(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 227/16 20060101AFI20220118BHJP
C07C 229/48 20060101ALI20220118BHJP
C07C 227/20 20060101ALI20220118BHJP
C07C 227/18 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C07C227/16
C07C229/48
C07C227/20
C07C227/18
(21)【出願番号】P 2019517590
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(86)【国際出願番号】 JP2018017481
(87)【国際公開番号】W WO2018207693
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】P 2017092614
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】河村 充展
(72)【発明者】
【氏名】岡本 裕晃
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-45443(JP,A)
【文献】特公昭41-16862(JP,B1)
【文献】SALAUN, J. et al.,A New and Convenient Preparation of 1-Aminocyclopropanecarboxylic Acid from Acrolein,J. Org. Chem.,1990年,Vol. 55,pp. 4276-4281,第4281頁右欄、実験項の1-アミノシクロプロパンカルボン酸の製造方法に関する部分
【文献】VALLE, G. et al.,Crystallographic characterization of conformation of 1-aminocyclopropane-1-carboxylic acid residue (Ac3O) in simple derivatives and peptides,Int. J. Peptide Protein Res.,1989年,34,56-65,第57頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 227/16
C07C 229/48
C07C 227/20
C07C 227/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を、C
3~C
4アルコールおよび水の存在下、第三級アミンで処理し、反応混合物を50℃以下で保持し、析出した1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物の結晶を濾過し、得られた結晶を80~245℃に加熱することを含む、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物の製造方法。
【請求項2】
第三級アミンがトリエチルアミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物の結晶を加熱する温度が80~150℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
C
3~C
4アルコールが2-プロパノールである、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
1-アセチルアミノシクロプロパンカルボン酸C
1~C
4アルキルエステルを塩酸を用いて加水分解することにより、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を得る工程を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
1-アミノシクロプロパンカルボン酸は植物生長調整剤として知られている。
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩の製造方法は特許文献1および非特許文献1において知られている。1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩をフリーの1-アミノシクロプロパンカルボン酸に導く方法も特許文献1および非特許文献1に記載されているが、工業的規模の製造に適した方法とは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J. Org. Chem.) 1990,55巻,4276-4281頁
【発明の概要】
【0005】
本発明は、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物の製造方法を提供する。
本発明は、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を、C3~C4アルコールおよび水の存在下、第三級アミンで処理することにより、フリーの1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物が晶析し易く、かつ生成した第三級アミン塩酸塩が晶析し難いことから、濾過性に優れた0.5水和物を取得し、これを80~245℃に加熱することにより1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物が得られるというものである。
【0006】
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を、C3~C4アルコールおよび水の存在下、第三級アミンで処理し、反応混合物を50℃以下で保持し、析出した1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物の結晶を濾過し、得られた結晶を80~245℃に加熱することを含む、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物の製造方法。
