(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-13
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】プリウェットモジュール、脱気液循環システム、およびプリウェット方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20220118BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220118BHJP
C25D 17/00 20060101ALI20220118BHJP
C25D 17/06 20060101ALI20220118BHJP
C25D 21/08 20060101ALI20220118BHJP
C25D 21/12 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/304 642A
H01L21/304 643C
C25D17/00 K
C25D17/00 L
C25D17/06 C
C25D17/06 F
C25D21/08
C25D21/12 C
(21)【出願番号】P 2021154525
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2021549262
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】関 正也
【審査官】馳平 憲一
(56)【参考文献】
【文献】実公昭38-007417(JP,Y1)
【文献】特公昭47-003521(JP,B1)
【文献】実公昭51-008898(JP,Y1)
【文献】特公昭45-031726(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 9/00-9/12
13/00-21/22
B65G 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱気液を収容するように構成された脱気槽と、
被処理面が上向きの基板の被処理面に洗浄液を供給するように構成されたノズルを含む処理装置と、
前記脱気槽と前記処理装置との間に配置され、第1の基板を保持するように構成された第1の保持部材、および第2の基板を保持するように構成された第2の保持部材を有する基板ホルダと、
前記基板ホルダを回転および昇降するように構成された駆動機構と、を含み、
前記駆動機構は、
前記第1の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第1の状態と、前記第2の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第2の状態と、の間で前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、
前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、を含む、
めっき装置におけるプリウェットモジュール。
【請求項2】
前記処理装置のノズルは、前記第1の基板および前記第2の基板のいずれか一方が前記脱気槽内の脱気液に浸漬されているときに他方の基板の被処理面に洗浄液を供給するように構成されている、
請求項1に記載のプリウェットモジュール。
【請求項3】
前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、前記第1の基板の被処理面および前記第2の基板の被処理面が互いに鉛直方向の反対に向くように前記第1の基板および前記第2の基板を保持するように構成され、
前記ノズルは、被処理面が鉛直方向の上向きに保持された基板に対して洗浄液を供給するように構成される、
請求項1または2に記載のプリウェットモジュール。
【請求項4】
前記基板ホルダは、前記脱気槽の上部に形成された開口よりも大きな外縁を有し前記ノズルと前記開口との間を遮蔽するように構成された遮蔽部材を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプリウェットモジュール。
【請求項5】
脱気液を収容するように構成された脱気槽と、
第1の基板を保持するように構成された第1の保持部材、第2の基板を保持するように構成された第2の保持部材、第3の基板を保持するように構成された第3の保持部材、および第4の基板を保持するように構成された第4の保持部材、を有し、前記第1の保持部材から前記第4の保持部材は、前記第1の基板から前記第4の基板の被処理面がそれぞれ鉛直方向の反対および水平方向の反対に向くように前記第1の基板から前記第4の基板を保持するように構成されている、基板ホルダと、
前記基板ホルダを回転および昇降するように構成された駆動機構と、を含み、
前記駆動機構は、
前記第1の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第1の状態と、前記第2の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第2の状態と、前記第3の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第3の状態と、前記第4の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第4の状態と、の間で前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、
前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、を含み、
前記第1の基板から前記第4の基板のいずれか1つが前記脱気槽内の脱気液に浸漬されているときに他の基板に対して所定の処理を行うように構成された処理装置をさらに含む、
めっき装置におけるプリウェットモジュール。
【請求項6】
前記第1の保持部材から前記第4の保持部材はそれぞれ、前記第1の基板から前記第4の基板の被処理面が水平方向に向いたときに当該基板の被処理面が前記脱気槽の上部に形成された開口の外側に位置するように前記第1の基板から前記第4の基板を保持するように構成され、
前記処理装置は、被処理面が水平方向に向いた状態の基板の被処理面に洗浄液を供給するように構成されたノズルを含む、
請求項5に記載のプリウェットモジュール。
【請求項7】
前記脱気槽は、前記脱気槽から脱気液を溢れ出させるための複数のオーバーフロー口を有し、
前記複数のオーバーフロー口は、前記脱気槽の側壁に周方向に沿って等間隔に形成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のプリウェットモジュール。
【請求項8】
前記脱気槽は、前記脱気槽の底壁の中央に形成された脱気液の注入口を有する、
請求項1から7のいずれか一項に記載のプリウェットモジュール。
【請求項9】
前記脱気槽内に浸漬された基板と前記注入口との間に配置された、複数の貫通穴を有する整流部材をさらに含む、
請求項8に記載のプリウェットモジュール。
【請求項10】
前記脱気槽内に浸漬された基板に対向して配置された撮像部材と、
前記撮像部材によって撮像された画像の輝度に基づいて前記脱気槽内の基板の被処理面の脱気状態を判定するように構成された判定装置と、
をさらに含む、
請求項1から9のいずれか一項に記載のプリウェットモジュール。
【請求項11】
前記撮像部材を前記基板の被処理面に沿った方向に移動させるための駆動部材、
をさらに含む、
請求項10に記載のプリウェットモジュール。
【請求項12】
前記脱気槽内に浸漬された基板に対向して配置された攪拌部材と、
前記攪拌部材を前記基板の被処理面に沿って往復移動させるための駆動部材と、
をさらに含む、
請求項1から11のいずれか一項に記載のプリウェットモジュール。
【請求項13】
前記基板ホルダによって保持された基板が基板の中心を通る軸の周りに回転するように前記第1の保持部材および前記第2の保持部材の少なくとも一方を回転させるための回転駆動部材をさらに含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載のプリウェットモジュール。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のプリウェットモジュールを複数備える
めっき装置における脱気液循環システムであって、
前記複数のプリウェットモジュールに対して共通に設けられ、前記複数のプリウェットモジュールから溢れ出た脱気液を受け入れる循環槽と、
前記複数のプリウェットモジュールに対して共通に設けられ、脱気液に対する脱気処理を行うための脱気装置と、
前記複数のプリウェットモジュールに対して共通に設けられ、前記循環槽から前記脱気装置を介して前記複数のプリウェットモジュールに脱気液を圧送するための圧送部材と、
前記脱気装置と前記複数のプリウェットモジュールとを結ぶ配管から分岐して前記循環槽に接続されたパイパス配管と、
を含む、脱気液循環システム。
【請求項15】
前記循環槽は、前記複数のプリウェットモジュールから溢れ出た脱気液を前記循環槽内に受け入れる第1の受け入れ口と、前記パイパス配管を介して圧送された脱気液を前記循環槽内に受け入れる第2の受け入れ口と、前記循環槽内の脱気液を前記脱気装置へ排出するための排出口と、を有し、
前記第1の受け入れ口および前記第2の受け入れ口は、前記循環槽の第1の側壁の近傍に配置され、前記排出口は、前記循環槽の前記第1の側壁と対向する第2の側壁の近傍に配置される、
請求項14に記載の脱気液循環システム。
