(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】酸性液状調味料
(51)【国際特許分類】
A23L 27/60 20160101AFI20220118BHJP
【FI】
A23L27/60 A
(21)【出願番号】P 2021104430
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2021-07-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 寛光
(72)【発明者】
【氏名】山口 春香
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-184920(JP,A)
【文献】国際公開第2020/008677(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/084848(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、食用油脂、食酢、植物粉砕物、増粘多糖類、及び水を含有し、少なくとも一部に乳化相を有する容器詰め酸性液状調味料であって、
卵黄の含有量が0質量%以上0.001質量%以下であり、
前記食用油脂が、香味油及び/又は油溶性香料を含有し、
前記食用油脂の含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、
15質量%以上50質量%以下であり、
酢酸の含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.3質量%以上0.8質量%以下であり、
前記酸性液状調味料の25℃における粘度が、1500mPa・s以上であり、
前記酸性液状調味料の乳化相中の油滴は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、分析条件:非球形及び屈折率1.6、粒子径測定範囲:0.021μm以上2000μm以下、粒子径区分:132chで測定した体積基準粒度分布において、モード径の半値幅が30.0μm以上60.0μm以下であることを特徴とする、
酸性液状調味料。
【請求項2】
前記酸性液状調味料の乳化相中の油滴は、前記モード径が、20μm以上100μm以下であることを特徴とする、
請求項1に記載の酸性液状調味料。
【請求項3】
前記酸性液状調味料の25℃における粘度が、20000mPa・s以下であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の酸性液状調味料。
【請求項4】
前記植物粉砕物の含有量が、乾燥重量換算で、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.1質量%以上40質量%以下であることを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一項に記載の酸性液状調味料。
【請求項5】
前記増粘多糖類が、ガム類であることを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の酸性液状調味料。
【請求項6】
前記ガム類の含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.01質量%以上1.0質量%以下であることを特徴とする、
請求項5に記載の酸性液状調味料。
【請求項7】
前記ガム類が、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びアラビアガムからなる群から選択される少なくとも1種以上を含むことを特徴とする、
請求項5または6に記載の酸性液状調味料。
【請求項8】
前記ガム類が、キサンタンガムを含むことを特徴とする、
請求項5または6に記載の酸性液状調味料。
【請求項9】
前記キサンタンガムの含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.01質量%以上1.0質量%以下であることを特徴とする、
請求項8に記載の酸性液状調味料。
【請求項10】
前記植物粉砕物における植物原料が、ごまを含むことを特徴とする、
請求項1~9のいずれか一項に記載の酸性液状調味料。
【請求項11】
前記植物粉砕物における植物原料が、たまねぎを含むことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載の酸性液状調味料。
【請求項12】
前記酸性液状調味料が、植物具材をさらに含有することを特徴とする、
請求項1~11のいずれか一項に記載の酸性液状調味料。
【請求項13】
前記植物具材が、前記植物粉砕物と同じ植物原料であることを特徴とする、
請求項12に記載の酸性液状調味料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性液状調味料に関し、詳細には、植物粉砕物を含有し、少なくとも一部に乳化相を有する酸性液状調味料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生野菜や食肉、鮮魚類に風味付けするために、ドレッシングをはじめとした様々な酸性液状調味料が食されてきた。その中でも、食用油脂の配合により水相及び油相を有し、水相に食酢を含む酸性液状調味料が多く製造販売されてきた。
【0003】
