(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-14
(45)【発行日】2022-01-25
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板処理方法、基板処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/28 20060101AFI20220118BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20220118BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20220118BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20220118BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20220118BHJP
H01L 21/3213 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
H01L21/28 E
H01L21/285 C
H01L21/28 301R
H01L21/88 M
H01L21/88 D
(21)【出願番号】P 2020510187
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2018012089
(87)【国際公開番号】W WO2019186636
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】小川 有人
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0070982(US,A1)
【文献】特開2003-160867(JP,A)
【文献】特開2010-153852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0053660(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0024592(US,A1)
【文献】特開2008-283220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/28
H01L 21/285
H01L 21/3205
H01L 21/3213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)表面に凹部を有する基板に対して、第1金属含有ガスと水素元素の単体で構成されるガスである第1還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、第1金属膜を形成する工程と、
(b)前記基板に対して、少なくとも、第2金属含有ガスと、前記第1還元ガスとは異なる第2還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する工程と、
を有し、
(a)および(b)をこの順に行う半導体装置の製造方法。
【請求項2】
(c)前記基板に対して、エッチングガスを供給することで、少なくとも前記第2金属膜をエッチングする工程をさらに有する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1金属含有ガスおよび前記第2金属含有ガスはハロゲン系化合物であり、前記第2還元ガスは水素元素を含む化合物である請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2還元ガスは、前記第2還元ガスを構成する各元素間の結合エネルギーが、前記水素元素同士の結合エネルギーよりも小さい化合物である請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1金属膜と前記第2金属膜とは、前記エッチングガスに対して等しいエッチングレートを有する
請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2金属膜は、前記第1金属膜よりも低いストレス値を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
(a)では、前記第1金属膜の厚さを、(c)を行った後に残る前記第1金属膜の厚さの1.1倍以上1.2倍以下とする請求項2~6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1金属含有ガスおよび前記第2金属含有ガスに含まれる金属元素は同じ元素である請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記金属元素はタングステン、モリブデン、銅、コバルトのいずれかである請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1金属含有ガスおよび前記第2金属含有ガスに含まれる金属元素は異なる元素である請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
(a)表面に凹部を有する基板に対して、第1金属含有ガスと水素元素の単体で構成されるガスである第1還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、第1金属膜を形成する工程と、
(b)前記基板に対して、少なくとも、第2金属含有ガスと、前記第1還元ガスとは異なる第2還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する工程と、
を有し、
(a)および(b)をこの順に行う基板処理方法。
【請求項12】
(c)前記基板に対して、エッチングガスを供給することで、少なくとも前記第2金属膜をエッチングする工程をさらに有する請求項11に記載の基板処理方法。
【請求項13】
基板が処理される処理室と、
前記処理室内の基板に対して、第1金属含有ガス、第2金属含有ガス、水素元素の単体で構成されるガスである第1還元ガス、前記第1還元ガスとは異なる第2還元ガス、およびエッチングガスを供給するガス供給系と、
前記処理室内において、(a)表面に凹部を有する基板に対して、前記第1金属含有ガスと前記第1還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、第1金属膜を形成する処理と、(b)前記基板に対して、少なくとも、前記第2金属含有ガスと、前記第2還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する処理と、をこの順に行わせるように、前記ガス供給系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、
