反を用いて注出口閉鎖体を成形したときに、注出口閉鎖体の内側に接触する物質の成分吸着を抑制することができる。
【0015】
本発明に係る注出口閉鎖体用原反において、前記アルミニウム層の厚さが50μm以上200μm以下の範囲内であり、前記アルミニウム層を構成するアルミニウムの純度が98.0%以上である。
【0016】
この発明によれば、アルミニウム層の厚さが50μm以上200μm以下の範囲内であり、アルミニウム層を構成するアルミニウムの純度が98.0%以上であるので、注出口閉鎖体用原反を絞り成形したときに、アルミニウム層が分断されることなく適切に伸長し、所望の形状に成形することができる。
【0017】
本発明に係る注出口閉鎖体用原反において、接着剤層が、前記アルミニウム層と前記第1の樹脂層との間、及び/又は、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層との間に設けられている。
【0018】
この発明によれば、上記のように接着剤層が設けられているので、アルミニウム層と第1の樹脂層とが剥離したり、第1の樹脂層と第2の樹脂層とが剥離したりすることを抑制することができる。
【0019】
本発明に係る注出口閉鎖体用原反において、前記アルミニウム層の表面には、滑剤を含む樹脂層が設けられるか、又は、前記アルミニウム層の静摩擦係数および動摩擦係数が0.3未満である。
【0020】
この発明によれば、アルミニウム層の表面には、滑剤を含む樹脂層が設けられるか、又は、アルミニウム層の静摩擦係数および動摩擦係数が0.3未満であるので、注出口閉鎖体用原反を絞り成形する際に、絞り成形用の金型との間に生じる摩擦を抑制することができ、金型と注出口閉鎖体用原反との間に適度な滑りを発生させることができる。その結果、絞り成形の過程でアルミニウム層が分断されること、アルミニウム層の厚さにばらつきが生じること、及びしわが生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、注出ユニットを構成している注出口閉鎖体にしわができないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る注出口閉鎖体として構成される原反の層構成の一例を模式的に示した模式図である。
【
図2】
図1に示した原反で形成された注出口閉鎖体の斜視図である。
【
図3】本発明に係る注出口閉鎖体が用いられている注出ユニットの縦断面図である。
【
図4】注出ユニットの種々の形状を注出部側見た平面図である。
【
図5】本発明に係る注出口閉鎖体が用いられているチューブ容器の一例を各構成要素に分解して示した斜視図である。
【
図6】チューブ容器の胴部の層構成を模式的に示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る注出口閉鎖体用原反1について図面を参照して詳しく説明する。なお、本発明は、その技術的特徴を有すれば種々の変形が可能であり、以下に具体的に示す実施形態に限定されるものではない。
【0024】
[注出口閉鎖体用原反の基本構成]
本発明に係る注出口閉鎖体用原反1は、閉鎖型容器であるチューブ容器100に収容された内容物を注出させる注出ユニット20の注出口24を閉じる閉鎖体として用いられ、複数の層からなる原反1であって、絞り成形可能なアルミニウム層5と、アルミニウム層5の少なくとも片面に設けられた第1の樹脂層6と、を有する点に特徴があり、注出ユニット20を構成している注出口閉鎖体10にしわができないようにすることができるという特有の効果を奏する。さらに、本発明に係る注出口閉鎖体用原反1は、内容物がしわに残留することを防止することができるという効果も奏する。以下、注出口閉鎖体用原反1具体的な層構成について説明する。
【0025】
[注出口閉鎖体用原反の層構成]
注出口閉鎖体用原反1(以下、単に「原反1」という。)は、
図1(A)に示すように、複数の層からなるフィルム材により構成されている。具体的に、原反1は、少なくともアルミニウム層5、第1の樹脂層6の2層を有している。さらに、原反1は、必要に応じて第2の樹脂層7を含む3層を有している。原反1は、注出口24用閉鎖体として成形されたときに、注出口閉鎖体10の外側から順に上記の層の順番に積層され、内容物と接触する最内層61が第1の樹脂層6又は第2の樹脂層7となる。また、必要に応じ、原反1には、
図1(B)に示すように、アルミニウム層5、第1の樹脂層6及び第2の樹脂層7を設け、さらにアルミニウム層5の表面に滑剤を含む樹脂層8を設けることもできる。
【0026】
(第1の樹脂層)
第1の樹脂層6は、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂等で構成されている。
【0027】
