(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】液状食品組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/135 20160101AFI20220118BHJP
A61K 35/744 20150101ALI20220118BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220118BHJP
A23L 2/42 20060101ALI20220118BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20220118BHJP
A23L 2/62 20060101ALI20220118BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20220118BHJP
A23L 27/50 20160101ALI20220118BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20220118BHJP
【FI】
A23L33/135
A61K35/744
A61P37/02
A23L2/00 N
A23L2/00 F
A23L2/00 L
A23L2/38 G
A23L27/50 A
A23L27/50 E
A23L27/50 Z
A23L27/00 D
(21)【出願番号】P 2019062673
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2020-07-22
(31)【優先権主張番号】P 2018064430
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004477
【氏名又は名称】キッコーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】河本 啓
(72)【発明者】
【氏名】川島 忠臣
(72)【発明者】
【氏名】碇 菜穂
(72)【発明者】
【氏名】仲原 丈晴
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/111734(WO,A1)
【文献】特開2008-295352(JP,A)
【文献】特開2010-200611(JP,A)
【文献】特開2016-005452(JP,A)
【文献】特開2017-112995(JP,A)
【文献】特開2010-273657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,A61K,A61P,C12N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)及びペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)からなる群から選ばれる少なくとも1種のペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌
の乾燥粉末を含有し、
前記ペディオコッカス属乳酸菌を含有する前の比重が1.09以上であり、液状食品組成物全体に対する乳酸菌の乾燥菌体重量の割合が0.001%(w/v)以上であり、かつ、静置開始から少なくとも6時間は該乳酸菌による沈殿物が観察されない、液状食品組成物
(ただし、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する液状食品組成物を除く。)。
【請求項2】
前記液状食品組成物は、
醤油を含有し、かつ、静置開始から少なくとも1週間は該乳酸菌による沈殿物が観察されない液状食品組成物である、請求項1に記載の液状食品組成物。
【請求項3】
前記液状食品組成物は、
醤油を含有し、かつ、静置開始から少なくとも4週間は該乳酸菌による沈殿物が観察されない液状食品組成物である、請求項1に記載の液状食品組成物。
【請求項4】
ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)及びペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)からなる群から選ばれる少なくとも1種のペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌の乾燥粉末と、
比重が1.09以上であって、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有しない液状食品組成物の原料とを
液状食品組成物全体に対する乳酸菌の乾燥菌体重量が0.001%(w/v)以上の割合で混合することにより、液状食品組成物を得る工程を含む、液状食品組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌を含有する液状食品組成物及び該液状食品組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳酸菌は、生理活性を有する機能性成分として注目されている。乳酸菌が有する生理活性としては、整腸作用、抗アレルギー作用、免疫賦活作用、コレステロール低減作用、脂質改善作用、糖代謝改善作用、血圧降下作用、美肌作用、安眠作用などがこれまでに報告されている。そこで、このような生理活性を期待して、乳酸菌を簡便に日常的に摂取するために、乳酸菌を含有する様々な食品が市販されている。
