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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】オニウム塩
(51)【国際特許分類】
   C07F 19/00 20060101AFI20220203BHJP
   C07F 9/54 20060101ALI20220203BHJP
   C09K 3/16 20060101ALI20220203BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20220203BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
C07F19/00 CSP
C07F9/54
C09K3/16 109
C09K3/16 107D
C09K3/16 104E
C09D7/63
C09D201/00
C09K3/16 105D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018034331
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019147771
(43)【公開日】2019-09-05
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000167646
【氏名又は名称】広栄化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】本間 知之
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲郎
【審査官】池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107011371(CN,A)
【文献】特開昭48-044181(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102504062(CN,A)
【文献】国際公開第2015/163022(WO,A1)
【文献】特公昭50-035062(JP,B1)
【文献】米国特許第04013573(US,A)
【文献】Borisova, I. V. et al.,An unusual reaction of tetraphenylcyclopentadienyl derivatives of the Group IVA elements with isopropylidenetriphenylphosphorane,Journal of Organometallic Chemistry,1984年,268(1),,11-17
【文献】Movsumzade, E. N.; Narimanbekov, O. A.,Approximate thermodynamic calculation for some Michael reactions,Neft i Gaz ,1973年,16(6),,73-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/54
C09K 3/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるオニウム塩。
式(1):
【化1】
(式中、R1は炭素数1~20のアルキレン基、R2及びR3は炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基、Xは炭素数1~10のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基、A-は含フッ素アニオン又はハロゲンイオンを示す。Q+は下記式(3)で表されるカチオン性基である。
式(3):
【化2】
(R7~R9は炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、R7とR8は末端で互いに結合し、置換基を有してもよいホスホラン環、置換基を有してもよいホスホリナン環又は置換基を有してもよいホスホリン環を形成してもよい。但し、R7とR8が末端で互いに結合してホスホリン環を形成する場合は、R9は存在しない。)
但し、A-がハロゲンイオンかつXが炭素数1のアルコキシ基の場合、R7は炭素数2~9のアルキル基又は炭素数7~20のアリール基であり、
-がハロゲンイオンかつXがハロゲン原子の場合、R7は炭素数4~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。)
【請求項2】
前記式(1)において、Xがハロゲン原子である請求項1に記載のオニウム塩。
【請求項3】
前記式(1)において、A-が、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである請求項1又は2に記載のオニウム塩。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のオニウム塩を含有する帯電防止剤。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載のオニウム塩を含むコーティング剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オニウム塩、並びに、それを含有する帯電防止剤及びコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カチオンがトリアルコキシシリルアルキル基を有するアンモニウム又はホスホニウムであり、アニオンがパーフルオロアルキルスルホニルイミドであるオニウム塩は、フッ素樹脂用の低分子型帯電防止剤として用いることができる旨の報告がなされている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-248165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のオニウム塩は、帯電防止剤としての使用用途によっては帯電防止性が不十分であった。例えば、後述の比較例において示すように、特許文献1に記載の1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,1,1-トリブチルホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含むコーティング剤によりガラスをコーティングし、その帯電防止性について評価したところ、表面抵抗率が3.4×1012Ω/□であった(後述の比較例1参照)。
【0005】
このように、帯電防止剤に用いるオニウム塩には、さらなる改善の余地がある。
【0006】
従って、本発明は帯電防止性が高いオニウム塩及びそれを含有する帯電防止剤を提供することを課題とする。
【0007】