第1の樹脂層6に用いられるポリアミド系樹脂としては、原反1に使用できるものであれば特に限定されない。ポリアミド系樹脂としては、例えば、6-ナイロン、66-ナイロン、12ナイロン、6-12ナイロン、又はキシリレン基を含有する芳香族ポリアミド等を挙げることができる。このポリアミド系樹脂は、原反1に対して絞り成形をしたときに、後述するアルミニウム層5の追従性を向上させたり、原反1の強度を向上させたり、耐ピンホール性を付与したりすることができる。
【0028】
第1の樹脂層6に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、原反1に使用できるものであれば特に限定されない。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。このポリオレフィン系樹脂は、原反1に対して溶着性や柔軟性などを付与したりすることができる。
【0029】
図1に示した層構成の例では、第1の樹脂層6は、第2の樹脂層7と後述するアルミニウム層5との間であるアルミニウム層5の一面側だけに設けているが、第1の樹脂層6は、アルミニウム層5の他面側に設けたり、アルミニウム層5の両面に設けたりすることができる。
【0030】
(第2の樹脂層)
第2の樹脂層7は、例えば、ポリエステル系樹脂や環状ポリオレフィン系樹脂等で構成されている。第2の樹脂層7は、上述したアルミニウム層5とは反対側の第1の樹脂層6の面に設けられている。
【0031】
第1の樹脂層6及び第2の樹脂層7に用いられるポリエステル系樹脂としては、原反1に使用できるものであれば特に限定されない。ポリエステル系樹脂としては、例えば、芳香族ジカルボン酸を主成分とする酸成分と、脂肪族ジオール(グリコール)を主成分とするジオール成分とを含有する共重合体を挙げることができる。この共重合体において、酸成分とジオール成分とは、エステル結合によって結合される。酸成分の原料としては、低級アルキルエステル(例えばメチルエステル)や酸ハロゲン化物等のエステル形成可能な誘導体を用いることもできる。
【0032】
酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びトリカルボン酸等を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等を挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール化合物又はそのエチレンオキサイド付加物等を挙げることができる。
【0033】
環状ポリオレフィン系樹脂としては、原反1に使用できるものであれば特に限定されない。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、種々の環状オレフィンモノマーの重合体を挙げることができる。環状オレフィンモノマーとしては、例えば、二環シクロオレフィン、三環シクロオレフィン、四環シクロオレフィン、及び五環シクロオレフィンを挙げることができる。二環シクロオレフィンとしては、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エチルノルボルネン、塩素化ノルボルネン、クロロメチルノルボルネン、トリメチルシリルノルボルネン、フェニルノルボルネン、シアノノルボルネン、ジシアノノルボルネン、メトキシカルボニルノルボルネン、ピリジルノルボルネン、ナヂック酸無水物、ナヂック酸イミド等を挙げることができる。三環シクロオレフィンとしては、例えば、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等を挙げることができる。四環シクロオレフィンとしては、例えば、ジメタノヘキサヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレンやそのアルキル、アルケニル、アルキリデン、アリール置換体等を挙げることができる。五環シクロオレフィンとしては、トリシクロペンタジエン等を、六環シクロオレフィンとしては、ヘキサシクロヘプタデセン等を挙げることができる。
【0034】
なお、環状ポリオレフィンとしては、その他に、環状オレフィンモノマーとエチレン等の他のモノマーとの共重合体及びそれらの水素添加物等を挙げることができる。
【0035】
第2の樹脂層7として好ましく用いる樹脂としては、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーを挙げることができる。
【0036】
第2の樹脂層7として用いる樹脂には、添加剤を含ませることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、又は着色剤等を挙げることができる。