【請求項16】
第1の基板を第1の位置に配置し、前記第1の基板の被処理面を下向きで脱気液に浸漬させて脱気処理する第1の脱気ステップと、
前記第1の脱気ステップの実行と並行して、第2の基板を第2の位置に配置し、前記第2の基板の被処理面を上向きにした状態で前記第2の基板の被処理面に洗浄液を供給する第1の洗浄ステップと、
前記第1の脱気ステップおよび前記第1の洗浄ステップの後に、前記第2の基板を前記第1の位置に配置するように、前記第1の基板および前記第2の基板を回転させる回転ステップと、
前記回転ステップの後に、前記第2の基板の被処理面を下向きで脱気液に浸漬させて脱気処理する第2の脱気ステップと、
前記第2の脱気ステップの実行と並行して、前記第2の位置で第3の基板の被処理面を上向きにした状態で前記第3の基板の被処理面に洗浄液を供給する第2の洗浄ステップと、
を含む、
めっき処理におけるプリウェット方法。
【請求項17】
前記第1の脱気ステップまたは前記第2の脱気ステップの実行と並行して、脱気液に浸漬された基板の被処理面の中央から放射方向に広がる脱気液の流れを形成するステップ、
をさらに含む、
請求項16に記載のプリウェット方法。
【請求項18】
前記第1の脱気ステップまたは前記第2の脱気ステップの実行と並行して、脱気液に浸漬された基板の被処理面を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップによって撮像された画像に基づいて前記基板の被処理面の脱気状態を判定する判定ステップと、
をさらに含む、
請求項16または17に記載のプリウェット方法。
【請求項19】
前記第1の脱気ステップまたは前記第2の脱気ステップの実行と並行して、脱気液を攪拌する攪拌ステップ、
をさらに含む、
請求項16から18のいずれか一項に記載のプリウェット方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、プリウェットモジュール、脱気液循環システム、およびプリウェット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板(例えば半導体ウェハ)にめっき処理を行うためのめっき装置は、脱気処理などの各種の前処理を基板に対して行うプリウェットモジュールと、前処理が行われた基板にめっき処理を行うめっきモジュールと、を備えている。
【0003】
例えば特許文献1には、基板を保持したホルダをプリウェット槽内に配置し、基板の被処理面が露出する空間を真空引きしながら当該空間にプリウェット液を供給することによって前処理を実行するプリウェットモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、基板に効率よく前処理を行うことについて改善の余地がある。
【0006】
すなわち、従来技術は、基板ホルダに1枚の基板を保持してプリウェット槽内で前処理を行うように構成されているので、プリウェットモジュール内において基板の前処理は1枚ずつ順次行われる。したがって、例えばある基板に対して前処理を行っているときにはプリウェットモジュールはその基板に専有され、基板がプリウェットモジュールから搬出されてはじめて後続の基板をプリウェットモジュール内に搬入して前処理を行うことができるようになっている。その結果、従来技術は、プリウェットモジュールのスループットを向上させるという点に関して改善の余地がある。
【0007】
そこで、本願は、基板に効率よく前処理を行うことを1つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、脱気液を収容するように構成された脱気槽と、被処理面が上向きの基板の被処理面に洗浄液を供給するように構成されたノズルを含む処理装置と、前記脱気槽と前記処理装置との間に配置され、第1の基板を保持するように構成された第1の保持部材、および第2の基板を保持するように構成された第2の保持部材を有する基板ホルダと、前記基板ホルダを回転および昇降するように構成された駆動機構と、を含み、前記駆動機構は、前記第1の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第1の状態と、前記第2の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第2の状態と、の間で前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、を含む、プリウェットモジュールが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図4A】
図4Aは、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を概略的に示す図である。
【
図4B】
図4Bは、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を概略的に示す図である。
【
図4C】
図4Cは、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を概略的に示す図である。
【
図4D】
図4Dは、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を概略的に示す図である。
【
図4E】
図4Eは、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を概略的に示す図である。
【
図4F】
図4Fは、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図9】
図9は、整流部材の一例を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図11】
図11は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図13】
図13は、一実施形態の脱気液循環システムの構成を概略的に示す図である。
【
図14】
図14は、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0011】
<めっき装置の全体構成>
図1は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す斜視図である。
図2は、本実施形態のめっき装置の全体構成を示す平面図である。
図1、2に示すように、めっき装置1000は、ロードポート100、搬送ロボット110、アライナ120、プリウェットモジュール200、プリソークモジュール300、めっきモジュール400、洗浄モジュール500、スピンリンスドライヤ600、搬送装置700、および、制御モジュール800を備える。
【0012】
ロードポート100は、めっき装置1000に図示していないFOUPなどのカセットに収納された基板を搬入したり、めっき装置1000からカセットに基板を搬出するためのモジュールである。本実施形態では4台のロードポート100が水平方向に並べて配置されているが、ロードポート100の数および配置は任意である。搬送ロボット110は、基板を搬送するためのロボットであり、ロードポート100、アライナ120、および搬送装置700の間で基板を受け渡すように構成される。搬送ロボット110および搬送装置700は、搬送ロボット110と搬送装置700との間で基板を受け渡す際には、図示し
ていない仮置き台を介して基板の受け渡しを行うことができる。
【0013】
アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせるためのモジュールである。本実施形態では2台のアライナ120が水平方向に並べて配置されているが、アライナ120の数および配置は任意である。プリウェットモジュール200は、めっき処理前の基板の被めっき面を純水または脱気水などの処理液で濡らすことで、基板表面に形成されたパターン内部の空気を処理液に置換する。プリウェットモジュール200は、めっき時にパターン内部の処理液をめっき液に置換することでパターン内部にめっき液を供給しやすくするプリウェット処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリウェットモジュール200が上下方向に並べて配置されているが、プリウェットモジュール200の数および配置は任意である。
【0014】
プリソークモジュール300は、例えばめっき処理前の基板の被めっき面に形成したシード層表面等に存在する電気抵抗の大きい酸化膜を硫酸や塩酸などの処理液でエッチング除去してめっき下地表面を洗浄または活性化するプリソーク処理を施すように構成される。本実施形態では2台のプリソークモジュール300が上下方向に並べて配置されているが、プリソークモジュール300の数および配置は任意である。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。本実施形態では、上下方向に3台かつ水平方向に4台並べて配置された12台のめっきモジュール400のセットが2つあり、合計24台のめっきモジュール400が設けられているが、めっきモジュール400の数および配置は任意である。
【0015】
