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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】電源切替制御回路
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/30 20060101AFI20220118BHJP
   G11C 5/14 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
G11C16/30
G11C5/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018002579
(22)【出願日】2018-01-11
(65)【公開番号】P2019121413
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079119
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 元彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147728
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 信司
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雅之
【審査官】堀田 和義
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0122601(US,A1)
【文献】特開2008-282119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/30
G11C 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体メモリに搭載され、データの書き換えを行う書換期間及びデータの読み出しを行う読出期間において、メモリセルに印加する電圧の切替制御を行う電源切替制御回路であって、
電源電圧よりも電圧の高い第1の電圧を有する第1ラインに接続され、前記第1の電圧を降圧し、前記第1の電圧よりも低く且つ前記電源電圧よりも高い第2の電圧を生成して、第2ラインに出力するレギュレータと、
前記第2ライン及び前記電源電圧を供給する電源ラインのいずれか一方と中間ラインとの接続切替を行い、前記書換期間及び前記書換期間から前記読出期間への移行期間である書換終了期間において前記中間ラインを前記電源ラインに接続し、前記読出期間において前記中間ラインを前記第2ラインに接続する第1の切替回路と、
前記書換期間に前記第1の電圧よりも高い第3の電圧を有し、前記書換終了期間に前記第3の電圧から前記電源電圧に切り替わり、前記読出期間に前記電源電圧となるように電圧レベルが制御される第3ラインに接続され、前記第3ライン及び前記中間ラインのいずれか一方を電圧出力ラインに接続する接続切替を行う第2の切替回路と、
を有し、
前記第2の切替回路は、
前記書換期間でオン、前記書換終了期間及び前記読出期間でオフとなり、前記書換期間において前記第3ラインを前記電圧出力ラインに接続する第1スイッチと、
前記第1スイッチと並列に接続され、前記書換期間及び前記書換終了期間において前記第3ラインを前記電圧出力ラインに接続する逆流防止回路と、
前記書換期間及び前記書換終了期間でオフ、前記読出期間でオンとなり、前記読出期間において前記中間ラインを前記電圧出力ラインに接続する第2スイッチと、
を含み、
前記逆流防止回路は、前記第3ラインと前記電圧出力ラインとの間に前記第1スイッチとは並列に接続された逆流防止トランジスタを含み、前記書換期間及び前記書換終了期間において前記第2電圧よりも前記逆流防止トランジスタの閾値電圧分だけ低い電圧レベルを有する逆流防止制御信号の供給を受け、前記書換終了期間における前記電圧出力ラインの電圧が前記第2電圧となるように制御することを特徴とする電源切替制御回路。
【請求項2】
前記逆流防止トランジスタは、前記書換期間及び前記書換終了期間において、前記逆流防止制御信号の供給を受けてオンとなり、前記書換終了期間において前記第2電圧を前記電圧出力ラインに印加することを特徴とする請求項1に記載の電源切替制御回路。
【請求項3】
前記逆流防止制御信号を生成する信号生成回路を有し、
前記信号生成回路は、
前記逆流防止制御信号を出力する信号出力ラインに第1端が接続され、制御端に第1制御信号の印加を受ける第1導電型の第1トランジスタと、
第1端及び制御端が前記信号出力ラインを介してダイオード接続された前記第1導電型とは反対導電型の第2導電型の第2トランジスタと、
第1端が前記第1トランジスタの第2端に接続され、第2端が前記第2ラインに接続され、制御端が前記信号出力ラインに接続された前記第1導電型の第3トランジスタと、
第1端が前記第2トランジスタの第2端に接続され、第2端が接地電位に接続され、制御端に前記第1制御信号の信号レベルを反転した第2制御信号の印加を受ける第2導電型の第4トランジスタと、
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電源切替制御回路。
【請求項4】
前記信号生成回路は、第1端が前記信号出力ラインに接続され、第2端が前記第2ラインに接続され、制御端に前記第2制御信号の印加を受ける前記第1導電型の第5トランジスタを含むことを特徴とする請求項3に記載の電源切替制御回路。
【請求項5】
前記信号生成回路は、第1端が前記信号出力ラインに接続され、第2端が前記第1ラインに接続され、制御端に前記第2制御信号の印加を受ける前記第1導電型の第5トランジスタを含むことを特徴とする請求項3に記載の電源切替制御回路。
【請求項6】
前記第1、第3及び第5トランジスタは、前記第1端がドレインであり、前記第2端がソースであり、前記制御端がゲートである第1チャネル型のMOSトランジスタであり、