ここで、水相と油相を含む酸性液状調味料としては、水相中に乳化剤を用いて油相が油滴状に分散した乳化液状調味料と、水相と油相とが分離した分離液状調味料が存在している。乳化液状調味料は、クリーミィな風味を特徴とし、マヨネーズ等がこれに分類される。しかし、乳化液状調味料は全体的にクリーミィな風味を有するものの、水相の酸味や油相の風味を全体的にならす傾向にある。例えば、マヨネーズには多量の食酢が含まれるが、実際には酢酸の酸味を直接的に強く感じることはほとんどない。
【0004】
一方、分離液状調味料は、通常、乳化剤を含まず、喫食の直前に振り混ぜ、一時的に水相と食用油脂を混合するものであり、水相の風味を強く感じることができる。例えば、香味立ちを強くするために、水相部の上に香味油を載置させた分離液状調味料が提案されている(特許文献1)。しかし、分離液状調味料は、水相や油相の風味を強く感じることができる一方で、油脂のべったりとした風味が出てしまい、キレのある油脂のコクが感じ難いという傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の酸性液状調味料では、水相の風味と油脂の旨味(キレのある油脂のコクと油相の風味)のバランスがよく、メリハリのある風味を実現できていないという課題が存在した。特に、植物粉砕物を含む酸性液状調味料においては、全体的に味がならされる傾向にあり、メリハリという点で顕著な課題が存在した。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、水相の酸味と油相の旨味のバランスが良く、かつこれらをメリハリよく感じられる酸性液状調味料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことに、植物粉砕物を含有し、少なくとも一部に乳化相を有する容器詰め酸性液状調味料において、乳化相中の油滴のモード径の半値幅を特定の範囲内に調節することによって、上記の課題を解決できることを知見した。本発明者等は、当該知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の一態様によれば、
少なくとも、食用油脂、食酢、植物粉砕物、増粘多糖類、及び水を含有し、少なくとも一部に乳化相を有する容器詰め酸性液状調味料であって、
卵黄の含有量が0質量%以上0.001質量%以下であり、
前記食用油脂が、香味油及び/又は油溶性香料を含有し、
前記食用油脂の含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、10質量%以上50質量%以下であり、
酢酸の含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.3質量%以上0.8質量%以下であり、
前記酸性液状調味料の25℃における粘度が、1500mPa・s以上であり、
前記酸性液状調味料の乳化相中の油滴は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、分析条件:非球形及び屈折率1.6、粒子径測定範囲:0.021μm以上2000μm以下、粒子径区分:132chで測定した体積基準粒度分布において、モード径の半値幅が30.0μm以上60.0μm以下であることを特徴とする、
酸性液状調味料が提供される。
【0010】
本発明の態様においては、前記酸性液状調味料の乳化相中の油滴は、前記モード径が、20μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の態様においては、前記酸性液状調味料の25℃における粘度が、20000mPa・s以下であることが好ましい。
【0012】
本発明の態様においては、前記植物粉砕物の含有量が、乾燥重量換算で、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明の態様においては、前記増粘多糖類が、ガム類であることが好ましい。
【0014】
本発明の態様においては、前記ガム類の含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の態様においては、前記ガム類が、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びアラビアガムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0016】
本発明の態様においては、前記ガム類が、キサンタンガムを含むことが好ましい。
【0017】
本発明の態様においては、前記キサンタンガムの含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.01質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0018】
本発明の態様においては、前記植物粉砕物における植物原料が、ごまを含むことが好ましい。
【0019】
本発明の態様においては、前記植物粉砕物における植物原料が、たまねぎを含むことが好ましい。
【0020】
本発明の態様においては、前記酸性液状調味料が、植物具材をさらに含有することが好ましい。
【0021】