洗浄モジュール500は、めっき処理後の基板に残るめっき液等を除去するために基板に洗浄処理を施すように構成される。本実施形態では2台の洗浄モジュール500が上下方向に並べて配置されているが、洗浄モジュール500の数および配置は任意である。スピンリンスドライヤ600は、洗浄処理後の基板を高速回転させて乾燥させるためのモジュールである。本実施形態では2台のスピンリンスドライヤが上下方向に並べて配置されているが、スピンリンスドライヤの数および配置は任意である。搬送装置700は、めっき装置1000内の複数のモジュール間で基板を搬送するための装置である。制御モジュール800は、めっき装置1000の複数のモジュールを制御するように構成され、例えばオペレータとの間の入出力インターフェースを備える一般的なコンピュータまたは専用コンピュータから構成することができる。
【0016】
めっき装置1000による一連のめっき処理の一例を説明する。まず、ロードポート100にカセットに収納された基板が搬入される。続いて、搬送ロボット110は、ロードポート100のカセットから基板を取り出し、アライナ120に基板を搬送する。アライナ120は、基板のオリエンテーションフラットやノッチなどの位置を所定の方向に合わせる。搬送ロボット110は、アライナ120で方向を合わせた基板を搬送装置700へ受け渡す。
【0017】
搬送装置700は、搬送ロボット110から受け取った基板をプリウェットモジュール200へ搬送する。プリウェットモジュール200は、基板にプリウェット処理を施す。搬送装置700は、プリウェット処理が施された基板をプリソークモジュール300へ搬送する。プリソークモジュール300は、基板にプリソーク処理を施す。搬送装置700は、プリソーク処理が施された基板をめっきモジュール400へ搬送する。めっきモジュール400は、基板にめっき処理を施す。
【0018】
搬送装置700は、めっき処理が施された基板を洗浄モジュール500へ搬送する。洗浄モジュール500は、基板に洗浄処理を施す。搬送装置700は、洗浄処理が施された基板をスピンリンスドライヤ600へ搬送する。スピンリンスドライヤ600は、基板に
乾燥処理を施す。搬送装置700は、乾燥処理が施された基板を搬送ロボット110へ受け渡す。搬送ロボット110は、搬送装置700から受け取った基板をロードポート100のカセットへ搬送する。最後に、ロードポート100から基板を収納したカセットが搬出される。
【0019】
<プリウェットモジュールの構成>
次に、プリウェットモジュール200の構成を説明する。本実施形態における2台のプリウェットモジュール200は同一の構成であるので、1台のプリウェットモジュール200のみを説明する。
【0020】
図3は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図3に示すように、プリウェットモジュール200は、脱気液(例えば脱気水)を収容するように構成された脱気槽210を備える。脱気槽210は、上面が開口しており、脱気液を貯留可能な形状を有する。脱気槽210内の空間は、鉛直方向に伸びる仕切り板212によって2つの領域に仕切られている。これにより、脱気槽210内は、基板WFに対する脱気処理を行うための脱気領域214と、脱気領域214からオーバーフローした脱気液が貯められるように構成されたオーバーフロー領域216と、に仕切られる。
【0021】
プリウェットモジュール200は、脱気槽210の上部に配置された基板ホルダ220を備える。基板ホルダ220は、前処理対象の基板WFを保持するように構成される。基板ホルダ220は、円板形状の第1の基板WF-1を保持するように構成された円柱形状の第1の保持部材222と、円板形状の第2の基板WF-2を保持するように構成された円柱形状の第2の保持部材224と、を備える。第1の保持部材222および第2の保持部材224は、真空吸着などによって基板の被処理面の裏面を保持可能に構成される。本実施形態では、第1の保持部材222および第2の保持部材224は、第1の基板WF-1の被処理面WF-1aおよび第2の基板WF-2の被処理面WF-2aが互いに反対(
図3の状態では鉛直方向の反対)に向くように第1の基板WF-1および第2の基板WF-2を保持するように構成される。なお、本実施形態では、「第1の基板WF-1」、および「第2の基板WF-2」などの記載を用いているが、これは単に異なる基板を区別するためであり、処理の順序を示すものではない。
【0022】
プリウェットモジュール200は、基板ホルダ220を駆動するように構成された駆動機構230を備える。駆動機構230は、第1の基板WF-1と第2の基板WF-2が順次、脱気槽210内の脱気液に浸漬されるように基板ホルダ220を駆動する。駆動機構230は、具体的には、基板ホルダ220を回転させるように構成された回転機構240と、基板ホルダ220を昇降させるように構成された昇降機構248と、を備える。
【0023】
回転機構240は、基板ホルダ220から水平方向に伸びるシャフト242の軸周りに基板ホルダ220を回転可能に構成される。これにより、回転機構240は、第1の基板WF-1の被処理面WF-1aが脱気槽210内の脱気液に対向する第1の状態と、第2の基板WF-2の被処理面WF-2aが脱気槽210内の脱気液に対向する第2の状態と、の間で基板ホルダ220を回転させるように構成される。回転機構240は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0024】
昇降機構248は、第1の状態から基板ホルダ220を下降させることによって第1の基板WF-1を脱気液に浸漬させることができ、第2の状態から基板ホルダ220を下降させることによって第2の基板WF-2を脱気液に浸漬させることができる。昇降機構248は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。本実施形態では、駆動機構230が回転機構240と昇降機構248とを備える例を示したが、この構成に限定されない。
【0025】
プリウェットモジュール200は、第1の基板WF-1および第2の基板WF-2のいずれか一方が脱気槽210内の脱気液に浸漬されているときに他方の基板に所定の処理を行うように構成された処理装置258を備える。処理装置258は、本実施形態では、基板ホルダ220の上部に配置された基板ステーション250と、基板ステーション250の上部に配置された洗浄装置260と、を含む。
【0026】
基板ステーション250は、搬送装置700との間で基板の受け渡しを行うとき、および、基板に対して後述する洗浄処理を行うときに、基板を保持するための部材である。基板ステーション250は、基板の被処理面の裏面を保持するための第1のアーム部材250-1および第2のアーム部材250-2を備える。第1のアーム部材250-1および第2のアーム部材250-2はそれぞれ、基板の被処理面の裏面の外縁を保持するための突起部材250aを有する。第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2は水平方向に並べて離間して配置されている。第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2は、互いに近づく方向および離れる方向に移動可能になっている。第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2は、互いに近づいた基板保持位置にあるときに基板を保持するように構成される。
【0027】
洗浄装置260は、基板ステーション250に保持された基板と対向するように配置された円板形状の天井部材262と、天井部材262の下面の外縁に取り付けられた筒状の側壁部材264と、天井部材262の下面に取り付けられた複数のノズル268と、を備える。天井部材262の上面の中央には鉛直方向に伸びるシャフト266が取り付けられている。シャフト266および天井部材262には洗浄液(例えば純水)を通流させるための流路267が形成されており、流路267は複数のノズル268に連通している。複数のノズル268は、図示していない洗浄液源から流路267を介して送られた洗浄液を、基板ステーション250に保持された基板の被処理面に供給するように構成されている。プリウェットモジュール200は、洗浄装置260を水平方向に駆動するための水平駆動部材270を備える。水平駆動部材270は、シャフト266に固定され水平方向に伸びるシャフト272を介して洗浄装置260を水平方向に移動させる。これにより、洗浄装置260は、基板の被処理面の全体を洗浄することができる。水平駆動部材270は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0028】
図3の例では、複数のノズル268は、第1の基板WF-1が脱気槽210内の脱気液に浸漬されているときに、被処理面WF-2aが鉛直方向の上向きに保持されている第2の基板WF-2の被処理面WF-2aに洗浄液を供給するように構成される。なお、本実施形態では、基板ステーション250に保持された基板に対して洗浄処理を行う例を示したが、これに限定されず、第1の保持部材222または第2の保持部材224に保持された基板(被処理面が鉛直方向の上向きに保持された基板)に洗浄処理を行ってもよい。
【0029】
基板ホルダ220は、複数のノズル268と脱気槽210との間に配置された遮蔽部材225を有する。遮蔽部材225は、脱気槽210の上部に形成された開口210a(脱気領域214の上部開口)よりも大きな外縁を有し、複数のノズル268と開口210aとの間を遮蔽するように構成された円板形状の部材である。遮蔽部材225を設けることによって、複数のノズル268から供給された洗浄液が脱気槽210(脱気領域214)内に落下することを防止することができる。
【0030】
本実施形態のプリウェットモジュール200では、基板ホルダ220は、第1の保持部材222および第2の保持部材224を備えており、駆動機構230は、第1の基板WF-1と第2の基板WF-2が順次、脱気槽210内の脱気液に浸漬されるように基板ホルダ220を駆動するように構成されている。したがって、プリウェットモジュール200