(c)前記基板に対して、前記エッチングガスを供給することで、少なくとも第2金属膜をエッチングする処理をさらに行わせるように構成される請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
基板処理装置の処理室内において、
(a)表面に凹部を有する基板に対して、第1金属含有ガスと水素元素の単体で構成されるガスである第1還元ガスとを互いに混合しないよう交互に複数回供給することで、第1金属膜を形成する手順と、
(b)前記基板に対して、少なくとも、第2金属含有ガスと、前記第1還元ガスとは異なる第2還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、前記第1金属膜上に第2金属膜を形成する手順と、
をこの順に行わせる手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項16】
(c)基板に対して、エッチングガスを供給することで、少なくとも第2金属膜をエッチングする手順をさらに有する請求項15に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、基板処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板の表面に設けられた凹部内を金属膜により埋め込む処理が行われることがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、基板の表面に設けられた凹部内の金属膜による埋め込み処理の品質や生産性を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
(a)表面に凹部を有する基板に対して、第1金属含有ガスと第1還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、第1金属膜を形成する工程と、
(b)基板に対して、少なくとも、第2金属含有ガスと、第1還元ガスとは異なる第2還元ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、第1金属膜上に第2金属膜を形成する工程と、
(c)基板に対して、エッチングガスを供給することで、少なくとも第2金属膜をエッチングする工程と、を行う技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基板の表面に設けられた凹部内の金属膜による埋め込み処理の品質や生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を
図1のA-A線断面図で示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態の基板処理シーケンスを示すフロー図である。
【
図5】(a)は第1W膜を形成する前のウエハの表面構造を、(b)は第1W膜を形成した後のウエハの表面構造を、(c)は第1W膜上に第2W膜を形成した後のウエハの表面構造を、(d)はエッチング途中のウエハの表面構造を、(e)はエッチングが終了した後のウエハの表面構造を示す断面拡大図である。
【
図6】本発明の一実施形態の基板処理シーケンスの変形例を示すフロー図である。
【
図7】本発明の一実施形態の基板処理シーケンスの他の変形例を示すフロー図である。
【
図8】3DNANDの主要部の断面構造を示す図である。
【
図9】(a)は実施例および比較例における第1W膜および第2W膜の形成処理のトータルの処理時間の測定結果を、(b)は第1W膜の成膜レートおよび第2W膜の成膜レートの測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図4、
図5(a)~
図5(e)を用いて説明する。
【0009】
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱機構(温度調整部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0010】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には、処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。
【0011】
処理室201内には、ノズル249a,249bが、反応管203の下部側壁を貫通するように設けられている。ノズル249a,249bには、ガス供給管232a,232bがそれぞれ接続されている。
【0012】
ガス供給管232a,232bには、ガス流の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、ガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、ガス流の上流側から順に、MFC241c,241dおよびバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
【0013】
図2に示すように、ノズル249a,249bは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249bは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。ノズル249a,249bの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250bがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の中心を向くようにそれぞれ開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
【0014】
ガス供給管232aからは、第1,第2金属含有ガス(原料ガス)として、金属元素(原子)およびハロゲン元素を含むガス、すなわち、ハロゲン系化合物が、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。第1,第2金属含有ガスとしては、例えば、六フッ化タングステン(WF6)ガスを用いることができる。
【0015】
ガス供給管232aからは、エッチングガスが、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。エッチングガスとしては、例えば、ハロゲン元素を含むガスである三フッ化窒素(NF3)ガスを用いることができる。
【0016】
ガス供給管232bからは、第1還元ガス(還元性を有する第1反応ガス)として、水素(H)元素単体からなる(H元素のみで構成される)ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。第1還元ガスとしては、例えば、水素(H2)ガスを用いることができる。
【0017】
