(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】バックグラインディングテープ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220118BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220118BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220118BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20220118BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20220118BHJP
C09J 7/24 20180101ALI20220118BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20220118BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20220118BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01L21/304 622J
H01L21/304 631
H01L21/68 N
B32B27/00 M
B32B27/30 A
B32B27/40
C09J7/24
C09J7/29
C09J7/38
C09J201/00
(21)【出願番号】P 2020526380
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 KR2019006708
(87)【国際公開番号】W WO2019235805
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-05-13
(31)【優先権主張番号】10-2018-0064315
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ソン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】セラ・キム
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ボラ・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ヨン・キム
【審査官】三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0099695(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0109390(KR,A)
【文献】国際公開第2016/151911(WO,A1)
【文献】特開2012-191098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0045319(US,A1)
【文献】特表2012-530375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/683
B32B 27/00
B32B 27/30
B32B 27/40
C09J 7/24
C09J 7/29
C09J 7/38
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位10~40重量%を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含む高分子樹脂層を含み、
前記高分子樹脂層のガラス転移温度が-30℃~0℃である、バックグラインディングテープ
であって、
前記バックグラインディングテープに対する下記回復率1および回復率2の差の絶対値が10%以下である、バックグラインディングテープ:
回復率1は、常温で前記バックグラインディングテープの第1方向に5%延伸時に伸びた長さに対する前記延伸後に回復した長さの比率であり、
回復率2は、常温で前記バックグラインディングテープの第1方向と垂直の第2方向に5%延伸時に伸びた長さに対する前記延伸後に回復した長さの比率である。
【請求項2】
前記ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーは、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート(O-Phenyl phenoxyethyl acrylate)、イソボルニル(メタ)アクリレート(Isobornyl (meth)acrylate)、メチルアクリレート(Methyl acrylate)およびシクロヘキシル(メタ)アクリレート(Cyclohexyl (meth)acrylate)からなる群より選択された1種以上の化合物を含む、請求項1に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項3】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、前記ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位と共に、炭素数2~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位または架橋性官能基を含有した(メタ)アクリレート系繰り返し単位をさらに含む、請求項1または2に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項4】
前記バックグラインディングテー
プに対する前記回復率1および回復率2の差の絶対値が5%以下である、請求項
1~3のいずれか一項に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項5】
前記第1方向は前記バックグラインディングテープに含まれる高分子樹脂層のMD方向であり、前記第2方向は前記高分子樹脂層のTD方向である、請求項
1~4のいずれか一項に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項6】
前記高分子樹脂層の厚さは、5μm~200μmである、請求項1~