は、プリウェットモジュール200内で、第1の基板WF-1と第2の基板WF-2に異なる処理(例えば洗浄処理と脱気処理)を並行して行うことができる。したがって、本実施形態によれば、基板に効率よく前処理を行うことができ、プリウェットモジュール200のスループットを向上させることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、脱気処理と並行して実行される処理装置258の一例として基板ステーション250および洗浄装置260を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、プリウェットモジュール200の後続のめっき処理において、基板の被処理面の外縁部には給電接点が接触するので、被処理面の外縁部が濡れていると基板への給電分布が不均一になり、その結果、めっき処理によって形成されるめっき膜厚が不均一になるおそれがある。そこで、処理装置258は、脱気処理が終了した基板の被処理面の外縁部を乾燥させる乾燥装置であってもよい。また、処理装置258は、脱気処理を行う前の基板の被処理面を親水性に改質するために、被処理面に対してUV処理またはプラズマ処理を行うように構成された表面改質装置であってもよい。さらに、プリウェットモジュール200には、洗浄装置260、基板ステーション250、乾燥装置、または表面改質装置などの処理装置が設けられていなくてもよい。この場合、例えば第1の基板の脱気処理と並行して、第2の基板を第2の保持部材224に保持させる処理(基板の受け渡し処理)を行うことができる。その結果、第1の基板の脱気処理が終了した後、迅速に第2の基板に脱気処理を行うことができるので、1枚の基板がプリウェットモジュールを占有する従来技術に比べて、プリウェットモジュール200のスループットを向上させることができる。
【0032】
以下、本実施形態のプリウェット方法について説明する。
図4Aから
図4Fは、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を概略的に示す図である。
図4Aに示すように、プリウェット方法は、基板ステーション250の第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2を互いに近づけて基板保持位置に移動させる(ステップ101)。続いて、プリウェット方法は、搬送装置700によってプリウェットモジュール200に搬入された第1の基板WF-1を基板ステーション250に保持する(ステップ102)。
【0033】
続いて、プリウェット方法は、基板ステーション250に保持された第1の基板WF-1の被処理面を洗浄装置260によって洗浄する(ステップ103)。続いて、プリウェット方法は、昇降機構248を用いて基板ホルダ220を上昇させて、第1の保持部材222を第1の基板WF-1の被処理面の裏面に接触させ、被処理面の裏面を真空吸着することによって、第1の基板WF-1を保持する(ステップ104)。
【0034】
続いて
図4Bに示すように、プリウェット方法は、基板ステーション250の第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2を互いに遠ざけるように移動させる(ステップ105)。続いて、プリウェット方法は、回転機構240を用いて基板ホルダ220が上下反転するように基板ホルダ220を180度回転させる(ステップ106)。続いて、プリウェット方法は、昇降機構248を用いて基板ホルダ220を下降させることによって、脱気槽210に収容された脱気液に、第1の保持部材222に保持された第1の基板WF-1を浸漬させて脱気処理する(第1の脱気ステップ107)。続いて、プリウェット方法は、基板ステーション250の第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2を互いに近づけて基板保持位置に移動させる(ステップ108)。
【0035】
続いて
図4Cに示すように、プリウェット方法は、第1の脱気ステップ107の実行と並行して、搬送装置700によってプリウェットモジュール200に搬入された第2の基板WF-2を基板ステーション250に保持する(ステップ109)。続いて、プリウェット方法は、第1の脱気ステップ107の実行と並行して、後続の処理で第2の保持部材
224に保持される第2の基板WF-2に対して所定の処理を実行する(第1の処理ステップ110)。第1の処理ステップ110は、具体的には、基板ステーション250に保持された第2の基板WF-2(被処理面が鉛直方向の上向きに保持された基板)の被処理面に洗浄装置260を用いて洗浄液を供給する洗浄ステップを含む。続いて、プリウェット方法は、昇降機構248を用いて基板ホルダ220を上昇させて、第2の保持部材224を第2の基板WF-2の被処理面の裏面に接触させ、被処理面の裏面を真空吸着することによって、第2の基板WF-2を保持する(ステップ111)。続いて、プリウェット方法は、基板ステーション250の第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2を互いに遠ざけるように移動させる(ステップ112)。
【0036】
続いて
図4Dに示すように、プリウェット方法は、第2の保持部材224に保持された第2の基板WF-2の被処理面が脱気槽210に収容された脱気液に対向するように、回転機構240を用いて基板ホルダ220を180度回転(上下反転)させる(回転ステップ113)。続いて、プリウェット方法は、基板ステーション250の第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2を互いに近づけて基板保持位置に移動させて、第1の基板WF-1を基板ステーション250に保持する(ステップ114)。続いて、プリウェット方法は、昇降機構248を用いて基板ホルダ220を下降させることによって、脱気槽210に収容された脱気液に、第2の保持部材224に保持された第2の基板WF-2を浸漬させて脱気処理する(第2の脱気ステップ115)。続いて、プリウェット方法は、基板ステーション250に保持された第1の基板WF-1を搬送装置700によって搬出する(ステップ116)。
【0037】
続いて
図4Eに示すように、プリウェット方法は、第2の脱気ステップ115の実行と並行して、搬送装置700によってプリウェットモジュール200に搬入された第3の基板WF-3を基板ステーション250に保持する(ステップ117)。続いて、プリウェット方法は、第2の脱気ステップ115の実行と並行して、後続の処理で第1の保持部材222に保持される第3の基板WF-3に対して所定の処理を実行する(第2の処理ステップ118)。第2の処理ステップ118は、具体的には、基板ステーション250に保持された第3の基板WF-3(被処理面が鉛直方向の上向きに保持された基板)の被処理面に洗浄装置260を用いて洗浄液を供給する洗浄ステップを含む。続いて、プリウェット方法は、昇降機構248を用いて基板ホルダ220を上昇させて、第1の保持部材222を第3の基板WF-3の被処理面の裏面に接触させ、被処理面の裏面を真空吸着することによって、第3の基板WF-3を保持する(ステップ119)。続いて、プリウェット方法は、基板ステーション250の第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2を互いに遠ざけるように移動させる(ステップ120)。
【0038】
続いて
図4Fに示すように、プリウェット方法は、第1の保持部材222に保持された第3の基板WF-3の被処理面が脱気槽210に収容された脱気液に対向するように、回転機構240を用いて基板ホルダ220を180度回転(上下反転)させる(回転ステップ121)。続いて、プリウェット方法は、基板ステーション250の第1のアーム部材250-1と第2のアーム部材250-2を互いに近づけて基板保持位置に移動させて、第2の基板WF-2を基板ステーション250に保持する(ステップ122)。続いて、プリウェット方法は、昇降機構248を用いて基板ホルダ220を下降させることによって、脱気槽210に収容された脱気液に、第1の保持部材222に保持された第3の基板WF-3を浸漬させて脱気処理する(第3の脱気ステップ123)。続いて、プリウェット方法は、基板ステーション250に保持された第2の基板WF-2を搬送装置700によって搬出する(ステップ124)。プリウェット方法は、ステップ124の後、
図4Cに戻って後続の基板に対して前処理を繰り返す。
【0039】
以上のように、本実施形態のプリウェット方法は、プリウェットモジュール200内で
、複数の基板に異なる処理(洗浄処理と脱気処理)を並行して同時に行うように構成されている。したがって、本実施形態によれば、基板に効率よく前処理を行うことができ、プリウェットモジュール200のスループットを向上させることができる。
【0040】
なお、上記の実施形態では、基板ホルダ220が第1の保持部材222と第2の保持部材224を有する例を示したが、これに限定されない。
図5は、他の実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図3に示す実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図5に示すように、基板ホルダ220は、第1の基板WF-1を保持するための第1の保持部材222、第2の基板WF-2を保持するための第2の保持部材224、第3の基板WF-3を保持するための第3の保持部材226、および第4の基板WF-4を保持するための第4の保持部材228を有する。
