(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】化合物、これを含む色変換フィルム、バックライトユニットおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
C07F 5/02 20060101AFI20220118BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20220118BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220118BHJP
【FI】
C07F5/02 Z CSP
G02B5/20
G02F1/13357
(21)【出願番号】P 2020556973
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 KR2020002725
(87)【国際公開番号】W WO2020175901
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0023896
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ムン、サン ピル
(72)【発明者】
【氏名】リー、ホヨン
(72)【発明者】
【氏名】レ、ドゥイ ヒュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェソン
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/044120(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/183854(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/210821(WO,A1)
【文献】特表2021-519804(JP,A)
【文献】国際公開第2020/059484(WO,A1)
【文献】Kang YUAN et al.,Spiro-BODIPYs with a Diaryl Chelate: Impact on Aggregation and Luminescence,J. Org. Chem.,2017年,vol.82, no.24,p.13481-13487
【文献】BONNIER, Catherine et al.,Perfluoroaryl-Substituted Boron Dipyrrinato Complexes,Organometallics,2009年,Vol.28, No.16,p.4845-4851,Introduction, Scheme 3, Table 2., ISSN 0276-7333
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 5/02
G02B 5/20
G02F 1/13357
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
化学式
1
【化1】
前記化学式1において、
Xは、直接結合;S;またはOであり、
R
1およびR
6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R
3およびR
4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R
2およびR
5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)OR
A;-OC(=O)R
B;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、前記R
1、R
3、R
4およびR
6がメチル基の場合、R
2およびR
5のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)OR
A;-OC(=O)R
B;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R
7は、置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R
8、R
10~R
13およびR
15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはハロゲン基であり、
R
9およびR
14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;-C(=O)OR
C;-OC(=O)R
D;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R
A~R
Dは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のクマリン基である。
【請求項2】
前記R
3およびR
4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;アルキル基で置換もしくは非置換のシクロアルキル基;ハロゲン基、アルキル基、
直鎖、分岐鎖、もしくは、環鎖のアルコキシ基、ハロアルキル基、シアノ基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリール基;またはアルキル基および
直鎖、分岐鎖、もしくは、環鎖のアルコキシ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のヘテロアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記R
1およびR
6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
前記R
2およびR
5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)OR
A;-OC(=O)R
B;アルキル基およびハロアルキル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基であり、
R
AおよびR
Bは、前記化学式1における定義と同じである、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記R
7は、アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基である、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記R
9およびR
14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;または置換もしくは非置換のアルキル基である、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記化学式1で表される化合物は、下記の化合物のうちのいずれか1つで表されるものである、請求項1に記載の化合物:
【化2】
前記化合物において、tBuは、tert-
ブチルである。
【請求項8】
樹脂マトリックス;および前記樹脂マトリックス内に分散した、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物を含む色変換フィルム。
【請求項9】
前記化合物の含有量は、色変換フィルムを基準として0.001重量%~10重量%である、請求項8に記載の色変換フィルム。
【請求項10】
請求項8に記載の色変換フィルムを含むバックライトユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のバックライトユニットを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2019年2月28日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0023896号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、化合物、これを含む色変換フィルム、バックライトユニットおよびディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
既存の発光ダイオード(LED)は、青色光発光ダイオードに緑色燐光体および赤色燐光体を混合するか、UV光放出発光ダイオードに黄色燐光体および青-緑色燐光体を混合して得られる。しかし、このような方式は、色相を制御しにくく、これによって演色性が良くない。したがって、色再現率が低下する。
