IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

特許7008809高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定
<>
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図1
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図2
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図3
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図4
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図5
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図6
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図7
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図8
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図9
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図10
  • 特許-高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】高反射積層膜上の高吸光膜層の光学的測定
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20220118BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20220118BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20220118BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G01B11/06 G
H01L21/66 P
G01N21/27 B
G01N21/21 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020519743
(86)(22)【出願日】2018-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018054893
(87)【国際公開番号】W WO2019074861
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】62/571,100
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/150,268
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イガルツァ カルロス エル
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン シャンカー
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-340833(JP,A)
【文献】特開平07-012714(JP,A)
【文献】特開2000-207736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0048706(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0030707(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0198435(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 9/02
G01N 21/27
G01N 21/21
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある量の広帯域照射光を生成すべく構成された1個以上の照射光源と、
前記量の照射光を前記照射光源から測定対象の試料の表面上の測定点まで誘導すべく構成された照射光学サブシステムと、
前記試料の表面上の測定点から、ある量の光を集光すべく構成された集光サブシステムと、
前記集光された光の量を検出して、検出された光を表す出力信号を生成すべく構成された検出器と、
前記検出器の出力に基づいて測定対象の高吸光材料層の厚さの推定値を生成すべく構成されたコンピュータシステムとを含む光学的測定システムにおいて、前記試料が、
第1の材料を含む半導体基板と、
前記基板上に配置された1個以上のほぼ同一の反復的な層の組であって各々が異なる材料の2個以上の層を含む1個以上の反復的な層の組と、
前記1個以上の反復的な層の組の上に配置された高吸光材料層であって、減衰係数Kおよび厚さTにより特徴付けられ、積K*Tが0.7マイクロメートルよりも大きい高吸光材料層とを含んでいる光学的測定システム。
【請求項2】
前記測定システムが分光エリプソメーターおよび分光反射率計のいずれかとして構成されている、請求項1に記載の光学的測定システム。
【請求項3】
照射が1000ナノメートル~2500ナノメートルの範囲の波長を含んでいる、請求項1に記載の光学的測定システム。
【請求項4】
前記基板上に配置された前記1個以上のほぼ同一の反復的な層の組が、少なくとも4個のほぼ同一の反復的な層の組を含んでいる、請求項1に記載の光学的測定システム。
【請求項5】
各層の組の各第1層および各層の組の各第2層の厚さが同一である、請求項1に記載の光学的測定システム。
【請求項6】
各層の組の第1層の厚さが1,500ナノメートルよりも大きく、各層の組の第2層の厚さが1,500ナノメートルよりも大きい、請求項1に記載の光学的測定システム。
【請求項7】
前記1個以上の層の組の各々が第1の材料層および第2の材料層を含み、前記第1の材料層が酸化物材料層であり、第2の材料層が窒化物材料層または非晶質シリコン材料層である、請求項1に記載の光学的測定システム。
【請求項8】
第1の材料を含む半導体基板と、
前記基板上に配置された1個以上の同一の層の組であって各々が異なる材料の2個以上の層を含み、前記2個以上の層の各々の厚さが500ナノメートルよりも厚い、1個以上のほぼ同一の層の組と、
前記1個以上のほぼ同一の層の組の上に配置された高吸光材料層であって、減衰係数Kおよび厚さTにより特徴付けられ、積K*Tが0.7マイクロメートルよりも大きい高吸光材料層とを含んでいる半導体ウェハ。
【請求項9】
前記基板上に配置された前記1個以上の同一の反復的な層の組が、少なくとも4個のほぼ同一の反復的な層の組を含んでいる、請求項8に記載の半導体ウェハ。
【請求項10】
各層の組の各第1層および各層の組の各第2層の厚さが同一である、請求項8に記載の半導体ウェハ。
【請求項11】
各層の組の第1層の厚さが1,500ナノメートルよりも大きく、各層の組の第2層の厚さが1,500ナノメートルよりも大きい、請求項8に記載の半導体ウェハ。
【請求項12】
前記1個以上の層の組の各々が第1の材料層および第2の材料層を含み、前記第1の材料層が酸化物材料層であり、第2の材料層が窒化物材料層または非晶質シリコン材料層である、請求項8に記載の半導体ウェハ。
【請求項13】
前記高吸光材料層が非晶質炭素材料層である、請求項12に記載の半導体ウェハ。
【請求項14】
ある量の広帯域照射光を提供するステップと、
前記量の照射光を測定対象の試料の表面上の測定点まで誘導するステップと、
前記試料の表面上の測定点から、ある量の光を集光するステップと、
前記集光された光の量を検出するステップと、