5のいずれか一項に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項7】
1μm~100μmの厚さを有する粘着層をさらに含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項8】
5μm~200μmの厚さを有する光透過性基材をさらに含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項9】
前記光透過性基材の一面に前記高分子樹脂層が形成され、前記光透過性基材の他の一面に
1μm~100μmの厚さを有する粘着層が形成される、請求項
8に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項10】
前記バックグラインディングテープは、50
μm以下の厚さを有する薄膜ウエハーの研
削に使用される、請求項1~
9のいずれか一項に記載のバックグラインディングテープ。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項のバックグラインディングテープを用いたウエハーの研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2018年6月4日付韓国特許出願第10-2018-0064315号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、バックグラインディングテープに関するものであって、具体的には、半導体の製造工程の中のバックグラインディング工程で半導体ウエハーの表面に付着して表面を保護する役割を果たす粘着性テープに関するものである。
【背景技術】
【0003】
最近、電子機器の小型化、高機能化、大容量化傾向が拡大され、これに伴う半導体パッケージの高密度化、高集積化に対する必要性が急激に大きくなっている。これを反映して、半導体チップの大きさがますます大きくなり、同時にチップの厚さは薄くなり、回路の集積度は高まっている。しかし、半導体チップ自体のモジュラスは低くなって製造工程や最終製品の信頼性に問題点を招いている。
【0004】
このような、半導体の大型化および薄型化の要求により、ウエハー後面を微細なダイヤモンド粒子から構成された研磨ホイールで磨いてチップの厚さを薄くすることによって組み立てを容易にする研削(バックグラインディング)工程が必須的に行われ、前記研削工程中に多量のシリコン残余物(Dust)および粒子(Particle)による汚染と亀裂発生のようなウエハーの損傷が頻繁に発生している。これにより、半導体ウエハー表面保護用粘着フィルムまたはバックグラインディングテープ(Back Grinding Tape)の役割がさらに重要視されている。
【0005】
特に、半導体ウエハーをきわめて薄い厚さまで研削する場合、ウエハーの剛性が低下し、たわみが生じやすいので、研削する工程で使用するバックグラインディングテープの物性の均一度がさらに重要になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、薄い厚さを有するウエハーを研削する工程に容易に適用することができ、より向上したウエハー保護性能を実現することができるバックグラインディングテープを提供するためのものである。
【0007】
また、本発明は、前記バックグラインディングテープを用いたウエハーの研削方法を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位10~40重量%を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含む高分子樹脂層を含み、前記高分子樹脂層のガラス転移温度が-30℃~0℃であるバックグラインディングテープが提供される。
【0009】
また、本明細書では、前記バックグラインディングテープを用いたウエハーの研削方法が提供される。
【0010】
以下、発明の具体的な実施形態によるバックグラインディングテープおよびウエハー研削方法についてより具体的に説明する。
【0011】
本明細書で、(メタ)アクリレートは、アクリレート[acrylate]および(メタ)クリルレート[(meth)acrylate]を全て含む意味である。
【0012】
前述のように、発明の一実施形態によれば、ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位10~40重量%を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含む高分子樹脂層を含み、前記高分子樹脂層のガラス転移温度が-30℃~0℃であるバックグラインディングテープを提供することができる。
【0013】
本発明者らは、ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位10~40重量%を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂を使用して-30℃~0℃のガラス転移温度を有する高分子樹脂層を製造し、このような高分子樹脂層をバックグラインディングテープとして使用する場合、約50μmの薄い厚さを有するウエハーを研削する工程に容易に適用することができ、一定水準以下の回復率を有するため工程中に発生する応力や熱による変形を防止して、より向上したウエハー保護性能を実現することができるという点を実験を通じて確認して、発明を完成した。
【0014】
より具体的に、前記高分子樹脂層が-30℃~0℃のガラス転移温度を有し、ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位10~40重量%を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含むことによって、前記バックグラインディングテープに対して測定した下記回復率1および回復率2の差の絶対値が10%以下であり得る。
【0015】
[回復率1および2の定義]
回復率1は、常温で前記バックグラインディングテープのいずれか一つの方向(第1方向)に5%延伸時長さに対する前記延伸後に回復した長さの比率である。
【0016】
前記回復率2は、常温で前記バックグラインディングテープの第1方向と垂直の第2方向に5%延伸時長さに対する前記延伸後に回復した長さの比率である。
【0017】