【0041】
図5には図示していない回転機構は、シャフト242の軸周りに基板ホルダ220を回転可能になっている。これにより、回転機構は、第1の基板WF-1の被処理面が脱気槽210内の脱気液に対向する第1の状態と、第2の基板WF-2の被処理面が脱気液に対向する第2の状態と、第3の基板WF-3の被処理面が脱気液に対向する第3の状態と、第4の基板WF-4の被処理面が脱気液に対向する第4の状態と、の間で基板ホルダ220を回転させるように構成される。
図5には図示していない昇降機構によって基板ホルダ220を昇降させることにより、第1の基板WF-1から第1の基板WF-4を順次脱気液に浸漬させることができる。
【0042】
第1の保持部材222から第4の保持部材228は、シャフト242の軸周りに相互に90度ずつ位置をずらせて配置されている。
図5に示した状態において、第1の保持部材222および第3の保持部材226は、第1の基板WF-1および第3の基板WF-3の被処理面がそれぞれ鉛直方向の反対に向くように第1の基板WF-1および第3の基板WF-3を保持するように構成される。第2の保持部材224および第4の保持部材228は、第2の基板WF-2および第4の基板WF-4の被処理面がそれぞれ水平方向の反対に向くように第2の基板WF-2および第4の基板WF-4を保持するように構成される。
【0043】
プリウェットモジュール200は、第1の基板WF-1から第4の基板WF-4のいずれか1つが脱気液に浸漬されているときに他の基板に対して所定の処理を行うように構成された処理装置258を含む。
図5に示した状態では、処理装置258の一形態である洗浄装置260は、被処理面が水平方向を向いた第2の基板WF-2に対して洗浄液を供給するように構成される。ここで、
図5に示すように、第2の保持部材224は、第2の基板WF-2の被処理面WF-2aが水平方向に向いたときに当該基板の被処理面が脱気槽210の上部に形成された開口210aの外側に位置するように第2の基板WF-2を保持するように構成される。これにより、第2の基板WF-2の被処理面に衝突した洗浄液は、脱気槽210の外部に落下するので、脱気液に洗浄液が混入するのを抑制することができる。これは、第1の保持部材222、第3の保持部材226、および第4の保持部材228についても同様である。すなわち、第1の保持部材222、第3の保持部材226、および第4の保持部材228が基板ホルダ220の回転によって第2の保持部材224と同じ位置に配置されたときには、第1の基板WF-1、第3の基板WF-3、および第4の基板WF-4の被処理面は開口210aの外側に位置する。
【0044】
図5に示すように、処理装置258は、被処理面が水平方向を向いた基板(
図5では第4の基板WF-4)に対して乾燥処理を実行するように構成された乾燥装置280を備える。乾燥装置280は、脱気処理が行われた後の基板の被処理面の外縁部を乾燥させるように構成される。乾燥装置280を設けることにより、後続のめっき処理において給電接点が基板の被処理面の濡れた外縁部に接触するのを抑制することができる。
【0045】
また、
図5に示すように、処理装置258は、被処理面が鉛直上方向を向いた基板(
図5では第1の基板WF-1)に対してUV処理またはプラズマ処理を行うように構成された表面改質装置290を備える。表面改質装置290を設けることにより、洗浄処理および脱気処理を行う前の基板の被処理面を親水性に改質することができる。
【0046】
本実施形態によれば、プリウェットモジュール200内において、表面改質処理、洗浄処理、脱気処理、および乾燥処理を、複数の基板に対して並行して行うことができる。したがって、本実施形態によれば、基板に効率よく前処理を行うことができ、プリウェットモジュール200のスループットを向上させることができる。
【0047】
次に、プリウェットモジュールの他の実施形態について説明する。上記の実施形態では、脱気槽210内の空間が仕切り板212によって脱気領域214とオーバーフロー領域216に仕切られる例を示したが、これに限定されない。
図6は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す斜視図である。
図7は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。脱気槽210以外の構成は、上記の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
図6および
図7に示すように、脱気槽210は、脱気液が収容される概略円筒形状の脱気槽210から脱気液を溢れ出させるための複数(本実施形態では4個)のオーバーフロー口219を有する。具体的には、複数のオーバーフロー口219は、脱気槽210の側壁210bの同じ高さ位置に、周方向に沿って実質的に等間隔(約90°間隔)に形成されている。また、複数のオーバーフロー口219は、脱気槽210に浸漬された基板WFよりも高い位置で、脱気槽210の側壁210bに形成されている。プリウェットモジュール200は、複数のオーバーフロー口219にそれぞれ連通する複数(本実施形態では4個)のオーバーフロー槽205を有する。オーバーフロー槽205は脱気槽210の側壁210bの外側に配置された概略矩形の容器である。本実施形態では、脱気槽210の内部に脱気領域214が形成され、オーバーフロー槽205の内部にオーバーフロー領域216が形成される。
【0049】
また、
図6および
図7に示すように、脱気槽210は、脱気槽210の底壁210cの中央に形成された脱気液の注入口210dを有する。注入口210dは、脱気槽210に浸漬された基板WFの中心に対応する位置に設けられる。脱気液を生成するように構成された脱気装置1300から送出された脱気液は、注入口210dを介して脱気槽210内に注入されて脱気槽210を満たし、複数のオーバーフロー口219から溢れ出す。
【0050】
本実施形態のように複数のオーバーフロー口219を介して脱気液をオーバーフローさせることによって、基板WFの被処理面WF-aにおける脱気液の流速を均等化するとともに、脱気槽210内の脱気液の溶存酸素量を均等化することができる。
【0051】
すなわち、例えばオーバーフロー口が1か所だけ形成されている場合には、注入口210dを介して脱気槽210内に注入された脱気液は基板WFの被処理面の中央に向けて流れた後、1か所のオーバーフロー口の方向に流れる。これにより、基板WFの被処理面における脱気液の流速が不均等になるとともに、オーバーフロー口が形成されていない側の領域では脱気液の流れが淀む。この流れが淀んだ領域では、脱気液の液面から空気が溶け込んで溶存酸素量が多くなるので、脱気槽210内の脱気液の溶存酸素量が不均等になり得る。その結果、流れが淀んだ領域の近傍では、流れが淀んでいない領域の近傍と比べて、基板WFの被処理面WF-aの脱気処理が促進され難くなるので、基板WFの被処理面全体で脱気処理のバラつきが生じ得る。
【0052】
これに対して、本実施形態によれば、脱気槽210の側壁210bの周方向に実質的に均等配置された複数のオーバーフロー口219から脱気液が溢れ出す。これにより、注入口210dを介して脱気槽210内に注入された脱気液は基板WFの被処理面WF-aの中央に向けて流れた後、基板WFの被処理面の中央から被処理面に沿って放射方向に広がる流れが形成される。したがって、基板WFの被処理面における脱気液の流速をより均一化することができる。また、脱気槽210内に脱気液の流れが淀む領域が生じ難いので、脱気槽210内の脱気液の溶存酸素量をより均等化することができ、その結果、基板WFの被処理面WF-aの全体をより均等に脱気処理することができる。
【0053】
また、
図6および
図7に示すように、オーバーフロー槽205は、オーバーフロー槽205の上部の開口を塞ぐように配置された板状の蓋部材205aを有する。オーバーフロー槽205が蓋部材205aを有することによって、複数のノズル268から供給された洗浄液がオーバーフロー槽205内(オーバーフロー領域216)に落下することを防止することができる。さらに、オーバーフロー槽205は、蓋部材205aの上面の、脱気槽210の側壁210bに対応する位置から鉛直上方向に伸びる板部材205bを有する。板部材205bを設けることによって、複数のノズル268から供給された洗浄液が蓋部材205aに落下した後に脱気槽210の方向に跳ね返ったとしても、板部材205bに衝突するので、洗浄液が脱気槽210に落下することを防止することができる。
【0054】
図8は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。
図8に示すように、プリウェットモジュール200は、脱気槽210内に浸漬された基板と注入口210dとの間に配置された整流部材207を備える。
図9は、整流部材の一例を示す斜視図である。
図9に示すように、整流部材207は、複数の貫通穴(丸穴)207aを有する板状の部材である。
【0055】
例えば
図7に示した実施形態では、注入口210dから注入された脱気液が基板WFの被処理面の外周部分よりも中央部分に多く流れて、脱気処理が不均一になるおそれがある。これに対して本実施形態では、注入口210dから注入された脱気液は、整流部材207の複数の貫通穴207aを通って基板WFの被処理面に向かうので、注入口210dから注入された脱気液を基板WFの被処理面の全体により均一に供給することができ、その結果、基板WFの被処理面WF-aの脱気処理をより均一化することができる。なお、本実施形態では、複数の丸穴207が形成された整流部材207を一例として示したが、これに限らず、例えば角穴が形成されていてもよいし、簀子状に構成されることによって長穴が形成されていてもよい。整流部材207は、基板WFと注入口210dとの間に配置されており、基板WFの被処理面WF-aに対向する複数の貫通穴が形成されていればよい。
