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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】バッテリー充電状態推定装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20220119BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220119BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20220119BHJP
   G01R 31/3842 20190101ALI20220119BHJP
   G01R 31/367 20190101ALI20220119BHJP
   G01R 31/3828 20190101ALI20220119BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 B
H02J7/10 B
G01R31/3842
G01R31/367
G01R31/3828
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020564757
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 KR2019018004
(87)【国際公開番号】W WO2020130630
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167869
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン-ジン
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-122622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0139013(US,A1)
【文献】特開2013-072677(JP,A)
【文献】特開2014-182072(JP,A)
【文献】特開2015-184219(JP,A)
【文献】特開2015-038444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/10
G01R 31/3842
G01R 31/367
G01R 31/3828
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの第1電圧及び開放電圧のうち少なくとも一つを測定するように構成されたセンシング部と、
前記センシング部と動作可能に結合されるように構成されたプロセッサとを含み、
前記プロセッサは、
前記バッテリーの開放電圧または予め推定された第1充電状態に基づいて前記バッテリーの第2電圧を推定し、前記バッテリーの第1電圧と前記第2電圧との間の電圧誤差値を積算して積算電圧誤差値を算出し、前記積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれるか否かによって前記バッテリーの第2電圧を補正し、前記第2電圧または補正された第2電圧に基づいて前記バッテリーの第1充電状態を推定するように構成された、バッテリー充電状態推定装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記積算電圧誤差値が前記基準誤差範囲に含まれなければ、前記バッテリーの第2電圧に補正電圧を加減して前記バッテリーの第2電圧を補正するように構成された、請求項1に記載のバッテリー充電状態推定装置。
【請求項3】
前記補正電圧は、前記第1電圧の大きさに応じて設定され、前記第1電圧と前記補正された第2電圧との間の電圧誤差値を減少させるように構成された、請求項2に記載のバッテリー充電状態推定装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記積算電圧誤差値が正の値であるか否か及び負の値であるか否かを確認し、前記確認結果に基づいて前記バッテリーの第2電圧に補正電圧を加減して前記バッテリーの第2電圧を補正するように構成された、請求項2または3に記載のバッテリー充電状態推定装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記積算電圧誤差値が正の値であれば、前記バッテリーの第2電圧に補正電圧を加算して前記バッテリーの第2電圧を補正するように構成された、請求項4に記載のバッテリー充電状態推定装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記積算電圧誤差値が負の値であれば、前記バッテリーの第2電圧から補正電圧を減算して前記バッテリーの第2電圧を補正するように構成された、請求項4または5に記載のバッテリー充電状態推定装置。
【請求項7】
前記センシング部は、前記バッテリーの電流をさらに測定するように構成され、
前記プロセッサは、前記バッテリーの電流が積算された電流積算値に基づいて前記バッテリーの第2充電状態を推定し、前記第2充電状態と前記推定された第1充電状態との間の充電状態誤差値を算出し、前記充電状態誤差値と前記積算電圧誤差値とをマッピングさせて誤差値データを生成するように構成された、請求項1から6のいずれか一項に記載のバッテリー充電状態推定装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記誤差値データに基づいて、前記充電状態誤差値の目標範囲に対応する前記積算電圧誤差値の範囲を前記基準誤差範囲として設定するように構成された、請求項7に記載のバッテリー充電状態推定装置。
【請求項9】
前記センシング部は、前記バッテリーの開放電圧をさらに測定するように構成され、