前記回復率1および回復率2の差の絶対値が10%を超過する場合、グラインディング工程中発生する熱や応力によってチップとチップの間の間隔(以下、kerf)が膨張するか収縮してチップ割れが発生するかアライン(align)がずれて工程上エラーが発生することがあり、回復率1および回復率2の差の絶対値が10%以下であってこそ膨張や収縮による変形が少なくてチップ割れやkerf収縮を防止することができ、より向上したウエハー保護性能を実現することができる。
【0018】
この時、回復率1および回復率2の差の絶対値は、10%以下、または7%以下、または5%以下であり得る。
【0019】
一方、前記第1方向は前記バックグラインディングテープに含まれる高分子樹脂層のMD方向であってもよく、前記第2方向は前記高分子樹脂層のTD方向であってもよい。
【0020】
前記高分子樹脂層は、ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位10~40重量%を含むウレタン(メタ)アクリレート樹脂を含むことによって-30℃~0℃のガラス転移温度を有することができる。より具体的に、ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーは、0℃~100℃のガラス転移温度を有することができる。
【0021】
前記ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーの具体的な例としては、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート(O-Phenyl phenoxyethyl acrylate、OPPEA)、イソボルニル(メタ)アクリレート(isobornyl (meth)acrylate、IBOA)、メチルアクリレート(Methyl acrylate)およびシクロヘキシル(メタ)アクリレート(Cyclohexyl (meth)acrylate)からなる群より選択された1種以上の化合物が挙げられる。
【0022】
また、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、前記ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位と共に、炭素数2~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位または架橋性官能基を含有した(メタ)アクリレート系繰り返し単位をさらに含むことができる。
【0023】
前記炭素数2~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレート系繰り返し単位は、ペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートまたはデシル(メタ)アクリレートからなる群より選択された1種以上の単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位であってもよい。
【0024】
前記架橋性官能基を含有した(メタ)アクリレート系繰り返し単位の具体的な例としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、窒素を含む官能基などを含む(メタ)アクリレート系繰り返し単位が挙げられ、前記架橋性官能基を含有した(メタ)アクリレート系繰り返し単位は前記架橋性官能基を含有した(メタ)アクリレート系単量体に由来したものであってもよい。
【0025】
この時、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート系単量体の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート系単量体の例としては、(メタ)アクリル酸などが挙げられ、窒素を含む官能基を含有した(メタ)アクリレート系単量体の例としては(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドンまたはN-ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0026】
一方、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、前記ガラス転移温度が0℃以上である(メタ)アクリレート単量体またはオリゴマーに由来した繰り返し単位10~40重量%を含むことができ、また、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは高分子に由来した部分(セグメント)やウレタン(メタ)アクリレート系繰り返し単位をさらに含むことができる。
【0027】
前記ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーまたは高分子の例が具体的に限定されるのではなく、例えば、分子量100~15,000のウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーまたはポリカーボネート変性脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーなどや、分子量20,000~100,000のポリカーボネートウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0028】
前記高分子樹脂層の厚さは大きく限定されるのではないが、5μm~200μmの厚さを有することができる。
【0029】
一方、前記実施形態のバックグラインディングテープは、1μm~100μmの厚さを有する粘着層をさらに含むことができる。
【0030】
前記粘着層の具体的な組成が大きく限定されるのではなく、例えば、前記粘着層は粘着樹脂、光開始剤および架橋剤を含むことができる。
【0031】
前記架橋剤は、イソシアネート系化合物、アジリジン系化合物、エポキシ系化合物および金属キレート系化合物からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができる。前記粘着層は、前記粘着樹脂100重量部に対して架橋剤0.1~40重量部を含むことができる。前記架橋剤の含量が過度に低ければ前記粘着層の凝集力が不足することがあり、前記架橋剤の含量が過度に高ければ前記粘着層が光硬化以前に粘着力が十分に確保されずチップ飛散現象などが発生することがある。
