(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
E03B 5/00 20060101AFI20220118BHJP
F04B 49/02 20060101ALI20220118BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20220118BHJP
F04B 49/04 20060101ALI20220118BHJP
E03B 11/12 20060101ALI20220118BHJP
E03B 5/02 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
E03B5/00 B
F04B49/02 311
F04D15/00 J
F04B49/04
F04D15/00 H
E03B11/12
E03B5/02
(21)【出願番号】P 2017207025
(22)【出願日】2017-10-26
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】原田 陽介
【審査官】皆藤 彰吾
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-277781(JP,A)
【文献】特開2008-202556(JP,A)
【文献】特開2017-150210(JP,A)
【文献】特開平08-105082(JP,A)
【文献】特開2017-137801(JP,A)
【文献】特開2017-137800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 5/00
F04B 49/02
F04D 15/00
F04B 49/04
E03B 11/12
E03B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水対象よりも高位に設置された高置水槽に定水位弁を介して接続され、前記高置水槽を介して前記給水対象に給水する給水装置であって、
前記高置水槽へ水を移送するポンプと、
前記ポンプの吐出し圧力を測定する圧力計と、
前記圧力計により測定された前記ポンプの吐出し圧力に基づいて前記ポンプを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記高置水槽の水位を検出する水位計からの信号に基づいて、前記高置水槽の水位が、前記定水位弁が閉じられる閉水位以上の所定の水位である第1水位以上に至っていると判定したときに定水位弁警報を検出する、
給水装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記定水位弁警報が検出されているときに、前記高置水槽の水位が前記第1水位以上に至ることなく前記ポンプが少なくとも2回始動されたときに、前記定水位弁警報を解除する、
請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記高置水槽の水位が閉水位以上の所定の第2水位未満から前記第2水位以上となる回数をカウントし、該回数が所定回数以上となったときに前記第1水位以上に至っていると判定する、
請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記高置水槽の水位が、前記閉水位以上の所定の水位である強制停止水位以上に至っていると判定したときに前記ポンプを強制停止させる、
請求項1から3の何れか1項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記定水位弁警報を検出しているときに前記高置水槽の水位が前記強制停止水位未満から前記強制停止水位以上となる回数をカウントし、該回数が所定回数以上なったと判定したときには、前記強制停止水位を前記高置水槽が満水となる満水水位より低い水位に変更する、
請求項4に記載の給水装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記定水位弁警報の検出、および、前記定水位弁警報中の前記高置水槽の水位に関する情報を不揮発性メモリに記憶する、
請求項1から5の何れか1項に記載の給水装置。
【請求項7】
前記制御部は、所定の外部入力がなされたときには前記定水位弁警報を解除する、
請求項1から6の何れか1項に記載の給水装置。
【請求項8】
ポンプと、
前記ポンプを制御する制御装置と、
を備えた給水装置の制御方法であって、
前記給水装置は、給水方式として、
前記給水装置の吐出し側に、給水対象よりも高位に設置された高置水槽が接続される高置水槽方式と、
前記給水装置の吐出し側に、前記給水対象が接続される直送式と、
を選択可能であり、
前記直送式が選択されているときには、前記制御装置は、前記ポンプの吐出し圧力が所定の始動圧力以下で始動し、前記ポンプの吐出し流量が過少水量で停止するように前記ポンプを制御する自動発停制御を行い、
前記高置水槽方式が選択されているときには、前記制御装置は、前記ポンプの吐出し管路を形成する給水管に設けられた定水位弁が開閉されることで前記自動発停制御を行うとともに、
前記高置水槽の水位を検出する水位計からの信号に基づいて、前記高置水槽の水位が、前記定水位弁が閉じられる閉水位以上の所定の水位である強制停止水位以上に至っていると判定したときには前記ポンプを強制停止させる、
給水装置の制御方法。
【請求項9】
ポンプと、
前記ポンプを制御する制御装置と、
を備えた給水装置の制御方法であって、
前記給水装置は、給水方式として、
前記給水装置の吐出し側に、給水対象よりも高位に設置された高置水槽が接続される高置水槽方式と、
前記給水装置の吐出し側に、前記給水対象が接続される直送式と、
を選択可能であり、
前記直送式が選択されているときには、前記制御装置は、前記ポンプの吐出し圧力が所定の始動圧力以下で始動し、前記ポンプの吐出し流量が過少水量で停止するように前記ポンプを制御する自動発停制御を行い、
前記高置水槽方式が選択されているときには、前記制御装置は、前記ポンプの吐出し管路を形成する給水管に設けられた定水位弁が開閉されることで前記自動発停制御を行うとともに、前記高置水槽の水位が強制停止水位以上に至ったときに前記ポンプは停止し、
前記給水装置は、前記ポンプの吐出し量が所定の流量以下にまで低下した過少水量の状態を検出する流量検出器を備えており、
前記高置水槽方式が選択されているときに、前記高置水槽の水位が前記強制停止水位以上に至ったと判断して前記ポンプが停止された後に、前記流量検出器により前記過少水量の状態が検出されないときには前記流量検出器が異常であると判定する、
給水装置の制御方法。
【請求項10】
前記制御装置は、前記高置水槽の水位が前記強制停止水位以上に至ったこと、および、前記流量検出器が異常であると判定したことを記憶部に記憶する、
請求項9に記載の給水装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給水装置を備えた給水設備は、建物に水を供給するために広く使用されている。給水設備の給水方式としては、給水装置のポンプで加圧した水を建物の屋上に設置された高置水槽に貯水し給水対象(例えば蛇口)へ自然落下にて供給する高置水槽方式から、ポンプにて直接給水対象へ水を移送する直送式に移り、現在は新築される建物の多くにおいては、直送式である受水槽方式並びに水道本管圧を増圧する直結給水方式が主流となっている。よって、現在、高置水槽方式が採用されている建物は築30年を超える建物が多い。
【0003】
近年、都市部においては、建物の電気設備および給排水設備を更新およびメンテナンスしながら、建物自体を建て替えることなく使い続けていたり、古いマンションやビルをリノベーションし付加価値をつけて再販したりしている。このように建物が取り壊されずに長期間にわたり使用される中で、寿命に達した給水装置は定期的に更新される。このときには、給水方式も建物が竣工された当初の高置水槽方式から現在主流の直送式に更新することが好ましい。しかしながら、高置水槽方式の給水設備に比べて直送式の給水設備は、ポンプの吐出し圧力が建物内の配管に影響するため建物内の配管にかかる圧力が高い。このため、直送式を採用しようとすると、古い建物における竣工当時の配管およびバルブでは耐圧不足となり、建物内の水道配管をすべて取り換えなければならない場合も多い。そのため、直送式に対応可能な最新型の給水装置を設置しても、建物の配管工事のコストおよび構造上、高置水槽に貯水した水を水需要先へ自然落下にて供給せざるをえない建物もある。
【0004】
直送式の給水装置では、ポンプの吐出し圧力にてポンプの運転停止を制御する。具体的には、ポンプの吐出し圧力が低下したらポンプを起動し、ポンプの吐出し側の流量が低下したらポンプを停止する。また、高置水槽方式では、高置水槽の流入口は、高置水槽内に貯められる水よりも上方に位置するように接続される。そして、高置水槽方式の給水設備では、高置水槽内に貯められた水の水位に基づいてポンプが運転する。(特許文献1)このようにポンプの制御方法が異なるため、直送式に対応可能な最新型の給水装置では、設定変更にて直送式と高置水槽方式とを選択することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、高置水槽と給水装置とは離れた場所に設置されているため、特許文献1のように高置水槽の水位にてポンプが運転される場合、ポンプの運転と高置水槽の水位の変動を同時に確認することが困難である。特に、高置水槽方式では、満水状態となる前にポンプを停止しないと満水警報を発報するが、その後、建物で水が使用されると満水状態が解消され、建物での水の使用が少なくなると再び高置水槽が満水状態となってしまい、結果として満水警報の発報と解除とが繰り返されてしまう。例えば、水の使用量が少ない夜中に満水警報が発報されメンテナンス員を呼んでも、翌朝にメンテナンス員が現場に来たときには満水警報が解除されており、メンテナンス員は満水状態に至る原因となった機器を特
