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特許7009462マンホール、水路入口または排水溝用のマンホール蓋
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】マンホール、水路入口または排水溝用のマンホール蓋
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/14 20060101AFI20220118BHJP
【FI】
E02D29/14 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019518139
(86)(22)【出願日】2017-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2017064927
(87)【国際公開番号】W WO2017220487
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-16
(31)【優先権主張番号】16175328.0
(32)【優先日】2016-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ヘンゼル
(72)【発明者】
【氏名】パトリック フライ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルゲ ヴァイラー-シュレッカー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴュスト
(72)【発明者】
【氏名】カイ ミヒャエル ブロックミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ミラン コペチェク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】ホアキン ペレス
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0127824(KR,A)
【文献】特許第2895477(JP,B1)
【文献】特開平11-061868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0290934(US,A1)
【文献】特表2000-502156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/00
29/045-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール、水路入口または排水溝用のマンホール蓋であって、補強部材(5)と、該補強部材(5)に結合されたプラスチック製の本体(7)とを有しており、前記補強部材(5)は、当該マンホール蓋(1)により閉鎖されたマンホール、水路入口または排水溝において、マンホール、水路入口または排水溝に設けられた支持面(3)に支持されるように形成されており、前記プラスチック製の本体(7)は、閉鎖されたマンホール、水路入口または排水溝において、マンホール、水路入口または排水溝を包囲する表面(15)に対して垂直にまたは45°よりも大きな角度で傾斜して延在している複数のリブ(9)を有しているマンホール蓋において、前記リブ(9)は、前記補強部材(5)の上側において前記補強部材(5)に支持されており、さらに、以下の特徴、すなわち:
‐前記補強部材(5)は湾曲されている、
‐前記補強部材(5)は、それぞれ前記プラスチック製の本体(7)に結合された外側の環状の条片(17)と中心プレート(19)とを有しており、前記中心プレート(19)が、またはプレート(33)に結合された、軸方向に延在する棒(31)が、複数のスポーク(35)、棒、またはロープにより、前記外側の環状の条片(17)に結合されている、
‐前記補強部材(5)は、鉛直方向に延在する複数の交差し合う部材(51)から形成されている、
‐前記補強部材(5)にビードが形成されている
という特徴のうちの1つを有していることを特徴とする、マンホール蓋。
【請求項2】
前記補強部材(5)は、該補強部材(5)の中央に向けて集合する、複数の湾曲された条片(21)から形成されている、請求項1記載のマンホール蓋。
【請求項3】
前記補強部材(5)には複数の開口が形成されている、請求項1または2記載のマンホール蓋。
【請求項4】
前記補強部材(5)は、金属、セラミックまたは強化プラスチックから製造されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のマンホール蓋。
【請求項5】
前記補強部材(5)に結合されている前記本体(7)のプラスチックは、熱可塑性または熱硬化性のポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、スチレン-アクリロニトリル-コポリマ、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン-コポリマ、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル、ポリオキシメチレン、ポリメタクリル酸メチル樹脂、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフタルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ホルムアルデヒド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェナクリレート樹脂、ビニルエステルウレタン、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アリルエステル、シリコーン樹脂およびポリウレタンから選択されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のマンホール蓋。
【請求項6】
前記プラスチック製の本体(7)は、前記リブ(9)に支持されかつ前記リブ(9)に材料結合的に結合された1つの平らなプレート(11)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載のマンホール蓋。
【請求項7】