前記第2及び第4トランジスタは、前記第1端がドレインであり、前記第2端がソースであり、前記制御端がゲートである第2チャネル型のMOSトランジスタであり、
前記第1制御信号は、前記書換期間及び前記書換終了期間において接地電位、前記読出期間において前記第2電圧の電圧レベルを有する信号であり、
前記第2制御信号は、前記書換期間及び前記書換終了期間において前記第2電圧、前記読出期間において接地電位の電圧レベルを有する信号である、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電源切替制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源切替制御回路、特にフラッシュメモリ等の半導体記憶装置に搭載される電源切替制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性の半導体記憶装置として、フラッシュメモリが広く用いられている。フラッシュメモリでは、メモリセルに電圧を印加することにより、データの書き込み、読み出し及び消去を行う。その際、データの書き込み、読み出し及び消去に用いる電圧はそれぞれ異なるため、電源電圧の切り替えが行われている(例えば、特許文献1)。
【0003】
フラッシュメモリにおいてデータの書き込み時(以下、書き換え時と称する)及び読み出し時における電圧の切り替えを制御する電源切替制御回路は、例えば第1ライン及び第2ラインの間に設けられたレギュレータと、中間ラインを介して接続された第1の切替回路及び第2の切替回路と、を有する。
【0004】
レギュレータは、第1ラインから第1電圧の供給を受け、これを降圧して第1電圧よりも低く且つ電源電圧よりも高い第2電圧を生成し、第2ラインに出力する。
【0005】
第1の切替回路は、第2ラインと中間ラインとの間に設けられている。第1の切替回路は、データの書き換え時には、中間ラインを電源と接続し、読み出し時には、中間ラインを第2ラインと接続するように接続切替えを行う。これにより、中間ラインは、データの書き換え時には電源電圧、読み出し時には第2電圧の電圧レベルとなる。
【0006】
第2の切替回路は、データの書き換え時には第1電圧より高い第3電圧、読み出し時には電源電圧の電圧レベルとなる第3ラインに接続されている。第2の切替回路は、メモリセルのゲートに接続された電圧出力ラインを、データの書き換え時には第3ラインに接続し、読み出し時には中間ラインに接続するように接続切替を行う。これにより、電圧出力ラインは、データの書き換え時には第3電圧、読み出し時には第2電圧の電圧レベルとなる。
【0007】
第2の切替回路は、中間ラインと電圧出力ラインとの間に設けられたPチャネル型MOSトランジスタと、第3ラインと電圧出力ラインとの間に設けられたNチャネル型MOSトランジスタと、を有する。これらのPチャネル型MOSトランジスタ及びNチャネル型MOSトランジスタのゲート端子には、データの書き換え時に第3ラインの電圧レベルとなる信号が印加される。
【0008】
また、第3ラインと電圧出力ラインとの間には、直列に接続された2つのPチャネル型MOSトランジスタからなるトランジスタ対が、上記Nチャネル型MOSトランジスタに並列に設けられている。トランジスタ対を構成する一方のPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子には、データの読み出し時に第3ラインの電圧レベルの信号となる信号が印加される。トランジスタ対を構成する他方のPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子には、逆流防止制御信号が印加される。
【0009】
逆流防止制御信号を生成する信号生成回路は、例えば逆流防止制御信号を出力する信号出力ラインにドレイン端子が接続された第1のPチャネル型MOSトランジスタと、第2のPチャネル型MOSトランジスタと、を含む。第1のPチャネル型MOSトランジスタのソース端子には、第2電圧の電圧レベルを有する電圧が印加される。第2のPチャネル型MOSトランジスタのソース端子には、電源電圧が印加される。第1のPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子には信号出力ラインの電圧レベルを制御する制御信号が印加され、第2のPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子には制御信号の信号レベルを反転した信号が印加される。制御信号は、データの書き換え時に第2電圧の電圧レベルとなり、読み出し時に接地電位の電圧レベルとなる信号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2010-97676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような電源切替制御回路を有するフラッシュメモリがデータの書き換え動作を終了するとき、電圧出力ラインは直列に接続された2つのPチャネル型MOSトランジスタからなるトランジスタ対を介して放電され、第3ラインの電圧レベルから、電源レベルよりPチャネル型MOSトランジスタの閾値電圧分高いレベルまで低下する。一方、中間ラインはデータの書き換え時と同じ電源電圧の電圧レベルに維持される。
【0012】
その後、フラッシュメモリが読み出し動作を開始すると、中間ラインは第2ラインと接続される。信号生成回路の第1のPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子には、接地電位レベルの制御信号が印加され、第2のPチャネル型MOSトランジスタのゲート端子には、第2電圧の電圧レベルが印加される。これにより、第1のPチャネル型MOSトランジスタがオンとなり、第2のPチャネル型MOSトランジスタがオフとなるため、逆流防止制御信号は第2電圧の電圧レベルとなる。