本発明の態様においては、前記植物具材が、前記植物粉砕物と同じ植物原料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、水相の酸味と油相の旨味のバランスが良く、かつこれらをメリハリよく感じられる酸性液状調味料を提供することができる。このような酸性液状調味料は消費者の食欲を惹起することができ、酸性液状調味料のさらなる市場拡大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】油滴の体積基準粒度分布におけるモード径及び半値幅の概念を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<酸性液状調味料>
本発明の酸性液状調味料は、少なくとも、植物粉砕物、食用油脂、食酢、増粘多糖類、及び水を含有するものであり、植物具材及び他の原料等をさらに含んでもよい。
【0025】
酸性液状調味料は、少なくとも一部に乳化相を有する。すなわち、全部が乳化状態であってもよいし、油相の一部が上部にわずかに浮いている状態であってもよいし、乳化状態の部分の上に油相が積層されている状態であってもよい。ここで、乳化状態とは、水相に油相が油滴状に分散した(水中油滴型(O/W型))状態を指す。
【0026】
酸性液状調味料としては、例えば、ドレッシング、ソース、タレ、及びこれらに類する他の食品が挙げられ、ドレッシングが好ましい。
【0027】
(酸性液状調味料のpH)
酸性液状調味料のpHは、特に限定されないが、例えば、好ましくは3.0以上4.6以下であり、下限値はより好ましくは3.3以上であり、さらに好ましくは3.6以上であり、上限値はより好ましくは4.4以下であり、さらに好ましくは4.3以下である。酸性液状調味料のpHが上記範囲内であれば、酸性液状調味料の微生物発生を制御して保存性を高めながら、酸性液状調味料の風味のバランスを良好にすることができる。なお、酸性液状調味料のpHの値は、1気圧、品温20℃とした時に、pH測定器(株式会社堀場製作所製卓上型pHメータF-72)を用いて測定すればよい。
【0028】
(酸性液状調味料の水相のブリックス)
酸性液状調味料の水相のブリックスは、品温25℃において、例えば、好ましくは4%以上であり、より好ましくは8%以上であり、さらに好ましくは10%以上である。また、食用油脂の含有量(酸性液状調味料全量に対する質量%)と水相中のブリックスを合計した値は、例えば、好ましくは15以上であり、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは25以上である。
なお、酸性液状調味料のブリックスの値は、1気圧、品温25℃とした時に、屈折計を用いて測定した値である。
【0029】
(酸性液状調味料の粘度)
酸性液状調味料の粘度は、1500mPa・s以上であり、下限値は好ましくは1600mPa・s以上であり、より好ましくは1700mPa・s以上であり、さらに好ましくは1800mPa・s以上であり、さらにより好ましくは2000mPa・s以上であり、最も好ましくは2500mPa・s以上であり、上限値は好ましくは20000mPa・s以下であり、より好ましくは15000mPa・s以下であり、さらに好ましくは10000mPa・s以下であり、さらにより好ましくは8000mPa・s以下であり、最も好ましくは6000mPa・s以下である。酸性液状調味料に上記範囲内の粘度を付与することで、油の旨味を感じ易くなるために好ましい。酸性液状調味料の粘度が下限値を下回ると、油相の旨味が感じられずバランスが悪くなり、また水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなくなってしまうため、本願発明の効果を得られない。
なお、粘度の測定方法は、BH形粘度計を使用し、品温25℃、回転数10rpmの条件で、粘度が1500mPa・s以上10000mPa・s未満のとき:ローターNo.3、10000mPa・s以上20000mPa・s未満のとき:ローターNo.4、20000mPa・s以上40000mPa・s未満のとき:ローターNo.5、40000mPa・s以上100000mPa・s未満のとき:ローターNo.6、100000mPa・s以上のとき:ローターNo.7を使用し、測定開始後3分後の示度により算出した値である。
【0030】
(体積基準粒度分布)
酸性液状調味料の乳化相中の油滴は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、分析条件:非球形及び屈折率1.6、粒子径測定範囲:0.021μm以上2000μm以下、粒子径区分:132chで測定した体積基準粒度分布において、モード径の頻度の1/2の頻度における幅(μm)(「半値幅」と言う)が一定範囲内であることを特徴とする。なお、モード径とは、体積基準粒度分布における頻度が最大になる粒子径(最頻径)のことである。ここで、
図1のグラフを参照しながら、油滴の体積基準粒度分布におけるモード径及び半値幅を説明する。油滴のモード径の頻度がY(%)の場合、頻度がY/2(%)における粒子径の幅が半値幅である。
また、仮に一つのピークについて最頻径にあたる生データが2つに渡る場合は、その数値の平均値をモード径とすればよい。
なお、本発明において、粒子の頻度とは、0.021μm以上2000μm以下において粒子径区分132chで測定した際の各粒子径区分に入る粒子の割合が全体の何%かを表す値を指す。
【0031】