前記補強部材(5)には複数の孔が形成されており、これらの孔を介して前記プラスチック製の本体(7)のプラスチックが、前記補強部材(5)に結合するように圧着されている、または
前記プラスチック製の本体(7)は、前記補強部材(5)にクリップ止めまたはねじ締結されている
求項1から6までのいずれか1項記載のマンホール蓋。
【請求項8】
前記プラスチック製の本体(7)は、前記補強部材(5)に摺動可能に支持されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のマンホール蓋。
【請求項9】
前記プラスチック製の本体(7)は、前記補強部材(5)の外周を包囲している、請求項1から8までのいずれか1項記載のマンホール蓋。
【請求項10】
当該マンホール蓋(1)に複数の潜孔が形成されており、これらの潜孔を介して当該マンホール蓋(1)は、マンホール、水路入口または排水溝の前記支持面(3)にねじ締結可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載のマンホール蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通エリアにおけるマンホール、水路入口または排水溝用のマンホール蓋に関する。
【0002】
特に道路エリアで使用する場合に必要とされるのは、マンホール蓋が大重量の車両、例えばトラックの荷重に耐えることができなければならない、という点である。例えば歩行者専用道路または歩行者天国または(車両)進入口における使用が想定されている場合には、ここでは通常重負荷交通は生じないため、一般に比較的低い荷重区分でも十分である。
【0003】
目下相応するマンホール蓋は、例えば鋳鉄から製造され、この場合、マンホール蓋には、このマンホール蓋の表面を形成するコンクリート挿入体が挿入されていてよい。コンクリート挿入体は、例えば平滑な表面を得るために加工されてよい。
【0004】
しかしながら、相応するマンホール蓋の欠点は、その大重量にあり、このことは特に、マンホール、水路入口または排水溝を例えば保守整備の目的で開けようとする場合に欠点となる。開放には、動員された労働者の健康を損なう恐れのある、多大な肉体的労力を要する。よって、より小さな質量を有するマンホール蓋を製造することが望ましい。
【0005】
例えば歩道、自家用の進入口またはテラスで使用するための、負荷能力に対する要求が比較的低いマンホール蓋については、マンホール蓋の質量を最小限にするためにプラスチックを用いることが既に知られている。ただしこれらのマンホール蓋は、その構造に基づき、より高い荷重区分、特に荷重区分D400用には使用され得ない。
【0006】
よって本発明の課題は、従来周知のマンホール蓋よりも小さな重量を有する、特に高い荷重区分のための、マンホール、水路入口または排水溝用のマンホール蓋を提供することにある。
【0007】
この課題は、マンホール、水路入口または排水溝用のマンホール蓋であって、補強部材と、該補強部材に結合されたプラスチック製の本体とを有しており、補強部材は、該補強部材が当該マンホール蓋により閉鎖されたマンホール、水路入口または当該マンホール蓋により閉鎖された排水溝において、マンホール、水路入口または排水溝に設けられた支持面に支持されるように形成されており、プラスチック製の本体は、閉鎖されたマンホール、水路入口または閉鎖された排水溝において、マンホール、水路入口または排水溝を包囲する表面に対して垂直にまたは45°よりも大きな角度で傾斜して延在しているリブを有するマンホール蓋により、解決される。
【0008】
意外にも、補強部材の使用およびプラスチック製の本体を有するマンホール蓋の構成に基づき、例えばDIN EN 124-1:2015-09に準拠する区分D400もしくはDIN EN 1433:2005-05またはDIN19580:2010-07またはより高度な規格に相応する、高い荷重区分に対する要求をも満たすと共に、目下一般に使用される鋳鉄または鋳鉄とコンクリートとの複合体から成るマンホール蓋よりも大幅に小さな重量を有するマンホール蓋を得ることが可能である、ということが判った。もちろんこのようなマンホール蓋は、比較的低い荷重区分、例えばDIN EN 124-1:2015-09もしくはDIN EN 1433:2005-05またはDIN 19580:2010-07に準拠するA15、B125、C250をも満たしている。
【0009】
本発明の枠内では、排出ピットも、例えばガス管、水導管または電気・通信管ならびにこれらの管に使用される管継手に対する入口も、マンホールと呼ばれる。
【0010】
プラスチック製の本体が、実質的に同じ壁厚さを有する、材料結合的に互いに結合された複数の部材から形成されていると、十分な静的強度および形状安定性が達成される。この場合、実質的に同じ壁厚さとは、個々の部材の壁厚さが50%を上回って相互に異なることはない、ということを意味する。プラアスチック製の本体の個々の部材は、例えばベースプレートおよび/またはリブである。この場合、ベースプレートは、マンホール蓋が取り付けられた状態で、マンホール、水路入口または排水溝を包囲する表面に対して平行に延在している。この場合、本体は、ベースプレートを備えて形成されていても、ベースプレート無しで形成されていてもよい。プラスチック製の本体は、マンホール、水路入口または排水溝を包囲する表面に対して垂直に延在する複数のリブのみから形成されていることが可能である。本発明では、リブはマンホール、水路入口または排水溝を包囲する表面に対して垂直であるか、またはマンホール、水路入口または排水溝を包囲する表面に対して45°よりも大きな角度を成している。好適には、リブはマンホール、水路入口または排水溝を包囲する表面に対して80°~90°の角度に向けられており、この場合、90°の角度とは、リブが表面に対して垂直に延在していることを意味する。
【0011】
プラスチック製の本体における一様な荷重分布を得るために、リブは少なくとも2つの方向に延在しており、各リブは、少なくとも1つの交点において交差し合っている。この場合、リブは例えば格子を形成していてよい、または中心点に向かって放射状に延びていてもよい。リブを放射状に配置した場合にはさらに、中心点を環状に包囲するリブを設けることも可能であり、この場合、放射状に配置された2つのリブの間には、中心点を環状に包囲するリブの各1つのリブ部分が位置している。このリブ部分はそれぞれ、直線的にまたは湾曲されて延在していてよい。ただし好適なのは、リブが格子を形成する場合、すなわち、交差リブ構造体として存在する場合である。