【0013】
逆流防止制御信号が第2電圧の電圧レベルであるため、第2の切替回路のトランジスタ対を構成する他方のPチャネル型MOSトランジスタはオフとなり、第3ラインと電圧出力ラインとの間に電流は流れない。その結果、読み出し動作を開始する前に電源電圧のレベルだった中間ラインと、電源電圧よりもPチャネル型MOSトランジスタの閾値電圧分高い電圧レベルだった電圧出力ラインと、レギュレータの出力である第2ラインと、が接続されることになる。このとき、中間ラインの負荷容量は無視できるほど小さいが、電圧出力ラインはメモリセルのゲートに電圧を供給するラインであるため負荷容量が大きい。そのため、電圧出力ラインの負荷容量とのカップリングにより第2ラインの電圧レベルは低下する。一方、電圧出力ラインはカップリングにより低下した第2ラインの電圧レベルまで上昇する。その後、レギュレータの駆動能力により、一定時間経過後に第2ライン及び電圧出力ラインは第2電圧の電圧レベルに戻ることになる。第2ライン及び電圧出力ラインが第2電圧の電圧レベルに戻った後、フラッシュメモリは読み出し動作を行うことが可能となる。
【0014】
このように、フラッシュメモリが書き込み動作の終了から読み出し動作の開始までの間には、第2ラインの電圧レベルがいったん低下してから第2電圧の電圧レベルに戻るまでの期間である所謂「ウェイト期間」が必要となる。したがって、書き換え動作を終了後にすぐに読み出し動作を開始することができないという問題があった。
【0015】
また、第1ラインの電圧及び第2ラインの電圧を共通に用いる2つのバンクから構成されるフラッシュメモリにおいて、一方のバンクでデータを書き換え中に他方のバンクからデータを読み出す両バンク同時動作を行った場合、書き換え終了時の第2ラインの電圧レベルの低下は、読み出し動作中のバンクに影響を与え、誤ったデータを読み出してしまう可能性がある。
【0016】
逆流防止制御信号を常時第2ラインの電圧レベルとすることで、書き換え終了期間の電圧出力ラインを第2ラインよりもPチャネル型MOSトランジスタの閾値電圧分高い電圧レベルにする方法も考えられる。しかし、その場合、カップリングにより第2ラインの電圧レベルは上昇する。読み出し動作時、第2ラインの電圧レベルが第2電圧よりも高いとレギュレータはカットオフとなり、その後の読み出し動作により第2ラインの電圧レベルは大幅に低下し、誤データを読み出す可能性がある。
【0017】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、フラッシュメモリによる書き換え動作から読み出し動作への素早い移行を可能にするとともに誤データの読み出しを抑制することが可能な電源切替制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る電源切替制御回路は、半導体メモリに搭載され、データの書き換えを行う書換期間及びデータの読み出しを行う読出期間において、メモリセルに印加する電圧の切替制御を行う電源切替制御回路であって、電源電圧よりも電圧の高い第1の電圧を有する第1ラインに接続され、前記第1の電圧を降圧し、前記第1の電圧よりも低く且つ前記電源電圧よりも高い第2の電圧を生成して、第2ラインに出力するレギュレータと、前記第2ライン及び前記電源電圧を供給する電源ラインのいずれか一方と中間ラインとの接続切替を行い、前記書換期間及び前記書換期間から前記読出期間への移行期間である書換終了期間において前記中間ラインを前記電源ラインに接続し、前記読出期間において前記中間ラインを前記第2ラインに接続する第1の切替回路と、前記書換期間に前記第1の電圧よりも高い第3の電圧を有し、前記書換終了期間に前記第3の電圧から前記電源電圧に切り替わり、前記読出期間に前記電源電圧となるように電圧レベルが制御される第3ラインに接続され、前記第3ライン及び前記中間ラインのいずれか一方を前記電圧出力ラインに接続する接続切替を行う第2の切替回路と、を有し、前記第2の切替回路は、前記書換期間でオン、前記書換終了期間及び前記読出期間でオフとなり、前記書換期間において前記第3ラインを前記電圧出力ラインに接続する第1スイッチと、前記第1スイッチと並列に接続され、前記書換期間及び前記書換終了期間において前記第3ラインを前記電圧出力ラインに接続する逆流防止回路と、前記書換期間及び前記書換終了期間でオフ、前記読出期間でオンとなり、前記読出期間において前記中間ラインを前記電圧出力ラインに接続する第2スイッチと、を含み、前記逆流防止回路は、前記書換期間及び前記書換終了期間において前記第2電圧と前記電源電圧との間の電圧レベルを有する逆流防止制御信号の供給を受け、前記書換終了期間における前記電圧出力ラインの電圧が前記第2電圧となるように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電源切替制御回路によれば、フラッシュメモリは書き換え動作の終了後に素早く読み出し動作を開始することが可能となる。また、誤データの読み出しを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1の電源切替制御回路の構成を示す回路図である。
図2】実施例1の信号生成回路の構成を示す回路図である。
図3】実施例1の電源切替動作時における各ラインの電圧及び信号の波形を示す図である。
図4】比較例の信号生成回路の構成を示す回路図である。
図5】比較例の電源切替動作時における各ラインの電圧及び信号の波形を示す図である。
図6】実施例2の信号生成回路の構成を示す回路図である。
図7】実施例2の電源切替動作時における各ラインの電圧及び信号の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施例における説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例1】
【0022】