酸性液状調味料の乳化相中の油滴のモード径は、好ましくは20μm以上100μm以下であり、下限値はより好ましくは25μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上であり、さらにより好ましくは35μm以上であり、上限値はより好ましくは95μm以下であり、さらに好ましくは90μm以下であり、さらにより好ましくは80μm以下であり、最も好ましくは70μm以下である。酸性液状調味料の乳化相中の油滴のモード径が上記数値範囲内であれば、油相の旨味がバランス良く感じられ、かつ、水相の酸味と油相の旨味がメリハリよく感じられる。本発明において、油滴のモード径を調節する方法としては、例えば、酸性液状調味料の製造工程において、撹拌の強さを調節したり、粘度を調節したり、あるいは食用油脂や増粘多糖類等の配合量を調節したりすることが挙げられる。
【0032】
酸性液状調味料の乳化相中の油滴のモード径の半値幅は、30.0μm以上60.0μm以下であり、下限値は好ましくは31.0μm以上であり、より好ましくは32.0μm以上であり、上限値は好ましくは58.0μm以下であり、より好ましくは55.0μm以下であり、さらに好ましくは52.0μm以下であり、さらにより好ましくは50.0μm以下である。油滴のモード径の半値幅が上記数値範囲内であれば、油相の旨味がバランス良く感じられ、かつ、水相の酸味と油相の旨味がメリハリよく感じられる。油滴のモード径の半値幅が下限値を下回ると、油相がクリーミィすぎて水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなくなってしまい、本願発明の効果を得られない。一方、油滴のモード径の半値幅が上限値を上回ると、油相の旨味が感じられずバランスが悪くなり、また水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなくなってしまうため、本願発明の効果を得られない。本発明において、油滴のモード径の半値幅を調節する方法としては、例えば、酸性液状調味料の製造工程において、撹拌の強さを調節したり、粘度を調節したり、あるいは食用油脂や増粘多糖類等の配合量を調節したりすることが挙げられる。
【0033】
酸性液状調味料の乳化相中の油滴のモード径の半値幅の算出方法としては、例えば、生データから読み取ることができる。なお、モード径における頻度の1/2の頻度に一致する生データがない場合は、モード径より順次頻度を確認していき、モード径における頻度の1/2の頻度を始めて下回った数値を参照する。具体的には、下記表1に示す生データの場合、モード径が47.98μmであり、モード径の頻度である14.2%の1/2にあたる7.1%について、始めてこれを下回る粒子径である67.86μm及び37.00μmを読み取り、半値幅が30.86μmと計算する。
【表1】
【0034】
(体積基準粒度分布の測定方法)
本発明において、上述した酸性液状調味料の乳化相中の油滴の体積基準粒度分布は、次のような手順で測定する。
【0035】
(測定手順)
まず、本発明の酸性液状調味料の乳化相に9倍量の水を加えよく混和し、レーザー回折式粒度分布測定装置により下記の測定条件で測定する。なお、酸性液状調味料に、具材等の測定に影響しそうな原料が含有されている場合には、予め取り除いた後に測定を行う。
【0036】
(測定条件)
・測定機器:レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、MicrotracMT3300EXII)
・測定基準:体積
・分析条件:非球形、屈折率1.6
・粒子径測定範囲:0.021μm以上2000μm以下
・粒子径区分:132ch
【0037】
(食用油脂)
酸性液状調味料に用いる食用油脂は、香味油及び/又は油溶性香料を含む概念であり、これら以外にも他の食用油脂を用いることができる。
【0038】
香味油とは、焙煎により香味を付与された油や、バージンオイル、香味の強い植物から香味成分を抽出し油に移行させた油等、通常の油より香味の強い食用油をいう。香味油としては、例えば、ごま油、オリーブオイル、ガーリックオイル、オニオンオイル、葱油、ラー油、焙煎大豆油、焙煎菜種油、バジルオイル、ジンジャーオイル、レッドペッパーオイル、ブラックペッパーオイル、卵黄油、マスタードオイル、スパイスオイル、オレオレジン等が挙げられる。これらの香味油は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ごま油やオリーブオイルを用いることが好ましい。
【0039】
香味油の含有量は、酸性液状調味料の全量に対して、好ましくは0.1質量%以上30質量%以下であり、下限値はより好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、さらにより好ましくは0.8質量%以上であり、また、上限値はより好ましくは28質量%以下であり、さらに好ましくは25質量%以下であり、さらにより好ましくは20質量%以下である。
【0040】
油溶性香料とは、天然物から精製した香気成分または人工的に合成した香気成分等をいう。油溶性香料としては、例えば、柑橘系香料(レモン、グレープフルーツ、ゆず、オレンジ等)、フルーツ系香料(バナナ、ストロベリー、リンゴ、パイナップル等)、ミルク系香料(ヨーグルト、バター、ミルク等)、ミント系香料、野菜系香料、バニラ系香料、ナッツ系香料、ごま系香料等が挙げられる。これらの油溶性香料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、油溶性香料としては、植物粉砕物と同類の香料を用いることが好ましい。
【0041】