前記プロセッサは、前記第1充電状態が予め推定される以前であれば、前記センシング部によって測定された開放電圧に基づいて前記第2電圧を推定し、前記第1充電状態が予め推定された以後であれば、前記予め推定された第1充電状態に基づいて前記第2電圧を推定するように構成された、請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリー充電状態推定装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の前記バッテリー充電状態推定装置を含むバッテリーパック。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の前記バッテリー充電状態推定装置を含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの充電状態(SOC:State of Charge)を推定するバッテリー充電状態推定装置に関する。
【0002】
本出願は、2018年12月21日出願の韓国特許出願第10-2018-0167869に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能なバッテリーに対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどのバッテリーが商用化しているが、中でもリチウムバッテリーはニッケル系列のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
バッテリーの使用及び管理において、重要なパラメータのうちの一つは充電状態である。充電状態は、バッテリーの完充電時にバッテリーに貯蔵された電気エネルギーを示す最大容量(maximum capacity)に対する現在容量の相対的な比率を表すパラメータであり、0~1または0%~100%で表すことができる。
【0006】
バッテリーの充電状態の推定には、電流積算モデル及び等価回路モデルが代表的に用いられている。
【0007】
電流積算モデルは、電流センサを用いてバッテリーを通じて流れる電流を測定し、測定された電流を時間に対して積算した電流積算値に基づいてバッテリーの充電状態を推定する。しかし、電流センサの測定誤差によって、電流積算モデルを用いて推定された充電状態と実際の充電状態との間に差が生じ、その差は時間が経過するほど大きくなるという問題がある。
【0008】
等価回路モデルは、バッテリーの電気的な動作特性をシミュレートするように設計されたものである。ただし、バッテリーは、動作状態に応じて非線形的な特性を有するが、バッテリーの非線形的な特性を完璧にシミュレート可能に等価回路モデルを設計することは非常に難しいことである。
【0009】
上述した電流積算モデルと等価回路モデルのそれぞれの短所を解決するため、拡張カルマンフィルターを用いてバッテリーの充電状態を推定する技術がある。拡張カルマンフィルターは、電流積算モデルと等価回路モデルとを組み合わせることで、電流積算モデル及び等価回路モデルのいずれか一つのみを用いる場合よりも正確な充電状態を推定可能である。すなわち、バッテリーの充電状態を実際により近接するように推定することができる。
【0010】
拡張カルマンフィルターを用いてバッテリーの充電状態を推定するためには、バッテリーの電圧に対する推定が必要である。しかし、従来は、推定されたバッテリーの電圧に誤差が発生する場合、発生した誤差が積算されて推定されるバッテリーの充電状態の正確性が低下する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーの積算電圧誤差値に基づいてバッテリーの第2電圧を再帰的に補正することで、バッテリーの第2電圧を用いて推定されるバッテリーの第1充電状態を正確に推定することができるバッテリー充電状態推定装置を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するための本発明の多様な実施形態は、以下のようである。
【0014】
本発明の一態様によるバッテリー充電状態推定装置は、バッテリーの第1電圧及び開放電圧のうち少なくとも一つを測定するように構成されたセンシング部と、前記センシング部と動作可能に結合されるように構成されたプロセッサとを含む。
【0015】
前記プロセッサは、前記バッテリーの開放電圧または予め推定された第1充電状態に基づいて前記バッテリーの第2電圧を推定し、前記バッテリーの第1電圧と前記第2電圧との間の電圧誤差値を積算して積算電圧誤差値を算出し、前記積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれるか否かによって前記バッテリーの第2電圧を補正し、前記第2電圧または補正された第2電圧に基づいて前記バッテリーの第1充電状態を推定するように構成され得る。
【0016】
前記プロセッサは、前記積算電圧誤差値が前記基準誤差範囲に含まれなければ、前記バッテリーの第2電圧に補正電圧を加減して前記バッテリーの第2電圧を補正するように構成され得る。
【0017】
前記補正電圧は、前記第1電圧の大きさに応じて設定され、前記第1電圧と前記補正された第2電圧との間の電圧誤差値を減少させるように構成され得る。
【0018】
前記プロセッサは、前記積算電圧誤差値が正の値であるか否か及び負の値であるか否かを確認し、前記確認結果に基づいて前記バッテリーの第2電圧に補正電圧を加減して前記バッテリーの第2電圧を補正するように構成され得る。
【0019】
前記プロセッサは、前記積算電圧誤差値が正の値であれば、前記バッテリーの第2電圧に補正電圧を加算して前記バッテリーの第2電圧を補正するように構成され得る。
【0020】
前記プロセッサは、前記積算電圧誤差値が負の値であれば、前記バッテリーの第2電圧から補正電圧を減算して前記バッテリーの第2電圧を補正するように構成され得る。
【0021】
前記センシング部は、前記バッテリーの電流をさらに測定するように構成され得る。
【0022】