定することが困難であった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、給水装置の下流側に高置水槽が接続される給水装置において、直送式の給水装置のポンプ制御を活かしつつ、高置水槽の水位が満水状態に至るような水位まで上昇する異常を適正に検出することを目的の1つとする。また、高置水槽の水位が満水状態に至るような水位まで上昇したときに、警報の検出と解除とが繰り返されてしまうのを抑制することを目的の1つとする。さらに、高置水槽の水位が満水状態に至るような水位まで上昇した原因を容易に特定できる給水装置を提案することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(形態1)形態1によれば、給水対象よりも高位に設置された高置水槽に定水位弁を介して接続され、高置水槽を介して給水対象に給水する給水装置が提案される。かかる給水装置は、高置水槽へ水を移送するポンプと、ポンプの吐出し圧力を測定する圧力計と、圧力計により測定されたポンプの吐出し圧力に基づいてポンプを制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、高置水槽の水位を検出する水位計からの信号に基づいて、高置水槽の水位が、定水位弁が閉じられる閉水位以上の所定の水位である第1水位以上に至っていると判定したときに定水位弁警報を検出する。形態1によれば、定水位弁の異常を検知して、定水位弁警報を検出することができる。
【0009】
(形態2)形態2によれば、形態1の給水装置において、制御部は、定水位弁警報が検出されているときに、高置水槽の水位が第1水位以上に至ることなくポンプが少なくとも2回始動されたときに、定水位弁の警報を解除する。形態2によれば、定水位弁警報の検出と解除とが繰り返されることを抑制できる。また、作業員が給水装置の設置現場に到着した時に、定水位弁警報の検出後に給水対象にて水が使用されて高置水槽の水位が第1水位以下に低下していても、定水位弁警報が継続されており、作業員が定水位弁の異常を特定できる確率が増える。
【0010】
(形態3)形態3によれば、形態1又は2の給水装置において、制御部は、高置水槽の水位が閉水位以上の所定の第2水位未満から第2水位以上となる回数をカウントし、該回数が所定回数以上となったときに第1水位以上に至っていると判定する。形態3によれば、制御部は、高置水槽の水面の波うち等で水位を誤検知したときに定水位弁警報を検出してしまうことを防止することができる。
【0011】
(形態4)形態4によれば、形態1から3の何れか1つの給水装置において、制御部は、高置水槽の水位が、閉水位以上の所定の水位である強制停止水位以上に至っていると判定したときにポンプを強制停止させる。形態4によれば、高置水槽から水が溢れることを防止できる。
【0012】
(形態5)形態5によれば、形態4の給水装置において、制御部は、定水位弁警報を検出しているときに、高置水槽の水位が強制停止水位未満から強制停止水位以上となる回数をカウントし、該回数が所定回数以上となったと判定したときには、強制停止水位を高置水槽が満水となる満水水位より低い水位に変更する。形態5によれば、定水位弁に異常が生じているときに高置水槽が満水状態になることを抑制できる。
【0013】
(形態6)形態6によれば、形態1から5の何れか1つの給水装置において、制御部は、定水位弁警報の検出、および、定水位弁警報中の高置水槽の水位に関する情報を不揮発性メモリに記憶する。形態6によれば、給水装置の電源が遮断されて再起動された場合などに、電源遮断前の定水位弁警報の検出およびその解除のための判定状態を参照することができる。
【0014】
(形態7)形態7によれば、形態1から6の何れか1つの給水装置において、制御部は、所定の外部入力がなされたときには定水位弁警報を解除する。形態7によれば、作業者等が外部入力をすることによって定水位弁警報を解除できる。
【0015】
(形態8)形態8によれば、給水装置の制御方法が提案される。かかる給水装置は、ポンプと、ポンプを制御する制御装置と、を備える。給水装置は、給水方式として、給水装置の吐出し側に、給水対象よりも高位に設置された高置水槽が接続される高置水槽方式と、給水装置の吐出し側に、給水対象が接続される直送式と、を選択可能である。かかる給水装置の制御方法では、直送式が選択されているときには、制御装置は、ポンプの吐出し圧力が所定の始動圧力以下で始動し、ポンプの吐出し流量が過少水量で停止するようにポンプを制御する自動発停制御を行い、高置水槽方式が選択されているときには、制御装置は、ポンプの吐出し管路を形成する給水管に設けられた定水位弁が開閉されることで自動発停制御を行うとともに、ポンプは、高置水槽の水位が強制停止水位以上に至ったときに停止する。形態8によれば、高置水槽方式が選択されているときに、自動発停制御を利用しつつ且つ高置水槽から水が溢れるのを防止することができる。
【0016】
(形態9)形態9によれば、形態8の給水装置の制御方法において、給水装置は、ポンプの吐出し量が所定の流量以下にまで低下した過少水量の状態を検出する流量検出器を備えており、高置水槽方式が選択されているときに、高置水槽の水位が強制停止水位以上に至ったと判断してポンプが停止された後に、流量検出器により過少水量の状態が検出されないときには流量検出器が異常であると判定する。形態9によれば、流量検出器の異常によって高置水槽の水位が強制停止水位以上に至ったことを特定することができる。
【0017】
(形態10)形態10によれば、形態9の給水装置の制御方法において、制御装置は、高置水槽の水位が強制停止水位以上に至ったこと、および、流量検出器が異常であると判定したことを記憶部に記憶する。形態10によれば、記憶部に記憶された情報を参照して、高置水槽の水位が強制停止水位以上に至ったこと、および、流量検出器が異常であると判定したことを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る給水設備の一例を示す図である。
【
図2A】制御部により実行される高置水槽の水位に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図2B】制御部により実行されるポンプ制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3A】制御部により実行される定水位弁警報判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3B】制御部により実行される定水位弁警報解除処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3C】高置水槽の水位、ポンプの運転・停止、および、定水位弁警報の検出の一例をタイムチャートとして示す図である。
【
図3D】高置水槽の水位、ポンプの運転・停止、および、定水位弁警報の検出の別の一例をタイムチャートとして示す図である。
【
図4】制御部40により実行される強制停止水位変更処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】強制停止水位の変更を説明するためのタイムチャートを示す図である。
【
図6】高置水槽方式の給水設備の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る給水設備1000の一例を示す図である。この給水設備1000は主に戸建て、マンション、オフィスビル、商業施設、又は、学校等の建物に水道水を給水するための設備である。
図1に示すように、給水設備1000は、給水装置10、高置水槽110並びに給水管107の流路を開閉する定水位弁108にて構成され、給水装置10の吸込口は、導入管105を介して水供給源である水道本管104または図示しない受水槽に接続されている。また、給水装置10の吐出し口は、定水位弁108が設けられた給水管107によって高置水槽110に接続される。高置水槽110は、建物の屋上など、最上階の給水対象(例えば蛇口)132にて給水に十分な水圧が得られる高さに設置されている。給水装置10は、水道本管104または受水槽からの水を加圧して高置水槽110に一旦貯留し、高置水槽110からの落水にて各階の給水対象132に水を供給する。以下、給水装置10のポンプ20で加圧した水を給水対象132よりも高位である建物の屋上に設置された高置水槽110に貯水し給水対象132へ自然落下にて供給する給水方式を高置水槽方式と記し、ポンプ20にて加圧した水を直接給水対象132へ供給する給水方式を直送式と記す。つまり、高置水槽方式では、給水装置10の吐出し側には高置水槽110が給水管107を介して接続され、直送式では、給水装置10の吐出し側には、給水対象(例えば蛇口)132が給水管107を介して接続されている。
【0021】
まず、本実施形態の高置水槽110について説明する。高置水槽110の上流側には、ポンプ20の吐出し管路を形成する給水管107を介して給水装置10が接続される。給水管107には、定水位弁108が設けられている。定水位弁108は、本実施形態では電磁弁で構成されて給水装置10の制御部40によって制御される。ただし、定水位弁108は、高置水槽110内の水位に応じて機械的に開閉するものでもよい。そして、高置水槽110の下流側には、接続管116を介して建物における各階の給水対象132が接続されている。また、定水位弁108のメンテナンスなどの一時的な断水を避けるため、給水管107には定水位弁108をバイパスするバイパス管107aを設け、更にバイパス管107aの流路を遮蔽する仕切り弁108aを設けるとよい。
【0022】
また、高置水槽110には、高置水槽110内の水位を検知する水位計である電極式レベルスイッチ120が設けられている。電極式レベルスイッチ120による検出信号は給水装置10の制御部40に入力される。電極式レベルスイッチ120は、高置水槽110内に配置される複数の電極棒121~125を備えている。複数の電極棒121~125は、コモン電極棒121、及び、低い水位を検出できる順に、減水警報のための減水水位を検出する電極棒122、定水位弁108を開放するための開水位を検出する電極棒123、定水位弁108を閉止するための閉水位を検出する電極棒124、満水警報のための満水水位を検出する電極棒125となっている。なお、電極式レベルスイッチ120は、このような5本の電極棒121~125を有するものに限定されず、3本、4本、または6本以上の電極棒を有してもよい。高置水槽110には、更に、高置水槽110内の水位を検知する水位計であるフロート式水位センサ140を設けてもよい。一例としてフロート式水位センサ140では開水位と閉水位を検出する。