【0003】
乳酸菌を含有する液状食品の製造方法としては、例えば、乳酸菌をスプレードライ又は凍結乾燥等により乾燥させた乳酸菌粉末を食品原料に添加及び混合して、ボトルなどの容器に充填する方法がある。しかしながら、このような方法では、製造時や保存中に乳酸菌粉末の凝集や沈殿が発生して、乳酸菌が均一に分散した液状食品が得られないという問題がある。
【0004】
このような問題を解決し得るものとして、例えば、特許文献1には、乳酸菌の乾燥粉末とともに、ポリグリセリン脂肪酸エステルや有機酸モノグリセリドを配合することにより、製造時や保存中に乳酸菌の沈殿物や凝集物の分散性を向上させた乳酸菌含有飲料が記載されている。また、特許文献2には、乳酸菌の分散性を高めた顆粒として、乳酸球菌乾燥死菌体と他の食品原料とを、多糖類の糊料を用いて成形した顆粒が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-112995号公報
【文献】特許第3151442号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
確かに、特許文献1及び2に記載のように、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、多糖類の糊料などの添加物を用いれば、食品中の乳酸菌の分散性が良好になる可能性がある。しかし、消費者の健康意識が高まる昨今においては、食品中に余分な添加物を含有させることは望ましくないという問題がある。さらに、添加物によっては、最終的に得られる食品に所望の風味や嗜好性を付与できなくなるという問題がある。
【0007】
また、特定の添加物を用いずとも、乳酸菌の分散性が良好な食品、特に製造時及び保存中においても乳酸菌の良好な分散性が求められる液状食品については、これまでにほとんど知られていない。
【0008】
そこで、本発明は、特定の添加物に依拠せずとも、乳酸菌の分散性が良好な液状食品組成物及びその製造方法を提供することを、本発明が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、驚くべきことに、特定の乳酸菌は液体中での分散性が格別優れていることを見出した。そして、このような乳酸菌を用いることによって、製造時及び保存中において、乳酸菌の凝集や沈殿が実質的にみられない液状食品組成物を創作することに成功した。これらの知見や成功例は、本発明者らによって初めてもたらされたものである。そして、本発明はこれらの知見及び成功例に基づいて完成するに至った発明である。
【0010】
したがって、本発明の一態様によれば、以下の[1]~[9]に示す態様の液状食品組成物及び製造方法が提供される。
[1]ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌を含有し、かつ、静置開始から少なくとも6時間は該乳酸菌による沈殿物が観察されない、前記液状食品組成物。
[2]前記液状食品組成物は、静置開始から少なくとも1週間は該乳酸菌による沈殿物が観察されない液状食品組成物である、[1]に記載の液状食品組成物。
[3]前記液状食品組成物は、静置開始から少なくとも4週間は該乳酸菌による沈殿物が観察されない液状食品組成物である、[1]に記載の液状食品組成物。
[4]前記乳酸菌は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus
acidilactici)及びペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)からなる群から選ばれる少なくとも1種の乳酸菌である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の液状食品組成物。
[5]前記液状食品組成物は、醤油又はその成分を含有する、[1]~[4]のいずれか1項に記載の液状食品組成物。
[6]前記乳酸菌は、乳酸菌の乾燥粉末である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の液状食品組成物。
[7]ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus
acidilactici)及びペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)からなる群から選ばれる少なくとも1種の乳酸菌の乾燥粉末と、液状食品組成物の原料とを混合することにより、液状食品組成物を得る工程を含む、液状食品組成物の製造方法。
[8]ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌を有効成分として含有する、インターロイキン12産生促進用液状食品組成物。
[9]前記乳酸菌は、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus
acidilactici)及びペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus)からなる群から選ばれる少なくとも1種の乳酸菌である、[8]に記載の液状食品組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様の液状食品組成物及び製造方法によれば、特定の添加物を用いることなく、製造時及び保存中において、乳酸菌の凝集や沈殿が実質的にみられない液状食品組成物が得られる。また、本発明の一態様の液状食品組成物及び製造方法によれば、添加物を任意に変更することができることから、所望の風味や嗜好性を有する液状食品組成物を得ることができる。
【0012】
さらに、本発明の一態様の液状食品組成物及び製造方法によれば、撹拌機を備えていないタンクに一定時間置いても乳酸菌の分散性及び均一性が保たれ、容器間やロット間において乳酸菌の含有量の誤差が少ない製品の製造が可能になり、さらに使用単位あたりの乳酸菌の含有量の誤差を少なくして喫飲又は喫食することが可能である。このように、液状食品組成物の使用量によって、摂取する乳酸菌の量を調節することができることから、本発明の一態様の液状食品組成物の使用量を変えることによって、乳酸菌に由来する所期の機能性を発揮することが期待できる。また、本発明の一態様の液状食品組成物によれば、静置前及び静置後のいずれの状態のものでも、喫飲又は喫食を通じて、乳酸菌に由来する所期の機能性を発揮することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、後述する実施例に記載されているとおりの、
Pediococcus
acidilactici NRIC0124株及び
Enterococcus
faecium NRIC0113株のいずれかをつゆに加えて2週間後に乳酸菌粉末の沈殿の有無を確認した撮影写真である。
【
図2】
図2は、後述する実施例に記載されているとおりの、
Pediococcus
acidilactici NRIC0124株、
Enterococcus
faecium NRIC0113株及び
Enterococcus
facalis NRIC0110株のいずれかを含有する静置前後のサンプルの免疫賦活性を評価した結果を示した図である。
【
図3】
図3は、後述する実施例に記載されているとおりの、
Pediococcus
acidilactici NRIC0124株を含む乳酸菌12株のいずれかを含有する静置前後のサンプルの免疫賦活性を評価した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一態様である液状食品組成物及び製造方法の詳細について説明するが、本発明の技術的範囲は本項目の事項によってのみに限定されるものではなく、本発明はその目的を達成する限りにおいて種々の態様をとり得る。
【0015】
本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス(Pediococcus)属乳酸菌を少なくとも含有する。本発明の一態様の液状食品組成物は、含有するペディオコッカス属乳酸菌に依拠して、特定の添加物に依拠せずとも、乳酸菌の分散性が良好な液状食品組成物であり得る。
【0016】
ペディオコッカス属乳酸菌は、通常知られているとおりのグラム陽性の乳酸を生成する球菌であるペディオコッカス属に属する乳酸菌であれば特に限定されないが、例えば、食経験のあるペディオコッカス属乳酸菌などが挙げられる。
【0017】
ペディオコッカス属乳酸菌の入手方法は特に限定されず、例えば、ペディオコッカス属乳酸菌は漬物、酒粕、乳製品、醤油諸味などの発酵食品といった乳酸菌含有物から単離株として分離してもよいし、American Type Culture Collection(ATCC)、東京農業大学(NRIC)、理化学研究所(JCM)などから分譲株として入手してもよい。
【0018】
具体的にはペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus
acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus
pentosaceus)、ペディオコッカス・セリコーラ(Pediococcus
cellicola)、ペディオコッカス・クラウッセニー(Pediococcus
claussenii)、ペディオコッカス・ダムノサス(Pediococcus
damnosus)、ペディオコッカス・エタノーリデュランス(Pediococcus
ethanolidurans)、ペディオコッカス・イノピナタス(Pediococcus
inopinatus)、ペディオコッカス・パルヴルス(Pediococcus
parvulus)、ペディオコッカス・スティレッシー(Pediococcus
stilesii)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
ペディオコッカス・アシディラクティシ及びペディオコッカス・ペントサセウスの具体的な非限定的な例としては、ペディオコッカス・アシディラクティシ K15株、ペディオコッカス・アシディラクティシ NRIC0124株、ペディオコッカス・アシディラクティシ JCM8797株、ペディオコッカス・ペントサセウス OS株(NITE P-354)、ペディオコッカス・ペントサセウス NRIC1915株、ペディオコッカス・ペントサセウス NRIC0099株(ATCC33316株)、ペディオコッカス・ペントサセウス NRIC0122株、ペディオコッカス・ペントサセウス JCM2024、ペディオコッカス・ペントサセウス ATCC33314株などが挙げられる。