【0037】
(アルミニウム層)
アルミニウム層5は、ガスバリア性及び水蒸気バリア性を備えたバリア層である。アルミニウム層5は、絞り成形加工を行うことができる厚さと純度を備えている。具体的にアルミニウム層5の厚さは、50μm以上、200μm以下の範囲内であり、好ましくは、50μm以上、150μm以下の範囲内、さらに好ましくは、70μm以上、100μm以下の範囲内の厚さを備えている。アルミニウム層5の厚さが50μmよりも薄い場合、原反1を絞り成形したときにアルミニウム層5が分断されてしまう。これに対し、アルミニウム層5の厚さが50μm以上であれば、絞り成形をしたときに分断されることがなく、金型の成形動作に伴って伸長する。一方、アルミニウム層5を構成するアルミニウムの純度は98.0%以上であり、好ましくは99.9%以上である。そのため、アルミニウム層5が適切な軟性を備え、原反1を絞り成形に適した延性を備えることができる。1000番台、3000番台、8000番台などが好適に使用できる。
【0038】
こうしたアルミニウム層5の表面には、滑剤を含む樹脂層8が設けられるか(
図1(B)参照)、又は、アルミニウム層5の静摩擦係数及び動摩擦係数が0.3未満に処理される。滑剤を含む樹脂層8を設けるか、又はアルミニウム層5の静摩擦係数および動摩擦係数が0.3未満である場合、原反1に絞り性をするときに、原反1と金型との間に発生する摩擦を押さえ、原反1に対する金型の滑りを向上させることができる。滑りを向上させることができるため、絞り成形を行うときに、アルミニウム層5が金型に引っかかることが抑制される。その結果、アルミニウム層5が金型により分断されてしまうことを抑制することができる。
【0039】
(滑剤を含む樹脂層)
滑剤を含む樹脂層8は、上述した第2の樹脂層7と同様の樹脂を用いることができる。この樹脂層8に含まれる滑剤に特別な制限はない。ただし、良好な成形性を考慮した場合、滑剤は、アミド系滑剤を樹脂層8に含ませることが好ましい。アミド系滑剤は、アミド基を有するものである。こうしたアミド系滑剤としては、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルアミド及び芳香族ビスアミドを挙げることができる。
【0040】
脂肪酸アミドとしては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドとしては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族系ビスアミドとしては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-システアリルイソフタル酸アミド等を挙げることができる。
【0041】
(アルミニウム層の表面粗さ)
一方、アルミニウム層5の静摩擦係数および動摩擦係数が0.3未満である場合においても、絞り成形を行うときに、アルミニウム層5が金型に引っかかることを効果的に抑制する。
【0042】
(接着層)
原反1を構成する各層は、各層同士の間に接着層を設け、接着層で層同士を接着させてもよい。接着層としては、接着樹脂層や接着剤を用いることができる。
【0043】
接着樹脂層としては、例えば、例えばエチレンメタクリル酸、エチレンメタクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、アイオノマー、酸変性ポリプロピレンなどの接着樹脂を用いることができる。接着樹脂層の厚さは、20μm以上、50μm以下にすることが好ましい。一方、接着剤としては、例えば、変性ポリオレフィン系樹脂、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエ-テルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリ酢酸ビニル系接着剤、エボキシ系接着剤、ゴム系接着剤、その他等を用いることができる。
【0044】
[注出口閉鎖体]
図2は、以上に説明した原反1を用いて成形された注出口閉鎖体10の一例を示している。注出口閉鎖体10は、口頭部21の内側に配置され、口頭部21の上端に形成されている注出口24を閉じるための構成要素である。なお、この注出口閉鎖体10と口頭部21とからなる注出ユニット20の具体的な構成については後述する。
【0045】