【0012】
マンホール蓋の外周は、あらゆる任意の形状を有していてよく、この形状は、覆われるべきマンホールまたは水路入口または覆われるべき排水溝の横断面の形状に相当している。マンホール蓋の外周の一般的な形状は、円形、矩形または楕円形である。
【0013】
本発明の第1の実施形態では、補強部材は湾曲されている。この場合、補強部材は取り付けられたマンホール蓋を上から見て下向きに、すなわち凹状に湾曲されているか、または上向きに、すなわち凸状に湾曲されていてよい。つまり下向きに湾曲された補強部材において、マンホール蓋が取り付けられた状態では、補強部材の最低点はマンホール蓋の中央領域に位置しているのに対し、上向きに湾曲された補強部材の場合には、補強部材の最高点がマンホール蓋の中央領域に位置している。好適には、上向きに湾曲された補強部材における最高点もしくは下向きに湾曲された補強部材の最低点が、マンホール蓋の中央に位置している。
【0014】
好適には、補強部材は上向きに湾曲されている。ただしこのことは特に、マンホール蓋が取付け後に支持される支持面が小さな深さしか有していない場合には不可能である。この場合は面一な取付けを可能にするために、マンホール蓋は縁部に小さな厚さしか有してはならない。マンホール蓋の最大厚さは、マンホール蓋の中央に位置することになる。この場合は平らな表面を得るために、マンホール、水路入口または排水溝内に突入する、下向きの湾曲部が必要である。
【0015】
これとは異なり、上向きに湾曲された補強部材を備えたマンホール蓋は、縁部に最大厚さを有しており、マンホール蓋の中央に最小厚さを有している。このことは、面一な取付けを可能にするために、取付け用の相応に深い支持面を必要とする。
【0016】
補強部材が上向きに湾曲されているのか、または下向きに湾曲されているのかには関係無く、プラスチック製の本体が補強部材に支持されていると好適であり、これにより補強部材は、マンホール蓋が取り付けられると下側に位置することになり、ひいてはマンホール蓋が取り付けられた状態で、補強部材はプラスチック材料にではなく支持面に支持されることが可能である。このことは特に、マンホール蓋に強力な荷重が加えられた場合に、マンホール蓋の支持面に損傷、例えばプラスチック材料から成る本体における亀裂または剥離が一切生じない、という利点を有している。
【0017】
上向きまたは下向きに湾曲された補強部材は、本発明の1つの実施形態では開口または孔無しで形成されている。1つの択一的な実施形態では、湾曲されて形成された補強部材に複数の開口または孔が形成されており、これらの開口または孔は、例えばマンホールまたは水路入口または排水溝の換気および空気抜きに用いることができる。さらに、補強部材に形成された相応の孔を介して、表面からマンホール、水路入口または排水溝内へ、水を排出することもできるようになっている。この場合、換気および空気抜き用の機能に関しても、排水手段としての機能に関しても、プラスチック製の本体は、特に補強部材の開口または孔が形成されている位置に、空気および/または水を通すことのできる複数の開口を有していることが必要とされている。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、上向きまたは下向きに湾曲された補強部材は、プレートの形態で形成されているのではなく、補強部材の中央に集合する、複数の湾曲された条片から形成されている。この場合、これらの条片は、補強部材の取付けに応じて、補強部材の最高点または補強部材の最低点がマンホール蓋の中央に存在するように湾曲されている。この場合、条片は、マンホール蓋の外側から中央に向かって、放物線状、双曲線状または楕円状の延在部を有しているか、または円弧の形態を有している。ただし、個々の条片の湾曲形状に関係無く、湾曲された延在部がマンホール蓋の縁部から中央を越えて縁部まで連続していると、好適である。
【0019】
補強部材が複数の条片から形成されている場合には、特に各条片が補強部材の中央から放射状に縁部まで延在していると、好適である。この場合、各条片の端部は、外側の環状の条片に結合され得る。この場合、外側の環状の条片の形状は、マンホール蓋の形状に左右される。外側の環状の条片の形状は、好適にはマンホール蓋の形状に相当しており、円形のマンホール蓋の場合には、環状の条片もやはり円形であるのに対し、角形のマンホール蓋の場合には、外側の環状の条片もやはり角形である。
【0020】
1つの別の実施形態では、補強部材は、それぞれプラスチック製の本体に結合された外側の環状の条片と中心プレートとを有しており、この場合は中心プレートまたは中心プレートに結合された、軸方向に延在する棒が、複数のスポーク、棒、またはロープにより、外側の環状の条片に結合されている。このマンホール蓋では、プラスチック製の本体は、スポーク、棒またはロープを包囲していてよいか、またはスポーク、棒、またはロープに支持されていてよい。
【0021】
プラスチック製の本体がスポーク、棒またはロープを包囲している場合には、マンホール蓋の製造時に、補強部材の好適には周囲に射出成形される。プラスチック製の本体がスポーク、棒またはロープに支持されている構成の場合には、補強部材およびプラスチック製の本体を2つの独立した製造ステップにおいて製造し、次いで組合せ、かつ例えばねじ締結、クリップ止め、溶接、接着またはリベット留めにより、互いに結合することが可能である。
【0022】
1つの別の実施形態では、補強部材にビードが形成されているように、補強部材を形成することも可能である。この場合は、平らな板を補強部材として使用することも、平らな板にビードを形成するか、または択一的に補強部材を上述したように湾曲して形成し、追加的にビードを設けることも可能である。この場合、ビードは、好適には、ビードの間にそれぞれ、補強部材の中央から縁部に向かって延在する条片が存在するように、配置されている。このことは、ビードの実質的に三角形の形状を生ぜしめ、この形状においてビードの幅は、補強部材の外側から中心に向かって減少している。これにより、ビードの間の各条片は、実質的に放射状に配置されることになる。ビードの形成に対して択一的に、補強部材を例えば波形に形成することも可能であり、この場合、波は中央で、補強部材の中心点に向かって延在するように形成されている。
【0023】