集光された光の前記検出された量に基づいて測定対象の高吸光材料層の厚さの推定値を決定するステップとを含む方法において、前記試料が、
第1の材料を含む半導体基板と、
前記基板上に配置された1個以上のほぼ同一の反復的な層の組であって各々が異なる材料の2個以上の層を含む1個以上の反復的な層の組と、
前記1個以上の反復的な層の組の上に配置された高吸光材料層であって、減衰係数Kおよび厚さTにより特徴付けられ、積K*Tが0.7マイクロメートルよりも大きい高吸光材料層とを含んでいる方法。
【請求項15】
前記広帯域照射光が1000ナノメートル~2500ナノメートルの範囲の波長を含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板上に配置された前記1個以上のほぼ同一の反復的な層の組が、少なくとも4個のほぼ同一の反復的な層の組を含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
各層の組の各第1層および各層の組の各第2層の厚さが同一である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
各層の組の第1層の厚さが1,500ナノメートルよりも大きく、各層の組の第2層の厚さが1,500ナノメートルよりも大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記1個以上の層の組の各々が第1の材料層および第2の材料層を含み、前記第1の材料層が酸化物材料層であり、第2の材料層が窒化物材料層または非晶質シリコン材料層である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記高吸光材料層が非晶質炭素材料層である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記述する複数の実施形態は、測定システムおよび方法、より具体的には半導体構造の測定精度を向上させる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は米国特許法第119条に基づき、2017年10月11日出願の米国仮特許出願第62/571,100号の優先権を主張するものであり、全文を引用することにより本明細書にその主題を引き継いでいる。
【0003】
論理およびメモリ素子等の半導体素子は典型的に、試料に適用される一連の処理ステップにより形成される。半導体素子の様々な特徴および多数の構造上のレベルは、これらの処理ステップにより形成される。例えば、リソグラフィは特に、半導体ウェハ上へのパターン生成を含む半導体の形成工程の一つである。半導体形成工程の更なる例として、化学機械研磨、エッチング、堆積、およびイオン注入が含まれるがこれらに限定されない。単一の半導体ウェハ上に複数の半導体素子を形成し、次いで個々の半導体素子に分離することができる。
【0004】
ウェハ上の欠陥を検出して歩留まりを上げるべく、半導体製造工程中の様々なステップで測定工程が用いられる。光学的測定技術は、試料を破壊するリスク無しに潜在的に高いスループットをもたらす。限界寸法、膜厚、組成、オーバーレイその他のナノスケール構造のパラメータを特徴付けるべく、散乱測定、反射測定、および偏光解析の実行を含む多くの光学的測定に基づく技術及び付随する分析アルゴリズムが一般に用いられる。
【0005】
多くの半導体形成アプリケーションにおいて、比較的厚い高吸光層が、基板(例:シリコン基板)上に直接、または基板上に形成された生成膜積層体の組の上に堆積される。一例において、厚さが1マイクロメートル以上の炭素層が、シリコン基板上に、またはシリコン基板上に堆積された生成膜積層体の組の上に堆積される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2015/0076586号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
比較的厚い高吸光層の厚さの光学的測定は、照射光が層厚を透過して層の底部まで伝播し、反射光が層厚を透過して層の最上部まで逆伝搬する際に生じる光損失の量に起因して困難である。その結果多くの光学的技術には、厚い吸光膜の底部に到達してから検出器に向かって上向きに反射され得るのは照射光のごく一部に過ぎないため信号対雑音比(SNR)が低いという短所がある。従って、多くの利用可能な高スループット測定技術は、厚い吸光フイルム層の膜厚測定を高い信頼性で実行することができない。
【0008】
例えば、比較的厚い炭素層は、紫外および可視スペクトルの実質的に全ての測定光を吸光する。これに応じて、測定感度を向上させるべく赤外(IR)照射を用いて比較的厚い炭素層の厚さの光学的測定を実行する試みがなされてきた。赤外照射を用いる理由は、紫外および可視スペクトルと比較して赤外スペクトルにおける炭素による吸光が少ないためである。残念ながら、赤外スペクトルにおけるシリコン基板からの反射率は極めて低い。このため測定感度が制約される。典型的な生成膜積層体は赤外スペクトルにおいてより高い反射率を有しているが、生成物積層体に起因して測定が困難になり、炭素層の厚さを表す測定信号を生成物積層体から生じた信号から抽出するのは困難であることが示されている。
【0009】
要するに、高吸光厚膜層に関わる半導体形成アプリケーションは、光学的測定システムに困難な要件を課す。光学的測定システムは、高吸光厚膜の厚さを高いスループットで測定するために精度および正確さが高いという要件を満たす必要がある。これらの制約を克服するために膜アーキテクチャおよび測定システム並びに方法の改善が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
高吸光膜(例:高K誘電体膜)の光学的膜厚測定を向上した測定感度で実行する装置および方法について以下に記述する。
【0011】
測定対象の高吸光フイルム層が高反射膜積層体上に形成される。高反射膜積層体は、光学コントラストを示す異なる材料の複数の層の1個以上の同一の組を含んでいる。高反射膜積層体は、特定の波長範囲内で光学共鳴を生起させる。高吸光膜層と高反射膜積層体の界面における反射率が高いため、高吸光膜を通して分光計の検出器まで透過される光度が増す。従って、高吸光膜の厚さを表す測定信号の振幅が、測定ノイズフロアに比べて増大する。その結果、高吸光膜の厚さに対する測定感度が向上する。
【0012】
一態様において、高反射膜積層体の異なる材料の厚さおよび光分散(すなわち屈折率)が、所望の波長範囲内で光学共鳴を生起させるべく選択される。従って、測定感度は、シリコン基板または典型的な生成物積層体上に直接形成された高吸光膜の測定に関連付けられた測定感度よりもはるかに高い。
【0013】
更なる態様において、分光エリプソメーター、分光反射率計、またはその両方が、光学コントラストを示す異なる材料の複数の層の反復的な組の上から一または二番目の層に形成された高吸光膜の厚さの光学的測定の実行に用いられる。
【0014】
更に別の態様において、赤外波長を用いて高吸光非晶質炭素層の厚さの光学的測定を実行する。
【0015】
上の記述は概要であり、必然的に簡略化、一般化および詳細の省略がなされている。従って、当業者には概要が説明用に過ぎず、一切限定的でないことが理解されよう。他の態様、発明の特徴、および以下に記述する素子および/または工程の利点は、以下に記述する非限定的な詳細説明で明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】基板と、基板上に形成されたほぼ同一の多数の反復的な層の組と、反復的な層の組の上に形成された高吸光材料層とを含む膜積層体構造160を示す構成図である。
図2】半導体形成工程のエッチングステップのハードマスク材料として用いられる非晶質炭素膜の減衰係数のプロット図である。
図3】分光反射率計で測定された、図2の非晶質炭素膜層により透過される光の割合のプロット図である。