【0004】
このような色再現率の低下を克服し、生産費用を低減するために、量子ドットをフィルム化して青色LEDに結合させる方式で緑色および赤色を実現する方式が、最近試みられている。しかし、カドミウム系の量子ドットは安全性の問題があり、その他の量子ドットはカドミウム系に比べて効率が大きく劣る。また、量子ドットは酸素および水に対する安定度に劣り、凝集される場合、その性能が著しく低下するという欠点がある。さらに、量子ドットの生産時、その大きさを一定に維持しにくく、生産単価が高い。
【0005】
既存のBF2またはB(CN)2ベースのボディピー構造の化合物は、高い光効率と狭い半値幅を有する蛍光染料であって、色変換フィルムへの適用時に優れた光特性を提供するが、商業化するには耐光性と耐熱性が不十分で、高い耐久性を有する化合物の開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書は、化合物、これを含む色変換フィルム、バックライトユニットおよびディスプレイ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の一実施態様によれば、下記化学式1で表される化合物を提供する。
[化学式1]
【化1】
【0008】
前記化学式1において、
Xは、直接結合;S;またはOであり、
R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R2およびR5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、前記R1、R3、R4およびR6がメチル基の場合、R2およびR5のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R7は、置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
R8、R10~R13およびR15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはハロゲン基であり、
R9およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;-C(=O)ORC;-OC(=O)RD;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
RA~RDは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のクマリン基である。
【0009】
本明細書のもう一つの実施態様は、樹脂マトリックス;および前記樹脂マトリックス内に分散した、前記化学式1で表される化合物を含む色変換フィルムを提供する。
【0010】
本明細書のもう一つの実施態様は、前記色変換フィルムを含むバックライトユニットを提供する。
【0011】
本明細書のもう一つの実施態様は、前記バックライトユニットを含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書の一実施態様に係る化合物は、従来のボディピー構造の化合物より耐光性および耐熱性に優れている。したがって、本明細書に記載の化合物を色変換フィルムの蛍光物質として用いることにより、輝度および色再現率に優れ、耐久性に優れた色変換フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本明細書の一実施態様に係る色変換フィルムをバックライトユニットに適用した模式図である。
【
図2】本明細書の一実施態様に係るディスプレイ装置の構造を例示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本出願についてさらに詳細に説明する。
【0015】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物を提供する。
【0016】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0017】
本明細書において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0018】
本明細書において、「隣接した」基は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味することができる。例えば、ベンゼン環におけるオルト(ortho)位に置換された2つの置換基、および脂肪族環における同一炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接した」基と解釈される。
【0019】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これに限定されるものではない。
【0020】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は水素原子の置換される位置すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定せず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0021】
本明細書において、「置換もしくは非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;-C(=O)R;-C(=O)OR';-OC(=O)R'';イミド基;アミド基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアミン基;置換もしくは非置換のシリル基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のハロアルキル基;置換もしくは非置換のアルコキシ基;置換もしくは非置換のアルケニル基;置換もしくは非置換のアルキニル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;置換もしくは非置換のヘテロ環基および置換もしくは非置換のクマリン基からなる群より選択される1または2以上の置換基で置換されているか、前記例示された置換基のうちの2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、もしくはいずれの置換基も有しないことを意味し、R、R'およびR''は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のクマリン基である。
【0022】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられる。
【0023】
本明細書において、イミド基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30のものが好ましい。
【0024】
本明細書において、アミド基は、アミド基の窒素が水素、炭素数1~30の直鎖、分枝鎖もしくは環鎖アルキル基、または炭素数6~30のアリール基で置換されていてもよい。
【0025】
本明細書において、アミン基は、-NH2;モノアルキルアミン基;ジアルキルアミン基;N-アルキルアリールアミン基;モノアリールアミン基;ジアリールアミン基;N-アリールヘテロアリールアミン基;N-アルキルヘテロアリールアミン基、モノヘテロアリールアミン基、およびジヘテロアリールアミン基からなる群より選択されてもよいし、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。
【0026】
本明細書において、N-アルキルアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0027】
本明細書において、N-アリールヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアリール基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0028】
本明細書において、N-アルキルヘテロアリールアミン基は、アミン基のNにアルキル基およびヘテロアリール基が置換されたアミン基を意味する。
【0029】
本明細書において、アルキルアミン基、N-アルキルアリールアミン基、アルキルチオキシ基、アルキルスルホキシ基、N-アルキルヘテロアリールアミン基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示の通りである。
【0030】