本発明者が上記課題を解決するために鋭意検討を行ったところ、式(1)で表わされるオニウム塩を見出し、さらに当該オニウム塩を帯電防止剤としてガラスにコーティングして使用したところ、ガラスに対して高い帯電防止性を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の態様を包含する:
項1、下記式(1)で表されるオニウム塩。
式(1):
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、R1は炭素数1~20のアルキレン基、R2及びR3は炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基、Xは炭素数1~10のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基、A-はアニオンを示す。Q+は下記式(2)~(4)のいずれかで表されるカチオン性基である。
式(2):
【0011】
【化2】
【0012】
(R4~R6は炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、R4とR5は末端で互いに結合し、置換基を有してもよいピロリジン環、置換基を有してもよいピペリジン環又は置換基を有してもよいピリジン環を形成してもよい。但し、R4とR5が末端で互いに結合してピリジン環を形成する場合は、R6は存在しない。)
式(3):
【0013】
【化3】
【0014】
(R7~R9は炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、R7とR8は末端で互いに結合し、置換基を有してもよいホスホラン環、置換基を有してもよいホスホリナン環又は置換基を有してもよいホスホリン環を形成してもよい。但し、R7とR8が末端で互いに結合してホスホリン環を形成する場合は、R9は存在しない。)
式(4):
【0015】
【化4】
【0016】
(R10は炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、R11~R13は水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。)
但し、A-がハロゲンイオンかつXが炭素数1~4のアルコキシ基の場合、R4は炭素数3~9のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
-がハロゲンイオンかつXが炭素数1のアルコキシ基の場合、R7は炭素数2~9のアルキル基又は炭素数7~20のアリール基であり、R10は炭素数2~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
-がハロゲンイオンかつXがヒドロキシ基の場合、R4は炭素数2~17のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、
-がハロゲンイオンかつXがハロゲン原子の場合、R7は炭素数4~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。)。)
【0017】
項2、前記式(1)において、Xがハロゲン原子である項1に記載のオニウム塩。
【0018】
項3、前記式(1)において、A-が含フッ素アニオン又はハロゲンイオンである項1又は2に記載のオニウム塩。
【0019】
項4、前記式(1)において、A-が、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、塩化物イオン、臭化物イオン又はヨウ化物イオンである項1~3のいずれかに記載のオニウム塩。
【0020】
項5、項1~4のいずれかに記載のオニウム塩を含有する帯電防止剤。
【0021】
項6、項1~4のいずれかに記載のオニウム塩を含むコーティング剤組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明のオニウム塩(1)は、ガラスに対して優れた帯電防止性を付与できるため、有用な化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体的に説明する。
式(1)中、R1は、独立して、炭素数1~20のアルキレン基を示す。R1は、好ましくは、炭素数1~10のアルキレン基、より好ましくは炭素数1~3のアルキレン基である。アルキレン基は直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状のアルキレン基である。炭素数1~20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、へプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、エイコサデシレン基等が挙げられる。
【0024】
式(1)中、R2及びR3は、独立して、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~10のアリール基を示す。R2及びR3は、好ましくは、炭素数1~3のアルキル基、より好ましくは炭素数1のアルキル基である。炭素数1~10のアルキル基は直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。炭素数1~10のアルキルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。炭素数6~10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0025】
Xは炭素数1~10のアルコキシ基、ハロゲン原子又はヒドロキシル基(-OH基)を示す。炭素数1~10のアルコキシ基として、好ましくは、炭素数1~3のアルコキシ基、より好ましくは炭素数1のアルコキシ基である。炭素数1~10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、へプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、より好ましくはメトキシ基である。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、塩素原子が好ましい。
【0026】
-はアニオンを示し、ハロゲンイオン又は含フッ素アニオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが挙げられ、塩化物イオンが好ましい。含フッ素アニオンとしてはトリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオンが挙げられ、好ましくは、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、特に好ましくはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンが好ましい。
【0027】