【0032】
前記光開始剤の具体的な例が限定されるのではなく、通常知られた光開始剤を使用することができる。また、前記粘着層は、前記粘着樹脂100重量部に対して光開始剤0.1~20重量部を含むことができる。
【0033】
一方、前記粘着樹脂は、(メタ)アクリレート系樹脂を含むことができる。本明細書で、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを全て含む意味である。
【0034】
前記(メタ)アクリレート系樹脂は例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および架橋性官能基含有単量体の共重合体であってもよい。この時、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の例としてはアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、より具体的には、炭素数1~12のアルキル基を有する単量体として、ペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートまたはデシル(メタ)アクリレートの一種または二種以上の混合が挙げられる。
【0035】
前記架橋性官能基含有単量体の例としては、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体または窒素含有単量体の一種または二種以上の混合が挙げられる。
【0036】
前記ヒドロキシル基含有化合物の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、または2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0037】
前記カルボキシル基含有化合物の例としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピオン酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ酪酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレイン酸、またはマレイン酸無水物などが挙げられる。
【0038】
前記窒素含有単量体の例としては、(メタ)アクリロニトリル、N-ビニルピロリドンまたはN-ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。
【0039】
前記(メタ)アクリレート系樹脂にはまた、相溶性などのその他機能性向上の観点で、酢酸ビニル、スチレンまたはアクリロニトリルなどが追加的に含まれる。
【0040】
前記粘着層は、紫外線硬化型化合物をさらに含むことができる。
【0041】
前記紫外線硬化型化合物の種類は特に制限されず、例えば、重量平均分子量が500~300,000程度である多官能性化合物(ex.多官能性ウレタンアクリレート、多官能性アクリレート単量体またはオリゴマーなど)を使用することができる。この分野の平均的技術者は目的とする用途による適切な化合物を容易に選択することができる。前記紫外線硬化型化合物の含量は前述の粘着樹脂100重量部に対して、1重量部~400重量部、好ましくは5重量部~200重量部であってもよい。紫外線硬化型化合物の含量が1重量部未満であれば、硬化後粘着力低下が十分でなくてピックアップ性が落ちる恐れがあり、400重量部を超過すれば、紫外線照射前粘着剤の凝集力が不足するか、離型フィルムなどとの剥離が容易に行われない恐れがある。
【0042】
前記紫外線硬化粘着剤は、前記の添加型紫外線硬化型化合物だけでなく、アクリル共重合体に炭素-炭素二重結合を側鎖または主鎖末端に結合された形態でも使用可能である。即ち、(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル系単量体および架橋性官能基含有単量体を含む主鎖の側鎖に結合された紫外線硬化型化合物を追加的に含むことができる。
【0043】
前記紫外線硬化型化合物の種類は、光硬化性官能基(ex.紫外線重合性炭素-炭素二重結合)を一分子当り1~5個、好ましくは1または2個含み、また、前記主鎖に含まれる架橋性官能基と反応できる官能基を有する限り特に制限されない。この時、主鎖の架橋性官能基と反応できる官能基の例としては、イソシアネート基またはエポキシ基などが挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0044】
前記紫外線硬化型化合物の具体的な例としては、主鎖に含まれているヒドロキシ基と反応できる官能基を含むものとして、(メタ)アクリロイルオキシイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート、m-プロぺニル-α、α-ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、またはアリルイソシアネート;ジイソシアナート化合物またはポリイソシアネート化合物を(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルと反応させて得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物および(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルを反応させて得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;または主鎖に含まれるカルボキシル基と反応できる官能基を含むものであってグリシジル(メタ)アクリレートまたはアリルグリシジルエーテルなどの一種または二種以上が挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0045】
前記紫外線硬化型化合物は、主鎖に含まれている架橋性官能基の5モル%~90モル%を置換してベース樹脂の側鎖に含まれる。前記置換量が5モル%未満であれば紫外線照射による剥離力低下が十分でない恐れがあり、90モル%を超過すれば紫外線照射前の粘着剤の凝集力が低下する恐れがある。
【0046】