ガス供給管232bからは、第1還元ガスとは異なる第2還元ガス(還元性を有する第2反応ガス)として、H含有ガス、すなわち、H元素とH元素以外の元素とを含む化合物(H元素を含む化合物)が、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。第2還元ガスとしては、例えば、H元素とシリコン(Si)元素とを含むモノシラン(SiH4、略称:MS)ガスを用いることができる。
【0018】
ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスとしての窒素(N2)ガスが、MFC241c,241d、バルブ243c,243d、ガス供給管232a,232b、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。N2ガスは、パージガス、キャリアガス等として作用する。
【0019】
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、原料ガス供給系、エッチングガス供給系がそれぞれ構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、第1,第2還元ガス供給系が構成される。主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系をまとめてガス供給系と称してもよい。
【0020】
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a~243dやMFC241a~241d等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a~232dのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a~232d内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a~243dの開閉動作やMFC241a~241dによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a~232d等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
【0021】
反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ244により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0022】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0023】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が水平姿勢で多段に支持されている。
【0024】
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0025】
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0026】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0027】
I/Oポート121dは、上述のMFC241a~241d、バルブ243a~243d、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0028】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a~241dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a~243dの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0029】
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0030】
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200が有する凹部内をタングステン膜(W膜)により埋め込む基板処理シーケンス例について、主に、
図4、
図5(a)~
図5(e)を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0031】
図4に示す基板処理シーケンスでは、
凹部を有するウエハ200に対して、第1金属含有ガスとしてのWF
6ガスと第1還元ガスとしてのH
2ガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、第1金属膜(第1W膜)を形成するステップと、
ウエハ200に対して、少なくとも、第2金属含有ガスとしてのWF
6ガスと、第2還元ガスとしてのMSガスとを互いに混合しないように複数回供給することで、第1W膜上に第2金属膜(第2W膜)を形成するステップと、
ウエハ200に対して、エッチングガスとしてのNF
3ガスを供給することで、少なくとも第2W膜をエッチングするステップと、を行う。
【0032】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0033】
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される。その後、
図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
【0034】
ウエハ200としては、例えば、単結晶Siにより構成されたSi基板、或いは、表面に単結晶Si膜が形成された基板を用いることができる。
図5(a)に示すように、ウエハ200の表面には凹部が設けられている。凹部の底部は単結晶Siにより構成されており、凹部の側部および上部はシリコン酸化膜(SiO膜)やシリコン窒化膜(SiN膜)やシリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)等を含む絶縁膜200aにより構成されている。ウエハ200の表面、すなわち凹部の底面、側面および上面は、バリア膜としてのチタン窒化膜(TiN膜)で覆われていてもよい。
【0035】
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の温度(成膜温度)となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。真空ポンプ246の稼働、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0036】
(第1W膜形成ステップ)
その後、次の2つのステップ、すなわち、ステップ1a,2aを順に行う。
【0037】
[ステップ1a]