本明細書において、シリル基は、具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、アルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30のものが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~30のものが好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書において、ハロアルキル基は、アルキル基の水素原子が同一または異なるハロゲン基に代替されたアルキル基を示す。前記ハロアルキル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~10のものが好ましい。具体例としては、-CH2Cl、-CF3、-CH2CF3、-CF2CF3などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分枝鎖もしくは環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30のものが好ましい。
【0035】
本明細書において、アルケニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~30のものが好ましい。
本明細書において、アルキニル基は、直鎖もしくは分枝鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~30のものが好ましい。具体例としては、エチニル、プロピニル、2-メチル-2プロピニル、2-ブチニル、2-ペンチニルなどのアルキニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~30のものが好ましく、前記アリール基は、単環式または多環式であってもよい。
【0037】
前記アリール基が単環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30のものが好ましい。具体的には、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0038】
前記アリール基が多環式アリール基の場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~30のものが好ましい。具体的には、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、トリフェニル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などになってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0039】
本明細書において、フルオレニル基は置換されていてもよいし、隣接した基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0040】
前記フルオレニル基が置換される場合、
【化2】
、
【化3】
、
【化4】
、および
【化5】
などになってもよい。ただし、これらに限定されるものではない。
【0041】
本明細書において、アリールオキシ基およびアリールチオキシ基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の通りである。具体的には、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチル-フェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基などがあり、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2-メチルフェニルチオキシ基、4-tert-ブチルフェニルチオキシ基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素でない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的には、前記異種原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含むことができる。炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30のものが好ましく、前記ヘテロアリール基は、単環式または多環式であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラニル基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基(phenanthroline)、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書において、クマリン基は、クマリン基の炭素がハロゲン基;ニトリル基;炭素数1~25の直鎖、分枝鎖もしくは環鎖のアルキル基;アミン基;炭素数1~25の直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ基;または炭素数6~30のアリール基で置換されていてもよい。
【0044】
本明細書の一実施態様において、Xは、直接結合;S;またはOである。
【0045】
本明細書の一実施態様において、Xは、直接結合である。
【0046】
本明細書の一実施態様において、Xは、Sである。
【0047】
本明細書の一実施態様において、Xは、Oである。
【0048】
本明細書の一実施態様において、R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0049】
本明細書の一実施態様において、R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基である。
【0050】
本明細書の一実施態様において、R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC1~C30のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基である。
【0051】
本明細書の一実施態様において、R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換の C1~C30のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C60のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基である。
【0052】
本明細書の一実施態様において、R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のC1~C10のアルキル基;置換もしくは非置換のC3~C20のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換のC6~C20のアリール基である。
【0053】
本明細書の一実施態様において、R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換もしくは非置換のメチル基;置換もしくは非置換のシクロヘキシル基;または置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0054】
本明細書の一実施態様において、R1およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;メチル基;アルキル基で置換もしくは非置換のシクロヘキシル基;またはフェニル基である。