【0023】
続いて、本実施形態の給水装置10について説明する。給水装置10は、高置水槽方式にて使用するか、または、直送式にて使用するかを選択することができるとよい。以下、給水装置10は、高置水槽方式にて給水を行うものとして説明する。給水装置10は、ポンプ20と、このポンプ20を駆動する駆動部としてのモータ21と、モータ21を可変速駆動する周波数変換器としてのインバータ22と、を備えている。また、給水装置10は、ポンプ20の吸込側(上流側)に、逆流防止装置25と、圧力センサ29と、を備える。さらに、給水装置10は、ポンプ20の吐出側(下流側)に、逆止弁23と、フロー
スイッチ24と、圧力センサ26と、圧力タンク28と、を備え、その下流側に、高置水槽110と連通する給水管107が接続される。なお、給水装置10において可変速制御する必要がなければ、インバータ22はなくてもよい。
【0024】
逆流防止装置25は、給水装置10の吸込口に接続された導入管105に設けられており、給水装置10から水道本管104への水の逆流を防止する。逆流防止装置25の上流側には、圧力センサ29が設けられている。圧力センサ29は、ポンプ20の吸込側の圧力(流入圧力)を測定するための圧力計である。以下、圧力センサ29により検出される圧力値を「流入圧力」という。
【0025】
図1に示す例では、ポンプ20、モータ21、逆止弁23、および、フロースイッチ24が2組設けられ、これらは並列に設けられている。なお、1組、または3組以上のポンプ20、モータ21、逆止弁23、およびフロースイッチ24が設けられてもよい。複数台のポンプ20を設けることにより、一部のポンプ20が運転不可となった場合には、運転可能な他のポンプ20にて給水を継続し極力断水を避けるようになっている。また、
図1に示す例では、ポンプ20、モータ21、逆止弁23、および、フロースイッチ24と並列して、水道本管104の圧力のみで給水を行うためのバイパス管27が設けられている。バイパス管27には、逆止弁27aが設けられている。
【0026】
逆止弁23は、ポンプ20の吐出口に接続された吐出管32に設けられており、ポンプ20が停止したときの水の逆流を防止する。逆止弁23の下流側には、フロースイッチ24が設けられている。フロースイッチ24は、吐出管32を流れる水の流量が所定の値にまで低下したこと、すなわちポンプ20の吐出し量が所定の流量以下にまで低下した過少水量(小水量)の状態を検出する流量検出器である。なお、フロースイッチ24は、ポンプ20の吐出しヘッダに設けられてもよい。 吐出管32におけるフロースイッチ24のさらに下流側には、圧力センサ26、及び、圧力タンク28が設けられている。圧力センサ26は、ポンプ20の吐出し圧力を測定するための圧力計である。以下、圧力センサ26にて検出される圧力値を「吐出し圧力」という。なお、給水装置10において可変速制御する必要がなければ、ポンプ20の吐出し圧力を測定するための圧力計は、ポンプ20の吐出した流体の圧力が所定の始動圧力に達したときに作動する圧力スイッチでもよい。圧力タンク28は、ポンプ20が停止している間の吐出し圧力を保持するための圧力保持器である。
【0027】
給水装置10は、ポンプ20を制御して給水動作を制御する制御部40を備えている。
図1に示すように、制御部40は、記憶部41と、演算部42と、I/O部47と、運転パネル44と、通信部48と、を備えている。
【0028】
記憶部41としては、ROM、HDD、EEPROM、FeRAM、及び、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリが使用されるとよい。記憶部41は、給水装置10を制御するための制御プログラムと、装置情報、設定値情報、メンテナンス情報、履歴情報、異常情報、運転情報等の給水装置10に関する各種データを記憶する。本実施形態の給水装置10では、高置水槽方式にて使用するか、または、直送式にて使用するかを選択可能な場合は、高置水槽方式と直送式の両方に対応可能な制御プログラムを格納しているとよい。なお、これらは、記憶部41が不揮発性記憶領域を有する場合には、その不揮発性記憶領域に記憶されてもよい。
【0029】
演算部42としては、CPUが使用される。演算部42は、記憶部41に格納されている制御プログラム及び各種データ、並びにI/O部47から入力される信号に基づいて、給水装置10を構成する各機器を制御するための演算等を行う。本実施形態の給水装置10では、高置水槽方式にて使用するか、直送式にて使用するかを選択可能な場合、選択さ
れた給水方式に対応した制御プログラムを実行するとよい。また、演算部42は、通信部48及びI/O部47等における通信制御、並びに、運転パネル44における表示および操作の制御を行う。演算部42における演算結果は、記憶部41に記憶されるとともに、I/O部47、通信部48に出力されるとよい。
【0030】
I/O部47としては、ポートや通信等が使用される。I/O部47は、圧力センサ26、フロースイッチ24、及び、高置水槽110に設けられている電極式レベルスイッチ120等の各種センサ類の検出信号等を受け入れて演算部42に送る。また、I/O部47は、外部へ信号を出力する出力端子を備え、出力端子の一例としては、高置水槽110への給水管107に設けられた定水位弁108へ演算部42からの指令信号を出力する。I/O部47には、外部からの信号を入力可能な外部入力端子を備え、外部入力端子の一例として、外部信号にてポンプ20を強制停止させるためのインターロック端子47aを備える。なお、後述する給水方式切り替えボタン45aに代えてもしくは加えて、外部入力端子もしくは、制御部40を構成する基板上にスイッチを設け、高置水槽方式にて使用するか、直送式にて使用するかを選択してもよい。また、I/O部47は、インバータ22と互いに接続されている。I/O部47とインバータ22とは、RS422,232C,485等の通信手段により互いに接続されるとよい。
【0031】
ここで、演算部42は、I/O部47に入力される電極式レベルスイッチ120の電極棒122~125と最も長いコモン電極棒121との間の抵抗値の変化を検出することにより、高置水槽110内の水位が各電極棒電極棒122~125の下端よりも高い位置にあることを検出するようになっている。すなわち、電極式レベルスイッチ120は、高置水槽110内の水位が各電極棒122~125の下端よりも高くなって電極棒122~125とコモン電極棒121の間が水により導通されたときに、各水位の検出信号をI/O部47へ出力する。
【0032】
運転パネル44は、記憶部41に記憶される各種データを、演算部42を介して表示ならびに変更することができるGUIである。具体的には、運転パネル44は、装置情報、設定値情報、メンテナンス情報の表示および設定変更、メンテナンス情報、履歴情報の表示、入力、履歴のクリア、異常情報の表示およびリセット、並びに、運転情報の表示等を行う。なお、制御部40と運転パネル44は別々の基板としてもよい。この場合、制御部40と運転パネル44とは、シリアル通信もしくは信号線等の有線、または無線通信にて接続されるとよい。制御部40と運転パネル44とを別々の基板とした場合は、運転パネル44を給水装置10から離れた場所(例えば、管理人室等)に設置してもよい。また、運転パネル44は、CPUを備えて該CPUにて表示操作の制御をしたり、制御部40および外部端末80との通信制御を行ったりしてもよい。
【0033】
運転パネル44の設定部45は、制御部40の情報入力部であって、ユーザーの外部操作により給水装置10における自動給水の運転/停止、警報リセット、及び、各種データの設定変更等の各種入力操作を行うために使用される。設定部45は、不図示の操作ボタンまたはタッチパネル等を備えるとよい。ここで、本実施形態では、設定部45を通じた入力と、通信部48を通じた入力とを、外部入力という。設定部45を通じて外部操作によって入力された情報は、記憶部41に記憶される。例えば、設定部45は、給水装置10の給水方式、設定圧力PA、最低圧力PB、始動圧力P0、停止圧力P1を設定値情報として設定変更することができる。また、設定部45には、給水方式切り替えボタン45aを設け、給水方式切り替えボタン45aを押下することで高置水槽方式にて使用するか、または、直送式にて使用するかを選択可能としてもよい。
【0034】
運転パネル44の表示部46は、ユーザーインターフェースとして機能し、記憶部41に格納されている各種データを表示できるように構成されている。また、高置水槽方式か
直送式かを表示してもよい。給水装置10は、機械室またはポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。こうした場合に備えて、表示部46として、液晶表示およびタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDまたは表示灯、並びに、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器が使用されてもよい。これにより、電気的なノイズ等によって外部端末80の表示操作部80Aに異常が発生するような外部環境においても、給水装置10の運転に必要な最低限度の表示を表示部46に表示することができる。したがって、給水装置10を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。ただし、表示部46としては、電気的ノイズに強い表示器に限定されず、ドットマトリクス方式による液晶表示器などが使用されてもよい。
【0035】