【0020】
ペディオコッカス属乳酸菌の中でも、食経験が豊富であり、さらに液中での分散性が良いことから、ペディオコッカス・アシディラクティシ及びペディオコッカス・ペントサセウスが好ましく、上記具体例として挙げたペディオコッカス・アシディラクティシ及びペディオコッカス・ペントサセウスがより好ましい。
【0021】
ペディオコッカス属乳酸菌を分離する方法は特に限定されないが、例えば、常法に従って、乳酸菌含有物の抽出液を適宜希釈して、MRS培地やM17培地などの公知の乳酸菌培養用培地を用いて、30℃~40℃程度で培養することを含む方法などが挙げられる。例えば、ペディオコッカス・アシディラクティシ K15株は、乳酸菌含有物として糠床から単離した乳酸菌株であり、その至適温度は40℃前後である。
【0022】
ペディオコッカス属乳酸菌は、ペディオコッカス属乳酸菌に適した条件下で培養し、次いで菌体を回収して、回収した菌体をそのままで、又は乾燥して粉末化するなどして、本発明の一態様の液状食品組成物に含有することができる。
【0023】
一方で、本発明者らの調べたところによれば、ペディオコッカス属乳酸菌は、二本鎖RNAを高濃度で含有することができ、そうすることで二本鎖RNAが有する免疫を調節、賦活、抑制及び適正化する作用によって、本発明の一態様の液状食品組成物は免疫調節物、免疫賦活物及び抗アレルギー物とすることが可能である。具体的には、本発明の一態様の液状食品組成物は、二本鎖RNA含有ペディオコッカス属乳酸菌を含有することにより、抗ウイルス用組成物、免疫賦活用組成物、抗感染症用組成物、抗B型肝炎用組成物、抗C型肝炎用組成物、腸管免疫賦活用組成物、気道免疫賦活用組成物、抗腫瘍用組成物、抗癌用組成物といった態様をとり得る。このうち、例えば、抗ウイルス用組成物は、摂取個体における現在又は将来のウイルス性疾患若しくはウイルス性疾患に罹患しているとされる状態になることを抑制、遅滞又はその状態を改善する作用を有する組成物をいう。さらに、例えば、免疫賦活用組成物は、摂取個体における現在又は将来の免疫系を活性化して、種々の疾患や異常を正常な状態になるように維持又は促進する作用を有する組成物をいう。
【0024】
具体的には、ペディオコッカス属乳酸菌は、末梢血由来の単核細胞に作用して、インターロイキン12(IL-12)の産生を促進し得る。そこで、本発明の別の一態様は、ペディオコッカス属乳酸菌を有効成分として含有する、インターロイキン12産生促進用液状食品組成物である。後述する実施例に記載があるとおり、本発明の一態様のインターロイキン12産生促進用液状食品組成物は、静置後であっても、乳酸菌による沈殿物が観察されない場合は、静置前と同等程度のインターロイキン12産生促進作用を有する。
【0025】
二本鎖RNA含有ペディオコッカス属乳酸菌は、例えば、ペディオコッカス属乳酸菌を、通気条件下、至適温度より低温度条件下又は至適温度より低温度かつ通気条件下といった、ペディオコッカス属乳酸菌を通常培養する条件とは異なる条件下で培養する。
【0026】
通気条件下での培養とは、例えば、空気を供給して、撹拌などすることにより溶存酸素濃度を高めるような条件下で培養することなどが挙げられる。この際、空気に代えて酸素ガスを用いてもよく、溶存酸素濃度が高められるのであれば撹拌以外に振盪などの手段を採用してもよい。なお、撹拌数は、培養槽の大きさなどによって適宜設定し得る。
【0027】
空気の供給量(通気量)は特に限定されないが、例えば、単位体積当たり0.01~10VVM程度であり、好ましくは0.1~1VVM程度である。通気量が0.01VVMより小さい場合は溶存酸素濃度が高められない可能性があり、通気量が10VVMより大きい場合は大量の気泡によって乳酸菌が物理的にダメージを受ける可能性があることから、これらの場合は好ましくない。
【0028】
至適温度より低温度条件下での培養とは、例えば、ペディオコッカス属乳酸菌の増殖に適した温度よりも低い温度の条件下で培養することなどが挙げられる。至適温度より低温度は、例えば、至適温度より1℃~30℃低い温度であり、好ましくは至適温度より5℃~20℃低い温度であり、より好ましくは至適温度より5℃~15℃低い温度である。なお、至適温度より1℃~30℃低い温度とは、乳酸菌の至適温度が40℃である場合は、40℃より1℃~30℃低い温度、すなわち、10℃~39℃を意味する。
【0029】
至適温度より低温度かつ通気条件下での培養とは、通気条件下での培養と至適温度より低温度条件下での培養とを組み合わせた培養をいい、例えば、至適温度より1℃~30℃低い温度であり、かつ、通気量が単位体積当たり0.01VVM~10VVM程度である条件下での培養などが挙げられ、至適温度より5℃~15℃低い温度であり、かつ、通気量が単位体積当たり0.1VVM~1VVM程度である条件下での培養が好ましい。
【0030】