前記プロセッサは、前記バッテリーの電流が積算された電流積算値に基づいて前記バッテリーの第2充電状態を推定し、前記第2充電状態と前記推定された第1充電状態との間の充電状態誤差値を算出し、前記充電状態誤差値と前記積算電圧誤差値とをマッピングさせて誤差値データを生成するように構成され得る。
【0023】
前記プロセッサは、前記誤差値データに基づいて、前記充電状態誤差値の目標範囲に対応する前記積算電圧誤差値の範囲を前記基準誤差範囲として設定するように構成され得る。
【0024】
前記センシング部は、前記バッテリーの開放電圧をさらに測定するように構成され得る。
【0025】
前記プロセッサは、前記第1充電状態が予め推定される以前であれば、前記センシング部によって測定された開放電圧に基づいて前記第2電圧を推定するように構成され得る。
【0026】
前記プロセッサは、前記第1充電状態が予め推定された以後であれば、前記予め推定された第1充電状態に基づいて前記第2電圧を推定するように構成され得る。
【0027】
本発明の他の態様によるバッテリーパックは、本発明の一態様によるバッテリー充電状態推定装置を含む。
【0028】
本発明のさらに他の態様による自動車は、本発明の一態様によるバッテリー充電状態推定装置を含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明の実施形態のうち少なくとも一つによれば、推定されたバッテリーの第2電圧の積算電圧誤差に基づいてバッテリーの第2電圧を補正することで、バッテリーの第2電圧を用いて推定されるバッテリーの第1充電状態をより正確に推定することができる。
【0030】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、その他の効果は特許請求の範囲の記載から当業者であれば明確に理解できるであろう。
【0031】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態によるバッテリー充電状態推定装置の概略的な構成図である。
図2図1に示されたバッテリー充電状態推定装置によって用いられる例示的な等価回路モデルを示した図である。
図3】バッテリーの第1充電状態と開放電圧との関係を示す例示的な開放電圧カーブである。
図4】充電状態誤差値と積算電圧誤差値とがマッピングされた誤差値データを示した図である。
図5】本発明の一実施形態によってバッテリーの第2電圧を補正する前と後に推定された第1充電状態の充電状態誤差値を示したグラフである。
図6】本発明の一実施形態によるバッテリー充電状態推定装置の動作過程を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0034】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0035】
また、本発明の説明において、関連公知構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0036】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちある一つをその他の要素と区別するために使われたものであり、これら用語によって構成要素が限定されることはない。
【0037】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0038】
さらに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されるとするとき、これは「直接的な連結(接続)」だけではなく、他の素子を介在した「間接的な連結(接続)」も含む。
【0039】
以下、本発明の一実施形態による装置について説明する。
【0040】
図1は本発明の一実施形態によるバッテリー充電状態推定装置の概略的な構成図であり、図2図1に示されたバッテリー充電状態推定装置によって用いられる例示的な等価回路モデルを示した図である。
【0041】
図1及び図2を参照すると、バッテリーパック1は、バッテリーB及びバッテリー充電状態推定装置100を含むことができる。バッテリー充電状態推定装置100は、センシング部110、電流積算部120及びプロセッサ130を含む。
【0042】
センシング部110は、電流積算部120及びプロセッサ130と動作可能に結合される。すなわち、センシング部110は、電流積算部120及びプロセッサ130のそれぞれに電気的信号を伝送するか又は電流積算部120及びプロセッサ130のそれぞれから電気的信号を受信可能に、電流積算部120及びプロセッサ130と接続できる。
【0043】
センシング部110は、所定周期毎にバッテリーBの正極と負極との間に印加される第1電圧を測定し、測定された第1電圧を示す信号をプロセッサ130に出力することができる。また、センシング部110は、バッテリーBに流れ込むか又はバッテリーBから流れ出る電流を繰り返して測定し、測定された電流を示す信号を電流積算部120及びプロセッサ130の少なくとも一つに提供することができる。
【0044】
センシング部110は、バッテリーBの電流を測定するように構成された電流センサを含む。また、センシング部110は、バッテリーBの第1電圧を測定するように構成された電圧センサをさらに含むことができる。また、センシング部110は、バッテリーBの温度を測定するように構成された温度センサをさらに含むことができる。
【0045】
電流積算部120は、センシング部110及びプロセッサ130と動作可能に結合される。電流積算部120は、所定周期毎に電流積算値を算出するように構成される。このとき、クーロンカウンタ(Coulomb counter)が電流積算部120として用いられ得る。電流積算値の単位は「Ah(ampere hour)」であり得る。
【0046】
具体的には、電流積算部120は、センシング部110によって測定された電流に基づいて、所定周期の間の電流積算値を算出し、算出された電流積算値を示す信号をプロセッサ130に伝送する過程を所定周期毎に繰り返すことができる。