【0055】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0056】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;アルキル基で置換もしくは非置換のシクロアルキル基;ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、シアノ基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリール基;またはアルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0057】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C30のアルキル基;アルキル基で置換もしくは非置換のC3~C30のシクロアルキル基;ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、シアノ基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;またはアルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0058】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のC1~C15のアルキル基;アルキル基で置換もしくは非置換のC3~C20のシクロアルキル基;ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、シアノ基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC6~C30のアリール基;またはアルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0059】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のメチル基;アルキル基で置換もしくは非置換のシクロヘキシル基;またはハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、シアノ基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0060】
本明細書の一実施態様において、R3およびR4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;メチル基で置換もしくは非置換のシクロヘキシル基;またはアルキル基およびアルコキシ基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0061】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、前記R1、R3、R4およびR6がメチル基の場合、R2およびR5のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0062】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、前記R1、R3、R4およびR6がメチル基の場合、R2およびR5のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のC6~C60のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0063】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のC6~C30のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C30のヘテロアリール基であり、前記R1、R3、R4およびR6がメチル基の場合、R2およびR5のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のC6~C30のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C30のヘテロアリール基である。
【0064】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のC6~C20のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C20のヘテロアリール基であり、前記R1、R3、R4およびR6がメチル基の場合、R2およびR5のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のC6~C20のアリール基;または置換もしくは非置換のC2~C20のヘテロアリール基である。
【0065】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;アルキル基およびハロアルキル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基であり、前記R1、R3、R4およびR6がメチル基の場合、R2およびR5のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;置換もしくは非置換のフェニル基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基である。
【0066】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;アルキル基およびハロアルキル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基;またはジベンゾフラン基であり、前記R1、R3、R4およびR6がメチル基の場合、R2およびR5のうちの少なくとも1つは、ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;アルキル基およびハロアルキル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基;またはジベンゾフラン基である。
【0067】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5は、互いに同一であり、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;アルキル基およびハロアルキル基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基;またはジベンゾフラン基である。
【0068】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5のうちの1つは、水素であり、他の1つは、シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0069】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5のうちの1つは、水素であり、他の1つは、シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;または置換もしくは非置換のメチル基である。
【0070】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5のうちの1つは、水素であり、他の1つは、シアノ基;-C(=O)ORA;-OC(=O)RB;またはメチル基である。
【0071】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5のうちの1つは、-C(=O)ORAまたは-OC(=O)RBであり、他の1つは、置換もしくは非置換のアリール基である。
【0072】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5のうちの1つは、-C(=O)ORAまたは-OC(=O)RBであり、他の1つは、ハロアルキル基で置換もしくは非置換のアリール基である。
【0073】
本明細書の一実施態様において、R2およびR5のうちの1つは、-C(=O)ORAまたは-OC(=O)RBであり、他の1つは、ハロアルキル基で置換もしくは非置換のフェニル基である。
【0074】
本明細書の一実施態様において、RAおよびRBは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のクマリン基である。
【0075】
本明細書の一実施態様において、RAおよびRBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;または置換もしくは非置換のクマリン基である。
【0076】
本明細書の一実施態様において、RAおよびRBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0077】
本明細書の一実施態様において、RAおよびRBは、それぞれ独立して、クマリン基で置換されたアルコキシ基で置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0078】
本明細書の一実施態様において、RAおよびRBは、それぞれ独立して、クマリン基で置換されたアルキル基である。
【0079】