【0056】
次に、プリウェットモジュールの他の実施形態について説明する。
図10は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。本実施形態のプリウェットモジュールは、
図3を用いて説明したプリウェットモジュール200と同様の構成に加えて、追加の複数の部材を備えている。
図3のプリウェットモジュール200と同様に構成については説明を省略する。
【0057】
図10に示すように、プリウェットモジュール200は、脱気槽210内に浸漬された基板に対向して配置された撮像部材(カメラ)211を備える。撮像部材211によって撮像された画像は、制御モジュール800の出力インターフェースなどに表示させることができる。これにより、脱気槽210に浸漬された基板WF-1の被処理面の状態をオペレータが観察することができる。オペレータは、例えば、基板WF-1を脱気槽210に浸漬させたときに基板WFの被処理面に気泡が付着していないか、脱気処理中にシード層に異常が生じていないかなど、被処理面WF-1aの状態をモニターすることができる。
【0058】
また、プリウェットモジュール200は、基板の被処理面の脱気状態を判定するように構成された判定装置201を備える。判定装置201は、撮像部材211によって撮像された画像の輝度に基づいて基板の被処理面の脱気状態を判定するように構成される。判定装置201は、脱気状態の判定アルゴリズムが組み込まれた一般的なコンピュータまたは専用コンピュータで構成することができる。めっき装置1000の制御モジュール800を判定装置201として用いてもよい。
【0059】
判定装置201は、具体的には、撮像部材211によって撮像された画像に含まれる複数ピクセルの一部の輝度、または複数ピクセルの平均輝度が、所定の閾値を超えていたら、被処理面に気泡が付着している、または、脱気処理が完了していないと判定することができる。一方、判定装置201は、複数ピクセルの一部の輝度、または複数ピクセルの平均輝度が、所定の閾値以下になったら、脱気処理が完了したと判定することができる。すなわち、基板WFの被処理面に気泡が付着している場合、あるいは、被処理面のパターン間またはビアに未置換の空気が残っている場合には、撮像した画像に気泡または空気による白い領域が含まれてピクセルの輝度が高くなる。したがって、判定装置201は、撮像された画像の輝度に基づいて基板の被処理面の脱気状態を判定することができる。
【0060】
なお、撮像部材211は、支持台213に取り付けられて脱気槽210内に保持されている。プリウェットモジュール200は、支持台213を介して撮像部材211を基板WFの被処理面に沿った方向に移動させるための駆動部材215を備える。駆動部材215は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。駆動部材215によって撮像部材を基板WFの被処理面に沿って移動させることにより、基板WFの半径方向に沿って被処理面を撮像することができる。撮像部材211は、例えば基板の被処理面から1~10mmの距離に配置するのが好ましい。
【0061】
また、プリウェットモジュール200は、基板ホルダ220によって保持された基板WFが基板の中心を通る軸WF-bの周りに回転するように第1の保持部材222を回転させるための回転駆動部材221をさらに備える。基板WFを軸WF-bの周りに回転させることによって、基板WFの周方向に沿って被処理面を撮像することができる。また、駆動部材215を用いて撮像部材211を移動させながら、回転駆動部材221を用いて基板WFを回転させることによって、被処理面の全体を撮像することができる。なお、本実施形態では、第1の保持部材222を回転させるための回転駆動部材221を備える例を示したが、第2の保持部材224を同様に回転させてもよい。また、本実施形態は、
図3に示したプリウェットモジュール200に撮像部材211などの複数の部材を追加した例を示したが、これに限らず、
図5に示したプリウェットモジュール200に同様の部材を追加してもよい。
【0062】
次に、プリウェットモジュールの他の実施形態について説明する。
図11は、一実施形態のプリウェットモジュールの構成を概略的に示す縦断面図である。本実施形態のプリウェットモジュールは、
図3を用いて説明したプリウェットモジュール200と同様の構成に加えて、追加の複数の部材を備えている。
図3のプリウェットモジュール200と同様に構成については説明を省略する。
【0063】
図11に示すように、プリウェットモジュール200は、脱気槽210内に浸漬された基板に対向して配置された攪拌部材(パドル)217を備える。また、プリウェットモジュール200は、攪拌部材217を基板の被処理面に沿って往復移動させるための駆動部材218を備える。駆動部材218は、例えばモータなどの公知の機構によって実現することができる。
【0064】
図12Aおよび
図12Bは、攪拌部材の構成を概略的に示す平面図である。
図12Aに示すように、攪拌部材217は、複数の棒状部材217aを格子状に配置することによって多数の穴217bが形成された板部材によって構成することができる。また、
図12Bに示すように、攪拌部材217は、ハニカム状の多数の穴217cが形成された板部材によって構成することもできる。駆動部材218によって攪拌部材217を往復移動させることによって、基板WFの被処理面の近傍の脱気液を攪拌することができる。これにより、例えば基板WFの被処理面に形成されたビア内部の空気を脱気液に置換させる場合に、空気が溶け込んだ脱気液をビアから離脱させて、空気が溶け込んでいない脱気を新たにビアに送り込むことができるので、脱気処理を促進することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、攪拌部材217を往復移動させることによって脱気液を攪拌する例を示したが、これに限らず、
図10に示した実施形態における回転駆動部材221を用いて基板WFを回転させることによって脱気液を攪拌してもよい。また、攪拌部材217を往復移動させ、かつ、回転駆動部材221を用いて基板WFを回転させることによって、より強く脱気液を攪拌させることもできる。
【0066】
次に、複数のプリウェットモジュール200を備える脱気液循環システムについて説明する。
図13は、一実施形態の脱気液循環システムの構成を概略的に示す図である。
図13に示すように、脱気液循環システム1500は、上下方向に並べて配置された2台のプリウェットモジュール200を備える。また、脱気液循環システム1500は、2台のプリウェットモジュール200に対して共通に設けられた1台の循環槽1100を備える。循環槽1100は、2台のプリウェットモジュール200から溢れ出た脱気液を受け入れるように構成される。具体的には、2台のプリウェットモジュール200から溢れ出た脱気液は、オーバーフロー配管1150を介して循環槽1100へ流れる。
【0067】
脱気液循環システム1500は、2台のプリウェットモジュール200に対して共通に設けられた1台の脱気装置1300を備える。脱気装置1300は、脱気液に対する脱気処理を行うための装置であり、図示していない真空ポンプなどを用いて真空引きすることによって溶存酸素量の少ない脱気液を生成することができる。脱気液循環システム1500は、2台のプリウェットモジュール200に対して共通に設けられた1台の圧送部材(ポンプ)1200を備える。圧送部材1200は、循環槽1100から脱気装置1300を介して2台のプリウェットモジュール200に脱気液を圧送するための部材である。
【0068】
具体的には、循環槽1100と脱気装置1300は排出配管1160を介して接続されている。また、脱気装置1300と2台のプリウェットモジュール200は供給配管1190を介して接続されている。2台のプリウェットモジュール200に接続された供給配管1190にはそれぞれ、バルブ1192および流量計1194が設けられている。圧送部材1200は、バルブ1192が開いているときに、排出配管1160を介して脱気液を循環槽1100から脱気装置1300へ圧送するとともに、供給配管1190を介して脱気液を脱気装置1300から2台のプリウェットモジュール200へ圧送する。本実施形態によれば、複数台のプリウェットモジュール200に対して、循環槽1100、脱気装置1300、および圧送部材1200を共用しているので、脱気液循環システム1500のコストを抑制することができる。
【0069】
脱気液循環システム1500は、供給配管1190に配置されたフィルタ1400を備える。フィルタ1400は、供給配管1190を流れる脱気液に含まれる異物を取り除くための部材である。フィルタ1400には、フィルタ1400の目詰まり防止用のベント配管1170が接続されている。ベント配管1170は循環槽1100に接続されており、ベント配管1170を通る脱気液は循環槽1100に戻されるようになっている。
【0070】
脱気液循環システム1500は、供給配管1190のフィルタ1400より下流から分岐して循環槽1100に接続されたパイパス配管1180を備える。パイパス配管1180には、バルブ1182および流量計1184が設けられている。これにより、脱気装置1300から送り出された脱気液を、プリウェットモジュール200を介さずに循環槽1100へ戻すことができる。
【0071】