通信部48は、有線通信または無線通信によって外部端末80と通信可能なように構成されている。具体的には、記憶部41に記憶された給水装置10に関する各種情報を外部端末80へ送信するとともに、制御部40の情報入力部として外部端末80からの設定値情報の設定変更を受信し、演算部42に送る。なお、上記したように、本実施形態では、外部端末80から通信部48への信号の送信は、給水装置10における「外部入力」に含まれる。通信部48における無線通信としては、例えば近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術を利用することができる。また、Bluetooth(登録商標)およびWi-Fiなど、任意の方式の無線通信を利用することができる。ただし、NFCは、制御部40と外部端末80とを近づけるだけで通信を完了させることができる点で有利である。また、有線通信としては、例えば制御部40にUSB(Universal Serial Bus)のような外部接続端子が設けられ、ここに外部端末80が接続されることによって通信がなされてもよいし、RS422,232C,485等のシリアル通信を用いてもよい。
【0036】
外部端末80は、表示操作部80Aを有し、給水装置10の通信部48と通信して給水装置10に関する各種データを表示・変更可能なように構成されている。具体的には、外部端末80は、記憶部41に記憶された各種データを給水装置10の通信部48から受信し表示操作部80Aに表示する。また、外部端末80は、ユーザーが表示操作部80Aを操作して入力した各種データの変更要求を給水装置10の通信部48へ送信する。表示操作部80Aは、タッチ入力方式または押圧ボタン方式を用いた液晶画面での高機能表示器を採用することができる。この場合、給水装置10の表示部46には簡易な情報を表示させ、外部端末80には大きな情報量の情報を表示させてもよい。こうした構成により、外部端末80は、記憶部41に記憶された各種データのうち複数の情報(例えば、設定圧力PA、最低圧力PB、始動圧力P0、停止圧力P1、目標圧SV、現在圧PV、ポンプ20の運転・停止、回転速度など)を、表示操作部80Aの同一画面上に表示することができる。これにより、給水装置10に不慣れなユーザーも誤解することなく、給水装置10の状態を認識したり、設定入力を行うことができる。
【0037】
さらに、外部端末80として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、又は、タブレットなどの汎用端末機器(PDA)を採用した場合には、これらのPDAに、外部端末80として作用するための専用のアプリケーションソフトウエアをインストールさせてもよい。この場合には、専用のアプリケーションソフトウエアをユーザーのレベル又は目的に沿って複数用意してもよい。
【0038】
なお、上述した運転パネル44の機能は、外部端末80にて全て実施可能としてもよい。こうすれば、給水装置10が操作しにくい場所(例えば、運転パネル44が操作者の足元あたり)に設置されていても給水装置10の状態確認や設定値情報の変更等の操作が容易となる。
【0039】
次に、本実施形態の制御部40による制御の一例について説明する。本実施形態では、
制御部40は、電極式レベルスイッチ120からの検出信号に基づいて給水装置10と高置水槽110とに介在する定水位弁108を制御する。
図2Aは、制御部40によって実行される高置水槽の水位に関する処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、給水装置10が起動されているときに所定時間毎(例えば、数十msec毎、数百msec毎、数秒毎など)に繰り返し実行される。
【0040】
図2Aに示す高置水槽の水位に関する処理では、まず、制御部40は、電極式レベルスイッチ120からの検出信号に基づいて高置水槽110の水位が減水水位未満であるか否かを判定する(S110)。具体的には、本実施形態では、高置水槽110内の水位が電極棒122~125の何れにも至っていないときに、高置水槽110の水位が減水水位未満であると判定される。高置水槽110の水位が減水水位未満であるときには(S110:Yes)、制御部40は、高置水槽110内の水が不足して断水するのを回避するために、高置水槽110が減水状態であることを示す減水警報を検出し発報する(S120)。この減水警報は、高置水槽110の水位が減水水位以上に至ると解除される。なお、減水警報は、ブザーまたは表示部46への表示によってなされてもよいし、通信部48もしくはI/O部47から外部へ信号が出力されることによってなされてもよい。高置水槽110の水位が減水水位以上であるときには(S110:No)、減水警報を検出することなく(S112)、制御部40は次の処理(S130)を実行する。
【0041】
制御部40は、続いて、電極式レベルスイッチ120からの検出信号に基づいて高置水槽110の水位が開水位未満であるか否かを判定する(S130)。本実施形態では、高置水槽110内の水位が電極棒123に至っていないときに、高置水槽110の水位が開水位未満であると判定される。高置水槽110の水位が開水位未満であるときには(S130:Yes)、制御部40は、定水位弁108が開かれるように定水位弁108に制御信号を送信する(S140)。定水位弁108が開かれることにより、給水装置10から高置水槽110へ水の移送が可能となる。なお、制御部40は、定水位弁108が開かれているときには、そのまま定水位弁108を開いた状態で維持する。一方、高置水槽110の水位が開水位以上であるときには(S130:No)、制御部40はそのまま次の処理(S150)を実行する。
【0042】
次に、制御部40は、電極式レベルスイッチ120からの検出信号に基づいて高置水槽110の水位が閉水位以上であるか否かを判定する(S150)。本実施形態では、高置水槽110内の水位が電極棒124に至っているときに、高置水槽110の水位が閉水位以上であると判定される。高置水槽110の水位が閉水位以上であるときには(S150:Yes)、制御部40は、定水位弁108が閉じられるように定水位弁108に制御信号を送信する(S160)。定水位弁108が閉じられることにより、給水装置10から高置水槽110への水の移送が停止される。なお、制御部40は、定水位弁108が閉じられているときには、そのまま定水位弁108の状態を維持する。一方、高置水槽110の水位が閉水位未満であるときには(S150:No)、制御部40はそのまま次の処理(S170)を実行する。
【0043】
そして、制御部40は、電極式レベルスイッチ120からの検出信号に基づいて高置水槽110の水位が満水水位以上であるか否かを判定する(S170)。本実施形態では、高置水槽110内の水位が電極棒125に至っているときに、高置水槽110の水位が満水水位以上であると判定される。高置水槽110の水位が満水水位以上であるときには(S170:Yes)、制御部40は、高置水槽110が満水状態であることを示す満水警報の検出し発報を開始して(S180)、処理を終了する。満水警報は、減水警報と同様に、ブザー、表示部46、または、通信部48等を通じてなされればよい。高置水槽110の水位が満水水位未満であるときには(S170:No)、制御部40は、満水警報を検出することなく(S172)、そのまま処理を終了する。
【0044】
本実施形態の給水装置10では、このように定水位弁108が制御されることで給水管107の流路が開閉されることに応じて、ポンプ20を用いた給水動作の制御も行われる。ここで、本実施形態の制御部40によるポンプ20の制御について説明する。
図2Bは、制御部40により実行されるポンプ制御処理の一例を示すフローチャートである。このポンプ制御処理は、給水装置10が自動運転されているときに所定時間毎(例えば、数十msec毎、数百msec毎、数秒毎など)に繰り返し実行され、
図2Aと並行して実行される。ポンプ制御処理では、制御部40は、ポンプ20が停止しているときに吐出し圧力が始動圧力P0まで低下するまでは(S181:Yes、S182:No)、定水位弁108によって給水管107の流路が閉止された状態であり、ポンプ20の停止を継続する(S183)。また、ポンプ20が停止しているときに吐出し圧力が始動圧力P0にまで低下すると(S181:Yes、S182:Yes)、制御部40はポンプ20の少なくとも1つを始動させる(S184)。具体的には、制御部40はポンプ20の駆動を開始するようにインバータ22(インバータ22を備えない場合にはモータ21)に指令を出す。
【0045】
制御部40は、ポンプ20の運転中は(S181:No)、高置水槽110の水位が強制停止水位未満であり(S185:Yes)、且つ、小水量が検知されない場合には(S186:No)、定水位弁108によって給水管107の流路が解放された状態であり、ポンプ20の運転を継続する(S187)。ポンプ20の運転中は、制御部40は、設定された圧力(設定圧力PA)により該知の推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御などの制御を行う。具体的には推定末端圧力一定制御の場合は、水供給先の末端の圧力が最低圧力PBにて一定となるように、制御部40は、ポンプ20の回転数と目標圧力制御カーブとを用いてポンプ20の吐出し圧力に対する目標圧SVを設定する。目標圧力一定制御の場合は、制御部40は、ポンプ20の吐出し側の圧力が設定圧力PAとなるように、設定圧力PAを目標圧SVと設定する。また、推定末端圧力一定制御と目標圧力一定制御とのいずれの場合にも、制御部40は、吐出し圧力を現在圧PVと設定する。そして、目標圧SVと現在圧PVの偏差にてPID演算が行われることにより、ポンプ20の指令回転速度が設定される。なお、推定末端圧一定制御において、設定圧力PAは最大流量時の圧力値であり、最低圧力PBは、末端の給水栓における流量ゼロ時の圧力値である。また、制御部40は、本実施形態のようにポンプが複数台ある場合は、同時に起動可能なポンプ台数(ポンプ並列運転台数)にて水量に応じたポンプの台数制御も行う。なお、ポンプ並列運転台数は設定値情報として記憶部41に記憶されるとよい。
【0046】