図1は、本実施例の電源切替制御回路100の構成を示す回路図である。電源切替制御回路100は、不揮発性の半導体メモリ(例えば、フラッシュメモリ)に搭載されている。電源切替制御回路100は、フラッシュメモリ内のメモリセルに電圧出力ラインZVDDLを介して接続され、メモリセルトランジスタ(図示せず)のゲートにゲート電圧を供給する。
【0023】
電源切替制御回路100は、レギュレータ10、第1の切替回路11及び第2の切替回路12を有する。第1の切替回路11及び第2の切替回路12は、中間ラインZVDDWを介して接続されている。
【0024】
レギュレータ10は、入力端子VINが第1ラインPWLに接続されている。第1ラインPWLは、電源電圧VDDを昇圧した第1電圧V1の電圧レベルを有する。レギュレータ10は、第1ラインPWL上の電圧を降圧した電圧を第2ラインVD25に出力する。第2ラインVD25は、電源電圧VDDよりも高く且つ第1電圧V1よりも低い第2電圧V2の電圧レベルを有する。
【0025】
第1の切替回路11は、中間ラインZVDDWと第2ラインVD25及び電源電圧VDDを供給する電源ラインとのいずれか一方との接続切替を行う切替回路である。第1の切替回路11は、Pチャネル型(第1導電型)MOSトランジスタであるトランジスタPM10、Nチャネル型(第1導電型とは反対導電型の第2導電型)MOSトランジスタであるトランジスタNM10、Nチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタNM11及びPチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタPM11を含む。
【0026】
トランジスタPM10は、ソース端子が第2ラインVD25に接続され、ドレイン端子が中間ラインZVDDWに接続されている。トランジスタPM10のウェル(バックゲート)は第1ラインPWLに接続されている。トランジスタPM10のゲート端子には、制御信号ENVD25が供給される。制御信号ENVD25は、中間ラインZVDDWに出力する電圧のレベルを制御する信号である。制御信号ENVD25は、メモリセルの書き換え時に第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。また、制御信号ENVD25は、メモリセルの読み出し時に接地電位VSSの電圧レベル(ローレベル)となる。
【0027】
トランジスタNM10は、ドレイン端子がトランジスタPM10のソース端子及び第2ラインVD25に接続され、ソース端子がトランジスタPM10のドレイン端子及び中間ラインZVDDWに接続されている。トランジスタNM10のゲート端子には、制御信号ENVD25Nが供給される。制御信号ENVD25Nは、中間ラインZVDDWに出力する電圧のレベルを制御する信号であり、制御信号ENVD25の信号レベルを反転した信号レベルを有する。すなわち、制御信号ENVD25Nは、メモリセルの書き換え時に接地電位VSSの電圧レベル(ローレベル)となる。また、制御信号ENVD25Nは、メモリセルの読み出し時に第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。
【0028】
トランジスタNM11は、電源電圧VDDを供給する電源ラインにドレイン端子が接続されている。トランジスタNM11のソース端子は、中間ラインZVDDWに接続されるとともに、トランジスタNM10のソース端子及びトランジスタPM10のドレイン端子に接続されている。トランジスタNM11のゲート端子には、制御信号ENVDDが供給される。制御信号ENVDDは、中間ラインZVDDWに出力する電圧のレベルを制御する信号である。制御信号ENVDDは、メモリセルの書き換え時に第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。また、制御信号ENVDDは、メモリセルの読み出し時に接地電位VSSの電圧レベル(ローレベル)となる。
【0029】
トランジスタPM11は、電源電圧VDDを供給する電源ラインにソース端子が接続されている。トランジスタPM11のドレイン端子は、トランジスタNM11のソース端子に接続され、中間ラインZVDDWに接続されるとともに、トランジスタNM10のソース端子及びトランジスタPM10のドレイン端子に接続されている。トランジスタPM11のウェルは第1ラインPWLに接続されている。トランジスタPM11のゲート端子には、制御信号ENVDDNが供給される。制御信号ENVDDNは、中間ラインZVDDWに出力する電圧のレベルを制御する信号であり、制御信号ENVDDの信号レベルを反転した信号レベルを有する。すなわち、制御信号ENVDDNは、メモリセルの読み出し時には第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。また、制御信号ENVDDNは、メモリセルの書き換え時には接地電位VSSの電圧レベル(ローレベル)となる。
【0030】
メモリセルの書き換え時には、トランジスタNM10及びPM10がオフとなり、トランジスタNM11及びPM11がオンとなる。これにより、中間ラインZVDDWは電源電圧VDDを供給する電源ラインに接続され、中間ラインZVDDWは電源電圧VDDの電圧レベルとなる。
【0031】
一方、メモリセルの読み出し時には、トランジスタNM10及びPM10がオンとなり、トランジスタNM11及びPM11がオフとなる。これにより、中間ラインZVDDWは第2ラインVD25に接続され、中間ラインZVDDWは第2ラインVD25の電圧レベルとなる。
【0032】