循環槽1100は、2台のプリウェットモジュールから溢れ出た脱気液を循環槽1100内に受け入れる第1の受け入れ口1150aを備える。第1の受け入れ口1150aは、循環槽1100内に挿入されたオーバーフロー配管1150の端部に形成される。また、循環槽1100は、パイパス配管1180を介して圧送された脱気液を循環槽1100内に受け入れる第2の受け入れ口1180aを備える。第2の受け入れ口1180aは、循環槽1100内に挿入されたパイパス配管1180の端部に形成される。循環槽1100は、循環槽1100内の脱気液を脱気装置1300へ排出するための排出口1100dを備える。
【0072】
図13に示すように、第1の受け入れ口1150aおよび第2の受け入れ口
1180aは、循環槽1100の第1の側壁1100aの近傍に配置される。より具体的には、第1の受け入れ口1150aおよび第2の受け入れ口1180aは、循環槽1100の第1の側壁1100aおよび底壁1100cの近傍に設けられる。排出口1100dは、循環槽1100の第1の側壁1100aと対向する第2の側壁1100bの近傍の底壁1100cに配置される。このように、第1の受け入れ口1150aおよび第2の受け入れ口1180aと、排出口1100dと、を循環槽1100内の対極する位置に配置することによって、プリウェットモジュール200から排出された脱気液と脱気装置1300から戻ってきた脱気液とを混合してから脱気装置1300へ送り出すことができる。
【0073】
さらに、
図13に示すように、循環槽1100は、第1の側壁1100aと第2の側壁1100bとの間を部分的に仕切る仕切り板1120を備える。仕切り板1120は、底壁1100cから鉛直上方向に伸びる板部材である。仕切り板1120を設けることによって、第1の受け入れ口1150aおよび第2の受け入れ口1180aから流入した脱気液は混合されながら、仕切り板1120を乗り越えた後に排出口1100dに向かって流れる。したがって、プリウェットモジュール200から排出された脱気液と脱気装置1300から戻ってきた脱気液とを十分に混合することができる。
【0074】
循環槽1100は、仕切り板1120を乗り越えて排出口1100dへ向かう脱気液の流路に配置された溶存酸素計1130を備える。溶存酸素計1130は、脱気液中の溶存酸素量を計測することができるセンサである。脱気液循環システム1500は、例えば脱気液循環システム1500の立ち上げ時に、バルブ1192を閉じ、バルブ1182を開いて圧送部材1200を駆動することによって、脱気装置1300から送り出された脱気液を、プリウェットモジュール200を介さずに循環槽1100へ循環する。これにより、循環槽1100内の脱気液の溶存酸素量は低下する。脱気液循環システム1500は、溶存酸素計1130によって計測された溶存酸素量が所定の閾値より低くなったら、バルブ1192を開くことによって、十分に脱気された脱気液をプリウェットモジュール200に供給することができる。
【0075】
循環槽1100は、循環槽1100内の脱気液の液面レベルを計測するための複数(本実施形態では5個)の液面センサHH、H2、H1、L、LLを備える。液面センサHH、H2、H1、L、LLは上下方向に並べて配置されている。循環槽1100にはDIW供給源1140から脱気液を供給可能になっている。脱気液循環システム1500は、例えば、循環槽1100内部の脱気液の液面がLLより低くなったら圧送部材1200を停止するとともにDIW供給源1140から脱気液を補充する。また、脱気液循環システム
1500は、循環槽1100内部の脱気液の液面がHHより高くなったら、DIW供給源1140からの脱気液の補充を停止する。また、脱気液循環システム1500は、循環槽1100内部の脱気液の液面がH2からLの間の高さ(H1の高さ)になるように、圧送部材1200の回転数またはDIW供給源1140からの脱気液の補充量などを調整する。
【0076】
次に、
図4を用いて説明したプリウェット方法の変形例を説明する。
図14は、一実施形態のプリウェットモジュールを用いたプリウェット方法を示すフローチャートである。
図14は、
図4のプリウェット方法における第1の脱気ステップ107と並行して実行される追加のステップを示すものである。したがって、
図4のプリウェット方法と同様のステップについては説明を省略する。
【0077】
図14に示すように、プリウェット方法は、第1の脱気ステップ107の開始と同時または開始された後、脱気液に浸漬された基板の被処理面の中央から放射方向に広がる脱気液の流れを形成する(ステップ210)。ステップ210は、例えば、複数(本実施形態では4個)のオーバーフロー口219から脱気液を溢れ出させることにより実行される。すなわち、脱気槽210の側壁210bの周方向に均等配置された複数のオーバーフロー口219から脱気液が溢れ出させることにより、注入口210dを介して脱気槽210内に注入された脱気液に対して、基板WFの被処理面の中央から被処理面に沿って放射方向に広がる流れが形成される。これにより、基板WFの被処理面における脱気液の流速をより均一化することができ、かつ、脱気槽210内の脱気液の溶存酸素量をより均等化することができるので、基板WFの被処理面WF-aの全体をより均等に脱気処理することができる。
【0078】
続いて、プリウェット方法は、第1の脱気ステップ107の開始と同時または開始された後、脱気液に浸漬された基板の被処理面を撮像する(撮像ステップ220)。撮像ステップ220は、例えば、撮像部材211を用いて基板の被処理面を撮像する。続いて、プリウェット方法は、撮像ステップ220によって撮像された画像に基づいて基板の被処理面の脱気状態を判定する(判定ステップ230)。判定ステップ230は、例えばオペレータが、基板の被処理面に気泡が付着していないか、脱気処理中にシード層に異常が生じていないかなど、被処理面の状態をモニターすることによって実行される。また、判定ステップ230は、判定装置201によって実行されてもよい。この場合、撮像部材211によって撮像された画像の輝度に基づいて基板の被処理面の脱気状態を判定することができる。
【0079】
続いて、プリウェット方法は、脱気槽210に収容された脱気液を攪拌する(攪拌ステップ240)。攪拌ステップ240は、例えば、攪拌部材217を基板の被処理面に沿って往復移動させることによって実行される。また、攪拌ステップ240は、回転駆動部材221を用いて基板WFを回転させることによって実行することもできる。これにより、例えば基板の被処理面に形成されたビア内部の空気を脱気液に置換させる場合に、空気が溶け込んだ脱気液をビアから離脱させて、空気が溶け込んでいない脱気を新たにビアに送り込むことができるので、脱気処理を促進することができる。
【0080】
なお、本実施形態では、ステップ210と、撮像ステップ220および判定ステップ230と、攪拌ステップ240と、が順番に実行される例を示したが、これらのステップの実行順序は入れ替わってもよいし、これらのステップは同時に実行されてもよい。また、これらのステップは、全てが実行されなくてもよく、一部が実行されてもよい。また、本実施形態では、これらのステップが第1の脱気ステップ107と並行して実行される例を示したが、これに限らず、第2の脱気ステップ115または第3の脱気ステップ123と並行して実行されてもよい。
【0081】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0082】
本願は、一実施形態として、脱気液を収容するように構成された脱気槽と、被処理面が上向きの基板の被処理面に洗浄液を供給するように構成されたノズルを含む処理装置と、前記脱気槽と前記処理装置との間に配置され、第1の基板を保持するように構成された第1の保持部材、および第2の基板を保持するように構成された第2の保持部材を有する基板ホルダと、前記基板ホルダを回転および昇降するように構成された駆動機構と、を含み、前記駆動機構は、前記第1の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第1の状態と、前記第2の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第2の状態と、の間で前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、を含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0083】
さらに、本願は、一実施形態として、前記処理装置のノズルは、前記第1の基板および前記第2の基板のいずれか一方が前記脱気槽内の脱気液に浸漬されているときに他方の基板の被処理面に洗浄液を供給するように構成されている、プリウェットモジュールを開示する。
【0084】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1の保持部材および前記第2の保持部材は、前記第1の基板の被処理面および前記第2の基板の被処理面が互いに鉛直方向の反対に向くように前記第1の基板および前記第2の基板を保持するように構成され、前記ノズルは、被処理面が鉛直方向の上向きに保持された基板に対して洗浄液を供給するように構成される、プリウェットモジュールを開示する。
【0085】
さらに、本願は、一実施形態として、前記基板ホルダは、前記脱気槽の上部に形成された開口よりも大きな外縁を有し前記ノズルと前記開口との間を遮蔽するように構成された遮蔽部材を含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0086】