ビードを備えて形成された補強部材または波形に形成された補強部材も、マンホールまたは水路入口または排水溝の換気および空気抜きを可能にするため、またはマンホール蓋からマンホール、水路入口または排水溝内へ水を排出することができるようにするために、追加的に複数の開口または孔を有していてよい。
【0024】
補強部材が環状の条片を備えて形成されている場合には、環状の条片に、換気または空気抜きまたは排水を可能にする複数の開口または孔を設けることが可能である。ただし択一的に、湾曲された各条片の間またはスポーク、棒またはロープの間の開いた領域を、換気および空気抜き用に、もしくは排水手段として利用することも可能である。
【0025】
1つの別の実施形態では、補強部材を複数の交差し合う鉛直な部材から形成することも可能である。この場合、鉛直な部材は、好適にはマンホール蓋の使用状態において道路表面に面して延在する側においては平らであり、かつ反対の側に位置する、すなわちマンホール、水路入口または排水溝内に面した側においては湾曲されていてよい。垂直な部材を互いに結合するために、例えば鉛直な部材にスリットを形成し、これにより、交差し合う、鉛直に延在する部材を互いに嵌め合わせることが可能である。もちろん択一的に、個々の部材を互いに溶接することも可能である。ただし好適なのは、各部材を互いに嵌め合わせることである。補強部材の複数の鉛直な部材を用いたこのような構成では、これらの鉛直な部材はマンホール蓋を製造するために、プラスチック製の本体により包囲される。このために特に好適なのは、補強部材を射出成形機に入れることおよびプラスチック製の本体を製造するために補強部材の周囲に射出成形することである。平らな表面を得るためにさらに有利なのは、被覆用のプレートを設けることであり、この場合、このプレートも好適にはやはり鉛直に延在する複数のリブと、場合によってはベースプレートとを有しており、被覆プレートは、ベースプレートが設けられていない場合にはリブでもって、またはベースプレートが設けられている場合にはベースプレートでもって補強部材に支持されている。この場合、補強部材における被覆プレートの支持に用いられる各リブの間隔は、補強部材を形成する個々の部材の間の間隔よりも小さい。これにより、補強部材におけるより良好な分散が達成される。
【0026】
補強部材の材料としては、例えば金属、セラミックまたは強化プラスチックが適しており、強化プラスチックの使用に際しては、好適にはエンドレスファイバにより強化されたプラスチックが使用される。特に、補強部材が下向きに湾曲されている場合、または棒、スポークまたはロープにより結合された環状の条片と中心プレートとから成る場合には、補強部材は金属またはエンドレスファイバにより補強されたプラスチックから、特に金属から成っている。それというのもこの場合、補強部材には特に引張荷重が加えられるからであり、よって引張荷重に対して安定的な材料を用いる必要がある。これとは異なり、上向きに湾曲された実施形態における補強部材には圧縮荷重が加えられるので、この場合には圧縮荷重に対して安定的な材料を用いるべきであり、この場合も、補強部材用の材料としては金属が好適である。
【0027】
補強部材用の材料として特に好適なのは、鉄を含有する金属、例えば鋳鉄または鋼である。鋼を使用する利点は、その比較的大きな塑性変形性にある。このことは、鋼から成る補強部材は、鋳鉄から成る補強部材よりも小さな厚さでひいては小さな質量を備えて製造され得る、という利点を有している。補強部材に鋼を使用する別の利点は、補強部材が、鋼に適した汎用の処理法により成形され得る、という点にある。つまり例えば、補強部材の形状を鋼板から打ち抜いて、深絞り加工により成形することが可能である。
【0028】
つまり例えば、環状の縁部と中心プレートを備えており、環状の縁部と中心プレートとが複数の条片により互いに結合されている補強部材は、半径方向に延在する複数の条片が形成された中心プレートを含む内側の部材を打ち抜くまたは切り抜くことにより、円形の板から形成され得る。これにより、中心点に向かって延在する複数の条片を備えた外側の縁部を有する、第2の部材が生ぜしめられる。好適には、外側の縁部に結合された条片は、中心プレートから外側に向かって突出した条片と同じ幅である。この場合、補強部材を製造するために、外側の縁部と内側に向かって突出した条片とを備える部材と、中心プレートと外側に向かって突出した条片とを備える部材の両方を、補強部材にとって望ましい湾曲された形状にもたらすことができ、次いで補強部材を得るために、内側に向かって突出した条片と外側に向かって突出した条片とは、例えば溶接により互いに結合され得る。内側および外側に向かって突出した各条片の溶接の他にもちろん、金属構成部材の別のあらゆる結合、例えばリベット留め、ねじ締結、接着または相互フッキングも可能である。ただし好適なのは、条片相互のフッキングである。
【0029】
プラスチック製の本体用の材料としては、あらゆる任意の熱硬化性または熱可塑性のプラスチックが使用され得る。好適には熱可塑性のプラスチックが使用される。それというのも、熱可塑性のプラスチックの方が簡単に射出成形可能かつリサイクル可能であるからである。適当な熱可塑性のプラスチックは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリアミド(PA);ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、スチレン-アクリロニトリル-コポリマ(SAN)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン-コポリマ(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル(ASA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)である。このうち好適なのは、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)およびポリカーボネート(PC)である。プラスチックとして特に好適なのは、ポリアミド6またはプロアミド6.6である。
【0030】