処理室201内のウエハ200に対し、WF6ガスを供給する。このステップでは、バルブ243aを開き、ガス供給管232a内へWF6ガスを流す。WF6ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してWF6ガスが供給される(第1金属含有ガス供給ステップ)。このときバルブ243c,243dを開き、ガス供給管232c,232d内へN2ガスを流す。N2ガスは、MFC241c,241dにより流量調整され、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。第1金属含有ガス供給ステップにおける処理室201内へのN2ガスの供給は、不実施としてもよい。
【0038】
本ステップにおける処理条件としては、
WF6ガス供給流量:1~5000sccm
N2ガス供給流量(各ガス供給管):0~30000sccm
ガス供給時間:0.01~10秒、好ましくは0.1~5秒
処理温度(成膜温度):200~600℃、好ましくは300~500℃
処理圧力:1~3990Pa
が例示される。なお、本明細書における「200~600℃」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、「200~600℃」とは「200℃以上600℃以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0039】
上述の条件下でウエハ200に対してWF6ガスを供給することにより、ウエハ200上に、フッ素(F)を含むW含有層(第1W含有層)が形成される。第1W含有層はWF6ガスの吸着層であってもよいし、Fを含むW層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
【0040】
第1W含有層を形成した後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのWF6ガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243c,243dを開き、処理室201内へN2ガスを供給する。N2ガスはパージガスとして作用する(パージステップ)。
【0041】
第1金属含有ガスとしては、WF6ガスの他、他のフルオロタングステン系ガスを用いることができる。また、第1金属含有ガスとして、例えばヘキサクロロタングステン(WCl6)ガス、ジクロロタングステン(WCl2)ガス、オキシテトラクロロタングステン(WOCl4)ガス、アジドペンタクロロタングステン(Cl5N3W)ガス等のクロロタングステン系ガスを用いることもできる。この点は、後述するステップ1bにおいても同様である。
【0042】
不活性ガスとしては、N2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。この点は、後述する各ステップにおいても同様である。
【0043】
[ステップ2a]
ステップ1aが終了した後、処理室201内のウエハ200に対し、H2ガスを供給する。このステップでは、バルブ243b~243dの開閉制御を、ステップ1aにおけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。H2ガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してH2ガスが供給される(第1還元ガス供給ステップ)。
【0044】
本ステップにおける処理条件としては、
H2ガス供給流量:1~30000sccm
ガス供給時間:0.05~60秒
が例示される。他の処理条件は、ステップ1aにおける処理条件と同様とする。
【0045】
上述の条件下でウエハ200に対してH2ガスを供給することにより、ステップ1aでウエハ200上に形成された第1W含有層とH2ガスとを反応させることが可能となる。すなわち、第1W含有層中に含まれるF(フルオロ基)と、H2ガスと、を反応させることができる。それにより、Hと反応させた第1W含有層中のFを、第1W含有層中から分離させる(引き抜く)ことができる。この反応により、第1W含有層中からFが脱離し、第1W含有層は、Wを含む第1層(第1W層)へと変化する(改質される)。第1W層は、W単体で構成される層、すなわち、Wを主成分とする層となる。
【0046】
第1W層を形成する際、第1W含有層中に含まれていたFと、H2ガスとは、H2ガスによる第1W含有層の改質反応の過程において、FおよびHの少なくともいずれかを含むガス状物質を構成し、排気管231を介して処理室201内から排除される。すなわち、第1W含有層中のF等の不純物は、第1W含有層中から引き抜かれたり、脱離したりすることで、第1W含有層から分離することとなる。これにより、第1W層は、第1W含有層に比べてF等の不純物が少ない層となる。
【0047】
第1還元ガスとして、例えばH元素以外の他の元素(Si元素)を含むH含有ガスであるMSガスを用いると、改質の際にMSガス中に含まれるSiが第1W層中に取り込まれ、第1W層が高抵抗な層となる場合がある。ステップ2aにおいて、H元素以外の他の元素非含有のH2ガスを用いることにより、第1W層の不純物濃度を低減させ、第1W層の導電性低下を回避することができる。
【0048】
その後、バルブ243bを閉じ、処理室201内へのH2ガスの供給を停止する。そして、ステップ1aのパージステップにおける処理手順と同様の処理手順により、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージステップ)。
【0049】
第1還元ガスとしては、H2ガスの他、重水素(D2)ガスを用いることができる。
【0050】
[所定回数実施]
ステップ1a,2aを非同時に、すなわち、WF6ガスとH2ガスとを互いに混合させることなく行うサイクルを所定回数(m回、mは1以上の整数)行うことにより、ウエハ200の凹部内を埋め込み、かつ、絶縁膜200aの上面を覆う第1W膜を形成することが可能となる。WF6ガスとH2ガスとを交互に供給して第1W膜を形成することにより、気相反応ではなく表面反応により第1W膜を形成することが可能となる。その結果、凹部内にボイド等を発生させることなく、凹部内を第1W膜により埋め込むことが可能となる。このサイクルは、凹部内が第1W膜により埋め込まれるまで複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成する第1W層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、第1W層を積層することで形成される第1W膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0051】
図5(b)に示すように、ウエハ200の凹部上に形成された第1W膜の上面(表面)には、V字形状の凹部が形成されている。ステップ1a,1bを非同時に行うサイクルを長期間繰り返すことで、V字形状の凹部は小さくなり、やがて消滅し、第1W膜の表面は平坦になる。しかしながら、第1W膜形成ステップは、ウエハ200の凹部内を第1W膜で埋め込む目的で行われるステップである。このため、ウエハ200の凹部内が第1W膜により埋め込まれたら、第1W膜の表面にV形状の凹部が形成されている状態、すなわち、第1W膜の表面が平坦になる前であっても、早めに第2W膜形成ステップへ移行するのが好ましい。言い換えれば、第1W膜の膜厚は、ウエハ200の凹部内を第1W膜で完全に埋め込むために必要な厚さにとどめておくのが好ましい。