第2の切替回路12は、電圧出力ラインZVDDLと中間ラインZVDDW及び第3ラインVEPのいずれか一方との接続切替を行う切替回路である。第2の切替回路12は、Pチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタPM12及びNチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタNM12を含む。また、第2の切替回路12は、Pチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタPM13及びPM14からなるトランジスタ対を含む。トランジスタPM13及びPM14からなるトランジスタ対は、トランジスタNM12に並列に接続されている。
【0033】
第3ラインVEPは、データの書き換え時に第3電圧V3となり、読み出し時に電源電圧VDDとなるように電圧レベルが制御される。第3電圧V3は、第1電圧V1とPチャネル型MOSトランジスタの閾値電圧PVt(以下、PMOSの閾値電圧PVtと称する)とを足した電圧レベルよりも充分に高い。
【0034】
トランジスタPM12のドレイン端子は、中間ラインZVDDWに接続され、中間ラインZVDDWを介してトランジスタNM10のソース端子、トランジスタPM10のドレイン端子、トランジスタNM11のソース端子及びトランジスタPM11のドレイン端子に接続されている。トランジスタPM12のソース端子は、電圧出力ラインZVDDLに接続されている。トランジスタPM12のソース端子及びウェルは互いに接続されている。トランジスタPM12のゲート端子には、制御信号HVOが供給される。制御信号HVOは、電圧出力ラインZVDDLに出力する電圧のレベルを制御する信号である。制御信号HVOは、メモリセルの書き換え時にハイレベル、読み出し時にローレベルとなる。ハイレベルでは、制御信号HVOは第3ラインVEPの電圧レベルとなる。
【0035】
トランジスタNM12は、ドレイン端子が第3ラインVEPに接続されている。トランジスタNM12のソース端子は、電圧出力ラインZVDDLに接続され、電圧出力ラインZVDDLを介してトランジスタPM12のソース端子及びウェルに共通に接続されている。トランジスタNM12のゲート端子には、制御信号HVOが供給される。
【0036】
トランジスタNM12は、メモリセルの書き換え時にオンとなり、第3ラインVEPを電圧出力ラインZVDDLに接続する第1スイッチである。トランジスタPM12は、メモリセルの読み出し時にオンとなり、中間ラインZVDDWを電圧出力ラインZVDDLに接続する第2スイッチである。
【0037】
トランジスタ対を構成するトランジスタPM13及びPM14は、ドレイン端子同士が互いに接続されている。トランジスタPM13のソース端子は、第3ラインVEPに接続されている。トランジスタPM13のソース端子及びウェルは互いに接続されている。トランジスタPM13のゲート端子には、制御信号HVONが供給される。制御信号HVONは、制御信号HVOと逆の論理で信号レベルが変化する信号であり、メモリセルの書き換え時にはローレベル、読み出し時にハイレベルとなる。ハイレベルでは、制御信号HVONは第3ラインVEPの電圧レベルとなる。
【0038】
トランジスタPM14のソース端子は、電圧出力ラインZVDDLに接続され、トランジスタNM12のソース端子及びトランジスタPM12のソース端子に接続されている。トランジスタPM14のソース端子及びウェルは互いに接続されている。トランジスタPM14のゲート端子には、逆流防止制御信号STPが供給される。
【0039】
トランジスタPM13及びPM14は、フラッシュメモリが書き換え動作から読み出し動作へと移行する間の書換終了期間において、第3ラインVEPを電圧出力ラインZVDDLに接続するとともに電圧出力ラインZVDDLから第3ラインVEPへの電流の逆流を防止する逆流防止回路としての機能を有する。特に、トランジスタPM14は、ゲート端子に逆流防止信号STPの信号レベル(電圧レベル)を印加することにより電圧出力ラインZVDDLの電圧レベルをトランジスタPM14の閾値電圧と逆流防止信号STPの信号レベルとの和に相当する電圧レベルまで低下させた後、逆流防止機能が働く。
【0040】
図2は、逆流防止制御信号STPを生成する信号生成回路20の回路図である。信号生成回路20は、Pチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタPM20、PM21及びPM22と、Nチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタNM20及びNM21と、を含む。
【0041】
トランジスタNM20のドレイン端子及びゲート端子は、逆流防止制御信号STPを出力する信号出力ラインSLに接続されている。トランジスタNM20のソース端子は、トランジスタNM21のドレイン端子に接続されている。
【0042】
トランジスタNM21のソース端子は接地されている。トランジスタNM21のゲート端子には、制御信号ENが供給される。制御信号ENは、信号出力ラインSLの電圧レベルを制御する制御信号である。制御信号ENは、メモリセルの書き換え時には第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)、読み出し時には接地電位VSSの電圧レベル(ローレベル)となる。
【0043】
トランジスタPM20のドレイン端子は、信号出力ラインSLに接続されている。トランジスタPM20のソース端子は、トランジスタPM21のドレイン端子に接続されている。トランジスタPM20のウェルは第1ラインPWLに接続されている。トランジスタPM20のゲート端子には、制御信号ENNが供給される。制御信号ENNは、信号出力ラインSLの電圧レベルを制御する制御信号であり、制御信号ENと逆の論理で信号レベルが変化する。制御信号ENNは、メモリセルの書き換え時には接地電位VSSの電圧レベル(ローレベル)、読み出し時には第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。
【0044】