図4】高吸光厚膜の厚さの広帯域赤外分光偏光解析測定を実行する例示的な測定システム100の概念図である。
図5図4に示す測定システム100のようなSE測定システムにより測定されたαスペクトル171のシミュレーションを示すプロット図170である。
図6図4に示す測定システム100のようなSE測定システムにより測定されたβスペクトル173のシミュレーションを示すプロット図172である。
図7】多くの異なる構造上に形成された厚い非晶質炭素層(例:厚さが約1.8マイクロメートル)のαスペクトル応答に関連付けられた測定感度のシミュレーションを示すプロット図175である。
図8】多くの異なる構造上に形成された厚い非晶質炭素層(例:厚さが約1.8マイクロメートル)のβスペクトル応答に関連付けられた測定感度のシミュレーションを示すプロット図180である。
図9】高吸光厚膜層の広帯域赤外分光反射測定による厚さの測定を実行する例示的な測定システム200の構成図である。
図10】高吸光厚膜層の広帯域赤外分光反射測定による厚さの測定を実行する例示的な測定システム300の構成図である。
図11】高吸光厚膜層の光学膜厚測定を実行する方法400のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に例を示す本発明の背景例およびいくつかの実施形態を詳細に参照する。
【0018】
高吸光膜(例:高K誘電体膜)の光学的膜厚測定を向上した測定感度で実行する装置および方法について以下に記述する。測定対象の高吸光フイルム層が高反射膜積層体上に形成される。高反射膜積層体は、光学コントラストを示す異なる材料の複数の層の1個以上の(製造公差の範囲内で)名目的に同一の組を含んでいる。高反射膜積層体は、特定の波長範囲内で光学共鳴を生起させる。高吸光膜層と高反射膜積層体の界面における反射率が高いため、高吸光膜を通して分光計の検出器まで透過される光度が増す。従って、高吸光膜の厚さを表す測定信号の振幅が、測定ノイズフロアに比べて増大する。その結果、高吸光膜の厚さに対する測定感度が向上する。
【0019】
一態様において、高反射膜積層体の異なる材料の厚さと光分散(すなわち屈折率)は、所望の波長範囲内で光学共鳴を生起させるべく選択される。いくつかの実施形態において、高反射膜積層体は、所望の波長範囲内で1.0に近い反射率を示すべく最適化されている。従って、測定感度は、シリコン基板または典型的な生成物積層体上に直接形成された高吸光膜の測定に関連付けられた測定感度よりもはるかに高い。
【実施例1】
【0020】
図1は、基板161と、基板161上に形成されたほぼ同一の多数の反復的な層の組162~165と、反復的な層の組162~165上に形成された高吸光材料層167とを示す構成図である。ほぼ同一の反復的な層の組の各々は、各々が異なる屈折率を有する異なる材料層を含んでいる。これにより各界面における光学コントラストが増大して光学共鳴効果を増幅させる。
【0021】
図1に示す実施形態において、基板161はシリコン基板であり、高吸光材料層167は非晶質炭素層である。各々の反復的な層の組は、二酸化シリコンの層および非晶質シリコンの層を含んでいる。二酸化シリコン層162A、163A、164A、165Aおよび166Aはほぼ同一である。すなわち、これらの材料の組成と厚さは半導体の形成工程の限度内で同一である。同様に、非晶質シリコン層162B、163B、164Bおよび165Bはほぼ同一である。すなわち、これらの材料の組成と厚さは半導体の形成工程の限度内で同一である。各々の反復的な層の組が2個の異なる材料層(例:二酸化シリコンおよび非晶質シリコン)を含んでいるが、一般に、各々の反復的な層の組は任意の数の異なる材料層を含んでいてよい。図1に4個の反復的な層の組を示しているが、一般に、任意の数の層の組を用いて光学共鳴を生起させてよい。実際には、より多くの反復的な層を用いたことで向上した測定感度は、約8または9層以下の反復的な層の組に限定される。一般に、8または9層よりも多くの反復的な層の組を用いても測定感度はさほど向上しない。
【0022】
いくつかの実施形態において、各々の反復的な層の組のある材料層の厚さは、別の材料層の厚さとは異なる。図1に示すように、各々の二酸化シリコン層162A、163A、164A、165A、および166Aの厚さはTであり、各々の非晶質シリコン層162B、163B、164B、および165Bの厚さはTである。他のいくつかの実施形態において、各々の反復的な層の組のある材料層の厚さは、別の材料層の厚さと同一である。
【0023】
図1に高吸光層167を非晶質炭素層として示しているが、一般に、本特許明細書の範囲内で任意の高吸光膜を考えることができる。高吸光材料は、減衰係数K、および厚さTにより特徴付けられる。一般に、吸光度は、減衰係数、厚さ、またはその両方が増大するにつれて高くなる。いくつかの実施形態において、高吸光材料層は、減衰係数と厚さの積(すなわちK*T)が、当該高吸光材料層の膜厚測定の実行に用いられる照射波長の範囲内で0.7マイクロメートルよりも大きい値であることにより特徴付けられる。いくつかの実施形態において、高吸光材料層は、減衰係数と厚さの積(すなわちK*T)の値が、当該高吸光材料層の膜厚測定の実行に用いられる照射波長の範囲内で1.0マイクロメートルよりも大きいことにより特徴付けられる。
【0024】
一実施形態において、非晶質炭素層167の厚さは1800ナノメートルである。1800ナノメートル~2,500ナノメートルの範囲の照射波長における非晶質炭素の典型的な減衰係数は約0.6~0.7である。従って、減衰係数と非晶質炭素層の厚さの積は0.7マイクロメートルを大幅に超える。一例において、各々の二酸化シリコン層162A、163A、164A、165A、および166Aの厚さは2,500ナノメートルであり、各々の非晶質シリコン層162B、163B、164B、および165Bの厚さもまた2,500ナノメートルである。高吸光非晶質炭素層の下にある当該反復的な層の組は、1,800~2,500ナノメートルの範囲の波長を含む赤外照射による非晶質炭素層の測定に好適な実施形態である。二酸化シリコンおよび非晶質シリコン層が好適なのはいくつかの理由による。両方の材料が半導体産業で一般的に用いられており、工程チャンバを汚染する恐れがない。この意味において、これらの材料は多くの種類の金属よりもはるかに好適である。また、両方の材料の屈折率が良好なコントラストをもたらす。例えば、二酸化シリコンの屈折率は約1.45であり、非晶質シリコンの屈折率は約3.5である。また、二酸化シリコンおよび非晶質シリコンは共に赤外波長(例:波長1,000~2,500ナノメートル)では光を実質的に吸光しない。このため反復的な層の組の光学共鳴が効率的になって有効反射率が高まる。
【0025】
他のいくつかの実施形態において、非晶質シリコン層は窒化層により代替される。しかし、酸化物および窒化物の反復的な層の組は、赤外波長による測定には好適ではない。窒化物の屈折率は約2.0であるため、酸化物層の方が非晶質シリコンよりもコントラストが極めて低くなる。その結果、共鳴を生起させるには、はるかに厚い窒化層が必要になる。更に、窒化物は赤外波長で吸光性であるため、酸化物と窒化物の反復的な層の組の全体的な反射率は、赤外照射波長において酸化物および非晶質シリコンの層の組よりもはるかに低い。しかし、紫外波長(例:250~300ナノメートルの範囲の波長)または可視波長(例:400~500ナノメートル)において、酸化物および窒化物の反復的な層の組を用いることができる。一例において、500ナノメートル付近で光学共鳴が、厚さが450ナノメートル~500ナノメートルの酸化物層および窒化層を各々有する反復的な層の組により生起する場合がある。
【0026】
図2に、3次元NAND構造の形成工程のエッチングステップにおけるハードマスク材料として用いられる非晶質炭素膜の減衰係数のプロット図を示す。プロット線168は減衰係数を波長の関数として表している。膜の減衰係数は、200ナノメートル~2200ナノメートルの波長範囲全体にわたり相対的に高い値を維持している。従って、膜は近赤外スペクトル領域を通過した光も高レベルで吸光している。