【0052】
第1W膜の膜厚は、後述のエッチングステップを行った後に残る第1W膜の厚さ、すなわちウエハ200の凹部内に最終的に残る第1W膜の厚さ(以下、単に最終厚さともいう)よりも厚くすることが好ましい。第1W膜の膜厚は、上述の最終厚さの例えば1.1~1.2倍とすることが好ましい。
【0053】
第1W膜の膜厚が上述の最終厚さの1.1倍未満であると、ウエハ200の凹部の加工精度にバラツキがあるため、ウエハ200の凹部内を第1W膜で完全に埋め込むことができない場合がある。例えば、上述のV字形状の凹部の下端部がウエハ200の凹部内に位置してしまう場合がある。また、エッチングが過剰に進行した場合、ウエハ200上に所望厚さのW膜を残せず、W膜の品質の低下を引き起こすことがある。第1W膜の膜厚を上述の最終厚さの1.1倍以上とすることで、ここで述べた課題を解消することが可能となる。第1W膜の膜厚が上述の最終厚さの1.2倍を超えると、第1W膜と第2W膜とが積層されてなるW膜のトータルでの成膜時間が長くなり、基板処理の生産性が低下する場合がある。第1W膜の膜厚を上述の最終厚さの1.2倍以下とすることで、W膜のトータルでの成膜時間を短縮させ、基板処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0054】
ウエハ200の凹部の幅が例えば20nmである場合、第1W膜の膜厚を10nmとすれば凹部内を第1W膜により埋め込むことができる。しかしながら、上述のように、ウエハ200の凹部の加工精度のバラツキを考慮すると、第1W膜の膜厚を10nmよりも厚くする、例えば11~12nmとすることが好ましい。
【0055】
(第2W膜形成ステップ)
その後、次の2つのステップ、すなわち、ステップ1b,2bを順に行う。
【0056】
[ステップ1b]
第1W膜形成ステップが終了した後、処理室201内のウエハ200に対し、WF6ガスを供給する。このステップでは、バルブ243a,243c,243dの開閉制御を、ステップ1aにおけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。WF6ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してWF6ガスが供給される(第2金属含有ガス供給ステップ)。
【0057】
本ステップにおける処理条件としては、ステップ1aにおける処理条件と同様の処理条件が例示される。
【0058】
上述の条件下でウエハ200に対してWF6ガスを供給することにより、ウエハ200上に、Fを含むW含有層(第2W含有層)が形成される。第2W含有層はWF6ガスの吸着層であってもよいし、Fを含むW層であってもよいし、その両方を含んでいてもよい。
【0059】
第2W含有層を形成した後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのWF6ガスの供給を停止する。そして、ステップ1aのパージステップにおける処理手順と同様の処理手順により、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージステップ)。
【0060】
第2金属含有ガスとしては、上述の第1金属含有ガスと同様のガスを用いることができる。第1金属含有ガスおよび第2金属含有ガスとして、同一のガスを用いることもでき、それぞれ異なるガスを用いることもできる。
【0061】
[ステップ2b]
ステップ1bが終了した後、処理室201内のウエハ200に対し、MSガスを供給する。このステップでは、バルブ243b~243dの開閉制御を、ステップ1aにおけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。MSガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してMSガスが供給される(第2還元ガス供給ステップ)。
【0062】
本ステップにおける処理条件としては、
MSガス供給流量:1~3000sccm
ガス供給時間:0.01~30秒
が例示される。他の処理条件は、ステップ1aにおける処理条件と同様とする。
【0063】
上述の条件下でウエハ200に対してMSガスを供給することにより、ステップ1bでウエハ200上に形成された第2W含有層とMSガスとを反応させることが可能となる。すなわち、第2W含有層中に含まれるFと、MSガスと、を反応させることができる。それにより、MSと反応させた第2W含有層中のFを、第2W含有層中から分離させる(引き抜く)ことができる。この反応により、第2W含有層中からFが脱離し、第2W含有層は、Wを含む第2層(第2W層)へと変化する(改質される)。第2W層は、W単体で構成される層、すなわち、Wを主成分とする層となる。
【0064】
第2W層を形成する際、第2W含有層中に含まれていたFと、MSガスとは、MSガスによる第2W含有層の改質反応の過程において、F、HおよびSiの少なくともいずれかを含むガス状物質を構成し、排気管231を介して処理室201内から排除される。すなわち、第2W含有層中のF等の不純物は、第2W含有層中から引き抜かれたり、脱離したりすることで、第2W含有層から分離することとなる。これにより、第2W層は、第2W含有層に比べてF等の不純物が少ない層となる。
【0065】
ステップ2bにおいて用いるMSガスが有するSi-H結合の結合エネルギーは、ステップ2aで用いるH2ガスが有するH-H結合の結合エネルギーよりも低い。すなわち、MSガスは、H2ガスよりも熱分解温度が低い(分解しやすい)。このため、第2還元ガスとしてMSガスを用いることで、第2還元ガスとしてH2ガスを用いる場合よりも、第2W膜の成膜レートを高めることが可能となる。
【0066】
その後、バルブ243bを閉じ、処理室201内へのMSガスの供給を停止する。そして、ステップ1aのパージステップにおける処理手順と同様の処理手順により、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージステップ)。
【0067】
[所定回数実施]
ステップ1b,2bを非同時に、すなわち、WF
6ガスとMSガスとを互いに混合させることなく行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことにより、
図5(c)に示すように、第1W膜上に、第2W膜を形成することが可能となる。すなわち、ウエハ200上に、第1W膜と第2W膜とがこの順に積層されてなる所定膜厚のW膜(以下、単にW膜とも称する)を形成することが可能となる。ステップ1b,2bを非同時に行うサイクルを繰り返すことで、V字形状の凹部はやがて消滅し、第2W膜の上面(表面)、すなわちW膜の上面は平坦になる。このサイクルは、第2W膜の表面が平坦になるまで複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、1サイクルあたりに形成する第2W層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、第2W層を積層することで形成される第2W膜の膜厚が所望の膜厚になり、第2W膜の表面が平坦になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0068】