熱硬化性のプラスチックが、プラスチック製の本体用の材料として使用される場合には、例えばホルムアルデヒド-成形材料、例えばフェノール-ホルムアルデヒド樹脂(PF)、レゾルシン-ホルムアルデヒド樹脂(RF)、クレゾール-ホルムアルデヒド樹脂(CF)、キシロール-ホルムアルデヒド樹脂(XF)、フルフリルアルコール-ホルムアルデヒド樹脂(FF)、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂(MF)、尿素-ホルムアルデヒド樹脂(UF)、メラミン-尿素-ホルムアルデヒド樹脂(MUF)、メラミン-尿素-フェノール-ホルムアルデヒド樹脂(MUPF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、ビニルエステル樹脂(VE)、フェナクリレート樹脂、ビニルエステルウレタン(VU)、エポキシ樹脂(EP)、ジアリルフタレート樹脂、アリルエステル(PDAP)、シリコーン樹脂(SI)、ポリウレタン(PUR)が適している。
【0031】
プラスチックの特性を変えるために、プラスチックは少なくとも1つの強化用充填材を含んでいてよい。強化用充填材は、繊維状または粒子状で存在していてよい。使用可能なのは、例えば炭素繊維、ガラス繊維、ガラス球、非晶質ケイ酸、アスベスト、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、チョーク、粉末化された石英、雲母、硫酸バリウムおよび長石である。
【0032】
十分な強化を達成するため、特に十分な引張もしくは圧縮強度を達成するために、好適には強化用充填材は、繊維の形態で存在している。
【0033】
好適な繊維状の充填材は、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維およびチタン酸カリウム繊維である。この場合、特に好適なのは、ガラス繊維である。繊維状の充填材は、粗糸、マットまたはカットガラスとして市販の形態で使用され得る。
【0034】
特に好適には、繊維は短繊維または長繊維として使用されかつ一般に、0.1~14mmの範囲の長さを有している。繊維の直径は、好適には5~20μmの範囲内である。
【0035】
熱可塑性プラスチックとのより良好な付着のために、充填材は表面を前処理されていてよい。
【0036】
この場合、プラスチック中の充填材の割合は、全ての添加剤を含むプラスチックの全質量に対して好適には10~70重量%の範囲内、特に40~65重量%の範囲内である。
【0037】
プラスチックはさらに、一般的な添加剤を含有していてよい。一般的な添加剤とは、例えば衝撃強さ変更体、柔軟剤、UVスタビライザ、染料、安定剤および離型補助剤である。この場合、当業者に周知のあらゆる任意の添加剤が使用され得る。添加剤は、当該分野において一般的な量が添加される。
【0038】
プラスチック製の本体が、リブに加えて追加的にベースプレートを有しているか否かに関係無く、本発明の1つの実施形態では、プラスチック製の本体は、リブに支持されかつリブに結合された1つの平らなプレートを有するように、形成されている。リブに支持されるプレートにより、極度に平滑な表面に基づく事故を回避するために好適には構造化される、マンホール蓋の表面が得られる。前記のような事故は、特に表面が湿っているかまたは濡れており、その上で歩行者または車両が滑った場合に生じる恐れがある。択一的に、プレートにパターンまたは絵を入れることも可能である。相応する絵は、マンホール蓋の視覚的な価値を向上させるために、純粋に芸術的な性質のものであってよい。ただし択一的に、例えば企業ロゴまたは広告をレリーフの形態でプレートの表面に入れることも可能である。ただし好適なのは、平滑な表面である。
【0039】
プラスチックから成るプレートの形成に対して択一的に、補強部材と同じ材料から成る上部プレートを設けることも可能である。この場合は、補強部材の材料が、プラスチック製の本体を包囲している。また、上部プレートは追加的に補強のためにも働く。この場合、補強部材と上部プレートとは、プラスチック製の本体を取り込んだ後に互いに結合され、この場合は材料結合的、形状結合的または摩擦結合的な結合が可能である。補強部材と上部プレートとの結合に適しているのは、特に溶接またはねじ締結である。この場合に好適なのは、必要な場合にマンホール蓋の個々のコンポーネントを交換することができるようにするための、解離可能な結合である。補強部材と上部プレートとがねじ締結される場合には、このために、マンホール蓋をマンホール、水路入口または排水溝の支持面にねじ締結するねじ締結手段を利用することも可能である。
【0040】
補強部材の形状に関係無く、プラスチック製の本体は、補強部材と形状結合的または摩擦結合的に結合され得る。形状結合的な結合には例えば、プラスチック製の本体が射出成形法により製造され、プラスチックの射出前に補強部材が型工具内へ入れられて、補強部材の周りにプラスチックを射出することができる場合が含まれる。
【0041】
ただし、補強部材とプラスチック材料とのそれぞれ異なる熱膨張に基づき好適なのは、プラスチック製の本体を、選択された複数の位置において摩擦結合的または形状結合的に補強部材と結合し、これにより各固定位置間でプラスチック製の本体と補強部材との相対運動を可能にすることである。しかしながらこの場合は、プラスチック製の本体が補強部材に摺動可能に支持されていることに注意せねばならない。プラスチック製の本体のこの支持により、例えばマンホール蓋の上を車両が走行した場合に、プラスチック製の本体に作用する荷重が補強部材に対して一様に伝達される、ということが保証される。
【0042】
プラスチック製の本体を補強部材に結合するためには例えば、補強部材に複数の孔を形成し、これらの孔を介して、プラスチック製の本体のプラスチックを、補強部材に結合するように圧着すること、またはプラスチック製の本体を補強部材にクリップ止めまたはねじ締結することが可能である。プラスチック材料が、補強部材に形成された孔を介して圧着されている場合には、溶融状態のプラスチックが、プラスチック製の本体の製造時に孔を介して圧着される。安定的な結合を得るために、孔を介して圧着されるプラスチックの量は、補強部材の下側において各孔に、金属から成る補強部材の下面に当接しかつ孔よりも大きな直径を有するヘッドが形成される程度の量である。補強部材に形成された孔を介したプラスチックの流し込み射出成形による結合に対して択一的に、既に上述したように、補強部材の周囲にプラスチックを射出成形することも可能である。
【0043】