【0027】
図3に、反射率計で測定した厚さが1250ナノメートルである非晶質炭素膜により透過される光の割合のプロット線を示す。測定対象の膜を透過する光は比較的僅かであるため、非晶質炭素膜の表面から反射された光は内部反射よりも強い。従って、高吸光膜の厚さの測定は困難である。
【0028】
非晶質炭素膜層により透過される光の割合は、200ナノメートル~2200ナノメートルの波長範囲全体にわたり極めて低いままである。図3に示すように、入射光の約0.05%を集光するのに必要な最短波長は約2000ナノメートルである。約1800ナノメートル未満では収集した信号の量は現実的に測定不可能である。
【0029】
図2、3に、半導体製造に用いる主要材料の分光測定を実行するために短波長赤外線光(例:1400ナノメートル~3000ナノメートル)、更には中波長赤外光(例:3000ナノメートル~5000ナノメートル以上)を用いることの重要性を示す。
【0030】
更なる態様において、分光エリプソメーターを用いて、光学的コントラストを示す異なる材料の複数の層の反復的な組の上から一または二番目の層に形成された高吸光膜の厚さの光学的測定を実行する。更に別の態様において、赤外波長を用いて高吸光非晶質炭素層の厚さの光学的測定を実行する。
【0031】
図4に、高吸光材料層の膜厚測定を実行する例示的な測定システム100を示す。いくつかの例において、高吸光層は、3次元メモリ構造等の高アスペクト比(HAR)構造の製造に用いられる非晶質炭素層である。図4に示すように、測定システム100は広帯域分光エリプソメーターとして構成されている。しかし、測定システム100は一般に、分光反射率計、散乱計、エリプソメーター、またはこれらの任意の組み合わせとして構成されていてよい。
【0032】
測定システム100は、ウェハ120に入射する照射光117のビームを生成する照射光源110を含んでいる。いくつかの実施形態において、照射光源110は紫外、可視、および赤外スペクトルの照射光を発光する広帯域照射光源である。一実施形態において、照射光源110はレーザー維持プラズマ(LSP)光源(別名:レーザー駆動プラズマ源)である。LSP光源のポンプレーザーは、連続波またはパルス波であってよい。レーザー駆動プラズマ源は、150ナノメートル~2000ナノメートルの波長範囲全体にわたりキセノンランプよりもはるかに多くの光子を生成することができる。照射光源110は、単一光源であっても、または複数の広帯域或いは離散波長光源の組み合わせであってもよい。照射光源110により生成された光は、紫外線から赤外線(例えば真空紫外から中赤外域)までの1個の連続スペクトル、または1個の連続スペクトルの複数の部分を含んでいる。一般に、照射光学源110は、超連続体レーザー光源、赤外ヘリウムネオンレーザー光源、アーク灯、または他の任意の適当な光源を含んでいてよい。
【0033】
更なる態様において、照射光量は、少なくとも500ナノメートルにわたる波長範囲を含む広帯域照射光である。一実施形態において、広帯域照射光は、250ナノメートル未満の波長および750ナノメートル超の波長を含んでいる。一般に、広帯域照射光は、120ナノメートル~3,000ナノメートルの波長を含んでいる。いくつかの実施形態において、3,000ナノメートル超の波長を含む広帯域照射光を用いてもよい。いくつかの例において、広帯域照射光は最高5,000ナノメートルまでの波長を含んでいる。
【0034】
図1に示すように、測定システム100は、ウェハ120上に形成された1個以上の構造に向けて照射光117を誘導すべく構成された照射サブシステムを含んでいる。照射サブシステムは、光源110、1個以上の光学フィルタ111、偏光要素112、視野絞り113、開口絞り114、および照射光学系115を含む状態で示されている。1個以上光学フィルタ111を用いて照射サブシステムからの光量、スペクトル出力、またはその両方を制御する。いくつかの例において、1個以上のマルチゾーンフィルタが光学フィルタ111として用いられる。偏光要素112は、照射サブシステムから出射する所望の偏光状態を生成する。いくつかの実施形態において、偏光要素は、偏光器、補償器、またはその両方であり、任意の適当な市販の偏光要素を含んでいてよい。偏光要素は固定されていても、異なる位置に回転可能であっても、または連続的に回転していてもよい。図1に示す照射サブシステムは1個の偏光要素を含んでいるが、照射サブシステムは複数の偏光要素を含んでいてよい。視野絞り113は、照射サブシステムの視野(FOV)を制御し、任意の適当な市販の視野絞りを含んでいてよい。開口絞り114は、照射サブシステムの開口数(NA)を制御し、任意の適当な市販の開口絞りを含んでいてよい。照射光源110からの光は、照射光学系115を通して誘導され、図1に示す積層構造160のようなウェハ120上の1個以上の構造に焦点を結ぶ。照射サブシステムは任意の種類および構成の光学フィルタ(群)111、偏光要素112、視野絞り113、開口絞り114、および分光偏光解析、反射率測定、および散乱測定の分野で公知の照射光学系115を含んでいてよい。
【0035】
図1に示すように、照射光117のビームは、当該ビームが照射光源110からウェハ120まで伝搬するに従い、光学フィルタ(群)111、偏光要素112、視野絞り113、開口絞り114、および照射光学系115を通過する。ビーム117は、測定点116上のウェハ120の一部を照射する。
【0036】
測定システム100はまた、1個以上の構造と入射照射ビーム117との相互作用により生じた光を集光すべく構成された集光サブシステムを含んでいる。集光された光127のビームは、集光光学系122により測定点116から集光される。集光された光127は、集光サブシステムの集光開口絞り123、偏光素子124、および視野絞り125を通過する。
【0037】
集光光学系122は、ウェハ120上に形成された1個以上の構造から、光を集光する任意の適当な光学素子を含んでいる。集光開口絞り123は、集光サブシステムのNAを制御する。偏光素子124は所望の偏光状態を解析する。偏光素子124は、偏光器または補償器である。偏光素子124は固定されていても、異なる位置に回転可能であっても、または連続的に回転していてもよい。図1に示す集光サブシステムは1個の偏光素子を含んでいるが、集光サブシステムは複数の偏光素子を含んでいてよい。集光視野絞り125は集光サブシステムの視野を制御する。集光サブシステムはウェハ120から光を取り込み、集光光学系122および偏光素子124を通して光を誘導して集光視野絞り125に焦点を結ぶ。いくつかの実施形態において、集光視野絞り125は検出サブシステムの分光計用の分光計スリットとして用いられる。しかし、集光視野絞り125は、検出サブシステムの分光計の分光計スリットに、またはその近傍に位置していてよい。
【0038】
集光サブシステムは、分光偏光解析、反射率測定、および散乱測定の分野で公知の任意の種類および構成の、集光光学系122、開口絞り123、偏光素子124、および視野絞り125を含んでいてよい。
【0039】
図4に示す実施形態において、集光サブシステムは分光計126へ光を誘導する。分光計126は、照射サブシステムにより照射された1個以上の構造から集光された光に応答して出力を生成する。一例において、分光計126の検出器は、紫外および可視光(例:190ナノメートル~860ナノメートルの波長を有する光)に影響され易い電荷結合素子(CCD)である。他の例において、分光計126の1個以上の検出器は、赤外光(例:950ナノメートル~2500ナノメートルの波長を有する光)に影響され易い光検出器アレイ(PDA)である。しかし一般に、他の検出器技術(例:位置感応検出器(PSD)、赤外線検出器、光起電検出器等)も考えられる。各検出器は入射光を、当該入射光のスペクトル強度を表す電気信号に変換する。一般に、分光計126は、照射光に対する測定対象の構造のスペクトル応答を示す出力信号154を生成する。