本明細書の一実施態様において、RAおよびRBは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のクマリン基である。
【0080】
本明細書の一実施態様において、R7は、置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のアリールチオキシ基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0081】
本明細書の一実施態様において、R7は、置換もしくは非置換のC6~C30のアリール基;置換もしくは非置換のC6~C30のアリールオキシ基;置換もしくは非置換のC6~C30のアリールチオキシ基;または置換もしくは非置換のC6~C30のヘテロアリール基である。
【0082】
本明細書の一実施態様において、R7は、アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のジベンゾフラン基である。
【0083】
本明細書の一実施態様において、R7は、アルキル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、およびアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換もしくは非置換のフェニル基;またはジベンゾフラン基である。
【0084】
本明細書の一実施態様において、R8、R10~R13およびR15は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはハロゲン基である。
【0085】
本明細書の一実施態様において、R8、R10~R13およびR15は、互いに同一であり、水素;重水素;またはハロゲン基である。
【0086】
本明細書の一実施態様において、R8、R10~R13およびR15は、水素である。
【0087】
本明細書の一実施態様において、R8、R10~R13およびR15は、重水素である。
【0088】
本明細書の一実施態様において、R8、R10~R13およびR15は、ハロゲン基である。
【0089】
本明細書の一実施態様において、R8、R10~R13およびR15は、フルオル基である。
【0090】
本明細書の一実施態様において、R9およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;-C(=O)ORC;-OC(=O)RD;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0091】
本明細書の一実施態様において、R9およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;-C(=O)ORC;-OC(=O)RD;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基である。
【0092】
本明細書の一実施態様において、R9およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;または置換もしくは非置換のアルキル基である。
【0093】
本明細書の一実施態様において、R9およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;または置換もしくは非置換のC1~C20のアルキル基である。
【0094】
本明細書の一実施態様において、R9およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;シアノ基;または置換もしくは非置換のC1~C10のアルキル基である。
【0095】
本明細書の一実施態様において、RCおよびRDは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換のヘテロアリール基;または置換もしくは非置換のクマリン基である。
【0096】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1で表される化合物は、下記の化合物のうちのいずれか1つで表される。
【化6】
【0097】
前記化合物において、tBuは、tert-butylである。
【0098】
本明細書の一実施態様によれば、樹脂マトリックス;および前記樹脂マトリックス内に分散した、前記化合物を含む色変換フィルムを提供する。
【0099】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1の化合物は、前記樹脂マトリックス100重量部対比、0.01重量部~5重量部、0.01重量部~3重量部、0.05重量部~1重量部含まれる。
【0100】
本明細書に係る色変換フィルムは、430nm~470nmの領域内で光を放出する光源を用いる場合、510nm~560nmの領域内に50nm以下の半値幅を有する最大発光ピークを有する。前記光源は、例えば、青色LEDであってもよいが、これに限定されない。前記半値幅は、外部光源から吸収した光を他の波長の光に変換して発光する時、発光した光の最大発光ピークにおける最大高さの半分の場合の発光ピークの幅を意味し、半値幅が小さいほど、色再現率に優れる。
【0101】
前記最大発光ピークおよび半値幅は、まず、前述した色変換フィルムをバックライトユニットの導光板の一面に積層し、前記色変換フィルム上にプリズムシートとDBEFフィルムとを積層した後、分光放射輝度計を用いて輝度スペクトルを測定して得ることができる。
【0102】
前記色変換フィルム中の前記化合物の含有量は、0.001重量%~15重量%、好ましくは0.001重量%~10重量%の範囲内であってもよい。前記化合物の含有量が前記範囲内にある場合、均一な組成の色変換フィルムを作製することができる。
【0103】
前記色変換フィルムは、前記化合物を1種含むことができ、2種以上含むこともできる。例えば、前記色変換フィルムは、前記化学式1で表される化合物のうち緑色発光する化合物1種を含むことができる。もう一つの例として、前記色変換フィルムは、前記化学式1で表される化合物のうち赤色発光する化合物1種を含むことができる。もう一つの例として、前記色変換フィルムは、前記化学式1で表される化合物のうち緑色発光する化合物1種と赤色発光する化合物1種とを含むことができる。
【0104】
前記色変換フィルムは、前記化学式1で表される化合物の他に、追加の蛍光物質をさらに含んでもよい。青色光を発光する光源を用いる場合には、前記色変換フィルムは、緑色発光蛍光物質と赤色発光蛍光物質がすべて含まれることが好ましい。また、青色光と緑色光を発光する光源を用いる場合には、前記色変換フィルムは、赤色発光蛍光物質のみを含むことができる。ただし、これに限定されるものではなく、青色光を発光する光源を用いる場合にも、緑色発光蛍光物質を含む別のフィルムを積層する場合には、前記色変換フィルムは、赤色発光化合物のみを含むことができる。逆に、青色光を発光する光源を用いる場合にも、赤色発光蛍光物質を含む別のフィルムを積層する場合には、前記色変換フィルムは、緑色発光化合物のみを含むことができる。
【0105】
前記色変換フィルムは、樹脂マトリックス;および前記樹脂マトリックス内に分散し、前記化学式1で表される化合物と異なる波長の光を発光する化合物を含む追加の層をさらに含んでもよい。前記化学式1で表される化合物と異なる波長の光を発光する化合物も、前記化学式1で表現される化合物であってもよく、公知の他の蛍光物質であってもよい。
【0106】
前記樹脂マトリックスの材料は、熱可塑性高分子または熱硬化性高分子であることが好ましい。具体的には、前記樹脂マトリックスの材料としては、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなポリ(メタ)アクリル系、ポリカーボネート系(PC)、ポリスチレン系(PS)、ポリアリーレン系(PAR)、ポリウレタン系(PU)、スチレン-アクリロニトリル系(SAN)、ポリビニリデンフルオライド系(PVDF)、改質されたポリビニリデンフルオライド系(modified-PVDF)などが使用できる。
【0107】
本明細書の一実施態様によれば、前述した実施態様に係る色変換フィルムが追加的に光拡散粒子を含む。輝度を向上させるために、従来用いられる光拡散フィルムの代わりに、光拡散粒子を色変換フィルムの内部に分散させることにより、別の光拡散フィルムを用いることに比べて、付着工程を省略できるだけでなく、より高い輝度を示すことができる。
【0108】