注出口閉鎖体10は、筒状部11と筒状部11の根元の位置で径方向の外側に張り出した張り出し部15とにより構成されている。筒状部11は、周面部12と天面部13とに構成されている。周面部12は、筒状部11の周面を構成する部位である。周面部12は、完成されたチューブ容器100において、チューブ容器100の胴部40から注出口24に向けて内容物が送り出されたときに、内容物を円滑に注出口24に向けて案内する機能を有している。天面部13は、周面部12の上端を閉じている部位である。この天面部13は、完成されたチューブ容器100において、チューブ容器100の注出口24を閉じることにより、内容物が外気にさらされることを防止している。なお、天面部13には、肉厚が薄くなるように形成された円形の輪郭をなす薄肉部14が形成されている。この薄肉部14は、チューブ容器100の内部から内容物を注出するために天面部13に穴を空ける際に、穴を空けやすくするための構成要素である。
【0046】
張り出し部15は、筒状部11の根元から径方向の外側に張り出した、ドーム状の部位である。この張り出し部15の外周縁は、円形に形成されている。また、張り出し部15の直径は、完成されたチューブ容器100の胴部40の直径と同じか又は同部の直径よりもやや大きく形成されている。張り出し部15は、完成されたチューブ容器100おいて、内容物を胴部40から注出口24に送り出す際に、内容物を筒状部11に向けて円滑に案内する機能を有している。こうした注出口閉鎖体10の層構成は、その外側からアルミニウム層5、第1の樹脂層6、第2の樹脂層7の順番に積層されている。
【0047】
[注出ユニット]
注出ユニット20は、完成されたチューブ容器100の上部をなし、内容物を外部に注出するための構成要素である。この注出ユニット20は、
図3に示すように、外殻をなす口頭部21と、口頭部21の内側に配される注出口閉鎖体10との組み合わせにより構成されている。口頭部21の内部は空洞になっており、上述した注出口閉鎖体10を配置することができるように構成されている。口頭部21は、
図3に示すように、注出部22と、この注出部22から径方向の外側に張り出す肩部25とで構成されている。注出部22は、筒状をなしており、周壁面部22aと天部22bとで構成されている。天部22bの中央には、注出ユニット20の内側と外側とを連通する注出口24が形成されている。また、肩部25は、円錐台状をなしており、注出部22の下端部から径方向の外側に向かって張り出している。なお、肩部25は、円盤状に形成することもできる。この口頭部21の内側の形状は、上述した注出口閉鎖体10の形状に対応している。
【0048】
注出口閉鎖体10は、口頭部21の内部にはめ込まれ、口頭部21と一体化される。注出口閉鎖体10の筒状部11は、口頭部21の注出部22の内側に隙間無くはめ込まれると共に、注出口閉鎖体10の肩部25は、口頭部21の肩部25の内部に隙間無く密着される。注出口閉鎖体10が口頭部21の内側に嵌め込まれることによって、口頭部21を構成する注出部22の天部22bに形成された注出口24は、注出口閉鎖体10の天面部13により閉じられる。
【0049】
図3に示す注出ユニット20の例では、注出ユニット20の口頭部21を構成する注出部22に対してキャップ30が着脱可能に設けられている。この注出ユニット20では、注出部22の外周面に螺旋状の雄ねじ23が形成され、キャップ30の内周面には雌ねじが形成されている。この注出ユニット20では、注出部22の雄ねじ23とキャップ30の雌ねじとを噛み合わせて、キャップ30を注出部22に対して回転することによって、キャップ30で注出部22を開閉させている。
【0050】
注出ユニット20の肩部25の幅は、この注出ユニット20が後述するチューブ容器100の胴部40の開口した一端40aに挿入された状態で融着され易い寸法であることが好ましい。そうした肩部25の幅としては、肩部25の最も離れた点を結ぶ長さL1が、胴部40の開口した一端40aの寸法よりも小さく、具体的には、100μm以上、1000μm以下の範囲内で小さいことが好ましい。
【0051】
この注出ユニット20を構成する口頭部21における肩部25の形状は、特に限定されない。例えば、肩部25の形状としては、口頭部21を平面視したとき、
図4(A)に示す円形状又は略円形状や、
図4(B)に示す楕円状又は略楕円形状を挙げることができる。また、口頭部21の肩部25は、
図4(C)に示す四角形や、
図4(D)に示す六角形のような多角形とすることもできる。
【0052】
注出ユニット20を構成する口頭部21は、例えば、射出成形法、押出成形法、圧空成形法、絞り成形法、圧縮成形法、インサート成形法で製造することができる。
【0053】
[チューブ容器]
チューブ容器100は、
図5に示すように、内容物を収容するための胴部40と、胴部40の軸方向の一端側に設けられた、上述した注出ユニット20と、胴部40の軸方向の他端側を閉じている底面キャップ50とを備えている。
【0054】
<胴部>
胴部40は、筒状をなしている。胴部40は、筒状をなしていれば、その製造方法に特別な限定はない。例えば、積層フィルム60で筒状に巻き、積層フィルム60の端縁同士を一定の幅だけ重ね合わせ、重ね合わされた部分をシールして形成される。