式(1)中、Q+は式(2)~(4)のいずれか1つで表されるカチオン性基である。
【0028】
式(2)で表されるアンモニウム基(以下、アンモニウム基(2)という。)において、R4~R6は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。
【0029】
炭素数1~20のアルキル基は好ましくは、炭素数1~12のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基は直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。炭素数1~20のアルキルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イコシル基等が挙げられる。炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0030】
アンモニウム基(2)において、R4とR5は末端で互いに結合し、下記式(2a)で表される置換基を有してもよいピロリジン環、下記式(2b)で表される置換基を有してもよいピペリジン環又は下記式(2c)で表される置換基を有してもよいピリジン環を形成してもよい。ただし、R4とR5が末端で互いに結合してピリジン環を形成する場合は、R6は存在しない。
【0031】
【化5】
【0032】
置換基Ra、Rb及びRcはそれぞれ炭素数1~20のアルキル基であり、mは0~4の整数、n及びoはそれぞれ0~5の整数を示す。ピロリジン環、ピペリジン環又はピリジン環上の炭素原子は置換されていてもよく、置換されている場合は、下記式(2a)のmは1~4の整数、式(2b)のn及び式(2c)のoはそれぞれ1~5の整数である。炭素数1~20のアルキル基として好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基は直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。炭素数1~20のアルキルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イコシル基等が挙げられる。
【0033】
式(3)で表されるホスホニウム基(以下、ホスホニウム基(3)という。)において、R7~R9は、互いに独立して、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。
【0034】
炭素数1~20のアルキル基は好ましくは、炭素数1~12のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基は直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。炭素数1~20のアルキルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イコシル基等が挙げられる。炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0035】
ホスホニウム基(3)において、R7とR8は末端で互いに結合し、下記式(3a)で表されるホスホラン環、下記式(3b)で表されるホスホリナン環又は下記式(3c)で表される置換基を有してもよいホスホリン環を形成してもよい。ただし、R7とR8が末端で互いに結合してホスホリン環を形成する場合は、R9は存在しない。
【0036】
【化6】
【0037】
置換基Rd、ReびRfはそれぞれ炭素数1~20のアルキル基であり、pは0~4の整数、q及びrはそれぞれ0~5の整数を示す。ホスホラン環、ホスホリナン環又はホスホリン環上の炭素原子は置換されていてもよく、置換されている場合は、下記式(3a)のpは1~4の整数、式(3b)のq及び式(3c)のrはそれぞれ1~5の整数である。炭素数1~20のアルキル基として好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基は直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。炭素数1~20のアルキルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イコシル基等が挙げられる。
【0038】
式(4)で表されるイミダゾリウム基(以下、イミダゾリウム基(4)という。)において、R10は炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基であり、R11~R13は、互いに独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。
【0039】
炭素数1~20のアルキル基は好ましくは、炭素数1~12のアルキル基である。炭素数1~20のアルキル基は直鎖及び分枝鎖状のいずれであってもよく、好ましくは直鎖状のアルキル基である。炭素数1~20のアルキルとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。炭素数6~20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0040】
本発明の態様の1つにおいて、A-がハロゲンイオンかつXが炭素数1~4のアルコキシ基の場合、R4は炭素数3~9のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。
【0041】
本発明の態様の1つにおいて、A-がハロゲンイオンかつXが炭素数1のアルコキシ基の場合、R7は炭素数2~9のアルキル基又は炭素数7~20のアリール基、R10は炭素数2~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。
【0042】
本発明の別の態様の1つにおいて、A-がハロゲンイオンかつXがヒドロキシ基の場合、R4は炭素数2~17のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。
【0043】
本発明の別の態様の1つにおいて、A-がハロゲンイオンかつXがハロゲン原子の場合、R7は炭素数4~20のアルキル基又は炭素数6~20のアリール基である。
【0044】
オニウム塩(1)の具体例としては、
トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリドデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム クロリド、トリドデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリドデシル{(クロロジメチルシリル)メチル}アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルピロリジニウム クロリド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルピロリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルピペリジニウム クロリド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルピペリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルピペリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}ピリジニウム クロリド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}ピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}ピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-2-メチルピリジニウム クロリド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-2-メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-2-メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-3-メチルピリジニウム クロリド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-3-メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-3-メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-4-メチルピリジニウム クロリド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-4-メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、1-{(クロロジメチルシリル)メチル}-4-メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリヘキシル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルイミダゾリウム クロリド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-エチルイミダゾリウム クロリド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-エチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-エチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-オクチルイミダゾリウム クロリド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-オクチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1-オクチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1,2-ジメチルイミダゾリウム クロリド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1,2-ジメチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、3-{(クロロジメチルシリル)メチル}-1,2-ジメチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{3-(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{3-(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{3-(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{3-(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{3-(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{3-(クロロジメチルシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{8-(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{8-(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{8-(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{8-(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{8-(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{8-(クロロジメチルシリル)オクチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(メトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(エトキシジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリブチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム クロリド、トリブチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリブチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリオクチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム クロリド、トリオクチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、トリオクチル{(ジメチルシラノール)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
本発明のオニウム塩(1)は、例えば次の製造方法1に従って製造できる。
【0046】
【化7】
【0047】
[式中、R1~R3、X、A-、Q+は前記に同じ。Yはハロゲン原子を示し、M+はアルカリ金属イオンを示す。]
【0048】
ここで、Qは下記アミン類(5a)、ホスフィン類(5b)またはイミダゾール類(5c)のいずれかである。
【0049】
【化8】
【0050】
[式中、R4~R13は前記に同じ]
【0051】