前記粘着層は、ロジン樹脂、テルペン(terpene)樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂または脂肪族芳香族共重合石油樹脂などの粘着付与剤を適切に含むことができる。
【0047】
前記粘着層を基材フィルム上に形成する方法は特に限定されず、例えば基材フィルム上に直接本発明の粘着剤組成物を塗布して粘着層を形成する方法、または剥離性基材上に先ず粘着剤組成物を塗布して粘着層を製造し、次いで前記剥離性基材を使用して粘着層を基材フィルム上に転写する方法などを使用することができる。
【0048】
前記粘着剤組成物を塗布および乾燥する方法は特に限定されず、例えば前記それぞれの成分を含む組成物をそのまま、または適当な有機溶剤に希釈してコンマコーター、グラビアコーター、ダイコーターまたはリバースコーターなどの公知の手段で塗布した後、60℃~200℃の温度で10秒~30分間溶剤を乾燥させる方法を使用することができる。また、前記過程では粘着剤の十分な架橋反応を進行させるためのエージング(aging)工程を追加的に行うこともできる。
【0049】
前記粘着層は、1μm~100μmの厚さを有することができる。
【0050】
また、前記実施形態のバックグラインディングテープは、5μm~200μmの厚さを有する光透過性基材をさらに含むことができる。
【0051】
前記光透過性基材は、300~600nmの波長に対する透過率が50%以上である高分子樹脂を含む基材であってもよい。
【0052】
前記光透過性基材として使用可能な高分子樹脂の種類が大きく限定されるのではなく、例えば前記光透過性基材の材料としてはPETなどのポリエステル、トリアセチルセルロースなどのセルロース、環状オレフィン系(共)重合体、ポリイミド、スチレンアクリロニトリル共重合体(SAN)、低密度ポリエチレン、線状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレンのランダム共重合体、ポリプロピレンのブロック共重合体、ホモポリプロピレン、ポリメチルペンテン(polymethylpentene)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-アイオノマー共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリブテン、スチレンの共重合体またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
【0053】
前記実施形態のバックグラインディングテープの具体的な構成としては前述の高分子樹脂層の一面に接着層が形成される構造であるか、または前記光透過性基材の一面に前記高分子樹脂層が形成され、前記基材の他の一面に前記粘着層が形成される構造であってもよい。
【0054】
一方、前記バックグラインディングテープは、選択的に接着層を追加的に備えることもできる。
【0055】
前記接着層は、熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂および硬化剤を含むことができる。
【0056】
前記熱可塑性樹脂は、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、フェノキシ、反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合ゴムおよび(メタ)アクリレート系樹脂からなる群より選択された一つ以上の高分子樹脂を含むことができる。
【0057】
前記エポキシ樹脂にはこの分野で公知された一般的な接着剤用エポキシ樹脂が含まれてもよく、例えば、分子内に2つ以上のエポキシ基を含有し、重量平均分子量が100~2,000であるエポキシ樹脂を使用することができる。
【0058】
前記エポキシ樹脂は硬化工程を通じてハードな架橋構造を形成して、優れた接着性、耐熱性および機械的強度を示すことができる。より具体的に、前記エポキシ樹脂は平均エポキシ当量が100~1,000であるエポキシ樹脂を使用するのが好ましい。前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が100未満であれば、架橋密度が過度に高まって、接着フィルムが全体的に硬い性質を示す恐れがあり、1,000を超過すれば、耐熱性が低下される恐れがある。
【0059】
前記エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂またはビスフェノールFエポキシ樹脂などの二官能性エポキシ樹脂;またはクレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂またはジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂などの3つ以上の官能基を有する多官能性エポキシ樹脂の一種または二種以上が挙げられるが、これに制限されるわけではない。
【0060】
また、前記エポキシ樹脂として二官能性エポキシ樹脂および多官能性エポキシ樹脂の混合樹脂を使用するのが好ましい。本明細書で使用する用語「多官能性エポキシ樹脂」は、3つ以上の官能基を有するエポキシ樹脂を意味する。即ち、一般に二官能性エポキシ樹脂は柔軟性および高温での流動性などは優れるが、耐熱性および硬化速度が落ちる反面、官能基が3つ以上である多官能性エポキシ樹脂は硬化速度が速く、高い架橋密度によって優れた耐熱性を示すが、柔軟性および流動性が劣る。
【0061】
前記接着層に含まれる硬化剤は前記エポキシ樹脂および/または熱可塑性樹脂と反応して、架橋構造を形成することができるものであれば特に制限されず、例えば、前記硬化剤はフェノール系樹脂、アミン系硬化剤、および酸無水物系硬化剤からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができる。
【0062】
前記接着層は、前記エポキシ樹脂100重量部に対して前記熱可塑性樹脂10~1,000重量部および前記硬化剤10~700重量部を含むことができる。
【0063】
前記硬化触媒は前記硬化剤の作用や前記半導体接着用樹脂組成物の硬化を促進させる役割を果たし、半導体接着フィルムなどの製造に使用されることが知られている硬化触媒を大きな制限なく使用することができる。例えば、前記硬化触媒としては、リン系化合物、ホウ素系化合物およびリン-ホウ素系化合物およびイミダゾール系化合物からなる群より選択された1種以上を使用することができる。前記硬化触媒の使用量は最終製造される接着フィルムの物性などを考慮して適切に選択することができ、例えば、前記エポキシ樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂およびフェノール樹脂の総合100重量部を基準にして0.5~10重量部で使用することができる。