[2] 第三級アミンがトリエチルアミンである、上記[1]に記載の方法。
[3] 1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物の結晶を加熱する温度が80~150℃である、上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] C3~C4アルコールが2-プロパノールである、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の方法。
[5] 1-アセチルアミノシクロプロパンカルボン酸C1~C4アルキルエステルを塩酸を用いて加水分解することにより、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を得る工程を含む、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の方法。
【0007】
本発明によれば、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩より得られるフリーの1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物が晶析し易いため、簡単な操作で収率よく1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物を取得することができる。また、該0.5水和物を加熱することにより容易に非水和物に導くことができる。本発明方法は簡単な操作で純度の高いフリーの1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物を得られることから工業的規模の製造に適している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物の熱重量・示差熱(TG-DTA)測定結果を示す図である。
【
図2】1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物のX線回折(XRD)測定結果を示す図である。
【
図3】1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物のX線回折(XRD)測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩は、非特許文献1の記載にしたがって1-アミノシクロプロパンカルボニトリルを塩酸で加水分解することにより得ることができる。また、特許文献1の記載にしたがって1-アセチルアミノシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを塩酸で加水分解することにより得ることもできる。
本発明においては、1-アセチルアミノシクロプロパンカルボン酸C1~C4アルキルエステルを塩酸を用いて加水分解し、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を得た上で、第三級アミン処理工程に繋ぐのが有利である。
1-アセチルアミノシクロプロパンカルボン酸C1~C4アルキルエステルは特許文献1の記載にしたがって製造することができる。加水分解反応は、常法にしたがって行われ、例えば1-アセチルアミノシクロプロパンカルボン酸C1~C4アルキルエステルと水との混合物に塩酸を加え、加熱することにより行われる。塩酸の濃度は通常1~25%であり、反応温度は通常70~110℃、反応時間は通常0.5~24時間である。塩酸の使用量は1-アセチルアミノシクロプロパンカルボン酸C1~C4アルキルエステル1モルに対してHCl量で通常1.0~3.0モル、好ましくは1.5~2.0モルである。反応中に生じる酢酸、メタノール及びこれらの縮合により生成する酢酸メチルを留去しながら加水分解反応を行ってもよい。
こうして得られた1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を含む塩酸溶液は、単離することなくそのまま第三級アミンで処理する次の工程に使用することもできる。
C1~C4アルキルエステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、1-プロピルエステル、2-プロピルエステル、1-ブチルエステル、tert-ブチルエステル等が挙げられ、C1~C2アルキルエステルが好適であり、C1アルキルエステル、即ちメチルエステルが特に好適である。
【0010】
以下、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を第三級アミンで処理する工程について説明する。
C3~C4アルコールとは、炭素数が3乃至4のアルコールを意味し、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチルプロパン-1-オール、2-ブタノールおよび2-メチル-2-プロパノールが挙げられる。中でも、1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物の晶析効率、水との混和性、第三級アミン塩酸塩の溶解性の点から、2-プロパノールが好適である。
C3~C4アルコールの使用量は、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩1重量部に対して、通常、1~10重量部であり、工業的には1~3重量部が好適である。
【0011】
水の使用量は、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩1重量部に対して、通常、1~10重量部であり、工業的には1~3重量部が好適である。また、C3~C4アルコール1重量部に対し、通常、0.5~2重量部であり、用いるアルコールの種類、混合比に応じて生成する第三級アミン塩酸塩を溶解することができるよう量を設定する。
【0012】
第三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等が挙げられる。中でも、アミンの取り扱いが容易であること、生成した第三級アミン塩酸塩がC3~C4アルコールおよび水の混合物に対する溶解性が高い点から、トリエチルアミンが好適である。