プラスチック製の本体を補強部材に結合する別の手段は、ねじ締結またはクリップ止めである。プラスチック製の本体を補強部材にねじ締結しようとする場合には例えば、補強部材とプラスチック製の本体の両方に複数の貫通孔を設けることが可能であり、これらの貫通孔を介してねじが案内され、これらのねじはナットにより固定される。択一的に、補強部材にねじ山を形成しかつプラスチック製の本体に貫通孔を形成すること、またはプラスチック製の本体にねじ山を形成しかつ補強部材に貫通孔を形成すること、これらの貫通孔を介してねじを案内し、補強部材またはプラスチック製の本体に形成されたねじ山においてねじ締結することも可能である。ねじ締結用の別の手段は、補強部材またはプラスチック製の本体に複数の短いねじ山付きバーを形成することにあり、これらのねじ山付きバーは貫通孔を介してそれぞれ他方の部材に案内され、ナットにより固定される。プラスチック製の本体と補強部材とを互いにクリップ止めしようとする場合には、各構成部材に複数のクリップが取り付けられていてよいか、または複数の別個のクリップが用いられる。
【0044】
流し込み射出成形、周囲に対する射出成形、ねじ締結またはクリップ止めの他に、プラスチック製の本体と補強部材とを結合するあらゆる別の手段、例えばリベット留めまたは接着も可能である。
【0045】
さらに、プラスチック製の本体が補強部材の外縁を包囲する、周囲に対する射出成形を実現することも可能である。
【0046】
ただし、それぞれ異なる熱膨張において熱的な応力を相殺することができるようにするために好適なのは、互いに相対的な摺動を可能にする結合である。
【0047】
マンホール蓋が小さな重量に基づきマンホール、水路入口または排水溝から簡単に外れる可能性を防止するために、マンホール蓋に複数の潜孔(表面から凹んだ位置にある孔)が形成されており、これらの潜孔を介してマンホール蓋が、マンホール、水路入口または排水溝の支持面にねじ締結可能であると、さらに好適である。この場合、マンホール蓋を外すためには、最初にマンホール蓋を固定しているねじを外すことが必要とされている。
【0048】
本発明の実施例を図示すると共に、以下の説明においてより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】上向きに湾曲された補強部材を備えたマンホール蓋を示す図である。
図2】下向きに湾曲された補強部材を備えたマンホール蓋を示す図である。
図3】複数の湾曲された条片を備えた補強部材を示す図である。
図4】組み合わせて図3に示した補強部材を形成する、2つの個別部材を示す図である。
図5】環状の外側条片と、スポークにより外側の環状条片に取り付けられた中心棒とを備えた補強部材を示す図である。
図6】環状の外側条片と、スポークにより外側の環状条片に取り付けられた中心プレートとを備えた補強部材を示す図である。
図7】波形に形成され、ビードを備えた補強部材を示す図である。
図8】下側の補強部材と、この補強部材と同じ材料から成る上部プレートと、金属部分とプラスチック製の外側カバーとの間のプラスチック製の本体とを備えたマンホール蓋の一部を示す図である。
図9】第1の実施形態において補強部材と、上部プレートと、その間に位置するプラスチック製の本体とを備えたマンホール蓋の一部を示す図である。
図10】第2の実施形態において補強部材と、上部プレートと、プラスチック製の本体とを備えたマンホール蓋の一部を示す図である。
図11図11.1~図11.4は、プラスチック製の本体に関する種々様々なリブの幾何学形状を示す図である。
図12】補強部材を形成する、鉛直方向に向けられた複数の部材を備えたマンホール蓋を示す断面図である。
【0050】
図1には、上向きに湾曲された補強部材を備えたマンホール蓋の断面が示されている。
【0051】
マンホール、水路入口または排水溝は、マンホール蓋1により覆われる。このために
マンホール、水路入口または排水溝は、支持面3を有している。この場合、支持面3は周囲に沿って、マンホール、水路入口または排水溝を包囲している。
【0052】
本発明では、マンホール蓋は、補強部材5とプラスチック製の本体7とを有している。ここに図示する実施形態では、プラスチック製の本体に複数のリブ9と、リブ9に支持されたプレート11とが含まれている。この場合、リブ9に支持されたプレート11は、一般にリブと材料結合的に結合されている。支持されたプレート11により、マンホール蓋1の平滑な表面が得られる。
【0053】
プラスチック製の本体7を補強部材5と結合するためには、補強部材5に複数の孔が形成されていると好適であり、これらの孔を介してプラスチック材料を流し込むことができる。補強部材5に形成された孔の下側には拡張部13が形成されており、これにより補強部材5とプラスチック製の本体7との安定した結合が得られる。相応の固定は例えば、プラスチック製の本体7が射出成形され、射出成形時に補強部材5が型工具内に挿入されることにより得られる。択一的に、プラスチック製の本体7と補強部材5とを別個に製造してから、例えばクリップ止め、クランプ、接着またはねじ締結により、補強部材5に取り付けることも可能である。ただし好適なのは、補強部材5とプラスチック製の本体7との結合を、プラスチック製の本体7の製造プロセスにおいて流し込み射出成形(Durchspritzen)により実現することである。
【0054】
図2には、下向きに湾曲された補強部材を備えたマンホール蓋が示されている。図2に示すマンホール蓋1は、図1に示したマンホール蓋1と、補強部材5が湾曲されている方向が相違している。図1に示した実施形態とは異なり、図2に示す実施形態では、補強部材5は下向きに湾曲されている。このことはマンホール蓋1を、例えば支持面3と表面15、例えば路面との間の間隔が、図1に示した実施例の場合よりも小さなマンホール、水路入口または排水溝に使用することを可能にする。補強部材5の湾曲方向を除いて、図1および図2に示した各実施形態の構成は同じである。
【0055】
図1に示した実施形態と図2に示した実施形態の両方において、図示の支持されたプレート11を設けることが可能であり、これにより、平滑な表面が得られる。ただし択一的に、支持されたプレート11を省くことも可能であり、これによりプラスチック製の本体7は、単にリブ9のみから形成されているに過ぎなくなる。さらに、ベースプレートを設けることも可能であり、この場合、このベースプレートは、例えばベースプレートが補強部材5に支持されるように、またはプラスチック製の本体7の中間に延在することで、リブ9がベースプレートから上下に延在するように形成されている。この場合、ベースプレートは、プレート11が支持されている実施形態と、支持されるプレート11が無い実施形態の両方に設けられていてよい。