【0047】
プロセッサ130は、センシング部110及び電流積算部120と動作可能に結合される。プロセッサ130は、電流積算部120によって算出された電流積算値に基づいてバッテリーBの第2充電状態を推定することができる。プロセッサ130は、電流積算モデルを通じて電流積算値に基づいて所定周期毎にバッテリーBの第2充電状態を推定することができる。
【0048】
電流積算モデルにおいて、電流積算値とバッテリーBの第2充電状態は下記の数式1のように定義できる。
【数1】
【0049】
数式1において、下付きのkは時間インデックスであって、所定周期毎に1ずつ増加する値である。また、SOC2は第2充電状態であり、Iはセンシング部110によって測定された電流であり、Δtは所定周期の時間の長さである。QmaxはバッテリーBの最大容量である。そして、IkΔtは電流積算値である。
【0050】
一方、プロセッサ130は、電流積算値を使用いない推定アルゴリズムを用いて、第2充電状態が推定される周期と同じ所定周期毎にバッテリーBの第1充電状態を推定することができる。一実施形態において、プロセッサ130は、拡張カルマンフィルターを用いてバッテリーBの第1充電状態を推定可能である。このとき、プロセッサ130は、後述するバッテリーBの第2電圧を推定し、推定された第2電圧を拡張カルマンフィルターの入力パラメータとして用いてバッテリーBの第1充電状態を推定することができる。
【0051】
プロセッサ130は、推定された充電状態を示すメッセージを通信端子(COM)を通じて外部装置(例えば、車両のECU、ディスプレイなど)に伝送することができる。
【0052】
プロセッサ130は、多様な制御ロジックを実行するため、当業界で知られたASIC(application-specific integrated circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含むことができる。プロセッサ130によって実行可能な多様な制御ロジックは少なくとも一つが組み合わせられ、組み合わせられた制御ロジックは、コンピュータ可読のコード体系で作成されてコンピュータ可読の記録媒体に書き込まれ得る。記録媒体は、コンピュータに含まれたプロセッサ130によってアクセス可能なものであれば、その種類に特に制限がない。一例として、記録媒体は、ROM、RAM、レジスタ、CD-ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピーディスク及び光データ記録装置を含む群から選択された少なくとも一つを含む。また、コード体系は、キャリア信号で変調されて特定の時点に通信キャリアに含まれ得、ネットワークで連結されたコンピュータに分散して保存されて実行され得る。また、組み合わせられた制御ロジックを具現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマによって容易に推論可能である。
【0053】
プロセッサ130はメモリ131を内蔵することができる。メモリ131は、データを記録、消去、更新及び読出できると知られた公知の情報記録手段であれば、その種類に特に制限がない。一例として、メモリ131は、DRAM、SDRAM、フラッシュメモリ、ROM、EEPROM、レジスタなどであり得る。メモリ131は、プロセッサ130によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存することができる。特に、メモリ131には、拡張カルマンフィルターの実行に必要なパラメータ、電流積算モデル及び等価回路モデルのそれぞれを定義するデータが予め保存される。
【0054】
プロセッサ130は、バッテリーBの推定された第1充電状態に基づいてバッテリーBの第2電圧を推定することができる。より具体的には、プロセッサ130は、等価回路モデルを用いてバッテリーBの第2電圧を推定することができる。
【0055】
図2を参照すると、等価回路モデル200は、開放電圧源210、内部抵抗220及びRC回路230を含む。図示されたように、開放電圧源210、内部抵抗220及びRC回路230は互いに直列で連結され得る。
【0056】
開放電圧源210は、電気化学的に長時間安定化したバッテリーBの正極と負極との間の電圧である開放電圧(OCV)をシミュレートするものであって、開放電圧(OCV)はバッテリーBの第1充電状態と非線形的な関数関係を有する。すなわち、OCV=f(SOC1)、SOC=f2(OCV)であって、f1とf2は相異なる関数を表す。
【0057】
開放電圧源210によって形成される開放電圧は、事前実験を通じて多様な第1充電状態と温度別に予め定義できる。
【0058】
すなわち、予め決められた複数の温度毎に、バッテリーBの第1充電状態に応じた開放電圧の変化を測定し、バッテリーBの第1充電状態と開放電圧との関係を示すデータをルックアップテーブルの形態でメモリ131に予め保存することができる。例えば、事前実験に使われた温度がm個である場合、m個のOCV-SOCカーブを示すルックアップテーブルがメモリに予め保存される。
【0059】
したがって、プロセッサ130は、第1充電状態をOCV-SOCカーブに代入して、開放電圧源210によって形成される開放電圧を推定することができる。
【0060】
ただし、第1充電状態が推定される前、例えば、最初動作時にはセンシング部110によってバッテリーBの開放電圧が測定され得る。そして、プロセッサ130は、センシング部110によって測定されたバッテリーBの開放電圧を、前記開放電圧源210に形成される開放電圧として用いることができる。
【0061】
図3は、バッテリーBの第1充電状態と開放電圧との関係を示す例示的な開放電圧カーブである。
【0062】