第三級アミンの使用量は、反応系のpHを5.0~7.0、好ましくは5.5~6.5に調整できる量である。
【0013】
第三級アミンの処理は、通常1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩、C3~C4アルコール、水および第三級アミンを混合することにより行われる。具体的には、
(1) 1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩、C3~C4アルコールおよび水の混合物に、第三級アミンを添加する、
(2) C3~C4アルコールおよび第三級アミン(および必要により水)の混合物に、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩(および必要により水)を添加する、
(3) 1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩、第三級アミンおよび水の混合物に、C3~C4アルコールを添加する、
方法が挙げられる。中でも、得られる結晶の純度の観点から、(1)または(2)の方法が好適である。添加は、滴下により行ってもよい。また、添加は、通常、10~100℃、好適には20~30℃で行われる。
【0014】
第三級アミン処理後、反応混合物を50℃以下、通常は40℃以下、好ましくは10~40℃、より好ましくは20~30℃で保持する、好ましくは撹拌下保持することにより、1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物が晶析する。撹拌は、通常、1~24時間、好適には2~15時間行われる。
【0015】
当該0.5水和物は、安定でかつブロック状結晶であり、雲母状結晶である非水和物と比較して濾過性に優れる。よって、濾過工程および洗浄工程を短時間で行え、また第三級アミン塩酸塩をさらに良好に除去できるという利点がある。
ここで、0.5水和物の種結晶を用いることで0.5水和物の晶析を促進することができる。
析出した結晶を濾過して、1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物を取得する。
【0016】
1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物の熱重量・示差熱(TG-DTA)は以下の条件で測定した。その結果を
図1に示す。
熱重量・示差熱(TG-DTA)測定方法
アルミニウム製のパンに1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物を約15mg入れ、熱重量・示差熱同時測定装置TG-DTA2000SR(Bruker社)を用いて、以下の条件でTG-DTA測定を行った。
パン:アルミニウム製のφ5.2mm 円筒形の試料カップ(ネッチ・ジャパン株式会社J1560180)
サンプル量:約15mg
測定温度:30℃~550℃
昇温速度:5℃/分
雰囲気:N
2 150mL/分
【0017】
図1から、1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物の非水和物への転移は、約80℃で開始することがわかる。従って、取得した1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物を80℃以上、通常80~245℃、好ましくは80~150℃に加熱することにより、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物に変換できる。必要により、減圧下で乾燥してもよい。乾燥時間は、通常30分~40時間、好適には30分~25時間である。
【実施例】
【0018】
以下、本発明について、実施例および参考例を挙げてさらに具体的に説明する。
【0019】
平均濾過比抵抗は、以下の方法により測定した。
平均濾過比抵抗の測定
以下の方法で濾過速度を測定し、平均濾過比抵抗を算出した。
耐圧容器にスラリーの液を入れ、密閉し、所定圧力まで加圧した後、底抜き弁を開け、濾過を開始した。所定時間ごとの濾液量の重量を測定し、濾過速度を算出した。濾液が出なくなったところで終了し、脱圧した。容器を開け、ウェットケーキの厚みを測定した。ウェットケーキを取り出し、ウェットケーキの重量を測定し、その後減圧下85℃にて乾燥を行い、含液率を算出した。
濾過速度、濾過面積、濾液粘度、ウェットケーキ重量、含液率、ウェットケーキの厚み、濾過圧力のデータから下記の式を用いて平均濾過比抵抗値を算出した。
【0020】
【0021】
K=2・△P・A2・gc/(μ・αm・C)
V0=Rm・A/(αm・C)
θ:濾過時間
V:濾液の容積
θ/V:濾過速度の逆数
μ:濾液粘度
ΔP:圧力差(=濾過圧力)
A:濾過面積
gc:重力加速度
αm:平均濾過比抵抗
C:固形分濃度
Rm:濾布抵抗
【0022】
X線回折(XRD)の測定条件は以下の通りである。
X線回折(XRD)測定条件
X線回折装置:SmartLab(株式会社リガク製)
X線出力:CuKα、45kV、200mA
サンプリング幅:0.02°
走査範囲:5°~50°
【0023】
水分量の測定は、電量法カールフィッシャー水分計(CA-200、三菱ケミカルアナリテック社製)を用いてカールフィッシャー法により実施した。
【0024】
実施例1
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩(純度98.7%、2g)に水(2.7g)および2-メチルプロパン-1-オール(4.6g)を加えた。ここにトリエチルアミン(1.5g)を加えてpHを6.0とし、得られたスラリーを20℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。得られた結晶を2-メチルプロパン-1-オール(10.6g)で洗浄し、85℃で3時間減圧乾燥を行い、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物(1.2g、含量:99.5%(収率84.1%)、水分:0.26%)を得た。
【0025】
実施例2