式(5)で表される化合物(以下、化合物(5)という。)と、式(6)で表されるハロアルキル基およびシリル基を有するシラン化合物類(以下ハロアルキルシラン類(6)という。)とを四級化反応させることにより、式(7)で表されるオニウム ハライド類(以下オニウム ハライド類(7)という。)が製造される。
【0052】
-がハロゲンイオンである場合、オニウム ハライド類(7)を、オニウム塩(1)として使用することができる。
【0053】
アミン類(5a)としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリイソペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、
【0054】
N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン、N-ベンジル-N-エチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-m-トルイジン、N,N-ジメチル-o-トルイジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、トリベンジルアミン
【0055】
1-メチルピロリジン、1-メチルピペリジン、1-エチルピロリジン、1-エチルピペリジン、1-プロピルピロリジン、1-プロピルピペリジン、1-イソプロピルピロリジン、1-イソプロピルピペリジン、1-ブチルピロリジン、1-ブチルピペリジン、1-ペンチルピロリジン、1-ペンチルピペリジン、1-ヘキシルピロリジン、1-ヘキシルピペリジン、1-メチル-2-メチルピロリジン、1-メチル-2-メチルピペリジン、1-メチル-3-メチルピロリジン、1-メチル-3-メチルピペリジン、1-メチル-4-メチルピペリジン、1-メチル-2-エチルピロリジン、1-メチル-2-プロピルピロリジン、1-メチル-2-イソプロピルピロリジン、1-メチル-2-ブチルピロリジン、1-メチル-2-イソブチルピロリジン、1-メチル-2-sec-ブチルピロリジン、1-メチル-2-tert-ブチルピロリジン、
【0056】
ピリジン、2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、3-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2-プロピルピリジン、3-プロピルピリジン、4-プロピルピリジン、2-プロピルピリジン、3-プロピルピリジン、4-プロピルピリジン、2-イソプロピルピリジン、3-イソプロピルピリジン、4-イソプロピルピリジン、2-ブチルピリジン、3-ブチルピリジン、4-ブチルピリジン、2-イソブチルピリジン、3-イソブチルピリジン、4-イソブチルピリジン、2-sec-ブチルピリジン、3-sec-ブチルピリジン、4-sec-ブチルピリジン、2-tert-ブチルピリジン、3-tert-ブチルピリジン、4-tert-ブチルピリジン等が挙げられる。
【0057】
ホスフィン類(5b)としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリペンチルホスフィン、トリヘキシルホスフィン、トリヘプチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、
【0058】
1-メチルホスホラン、1-メチルホスホリナン、1-エチルホスホラン、1-エチルホスホリナン、1-プロピルホスホラン、1-プロピルホスホリナン、1-イソプロピルホスホラン、1-イソプロピルホスホリナン、1-ブチルホスホラン、1-ブチルホスホリナン、1-ペンチルホスホラン、1-ペンチルホスホリナン、1-ヘキシルホスホラン、1-ヘキシルホスホリナン、1-メチル-2-メチルホスホラン、1-メチル-2-メチルホスホリナン、1-メチル-3-メチルホスホラン、1-メチル-3-メチルホスホリナン、1-メチル-4-メチルホスホリナン、1-メチル-2-エチルホスホラン、1-メチル-2-プロピルホスホラン、1-メチル-2-イソプロピルホスホラン、1-メチル-2-ブチルホスホラン、1-メチル-2-イソブチルホスホラン、1-メチル-2-sec-ブチルホスホラン、1-メチル-2-tert-ブチルホスホラン、
【0059】
ホスホリン、2-メチルホスホリン、3-メチルホスホリン、4-メチルホスホリン、2-エチルホスホリン、3-エチルホスホリン、4-エチルホスホリン、2-プロピルホスホリン、3-プロピルホスホリン、4-プロピルホスホリン、2-プロピルホスホリン、3-プロピルホスホリン、4-プロピルホスホリン、2-イソプロピルホスホリン、3-イソプロピルホスホリン、4-イソプロピルホスホリン、2-ブチルホスホリン、3-ブチルホスホリン、4-ブチルホスホリン、2-イソブチルホスホリン、3-イソブチルホスホリン、4-イソブチルホスホリン、2-sec-ブチルホスホリン、3-sec-ブチルホスホリン、4-sec-ブチルホスホリン、2-tert-ブチルホスホリン、3-tert-ブチルホスホリン、4-tert-ブチルホスホリン等が挙げられる。
【0060】
イミダゾール類(5c)としては、1-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、1-tert-ブチルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、1-プロピルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、1-ヘキシルイミダゾール、1-オクチルイミダゾール、1-デシルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、1-ベンジルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール
等が挙げられる。
【0061】
ハロアルキルシラン類(6)としては、クロロメチルジメチルクロロシラン、3-クロロプロピルジメチルクロロシラン、4-クロロブチルジメチルクロロシラン、6-クロロヘキシルジメチルクロロシラン、8-クロロオクチルジメチルクロロシラン、11-クロロウンデシルジメチルクロロシラン、クロロメチルジメチルメトキシシラン、3-クロロプロピルジメチルメトキシシラン、4-クロロブチルジメチルメトキシシラン、6-クロロヘキシルジメチルメトキシシラン、8-クロロオクチルジメチルメトキシシラン、11-クロロウンデシルジメチルメトキシシラン、クロロメチルジメチルエトキシシラン、3-クロロプロピルジメチルエトキシシラン、4-クロロブチルジメチルエトキシシラン、6-クロロヘキシルジメチルエトキシシラン、8-クロロオクチルジメチルエトキシシラン、11-クロロウンデシルジメチルエトキシシラン、クロロメチルジメチルシラノール、3-クロロプロピルジメチルシラノール、4-クロロブチルジメチルシラノール、6-クロロヘキシルジメチルシラノール、8-クロロオクチルジメチルシラノール、11-クロロウンデシルジメチルシラノール等が挙げられる。