制御部40は、ポンプ20が運転中であるときに(S181:No)、小水量を検出したときには(S186:Yes)、ポンプ20を小水量停止させる(S188)。なお、フロースイッチ24が過少水量を検出するのは、定水位弁108が正常に閉じて給水管107の流路が閉止されたときである。具体的には、制御部40は、フロースイッチ24からの検出信号によって過少水量を検出すると(S186:Yes)、所定時間で吐出し圧力が停止圧力P1に達するようにポンプ20の回転数を制御する蓄圧運転を行う。そして、吐出し圧力が所定の停止圧力P1に達すると、圧力タンク28に蓄圧したと判断して蓄圧運転を終了し、ポンプ20を停止(小水量停止)させる(S188)。その後、定水位弁108によって給水管107の流路が解放され、吐出し圧力が始動圧力P0まで低下することにより(S182:Yes)、制御部40は、ポンプ20を再始動させる(S184)。なお、本実施形態のようにポンプが複数台ある場合には、始動するポンプ20をローテーションさせ、ポンプ20内に水が滞留するのを防ぐことが好ましい。また、過小水量の状態を検知する流量検出器としては、モータ21の電流値による低負荷の検出や締切揚程の検出等フロースイッチ24以外のセンサなどによる検出手段を用いてもよい。
【0047】
制御部40は、ポンプ20が運転中であるときに(S181:No)、高置水槽110
の水位が強制停止水位以上に至ったときには(S185:Yes)、高置水槽110から水が溢れないようにポンプ20を強制停止させる(S189)。この場合には、制御部40は、高置水槽110の水位が復帰水位未満に至るのを待って(S190:Yes)、ポンプ20の強制停止を解除する。以下の説明では、一例として、強制停止水位を満水水位と同一とし、復帰水位を開水位と同一とする。ただし、こうした例に限定されるものではなく、強制停止水位および復帰水位は任意に定められればよい。
【0048】
続いて、上記した定水位弁108の開閉に伴うポンプ20の動作について説明する。ポンプ20が停止している状態で高置水槽110内の水位が所定の開水位まで低下すると、制御部40は定水位弁108を開く(
図2A、S140)。定水位弁108が開くことで吐出し圧力が所定の始動圧力P0にまで低下すると、制御部40はポンプ20の少なくとも一方を始動させる(
図2B、S184)。そして、ポンプ20の吐出し圧力が所望の圧力となるようにポンプ20を制御する吐出し圧力制御を行う。
【0049】
ポンプ20から水が移送されることによって高置水槽110の水位が所定の閉水位以上に至ると、制御部40は定水位弁108を閉じる(
図2A、S160)。定水位弁108が正常に閉じて給水管107の流路を閉止することにより、フロースイッチ24が過少水量を検出し、その検出信号を制御部40に送る。制御部40は、この検出信号を受けると、ポンプ20を停止(小水量停止)させる(
図2B、S188)。再び建物内で水が使用されて高置水槽110の水位が低下すると、定水位弁108が開かれ(
図2A、S140)、蓄圧運転にて圧力タンク28に蓄圧した圧力が抜けて、ポンプ20の小停再始動が行われる(
図2B、S184)。このように、過少水量の検出にてポンプ20を停止させる小水量停止と、吐出し圧力が始動圧力P0まで低下することによりポンプ20を再始動させる小停再始動と、が、繰り返されるポンプ20の自動制御を自動発停制御と記す。
【0050】
このように本実施形態の給水装置10では、給水装置10と高置水槽110との間に定水位弁108が設けられ、高置水槽110の水位に基づいて定水位弁108が開閉され、給水管107の流路が開閉する。これにより、吐出し圧力制御や自動発停制御に基づいてポンプ20を制御するプログラムを利用して、高置水槽110に水を貯めることができる。吐出し圧力制御や自動発停制御は、直送式でも利用できるので、給水装置10の汎用性が向上する。
【0051】
ただし、給水装置10は、高置水槽110から水が溢れないように、高置水槽110の水位が、閉水位以上の所定の水位である強制停止水位以上になったときには(S185:Yes)、吐出し圧力や過少水量の検出の有無にかかわらずポンプ20を強制停止させる。ポンプ20の強制停止は、高置水槽110の水位が、復帰水位未満になったときに解除される(S191)。そして、強制停止が解除されることにより、再び吐出し圧力が始動圧力P0にまで低下するとポンプ20が始動される。ここで、ポンプ20を強制停止して高置水槽内の水位が開水位以下の減水状態となると、ポンプ20が運転しても水位が上昇するまでに時間を要し、最悪の場合は断水してしまう。復帰水位を開水位以上の水位とすることで、高置水槽が減水状態となることを防ぐことができる。
【0052】
また、給水装置10は、定水位弁108に異常が生じているか否かを判定する。
図3Aは、制御部40によって実行される定水位弁警報判定処理の一例を示すフローチャートである。この定水位弁異常判定処理は、所定時間毎(例えば、数十msec毎、数百msec毎、数秒毎など)または定水位弁異常判定処理が終了する毎に繰り返し実行され、
図2A、
図2Bと並行して実行される。異常判定フラグFvaの詳細については後述する。
【0053】
定水位弁警報判定処理が実行されると、制御部40は、まず、電極式レベルスイッチ120からの検出信号に基づいて高置水槽110の水位が第1水位以上に至っているか否か
を判定する(S202)。ここで、第1水位は、閉水位以上の予め定めた水位であり、例えば、第1水位を満水水位とすると、制御部40は電極式レベルスイッチ120の満水水位を検出する電極棒125からの信号に基づいて該第1水位以上に至っていると判定できる。S202の処理は、定水位弁に異常が生じている可能性があるか否かを判定する処理である。上記したように、高置水槽110の水位が閉水位以上のときには定水位弁108は閉じられ、ポンプ20は小水量停止してポンプ20から高置水槽110へ水は移送されない。このため、定水位弁108が正常に給水管107の流路を閉止できる時には、高置水槽110の水位は第1水位未満である。よって、制御部40は、高置水槽110の水位が第1水位未満であるときには(S202:No)、定水位弁108が正常であると判断し、異常判定フラグFvaの値を変更することなく(Fva=0)、そのまま定水位弁異常判定処理を終了する。この場合には、制御部40は、異常判定フラグFvaに基づいて定水位弁108が正常であると判定するため、
図3Aに示す定水位弁警報判定処理を繰り返し実行することになる。
【0054】
一方、高置水槽110の水位が第1水位以上であるときには(S202:Yes)、制御部40は、定水位弁108が正常に給水管107の流路を閉止できない状態であり定水位弁108の異常と判断して、定水位弁警報を検出し発報する(S204)。ここで、定水位弁警報は、定水位弁108に異常が生じていることを検出する警報であり、第1水位が満水水位と同一である場合などには満水警報と同時に検出して発報されればよい。また、定水位弁警報は、満水警報と同一の手段(LED、ブザーなど)を用いて発報されてもよく、これにより、定水位弁警報を表示するための部品をなくすことができ、表示部46を小型化できる。この場合、満水水位未満となり満水警報が解除された後でも、定水位弁警報が出力されている間は、一旦第1水位まで水位が上昇したことを確認できる。また、満水警報および定水位弁警報を発報するときにはLEDを点灯させ、定水位弁警報のみを発報するときにはLEDを点滅させるなどとしてもよい。これにより、ユーザーは、定水位弁108に異常が生じていることを認識することができる。そして、制御部40は、異常判定フラグFvaの値を変更(Fva=1)して(S206)、定水位弁警報判定処理を終了する。異常判定フラグFvaに値1が設定されることにより、制御部40は、定水位弁108に異常が生じていると判定し、その後は、解除判定カウンタCvaを値0に設定(S207)して、
図3Bに示す定水位弁警報解除処理を実行する。
【0055】
図3Bは、制御部40により実行される定水位弁警報解除処理の一例を示すフローチャートである。この定水位弁警報解除処理は、
図3Aにて定水位弁108の異常判定フラグFvaに基づいて定水位弁108に異常が生じていると判定され(S206にてFva=1が設定)定水位弁警報が検出された後に、制御部40により実行される。
【0056】
定水位弁警報解除処理が実行されると、まず、制御部40は、高置水槽110の水位が開水位未満に至るのを待つ(S210)。上記したように、高置水槽110の水位が高くなって強制停止水位(満水水位)以上になるとポンプ20が強制停止される。このため、ポンプ20から高置水槽110へ水は供給されず、建物で水が使用されることによって高置水槽110の水位は低下する。そして、高置水槽110の水位が開水位未満に至ると(S210:Yes)、制御部40は、高置水槽110の水位が閉水位以上に至るのを待つ(S230)。上記したように、高置水槽110の水位が低くなって復帰水位(開水位)未満になるとポンプ20の強制停止が解除される。このため、吐出し圧力が始動圧力P0まで低下することによってポンプ20が再び始動され、給水装置10から高置水槽110へ水が移送されて高置水槽110の水位が上昇する。そして、高置水槽110の水位が閉水位以上に至ると(S230:Yes)、制御部40は、高置水槽110の水位が開水位未満であるか否か(S240)、及び、高置水槽110の水位が第1水位(満水水位)以上であるか否かを判定する(S250)し、次に、建物で水が使われて開水位未満となるか、もしくは、ポンプ20が停止せずに第1水位以上となるまで待機する。具体的には、
制御部40は、高置水槽110の水位が開水位以上であると共に第1水位未満であるときには(S240:No,S250:No)、再びS240,S250の判定を実行する。
【0057】
いまは、高置水槽110の水位が閉水位以上に至り(S230:Yes)、定水位弁108が閉じられているとき(
図2A中、S160)を考える。定水位弁108が正常に給水管107の流路を閉止できる時にはポンプ20が小水量停止して、その後に建物で水が使用されることにより高置水槽110の水位が低下して開水位未満に至る。高置水槽110の水位が開水位未満に至ったときには(S240:Yes)、制御部40は、解除判定カウンタCvaを値1だけインクリメントし(S260)、解除判定カウンタCvaが閾値Cref1以上であるか否か判定する(S280)。解除判定カウンタCvaは、定水位弁警報解除処理が開始(