油溶性香料の含有量は、酸性液状調味料の全量に対して、好ましくは0.01質量%以上3.0質量%以下であり、下限値はより好ましくは0.03質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、さらにより好ましくは0.1質量%以上であり、また、上限値はより好ましくは2.8質量%以下であり、さらに好ましくは2.5質量%以下であり、さらにより好ましくは2.0質量%以下である。
【0042】
他の食用油脂としては、特に限定されず、従来公知の食用油脂を用いることができる。他の食用油脂としては、例えば、菜種油、大豆油、パーム油、綿実油、コーン油、ひまわり油、サフラワー油、亜麻仁油、米油等の植物油脂、魚油、牛脂、豚脂、鶏脂、又はMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的あるいは酵素的処理等を施して得られる油脂等を挙げることができる。これらの中でも、植物油脂を用いることが好ましく、菜種油、大豆油、コーン油、パーム油、又はこれらの混合油を用いることが好ましい。
【0043】
食用油脂の含有量は、酸性液状調味料の全量に対して、10質量%以上50質量%以下であり、下限値は好ましくは13質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上であり、また、上限値は好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは35質量%以下である。食用油脂の含有量が少なすぎると、油脂の旨味を感じ難く、好ましくない。また、油脂の含有量が多すぎると、乳化相中の油滴のモード径の半値幅の調節が難しく、好ましくない。そのため、食用油脂の含有量が上記範囲内であれば、油脂の旨味を感じ易く、乳化相中の油滴のモード径の半値幅の調節を調節し易くなる。
【0044】
また、香味油及び油溶性香料の合計量は、食用油脂の含有量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上80質量部以下であり、下限値はより好ましくは0.05質量部以上であり、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、また、上限値はより好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下、さらにより好ましくは50質量部以下である。
【0045】
(食酢)
酸性液状調味料に用いる食酢は、水及び酢酸を主成分とするものである。本発明における食酢としては、消費者庁が定める「食品表示基準」に列挙される食酢が挙げられるが、これに類似する酸味調味料も含まれる。より詳細には、食酢としては、たとえば、米、麦芽、酒粕等の穀類もしくはそれらの加工品、ぶどう、りんご等の果実、タマネギ、ニンジン、トマト等の野菜、その他農産物、アルコール等を酢酸発酵させたものや、別途酢酸を添加したもの、又はこれらを混合したものが挙げられる。糖類、有機酸、アミノ酸、食塩等を加えたものもこれに含まれる。このような食酢としては、例えば、米酢、黒酢、五穀酢、ワインビネガー、りんご酢、トマト酢、もろみ酢、及び梅酢等が挙げられる。これらの食酢は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
酢酸の含有量は、酸性液状調味料の全量に対して、0.3質量%以上0.8質量%以下であり、下限値は好ましくは0.35質量%以上であり、より好ましくは0.4質量%以上であり、また、上限値は好ましくは0.75質量%以下であり、より好ましくは0.7質量%以下である。酢酸の含有量が少なすぎると、水相の酸味を感じ難く、好ましくない。また、酢酸の含有量が多すぎると、水相の酸味が強すぎてバランスが悪くなり、好ましくない。そのため、酢酸の含有量が上記範囲内であれば、酸性液状調味料の微生物発生を制御して保存性を高めながら、水相の良好な酸味が感じられ、バランスが良くなる。
【0047】
(植物粉砕物)
酸性液状調味料に用いる植物粉砕物は、植物原料を粉砕処理したものを用いることができる。酸性液状調味料には予め粉砕処理を施した植物原料を配合してもよいし、植物原料を他の原材料と混合した後に製造工程中で植物原料を粉砕処理してもよい。粉砕処理方法は特に限定されず、常法により、石臼、コロイドミル、コミットロール、フードカッター、マイルダー、及びロール粉砕器等により行うことができる。また、植物粉砕物の形状や大きさは特に限定されず、液状調味料に一般的に配合し易い形状や大きさであればよい。
【0048】
植物粉砕物の植物原料としては、特に限定されないが、例えば、ごま、タマネギ、ネギ、ニンニク、ダイコン、ショウガ、ミョウガ、クレソン、パセリ、セロリ、シソ、リーキ、ミツバ、バジル、レモングラス、フェンネル、ワサビ、唐辛子、胡椒、マスタード、レモン、リンゴ、パプリカ等の植物が挙げられる。これらの植物は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの植物の中でも、ごまやタマネギを用いることが好ましい。特に、すりごまやすりおろしタマネギが好ましい。
【0049】
植物粉砕物の含有量は、乾燥重量換算で、酸性液状調味料の全量に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、下限値はより好ましくは0.2質量%以上であり、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、さらにより好ましくは0.5質量%以上であり、また、上限値はより好ましくは17質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、さらにより好ましくは10質量%以下である。植物粉砕物の含有量が、上記範囲内であれば、植物原料の風味が感じられて好ましい。