トランジスタPM21のソース端子は、第2ラインVD25に接続されている。また、トランジスタPM21のソース端子及びウェルは互いに接続されている。トランジスタPM21のゲート端子は、信号出力ラインSLに接続されるとともに、トランジスタNM20のゲート端子に接続されている。
【0045】
トランジスタPM22のソース端子は、第2ラインVD25に接続されている。トランジスタPM22のドレイン端子は、信号出力ラインSLに接続されている。トランジスタPM22のウェルは、第1ラインPWLに接続されている。トランジスタPM22のゲート端子には、制御信号ENが供給される。
【0046】
トランジスタPM21及びトランジスタNM20は、ダイオード接続されている。トランジスタPM20及びトランジスタNM21がともにオンである場合、トランジスタPM21及びトランジスタNM20は電流を流す状態となる。この際、逆流防止制御信号STPの信号レベル(すなわち、信号出力ラインSLの電圧レベル)が第2ラインVD25よりもPMOSの閾値電圧PVt分だけ低いレベルとなるように、トランジスタNM20、NM21、PM20及びPM21のディメンジョンが設定されている。
【0047】
次に、電源切替制御回路100による電源切替動作について、図1図2及び図3を参照して説明する。図3は、電源切替動作時における各ラインの電圧レベル及び各信号の時間変化を示す波形図である。
【0048】
フラッシュメモリがメモリセルの書き換えを行う書換期間では、第3ラインVEPのは、第3電圧V3となる。制御信号HVOは、第3ラインVEPの電圧レベルである第3電圧V3(ハイレベル)となる。制御信号HVONは、ローレベルとなる。
【0049】
制御信号ENVD25、制御信号ENVDD、及び制御信号ENは、第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。一方、制御信号ENVD25N、制御信号ENVDDN、及び制御信号ENNは、接地電位VSSの電圧レベル(ローレベル)となる。
【0050】
第1切替回路11では、トランジスタNM10及びPM10がオフとなり、トランジスタNM11及びPM11がオンとなる。これにより、中間ラインZVDDWは電源ラインと接続され、中間ラインZVDDWは電源電圧VDDの電圧レベルとなる。
【0051】
信号生成回路20では、トランジスタPM22がオフ、トランジスタPM20及びNM21がオンとなる。トランジスタPM21及びNM20は、電流を流す状態となる。逆流防止制御信号STPはローレベルとなり、第2ラインVD25よりもPMOSの閾値電圧PVt分だけ低い電圧レベル(VD25-PVt)となる。
【0052】
第2の切替回路12では、トランジスタPM12がオフとなり、トランジスタNM12、PM13及びPM14がオンとなる。これにより、電圧出力ラインZVDDLは第3ラインVEPと同じ電圧レベルとなる。
【0053】
次に、フラッシュメモリがメモリセルの書き換えを終了する書換終了期間では、第3ラインVEPは、第3電圧V3から放電され、電源電圧VDDの電圧レベルとなる。制御信号HVOは、第3ラインVEPと同じ電圧レベルであるため、電源電圧VDDの電圧レベルとなる。
【0054】
制御信号HVON及び逆流防止制御信号STPは、書換期間と同じ信号レベルを維持する。電圧出力ラインZVDDLは、オン状態のトランジスタPM13及びPM14を介して放電され、逆流防止制御信号STPよりもPMOSの閾値電圧PVt分だけ高い電圧レベル、すなわち第2ラインVD25の電圧レベルまで低下する。
【0055】
制御信号HVOの信号レベル、第3ラインVEP及び電圧出力ラインZVDDLの電圧レベルは同じスピードで低下するため、トランジスタPM12及びNM12はともにオフの状態となる。
【0056】
制御信号ENVD25、ENVDD、ENVD25N及びENVDDNは書換期間と同じ信号レベルを維持する。このため、トランジスタNM10及びPM10はオフ、トランジスタNM11及びPM11はオンであり、中間ラインZVDDWは電源電圧VDDの電圧レベルを維持する。
【0057】
次に、フラッシュメモリがメモリセルの読み出し動作を開始すると、制御信号ENVD25、ENVDD及びHVOはローレベル、制御信号ENVD25N及びENVDDNは第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。また、制御信号HVONの信号レベルは第3ラインVEPの電圧レベル、すなわち電源電圧VDDの電圧レベルとなる。これにより、トランジスタNM10、PM10及びPM12がオンとなり、トランジスタNM11、PM11及びNM12がオフとなる。
【0058】
また、制御信号ENはローレベル、制御信号ENNは第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。これにより、信号生成回路20では、トランジスタPM22がオンとなり、トランジスタPM20及びNM21がオフとなる。これにより、逆流防止制御信号STPは第2ラインVD25の電圧レベルとなる。
【0059】
第2の切替回路12では、トランジスタPM14がオフとなり、第3のラインVEPと電圧出力ラインZVDDLとの間には電流が流れない。その結果、読み出し動作の開始前に電源電圧VDDの電圧レベルであった中間ラインZVDDW、第2ラインVD25の電圧レベルであった電圧出力ラインZVDDL、及びレギュレータ10の出力ラインである第2ラインVD25が接続される。
【0060】
中間ラインZVDDWの負荷容量は無視できるほど小さく、電圧出力ラインZVDDLとレギュレータ10の出力とは同じ電圧レベル(すなわち、第2ラインVD25の電圧レベル)である。このため、図3に示すように、第2ラインVD25の電圧レベルは低下することなく、レギュレータ10の出力、中間ラインZVDDW、及び電圧出力ラインZVDDLはすべて同じ第2の電圧レベルV2となる。これにより、フラッシュメモリは速やかに読み出し動作を開始(すなわち、読出期間に移行)することが可能となる。
【0061】