【0055】
胴部40の軸方向の一端40a(
図5の上側の端部)には、注出ユニット20の肩部25の周縁が融着されている。胴部40の軸方向の一端40aと注出ユニット20の肩部25との融着方法としては、種々の方法を挙げることができる。例えば、胴部40の軸方向の一端40aが注出ユニット20を構成する肩部25にはめ込まれ、胴部40の内面と肩部25の外周面24aとを融着する方法を挙げることができる。
【0056】
シール部41は、矩形状の積層フィルム60の両側の側縁15a,15bが重ね合わされ、重ね合わせされた側縁15a,15bが融着された部位である。具体的には、シール部41は、矩形状の積層フィルム60の左右方向の一方側の辺から長さL2の位置までの領域と、左右方向の他方の辺から長さL2の位置の領域までの領域とが重ね合わされている。重ね合わせは、積層フィルム60の一方側の側縁15aにおける一面側15cを、積層フィルム60の他方側の側縁15bにおける他面側15dにつき合わせて行われる。なお、「側縁」とは、積層フィルム60の辺の部分と、辺の部分から一定の距離L2だけ内側の位置との間の領域であって、胴部40を形成する際に重ね合わされる部分のことである。
【0057】
シール部41は、重ね合わせた部分をヒートシールして形成される。ヒートシールとしては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等を挙げることができる。
【0058】
<積層フィルム>
積層フィルム60は、
図6に示すように、最内層61、中間層62及び最外層63を少なくとも有している。最内層61は、胴部40の内面側に位置して内容物に接する層であり、最外層63は、胴部40の最も外面側を構成する層である。なお、最内層61と中間層62との間や、中間層62と最外層63との間に他の層を設けてもよい。
【0059】
(最内層と最外層)
最内層61と最外層63は、非吸着性樹脂により構成される。非吸着性樹脂としては、上述した注出口閉鎖体10の非吸着層を構成する材料と同様の材料が用いられる。なお、最内層61と最外層63は、通常、非吸着性樹脂以外の樹脂は含有させないで構成するが、非吸着性を損なわない範囲で他の樹脂をわずかに含有させて構成してもよい。含有させる樹脂としては、例えば、融着性の向上や柔軟性の向上の目的で、低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」という。)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「L-LDPE」という。)等の樹脂を挙げることができる。
【0060】
最内層61の厚さは、5μm以上、300μm以下であり、好ましくは、10μm以上、100μm以下である。最内層61の厚さをこの範囲にすることにより、チューブ容器100の内容物に対する非吸着性を持たせることができる。最外層63の厚さも、5μm以上、300μm以下であり、好ましくは、10μm以上、100μm以下である。最外層63をこの範囲の厚さにすることによって、チューブ容器100の外部の物質に対する非吸着性を高めることができる。
【0061】
(中間層)
中間層62は、最内層61と最外層63との間に位置する層であり、少なくとも1層で構成され、2層以上であってもよい。中間層62を構成する少なくとも1層は、ガスバリア層である。中間層62が少なくともガスバリア層を有することにより、酸素等のガスが積層フィルム60を透過することを抑制することができる。こうしたガスバリア層としては、例えば、次のもの等を挙げることができる。(1)ガスバリア性のある金属箔。(2)ガスバリア性のあるアルミニウム等の金属又は無機酸化物をポリエステルフィルム又はナイロンフィルム等に蒸着したガスバリア性フィルム。(3)エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)又は塩化ビニリデン等のガスバリア性樹脂層。
【0062】
ガスバリア性のある金属箔としては、従来からガスバリア性金属として用いられている各種の金属箔を用いることができる。代表的な金属箔としては、アルミニウム箔等を挙げることができる。
【0063】
また、ガスバリア性のあるアルミニウム等の金属又は無機酸化物をポリエステルフィルム又はナイロンフィルム等に蒸着したガスバリア性フィルムを用いてもよい。無機化合物としては、例えば、シリカ(酸化珪素)やアルミナ(酸化アルミニウム)等のガスバリア性の金属酸化物を挙げることができる。
【0064】