(エッチングステップ)
第2W膜形成ステップが終了した後、処理室201内のウエハ200に対し、NF3ガスを供給する。このステップでは、バルブ243a,243c,243dの開閉制御を、ステップ1aにおけるバルブ243a,243c,243dの開閉制御と同様の手順で行う。NF3ガスは、MFC241aにより流量調整され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してNF3ガスが供給される(エッチングガス供給ステップ)。
【0069】
本ステップにおける処理条件としては、
NF3ガス供給流量:1~10000sccm
ガス供給時間:1~1800秒、好ましくは1~1200秒
処理温度:300~600℃、好ましくは400~500℃
が例示される。他の処理条件は、ステップ1aにおける処理条件と同様とする。
【0070】
上述の条件下でウエハ200に対してNF3ガスを供給することにより、ウエハ200上に形成されたW膜の一部、すなわち、少なくとも第2W膜をエッチングすることができる(エッチングステップ、エッチバックステップ)。
【0071】
第1W膜と第2W膜とは、膜中の不純物濃度がそれぞれ異なるものの、実質的に同じ膜である。このため、第1W膜および第2W膜のNF
3ガスに対するエッチングレートは、実質的に等しくなる。その結果、エッチング処理のウエハ面内均一性(以下、単に面内均一性ともいう)を向上させることが可能となる。例えば、
図5(d)に示すように、エッチングの途中でウエハ200の表面(エッチング面)に第1W膜と第2W膜とが混在する場合であっても、ウエハ200の面内(表面)の全域にわたり、略均等なレートでエッチングすることが可能となる。上述のように、第2W膜の表面、すなわちW膜の表面は平坦面となっている。このため、ウエハ200の面内の全域にわたり、略均等なレートでエッチングが進行することで、エッチング後にウエハ200の凹部内に最終的に残る第1W膜の表面を平坦にすることが可能となる。
【0072】
ウエハ200上のW膜を所望の量だけエッチングし、
図5(e)に示すように、W膜の表面が第1W膜のみで構成される平坦な面となった後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのNF
3ガスの供給を停止する。そして、ステップ1aのパージステップにおける処理手順と同様の処理手順により、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する(パージステップ)。
【0073】
エッチングガスとしては、NF3ガスの他、フッ化水素(HF)ガス、三フッ化塩素(ClF3)ガス、フッ素(F2)ガス等を用いることができる。
【0074】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
エッチングステップが終了した後、ガス供給管232c,232dのそれぞれからN2ガスを処理室201内へ供給し、排気管231から排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0075】
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口されると共に、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。処理済のウエハ200は、反応管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0076】
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0077】
(a)WF6ガスとH2ガスとを用いてウエハ200の凹部内を埋め込むように第1W膜を形成した後、WF6ガスとMSガスとを用いて表面が平坦になるまで第2W膜を形成することにより、W膜のトータルでの生産性を向上させることが可能となる。すなわち、H2ガスよりも熱分解温度が低いMSガスを用いた第2W膜の改質レートは、H2ガスを用いた第1W膜の改質レートよりも大きいことから、本実施形態では、還元ガスとしてH2ガスのみを用いてW膜の成膜を行う場合と比較して、W膜の成膜処理の生産性を向上させることが可能となる。その結果、ウエハ200の表面に設けられた凹部内のW膜による埋め込み処理の生産性を向上させることが可能となる。
【0078】
(b)第1還元ガスとして、H元素のみで構成されるガス、すなわちSiやホウ素(B)等のH元素以外の他の元素非含有のガスを用いることにより、第1還元ガスに起因する不純物の第1W膜への混入を防止することができる。その結果、第1W膜の不純物濃度を低減させ、第1W膜の導電性低下等を回避することが可能となる。すなわち、第1W膜は高い品質を有する膜とし、ウエハ200の凹部内のW膜による埋め込み処理の品質を向上させることができる。
【0079】
(c)エッチング後に最終的にウエハ200上に残る第1W膜を不純物濃度が低い高品質な膜とし、エッチングにより除去される第2W膜を不純物濃度は高いが成膜レートの高い膜とすることにより、ウエハ200の凹部内のW膜による埋め込み処理の品質や生産性を向上させることが可能となる。
【0080】
(d)第1W膜と第2W膜とが実質的に等しいエッチングレートを有することで、エッチング処理の面内均一性を向上させることが可能となり、ウエハ200の凹部内に最終的に残るW膜の表面を平坦にすることが可能となる。
【0081】
(e)第1W膜を、ウエハ200に対して第1金属含有ガス(WF6ガス)と第1還元ガス(H2ガス)とを交互に供給する交互供給法で形成することにより、気相反応ではなく表面反応により第1W膜を形成することが可能となる。その結果、ウエハ200に対してWF6ガスとH2ガスとを同時に供給する同時供給法を用いる場合よりも、第1W膜の段差被覆性(ステップカバレッジ特性)を向上させることができる。これにより、凹部内におけるボイド等の発生を回避することが可能となる。結果として、凹部内を第1W膜によって完全に、すなわち、ボイドフリーの状態となるように隙間なく埋め込むことが可能となる。WF6ガスとH2ガスとを交互に供給して第1W膜を形成することにより、その結果、凹部内にボイド等を発生させることなく、凹部内を第1W膜で埋め込むことが可能となる。
【0082】
(f)第2W膜を、ウエハ200に対して第2金属含有ガス(WF6ガス)と第2還元ガス(MSガス)とを交互に供給する交互供給法で形成することにより、ウエハ200に対してWF6ガスとMSガスとを同時に供給する同時供給法を用いる場合よりも、第2W膜のステップカバレッジ特性を向上させることができる。これにより、第2W膜の膜厚制御の制御性を高めることができる。