ペディオコッカス属乳酸菌の培養は、通気条件下、至適温度より低温度条件下又は至適温度より低温度かつ通気条件下で培養する限りにおいて、その他の条件として、使用する乳酸菌の増殖に適した条件で培養すればよい。例えば、使用する培地は、乳酸菌の培養に通常使用する培地を採用することができ、そのような培地としては、例えば、MRS培地及びM17培地などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、培養時間はペディオコッカス属乳酸菌の増殖が認められ、充分な菌体密度が得られる時間であれば特に限定されない。
【0031】
ペディオコッカス属乳酸菌の培養物を殺菌し、培地を限外ろ過膜や遠心濃縮機などの通常知られている固液分離手段によって培地を除去して菌体を回収し、次いで得られた菌体を水や食塩水などで洗浄することにより、ペディオコッカス属乳酸菌の菌体を得ることができる。このようにして得られた菌体をそのままで、又はデキストリンなどの糖といった食品素材と混ぜたものを、乾燥処理に供して得られる乾燥粉末などを、ペディオコッカス属乳酸菌として使用可能である。乾燥処理の方法は特に限定されず、例えば、自然乾燥、風乾、噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。本発明の一態様の液状食品組成物が含有するペディオコッカス属乳酸菌は、保存性や製造上の取り扱いの容易さから、乾燥粉末であることが好ましい。
【0032】
本発明の一態様の液状食品組成物におけるペディオコッカス属乳酸菌の含有量は、ペディオコッカス属乳酸菌に期待する嗜好性や機能性が認められる程度の量であれば特に限定されないが、例えば、液状食品組成物全体に対する乳酸菌の乾燥菌体重量の割合として0.0001%(w/v)~0.1%(w/v)、好ましくは0.0005%(w/v)~0.05%(w/v)、より好ましくは0.001%(w/v)~0.01%(w/v)である。ただし、ペディオコッカス属乳酸菌の含有量が0.1%(w/v)を超えると、乳酸菌の密度が大きくなり過ぎて、凝集や沈殿がみられる傾向にあることから、好ましくない。一方で、本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス属乳酸菌を用いることにより、従前の乳酸菌を含有する液状食品組成物と比べて、より高濃度の乳酸菌を含有するものとすることができる。
【0033】
本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス属乳酸菌を含有することにより、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus
plantarum)やラクトバチルス・ペントーサス(L.pentosus)よりも優れた乳酸菌の分散性を示す。
【0034】
本発明の一態様の液状食品組成物は、含有する成分や比重によらず、静置開始から少なくとも6時間は含有するペディオコッカス属乳酸菌による沈殿物が観察されない。具体的には、本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス属乳酸菌を含有する前の比重が1.00以上1.09未満である場合には、静置開始から少なくとも6時間は含有するペディオコッカス属乳酸菌による沈殿物が観察されない。また、本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス属乳酸菌を含有する前の比重が1.09以上である場合には、静置開始から少なくとも4日間はペディオコッカス属乳酸菌による沈殿物が観察されない。なお、比重は、被験試料の質量と、それと同体積の4℃の水の質量との比のことをいう。
【0035】
本明細書における「乳酸菌による沈殿物が観察されない」とは、本発明の一態様の液状食品組成物を入れた容器を平らな台に置くなどして静置した場合に、目視によって乳酸菌に由来する沈殿物が見られないことを意味する。ただし、本発明の一態様の液状食品組成物に含まれる成分によっては経時的に沈殿物が見られる場合がある。そのようなときは、本発明の一態様の液状食品組成物を入れた第1の容器と本発明の一態様の液状食品組成物からペディオコッカス属乳酸菌を除いた溶液を入れた第2の容器とを静置して、目視によって第1の容器及び第2の容器の沈殿物の態様が変わらないようであれば、「乳酸菌による沈殿物が観察されない」と判断してもよい。
【0036】
ペディオコッカス属乳酸菌を含有する前の比重が1.0以上1.09未満である液状食品組成物の具体例としては、ミネラルウォーター、茶飲料、果実飲料、コーヒー飲料、スポーツ飲料などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス属乳酸菌を含有する茶飲料である場合、静置開始から少なくとも6時間、好ましくは少なくとも24時間は含有するペディオコッカス属乳酸菌による沈殿物が観察されないものであることから、開封から概ね飲み終わるまで、意図的に蓋をして振るなどせずとも、乳酸菌の分散性が良い状態で喫飲できる。
【0038】