【0056】
補強部材5は、例えば全体的に面状のプレートであってよい。
【0057】
補強部材の1つの択一的な実施形態が、図3に示されている。
【0058】
図3に示す実施形態では、補強部材5が環状の条片17と、中心プレート19とを有している。この場合、環状の条片17と中心プレート19とは、複数の湾曲された条片21により、互いに結合されている。湾曲された条片21により、補強部材5の湾曲が生じる。この場合、マンホール蓋を製造する向きは、図1および図2における向きと同じ向きが可能である、すなわち上向きに湾曲されているか、または下向きに湾曲されている。
【0059】
図4には、図3に示した補強部材を形成することができる、2つの個別部材が示されている。
【0060】
この場合、補強部材5は2つの個別部材から形成されており、2つの構成部材において第1の部材23は、環状の条片17と、補強部材5の中心に向かって延在する複数の条片25とを有している。第2の部材27は、中心プレート19と、外側に向かって延在する複数の条片29とを有している。第1の部材23と第2の部材27とを形成するためには例えば、1つの円形板から第2の部材27を打ち抜くことが可能である。外側に向かって延在する条片29を相応に形成すると、打抜き後の残りとして、環状の条片17と、中心に向かって延在する条片25とを備えた第1の部材23が残留することになる。このために各条片25,29は、好適には第1の部材23における中心に向かって延在する条片25の、環状の条片17の内周のところの幅が、第2の部材27の外側に向かって延在する条片29の外側の幅に相当するように形成される。これに相応して、第1の部材23における中心に向かって延在する条片25の終端部の幅は、第2の部材27の外側に向かって延在する条片29の、中心プレート19の周囲のところの幅に相当している。第1の部材23と第2の部材27とを形成してから、これらは変形加工され、これにより湾曲を形成する。このためには例えばプレス法、例えば深絞り法が使用され得る。変形加工後に、第2の部材の条片29と第1の部材の条片25とは互いに結合される。安定した結合を得るために、これらの条片25,29は例えば互いに溶接される。この場合、安定した結合のために特に好適なのは、各条片25,29を結合させるために、第2の部材27が第1の部材23に挿入される場合である。しかしまた、溶接の他に、2つの部材23,27を結合するためのあらゆる別の方法、例えばねじ締結、リベット留めまたは接着も可能である。また、プラスチック製の本体7用のプラスチック材料を周囲に射出することにより、2つの部材23,27を結合することも可能である。
【0061】
外側の環状の条片と棒とを備えた補強部材の1つの実施例が図5に示されており、この場合、棒と環状の条片とは、複数のスポークにより互いに結合されている。
【0062】
図5に示す補強部材は、環状の条片17と、棒31とを有している。棒31には追加的にプレート33が取り付けられていてよく、この場合は荷重が加えられると、プレート33に力が作用する。プレート33に作用する力を環状の条片17にも伝達するために、プレート33が取り付けられた棒31は、複数のスポーク35により環状の条片17に取り付けられている。スポーク35に対して択一的に、棒31を環状の条片17に取り付けるロープまたは環状の条片17および棒31と同じ材料から成る条片を使用することも可能である。ロープの材料としては、特に鋼または引張荷重を良好に加えることができるあらゆる材料が適している。
【0063】
棒および上部プレートを備えた構成に対して択一的に、補強部材を図6に示すように環状の条片17と中心プレート19とを備えて形成することも可能であり、この場合、中心プレート19は、図3および図4に示した実施形態とは異なり、広幅の条片により環状の条片17に取り付けられるのではなく、複数のスポーク35により環状の条片17に取り付けられる。この場合もスポーク35に対して択一的に、中心プレート19をロープにより環状の条片17に取り付けることが可能である。
【0064】
補強部材5の1つの別の可能な構成が図7に示されている。図7に示す実施形態では、補強部材5は波形の外周37を有している。この場合、波面は補強部材5の中心点39に向かって延在しており、波の大きさは中心に向かってより小さくなっている。
【0065】
図7に示した波形の構成に代えて、補強部材5に任意の複数のビードを設けることも可能である。この場合、特に好適なのは、実質的に図7に示した波形に相当するビード形状、つまり外周においてより広幅でありかつ幅が中心に向かって減少するビードである。この場合、ビードは必ずしも中心点39まで延在する必要はなく、中心点39から間隔を置いて既に終わっていてよい。
【0066】
図8には、湾曲された補強部材と、追加的に補強部材と同じ材料から成る第2のプレートとを備えるマンホール蓋の一部が示されており、この場合、補強部材と別のプレートとの間に、プラスチック製の本体が形成されている。
【0067】
図8に示した実施形態では、マンホール蓋1は、下向きに湾曲された補強部材5を有している。この場合、補強部材は例えば図2に示した補強部材と同様に形成されていてよい。補強部材5に加えて図8に示した実施形態のマンホール蓋1は、上部プレート41を有している。この場合、プラスチック製の本体7は、補強部材5と上部プレート41との間に位置決めされている。プラスチック製の本体は、ここに図示した実施形態では鉛直方向に延びる複数のリブ9と、ベースプレート43とを有している。この場合、リブ9はベースプレート43から上下に延在している。この場合、プラスチック製の本体7はリブ9でもって補強部材5に支持されており、上部プレート41は、ベースプレート43から上方に向かって延在するリブ9に支持されている。
【0068】
平滑な表面を得るために、図8に示した実施形態では、プラスチック製の外側カバー45が設けられている。この場合、プラスチック製の外側カバー45は、補強部材5と、上部プレート41と、プラスチック製の本体7とを包囲している。この場合、プラスチック製の本体7および外側カバー45用の材料として、同じプラスチックが使用され得る。ただし、異なるポリマを使用することも可能である。
【0069】