図3A中、S207)されるときに値0にリセットされており、S240でYesと判定される回数を示すものである。そして、解除判定カウンタCvaが閾値Cref1未満であるときには(S280:No)、いまだ、制御部40は、定水位弁108に異常が生じていると判断して定水位弁警報を継続し(S290)、再びS210の処理に戻る。その後は高置水槽110の水位が、開水位未満から閉水位以上に至って開水位未満に至るごとに(S210:Yes,S230:Yes,S240)、解除判定カウンタCvaのカウントアップがなされる(S260)。そして、解除判定カウンタCvaが閾値Cref1以上に至ると(S280:Yes)、制御部40は、定水位弁警報を解除するとともに(S292)、異常判定フラグFvaに値0を設定してリセットし(S294)、定水位弁警報解除処理を終了する。つまり、制御部40は、S206にて定水位弁108の異常を判定したのちに、高置水槽110の水位が第1水位(満水水位)以上に至ることなく、閾値Cref1の回数だけポンプ20が始動されたときに、定水位弁警報を解除する。言い換えれば、制御部40は、(1)高置水槽110の水位が開水位未満に至ること、(2)高置水槽110の水位が閉水位以上に至ること、(3)高置水槽110の水位が開水位未満に至ること、が順に満たされることを閾値Cref1の回数確認したときに定水位弁警報を解除する。ここで、閾値Cref1は、この値に解除判定カウンタCvaが至ったときに定水位弁警報を解除すると判定するための閾値であり、値1、値2、値3など、予め定めた値が用いられればよい。なお、閾値Cref1が値1であるときには、(1)~(3)が一度満たされたときに定水位弁警報が解除される。そして、制御部40は、
図3Bの定水位弁警報解除処理を終了することにより
図3Aの定水位弁警報判定処理も終了し、その後は再び
図3Aの定水位弁警報判定処理を実行する。
【0058】
また、制御部40は、定水位弁警報の解除を判定しているときに高置水槽110の水位が第1水位以上に至ったときには(S250:Yes)、解除判定カウンタCvaに値0を設定してリセットする(S270)。上記したように高置水槽110の水位が閉水位以上に至ると定水位弁108が閉じられるため、定水位弁108の正常時には、その後はポンプ20から高置水槽110へ水が移送されず、高置水槽110の水位は上昇しない。それにもかかわらず、高置水槽110の水位が第1水位(満水水位)以上に至ったときには、定水位弁108によって給水管107の流路を閉止できない何らかの不具合が発生しているおそれがある。このため、制御部40は、定水位弁警報の解除を判定しているときに高置水槽110の水位が第1水位以上に至ったときには、それまでの判定をリセットする。
【0059】
以上説明した実施形態の給水装置10では、制御部40は、高置水槽110の水位が満水水位(第1水位)以上に至ったと判定したときに定水位弁警報を検出し発報する。これにより、ユーザーは、定水位弁108に不具合が生じたと判定されたことを認識できる。また、制御部40は、定水位弁警報が検出されているときに、高置水槽110の水位が第1水位(満水水位)以上に至ることなくポンプが少なくとも2回始動されたときに定水位弁警報を解除する。例えば、定水位弁108に異物が挟まり給水管107の流路を閉止できない場合であれば、何度かポンプ20を運転することで異物が取れて定水位弁108が
正常に閉止できるようになる可能性が高い。このように、定水位弁の異常を自動的に解除することでメンテナンス員が現場に行く回数を減らせるとともに、高置水槽110の水位の変動によって定水位弁警報の検出と解除とが繰り返されることを抑制できる。しかも、制御部40は、定水位弁警報解除処理において、S240の肯定的な判定がなされる前に高置水槽110の水位が第1水位(満水水位)以上に至ったときには(S250:Yes)、解除判定カウンタCvaをリセットして定水位弁警報解除処理を初めから実行する。これにより、定水位弁警報の検出と解除とが繰り返されることを更に好適に抑制することができる。そして、定水位弁警報が継続されることにより、メンテナンス員は、定水位弁警報が一時的なものではないことを認識することができる。このため、高置水槽の水位が上昇した原因が定水位弁に不具合であることを特定することができる。
【0060】
以下で説明する
図3C、
図3Dのタイムチャートでは、
図2A、
図2B、
図3A並びに
図4Bにおける各ステップの動作について同じ符号を用いて説明する。また、
図3C並びに
図3Dの説明においては、第1水位並びに強制停止水位は、満水水位と同じ電極棒125で検出する水位とし、ポンプ20の強制停止の復帰水位は、定水位弁の開水位と同じ電極棒123にて検出する水位とする。
【0061】
図3Cは、高置水槽110の水位、ポンプ20の運転・停止、および、定水位弁警報の検出の一例をタイムチャートとして示す図であり、一旦、t11にて定水位弁108が何らかの不具合で給水管107の流路を閉止できない異常状態となり、その後、不具合が解消されて定水位弁108が給水管107の流路を閉止できるようになった場合の動作を示す。
図3Cでは、時刻t11において、定水位弁108が給水管107の流路を閉止できない状態で高置水槽110の水位が強制停止水位以上に至り(
図2B、S185:No、
図3A、S202:Yes)、制御部40は、ポンプ20を強制停止する(
図2B、S189)。それとともに、第1水位以上でもあるので、定水位弁の異常として定水位弁警報を検出する(
図3A、S204)。これにより、ポンプ20から高置水槽110へ水は供給されずに高置水槽110から水が溢れることが防止され、建物で水が使用されることによって高置水槽110の水位は低下する。そして、時刻t12において高置水槽110の水位が復帰水位未満に至ると(
図2B、S190:Yes)、制御部40が、ポンプ20の強制停止を解除する(
図2B、S191)。また、このときには、高置水槽110の水位が開水位未満(
図2A、S130:Yes、
図3B、S210:Yes)であるため、定水位弁108が開放される(
図2A、S140)。制御部40は、ポンプ20の吐出し圧力が始動圧力P0まで低下(
図2B、S182、Yes)していると判断すると、ポンプ20を始動する(
図2B、S184)。これにより、ポンプ20から高置水槽110へ水が供給されて高置水槽110の水位が上昇する。
【0062】
図3Cの例では、続いて、時刻t13において高置水槽110の水位が閉水位以上に至って(
図3B、S230:Yes)定水位弁108が閉止される(
図2A、S160)。t13においては、定水位弁108は、正常に給水管107の流路を閉止できており、ポンプ20が小水量停止した(
図2B、S188)。これにより、建物で水が使用されることによって再び高置水槽110の水位が低下して、時刻t14において高置水槽110の水位が満水水位(第1水位)以上に至ることなく開水位未満に至っている。t13からt14の間は、ポンプ20は小水量停止(
図2B、S182、No、S183)している。t14では、開水位未満にて定水位弁108が開放され(
図2A、S130:Yes、S140)、制御部40は、ポンプ20の吐出し圧力が始動圧力P0まで低下(
図2B、S182:Yes)するとポンプ20を始動する(
図2B、S184)。また、このときには、
図3BのS240で肯定の判定がなされて解除判定カウンタCvaが値1だけインクリメントされる(S260)。しかし、時刻t14においては、未だ解除判定カウンタCva(値1)が閾値Cref1(値2)未満であると判定され(S280:No)、制御部40は定水位弁の異常並びに定水位弁警報を継続する(S290)。つまり、このとき
には、定水位弁108が閉止されたときに小水量を検知してポンプ20が小水量停止しているものの、制御部40は、未だ定水位弁108の不具合が解消されたとは確定できないと判断して定水位弁警報を継続する。そして、
図3Cの例では、その後、再び高置水槽110の水位が、閉水位以上に至ってから(時刻t15、S230:Yes)、満水水位(第1水位)以上に至ることなく開水位未満に至っている(時刻t16、S240:Yes)。これにより、解除判定カウンタCvaが再び値1だけインクリメントされ(S260)、解除判定カウンタCvaが閾値Cref1(値2)以上に至る(S280:Yes)。この場合には、制御部40は、定水位弁108の不具合は解消されたと判断して、定水位弁108の異常並びに定水位弁警報を解除する(S292)。こうした制御により、定水位弁108の不具合によって定水位弁警報の検出と解除とが繰り返されることを抑制できる。
【0063】
図3Dは、高置水槽110の水位、ポンプ20の運転・停止、および、定水位弁警報の検出の別の一例をタイムチャートとして示す図であり、t21にて定水位弁108が何らかの不具合で給水管107の流路を閉止できない状態となり、その後も不具合が解消されない場合の動作を示す。
図3Dでは、時刻t21において、
図3Cの時刻t11と同様に、高置水槽110の水位が満水水位以上に至ることにより、制御部40は、ポンプ20を強制停止するとともに(
図2B、S189)、定水位弁警報を検出し発報している(
図3A、S204)。また、時刻t22において、
図3Cの時刻t12と同様に、高置水槽110の水位が開水位未満に至ることにより、制御部40は、ポンプ20の強制停止を解除している(
図2B、S191)。
【0064】
続いて、
図3Dの例では、時刻t23において高置水槽110の水位が閉水位以上に至って定水位弁108が閉止されたのにも関わらず定水位弁108が給水管107の流路を閉止できない状態であるため、制御部40は、小水量を検知できず(
図2B、S186:No)にポンプ20の運転を継続(
図2B、S187)するため、水位が上昇し続け、時刻t24において高置水槽110の水位が満水水位(第1水位)に至っている。このときには、制御部40は、ポンプ20を強制停止する(
図2B、S189)。また、
図3BのS250で肯定の判定がなされ、解除判定カウンタCvaが値0にリセットされる(S270)。この場合には、解除判定カウンタCvaが閾値Cref1未満であると判定されるため(S280:No)、定水位弁警報が継続される(S290)。つまり、定水位弁警報が検出されているときに高置水槽110の水位が再び第1水位に至った場合には、制御部40は、定水位弁108が正常に給水管107の流路を閉止できていないと判断して、解除判定カウンタCvaをリセットする。そして、