【0083】
(g)第1W膜上に、第1W膜よりも低いストレス値を有する第2膜、すなわち、第1W膜よりも内部応力が小さい(膜ストレスの少ない)第2W膜を形成することにより、第1W膜に加わる応力を小さくすることができ、エッチングを行う際、第1W膜の変形や倒壊等を抑制することができる。
【0084】
(h)上述の効果は、WF6ガス以外の上述の原料ガスを用いる場合や、NF3ガス以外の上述のエッチングガスを用いる場合や、N2ガス以外の不活性ガスを用いる場合にも、同様に得ることができる。
【0085】
(4)変形例
本実施形態は、以下の変形例のように変更することができる。また、これらの変形例は、任意に組み合わせることができる。特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、上述の基板処理シーケンスの各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とする。
【0086】
(変形例1)
第2還元ガスとして、ジボラン(B
2H
6、略称:DB)ガス、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2、略称:DCS)ガス、ジシラン(Si
2H
6、略称:DS)ガス、アンモニア(NH
3)ガス等を用いてもよい。これらのガスを用いる場合においても、
図4に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。
【0087】
なお、第2還元ガスとしてDBガスを用いた場合、ステップ2bにおける処理条件としては、
DBガス供給流量:1~20000sccm
ガス供給時間:0.1~60秒
処理温度:150~400℃
が例示される。他の処理条件は、ステップ1aにおける処理条件と同様とする。また、この場合、ステップ1bにおける処理温度をステップ2bにおける処理温度と同様とすることが好ましい。
【0088】
また、第2還元ガスとして、DCSガスを用いた場合、ステップ2bにおける処理条件としては、
DCSガス供給流量:1~2000sccm
ガス供給時間:0.1~60秒
処理温度:300~600℃
が例示される。他の処理条件は、ステップ1aにおける処理条件と同様とする。また、この場合、ステップ1bにおける処理温度をステップ2bにおける処理温度と同様とすることが好ましい。
【0089】
また、第2還元ガスとして、DSガスを用いた場合、ステップ2bにおける処理条件としては、
DSガス供給流量:1~2000sccm
ガス供給時間:0.1~60秒
処理温度:200~400℃
が例示される。他の処理条件は、ステップ1aにおける処理条件と同様とする。また、この場合、ステップ1bにおける処理温度をステップ2bにおける処理温度と同様とすることが好ましい。
【0090】
また、第2還元ガスとして、NH3ガスを用いた場合、ステップ2bにおける処理条件としては、
NH3ガス供給流量:1~20000sccm
ガス供給時間:0.1~60秒
処理温度:300~600℃
が例示される。他の処理条件は、ステップ1aにおける処理条件と同様とする。また、この場合、ステップ1bにおける処理温度をステップ2bにおける処理温度と同様とすることが好ましい。
【0091】
また、第2還元ガスとして、上述の還元ガスのうち2種以上のガスを用いてもよい。
【0092】
(変形例2)
上述の実施形態では、第1,第2金属含有ガスに含まれる金属元素がWである場合について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、第1,第2金属含有ガスに含まれる金属元素が、銅(Cu)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)等の遷移金属元素や、アルミニウム(Al)等の典型金属元素である場合にも、本発明は好適に適用できる。本変形例においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0093】
(変形例3)
上述の実施形態では、ウエハ200上に、W単体で構成される膜を形成する例について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、ウエハ200上に、窒化タングステン(WN)膜、酸化タングステン(WO)膜、酸窒化タングステン(WON)膜、窒化チタン(TiN)膜等の金属元素を含む膜を形成する場合にも、本発明は好適に適用できる。これらの膜を形成する場合は、第1金属膜を形成する工程および第2金属膜を形成する工程のうち少なくともいずれかの工程において、ウエハ200に対して原料ガスを供給する工程、ウエハ200に対して還元ガスを供給する工程に加え、ウエハ200に対して窒化ガスを供給する工程や、ウエハ200に対して酸化ガスを供給する工程を更に含むサイクルを所定回数行うようにすればよい。窒化ガスとしては、例えばNH3ガスを用いることができ、酸化ガスとしては、例えば酸素(O2)ガスを用いることができる。
【0094】
(変形例4)
第1金属膜および第2金属膜は、それぞれ、異なる膜であってもよい。この場合、第1金属膜と第2金属膜とのエッチングレートが近いことが好ましい。
【0095】
第1,第2金属含有ガスに含まれる金属元素は、それぞれ異なる元素であってもよい。例えば、
図6に示す基板処理シーケンスのように、第1金属含有ガスとしてWF
6ガスを用い、第1金属膜としてW膜を形成し、第2金属含有ガスとしてチタニウムテトラクロライド(TiCl
4)ガスを用い、第2金属膜としてTi膜を形成してもよい。本変形例においても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0096】
第1金属膜として金属単体で構成される膜を形成し、第2金属膜として金属元素を含む膜を形成してもよい。例えば、第1金属膜としてW膜を形成し、第2金属膜としてWN膜、WO膜、TiN膜等を形成してもよい。また例えば、第1金属膜としてW膜を形成し、第2金属膜としてW膜よりも膜ストレスの少ないTiN膜、WN膜を形成することがより好ましい。
【0097】
(変形例5)
第2W膜形成ステップにおいては、
図7に示す基板処理シーケンスのように、WF
6ガスとMSガスとを同時に供給してもよい。本変形例においても、
図4に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。また、第2W膜を、同時供給法を用いて形成することにより、交互供給法を用いる場合よりも第2W膜の成膜レートを向上させることができる。結果として、第1W膜と第2W膜とが積層されてなるW膜のトータルでの成膜レートを更に向上させることが可能となる。但し、上述のように、第2W膜を、交互供給法を用いて形成する方が、第2W膜の膜厚制御の制御性を高めることができる点で、好ましい。
【0098】
(変形例6)
図4に示す基板処理シーケンスでは、ステップ2bにおいて、NF