補強部材5、上部プレート41および補強部材5と上部プレート41との間に位置決めされたプラスチック製の本体7を備えるマンホール蓋の2つの別の択一的な実施形態が、図9および図10に示されている。
【0070】
図8に示した実施形態とは異なり、図9および図10に示す実施形態は、プラスチック製の外側カバー45を有していない。ただし、図9および図10に示す実施形態を、外側カバー45を備えて形成することも可能である。また、図8に示した実施形態において外側カバー45を省くことも可能である。
【0071】
図8に示した実施形態では、補強部材5と上部プレート41とは、フランジ結合部を介して縁部において互いに結合されている。この場合の結合は、形状結合的、材料結合的または摩擦結合的に行われてよく、この場合は例えばねじ締結またはリベット留めによる摩擦結合的な結合が好適である。プラスチック製の外側カバー45が設けられている場合には、補強部材5と上部プレート41との追加的な結合は省かれてもよい。それというのも、補強部材5と上部プレート41とは、外側カバー45により互いに位置決めされかつ保持されるからである。
【0072】
図9および図10に示す実施形態では、補強部材5と上部プレート41とを結合するために、エラストマ結合部47が設けられている。図9に示す実施形態では、エラストマ結合部47は上部プレート41を、その外周に沿って包囲していると共に、補強部材5の上向きに延在する縁部49と上部プレート41との間の水平面内に位置決めされている。これとは異なり、図10に示す実施形態では、エラストマ結合部47は補強部材5の外縁に位置決めされており、エラストマ結合部47に上部プレート41が支持されている。
【0073】
エラストマ結合部47の使用は、これにより個々の構成部材の異なる熱膨張が相殺され得る、という利点を有している。
【0074】
図10に示したエラストマ結合部47を備えた実施形態に対して択一的に、形状結合部または摩擦結合的な結合部を設けることも可能である。
【0075】
図11.1~図11.4には、プラスチック製の本体7におけるリブの配置に関する複数の異なる変化態様が示されている。この場合、図11.1~図11.3に示す実施形態では、プラスチック製の本体7は円形の横断面を有しており、図11.4に示す実施形態では、正方形の横断面を有している。この場合、プラスチック製の本体7の形状は通常、マンホール蓋1の形状に相当する。円形のマンホール蓋1の場合はプラスチック製の本体7も円形であり、角形のマンホール蓋1の場合はプラスチック製の本体7もやはり角形である。
【0076】
図11.1、図11.4に示した実施形態では、リブは矩形区分を形成しており、この場合は図示のように正方形の区分が好適である。この場合、プラスチック製の本体7の個々のリブ9は、90°の角度で交差し合っている。ただし、ここに図示した正方形の区分に対して択一的に、例えば三角形の区分または任意の別の区分を設けることも可能であり、この場合、リブ9は90°とは異なる角度で交差し合う。
【0077】
図11.2に示す実施形態では、リブ9は、プラスチック製の本体7の中心点から外縁に向かって半径方向に延在している。この場合、リブを中心外に位置する点から外側に向かって延在させることも可能であると考えられるが、ただし好適なのは、リブがプラスチック製の本体7の中心点39から外縁に向かって半径方向に延在している場合である。
【0078】
追加的に、プラスチック製の本体7の中心点39を環状に包囲する複数のリブ9が設けられていてよい。このことは図11.3に例示されている。この場合、中心点39を環状に包囲するリブは、中心点39から半径方向外側に向かって延在するリブ9と交差している。
【0079】
もちろん、図11.2および図11.3に示した変化態様を、任意の別の横断面、例えば矩形または正方形の横断面を備えるプラスチック製の本体7に使用することも可能である。
【0080】
ここに図示したリブ9の延在の他に、当業者に周知の、リブ9の別のあらゆる任意の向きが可能である。
【0081】
マンホール蓋1の1つの択一的な実施形態が図12に示されている。
【0082】
上述した補強部材5とは異なり、図12に示す実施形態では、補強部材5は、鉛直方向に延在する複数の部材から形成されている。この場合、図12に示した実施形態における補強部材5は、交差し合う2つの部材51を有している。この場合、これらの部材51は互いに90°の角度を有している。各部材51から形成される補強部材5には、プラスチック製の本体7が支持されている。このプラスチック製の本体7は、複数のリブ9と、支持されたプレート11とを有している。プラスチック製の本体7はリブ9でもって、補強部材5の鉛直方向の各部材51に支持されている。
【0083】
図12に示した、交差し合う2つの部材51を備えた実施形態の他に、より多くの部材51を設けることも可能である。この場合、これらの部材51は中心点から外側に向かって半径方向に延在しているか、または例えば互いに平行に延在していてもよい。この場合に好適なのは、少なくとも1つの部材51が、平行に延在する各部材51に対して横方向に向けられており、平行に整列させられた各部材51が、これらに対して横方向に延在する部材51と交差する場合である。平行に整列させられた各部材51に対して横方向に延在する唯1つの部材51の他にもちろん、2方向に、平行に延在する複数の部材51を設けることも可能であり、これにより例えば矩形区分が生じる。しかしまた択一的に、補強部材5を形成する、鉛直方向に延在する各部材51のあらゆる別の向きも考えられる。つまり例えば各部材51は、プラスチック製の本体7のリブ9に関する図11.2および図11.3に示した変化態様の場合と同様に延在していてよい。
【符号の説明】
【0084】
1 マンホール蓋
3 支持面
5 補強部材
7 プラスチック製の本体
9 リブ
11 支持されたプレート
13 拡張部
15 表面
17 環状の条片
19 中心プレート
21 条片
23 第1の部材
25 中心に向かって延在する条片
27 第2の部材
29 外側に向かって延在する条片
31 棒
33 プレート
35 スポーク
37 外周
39 中心点
41 上部プレート
43 ベースプレート
45 外側カバー
47 エラストマ結合部
49 上向きに延在する縁部
51 部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11.1】
図11.2】
図11.3】
図11.4】
図12