光拡散粒子としては、樹脂マトリックスと屈折率の高い粒子が使用可能であり、例えば、TiO2、シリカ、ボロシリケート、アルミナ、サファイア、空気または他のガスが充填された中空ビーズまたは粒子(例えば、空気/ガスが充填されたガラスまたはポリマー);ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、アクリル、メチルメタクリレート、スチレン、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、またはメラミンおよびホルムアルデヒド樹脂をはじめとするポリマー粒子;またはこれらの任意の好適な組み合わせが使用可能である。
【0109】
前記光拡散粒子の粒径は、0.1μm~5μmの範囲内、例えば、0.3μm~1μmの範囲内であってもよい。光拡散粒子の含有量は、必要に応じて定められ、例えば、樹脂マトリックス100重量部を基準として約1~30重量部の範囲内であってもよい。
【0110】
前述した実施態様に係る色変換フィルムは、厚さが2μm~200μmであってもよい。特に、前記色変換フィルムは、厚さが2μm~20μmの薄い厚さでも高い輝度を示すことができる。これは、単位体積上に含まれる蛍光物質分子の含有量が量子ドットに比べて高いからである。
【0111】
前述した実施態様に係る色変換フィルムは、一面に基材が備えられる。この基材は、前記色変換フィルムの製造時、支持体としての機能を果たすことができる。基材の種類としては特に限定されず、透明で、前記支持体としての機能を果たせるものであれば、その材質や厚さに限定されない。ここで、透明とは、可視光線透過率が70%以上であることを意味する。例えば、前記基材としては、PETフィルムが使用できる。
【0112】
前述した色変換フィルムは、前述した化学式1で表される化合物が溶解した樹脂溶液を基材上にコーティングし、乾燥するか、前述した化学式1で表される化合物を樹脂と共に押出してフィルム化することにより、製造できる。
【0113】
前記樹脂溶液中には、前述した化学式1で表される化合物が溶解しているため、化学式1で表される化合物が溶液中に均質に分布する。これは、別の分散工程を必要とする量子ドットフィルムの製造工程とは異なる。
【0114】
前記化学式1で表される化合物が溶解した樹脂溶液は、溶液中に前述した化学式1で表される化合物が樹脂に溶けている状態であれば、その製造方法は特に限定されない。
【0115】
一例によれば、前記化学式1で表される化合物が溶解した樹脂溶液は、化学式1で表される化合物を溶媒に溶かして第1溶液を用意し、樹脂を溶媒に溶かして第2溶液を用意し、前記第1溶液と第2溶液とを混合する方法により製造できる。前記第1溶液と第2溶液とを混合する時、均質に混ぜることが好ましい。しかし、これに限定されず、溶媒に化学式1で表される化合物と樹脂を同時に添加して溶かす方法、溶媒に化学式1で表される化合物を溶かし、次いで、樹脂を添加して溶かす方法、溶媒に樹脂を溶かし、次いで、化学式1で表される化合物を添加して溶かす方法などが使用できる。
【0116】
前記溶液中に含まれている樹脂としては、前述した樹脂マトリックス材料、この樹脂マトリックス樹脂に硬化可能なモノマー、またはこれらの混合が使用できる。例えば、前記樹脂マトリックス樹脂に硬化可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマーがあり、これは、UV硬化によって樹脂マトリックス材料に形成される。このように硬化可能なモノマーを用いる場合、必要に応じて、硬化に必要な開始剤がさらに添加されてもよい。
【0117】
前記溶媒としては特に限定されず、前記コーティング工程に悪影響を及ぼすことなく、後で乾燥によって除去できるものであれば、特に限定されない。
【0118】
前記溶媒の非制限的な例としては、トルエン、キシレン、アセトン、クロロホルム、各種アルコール系溶媒、MEK(メチルエチルケトン)、MIBK(メチルイソブチルケトン)、EA(エチルアセテート)、ブチルアセテート、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、NMP(N-メチル-ピロリドン)などが使用可能であり、1種または2種以上が混合されて使用可能である。前記第1溶液と第2溶液を用いる場合、これらそれぞれの溶液に含まれる溶媒は、同一であっても、異なっていてもよい。前記第1溶液と前記第2溶液に互いに異なる種類の溶媒が用いられる場合にも、これらの溶媒は、互いに混合できるように相溶性を有することが好ましい。
【0119】
前記化学式1で表される化合物が溶解した樹脂溶液を基材上にコーティングする工程は、ロールツーロール工程を利用することができる。例えば、基材が巻取られたロールから基材を解いた後、前記基材の一面に前記化学式1で表される化合物が溶解した樹脂溶液をコーティングし、乾燥した後、これを再びロールに巻取る工程で行われる。ロールツーロール工程を利用する場合、前記樹脂溶液の粘度を前記工程が可能な範囲で決定することが好ましく、例えば、200cps~2,000cpsの範囲内で決定可能である。
【0120】
前記コーティング方法としては、公知の多様な方式を利用することができ、例えば、ダイ(die)コーターが用いられてもよく、コンマ(comma)コーター、逆コンマ(reverse comma)コーターなどの多様なバーコーティング方式が用いられてもよい。
【0121】
前記コーティング後に乾燥工程を行う。乾燥工程は、溶媒を除去するのに必要な条件で行うことができる。例えば、基材がコーティング工程時に進行する方向に、コーターに隣接して位置したオーブンにて溶媒が十分に揮発する条件で乾燥して、基材上に所望の厚さおよび濃度の化学式1で表される化合物をはじめとする蛍光物質を含む色変換フィルムを得ることができる。
【0122】
前記溶液中に含まれる樹脂として前記樹脂マトリックス樹脂に硬化可能なモノマーを用いる場合、前記乾燥前に、または乾燥と同時に硬化、例えば、UV硬化を行うことができる。
【0123】
前記化学式1で表される化合物を樹脂と共に押出してフィルム化する場合には、当技術分野で知られている押出方法を利用することができ、例えば、化学式1で表される化合物をポリカーボネート系(PC)、ポリ(メタ)アクリル系、スチレン-アクリロニトリル系(SAN)のような樹脂を共に押出することにより色変換フィルムを製造することができる。
【0124】
本明細書の一実施態様によれば、前記色変換フィルムは、少なくとも一面に保護フィルムまたはバリアフィルムが備えられる。保護フィルムおよびバリアフィルムとしては、当技術分野で知られているものが使用可能である。
【0125】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物を含む色変換フィルムを含むバックライトユニットを提供する。前記バックライトユニットは、前記色変換フィルムを含むことを除けば、当技術分野で知られているバックライトユニット構成を有することができる。
図1に一例によるバックライトユニット構造の模式図を示した。
図1によれば、導光板の反射板に対抗する面の反対面に、前記化学式1で表される化合物を含む色変換フィルムが備えられる。
図1には、光源と光源を取り囲む反射板とを含む構成を例示したが、このような構造に限定されるものではなく、当技術分野で知られているバックライトユニット構造によって変形可能である。また、光源は、側鎖型だけでなく、直下型が用いられてもよいし、反射板や反射層は、必要に応じて省略されるか他の構成に代替されてもよいし、必要に応じて追加のフィルム、例えば、光拡散フィルム、集光フィルム、輝度向上フィルムなどがさらに追加的に備えられてもよい。好ましくは、色変換フィルム上に、プリズムシート、多層反射型偏光子フィルム、集光フィルム、または輝度向上フィルムを追加的に備える。
【0126】
図1のようなバックライトユニットの構成のうち、前記導光板の上面または下面には、必要に応じて散乱パターンが備えられてもよい。導光板の内部に流入した光は、反射、全反射、屈折、透過などの光学的過程の繰り返しで不均一な光分布を有するが、前記散乱パターンは、前記不均一な光分布を均一な明るさに誘導するために利用可能である。
【0127】
本明細書の一実施態様によれば、前記バックライトユニットを含むディスプレイ装置を提供する。バックライトユニットを含むディスプレイ装置であれば特に限定されない。例えば、前記ディスプレイ装置は、ディスプレイモジュールと、バックライトユニットとを含む。
図2にディスプレイ装置の構造を例示した。しかし、これのみに限定されたわけではなく、ディスプレイモジュールとバックライトユニットとの間に、必要な場合、追加のフィルム、例えば、光拡散フィルム、集光フィルム、輝度向上フィルムなどがさらに追加的に備えられてもよい。
【実施例】
【0128】