3ガスの供給を連続的に行うようにしているが、NF
3ガスの供給を間欠的に複数回行うようにしてもよい。本変形例においても、
図4に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。
【0099】
(変形例7)
ステップ2bにおいては、ウエハ200に対してNF
3ガスと一緒に(同時に)O
2ガスを供給するようにしてもよい。この場合、O
2ガスの供給をNF
3ガスの供給と同時に開始してもよく、O
2ガスの供給をNF
3ガスの供給よりも先行して開始してもよい。また、NF
3ガスの供給の停止とO
2ガスの供給の停止とを同時に行ってもよく、NF
3ガスの供給の停止をO
2ガスの供給の停止よりも先行して行ってもよい。本変形例においても、
図4に示す基板処理シーケンスと同様の効果が得られる。また、エッチングステップにおいてO
2ガスを流すことで、エッチングガスによりエッチング対象膜以外の膜等が削られた場合であってもすぐに酸化させることができる。その結果、エッチング対象膜以外の膜とエッチングガスとの反応を最小限にすることができる。
【0100】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。但し、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0101】
上述の実施形態では、反応管が1重管構造を有する例について説明した。しかしながら、反応管は、内部反応管(インナーチューブ)と、その外側に設けられた外部反応管(アウターチューブ)とからなる2重管構造を有していてもよい。
【0102】
上述の実施形態では、第1W膜形成ステップ~エッチングステップに至る一連のステップを、同一の処理室201内にて(in-situで)行う例について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、第1,第2W膜形成ステップと、エッチングステップと、を異なる処理室内にて(ex-situで)行うこともできる。また例えば、第1W膜形成ステップと、第2W膜形成ステップ以降の一連のステップ群と、をex-situで行うこともできる。また例えば、それぞれのステップをex-situで行うこともできる。但し、全てのステップをin-situで行う方が、途中、ウエハ200が大気曝露されることはなく、ウエハ200を清浄な雰囲気下に置いたまま一貫して処理を行うことができ、安定した成膜処理を行うことが可能となる。
【0103】
上述の実施形態や変形例等は、不揮発性半導体記憶装置(不揮発性メモリ)であるフラッシュメモリの製造工程の一工程として行われる金属膜の形成工程に適用できる。以下、上述の実施形態や変形例等の手法を適用して製造したフラッシュメモリの一種であるNAND型フラッシュメモリ、中でも、三次元NAND型フラッシュメモリ(以下、3DNANDとも称する)の主要部の構造について、
図8を参照しつつ説明する。なお、ここでは、便宜上、3DNANDを構成する膜や構造の一部について説明することとし、それ以外の膜や構造については説明を省略することとする。
【0104】
図8に示すように、ウエハ200の表面上には、SiO膜等の絶縁膜102と、W膜等の金属膜104等と、が交互に複数層積層されてなる多層積層膜が形成されている。ここでは、最下層および最上層を絶縁膜102とする例を示している。金属膜104等はコントロールゲートとして作用する。すなわち、上下に隣接する絶縁膜102の間に、コントロールゲートとして作用する金属膜104等が形成されている。
図8では、便宜上、積層数が8層である例を示しているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。多層積層膜には、チャネルホールが形成されている。チャネルホール内には、外周側から順に、ONO膜、すなわち、SiO膜/SiN膜/SiO膜の3層で構成される絶縁膜108と、チャネルポリSi膜109とが形成されている。絶縁膜108、チャネルポリSi膜109は、それぞれ、筒状に形成されている。チャネルホール内の残りの部分、すなわち、チャネルポリSi膜109で構成される凹部内は、SiO膜等の絶縁膜(充填絶縁膜)110で埋め込まれている。チャネルホールの内壁表面と絶縁膜108との間に、SiO膜または酸化アルミニウム(AlO)等のメタル酸化膜で構成され、絶縁膜108を保護する保護膜107が形成されていてもよい。
【0105】
また、上述の実施形態や変形例等は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)の製造工程の一工程として行われるワードライン用の金属膜の形成工程にも適用できる。
【0106】
基板処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、処理を迅速に開始できるようになる。
【0107】
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更するようにしてもよい。
【0108】
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
【0109】
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態や変形例等と同様な処理手順、処理条件にて成膜を行うことができ、これらと同様の効果が得られる。
【0110】
また、上述の実施形態や変形例等は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
【実施例】
【0111】
以下、実施例について説明する。
【0112】
実施例として、
図1に示す基板処理装置を用い、
図4に示す基板処理シーケンスにより、ウエハ上にW膜を形成した。処理条件は、上述の実施形態における処理条件範囲内の所定の条件とした。
【0113】
比較例として、
図1に示す基板処理装置を用い、第1W膜形成ステップを行うことにより、ウエハ上にW膜を形成した。比較例では、第2W膜形成ステップを不実施とした。他の処理条件は、実施例における処理手順、処理条件と同様とした。
【0114】
そして、実施例および比較例について、第1W膜および第2W膜の形成処理のトータルの処理時間を測定した。
図9(a)にその結果を示す。
図9(a)によれば、実施例における第1W膜および第2W膜の形成処理のトータルの処理時間は、比較例におけるトータルの処理時間よりも短縮されていることが分かる。続いて、第1W膜形成ステップにおける第1W膜の成膜レート、および、第2W膜形成ステップにおける第2W膜の成膜レートを、それぞれ測定した。
図9(b)にその結果を示す。
図9(b)によれば、第2W膜の成膜レートは、第1W膜の成膜レートよりも大きいことが分かる。すなわち、
図9(a)(b)から、第2W膜形成ステップを実施することにより、ウエハが有する凹部をW膜により埋め込む基板処理の生産性を向上させることができることが分かる。
【符号の説明】
【0115】
200 ウエハ(基板)