さらに、本願は、一実施形態として、脱気液を収容するように構成された脱気槽と、第1の基板を保持するように構成された第1の保持部材、第2の基板を保持するように構成された第2の保持部材、第3の基板を保持するように構成された第3の保持部材、および第4の基板を保持するように構成された第4の保持部材、を有し、前記第1の保持部材から前記第4の保持部材は、前記第1の基板から前記第4の基板の被処理面がそれぞれ鉛直方向の反対および水平方向の反対に向くように前記第1の基板から前記第4の基板を保持するように構成されている、基板ホルダと、前記基板ホルダを回転および昇降するように構成された駆動機構と、を含み、前記駆動機構は、前記第1の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第1の状態と、前記第2の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第2の状態と、前記第3の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第3の状態と、前記第4の基板の被処理面が前記脱気槽内の脱気液に対向する第4の状態と、の間で前記基板ホルダを回転させるように構成された回転機構と、前記基板ホルダを昇降させるように構成された昇降機構と、を含み、前記第1の基板から前記第4の基板のいずれか1つが前記脱気槽内の脱気液に浸漬されているときに他の基板に対して所定の処理を行うように構成された処理装置をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0087】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1の保持部材から前記第4の保持部材はそ
れぞれ、前記第1の基板から前記第4の基板の被処理面が水平方向に向いたときに当該基板の被処理面が前記脱気槽の上部に形成された開口の外側に位置するように前記第1の基板から前記第4の基板を保持するように構成され、前記処理装置は、被処理面が水平方向に向いた状態の基板の被処理面に洗浄液を供給するように構成されたノズルを含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0088】
さらに、本願は、一実施形態として、前記脱気槽は、前記脱気槽から脱気液を溢れ出させるための複数のオーバーフロー口を有し、前記複数のオーバーフロー口は、前記脱気槽の側壁に周方向に沿って等間隔に形成される、プリウェットモジュールを開示する。
【0089】
さらに、本願は、一実施形態として、前記脱気槽は、前記脱気槽の底壁の中央に形成された脱気液の注入口を有する、プリウェットモジュールを開示する。
【0090】
さらに、本願は、一実施形態として、前記脱気槽内に浸漬された基板と前記注入口との間に配置された、複数の貫通穴を有する整流部材をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0091】
さらに、本願は、一実施形態として、前記脱気槽内に浸漬された基板に対向して配置された撮像部材と、前記撮像部材によって撮像された画像の輝度に基づいて前記脱気槽内の基板の被処理面の脱気状態を判定するように構成された判定装置と、をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0092】
さらに、本願は、一実施形態として、前記撮像部材を前記基板の被処理面に沿った方向に移動させるための駆動部材、をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0093】
さらに、本願は、一実施形態として、前記脱気槽内に浸漬された基板に対向して配置された攪拌部材と、前記攪拌部材を前記基板の被処理面に沿って往復移動させるための駆動部材と、をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0094】
さらに、本願は、一実施形態として、前記基板ホルダによって保持された基板が基板の中心を通る軸の周りに回転するように前記第1の保持部材および前記第2の保持部材の少なくとも一方を回転させるための回転駆動部材をさらに含む、プリウェットモジュールを開示する。
【0095】
さらに、本願は、一実施形態として、上記のいずれかに記載のプリウェットモジュールを複数備える脱気液循環システムであって、前記複数のプリウェットモジュールに対して共通に設けられ、前記複数のプリウェットモジュールから溢れ出た脱気液を受け入れる循環槽と、前記複数のプリウェットモジュールに対して共通に設けられ、脱気液に対する脱気処理を行うための脱気装置と、前記複数のプリウェットモジュールに対して共通に設けられ、前記循環槽から前記脱気装置を介して前記複数のプリウェットモジュールに脱気液を圧送するための圧送部材と、前記脱気装置と前記複数のプリウェットモジュールとを結ぶ配管から分岐して前記循環槽に接続されたパイパス配管と、を含む、脱気液循環システムを開示する。
【0096】
さらに、本願は、一実施形態として、前記循環槽は、前記複数のプリウェットモジュールから溢れ出た脱気液を前記循環槽内に受け入れる第1の受け入れ口と、前記パイパス配管を介して圧送された脱気液を前記循環槽内に受け入れる第2の受け入れ口と、前記循環槽内の脱気液を前記脱気装置へ排出するための排出口と、を有し、前記第1の受け入れ口および前記第2の受け入れ口は、前記循環槽の第1の側壁の近傍に配置され、前記排出口は、前記循環槽の前記第1の側壁と対向する第2の側壁の近傍に配置される、脱気液循環
システムを開示する。
【0097】
さらに、本願は、一実施形態として、第1の基板を第1の位置に配置し、前記第1の基板の被処理面を下向きで脱気液に浸漬させて脱気処理する第1の脱気ステップと、前記第1の脱気ステップの実行と並行して、第2の基板を第2の位置に配置し、前記第2の基板の被処理面を上向きにした状態で前記第2の基板の被処理面に洗浄液を供給する第1の洗浄ステップと、前記第1の脱気ステップおよび前記第1の洗浄ステップの後に、前記第2の基板を前記第1の位置に配置するように、前記第1の基板および前記第2の基板を回転させる回転ステップと、前記回転ステップの後に、前記第2の基板の被処理面を下向きで脱気液に浸漬させて脱気処理する第2の脱気ステップと、前記第2の脱気ステップの実行と並行して、前記第2の位置で第3の基板の被処理面を上向きにした状態で前記第3の基板の被処理面に洗浄液を供給する第2の洗浄ステップと、を含む、プリウェット方法を開示する。
【0098】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1の脱気ステップまたは前記第2の脱気ステップの実行と並行して、脱気液に浸漬された基板の被処理面の中央から放射方向に広がる脱気液の流れを形成するステップ、を含む、プリウェット方法を開示する。
【0099】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1の脱気ステップまたは前記第2の脱気ステップの実行と並行して、脱気液に浸漬された基板の被処理面を撮像する撮像ステップと、前記撮像ステップによって撮像された画像に基づいて前記基板の被処理面の脱気状態を判定する判定ステップと、をさらに含む、プリウェット方法を開示する。
【0100】
さらに、本願は、一実施形態として、前記第1の脱気ステップまたは前記第2の脱気ステップの実行と並行して、脱気液を攪拌する攪拌ステップ、をさらに含む、プリウェット方法を開示する。
【符号の説明】
【0101】
200 プリウェットモジュール
201 判定装置
205 オーバーフロー槽
207 整流部材
207a 貫通穴(丸穴)
210 脱気槽
210a 開口
210b 側壁
210c 底壁
210d 注入口
211 撮像部材(カメラ)
215 駆動部材
217 攪拌部材(パドル)
218 駆動部材
219 オーバーフロー口
220 基板ホルダ
221 回転駆動部材
222 第1の保持部材
224 第2の保持部材
225 遮蔽部材
226 第3の保持部材
228 第4の保持部材
230 駆動機構
240 回転機構
248 昇降機構
250 基板ステーション
250-1 第1のアーム部材
250-2 第2のアーム部材
260 洗浄装置
268 ノズル
280 乾燥装置
290 表面改質装置
1000 めっき装置
1100 循環槽
1100a 第1の側壁
1100b 第2の側壁
1100c 底壁
1100d 排出口
1150a 第1の受け入れ口
1180 パイパス配管
1180a 第2の受け入れ口
1200 圧送部材(ポンプ)
1300 脱気装置
1500 脱気液循環システム
WF 基板
WF-1 第1の基板
WF-2 第2の基板
WF-3 第3の基板
WF-4 第4の基板
【要約】
【課題】基板に効率よく前処理を行う。
【解決手段】プリウェットモジュール200は、脱気液を収容するように構成された脱気槽210と、被処理面が上向きの基板の被処理面に洗浄液を供給するように構成されたノズル268を含む処理装置258と、脱気槽210と処理装置258との間に配置され、第1の基板を保持するように構成された第1の保持部材222、および第2の基板を保持するように構成された第2の保持部材224を有する基板ホルダ220と、基板ホルダ220を回転および昇降するように構成された駆動機構230と、を含み、駆動機構230は、第1の基板の被処理面が脱気槽210内の脱気液に対向する第1の状態と、第2の基板の被処理面が脱気槽内の脱気液に対向する第2の状態と、の間で基板ホルダ220を回転させるように構成された回転機構240と、基板ホルダ220を昇降させるように構成された昇降機構248と、を含む。
【選択図】
図3