【0050】
(植物具材)
酸性液状調味料に用いる植物具材は、植物原料を粉砕処理を施していないものを用いることができる。例えば、植物具材としては、植物原料そのものや、植物原料にスライスやカット等の加工処理を施したものであって、上記の植物粉砕物よりも大きいものが挙げられる。
【0051】
植物具材の植物原料としては、上記の植物粉砕物で例示した植物原料を用いることができる。植物具材の植物原料と植物粉砕物の植物原料は、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、同じであることが風味の面で好ましい。植物具材としては、粒ごまやカットしたたまねぎが好ましい。
【0052】
植物具材の含有量は、乾燥重量換算で、酸性液状調味料の全量に対して、好ましくは0.5質量%以上40質量%以下であり、下限値はより好ましくは1.0質量%以上であり、さらに好ましくは2.0質量%以上であり、また、上限値はより好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下であり、さらにより好ましくは10質量%以下である。植物具材の含有量が、上記範囲内であれば、植物原料の風味が感じられて好ましい。
【0053】
(増粘多糖類)
酸性液状調味料に用いる増粘多糖類としては、ガム類や加工澱粉が挙げられる。ガム類としては、例えば、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、及びアラビアガム等が挙げられる。これらのガム類は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもキサンタンガムを用いることが好ましい。
【0054】
ガム類の含有量は、酸性液状調味料の全量に対して、例えば、好ましくは0.01質量%以上1.0質量%以下であり、下限値はより好ましくは0.03質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、さらにより好ましくは0.10質量%以上であり、また、上限値はより好ましくは0.70質量%以下であり、さらに好ましくは0.50質量%以下であり、さらにより好ましくは0.40質量%以下であり、最も好ましくは0.30質量%以下である。特に、キサンタンガムの含有量が上記数値範囲内であることが好ましい。ガム類やキサンタンガムの含有量が上記範囲内であれば、酸性液状調味料の乳化状態を維持し易く、乳化相中の油滴のモード径の半値幅を調節し易くなる。
【0055】
加工澱粉としては、例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、リン酸架橋澱粉、及びリン酸化澱粉等が挙げられる。
【0056】
加工澱粉の含有量は、酸性液状調味料の全量に対して、例えば、好ましくは0質量%以上1.5質量%以下であり、上限値はより好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以下であり、さらにより好ましくは0.1質量%未満であり、最も好ましくは実質的に含まれない。オクテニルコハク酸澱粉等の乳化作用の強い加工澱粉を一定量以上含有すると、乳化相中の油滴のモード径の半値幅が狭くなる傾向があり、半値幅の調節が難しくなるためである。
【0057】
(卵黄)
酸性液状調味料に用いる卵黄としては、例えば、液卵黄や生卵黄、当該液卵黄や生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、後述するホスホリパーゼA処理卵黄のようなホスホリパーゼA1またはホスホリパーゼA2による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖質等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。
【0058】
卵黄の含有量は、生換算で、酸性液状調味料の全量に対して、0質量%以上0.001質量%以下であり、より好ましくは実質的に含まれない。乳化作用の強い卵黄を一定量以上含有すると、乳化相中の油滴のモード径の半値幅が狭くなる傾向があり、半値幅の調節が難しくなるためである。
【0059】
(他の原料)
酸性液状調味料は、上述した原料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で液状調味料に通常用いられている各種原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、醤油、みりん、食塩、グルタミン酸ナトリウム、ブイヨン等の調味料、グラニュー糖、砂糖、ぶどう糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、オリゴ糖、トレハロース等の糖類、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、静菌剤等が挙げられる。
【0060】
(容器)
酸性液状調味料を充填する容器は、材質や形状等は特に制限されず、従来公知の酸性液状調味料用容器を用いることができる。容器としては、例えば、プラスチック製やガラス製の硬質容器、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、及びビニル製等の軟質容器等が挙げられる。また、これらの容器の形状としては、例えば、円筒状、ボトル状等が挙げられる。