図3の開放電圧カーブ300を参照すると、バッテリーBの温度が特定値(例えば、30℃)で維持される環境で、充電状態0%~100%の範囲で記録された開放電圧の変化を確認できる。充電状態が0%から100%に向かって増加しながら、開放電圧は非線形的に増加し、逆に、充電状態が100%から0%に向かって減少しながら、開放電圧は非線形的に減少することが分かる。
【0063】
内部抵抗220は、バッテリーBのIRドロップをシミュレートするものである。IRドロップとは、バッテリーBが充電または放電するとき、バッテリーBの両端電圧の瞬間的な変化である電圧ドロップを意味する。IRドロップによって、無負荷状態のバッテリーBに対する充電が開始される時点で測定される電圧は開放電圧よりも大きい。一方、無負荷状態のバッテリーBに対する放電が開始される時点で測定される電圧は開放電圧よりも小さい。内部抵抗220の抵抗値(resistance、R)も、事前実験を通じて予め決められた複数の温度毎に相異なるように設定され得る。
【0064】
RC回路230は、バッテリーBの電気二重層などによって誘導されるオーバーポテンシャルをシミュレートするものであって、互いに並列で連結された抵抗231とキャパシタ232を含む。Rは抵抗231の抵抗値、Cはキャパシタ232のキャパシタンスである。オーバーポテンシャルは「分極電圧」とも称する。RとCは、それぞれ、事前実験を通じて予め決められた複数の温度毎に相異なるように設定され得る。
【0065】
等価回路モデル200において、オーバーポテンシャルは下記の数式2のように定義できる。
【数2】
【0066】
数式2において、下付きのkは時間インデックスであって、所定周期毎に1ずつ増加する値である。また、Vopはオーバーポテンシャルであり、Iはセンシング部110によって測定された電流であり、Δtは所定周期の時間の長さである。Rは抵抗231の抵抗値であり、Cはキャパシタ232のキャパシタンスである。
【0067】
プロセッサ130は、所定周期毎に、既に推定されたバッテリーBの第1充電状態及びセンシング部110によって測定されたバッテリーBの温度に基づいて、メモリに既に保存されたデータを参照して、等価回路モデル200関連のパラメータのうち一つである開放電圧を決定することができる。
【0068】
プロセッサ130は、所定周期毎に、センシング部110によって測定されたバッテリーBの温度に基づいて、メモリに既に保存されたデータを参照して、等価回路モデル200関連の他の複数の回路パラメータである内部抵抗220の抵抗値(R)、抵抗231の抵抗値(R)及びキャパシタ232のキャパシタンス(C)を決定することができる。
【0069】
これを通じて、プロセッサ130は、決定されたパラメータを等価回路モデル200に適用してバッテリーBの第2電圧を推定することができる。すなわち、プロセッサ130は、決定されたパラメータが適用された等価回路モデル200の端子電圧(Vt)を算出してバッテリーBの第2電圧を推定することができる。
【0070】
このとき、プロセッサ130は、下記の数式3を用いてバッテリーBの第2電圧を推定することができる。
【数3】
【0071】
数式3において、下付きのkは時間インデックスであって、所定周期毎に1ずつ増加する値である。また、V2はバッテリーBの第2電圧であり、OCVはバッテリーBの開放電圧であり、Rは内部抵抗220の抵抗値である。Iはセンシング部110によって測定された電流であり、Vopはオーバーポテンシャルである。
【0072】
プロセッサ130は、センシング部110から測定されたバッテリーBの第1電圧に対する、推定されたバッテリーBの第2電圧の電圧誤差値を積算し、積算電圧誤差値を算出することができる。
【0073】
このとき、プロセッサ130は、下記の数式4を用いて積算電圧誤差値を算出することができる。
【数4】
【0074】
数式4において、下付きのkは時間インデックスであって、所定周期毎に1ずつ増加する値である。また、ΣVerrorは積算電圧誤差値であり、V1はセンシング部110によって測定されたバッテリーBの第1電圧であり、V2は推定されたバッテリーBの第2電圧である。
【0075】
プロセッサ130は、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれるか否かを判断し、判断結果に基づいてバッテリーBの第2電圧を補正することができる。
【0076】
具体的には、プロセッサ130は、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれるか否かを判断した結果、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれなければ、バッテリーBの第2電圧に補正電圧を加減してバッテリーBの第2電圧を補正することができる。
【0077】
一方、プロセッサ130は、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれるか否かを判断した結果、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれれば、現在推定されたバッテリーBの第2電圧に基づいてバッテリーBの第1充電状態を推定することができる。
【0078】
ここで、基準誤差範囲は、バッテリーBの第2電圧を補正するか否かを決定するのに基準になる範囲であり得る。このとき、プロセッサ130は、基準誤差範囲を設定することができる。プロセッサ130が基準誤差範囲を設定する過程は後述することにする。
【0079】
プロセッサ130は、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれるか否かを判断した結果、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれなければ、積算電圧誤差値が正の値であるか又は負の値であるかを確認し、確認結果に基づいてバッテリーBの第2電圧に補正電圧を加減してバッテリーBの第2電圧を補正することができる。
【0080】