【0064】
前記接着層は、1μm~300μmの厚さを有することができる。
【0065】
一方、発明の他の実施形態によれば、前記バックグラインディングテープを用いたウエハーの研削方法を提供することができる。
【0066】
前記バックグラインディングテープを半導体ウエハーの一面に粘着させた状態で半導体のウエハーの研削工程を行うことができる。前記研削工程以後に前記バックグラインディングテープに対して紫外線照射または加熱処理などを行ってこれを剥離することができる。
【0067】
半導体のウエハーの研削工程で前記バックグラインディングテープを使用する様態は大きく限定されないが、例えば、前記バックグラインディングテープを常温で50μm厚さまでハーフカットされた回路面に付着した後、バッククライディンテープが付着された面を真空テーブルに固定して回路面の裏面を研削することができる。そして、前記研削されたウエハーに対してバッククライディンテープにUV A 500mJ/cm2以上照射する方法を通じて前記バックグラインディングテープを除去することができる。
【発明の効果】
【0068】
本発明によれば、薄い厚さを有するウエハーを研削する工程に容易に適用することができ、より向上されたウエハー保護性能を実現することができるバックグラインディングテープと、前記バックグラインディングテープを用いたウエハーの研削方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0069】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【0070】
[実施例1:バックグラインディングテープの製造]
(1)高分子樹脂層の製造
ポリカーボネートウレタンアクリレート(分子量3万g/mol)25g、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)30g、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)15g、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート(OPPEA、ガラス転移温度33℃)15gおよびイソボルニルアクリレート(IBOA、ガラス転移温度94℃)15gを投入して混合した。
【0071】
前記単量体100重量部を基準にして光開始剤(Irgacure 651)0.5gを投入して混合した。そして、前記光開始剤が投入された混合物を50μm厚さのPET基材(SKC社、T7650 grade)に直接コーティングして1J/cm2の線量のUVを照射して50μm厚さの高分子樹脂層を含む100μm厚さの半製品を形成した。
【0072】
TA instruments社の動的機械分析器Q-800装備を用いて測定した結果、形成された高分子基材フィルムのガラス転移温度は-10℃であるという点を確認した。
【0073】
(2)粘着層の形成
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)68.5重量部、メチルアクリレート(MA)8.5重量部とヒドロキシエチルアクリレート(HEA)23重量部から構成される単量体の混合物から共重合された(メタ)アクリレート系高分子樹脂100gにTDI系イソシアネート硬化剤7g、および光開始剤(Irgacure 184)3gを混合して粘着剤組成物を製造した。
【0074】
前記粘着剤組成物をシリコン離型処理されたPETフィルムに塗布した後、110℃で3分間乾燥して厚さ20μmの粘着層を形成した。乾燥して、厚さが20μmである粘着層を前記高分子樹脂層とPET基材(SKC社、T7650 grade)を含む半製品のPET基材上に貼り合わせてバックグラインディングテープを製造した。
【0075】
[比較例1:バックグラインディングテープの製造]
(1)高分子樹脂層の製造
ポリカーボネートウレタンアクリレート(分子量3万g/mol)25g、2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)10g、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)15g、O-フェニルフェノキシエチルアクリレート(OPPEA)17gおよびイソボルニルアクリレート(IBOA)33gを混合した点を除いて、前記実施例1と同様な方法で高分子樹脂層を含む半製品を製造した。
【0076】
TA instruments社の動的機械分析器Q-800装備を用いて測定した結果、形成された高分子基材フィルムのガラス転移温度は22℃であるという点を確認した。
【0077】
(2)粘着層の形成
前記実施例1と同様な方法で前記製造された前記半製品上に厚さ20μmの粘着層を形成した。
【0078】
[実験例:回復率測定]
前記実施例および比較例で製造したバックグラインディングテープに対して下記の方法で回復率を測定し、その結果を下記表1に示した。
【0079】
(1)実施例1および比較例1のバックグラインディングテープを幅2.5cm、長さ25cmにするサンプルを準備した。
【0080】
(2)サンプルの両端2.5cmを測定装備に固定した後、常温でMD方向およびTD方向にTexture analyserを使用してtension modeで5%延伸した。前記延伸時伸びた長さを測定し、1分間維持後に回復した長さを測定した。
【0081】
伸びた長さに対する回復した長さを百分率で表して回復率を測定した。
回復率(%)=(回復した長さ/伸びた長さ)*100
【0082】
【0083】
上記表1から確認されるように、実施例1のバックグラインディングテープはMD方向回復率(%)とTD方向回復率(%)の差が5%であって、一定水準以下の回復率差を有するため膨張や収縮による変形が少なくてバックグラインディング工程中にkerf収縮が発生しないことが確認された。
【0084】
これに反し、比較例1のバックグラインディングテープはMD方向回復率(%)とTD方向回復率(%)の差が15%であって、バックグラインディング工程中にkerf収縮が発生するという点が確認された。