【0061】
<容器詰め酸性液状調味料の製造方法>
本発明の容器詰め酸性液状調味料の製造方法の一例について説明する。例えば、まず、植物粉砕物、食酢、増粘多糖類、清水、及び調味料等の他の水相原料を混合して、水相を調製する。続いて、上記で調製した水相をミキサー等で撹拌しながら、油相原料である食用油脂を注加して乳化することで、酸性液状調味料を得ることができる。
【0062】
続いて、得られた酸性液状調味料を容器に充填することで、容器詰め酸性液状調味料を製造することができる。このとき、必要に応じて別途油相を上から積層してもよい。酸性液状調味料の容器への充填方法は特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。
【0063】
(製造装置)
酸性液状調味料の製造には、通常の酸性液状調味料の製造に使われる装置を用いることができる。このような装置としては、例えば、一般的な撹拌機、スティックミキサー、スタンドミキサー、ホモミキサー等が挙げられる。撹拌機の撹拌羽形状としては、例えばプロペラ翼、タービン翼、パドル翼、アンカー翼等が挙げられる。
【実施例】
【0064】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
【0065】
<酸性液状調味料の製造例1>
[実施例1]
表2に記載の配合割合に準じて、酸性液状調味料を製造した。具体的には、撹拌タンクに、食酢(酢酸含有量4%)、醤油、キサンタンガム、食塩、グラニュー糖、煎り黒ごま、すり黒ごま、及び清水を投入して均一に混合することにより水相を調製した。その後、調整した水相に、油相である食用油脂(菜種油及びごま油)を注加し、撹拌しながら乳化処理を行って、乳化相を有する酸性液状調味料を製造した。続いて、得られた酸性液状調味料を容器に充填し、容器詰め酸性液状調味料を得た。
【0066】
[実施例2~17、比較例1~12]
表2及び3に記載の配合割合に変更し、適宜、乳化処理時の撹拌の強さを変更した以外は、実施例1と同様にして、酸性液状調味料を製造した。
【0067】
(pHの測定)
上記で得られた実施例1~17の酸性液状調味料について、1気圧、品温20℃とした時に、pH測定器(株式会社堀場製作所製卓上型pHメータF-72)を用いてpHを測定した。酸性液状調味料のpHは、いずれも3.6以上4.3以下であった。
【0068】
(ブリックスの測定)
上記で得られた実施例1~17の酸性液状調味料について、品温25℃で、デジタル屈折計(株式会社アタゴ製デジタル屈折計RX―5000α)を使用して水相のブリックスを測定した。酸性液状調味料の水相のブリックスは、いずれも10%以上であった。また、食用油脂の含有量(酸性液状調味料全量に対する質量%)と水相中のブリックスを合計した値は、いずれも25以上であった。
【0069】
(粘度の測定)
上記で得られた各酸性液状調味料について、BH形粘度計を使用し、品温25℃、回転数10rpmの条件で、粘度が10000mPa・s未満のとき:ローターNo.3、10000mPa・s以上20000mPa・s未満のとき:ローターNo.4、20000mPa・s以上40000mPa・s未満のとき:ローターNo.5、40000mPa・s以上100000mPa・s未満のとき:ローターNo.6、100000mPa・s以上のとき:ローターNo.7を使用し、測定開始後3分後の示度により算出した。測定結果を表2及び3に示した。
【0070】
(体積基準粒度分布の測定)
上記で得られた各酸性液状調味料の乳化相中の油滴について、下記の測定手順及び測定条件により、体積基準粒度分布を測定し、モード径及び半値幅を算出した。測定結果を表2及び3に示した。
(測定手順)
まず、各酸性液状調味料の乳化相に9倍量の水を加えよく混和し、レーザー回折式粒度分布測定装置により下記の測定条件で測定する。なお、酸性液状調味料に、具材等の測定に影響しそうな原料が含有されている場合には、予め取り除いた後に測定を行う。
(測定条件)
・測定機器:レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装株式会社製、MicrotracMT3300EXII)
・測定基準:体積
・分析条件:非球形及び屈折率1.6
・粒子径測定範囲:0.021μm以上2000μm以下
・粒子径区分:132ch
【0071】
(官能評価)
調味料の開発に3年以上携った経験を持ち、かつ十分に訓練された複数のパネルにより、上記で得られた各酸性液状調味料の水相の酸味(酢酸由来の酸味)及び油相の旨味(キレのある油のコクと香味油や香料の風味)について、下記の基準で官能評価を行った。結果を表2及び3に示した。点数が2点以上であれば、良好な結果であると言える。
<評価基準>
4:水相の酸味と油相の旨味のバランスが最適で、かつこれらを極めてメリハリよく感じられた。
3:水相の酸味と油相の旨味のバランスが良く、かつこれらをメリハリよく感じられた。
2:水相の酸味が少し強い若しくは少し弱い、または油の旨味が少し強い若しくは少し弱いが、水相の酸味と油相の旨味のバランス、及びこれらのメリハリについて、問題のない範囲であった。
1:水相の酸味が感じられない、強すぎる、若しくは油相の旨味が感じられず、水相の酸味と油相の旨味とのバランスが悪い、または水相の酸味と油相の旨味のメリハリがない、のいずれかであった。
【0072】