図4は、本実施例の電源切替制御回路100とは異なる比較例の電源切替制御回路における信号生成回路30の構成を示す回路図である。比較例の信号生成回路30は、Pチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタPM30及びPM31を含む。
【0062】
トランジスタPM30及びPM31のドレイン端子は、逆流防止制御信号STPを出力する信号出力ラインSLに接続されている。トランジスタPM30及びPM31のウェルは、第1ラインPWLに接続されている。トランジスタPM30のソース端子は電源電圧VDDを供給する電源ラインに接続され、トランジスタPM31のソース端子は第2ラインVD25に接続されている。トランジスタPM30のゲート端子には制御信号ENNが供給され、トランジスタPM31のゲート端子には制御信号ENが供給される。
【0063】
比較例の信号生成回路30では、フラッシュメモリの書き換え動作の際、トランジスタPM31のゲート端子には第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)の制御信号ENが印加され、トランジスタPM30のゲート端子にはローレベルの制御信号ENNが印加される。これにより、トランジスタPM31がオフ、トランジスタPM30がオンとなり、図5に示すように、逆流防止制御信号STPは電源電圧VDDの電圧レベル(ハイレベル)となる。
【0064】
フラッシュメモリが書き換え動作を終了するとき、第3ラインVEPが第3の電圧レベルから放電され、電源電圧VDDの電圧レベルとなる。制御信号HVOは第3ラインVEPと同じ電圧レベルであるため、同様に電源電圧VDDの電圧レベルとなる。制御信号HVO及び逆流防止制御信号STPは、書換期間と同じ信号レベル(電圧レベル)が維持されるため、電圧出力ラインZVDDLはトランジスタPM13及びPM14を介して放電され、電源電圧VDDよりもPMOSの閾値電圧PVt分高い電圧レベルまで低下する。
【0065】
フラッシュメモリが読み出し動作を開始すると、制御信号ENはローレベルとなり、制御信号ENNは第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。これにより、トランジスタPM31がオン、トランジスタPM30がオフとなり、逆流防止制御信号STPは第2ラインVD25の電圧レベル(ローレベル)となる。
【0066】
第2の切替回路12では、ローレベルの逆流防止制御信号STPの供給を受けてトランジスタPM14がオフとなり、第3ラインVEPと電圧出力ラインZVDDLとの間には電流が流れない。その結果、読み出し動作を開始する前に電源電圧VDDの電圧レベルだった中間ラインZVDDWと、電源電圧VDDよりもPMOSの閾値電圧PVt分高い電圧レベルだった電圧出力ラインZVDDLと、レギュレータ10の出力ラインである第2ラインVD25と、が接続されることになる。
【0067】
このとき、中間ラインZVDDWの負荷容量は無視できるほど小さいが、電圧出力ラインZVDDLはメモリセルのゲートに電圧を供給するラインであるため負荷容量が大きい。そのため、電圧出力ラインZVDDLの負荷容量とのカップリングにより、図5に示すように第2ラインVD25の電圧レベルは低下する。このため、レギュレータ10の駆動により、第2ラインVD25の電圧レベルが第2電圧V2の電圧レベルに戻るまでの時間が、読み出し動作開始までの「ウェイト期間」として必要になる。
【0068】
これに対し、上記の通り、本実施例の電源切替制御回路100では、電圧出力ラインZVDDLの電圧レベルは、書換終了期間において、電源電圧VDDまで低下せず、第2ラインVD25の電圧レベルに維持される。このため、本実施例の電源切替制御回路100では、電圧出力ラインZVDDLの負荷容量とのカップリングによる第2ラインVD25の電圧レベルの低下が発生しない。従って、本実施例の電源切替制御回路100を搭載するフラッシュメモリは、ウェイト期間を経ることなく、書き換え終了後にすぐに読み出し動作を開始することができる。
【0069】
また、フラッシュメモリを2つのバンクからなる構成とし、第1ラインPWL及び第2ラインVD25を両方のバンクで共通に使う場合、一方のバンクでデータを書き換え中に他方のバンクからデータを読み出す両バンク同時動作において、比較例のような書き換え終了時における第2ラインVD25の電圧レベルの低下は、読み出し動作中のバンクに影響を与え、誤ったデータの読み出しが生じる可能性がある。これに対し、本実施例の電源切替制御回路100では、第2ラインVD25の電圧レベルの低下がないため、誤ったデータの読み出しが生じない。
【0070】
以上のように、本実施例の電源切替制御回路100によれば、フラッシュメモリは書き換え動作の終了後に素早く読み出し動作を開始することができ、誤データの読み出しが抑制される。従って、フラッシュメモリを使うシステムのパフォーマンスの向上が期待出来る。
【実施例2】
【0071】
本実施例の電源切替制御回路は、逆流防止制御信号STPを生成する信号生成回路の構成において実施例1と異なり、その他の構成については図1に示す実施例1の電源切替制御回路100と同様である。
【0072】
図6は、本実施例の信号生成回路40の構成を示す回路図である。信号生成回路40は、Pチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタPM40、PM41及びPM42と、Nチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタNM40及びNM41と、を含む。
【0073】
トランジスタPM40、PM41、NM40及びNM41の配置及び各端子の接続関係は、実施例1の信号生成回路20のトランジスタPM20、PM21、NM20及びNM21と同様である。一方、トランジスタPM42は、実施例1の信号生成回路20のトランジスタPM22とは異なり、ソース端子が第1ラインPWLに接続されている。