【0040】
測定システム100はまた、注目する構造の測定されたスペクトル応答を示す信号154を受信し、測定されたスペクトル応答に基づいて、測定された構造の高吸光膜層の膜厚の値を推定すべく構成されたコンピュータシステム130を含んでいる。
【0041】
図5に、図4に示す測定システム100のようなSE測定システムにより測定されたαスペクトル171のシミュレーションを表したプロット図170を示す。図6に、図4に示す測定システム100のようなSE測定システムにより測定されたβスペクトル173のシミュレーションを表したプロット図172を示す。シミュレーションは、図1に示す構造160のSE測定を含み、全てのSiO材料層および非晶質シリコン層の厚さは2500ナノメートルであり、非晶質炭素層の厚さは約1.8マイクロメートルである。
【0042】
図5に示すように、αスペクトル171は、約1,100ナノメートル~1,400ナノメートルの波長範囲、および約2,000ナノメートル~2,500ナノメートルの波長範囲で平坦である。これらのスペクトル領域は、周期的膜積層体からの光学共鳴(すなわち複合的な強め合う干渉)を示す。これらの波長領域において、周期的膜積層体は鏡のような挙動を示す。その結果、測定感度はこれらの領域の方がより高い。測定感度が高く、且つこの範囲の波長における非晶質炭素層による照射光の吸光は、より短い波長における照射光の吸光よりも少ないため、約2,000ナノメートル~2,500ナノメートルの範囲の波長を含む照射により非晶質炭素層の厚さの分光測定を実行することが好適である。
【0043】
図7に、多くの異なる構造にわたり形成された厚い非晶質炭素層(例:厚さ約1.8マイクロメートル)のαスペクトル応答に関連付けられた測定感度のシミュレーションを表しているプロット線175を示す。プロット線178は、シリコン基板上に直接形成された非晶質炭素層のαスペクトル応答に関連付けられた測定感度を示している。プロット線179は、シリコン基板上に形成された典型的な生成物積層体上に直接形成された非晶質炭素層のαスペクトル応答に関連付けられた測定感度を示している。生成物層の典型的な厚さは約200~300ナノメートルである。プロット線177は、図1に示すようにシリコン基板上に形成された、図1に示す反復的な層の組に直接形成された非晶質炭素層のαスペクトル応答に関連付けられた測定感度を示し、全てのSiO材料層および非晶質シリコン層の厚さは2500ナノメートルである。プロット線176は、SE測定により生じたノイズエラーを示している。プロット線178に示すように、シリコン基板上に直接形成された非晶質炭素層のSE測定に関連付けられた測定感度は、波長範囲全体にわたりSE測定システムのノイズフロアの範囲内にある。プロット線177に示すように、典型的な生成物積層体上に直接形成された非晶質炭素層のαスペクトル応答に関連付けられた測定感度もまた、シミュレートされた波長範囲の大部分にわたちSE測定システムのノイズフロアの範囲内にある。プロット線179に示すように、図1に示すように反復的な層の組の上に直接形成された非晶質炭素層のαスペクトル応答に関連付けられた測定感度は、約2,000ナノメートル超の波長のSE測定システムのノイズフロアを大幅に上回る。
【0044】
図8に、多くの異なる構造にわたり形成された厚い非晶質炭素層(例:厚さ約1.8マイクロメートル)のβスペクトル応答に関連付けられた測定感度のシミュレーションを表しているプロット図180を示す。プロット線183は、シリコン基板上に直接形成された非晶質炭素層のβスペクトル応答に関連付けられた測定感度を示している。プロット線184は、シリコン基板上に形成された典型的な生成物積層体上に直接形成された非晶質炭素層のβスペクトル応答に関連付けられた測定感度を示している。生成物層の典型的な厚さは約200~300ナノメートルである。プロット線182は、図1に示すようにシリコン基板上に形成された、図1に示すように反復的な層の組の上に直接形成された非晶質炭素層のβスペクトル応答に関連付けられた測定感度を表し、全てのSiO材料層および非晶質シリコン層の厚さは2500ナノメートルである。プロット線181は、SE測定により生じたノイズエラーを示している。プロット線183に示すように、シリコン基板上に直接形成された非晶質炭素層のSE測定に関連付けられた測定感度は、波長範囲全体にわたりSE測定システムのノイズフロアの範囲内にある。プロット線184に示すように、典型的な生成物積層体上に直接形成された非晶質炭素層のβスペクトル応答に関連付けられた測定感度もまた、シミュレートされた波長範囲の大部分にわたりSE測定システムのノイズフロアの範囲内にある。プロット線182に示すように、図1に示すように反復的な層の組の上に直接形成された非晶質炭素層のβスペクトル応答に関連付けられた測定感度は、約2,000ナノメートル超の波長のSE測定システムのノイズフロアを大幅に上回る。
【0045】
プロット線175、180に示すように、SE測定感度は、高反射且つ反復的な膜積層体上の高吸光厚膜の方がはるかに大きい。高反射膜積層体上に堆積された非晶質炭素層の測定に関連付けられた測定の不確実性は、典型的な生成物積層体上に堆積された非晶質炭素層の測定に関連付けられた測定の不確実性よりも約44%下回るものと期待される。また、プロット線175、180に示すように、シリコン基板上に直接堆積された非晶質炭素層の測定に関連付けられた測定感度は、安定した測定を行うには低過ぎる(すなわち、測定感度は、スペクトル全体にわたるノイズエンベロープよりも低い)。
【0046】
図9に、高吸光材料層の膜厚測定を実行する例示的な測定システム200を示す。図9に示すように、測定システム200は広帯域分光反射率計として構成されている。
【0047】
図9に、一実施形態において750ナノメートル~2600ナノメートルの波長範囲にわたる1個以上の測定チャネルを含む赤外分光反射率計を示す。一態様において、赤外分光反射率計200は、垂直入射を回避すべくSchwartzchild対物レンズを含んでいる。図9に示す類似参照番号を付与された要素は、図4に関して記述したものと同様である。
【0048】
赤外分光反射率計200は、偏光器204、対物レンズ201、アナライザ210、および分光計212を含んでいる。図9に示すように、コンピュータシステム130から受信したコマンド信号に応答して照射光源202により光ビームが生成される。照射光源202からの光はオプションのビーム形成光学系203により調整されて照射ビーム220を生成する。照射ビーム220は偏光器204に向けて誘導される。図示するように、偏光器204に向けて誘導された照射光は照射光源202から発せられているが、一般に、システム100の任意の照射光源からの光を組み合わせて偏光器204に向けて誘導される照射光ビームを生成することができる。このように、照射光のスペクトル成分を複数の照射光源から発せられた光の組み合わせとして構成することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、偏光器204は、偏光素子を照射ビーム220の光軸の回りに選択的に回転させるべく構成されている。一般に、偏光器204は、当分野で公知の偏光素子を回転させる任意の偏光要素もおよびシステムを含んでいてよい。例えば、偏光器204は回転アクチュエータに機械的に結合された偏光素子を含んでいてよい。一例において、偏光素子はロションプリズムであってよい。別の例において、偏光素子はビームディスプレーサを含んでいてよい。偏光器204は、システム200内で回転可能または回転不能状態のいずれかで動作すべく構成されている。一例において、偏光器204の回転アクチュエータは、偏光素子が照射光220の光軸の回りで回転が停止されたままであるように非稼働であってよい。別の例において、回転アクチュエータは、偏光素子を選択された角周波数ωで照射光の光軸の回りに回転させることができる。