【0062】
化合物(5)と、ハロアルキルシラン類(6)との四級化反応は、溶媒を使用してもしなくてもよい。溶媒を使用するときの溶媒としては、反応に影響を与えないものであれば特に制限されない。具体的にはアセトニトリル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられ、好ましくは、アセトニトリルである。
【0063】
ハロアルキルシラン類(6)の使用量は、化合物(5)1モルに対して0.7モル以上であればよく、好ましくは0.9~1.5モルである。
【0064】
四級化反応における反応温度は、通常25℃以上、好ましくは30~80℃、特に好ましくは30~50℃である。
【0065】
次に、オニウム ハライド類(7)と、式(8)で表されるアルキル金属塩(以下アルキル金属塩(8)という。)とのイオン交換反応により、オニウム塩(1)が製造できる。
【0066】
アルカリ金属塩(8)としては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、テトラフルオロボレートリチウム、テトラフルオロボレートナトリウム、テトラフルオロボレートカリウム、ヘキサフルオロホスフェートリチウム、ヘキサフルオロホスフェートナトリウム、ヘキサフルオロホスフェートカリウム等の含フッ素アニオンのアルカリ金属塩が挙げられる。
【0067】
上記含フッ素アニオンのカウンターカチオンを形成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。
【0068】
イオン交換反応におけるアルカリ金属塩(8)の使用量は、オニウム ハライド類(7)1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは0.9モル~1.2モルであり、より好ましくは1~1.05モルである。
【0069】
イオン交換反応は通常溶媒中で行われる。溶媒を使用する場合、溶媒としては、反応に影響を与えないものであれば特に制限されない。具体的にはアセトニトリル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられ、好ましくは、アセトニトリルである。使用量は特に制限はないが、オニウム ハライド類(7)1重量部に対して通常10重量部以下、好ましくは0.1~10重量部であり、特に好ましくは0.2~6重量部である。
【0070】
オニウム ハライド類(7)、アルカリ金属塩(8)及び溶媒の混合順序は特に限定されず、オニウム ハライド類(7)と溶媒を混合した後にアルカリ金属塩(8)を添加してもよいし、アルカリ金属塩(8)と溶媒を混合した後にオニウム ハライド類(7)を添加してもよい。
【0071】
イオン交換反応における反応温度は、通常10℃以上、好ましくは10~60℃、特に好ましくは15~50℃である。
【0072】
反応終了後の反応液からオニウム塩(1)を分離するには、溶媒及び生成する無機塩を反応液から除去する。得られた反応液中に無機塩が析出していれば、反応液を濾過して析出の無機塩を除き、次いで濃縮、ろ過、抽出等の単位操作を適宜組み合わせて、オニウム塩(1)を単離する。また、得られた反応液中に無機塩が析出していない場合には、反応液を濃縮して無機塩を析出させ、ろ過で無機塩を除去した後、濃縮、ろ過、抽出等の単位操作を適宜組み合わせて、オニウム塩(1)を単離する。
【0073】
本発明は、オニウム塩(1)を少なくとも1種含有する帯電防止剤を提供する。本発明において、オニウム塩(1)を単独で帯電防止剤として使用することもできるが、任意選択で、本発明が属する分野において使用される安定化剤等の添加剤、溶媒等を混合して使用することもできる。添加剤、溶媒等を配合する場合、帯電防止剤中のオニウム塩(1)の含有量は特に限定されず、例えば、90重量%以上、70重量%以上、50重量%以上、30重量%以上、10重量%以上、5重量%以上、1重量%以上等の条件から適宜設定できる。
【0074】
溶媒としては、オニウム塩(1)と反応せず、かつオニウム塩(1)の溶解能を有していれば特に限定されるものではないが、オニウム塩(1)との非反応性、溶解性および揮発性等の観点から、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等のエーテル系溶剤;アセトニトリル等が挙げられ、中でも、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルが好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンがより好ましい。
【0075】
本発明の帯電防止剤を使用できる絶縁物としてはガラス製品等が挙げられる。帯電防止性を付与するには、本発明の帯電防止剤をガラス製品等に塗布する方法等が挙げられる。従って、本発明は、上記帯電防止剤を含有するコーティング剤組成物をも提供する。
【実施例
【0076】
つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではない。以下の実施例中、1H-NMRは日本電子データム株式会社製AL-400を使用し、溶媒に重クロロホルムを用いて400MHzで測定した。
【0077】
実施例1 トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド(化合物1)の合成
【0078】
【化9】
【0079】
窒素雰囲気下、クロロメチルジメチルクロロシラン70g(489ミリモル)、脱水アセトニトリル70gを混合し、40℃まで昇温した。トリブチルホスフィン97g(481ミリモル)を40℃まで昇温した溶液中に5時間かけて滴下して、40℃で24時間反応し、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド/アセトニトリル溶液229g(濃度72%、収率100%)を得た。
【0080】
トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド/アセトニトリル溶液の一部を濃縮によって溶媒を除去した。以下に、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリドの1H-NMRデータを示す。
【0081】
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)2.76(d,J=18Hz,2H,Si-CH2-P),2.46-2.39(m,6H,P-CH2-CH2),1.61-1.50(m,12H,CH2-CH2-CH2-CH3),0.99(t,J=7Hz,9H,CH2-CH3),0.77(s,6H,Si-CH3
実施例2 トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(化合物2)の合成
【0082】
【化10】
【0083】