【0074】
トランジスタNM40、NM41、PM40及びPM41は、トランジスタPM40及びトランジスタNM41がともにオンであって電流を流す状態である場合に、逆流防止制御信号STPが第2ラインVD25よりもPMOSの閾値電圧PVt分だけ低い電圧レベルとなるように、ディメンジョンが設定されている。このため、フラッシュメモリがメモリセルの書き換えを行う書換期間では、第2ラインVD25の電圧レベルである制御信号ENと、接地電位VSSの電圧レベルである制御信号ENNと、の供給を受けて、トランジスタPM42がオフ、トランジスタPM40及びNM41がオンとなる。逆流防止制御信号STPはローレベルとなり、第2ラインVD25よりもPMOSの閾値電圧PVt分だけ低い電圧レベル(VD25-PVt)となる。
【0075】
書換終了期間では、逆流防止制御信号STPは、書換期間と同じ信号レベルを維持する。第2の切替回路12では、電圧出力ラインZVDDLは、オン状態のトランジスタPM13及びPM14を介して放電され、逆流防止制御信号STPよりもPMOSの閾値電圧PVt分だけ高い電圧レベル、すなわち第2ラインVD25の電圧レベルまで低下する。
【0076】
フラッシュメモリがメモリセルの読み出し動作を開始すると、制御信号ENはローレベル、制御信号ENNは第2ラインVD25の電圧レベル(ハイレベル)となる。これにより、信号生成回路40では、トランジスタPM42がオンとなり、トランジスタPM40及びNM41がオフとなる。これにより、図7に示すように、逆流防止制御信号STPは第1ラインPWLの電圧レベルとなる。
【0077】
第2の切替回路12では、逆流防止制御信号STPが第1ラインPWLの電圧レベルであるため、トランジスタPM14がオフとなり、第3のラインVEPと電圧出力ラインZVDDLとの間には電流が流れない。その結果、読み出し動作の開始前に電源電圧VDDの電圧レベルであった中間ラインZVDDW、第2ラインVD25の電圧レベルであった電圧出力ラインZVDDL、及びレギュレータ10の出力ラインである第2ラインVD25が接続される。
【0078】
中間ラインZVDDWの負荷容量は無視できるほど小さく、電圧出力ラインZVDDLとレギュレータ10の出力とは同じ電圧レベルである。このため、図7に示すように、第2ラインVD25の電圧レベルは低下することなく、レギュレータ10の出力、中間ラインZVDDW、及び電圧出力ラインZVDDLはすべて同じ第2電圧V2の電圧レベルとなる。これにより、フラッシュメモリは速やかに読み出し動作を開始することが可能となる。
【0079】
また、フラッシュメモリを第1ラインPWL及び第2ラインVD25を共通に使う2つのバンクからなる構成とし、一方のバンクでデータを書き換え中に他方のバンクからデータを読み出す両バンク同時動作を行った場合であっても、第2ラインVD25の電圧レベルの低下がないため、誤ったデータの読み出しが生じない。
【0080】
また、本実施例の信号生成回路40を備える電源切替制御回路では、読み出し動作の際、逆流防止制御信号STPが第1ラインPWLの電圧レベル(すなわち、第1電圧V1)であるため、電圧出力ラインZVDDLの電圧レベルが大きく変動しても、第1電圧V1よりPチャネル型MOSトランジスタの閾値電圧PVt分高い電圧レベルまで上昇しなければ、第3ラインVEPに電流が逆流することはない。従って、第1の実施例の電源切替制御回路100と比べて、よりノイズに強い。
【0081】
従って、本実施例の電源切替制御回路によれば、フラッシュメモリを使うシステムのパフォーマンスの向上が期待出来る。
【0082】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例1では、逆流防止制御信号STPを第2ラインVD25の電圧レベルと、第2ラインVD25よりもPMOSの閾値電圧PVt分低い電圧レベルと、に切り替える手段としてPチャネル型MOSトランジスタ及びNチャネル型MOSトランジスタを用いる場合について説明した。しかし、Pチャネル型MOSトランジスタ及びNチャネル型MOSトランジスタ以外の他の素子を用いても良い。
【0083】
また、上記実施例1では、Pチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタPM21及びNチャネル型MOSトランジスタであるトランジスタNM20をダイオード接続することにより、信号出力ラインSLを第2ラインVD25よりもPMOSの閾値電圧PVt分低い電圧レベルとする場合について説明した。しかし、他の回路構成により信号出力ラインSLをかかる電圧レベルとしても良い。
【0084】
また、上記実施例1では、逆流防止制御信号STPを第2ラインVD25の電圧レベルと、第2ラインVD25よりもPMOSの閾値電圧PVt分低い電圧レベルと、に切り替えることにより、第2ラインVD25の電圧レベルの低下を抑制する場合について説明した。しかし、例えば電圧レベルを第1ラインPWLの電圧レベルと、第1ラインPWLよりもPMOSの閾値電圧PVt分低い電圧レベルと、に切り替える構成をPWLの電源切替制御回路に用いても良い。
【0085】
また、上記実施例1及び2では、第2ラインVD25の電圧レベルの低下を抑制する場合について説明したが、例えば電圧レベルを第4電圧と、第4電圧よりもPMOSの閾値電圧PVt分低い電圧レベルと、に切り替える構成を第4電圧の電源切替制御回路に用いても良い。
【0086】
また、上記実施例1及び2では、電源切替用制御回路がフラッシュメモリに搭載される場合について説明したが、フラッシュメモリ以外の半導体メモリやその他の半導体集積回路に適用しても良い。
【符号の説明】
【0087】
100 電源切替制御回路
10 レギュレータ
11 第1の切替回路
12 第2の切替回路
20、30、40 信号生成回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7