図3Dの例では、その後、時刻t25において、高置水槽110の水位が開水位未満に至ってポンプ20の強制停止が解除されるものの、再び、時刻t27において高置水槽110の水位が満水水位まで上昇して、定水位弁警報が継続されている。このように、本実施形態の給水装置10では、定水位弁警報解除処理において高置水槽の水位が満水水位(第1水位)以上に至ったときには定水位弁警報が継続されるので、定水位弁警報の検出と解除とが繰り返されることを防止できる。
【0065】
なお、制御部40は、定水位弁108の異常の発生と解除、定水位弁警報の有無、および、定水位弁警報を解除するか否かを判定するためのS210、S230、S240の処理の判定、及び解除判定カウンタCvaの値について記憶部41の不揮発性メモリに記憶することが好ましい。このときには、判定がなされたときの現在時刻とともに履歴として記憶されることが好ましい。こうすれば、給水装置10の電源が遮断されて再起動された場合などに、電源前の状態を参照することができる。この場合には、制御部40は、電源遮断前になされた判定は、再起動後においても有効であるものとして、その後の判定を行ってもよい。また、定水位弁108の異常の発生時に定水位弁警報を報知するか否を設定可能としてもよい。定水位弁警報を報知しないと選択された場合は、定水位弁警報の履歴
を記憶部41の不揮発性メモリに記憶し、表示器等で報知しない。
【0066】
また、上記した実施形態では、
図3Bに示す定位水位弁警報解除処理により定水位弁警報が解除されるものとした。これに加えて、定水位弁警報は、外部入力によって解除できるものとするとよい。つまり、制御部40は、メンテナンス員などが設定部45を操作することにより、または、通信部48もしくはI/O部47に外部端末80などから指令信号が入力されることにより、定水位弁警報並びに定水位弁警報の発報を解除してもよい。こうすれば、例えば定水位弁108をメンテナンスしたメンテナンス員が設定部45を操作して定水位弁警報を解除することができる。
【0067】
上記した実施形態では、強制停止水位を満水水位として、高置水槽110の水位が強制停止水位以上になったときにポンプ20が強制停止されるものとした。これに加えて、制御部40は、定水位弁108に異常が生じていると判定したときに強制停止水位を満水水位よりも低い水位へ変更してもよい。
図4は、制御部40により実行される強制停止水位変更処理の一例を示すフローチャートであり、この例では、ポンプ制御処理は、給水装置10が自動運転されているときに本処理が終了する毎に繰り返し実行される。
【0068】
強制停止水位変更処理が実行されると、まず、制御部40は、異常判定フラグFvaに基づいて定水位弁警報が継続されているか否かを判定する(S310)。この判定は、
図3AのS206または
図3BのS294にて1か0に設定される異常判定フラグFvaを参照することによりなされればよい。初めて強制停止水位変更処理が実行されるタイミングもしくは異常判定フラグFvaが値0のときは、異常判定フラグFvaは値0であり、S390にて、満水カウンタと高置水槽110の水位が開水位未満に至ったときに値1が設定される開水位フラグFsは値0に設定され、S400にて強制停止水位は満水水位に設定される。次に、定水位弁警報が開始されたとき(
図3AのS206以降で初のS310の実行)を考える。制御部40は、開水位フラグFsの現在の値を調べる(S320)。いまは、定水位弁警報が開始されたときを考えており、
図3AのS202にて第1水位以上が判断された直後であるため、高置水槽110の水位が開水位未満に至っておらず開水位フラグFsが値0であると判定される(S320:Yes)。開水位フラグFsが値0であるときには、制御部40は、建物で水が使われて高置水槽110の水位が開水位未満に至るのを待って(S330)、開水位フラグFsに値1を設定する(S340)。次に、制御部40は、高置水槽110の水位が第1水位以上であるか否かを判定する(S350)。いまは、高置水槽110の水位が開水位未満に至ったときを考えており、高置水槽110の水位は第1水位(満水水位)未満であると判定される(S350:No)。このときには、制御部40は、再び初めの処理(S310)から実行する。
【0069】
S350でNoの判定を行った次のS310において定水位弁警報が継続されているときには(S310:Yes)、制御部40は、開水位フラグFsの値を調べる(S320)。いまは、高置水槽110の水位が一度開水位未満に至って開水位フラグFsに値1が設定されており、開水位フラグFsが値0でないと判定される(S320:No)。このときには、制御部40は、そのまま高置水槽110の水位が第1水位以上であるか否かを判定する(S350)。
【0070】
いま、定水位弁警報が解除される前に(S310:Yes)、高置水槽110の水位が第1水位以上に至ったときを考える(S350:Yes)。このときには、制御部40は、変更カウンタCfを値1だけインクリメントする処理を実行するとともに開水位フラグFsを値0にリセットし(S360)、変更カウンタCfを所定の閾値Cref2と比較する(S370)。ここで、変更カウンタCfは、強制停止水位変更処理が初めて実行されるとき、もしくは定水位弁108の異常がないときにS390にて値0にリセットされており、定水位弁108の異常発生中に高置水槽110の水位が開水位以下から第1水位
に至った回数を示すものである。また、閾値Cref2は、この値に変更カウンタCfが至ったときに定水位弁108に異常が生じていると判定するための閾値であり、例えば値1、値2、値3など、予め定めた値が用いられればよい。変更カウンタCfが閾値Cref未満であるときには(S370:No)、制御部40は、まだ定水位弁108の異常が解除されたと判定できないと判断してS310の処理に戻る。
【0071】
そして、変更カウンタCfが閾値Cref2以上に至ることなく(S370:No)、S310~S360の処理が繰り返し実行されている間に
図3Bの定水位弁警報解除処理において異常判定フラグに0が設定されると、S310において定水位弁警報が継続されていないと判定される(S310:No)。そして、この場合には、制御部40は、変更カウンタCfおよび開水位フラグFsを値0に設定してリセットするとともに(S390)、満水水位を強制停止水位に設定して(S400)、強制停止水位変更処理を終了する。この場合には、その後、上記した実施形態で説明したのと同様に、制御部40は、高置水槽110の水位が満水水位(強制停止水位)以上に至ったときに、ポンプ20を強制停止させる。
【0072】
一方、
図3Bの定水位弁警報解除処理において異常判定フラグに0が設定される前に高置水槽110の水位が閾値Cref2の回数にわたって第1水位以上に至ると、変更カウンタCfが閾値Cref2以上であると判定される(
図4のS370:Yes)。一例として、閾値Cref2が値1であるときには、定水位弁108の異常が継続されている間に高置水槽110の水位が開水位未満になってその後に1度でも第1水位以上になると、S370で肯定的な判定がなされる。そして、変更カウンタCfが閾値Cref2以上であるときには、満水水位よりも低い水位である閉水位を強制停止水位に設定して(S380)、強制停止水位変更処理を終了する。なお、制御部40は、強制停止水位を変更したときには表示部46への表示などによる報知を行ってもよい。そして、制御部40は、その後、高置水槽110の水位が閉水位(強制停止水位)以上に至ったときに、
図2BのS185がYesとなってポンプ20を強制停止(
図2BのS189)させる。
【0073】
こうした強制停止水位変更処理によれば、定水位弁108の異常によって高置水槽が閾値Crefの回数にわたって満水状態になったときには、満水水位未満の水位(ここでは、一例として閉水位)を強制停止水位に設定して、その後に高置水槽110の水位が変更した強制停止水位以上に至ったときにポンプ20を強制停止させる。これにより、定水位弁108の不具合による異常によって、高置水槽が繰り返し満水状態になることを抑制できる。
【0074】
なお、
図4に示す例では、制御部40は、S380にて閉水位を強制停止水位に設定するものとした。しかし、強制停止水位の変更は、閉水位以上で満水水位より低い水位に変更されればよく、閉水位と異なる水位を強制停止水位に設定してもよい。
【0075】
図5は、
図4に示す強制停止水位の変更を説明するための図であり、高置水槽110の水位、ポンプ20の運転・停止、および、定水位弁警報の検出の別の一例をタイムチャートとして示す図である。なお、
図5中、時刻t21~t27では、
図3Dの時刻t21~t27と同一の状況となっており、重複する説明は省略する。
図5に示す例では、Cref2が値2とする。時刻t21に発生した定水位弁警報が以降も継続されており(S310:Yes)、時刻t22にて高置水槽の水位が開水位未満に至ってから(S330:Yes)、時刻t24にて満水水位(第1水位)以上に至る(S350:Yes)と、制御部40は、変更カウンタCfを値1にインクリメントする(S360)。次に、時刻t27にて第1水位以上に至る(S350:Yes)と、制御部40は、変更カウンタCfを値2にインクリメントする(S360)。そして、時刻t27にて変更カウンタCfが閾値Cref2に至ったときに(S270:Yes)、つまり、閾値Cref2の回数だけ
高置水槽の水位が第1水位以上に至ったときに(時刻t27)、制御部40は、強制停止水位を満水水位より低い水位である閉水位に変更する(S380)。これにより、t27以降は、高置水槽110の水位が閉水位以上に至るごとにポンプ20が強制停止される(時刻t29)。こうした制御により、定水位弁108に異常が生じているときに、高置水槽110が満水状態になることを抑制できる。
【0076】
(変形例1)
上記した実施形態では、制御部40は、水位計からの検出信号に基づいて定水位弁108の開閉を制御した。しかし、こうした例に限定されず、水位計の信号を用いて定水位弁108を開閉してもよい。具体的には、フロート式水位センサ140が定水位弁108と接続され、開水位未満で定水位弁108を開放する信号を出力し、閉水位以上で定水位弁108を閉止する信号を出力する。この場合も、第1水位を検出することで、上述した実施形態と同様に定水位弁108に異常を検出することができる。また、本実施形態では吐出し圧力制御や自動発停制御に基づいてポンプ20を制御するので、制御部40は、開水位、閉水位の信号を入力する必要がなくなる。これにより高置水槽110と給水装置10間の配線は、少なくとも水位計の配線があればよいし、高置水槽110と定水位弁108管の配線もなくてもよいため、配線の省力化を実現することができる。