具体的には、プロセッサ130は、積算電圧誤差値が正の値であれば、バッテリーBの第2電圧に補正電圧を加算してバッテリーBの第2電圧を補正することができる。
【0081】
一方、プロセッサ130は、積算電圧誤差値が負の値であれば、バッテリーBの第2電圧から補正電圧を減算してバッテリーBの第2電圧を補正することができる。
【0082】
このような本発明を通じて、プロセッサ130は、バッテリーBの第2電圧がバッテリーBの第1電圧より小さい電圧として推定される傾向によって積算電圧誤差値が正の値であれば、バッテリーBの第2電圧に補正電圧を加算してバッテリーBの第2電圧を正確に補正することができる。
【0083】
プロセッサ130は、バッテリーBの第2電圧がバッテリーBの第1電圧より大きい電圧として推定される傾向によって積算電圧誤差値が負の値であれば、バッテリーBの第2電圧から補正電圧を減算してバッテリーBの第2電圧を正確に補正することができる。
【0084】
一方、プロセッサ130は、バッテリーBの第2電圧に加減される補正電圧をバッテリーBの第1電圧に対応して設定することができる。具体的には、プロセッサ130は、バッテリーBの第1電圧が大きいほど補正電圧を大きく設定することができる。すなわち、プロセッサ130は、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれなければバッテリーBの第1電圧を確認し、バッテリーBの第1電圧が大きいほど補正電圧を大きく設定することができる。
【0085】
例えば、プロセッサ130は、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれず、バッテリーBの第1電圧を確認した結果、現在確認されたバッテリーBの第1電圧が以前に確認されたバッテリーBの第1電圧よりも増加した場合、以前に設定された補正電圧よりも大きく補正電圧を設定することができる。
【0086】
このような本発明によれば、プロセッサ130は、バッテリーBの電圧区間に対応して相異なる大きさで設定された補正電圧を加減することで、バッテリーBの第2電圧を補正することができる。
【0087】
以下、プロセッサ130が基準誤差範囲を設定する過程について説明する。
【0088】
図4は、充電状態誤差値と積算電圧誤差値とがマッピングされた誤差値データ400を示した図である。
【0089】
図4を参照すると、プロセッサ130は、推定されたバッテリーBの第2充電状態に対するバッテリーBの第1充電状態の充電状態誤差値を算出し、充電状態誤差値と積算電圧誤差値とをマッピングさせて誤差値データ400を生成することができる。
【0090】
プロセッサ130は、同一時点でそれぞれ推定されたバッテリーBの第2充電状態とバッテリーBの第1充電状態との差を充電状態誤差値として算出することができる。また、プロセッサ130は、同一時点を基準にして算出された充電状態誤差値と積算電圧誤差値とをマッピングさせて誤差値データ400を生成することができる。
【0091】
すなわち、プロセッサ130は、a時点で推定された第2充電状態と第1充電状態との差によって充電状態誤差値を算出し、算出された充電状態誤差値をa時点で算出された積算電圧誤差値とマッピングさせて誤差値データ400を生成することができる。
【0092】
プロセッサ130は、誤差値データ400に基づいて充電状態誤差値の目標範囲(tr)に対応する積算電圧誤差値の範囲を基準誤差範囲(rer)として設定することができる。
【0093】
具体的には、プロセッサ130は、誤差値データ400に基づいて充電状態誤差値を出力値(Y)とし、積算電圧誤差値を入力値(X)とする関係関数を導出することができる。このとき、関係関数は一次関数であり得る。
【0094】
このような関係関数は、下記の数式5のように定義できる。
【数5】
【0095】
数式5において、SOCerrorは充電状態誤差値、gは関係関数の傾き、ΣVerrorは積算電圧誤差値、cは関係関数のY切片である。
【0096】
例えば、図4に示されたように、プロセッサ130は、傾きgが0.5であり、Y切片cが0である一次関数SOCerror=0.5×ΣVerrorを導出することができる。
【0097】
これを用いて、プロセッサ130は、予め設定された充電状態誤差値の目標範囲(tr)に対応する積算電圧誤差値の範囲を算出し、算出された範囲を基準誤差範囲(rer)として設定することができる。
【0098】
例えば、予め設定された充電状態誤差値の目標範囲(tr)が-5.0%~5.0%である場合、プロセッサ130は、関係関数を用いて積算電圧誤差値の範囲を-10~10で算出し、算出された範囲-10~10を基準誤差範囲(rer)として設定することができる。ここで、基準誤差範囲の単位は第1電圧に対応する単位であって、mVまたはVであり得る。
【0099】
このような本発明によれば、現在バッテリーBの状態に応じて基準誤差範囲を設定することで、積算電圧誤差値が基準誤差範囲から外れる度にバッテリーBの第2電圧を補正することができる。したがって、補正された第2電圧に基づいてバッテリーBの第1充電状態を正確に推定することができる。
【0100】
図5は、本発明の一実施形態によってバッテリーBの第2電圧を補正する前と後に推定された第1充電状態の充電状態誤差値を示したグラフである。
【0101】
図5を参照すると、第1時点t1~第2時点t2はバッテリーBの累積電圧誤差値が基準誤差範囲から外れた時点である。第1曲線501は、バッテリーBの第2充電状態と補正された第2電圧に基づいて推定された第1充電状態との間の充電状態誤差値を示した曲線である。第2曲線502は、バッテリーBの第2充電状態と補正されていない第2電圧に基づいて推定された第1充電状態との間の充電状態誤差値を示す曲線である。
【0102】
プロセッサ130は、累積電圧誤差値が基準誤差範囲から外れた第1時点t1~第2時点t2の間に、バッテリーBの第2電圧を補正し、補正された第2電圧に基づいてバッテリーBの第1充電状態を再推定することができる。