ペディオコッカス属乳酸菌を含有する前の比重が1.09以上である液状食品組成物の具体例としては、醤油、つゆ、たれ、ソース、ドレッシング、スープ、栄養飲料、機能性飲料、みりん、みりん風調味料などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス属乳酸菌を含有する醤油である場合、静置開始から少なくとも4日間、好ましくは少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも4週間は含有するペディオコッカス属乳酸菌による沈殿物が観察されないものであることから、開封から概ね使い切るまで、意図的に蓋をして振るなどせずとも、乳酸菌の分散性が良い状態で調理に使用できる。
【0040】
本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス属乳酸菌による生理的作用によって、例えば、機能性液状食品、特定保健用液状食品、栄養機能液状食品、保健機能液状食品、特別用途液状食品、栄養補助液状食品、健康補助液状食品及びこれらを製造するための原料若しくは原料用組成物などとすることができる。
【0041】
本発明の一態様の液状食品組成物は、ペディオコッカス属乳酸菌に追加して、本発明の目的を達成し得る限り、その他の成分を含有することができる。その他の成分は特に限定されないが、例えば、飲料成分や調味料成分であり、具体的には、水、アルコール、醤油、塩、食塩、砂糖、香辛料(生姜、唐辛子、こしょう、バジル、オレガノ、ジンジャー、ミックススパイスなど)、酵母エキス、鰹節などの魚肉エキス、チキンエキスなどの肉エキス、野菜エキス、増粘剤(カラギーナンなどの増粘多糖類など)、化学調味料(グルタミン酸ソーダ、イノシン酸ソーダなど)、フレーバー、甘味成分(みりん、液糖、水飴など)、酸味成分(食酢、りんご、ゆず、レモンといった香酸柑橘など)、油脂成分(ごま油、オリーブオイル、サラダ油、バターなど)、酒類成分(ワイン、清酒など)、果汁(りんご果汁など)などが挙げられ、これらの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。その他の成分の含有量は、本発明の課題の解決を妨げない限り特に限定されず、適宜設定され得る。
【0042】
後述する実施例にあるとおり、醤油や醤油を含有するつゆを用いた場合は、含有するペディオコッカス属乳酸菌の分散性が良好なものとなることから、その他の成分としては、醤油及び醤油成分が好ましい。
【0043】
醤油は、しょうゆやしょう油などと表記して通常知られているとおりのものであれば特に限定されず、例えば、農林水産省により示されている「しょうゆ品質表示基準」において定義付けされているものなどを挙げることができる。醤油の具体例としては、例えば、濃口醤油、薄口醤油、たまり醤油、再仕込醤油、白醤油、だし醤油、照り醤油、生揚げ醤油、生醤油などが挙げられるが、食材に対してしっかりとした醤油の風味を付与するために濃口醤油であることが好ましい。
【0044】
本発明の一態様の液状食品組成物は、例えば、容器詰液状食品組成物とすることができる。容器詰液状食品組成物に用いる容器は特に限定されないが、例えば、コーティング紙、PETやPTPなどのプラスチック、アルミなどの金属、ガラスなどを素材とするパック、瓶、缶、パウチなどが挙げられる。
【0045】
本発明の別の一態様は、本発明の一態様の液状食品組成物の製造方法である。本発明の一態様の製造方法は、ペディオコッカス属乳酸菌の乾燥粉末と、液状食品組成物の原料とを混合することにより、液状食品組成物を得る工程を少なくとも含む。液状食品組成物の原料としては、上記した本発明の一態様の液状食品組成物の具体例や成分を特に限定せずに挙げることができる。
【0046】
本発明の一態様の製造方法では、本発明の目的を達成し得る限り、上記した工程の前段若しくは後段又は工程中に、種々の工程や操作を加入することができる。
【0047】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【実施例】
【0048】
例1 液状食品組成物における乳酸菌の沈降性評価
[1.乳酸菌]
乳酸菌としては、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus
acidilactici) K15株及びNRIC0124株;ペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus) NRIC1915株、NRIC0099株及びNRIC0122株;ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus
plantarum) NRIC1067株;ラクトバチルス・ペントーサス(L.pentosus) NRIC1069株;ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(L.delbrueckii subsp.Bulgaricus) NRIC1688株;ラクトバチルス・ラムノサス(L.rhamnosus) GG ATCC53103株;ラクトバチルス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス(L.lactis subsp.Lactis) JCM20101株;エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus
facalis) NRIC0110株;エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus
faecium) NRIC0113株;ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus
thermophilus) NBRC13957株;テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus
halophilus) FERM P-21310株を用いた。
【0049】
なお、「NRIC」の菌株は東京農業大学、「JCM」の菌株は理化学研究所、「NBRC」の菌株は独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター、「ATCC」の菌株はAmerican Type Culture Collection、「FERM」の菌株は独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(NITEーIPOD)から分譲された菌株であることを示す。
【0050】
[2.液状食品組成物]
乳酸菌を分散させる液状食品組成物としては、醤油(「こいくちしょうゆ(本醸造)」;キッコーマン社;比重1.18)、つゆ(「キッコーマン 濃いだし本つゆ(濃縮4倍)」;キッコーマン社;比重1.18)、ドリンク(「リポビタンD」;大正製薬社;比重1.09)及び大豆茶(「焙煎大豆茶」;キッコーマン社;比重1.00)を用いた。
【0051】
[3.沈降性評価]
Tetragenococcus
halophilus FERM P-21310株は、粉末商品(「ソイラクティック」;キッコーマンバイオケミファ社)を使用した。それ以外の乳酸菌粉末は以下の方法により調製した。
【0052】
MRS培地(BD社)を用いて、乳酸菌を30℃で20時間(Streptococcus
thermophilus NBRC13957株は68時間)静置培養後、105℃で1分間加熱殺菌した。殺菌後の培養液を遠心分離して培地を除去し、純水で2回洗浄した。この乳酸菌懸濁液の一部を採取して105℃、20時間乾燥し、液量当りの乾燥重量を算出した。残りの乳酸菌懸濁液に対し、重量比で乳酸菌:デキストリン=1:9の割合になるようにデキストリン(「マックス1000」;松谷化学工業社)を加えて混合した。得られた混合物を凍結乾燥した後に、乳鉢で粉砕することにより、乳酸菌粉末を得た。
【0053】
乳酸菌粉末100mgを液状食品組成物30mlに加えて混合した後、静置することにより、0.03wt%の乳酸菌を含有する乳酸菌含有液状食品組成物を調製した。経時的に目視で、乳酸菌含有液状食品組成物における乳酸菌粉末の沈殿の有無を観察した。結果を表1に示す。表1において、観察時点で沈殿がみられなかったものは「○」、沈殿がみられたものは「×」、試験を実施しなかったものは「-」として評価した。
【0054】
【0055】
【0056】
表1及び表2に示すとおりに、ペディオコッカス・アシディラクティシ及びペディオコッカス・ペントサセウスといったペディオコッカス属乳酸菌を液状食品組成物に分散させた場合は、醤油においては4週間;つゆにおいては1週間;ドリンクにおいては4日間;大豆茶においては6時間という長期にわたって沈殿がみられなかった。
【0057】
また、乳酸菌として
Pediococcus
acidilactici NRIC0124株及び
Enterococcus
faecium NRIC0113株をつゆに加えて2週間後に乳酸菌粉末の沈殿の有無を確認した撮影写真を
図1に示す。
図1に示すとおり、
Enterococcus
faecium NRIC0113株を添加した際に見られた沈殿が、
Pediococcus
acidilactici NRIC0124株を添加した際には見られなかった。
【0058】
したがって、乳酸菌としてペディオコッカス属乳酸菌を用いることにより、乳酸菌による沈殿物が観察されない、乳酸菌の分散性が良好な液状食品組成物が得られることがわかった。
【0059】
例2 液状食品組成物の免疫賦活評価(1)
[1.乳酸菌]
乳酸菌としては、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus
acidilactici) NRIC0124株;エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus
faecium) NRIC0113株;エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus
facalis) NRIC0110株を用いた。
【0060】
[2.液状食品組成物]
乳酸菌を分散させる液状食品組成物としては、醤油(「こいくちしょうゆ(本醸造)」;キッコーマン社;比重1.18)を用いた。
【0061】
[3.サンプル調製]
例1と同様にして調製した乳酸菌粉末100mgを醤油30mlに加えて混合して0.03wt%の乳酸菌を含有する乳酸菌含有液状食品組成物を調製した。乳酸菌含有液状食品組成物から3mlを分取し、静置前(0日)サンプルとした。乳酸菌含有液状食品組成物を6週間静置後の上清3mlを分取し、静置後(6週間)サンプルとした。
【0062】
3mlの各サンプルについて、遠心機を用いて回収した菌体を、生理食塩水で洗浄した後、1mlの生理食塩水で懸濁した。その乳酸菌懸濁液1mlを25mM D-グルコース、25mM HEPES及び1μM ピルビン酸ナトリウム含有IMDM培地(GIBCO社)4mlと混合し、乳酸菌原液を調製した。