【0050】
他のいくつかの実施形態において、偏光器204は、照射ビーム220の光軸の回りに固定偏光角で配置されるべく構成されている。
【0051】
図9に示すように、照射ビーム220は、回転アクチュエータが偏光素子を選択された角周波数ωで回転させる間、偏光器204を通過する。このように、偏光器204は、ビームスプリッタ206に向けて誘導される偏光ビーム221を生成する。ビームスプリッタ206は偏光ビーム221を対物レンズ201に向けて誘導する。
【0052】
図9に示す実施形態において、対物レンズ201は反射光学素子だけを含むSchwartzschild型の対物レンズである。図9に示すSchwartzschild対物レンズは、光が対物レンズ201を出入りできるように光軸OAに沿った開口部(例:孔)を有する凹鏡208を含んでいる。入射した光は開口部を通過して、凸鏡207から反射されて凹鏡208に向かう。反射光は、凹鏡208によりウェハ212の表面上に焦点を結ぶ。偏光ビーム221は、対物レンズ201により、0度の入射角(すなわち、ウェハ212の表面に垂直)以外のある範囲の入射角にわたり、但しウェハ212の表面上に焦点を結ぶ。いくつかの例において、偏光ビーム221は、5~40度の範囲の入射角でウェハ212の表面上に焦点を結ぶ。他のいくつかの例において、偏光ビーム221は、5~25度の範囲の入射角でウェハ212の表面上に焦点を結ぶ。いくつかの例において、偏光ビーム221の一部が20度未満の入射角でウェハ212の表面上に焦点を結ぶ。他のいくつかの例において、偏光ビーム221の一部が15度未満の入射角でウェハ212の表面上に焦点を結ぶ。いくつかの例において、偏光ビーム221は、小さい入射角でウェハ212の表面上に焦点を結ぶ結果、小さい照射点が生じる。いくつかの例において、結果的に生じた照射点の直径は20マイクロメートル未満である。他のいくつかの例において、結果的に生じた照射点のサイズは直径が10マイクロメートル未満である。
【0053】
焦点を結んだ偏光ビーム221とウェハ212の相互作用は、反射、散乱、回折、透過のいずれか、または他の種類の現象により、放射の偏光を変化させる。ウェハ212との相互作用の後、変調光ビーム222は、対物レンズ201により集光されてビームスプリッタ206に向けて誘導される。ウェハ212からの光は凹鏡208により集光され、凸鏡207上で焦点を結び、入射光と同じ孔を通ってSchwartzschild対物レンズから出てビームスプリッタ206に向かう。ビームスプリッタ206は、変調光222をアナライザ210に向けて透過させるべく構成されている。図9に示す実施形態において、アナライザ210は、変調光ビーム222がアナライザ210およびオプションのビーム焦点集光系211を通過して分光計212に向かう間、変調光ビーム222の光軸の回りの回転が固定されたままである偏光器素子を含んでいる。分光計212において、異なる波長を有するビーム成分は、異なる検出器へ異なる方向に屈折(例えばプリズム分光計内で)または回析(例えば:回折格子分光計内で)する。検出器は、フォトダイオードの線形アレイであって、各フォトダイオードが異なる波長範囲での放射を測定していてよい。分光計212が受信し放射は、偏光状態に関して解析されて、偏光器212を通過した放射線の分光計によるスペクトル解析を可能にする。測定されたスペクトル228はコンピュータシステム130に送られる。コンピュータシステム130は、注目する構造の測定されたスペクトル応答を示す信号228を受信して、測定されたスペクトル応答に基づいて、測定された構造の高吸光膜層の膜厚の値を推定すべく構成されている。
【0054】
図10に、別の実施形態において750ナノメートル~2600ナノメートルの波長範囲にわたり1個以上の測定チャネルを含む赤外分光反射率計を表す。一態様において、赤外分光反射率計300は、斜めの入射を実現すべく軸外非遮蔽対物レンズ301を含んでいる。図10に示す類似参照番号を付与された要素は図4、9に関して記述したものと同様である。
【0055】
赤外分光反射率計300は、図9に関して記述した赤外分光反射率計200に類似している。しかし、Schwartzchild対物レンズの代わりに軸外非遮蔽対物レンズ301が用いられる。入射光は、凸鏡307から反射されて凹鏡308へ向かう。反射光は、凹鏡308によりウェハ312の表面上に焦点を結ぶ。偏光ビーム221は、対物レンズ301によりある範囲の入射角にわたりウェハ312の表面上に焦点を結ぶ。いくつかの例において、偏光ビーム221は、5~40度の範囲の入射角でウェハ312の表面上に焦点を結ぶ。他のいくつかの例において、偏光ビーム221は、5~25度の範囲の入射角でウェハ212の表面上に焦点を結ぶ。いくつかの例において、偏光ビーム221の一部は20度未満の入射角でウェハ312の表面上に焦点を結ぶ。他のいくつかの例において、偏光ビーム221の一部は15度未満の入射角でウェハ312の表面上に焦点を結ぶ。偏光ビーム221は小さい入射角でウェハ312の表面上に焦点を結ぶ結果、小さい照射点が生じる。いくつかの例において、結果的に生じた照射点の直径は20マイクロメートル未満である。他のいくつかの例において、結果的に生じた照射点サイズは直径が10マイクロメートル未満である。
【0056】
焦点を結んだ偏光ビーム221とウェハ312の相互作用は、反射、散乱、回折、透過、または他の何等かの種類の現象により、放射の偏光を変化させる。ウェハ312との相互作用の後、変調光ビーム222は、対物レンズ301により集光されてビームスプリッタ206に向けて誘導される。ウェハ312からの光は凹鏡308により集光され、凸鏡307上で焦点を結び、凸鏡307で視準されて対物レンズ301から出てビームスプリッタ206に向かう。他のいくつかの例において、図10に示すマスク223のように中央が遮蔽された集光マスクは、集光瞳に、またはその近傍に位置している。
【0057】
図6、9および10に示すように、図示する測定チャネルは、照射側に偏光器および集光側にアナライザを含んでいる。しかし一般に、任意の測定チャネルは、サンプルの偏光反射率、サンプルの非偏光反射率、またはその両方の測定を実行すべく、照射偏光器、集光アナライザ、照射補償器、集光補償器の任意の組み合せを含んでいても、または含んでいなくてもよい。
【0058】
図9、10に示すように、図示する分光反射率計は、斜角で試料を照射すべく構成されている。しかし一般に、本明細書に記述するように膜厚測定を実行すべく、任意の分光反射率計により垂直な入射角で試料を照射してもよいことが考えられる。
【0059】
更なる態様において、本明細書に記載するように赤外分光反射率計またはエリプソメーターが組み込まれた測定システムはまた、150ナノメートル~2000ナノメートルの波長範囲で動作する1個以上の追加的な測定チャネルを含んでいてよい。これらの測定チャネルは、分光反射率計、エリプソメーター、散乱計、またはこれらの任意の組み合わせとして構成されていてよい。
【0060】
いくつかの実施形態において、測定システムには、本明細書において記述するように750ナノメートル~2600ナノメートルの波長範囲で動作する1個以上の赤外分光反射率計測定チャネル、1個以上の赤外分光エリプソメーターチャネル、またはその両方が組み込まれている。また、測定システムは、190ナノメートル~900ナノメートルの波長範囲で測定するCCDセンサ等の紫外~近赤外検出器を利用する少なくとも1個の紫外~近赤外分光計チャネル、150ナノメートル~300ナノメートルの波長範囲で測定する真空紫外CCDセンサを用いる少なくとも1個の真空紫外分光計チャネル、2500ナノメートル~4500ナノメートルの波長範囲で測定する少なくとも1個の中央赤外分光計チャネル、またはこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない少なくとも1個以上の追加的なチャネルを含んでいる。これらの実施形態のいくつかにおいて、様々な分光計の測定点は同一場所にある。他のいくつかの実施形態において、測定点は同一場所にない。