以下、本明細書を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本明細書の範囲が以下に詳述する実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本明細書をより完全に説明するために提供されるものである。
【0129】
【0130】
化合物1-1の合成
フラスコに、2,4-ジメチルピロール10g、ベンズアルデヒド0.52当量、トリフルオル酢酸(2drop)、および乾燥ジクロロメタン(500mL)を混合後、窒素下、5時間常温で撹拌した。TLCで出発物質が消えたことを確認後、0℃でDDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン)0.52当量を添加した。常温で1時間撹拌後、トリエチルアミン2.5当量をゆっくり滴加した。30分間常温で撹拌後、10-ブロモ-9-オキサ-10-ボランアントラセン4.6当量をゆっくり滴加した。反応物を常温で5時間撹拌後に水を入れた後、ジクロロメタンで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、フィルタおよび減圧蒸留して溶媒を除去した。シリカゲルカラム(ヘキサン/エチルアセテート)を通して化合物1-1(13.5g、収率57%)を得た。
【0131】
化合物1の合成
化合物1-1 3.5gをジメチルホルムアミドに溶解させた後、常温でN-ヨードスクシンイミド(NIS)6当量をゆっくり入れた。60℃に加熱撹拌して反応を進行し、反応が終結した後、ソジウムチオスルフェート溶液とジクロロメタンを用いて抽出した。有機層はソジウムスルフェートを用いて乾燥させ、メタノールを用いて固体に精製した。これによって化合物1(4.5g、収率83%)を得ることができた。(HR LC/MS/MS m/z calcd.for C31H25BI2N2O(M+):706.0149;found:706.0141)
【0132】
【0133】
化合物2の合成
化合物1 2.5gと2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロニックアシッド4.2当量をテトラヒドロフラン溶媒に溶かし、ポタシウムカーボネート10当量を水に溶かして共に撹拌した。80℃に加熱した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.0当量を入れて、反応が終了すると、水とクロロホルムを用いて抽出した。有機層はソジウムスルフェートを用いて乾燥させ、メタノールを用いて固体に精製した。これによって化合物2(2.3g、収率74%)を得ることができた。(HR LC/MS/MS m/z calcd for C47H31BF12N2O(M+):878.2338;found:878.2343)
【0134】
【0135】
化合物3-1の合成
化合物1-1の合成において、ベンズアルデヒドの代わりにメシチルアルデヒドを用い、10-ブロモ-9-オキサ-10-ボランアントラセンの代わりに5-ブロモ-5H-ジベンゾボロールを用いることを除けば、同様の方法で合成した。これによって化合物3-1を9.5g(収率40%)得ることができた。
【0136】
化合物3-2の合成
フラスコに、ジメチルホルムアミド(4mL)とジクロロエタン(50mL)とを混合後、0℃に温度を下げた。窒素雰囲気下、POCl3(4mL)をゆっくり滴加した後、常温で30分間撹拌した。前記反応溶液に化合物3-1 3.9gを添加した後、60℃に昇温して1時間撹拌した。常温に冷やした後、氷と飽和水酸化ナトリウム水溶液との混合液に入れた。常温で2時間撹拌後、クロロホルムで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後にフィルタし、減圧蒸留して溶媒を除去した。シリカゲルカラム(ヘキサン/エチルアセテート)を通して化合物3-2(2.8g、収率66%)を得た。
【0137】
化合物3-3の合成
フラスコに、化合物3-2 2.7gとN-ヨードスクシンイミド(NIS)3当量をジメチルホルムアミドに溶かした後、60℃で5時間撹拌した。常温に冷やした後、水を入れて固体をフィルタした。固体をクロロホルムに溶かした後、ソジウムチオスルフェート飽和溶液で洗った。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、シリカフィルタした。減圧蒸留して溶媒を除去した後、シリカゲルカラム(ヘキサン/エチルアセテート)を通して化合物3-3(2.9g、収率86%)を得た。
【0138】
化合物3-4の合成
化合物3-3 2.7gと2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロニックアシッド2.1当量をトルエンとエタノールに溶かした後、炭酸カリウム3.0当量を水と共に反応溶液に添加した後に撹拌した。80℃に加熱した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.0当量を入れて、反応が終了すると、水とクロロホルムを用いて抽出した。有機層はソジウムスルフェートを用いて乾燥させ、メタノールを用いて固体に精製した。これによって化合物3-4(2.6g、収率85%)を得ることができた。
【0139】
化合物3-5の合成
化合物3-4 2.5gとアミドスルホニックアシッド1当量をテトラヒドロフランに溶かした後、水に溶かしたソジウムクロライド1当量をゆっくり滴加した。0℃で1時間撹拌後、反応が終了すると、ソジウムチオスルフェート飽和溶液を用いてクロロホルムで抽出した。有機層をソジウムスルフェートを用いて乾燥させた。溶媒を除去して化合物3-5(2.3g、収率90%)を得た。
【0140】
化合物3の合成
化合物3-5 2.2g、7-ヒドロキシルクマリン1.2当量、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)0.2当量、およびEDC(N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)-HCl1.2当量をジクロロメタンに入れて加熱撹拌した。反応が終結した後、常温に冷やし、水を入れて抽出した。有機層はソジウムスルフェートを用いて乾燥させ、溶媒は蒸発させた。シリカゲルカラム(ヘキサン/エチルアセテート)を通して化合物3(2.2g、収率84%)を得た。(HR LC/MS/MS m/z calcd for C52H39BF6N2O4(M+):880.2907;found:880.2901)
【0141】
【0142】
化合物4-1の合成
化合物1-1の合成において、2,4-ジメチルピロールの代わりにピロールを用いることを除けば、同様の方法で合成した。これによって化合物4-1(13.1g、収率44%)を得ることができた。
【0143】
化合物4の合成
化合物4-1 3.0g、シクロヘキシルトリフルオロボレートポタシウムソルト5当量、マンガンアセテート水和物10当量をジメチルホルムアミド溶媒に入れて、80℃以下に加熱した。反応が終結すると、常温に冷やした後、水を入れてセライトパッドでフィルタした。セライトパッドを再度テトラヒドロフランに溶解させた後、ソジウムスルフェートを入れて乾燥させ、フィルタした。溶媒は減圧して除去し、メタノールを用いて固体に精製した。これによって化合物4(3.2g、収率58%)を得ることができた。(HR LC/MS/MS m/z calcd for C51H59BN2O(M+):726.4720;found:751.4713)
【0144】
【0145】
化合物5の合成
化合物4 3.0gをジクロロメタン溶媒に溶かした後、クロロスルホニルイソシアネートを3当量入れた。常温で反応を進行させ、反応は少量分け出してジメチルホルムアミドと混合した後に確認した。反応が終了すると、ジメチルホルムアミド10当量を入れて3時間程度撹拌した。水とクロロホルムを用いて抽出した後、有機層はソジウムスルフェートを用いて乾燥させ、メタノールを用いて固体に精製した。これによって化合物5(2.9g、収率93%)を得ることができた。(HR LC/MS/MS m/z calcd for C52H58BN3O(M+):751.4673;found:751.4678)
【0146】
【0147】
化合物6-1の合成
化合物1-1の合成において、2,4-ジメチルピロールの代わりにピロールを用い、10-ブロモ-9-オキサ-10-ボランアントラセンの代わりに10-ブロモ-9-チア-10-ボランアントラセンを用いることを除けば、同様の方法で合成した。これによって化合物6-1(14.1g、収率46%)を得ることができた。
【0148】
化合物6-2の合成
化合物4の合成において、化合物4-1の代わりに化合物6-1を用いることを除けば、同様の方法で合成した。これによって化合物6-2(3.2g、収率59%)を得ることができた。