【0063】
[4.インターロイキン12産生促進活性の測定]
非ウイルス感染健常者の末梢血20mlから低密度勾配遠心法により単核球として単離した。末梢血単核細胞の細胞数を測定し、5×105個/mlとなるように25mM D-グルコース、25mM HEPES及び1μM ピルビン酸ナトリウム含有IMDM培地(GIBCO社)を用いて細胞原液を調製した。細胞原液100μl及び乳酸菌原液100μlを96ウェルU底プレート(BD社)に混合し、37℃の5%炭酸ガス培養器内で培養した。そして、共培養開始後24時間の培養上清を回収した。
【0064】
回収した培養上清中のインターロイキン12濃度を、eBioscience社の「Human IL-12p70 ELISA Ready-SET-Go!」を用いて測定した。結果を
図2に示す。
【0065】
図2に示すとおりに、ペディオコッカス・アシディラクティシ(
Pediococcus
acidilactici) NRIC0124株を用いた場合は、静置6週間後の乳酸菌含有液状食品組成物の上清に活性がみられた。それに対して、エンテロコッカス・フェシウム(
Enterococcus
faecium) NRIC0113株及びエンテロコッカス・フェカリス(
Enterococcus
facalis) NRIC0110株を用いた場合は、静置6週間後の乳酸菌含有液状食品組成物の上清からは活性が検出されなかった。
【0066】
したがって、乳酸菌としてペディオコッカス属乳酸菌を用いることにより、静置後であっても乳酸菌による機能性を有する液状食品組成物が得られることがわかった。
【0067】
例3 液状食品組成物の免疫賦活評価(2)
[1.乳酸菌]
乳酸菌としては、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus
acidilactici) K15株及びNRIC0124株;ペディオコッカス・ペントサセウス(P.pentosaceus) NRIC1915株、NRIC0099株及びNRIC0122株;ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus
plantarum) NRIC1067株;ラクトバチルス・ペントーサス(L.pentosus) NRIC1069株;ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス(L.delbrueckii subsp.Bulgaricus)NRIC1688株;ラクトバチルス・ラムノサス(L.rhamnosus) GG ATCC53103株;エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus
faecium) NRIC0113株;ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus
thermophilus) NBRC13957株;テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus
halophilus) FERM P-21310株を用いた。
【0068】
[2.液状食品組成物]
乳酸菌を分散させる液状食品組成物としては、醤油(「丸大豆濃厚再仕込生しょうゆ」;キッコーマン社;比重1.19)を用いた。
【0069】
[3.サンプル調製]
例1と同様にして調製した乳酸菌粉末100mgを醤油30mlに加えて混合して0.03wt%の乳酸菌を含有する乳酸菌含有液状食品組成物を調製した。乳酸菌含有液状食品組成物から3mlを分取し、静置前(0日)サンプルとした。乳酸菌含有液状食品組成物を4週間静置後の上清3mlを分取し、静置後(4週間)サンプルとした。3mlの各サンプルから、例2と同様にして乳酸菌原液を調製した。
【0070】
[4.インターロイキン12産生促進活性の測定]
例2と同様にして、末梢血単核細胞と乳酸菌原液とを共培養し、さらに得られた培養上清中のインターロイキン12濃度を測定した。結果を
図3に示す。
【0071】
図3に示すとおりに、ペディオコッカス属乳酸菌を用いた場合は、静置4週間後の乳酸菌含有液状食品組成物の上清に、静置前の60%以上の活性がみられた。それに対して、ペディオコッカス属以外の乳酸菌を用いた場合は、静置4週間後の乳酸菌含有液状食品組成物の上清からは、ほとんど活性が検出されなかった。
【0072】
したがって、乳酸菌としてペディオコッカス属乳酸菌を用いることにより、静置後であっても乳酸菌による機能性を有する液状食品組成物が得られることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の一態様の液状食品組成物や本発明の一態様の製造方法によって得られる液状食品組成物は、乳酸菌の分散性が良好なものとして利用することにより、風味や嗜好性だけではなく、乳酸菌の生理活性を期待した機能性食品として、広く人々の健康に貢献できるものである。また、このような液状食品組成物は、工業的生産が可能なものであり、かつ、飲食店での提供が可能なものであることから、様々なシーンで利用される飲食品として有用なものである。