【0061】
いくつかの実施形態において、測定システムの1個以上の測定チャネルは、異なる波長の範囲に加え、異なる方位角、異なる入射角、またはその両方でウェハを測定すべく構成されている。いくつかの実施形態において、測定システムは、1個以上の波長範囲、1個以上のAOI範囲、および1個以上の方位角でウェハの反射率を同時に測定すべく構成されている。
【0062】
更に別の態様において、ウェハ平面に射影された照射視野絞りの寸法が、結果的に生じた測定精度および速度を測定対象の目標の特性に基づいて最適化すべく調整される。
【0063】
更に別の態様において、照射視野絞りの寸法が、各々の測定アプリケーションに望ましいスペクトル分解能を実現すべく調整される。
【0064】
いくつかの例において、例えば、サンプルが極めて厚い膜または回折格子構造である場合、入射面に垂直な方向でウェハ平面に射影された照射視野絞りを調整することにより視野サイズを縮小してスペクトル分解能を高める。いくつかの例において、例えば、サンプルが薄い膜である場合、入射面に垂直な方向でウェハ平面に射影された照射視野絞りを調整することによりスペクトル分解能を低下させることなく視野サイズを拡大して測定時間を短縮する。
【0065】
図4に示す実施形態において、コンピュータシステム130は、検出器サブシステムが検出したスペクトル応答を示す信号154を受信すべく構成されている。コンピュータシステム130は更に、プログラム可能な照射視野絞り113に送られた制御信号119を判定すべく構成されている。プログラム可能な照射視野絞り113は、制御信号119を受信して、所望の照射視野サイズを実現すべく照射開口のサイズを調整する。
【0066】
いくつかの例において、照射視野絞りは、上述のように測定精度および速度を最適化すべく調整される。別の例において、照射視野絞りは、分光計スリットによる画像クリッピングおよび対応する測定結果の劣化を防止すべく調整される。このように、照射視野サイズは、測定目標の画像が分光計スリットを塞がないように調整される。一例において、照射視野絞りは、照射光学系の偏光器スリットの射影が測定システムの分光計スリットを覆い尽くさないように調整される。
【0067】
図11に、少なくとも1個の新たな態様による分光測定を実行する方法400を示す。方法400は、図4、9および10に各々示す本発明の測定システム100、200、および300等の測定システムによる実施に適している。一態様において、方法400のデータ処理ブロックは、コンピュータシステム130または他の任意の汎用コンピュータシステムの1個以上のプロセッサにより実行される事前プログラムされたアルゴリズムを介して実行できることを認識されたい。測定システム100、200、および300の特定の構造上の態様は限定的でなく、説明目的に過ぎないものと解釈すべきであることを理解されたい。
【0068】
ブロック401において、ある量の広帯域照射光を測定対象の試料に照射する。
【0069】
ブロック402において、当該量の照射光が測定対象の試料の表面上の測定点に向けて誘導される。当該試料は、第1の材料を含む半導体基板、当該基板上に配置された1個以上のほぼ同一の反復的な層の組、および当該1個以上の反復的な層の組の上に配置された高吸光材料層を含んでいる。高吸光材料層は減衰係数K、および厚さTにより特徴付けられ、積K*Tは0.7マイクロメートルよりも大きい。1個以上の反復的な層の組の各々は異なる材料の2個以上の層を含んでいる。
【0070】
ブロック403において、ある量の光を試料の表面上の測定点から集光する。
【0071】
ブロック404において、集光された光の量を検出する。
【0072】
ブロック405において、集光された光の検出量に基づいて測定対象の高吸光材料層の厚さの推定値を決定する。
【0073】
更なる実施形態において、システム100、200、および300は、本明細書に記述する方法に従い収集された分光測定データに基づいて、膜構造の測定を実行すべく用いられる1個以上のコンピュータシステム130を含んでいる。1個以上のコンピュータシステム130は分光計と通信可能に結合されていてよい。一態様において、1個以上のコンピュータシステム130は、測定対象の試料の構造の測定に関連付けられた測定データを受信すべく構成されている。
【0074】
本開示を通じて記述する1個以上のステップが、単一のコンピュータシステム130により、または代替的に複数のコンピュータシステム130により実行されてよいことを理解されたい。更に、システム100の異なるサブシステムが、本明細書に記述するステップの少なくとも一部の実行に適したコンピュータシステムを含んでいてよい。従って、上の記述は本発明を限定するものではなく、単に説明目的に過ぎないものと解釈されたい。
【0075】
また、コンピュータシステム130は当分野で公知の任意の仕方で分光計に通信可能に結合されていてよい。例えば、1個以上のコンピュータシステム130が、分光計に関連付けられたコンピュータシステムに結合されていてよい。別の例において、分光計はコンピュータシステム130に結合する単一のコンピュータシステムにより直接制御されてよい。
【0076】
測定システム100のコンピュータシステム130は、有線および/または無線部分を含んでいてよい伝送媒体によりシステムのサブシステム(例:分光計等)からデータまたは情報を受信および/または取得すべく構成されていてよい。このように、伝送媒体はコンピュータシステム130とシステム100の他のサブシステムとの間のデータリンクとして機能することができる。
【0077】
測定システム100のコンピュータシステム130は、有線および/または無線部分を含んでいてよい伝送媒体により他のシステムからデータまたは情報(例:測定結果、モデリング入力、モデリング結果、基準測定結果等)を受信および/または取得すべく構成されていてよい。このように、伝送媒体は、コンピュータシステム130と他のシステム(例:メモリオンボード測定システム100、外部メモリ、または他の外部システム)との間でデータリンクとして機能することができる。例えば、コンピュータシステム130は、データリンクを介して記憶媒体(すなわち、メモリ132または外部メモリ)から測定データを受信すべく構成されていてよい。例えば、本明細書に記述する分光計を用いて得られたスペクトル結果を永久または半永久メモリ素子(例:メモリ132または外部メモリ)に保存することができる。この点に関して、スペクトル結果をオンボードメモリから、または外部メモリシステムからインポートすることができる。更に、コンピュータシステム130は、伝送媒体を介して他のシステムへデータを送信することができる。例えば、コンピュータシステム130により決定された測定モデルまたは推定パラメータ値155を外部メモリに送って保存することができる。この点に関して、測定結果は他のシステムにエクスポートすることができる。
【0078】
コンピュータシステム130は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、並列プロセッサ、当分野で公知の他の任意の装置を含んでいてよいが、これらに限定されない。一般に、用語「コンピュータシステム」は広義には、メモリ媒体からの命令を実行する1個以上のプロセッサを有する任意の装置を含むものと定義することができる。
【0079】
本明細書に記述するような方法を実行するプログラム命令134は、導線、ケーブル、または無線送信リンク等の伝送媒体を介して送信することができる。例えば、図1に示すように、メモリ132に保存されたプログラム命令134がバス133を介してプロセッサ131に送信される。プログラム命令134は、計算機可読媒体(例:メモリ132)に保存される。例示的なコンピュータ可読媒体は、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気または光ディスク、或いは磁気テープを含んでいる。