実施例1~17の酸性液状調味料は、いずれも、水相の酸味と油相の旨味のバランスが良く、かつこれらをメリハリよく感じられた。
比較例1、2の酸性液状調味料は、乳化相中の油滴のモード径の半値幅が小さいため、油相がクリーミィすぎて水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなかった。
比較例3、4の酸性液状調味料は、粘度が低いため、油相の旨味が感じられずバランスが悪く、かつ水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなかった。
比較例5、6の酸性液状調味料は、乳化相中の油滴のモード径の半値幅が大きいため、油相の旨味が感じられずバランスが悪く、かつ水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなかった。
比較例7の酸性液状調味料は、乳化相中の油滴のモード径の半値幅が小さいため、油相がクリーミィすぎて水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなかった。
比較例8、9の酸性液状調味料は、酢酸の含有量が多いため、水相の酸味が強すぎてバランスが悪かった。
比較例10、11の酸性液状調味料は、酢酸の含有量が低いため、水相の酸味が感じられずバランスが悪く、かつ水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなかった。
比較例12の酸性液状調味料は、乳化相中の油滴のモード径の半値幅が大きいため、油相の旨味が感じられずバランスが悪く、かつ水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなかった。
【0073】
【0074】
【0075】
<酸性液状調味料の製造例2>
[実施例18]
表4に記載の配合割合に準じて、酸性液状調味料を製造した。具体的には、撹拌タンクに、食酢(酢酸含有量4%)、キサンタンガム、食塩、グラニュー糖、乾燥タマネギ具材、すりおろしタマネギ具材、グルタミン酸ナトリウム、及び清水を投入して均一に混合することにより水相を調製した。その後、調整した水相に、油相である食用油脂(菜種油及びオリーブオイル)を注加し、撹拌しながら乳化処理を行って、乳化相を有する酸性液状調味料を製造した。続いて、得られた酸性液状調味料を容器に充填し、容器詰め酸性液状調味料を得た。
【0076】
[実施例19~21、比較例13~14]
表4に記載の配合割合に変更し、適宜、乳化処理時の撹拌の強さを変更した以外は、実施例18と同様にして、乳化相を有する酸性液状調味料を製造した。
【0077】
(pHの測定)
上記で得られた実施例18~21の酸性液状調味料について、上記の<酸性液状調味料の製造例1>と同様にして、pHを測定した。酸性液状調味料のpHは、いずれも3.6以上4.3以下であった。
【0078】
(ブリックスの測定)
上記で得られた実施例18~21の酸性液状調味料について、上記の<酸性液状調味料の製造例1>と同様にして、水相のブリックスを測定した。酸性液状調味料の水相のブリックスは、いずれも10%以上であった。また、食用油脂の含有量(酸性液状調味料全量に対する質量%)と水相中のブリックスを合計した値は、いずれも25以上であった。
【0079】
(粘度の測定)
上記で得られた各酸性液状調味料について、上記の<酸性液状調味料の製造例1>と同様にして、粘度を測定した。測定結果を表4に示した。
【0080】
(体積基準粒度分布の測定)
上記で得られた各酸性液状調味料について、上記の<酸性液状調味料の製造例1>と同様にして、体積基準粒度分布を測定し、モード径及び半値幅を算出した。測定結果を表4に示した。
【0081】
(官能評価)
上記で得られた各酸性液状調味料について、上記の<酸性液状調味料の製造例1>と同様にして、官能評価を行った。結果を表4に示した。点数が2点以上であれば、良好な結果であると言える。
【0082】
実施例18~21の酸性液状調味料は、いずれも、水相の酸味と油相の旨味のバランスが良く、かつこれらがメリハリよく感じられた。
比較例13、14の酸性液状調味料は、乳化相中の油滴のモード径の半値幅が大きいため、油相の旨味が感じられずバランスが悪く、かつ水相の酸味と油相の旨味のメリハリがなかった。
【0083】
【要約】
【課題】水相の酸味と油相の旨味のバランスが良く、かつこれらをメリハリよく感じられる酸性液状調味料の提供。
【解決手段】本発明は、少なくとも、食用油脂、食酢、植物粉砕物、増粘多糖類、及び水を含有し、少なくとも一部に乳化相を有する容器詰め酸性液状調味料であって、
卵黄の含有量が0質量%以上0.001質量%以下であり、
前記食用油脂が、香味油及び/又は油溶性香料を含有し、
前記食用油脂の含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、10質量%以上50質量%以下であり、
酢酸の含有量が、前記酸性液状調味料の全量に対して、0.3質量%以上0.8質量%以下であり、
前記酸性液状調味料の25℃における粘度が、1500mPa・s以上であり、
前記酸性液状調味料の乳化相中の油滴は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、分析条件:非球形及び屈折率1.6、粒子径測定範囲:0.021μm以上2000μm以下、粒子径区分:132chで測定した体積基準粒度分布において、モード径の半値幅が30.0μm以上60.0μm以下であることを特徴とする。
【選択図】なし