また、ガスバリア性樹脂も従来から用いられているものを適用することができる。例えば、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリビニルアルコール、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、フッ素系樹脂等を挙げることができる。なお、ガスバリア層を、ポリビニルアルコールのコーティングフィルム、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)のコーティングフィルムとしてもよい。ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等を用いることができる。また、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とからなるナイロンMXD6(三菱ガス化学株式会社製のポリアミド樹脂のことで、MXナイロンと呼ばれている。)等を用いてもよい。こうした中間層62は、上記した各態様のガスバリア層を単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。
【0065】
中間層62の厚さは、3μm以上、200μm以下であり、好ましくは、5μm以上、60μm以下である。中間層62の厚さをこの範囲にすることにより、良好なガスバリア性を付与することができる。
【0066】
(その他の層)
積層フィルム60には、特に図面には示していないが、柔軟層をさらに設けることができる。柔軟層は、積層フィルム60の柔軟性を向上させる作用を有する層であり、ポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂層、オレフィン系エラストマー若しくはスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー樹脂層、又は、接着性を有するポリオレフィンからなる接着性樹脂層等を挙げることができる。接着性を有するポリオレフィンとしては、例えば、三井化学製アドマー(登録商標)及び三菱化学製モディック(登録商標)を挙げることができる。柔軟層の厚さは、10μm以上、300μm以下であり、好ましくは15μm以上、150μm以下である。柔軟層を、例えば、最内層61と中間層62との接着や、中間層62と最外層63との接着等、接着剤層として利用することもできる。
【0067】
積層フィルム60には、補強層を設けることもできる。補強層は、積層フィルム60の強度特性を補完する作用を有する層であり、ポリプロピレン(PP)若しくはポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂層や、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O-PET)、2軸延伸ナイロン(O-Ny)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の樹脂層を挙げることができる。補強層の厚さは、3μm以上、500μm以下であり、好ましくは、5μm以上、300μm以下である。
【0068】
こうした積層フィルム60の製造方法は、特に限定されず、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出法又はこれらを併用する方法を挙げることができる。これらの製造方法で積層フィルム60を製造する場合において、積層フィルム60の最内層61に所定の機能を有する機能性層を容易に設けることができる。所定の機能としては、例えば、耐熱性、耐薬品性、非吸着性、低溶出性、保香性等を挙げることができる。
【0069】
<底面キャップ>
底面キャップ50は、チューブ容器100の下部を閉じるための構成要素である。この底面キャップ50は、樹脂などにより構成されている。底面キャップ50は、下面をなす底面52と周囲をなす周面51とで構成されている。この底面キャップ50に関しても、胴部40の他端40bに容易に融着させることができるように、最も離れた部分の間の寸法が胴部40の開口した一端40aの寸法よりも小さく、具体的には、100μm以上、1000μm以下の範囲内で小さいことが好ましい。なお、底面キャップ50を使用せずに胴部40の他端40bをつぶすことで底部を形成してもよい。
【0070】
<内容物>
チューブ容器100の内容物は、特に限定されない。チューブ容器100の内容物としては、例えば、低分子量の有機化合物である香料や有効成分を含有する、飲食物、化粧品又は薬剤等を挙げることができる。このチューブ容器100は、非吸着性に優れているので、内容物に含まれる低分子量の有機化合物がチューブ容器100に吸着されて、内容物の風味が変化したり効能が低下したりすることを抑制することができる。
【実施例】