【0077】
(変形例2)
本実施形態における変形例2を
図6、
図7にて説明する。
図6は、高置水槽方式の給水設備1001の一例を示す図であり、
図7は、直送式の給水設備1002の一例を示す図である。
図6および
図7では、
図1の給水設備1000と同じ構成については同じ符号を付与し説明を省略する。また、
図6および
図7の有する機能においても、
図1の給水設備1000の有する機能と同じ機能については、説明を省略する。
【0078】
図7に示す直送式の給水設備1002では、給水装置10の下流には、給水対象(例えば蛇口)132が給水管107を介して接続されている。直送式の給水設備1002の給水装置10は、水道本管104または受水槽からの水をポンプ20にて加圧して各階の給水対象132に直接水を供給する。
【0079】
続いて、
図7に示す直送式の給水設備1002のポンプ20の動作について説明する。ポンプ20が停止している状態で給水対象(例えば蛇口)132にて水が使われると、吐出し圧力が所定の始動圧力P0にまで低下して、制御部40はポンプ20の少なくとも一方を始動(小停再始動)させ、吐出し圧力制御を行う。そして、ポンプ20の運転中に給水対象(例えば蛇口)132にて水の使用量が少なくなり、フロースイッチ24が過少水量を検出すると、制御部40は、ポンプ20を停止(小水量停止)させる。再び建物内で水が使用されると、吐出し圧力が所定の始動圧力P0にまで低下して、ポンプ20の小停再始動が行われる。制御部40は、過少水量の検出にてポンプ20を停止させる小水量停止と、吐出し圧力が始動圧力P0まで低下することによりポンプ20を再始動させる小停再始動と、が、繰り返される自動発停制御を行う。このように、吐出し圧力制御や自動発停制御を行う制御プログラムは、直送式の給水設備1002、高置水槽方式の給水設備1001並びに給水設備1000においても利用することができる。
【0080】
ここで、給水装置10が直送式の給水設備1002にて用いられるか、または、高置水槽方式の給水設備1001もしくは給水設備1000にて用いられるかは、給水方式切り替えボタン54a等の外部入力にて選択可能であるとよい。変形例2の給水装置10では、記憶部41に高置水槽方式と直送式の両方に対応可能な制御プログラムを格納しており、演算部42は、選択された給水方式に対応した制御プログラムを実行する。
【0081】
変形例2の給水設備1001では、
図2Bのフローを実施するときに、インターロック
端子47aを用いて強制停止水位におけるポンプの強制停止(
図2のS189)を行う。具体的には、フロート式水位センサ140に代えてもしくは加えて強制停止水位以上の水位を検出するフロート式水位センサ141を設ける。そして、
図6の給水設備1001に示すようにフロート式水位センサ141とインターロック端子47aを接続する。制御部40は、インターロック端子47aに信号が入力されるとポンプ20を強制停止させるため、フロート式水位センサ140による強制停止水位以上の水位の検出にてポンプ20を強制停止できる。つまり、
図2BのフローにおけるS185およびまたはS190の判断は、制御部40に代えてフロート式水位センサ141が行う。また、制御部40は、インターロック端子47aへの入力信号を報知することで、何らかの異常で高置水槽110が満水状態となったことを報知できる。ここで、本変形例では、インターロック端子47aへ入力される強制停止水位を、定水位弁108が閉じられる閉水位以上の所定の水位である第1水位としてもよい。この場合、インターロック端子47aへの強制停止水位以上の信号の入力で定水位弁警報を検出してもよい。
【0082】
このように、直送式の給水設備1002から高置水槽方式の給水設備1001へ選択可能な給水装置10おいて、給水装置10は高置水槽方式にて使用したときの制御方法であって、インターロック端子47aに強制停止水位が入力されることで高置水槽110への送水を停止する制御方法により、吐出し圧力制御や自動発停制御を利用しつつ且つ高置水槽110から水が溢れるのを防止することができる。
【0083】
上記した実施形態並びに変形例では、水位計からの検出信号に基づいて高置水槽110の水位が満水水位(第1水位)以上に至ったときに、制御部40は定水位弁警報を検出し発報するものとした。しかし、こうした例に限定されず、一例として、高置水槽110の水位が閉水位以上に至った状態で所定時間(第1時間)以上にわたってポンプ20が運転されているときに、制御部40は、水位計からの信号に基づいて高置水槽110の水位が第1水位以上に至ったと判定して定水位弁警報を検出し発報するものとしてもよい。これにより、制御部40は、第1水位の信号を入力する必要がなくなり、高置水槽110と給水装置10間の配線を減らすことができる。また、制御部40は、所定の第2水位を水位計より入力し、高置水槽110の水位が第2水位未満から第2水位以上となった回数をカウントして当該回数が所定の回数を超えた場合に第1水位以上に至っていると判定してもよい。例えば、第2水位を閉水位とすると、電極式レベルスイッチ120の閉水位を検出する電極棒124、もしくはフロート式水位センサ140による閉水位の検出によって、第2水位を検出し、高置水槽110の水位が第2水位未満から第2水位以上となった回数をカウントして当該回数が所定の回数を超えた場合に第1水位以上に至っていると判定し、定水位弁警報を検出する。これにより、例えば、高置水槽の水面の波うち等で水位を誤検知しても、直に定水位弁警報を検出しないので、定水位弁108の異常の判定が安定し、定水位弁警報の誤検出を防止することができる。この場合、第1水位と第2水位は同じ水位でもよい。
【0084】
また、同様に、制御部40は、高置水槽110の水位が閉水位以上に至った状態で所定時間以上にわたってポンプ20が運転されているときに、高置水槽110の水位が強制停止水位であると判断してポンプ20を強制停止させるものとしてもよい。こうすれば、たとえば、定水位弁108が高置水槽110の水位に応じて自動で開閉される構成であったり、水位計から制御部40に満水水位以上に至ったか否かが入力されない構成であったりしても、実施形態と同様の制御を実行できる。なお、所定時間としては、たとえば定水位弁108が正常に閉じられたときにポンプ20が停止するまでの時間にマージンを加えた時間として、実験などにより定めた時間を用いればよい。これにより、制御部40は、強制停止水位の信号を入力する必要がなくなる。高置水槽110と給水装置10間の配線を減らして配線作業の省力化ができる。
【0085】
また、S160にて定水位弁108が閉じ給水管107の流路が閉止されていてもフロースイッチ24の異常にて過少水量を検出できない(S186:No)場合が考えられる。フロースイッチ24の異常は、ポンプ20の運転中には吐出し量が過少水量の場合もあるため過少水量を検出したか否かにて判定することは難しいが、ポンプ20が停止中には吐出し量がゼロのため過少水量を検出していないと検出値が矛盾しているとして、容易に判定することができる。そこで、フロースイッチ24の異常にて過少水量を検出できない(S186:No)状態で、ポンプ20の運転(S187)が所定の強制停止時間以上継続されると高置水槽110の水位が強制停止水位以上に至ったと判断するとよい。そして、ポンプ20を停止しても過少流量を検知しないので、制御部40はフロースイッチ24の異常を検出できる。更に、制御部40は、強制停止水位(満水水位)以上に水位が至ったこと、並びに、フロースイッチ24の異常を履歴として記憶部41に記憶するとよい。該履歴にて強制停止水位以上に水位が至った後にフロースイッチ24の異常が発生したことを確認できることで、高置水槽110の水位が下がり定水位弁警報が解除された後でも、メンテナンス員は強制停止水位まで上昇したと判断した原因がフロースイッチ24の異常であるか否かを特定することができる。該履歴における強制停止水位以上に水位が至ったことを示す記号等は、満水水位以上または定水位弁警報を示す記号と同一の記号を用いてもよい。また、該履歴には、高置水槽110の水位と共に強制停止水位以上に水位が至った時刻、強制停止水位未満に水位が至った時刻、フロースイッチ24の異常の発生時刻と復帰時刻も記憶されるとよい。なお、上述した強制停止時間は履歴情報に記憶されたポンプ20の運転状況(例えば、過去のポンプ20の運転継続時間や頻度、過去の同時刻における運転時間や頻度)により制御部40にて算出してもよいし、変更可能な設定値情報として外部入力により制御部40に設定されてもよい。また、高置水槽110の水位が強制停止水位以上に至ったとの判断は、高置水槽110の水位が閉水位以上に至った状態でポンプ20の運転が所定時間以上継続された場合でもよいし、高置水槽110に設置された水位計による強制停止水位以上の検出でもよい。このように、高置水槽110の水位が強制停止水位以上に至ったと判断してポンプ20が停止された後にフロースイッチ24により過少水量であることが検出されないときにはフロースイッチ24が異常であると判定することで、高置水槽110の水位が強制停止水位まで上昇した原因を特定することができる。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0087】
10…給水装置
20…ポンプ
21…モータ
22…インバータ
23…逆止弁
24…フロースイッチ
26…圧力センサ(圧力計)
28…圧力タンク
40…制御部
41…記憶部
42…演算部
44…運転パネル
45…設定部
45a…給水方式切り替えボタン
46…表示部
47…I/O部
48…通信部
80…外部端末
108…定水位定水位弁
110…高置水槽
120…電極式レベルスイッチ(水位計)
121~125…電極棒
140…フロート式水位センサ(水位計)
1000…給水設備
1001…給水設備
1002…給水設備