窒素雰囲気下、実施例1で得られたトリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド/アセトニトリル溶液147g(309ミリモル)にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム90g(315ミリモル)を30分かけて添加し、40℃で4時間反応した。
【0084】
反応液をろ過した後、得られたろ液を濃縮し、脱水トルエン165gを加えた。混合液をろ過し、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド/トルエン溶液325g(濃度49%、収率88%)を得た。
【0085】
トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド/トルエン溶液の一部を濃縮によって溶媒を除去した。以下に、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの1H-NMRデータを示す。
【0086】
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)2.21-2.13(m,6H,P-CH2-CH2),1.92(d,J=18Hz,2H,Si-CH2-P),1.54-1.50(m,12H,CH2-CH2-CH2-CH3),0.98(t,J=7Hz,9H,CH2-CH3),0.69(s,6H,Si-CH3
【0087】
実施例3 トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド(化合物3)の合成
【0088】
【化11】
窒素雰囲気下、クロロメチルジメチルクロロシラン70g(489ミリモル)、脱水アセトニトリル70gを混合し、40℃まで昇温した。トリオクチルホスフィン179g(486ミリモル)を40℃まで昇温した溶液中に5時間かけて滴下して、40℃で13時間反応し、トリブチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド/アセトニトリル溶液318g(濃度78%、収率100%)を得た。
【0089】
トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド/アセトニトリル溶液の一部を濃縮によって溶媒を除去した。以下に、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリドの1H-NMRデータを示す。
【0090】
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)2.75(d,J=18Hz,2H,Si-CH2-P),2.45-2.37(m,6H,P-CH2-CH2),1.59-1.28(m,36H,CH2-(CH26-CH3),0.88(t,J=7Hz,9H,CH2-CH3),0.76(s,6H,Si-CH3
【0091】
実施例4 トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(化合物4)の合成
【0092】
【化12】
窒素雰囲気下、実施例3で得られたトリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム クロリド/アセトニトリル溶液178g(270ミリモル)にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム83g(289ミリモル)を30分かけて添加し、40℃で4時間反応した。
【0093】
反応液をろ過した後、得られたろ液を濃縮し、脱水トルエン180gを加えた。混合液をろ過し、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド/トルエン溶液363g(濃度51%、収率90%)を得た。
【0094】
トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド/トルエン溶液の一部を濃縮によって溶媒を除去した。以下に、トリオクチル{(クロロジメチルシリル)メチル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの1H-NMRデータを示す。
【0095】
1H-NMR(CDCl3):δ(ppm)2.19-2.10(m,6H,P-CH2-CH2),1.89(d,J=18Hz,2H,Si-CH2-P),1.54-1.29(m,36H,CH2-(CH26-CH3),0.89(t,J=7Hz,9H,CH2-CH3),0.68(s,6H,Si-CH3
【0096】
<評価例>
評価例中、表面抵抗率は、株式会社三菱ケミカルアナリテック製ハイレスターUP(MCP-HT450)を用いて、23±3℃、湿度45±5%、印加電圧500Vの条件下で測定した。
【0097】
評価例1 化合物1の帯電防止性
メチルイソブチルケトン49.75g、帯電防止剤として実施例1で得た化合物1のアセトニトリル溶液(化合物1の純分0.25g)を混合した。得られた混合物をガラス板の片面に第一理化株式会社製バーコーター(No.05)を用いて塗布した後、150℃で30分乾燥させ、試験片を作製した。得られた試験片の塗布面の表面抵抗率は1.3×108(Ω/□)であった。
【0098】
評価例2 化合物2の帯電防止性
化合物1のアセトニトリル溶液を、実施例2で得た化合物2のトルエン溶液(化合物2の純分0.25g)に変更した以外は、評価例1と同様にして試験片を作製し、表面抵抗率を測定した。得られた試験片の塗布面の表面抵抗率は8.0×1010(Ω/□)であった。
【0099】
評価例3 化合物3の帯電防止性
化合物1のアセトニトリル溶液を、実施例3で得た化合物3のアセトニトリル溶液(化合物3の純分0.25g)に変更した以外は、評価例1と同様にして試験片を作製し、表面抵抗率を測定した。得られた試験片の塗布面の表面抵抗率は2.2×1011(Ω/□)であった。
【0100】
評価例4 化合物4の帯電防止性
化合物1のアセトニトリル溶液を、実施例4で得た化合物4のトルエン溶液(化合物4の純分0.25g)に変更した以外は、評価例1と同様にして試験片を作製し、表面抵抗率を測定した。得られた試験片の塗布面の表面抵抗率は2.7×1010(Ω/□)であった。
【0101】
比較例1 トリブチル{(トリメトキシシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの帯電防止性
化合物1のアセトニトリル溶液を、トリブチル{(トリメトキシシリル)プロピル}ホスホニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド0.25gに変更した以外は、評価例1と同様にして試験片を作製し、表面抵抗率を測定した。得られた試験片の塗布面の表面抵抗率は3.4×1012(Ω/□)であった。
【0102】
以上の結果から本発明のオニウム塩は優れた帯電防止性を有することが分かった。