【0149】
化合物6の合成
化合物6-2 3.0gをジクロロメタン溶媒に溶かした後、クロロスルホニルイソシアネートを10当量入れた。60℃以下に加熱し、反応は少量分け出してジメチルホルムアミドと混合した後に確認した。反応が終了すると、ジメチルホルムアミド30当量を入れて、3時間程度撹拌させた。水とクロロホルムを用いて抽出した後、有機層はソジウムスルフェートを用いて乾燥させ、メタノールを用いて固体に精製した。化合物6(2.8g、収率87%)を得ることができた。(HR LC/MS/MS m/z calcd for C53H57BN4S(M+):792.4397;found:700.2401)
【0150】
【0151】
化合物7-1の合成
フラスコに、ピロール10g、ジベンゾフランアルデヒド0.52当量、トリフルオル酢酸(2drop)、および乾燥テトラヒドロフラン(100mL)を混合後、窒素下、5時間常温で撹拌した。TLCで出発物質が消えたことを確認後、-78℃で臭素1.0当量を添加した。反応完了後、トリエチルアミン3当量とエタノールを入れてよく撹拌した。この時生成された固体をフィルタして化合物7-1(15.4g、44%)を得た。
【0152】
化合物7-2の合成
化合物7-1 15.4gをジクロロメタンに溶かし、0℃でDDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン)1.0当量を添加した。常温で1時間撹拌後、トリエチルアミン2.0当量をゆっくり滴加した。30分間常温で撹拌後、10-ブロモ-9-オキサ-10-ボランアントラセン4.0当量をゆっくり滴加した。反応物を常温で5時間撹拌後、水を入れた後、ジクロロメタンで抽出した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、フィルタおよび減圧蒸留して溶媒を除去した。シリカゲルカラム(ヘキサン/エチルアセテート)を通して化合物7-2(13.5g、収率64%)を得た。
【0153】
化合物7の合成
化合物7-2 3.0gと4-メトキシフェニルボロニックアシッド4.2当量をテトラヒドロフラン溶媒に溶かし、ポタシウムカーボネート10当量を水に溶かして共に撹拌した。80℃に加熱した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム1.0当量を入れて、反応が終了すると、水とクロロホルムを用いて抽出した。有機層はソジウムスルフェートを用いて乾燥させ、メタノールを用いて固体に精製した。これによって化合物7(2.4g、収率74%)を得ることができた。(HR LC/MS/MS m/z calcd for C47H33BN2O4(M+):700.2533;found:700.2528)
【0154】
【0155】
化合物8-1の合成
化合物1-1の合成において、2,4-ジメチルピロールの代わりに2-(4-(t-ブチル)フェニル)-4-フェニル-1H-ピロールを用い、ベンズアルデヒドの代わりにジベンゾフランアルデヒドを用いることを除けば、同様の方法で合成した。これによって化合物8-1(19.6g、収率60%)を得ることができた。
【0156】
化合物8-2の合成
化合物3-2の合成において、化合物3-1の代わりに化合物8-1を用いることを除けば、同様の方法で合成した。シリカゲルカラム(ヘキサン/エチルアセテート)を通して化合物8-2(2.8g、収率91%)を得た。
【0157】
化合物8-3の合成
化合物3-5の合成において、化合物3-4の代わりに化合物8-2を用いることを除けば、同様の方法で合成した。これによって化合物8-3(2.6g、収率91%)を得た。
【0158】
化合物8の合成
化合物3の合成において、化合物3-5の代わりに化合物8-3を用いることを除けば、同様の方法で合成した。シリカゲルカラム(ヘキサン/エチルアセテート)を通して化合物8(2.3g、収率77%)を得た。(HR LC/MS/MS m/z calcd for C75H57BN2O6(M+):1092.4310;found:1092.4295)
【0159】
<実施例1>
有機蛍光体である化合物1(トルエン溶液における最大吸収波長515nm、最大発光波長531nm、半値幅38nm)を溶媒キシレンに溶かして第1溶液を製造した。
【0160】
熱可塑性樹脂SAN(スチレン-アクリロニトリル系)を溶媒キシレンに溶かして第2溶液を製造した。前記SAN100重量部を基準として有機蛍光体の量が0.5重量部となるように第1溶液と第2溶液とを混合し、均質に混合した。混合された溶液中の固形分含有量は20重量%であり、粘度は200cpsであった。この溶液をPET基材にコーティングした後、乾燥して色変換フィルムを製造した。
【0161】
製造された色変換フィルムの輝度スペクトルを分光放射輝度計(TOPCON社のSR series)で測定した。具体的には、製造された色変換フィルムをLED青色バックライト(最大発光波長450nm)と導光板とを含むバックライトユニットの導光板の一面に積層し、色変換フィルム上にプリズムシートとDBEFフィルムとを積層した後、フィルムの輝度スペクトルを測定した。輝度スペクトルの測定時、w/o色変換フィルムを基準として青色LED光の明るさが600nitとなるように初期値を設定した。
【0162】
<実施例2>
化合物1の代わりに化合物2(トルエン溶液における最大吸収波長508nm、最大発光波長517nm、半値幅31nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0163】
<実施例3>
化合物1の代わりに化合物3(トルエン溶液における最大吸収波長513nm、最大発光波長521nm、半値幅34nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0164】
<実施例4>
化合物1の代わりに化合物4(トルエン溶液における最大吸収波長503nm、最大発光波長515nm、半値幅32nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0165】
<実施例5>
化合物1の代わりに化合物5(トルエン溶液における最大吸収波長498nm、最大発光波長513nm、半値幅32nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0166】
<実施例6>
化合物1の代わりに化合物6(トルエン溶液における最大吸収波長501nm、最大発光波長512nm、半値幅34nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0167】
<実施例7>
化合物1の代わりに化合物7(トルエン溶液における最大吸収波長594nm、最大発光波長634nm、半値幅38nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0168】
<実施例8>
化合物1の代わりに化合物8(トルエン溶液における最大吸収波長598nm、最大発光波長636nm、半値幅47nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0169】
<比較例1>
化合物1の代わりに下記のmPhBODIPY(トルエン溶液における最大吸収波長503nm、最大発光波長516nm、半値幅26nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0170】
<比較例2>
化合物1の代わりに下記のpPhBODIPY(トルエン溶液における最大吸収波長570nm、最大発光波長613nm、半値幅42nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【0171】
<比較例3>
化合物1の代わりに下記のspiro-BODIPY(トルエン溶液における最大吸収波長505nm、最大発光波長512nm、半値幅25nm)を用いたことを除けば、実施例1と同様に行った。
【化15】
【0172】
前記実施例1~8、比較例1~3による色変換フィルムのフィルム発光波長(最大発光波長および半値幅)、量子収率、およびAbs intensity(吸収強度)は下記表1の通りである。
【0173】
【0174】
前記表1によれば、実施例1~8による色変換フィルムは、比較例1~3に比べて概ね量子収率が高くて安定性に優れていることを確認することができる。特に、実施例4~6は、90%以上の量子収率と98%以上の吸収強度を有する。また、実施例1~実施例7の色変換フィルムの最大発光波長は、40nm以下の半値幅を有することにより、優れた色再現率を提供する。