【0080】
いくつかの例において、測定モデルは、米国カリフォルニア州ミルピタス市のKLA-Tencor社から入手可能なSpectraShape(登録商標)光学的限界寸法測定システムの要素として実装されている。このように、本モデルは、システムによりスペクトルが収集された直後に構築されて使用準備ができている。
【0081】
他のいくつかの例において、測定モデルは例えば、米国カリフォルニア州ミルピタス市のKLA-Tencor社から入手可能なAcuShape(登録商標)ソフトウェアを実装したコンピュータシステムによりオフラインで実行される。結果的に生じた、訓練済みモデルは、測定を実行する測定システムからアクセス可能なAcuShape(登録商標)ライブラリの要素として組み込まれていてよい。
【0082】
更に別の態様において、本明細書に記述する測定結果を用いて、加工ツール(例:リソグラフィツール、エッチングツール、堆積ツール等)に能動フィードバックを提供することができる。例えば、本明細書に記述する測定方法に基づいて決定された膜厚パラメータの測定値をリソグラフィツールに送って所望の出力を実現すべくリソグラフィシステムを
調整することができる。同様の仕方で、エッチングパラメータ(例:エッチング時間、拡散係数等)または堆積パラメータ(例:時間、濃度等)を、測定された膜厚のエッチングツールまたは堆積ツールへの能動フィードバックの各々に基づいて修正することができる。いくつかの例において、測定された膜厚に基づいて決定された加工パラメータに対する修正はリソグラフィツール、エッチングツール、または堆積ツールに送られてよい。
【0083】
本明細書に記述するように、用語「限界寸法」は、構造(例:底部臨界寸法、中間限界寸法、最上部限界寸法、側壁角、回折格子高等)の任意の限界寸法、任意の2個以上の構造間の限界寸法(例:2個の構造間の距離)および2個以上の構造同士のずれ(例:重なり合う回折格子構造同士のずれ)を含んでいる。構造は、3次元構造、パターン化構造、オーバーレイ構造等を含んでいてよい。
【0084】
本明細書に記述するように、用語「限界寸法アプリケーション」または「限界寸法測定アプリケーション」は、任意の限界寸法測定を含んでいる。
【0085】
本明細書に記述するように、用語「測定システム」は、限界寸法測定、オーバーレイ測定、焦点/線量測定、および組成測定等の測定アプリケーションを含む、任意の態様の試料を特徴付けるべく少なくとも部分的に用いられる任意のシステムを含んでいる。しかし、本明細書に記述するように、そのような技術用語は用語「測定システム」の範囲を限定しない。また、本明細書に記述する測定システムは、パターン化されたウェハおよび/またはパターン化されていないウェハを測定すべく構成されていてよい。測定システムは、LED検査ツール、エッジ検査ツール、後方検査ツール、マクロ検査ツール、またはマルチモード検査ツール(1個以上のプラットフォームから同時に得られたデータを含む)、および限界寸法データに基づくシステムパラメータの較正を利用する他の任意の測定または検査ツールとして構成されていてよい。
【0086】
任意の半導体加工ツール(例:検査システムまたはリソグラフィシステム)における試料の測定に利用可能な半導体測定システムに関して様々な実施形態を本明細書に記述している。本明細書において用語「試料」はウェハ、レチクル、または当分野で公知の手段により加工(例:印刷または欠陥の検査)可能な他の任意のサンプルを指す。
【0087】
本明細書で用いるように、用語「ウェハ」は一般に、半導体または非半導体材料で形成された基板を指す。例として、単結晶シリコン、ガリウムひ素、およびリン化インジウムが含まれるがこれらに限定されない。このような基板は、半導体製造設備において一般的に発見および/または加工され得る。いくつかのケースにおいて、ウェハは基板だけを含んでいてよい(すなわちベアウェハ)。代替的に、ウェハは基板上に形成された異なる材料の1個以上の層を含んでいてよい。ウェハ上に形成された1個以上の層は、「パターン化されている」かまたは「パターン化されていない」。例えば、ウェハは反復的なパターン特徴を有する複数のダイを含んでいてよい。
【0088】
「レクチル」は、レクチル形成処理の任意の段階でのレクチル、または半導体製造設備での使用に提供されてもされなくてもよい完成品レクチルであってよい。レクチルまたは「マスク」は一般に、その上に実質的に不透明な領域が形成されてパターンとして構成されている実質的に透明な基板として定義される。基板は、例えば非晶質SiO等のガラス材料を含んでいてよい。レクチルは、当該レクチル上のパターンがレジストに転写できるようにリソグラフィ工程の露光ステップを実行する間にレジストで覆われたウェハの上方に配置されてよい。
【0089】
ウェハ上に形成された1個以上の層は、パターン化されていても、またはパターン化されていなくてもよい。例えば、ウェハは、各々が反復的なパターン特徴を有する複数のダイを含んでいてよい。このような材料層の形成および加工は最終的に完成品の素子になり得る。多くの異なる種類の素子をウェハ上に形成することができ、且つ本明細書で用いるように、用語ウェハは、当分野で公知の任意の種類の素子が形成されているウェハを含むものとする。
【0090】
1個以上の例示的な実施形態において、上述の機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせにより実装することができる。ソフトウェアにより実装する場合、当該機能はコンピュータ可読媒体に保存する、またはコンピュータ可読媒体上の1個以上の命令またはコードとして送信することができる。コンピュータ可読媒体は、1箇所から別の箇所へコンピュータプログラムを転送可能にする任意の媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体を含んでいる。記憶媒体は、汎用または専用コンピュータによりアクセス可能な任意の入手可能な媒体であってよい。例えば、但し非限定的に、このようなコンピュータ可読媒体はRAM、ROM、EEPROM、CD-ROM、または他の光ディスク記憶、磁気ディスク記憶または他の磁気記憶装置、或いは所望のプログラムコード手段を命令またはデータ構造の形式で運搬または保存すべく利用可能且つ汎用または専用コンピュータ、或いは汎用または専用プロセッサによりアクセス可能な他の任意の媒体を含んでいてよい。また、任意の接続も適宜コンピュータ可読媒体と称される。例えば、ソフトウェアがウェブサイト、サーバ、または同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、或いは赤外線、高周波、およびマイクロ波等の無線技術を用いる他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、高周波、およびマイクロ波等の無線技術も媒体の定義に含まれる。ディスク(diskおよびdisc)は、本明細書で用いるように、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は通常磁気的にデータを再生するのに対し、ディスク(disc)はレーザーにより光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまたコンピュータ可読媒体の範囲に含めるべきである。
【0091】
特定の具体的な実施形態について説明目的で上に述べてきたが、本特許文献の内容は一般的に適用可能であり、上述の特定の実施形態に限定されない。従って、上述の実施形態の様々な変更、適合、および様々な特徴の組み合わせは、請求項に開示する本発明の範囲から逸脱することなくて実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11