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩(純度84.7%、2g)と10%塩酸(4.0g)との混合物に2-プロパノール(5.5g)を加えた。得られた溶液にトリエチルアミン(2.7g)を加えてpHを5.6とし、得られたスラリーを15℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。得られた湿結晶を2-プロパノール(1.7g)で洗浄し、80℃で3時間減圧乾燥を行い、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物(1.1g、含量:99.7%(収率91.1%)、水分:0.18%)を得た。また、得られた1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物のX線回折(XRD)測定結果を
図2に示す。
【0026】
参考例3
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩(純度:84.7%、10g)と10%塩酸(4.0g)との混合物に1-ブタノール(16.8g)を加えた。得られた溶液に、トリエチルアミン(13.2g)を加えてpHを5.6とし、得られたスラリーを16℃まで冷却し、析出した結晶を濾過した。得られた湿結晶を1-ブタノール(8.3g)で洗浄し、50℃で3時間減圧下乾燥を行い、1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物(5.83g、含量:92.0%(収率86.2%)、水分:8.0%)を得た。また、得られた1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物のX線回折(XRD)測定結果を
図3に示す。
【0027】
実施例4
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を10%塩酸に溶解した溶液(73.6g、含量24.0%)に水(3.5g)を加え、20℃にて、2-プロパノール(53.6g)を加えた。得られた溶液を25℃まで昇温し、トリエチルアミン(29.7g)を5時間かけて滴下した。滴下完了直後に析出した結晶の一部を取出し、別途濾過して、結晶中の水分値を確認したところ、8.2%であり、0.5水和物であることを確認した。残りの結晶を濾過したところ、平均濾過比抵抗は5×108m/kgであった。得られた湿結晶を2-プロパノール(26.9g)で洗浄した後に、85℃にて25時間減圧乾燥することにより、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物が得られる。
【0028】
実施例5
1-アセチルアミノシクロプロパンカルボン酸メチルエステル(純度65%、39.9g)に水(12.6g)を加え、100℃に昇温した。35%塩酸(28.3g)を5時間かけて滴下し、同温にて10時間保温したところ、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩(22.4g、収率98.4%)を含む塩酸溶液が得られた。
得られた粗1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を含む塩酸溶液に水(19.1g)を加え、この混合液を、2-プロパノール(51.9g)、トリエチルアミン(28.4g)、水(3.3g)および1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物(50mg)の混合物に対して、25℃で5時間かけて滴下した。滴下終了後、トリエチルアミンを添加してpHを6.0に調整した。25℃にて12時間撹拌した。析出した結晶の一部を取出し、別途濾過して、結晶中の水分値を確認することにより、析出した結晶が0.5水和物であることを確認した。残りの結晶を濾過し、得られた湿結晶を2-プロパノール(26.0g)で洗浄した後に、85℃にて25時間減圧乾燥することにより、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物が得られる。
【0029】
実施例6
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を10%塩酸に溶解した溶液(55.0g、含量22.1%)に、60℃でトリエチルアミン(21.7g)を5時間かけて滴下した。次いで2-プロパノール(40g)を5時間かけて滴下した。その後、トリエチルアミン(1.7g)を加えてpHを6.0に調整した。7時間かけて25℃まで冷却した。析出した結晶の一部を取出し別途濾過して、結晶中の水分値を確認したところ、1.2%であり、85%以上の結晶が非水和物であった。残りの結晶を濾過したところ、平均濾過比抵抗は2×1010m/kgであった。得られた湿結晶を2-プロパノール(20.2g)で洗浄した後に、85℃にて25時間減圧乾燥することにより、1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物が得られる。
【0030】
実施例7
1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩を10%塩酸に溶解した溶液(70.6g、含量22.1%)を、トリエチルアミン(23.5g)、2-プロパノール(42.9g)、水(2.7g)および1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物(50mg)の混合物に対して、20℃で5時間かけて滴下した。析出した結晶の一部を取出し別途濾過して、結晶中の水分値を確認したところ、8.4%であり、0.5水和物であることを確認した。残りの結晶の濾過を行ったところ、平均濾過比抵抗は8×108m/kgであった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、1-アミノシクロプロパンカルボン酸塩酸塩より簡単な操作で1-アミノシクロプロパンカルボン酸0.5水和物を取得することができる。また、これを80~245℃に加熱することにより、容易に植物生長調整剤である1-アミノシクロプロパンカルボン酸非水和物を取得することができる。