【0103】
これによって、第1時点t1~第2時点t2の間、第2曲線502の充電状態誤差値は第1曲線501の充電状態誤差値よりも大きくなり得る。
【0104】
すなわち、本発明の一実施形態によるバッテリー充電状態推定装置100は、積算電圧誤差値が基準誤差範囲に含まれるか否かによって第2電圧を補正し、補正された第2電圧に基づいてバッテリーBの第1充電状態を再推定することができる。したがって、バッテリー充電状態推定装置100は、第2電圧を補正することで、第1充電状態をより正確に推定することができる。
【0105】
図6は、本発明の一実施形態によるバッテリー充電状態推定装置100の動作過程を概略的に示した図である。
【0106】
具体的には、図6はk時点でプロセッサ130によって実行される第1動作(S100)、第2動作(S200)、第3動作(S300)、第4動作(S400)、第5動作(S500)、第6動作(S600)及び第7動作(S700)を示した図である。ただし、プロセッサ130は、本発明を実施するための多様な動作を行い、図6はプロセッサ130の多様な動作のうち第1動作(S100)~第7動作(S700)のみを選択的に示した図である。
【0107】
以下、k時点でのプロセッサ130の動作を説明する。すなわち、下付きのkは現在時点の値を意味し、下付きのk-1は直前時点の値を意味し、下付きのk+1は次の時点の値を意味する。
【0108】
第1動作(S100)は、プロセッサ130が第2電圧(V2)を推定する動作である。
【0109】
プロセッサ130は、数式3に基づいて第2電圧(V2)を推定することができる。
【0110】
ここで、開放電圧(OCV)は、センシング部110によって測定されるか、または、第1充電状態(SOC1k-1)が予め推定された場合は予め推定された第1充電状態(SOC1k-1)によって推定できる。
【0111】
例えば、第1充電状態(SOC1k-1)が予め推定されていない場合、プロセッサ130は、センシング部110が測定したバッテリーBの開放電圧(OCV)に基づいて第2電圧(V2)を推定することができる。後述する第6動作(S600)を参照すると、第2電圧(V2)に基づいて第1充電状態(SOC1k)が推定できる。したがって、k=1である場合、すなわち、最初時点ではセンシング部110によって測定された開放電圧(OCV)によって第2電圧(V2)を推定することができる。
【0112】
一方、第1充電状態(SOC1k-1)が予め推定されている場合、プロセッサ130は、図3の開放電圧カーブ300を参照して、予め推定された第1充電状態(SOC1k-1)から開放電圧(OCV)を推定することができる。すなわち、k≧2である場合は、k-1時点で推定された第2電圧(V2)によって第1充電状態(SOC1k-1)が予め推定されている。したがって、プロセッサ130は、予め推定された第1充電状態(SOC1k-1)に基づいて開放電圧(OCV)を推定し、推定された開放電圧(OCV)に基づいて第2電圧(V2k)を推定することができる。
【0113】
第2動作(S200)は、プロセッサ130が電圧誤差値(Verror)を算出する動作である。
【0114】
プロセッサ130は、センシング部110によって測定された第1電圧(V1)と第1動作(S100)で推定した第2電圧(V2)との間の差を求めて、電圧誤差値(Verror)を算出することができる。
【0115】
第3動作(S300)は、プロセッサ130が積算電圧誤差値(ΣVerror)を算出する動作である。
【0116】
プロセッサ130は、k-1時点で算出された積算電圧誤差値(ΣVerrork-1)と第2動作(S200)で算出された電圧誤差値(Verror)とを合算して、k時点での積算電圧誤差値(ΣVerror)を算出することができる。すなわち、プロセッサ130は、以前時点(k-1)で予め算出された積算電圧誤差値(ΣVerrork-1)と現在時点(k)で算出された電圧誤差値(Verror)とを足して現在時点(k)の積算電圧誤差値(ΣVerror)を算出することができる。
【0117】
第4動作(S400)は、プロセッサ130が積算電圧誤差値(ΣVerror)と基準誤差範囲(rer)とを比較する動作である。
【0118】
ここで、基準誤差範囲(rer)は、充電状態誤差値(SOCerror)と積算電圧誤差値(ΣVerror)とがマッピングされて生成された誤差値データ400に基づいて設定できる。
【0119】
例えば、図4に示されたように、充電状態誤差値(SOCerror)と積算電圧誤差値(ΣVerror)とがマッピングされ得る。
【0120】
プロセッサ130は、充電状態誤差値(SOCerror)の目標範囲(tr)に対応する積算電圧誤差値(ΣVerror)の範囲を基準誤差範囲(rer)として設定することができる。ここで、充電状態誤差値(SOCerror)の目標範囲(tr)は予め設定され得る。例えば、充電状態誤差値(SOCerror)の目標範囲(tr)は-5%以上+5%未満に設定され得る。
【0121】
もし、k=1の場合、第1充電状態(SOC1)が推定される前であるため、充電状態誤差値(SOCerror)は算出されないこともある。この場合は、第4動作(S400)が省略され、第6動作(S600)が行われ得る。
【0122】
一方、k≧2である場合、プロセッサ130は、誤差値データ400を生成し、基準誤差範囲(rer)を設定することができる。そして、プロセッサ130は、積算電圧誤差値(ΣVerror)が基準誤差範囲(rer)に含まれるか否かに応じて第5動作(S500)または第6動作(S600)を行うように構成される。
【0123】
第5動作(S500)は、積算電圧誤差値(ΣVerror)が基準誤差範囲(rer)に含まれなければ、プロセッサ130が前記バッテリーの第2電圧(V2)を補正する動作である。
【0124】
具体的には、プロセッサ130は、積算電圧誤差値(ΣVerror)が基準誤差範囲(rer)に含まれなければ、推定された第2電圧(V2)に補正電圧(Voffset)を加減して第2電圧(V2)を補正することができる。