【0071】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例1~6の原反1、及び比較例1~3の原反1は、アルミニウム層5と第1の樹脂層6とが積層されてなるフィルム材である。各実施例の積層フィルム及び各比較例の積層フィルムは、ドライラミネート製法で積層して形成した。実施例1~6の原反1の層構成、及び比較例1~3の原反1の層構成を表1にそれぞれ示す。
【0072】
【0073】
[実施例1]
実施例1において、アルミニウム層5は、厚さが50μmのアルミニウム箔で形成されている。アルミニウム箔のアルミニウム純度は98.0質量%であり、残部が不可避的不純物である。残部には、マンガン:0.05質量%、シリコン:0.15質量%、銅:0.05質量%が含まれている。第1の樹脂層6は、厚さが24μmのポリ乳酸(PLA)で形成されている。ポリ乳酸としては、三菱樹脂株式会社製のエコロージュ(登録商標)が用いられている。
【0074】
[実施例2]
実施例2において、アルミニウム層5は、実施例1と同様である。第1の樹脂層6は、厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)である。ポリエチレンテレフタレートとしては、東洋紡株式会社製のE5202型が用いられている。
【0075】
[実施例3]
実施例3において、アルミニウム層5は、実施例1と同様である。第1の樹脂層6は、厚さが15μmのナイロン(Ny)である。ナイロンとしては、ユニチカ株式会社製のエンブレム(登録商標)のONMB型が用いられている。
【0076】
[実施例4]
実施例4において、アルミニウム層5は、厚さが80μmのアルミニウム箔で形成されている。アルミニウム箔のアルミニウム純度は99.0質量%であり、残部が不可避的不純物である。残部には、マンガン:0.01質量%、シリコン:0.12質量%、銅:0.05質量%が含まれている。第1の樹脂層6は、実施例1のものと同様である。
【0077】
[実施例5]
実施例5において、アルミニウム層5は、実施例4と同様である。また、第1の樹脂層6は、実施例2と同様である。
【0078】
[実施例6]
実施例6において、アルミニウム層5は、実施例4と同様である。また、第1の樹脂層6は、実施例3と同様である。
【0079】
[比較例1]
比較例1において、アルミニウム層5は、厚さが40μmのアルミニウム箔で形成されている。アルミニウム箔のアルミニウム純度は95.7質量%であり、残部が不可避的不純物である。残部には、マンガン:1.5質量%、シリコン:0.3質量%、銅:0.25質量%が含まれている。第1の樹脂層6は、実施例3と同様である。
【0080】
[比較例2]
比較例2において、アルミニウム層5は、厚さが20μmのアルミニウム箔で形成されている。アルミニウム箔のアルミニウム純度は99.0質量%であり、残部が不可避的不純物である。残部には、マンガン:0.05質量%、シリコン:0.7質量%、銅:0.1質量%が含まれている。第1の樹脂層6は、実施例2と同様である。
【0081】
[比較例3]
比較例3において、アルミニウム層5は、厚さが70μmである他は比較例1と同様である。また、第1の樹脂層6は、実施例2と同様である。
【0082】
[外観検査の内容及び結果]
上記の実施例1~6及び比較例1~3の積層フィルムを成形し、成形後のフィルムにしわと破れが発生しているかどうかの外観を観察した。評価は、成形後にしわの発生又は破れの発生がなく、形状が安定している場合に「○」とし、成形後にしわが発生するか又は破れが発生し、形状が不安定である場合に「×」とした。実施例1~6及び比較例1~3の検査結果を表1に示す。
【0083】
表1に示すように、実施例1~6の外観検査の結果は、成形した後にしわの発生及び破れの発生の両方ともなく、形状も安定していて、いずれも「○」の評価を得ることができた。これに対し、比較例1~3の外観検査の結果は、成形した後に、しわ又は破れが発生し、形状も不安定であり、いずれも「×」の評価であった。この結果から明らかなように、積層フィルムは、アルミニウム純度を98.0%以上に構成した、厚さ50μm以上のアルミニウム箔を用いることにより、優れた成形性を有する。
【符号の説明】
【0084】
1 注出口閉鎖体用原反
5 アルミニウム層
6 第1の樹脂層
7 第2の樹脂層
8 滑剤を含む樹脂層
10 注出口閉鎖体
11 筒状部
12 周面部
13 天面部
14 肉厚が薄い部分
15 張り出し部
20 注出ユニット
21 口頭部
22 注出部
22a 周壁面部
22b 天部
23 雄ねじ
24 注出口
25 肩部
30 キャップ
40 胴部
40a 胴部の一端
40b 胴部の他端
41 シール部
50 底面キャップ
51 周面
52 底面
60 積層フィルム
61 最内層
62 中間層
63 最外層
100 チューブ容器(閉鎖型容器)