【0125】
望ましくは、積算電圧誤差値(ΣVerror)が正の値であって且つ基準誤差範囲(rer)に含まれなければ、プロセッサ130は、第2電圧(V2)に補正電圧(Voffset)を加算して第2電圧(V2)を補正することができる。すなわち、積算電圧誤差値(ΣVerror)が基準誤差範囲(rer)を超過する場合、プロセッサ130は、第2電圧(V2)に補正電圧(Voffset)を加算することで積算電圧誤差値(ΣVerror)を減少させることができる。
【0126】
一方、積算電圧誤差値(ΣVerror)が負の値であって且つ基準誤差範囲(rer)に含まれなければ、プロセッサ130は、第2電圧(V2)から補正電圧(Voffset)を減算して第2電圧(V2)を補正することができる。すなわち、積算電圧誤差値(ΣVerror)が基準誤差範囲(rer)未満である場合、プロセッサ130は、第2電圧(V2)から補正電圧(Voffset)を減算することで積算電圧誤差値(ΣVerror)を増加させることができる。
【0127】
ここで、補正電圧(Voffset)は、センシング部110によって測定された第1電圧(V1)の大きさに対応するように設定され得る。例えば、第1電圧(V1)が大きいほど補正電圧(Voffset)も大きく設定され得る。
【0128】
第5動作(S500)の後、補正された第2電圧(V2)に基づいて第2動作(S200)が再度行われる。すなわち、k時点で算出された積算電圧誤差値(ΣVerror)が基準誤差範囲(rer)に含まれるまで、第5動作(S500)によって補正された第2電圧(V2)に基づいて、第2動作(S200)、第3動作(S300)、第4動作(S400)及び第5動作(500)を再帰的に行うことができる。
【0129】
第6動作(S600)は、プロセッサ130が推定された第2電圧(V2)または補正された第2電圧(V2)に基づいてバッテリーBの第1充電状態(SOC1)を推定する動作である。
【0130】
例えば、k=1である場合、第3動作(S300)の後、第4動作(S400)は省略され、第5動作(S500)が行われる。この場合、プロセッサ130は、センシング部110によって測定されたバッテリーの開放電圧(OCV)に基づいて第2電圧(V2)を推定し、推定された第2電圧(V2)によってバッテリーの第1充電状態(SOC1)を推定することができる。
【0131】
他の例として、k≧2であって、第5動作(S500)が行われていない場合、プロセッサ130は、該当時点で第1動作(S100)によって推定した第2電圧(V2)に基づいて第1充電状態(SOC1)を推定することができる。望ましくは、この場合はk時点の第1動作(S100)で推定された第2電圧(V2)が補正されていない場合であり得る。
【0132】
さらに他の例として、k≧2であって、第5動作(S500)が1回以上行われた場合、プロセッサ130は、第5動作(S500)によって最終的に補正された第2電圧(V2)に基づいて第1充電状態(SOC1)を推定することができる。すなわち、プロセッサ130は、積算電圧誤差値(ΣVerror)と基準誤差範囲(rer)との比較結果によって再帰的に第2電圧(V2)を補正し、最終的に補正された第2電圧(V2)に基づいて第1充電状態(SOC1)を推定することができる。
【0133】
第7動作(S700)は、プロセッサ130が推定した第1充電状態(SOC1)に基づいてバッテリーBの開放電圧(OCVk+1)を推定する動作である。
【0134】
具体的には、第7動作(S700)は、プロセッサ130がk時点で推定された第1充電状態(SOC1)に基づいて、k+1時点でのバッテリーBの開放電圧(OCVk+1)を推定する動作である。第7動作(S700)によってk+1時点の開放電圧(OCVk+1)が推定され、推定された開放電圧(OCVk+1)によってk+1時点の第2電圧(V2k+1)が推定できる。
【0135】
そして、プロセッサ130は、第6動作(S600)を通じて推定した第1充電状態(SOC1)と電流積算部120によって積算された電流積算値に基づいて推定した第2充電状態(SOC2)との間の差を求めて充電状態誤差値(SOCerror)を算出することができる。
【0136】
例えば、図5の実施形態において、第1曲線501及び第2曲線502を参照すると、プロセッサ130が第1動作(S100)~第7動作(S700)を行うことで充電状態の誤差が低減する。
【0137】
すなわち、本発明の一実施形態によるバッテリー充電状態推定装置100は、再帰的にバッテリーBの電圧を測定及び推定し、基準誤差範囲に基づいて前記バッテリーBの推定された電圧を補正することで、推定充電状態の誤差を低減させることができる。
【0138】
上述した本発明の実施形態は、装置及び方法のみによって具現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じても具現され得、このような具現は上述した実施形態の記載から当業者であれば容易に具現できるであろう。
【0139】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0140】
また、上述した本発明は、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であって、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、多様な変形のため各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成され得る。
【符号の説明】
【0141】
1:バッテリーパック
B:バッテリー
100:バッテリー充電状態推定装置
110:センシング部
120:電流積算部
130:プロセッサ
200:等価回路モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6