(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-01-17
(45)【発行日】2022-01-26
(54)【発明の名称】ダイボンディング装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/52 20060101AFI20220119BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/52 C
(21)【出願番号】P 2017184291
(22)【出願日】2017-09-26
【審査請求日】2020-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】515085901
【氏名又は名称】ファスフォードテクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小橋 英晴
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓太
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-064075(JP,A)
【文献】特開2017-117916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/50-52
H01L 21/60-607
H01L 21/67-687
H05K 13/00-08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパッケージエリアを有する基板を基板供給部から基板搬出部に向かう第一方向に搬送する搬送レーンと、
前記基板を加熱する加熱装置を有するボンディングステージと、
前記ボンディングステージの上に搬送される前記基板にダイをボンディングするボンディングヘッドと、
前記搬送レーン、前記ボンディングステージおよび前記ボンディングヘッドを制御する制御部と、
を備え、
前記ボンディングステージのアタッチポイントより前記基板供給部が位置する側の前記第一方向の長さおよび前記アタッチポイントより前記基板搬出部が位置する側の前記第一方向の長さは、それぞれ前記基板の前記第一方向の長さ以上であり、
前記制御部は、前記基板1枚分のボンディング中、前記基板の前記複数のパッケージエリアの全体を前記ボンディングステージの上または上方に位置させるよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ボンディングステージ
は温度センサを有するダイボンディング装置。
【請求項3】
請求項
1において、
前記制御部は、
(a)前記ボンディングステージを前記基板よりも下げた状態で、前記基板のN列目のパッケージエリアが前記アタッチポイントに位置するように前記基板を搬送し、
(b)前記ボンディングステージを上昇させて、前記基板を加熱しながら前記ダイを前記基板のN列目のパッケージエリアにボンディングするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記制御部は、前記基板の最終列のパッケージエリアのボンディングが終わった場合、前記ボンディングステージを下降させて、前記ボンディングステージの外に前記基板を搬送するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項5】
複数のパッケージエリアを有する基板を基板供給部から基板搬出部に向かう第一方向に搬送する搬送レーンと、
前記基板を加熱する加熱装置を有するボンディングステージと、
前記ボンディングステージの上に搬送される前記基板にダイをボンディングするボンディングヘッドと、
前記搬送レーン、前記ボンディングステージおよび前記ボンディングヘッドを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記基板1枚分のボンディング中、前記基板の前記複数のパッケージエリアの全体を前記ボンディングステージの上または上方に位置させ、
前記基板と共に前記ボンディングステージを前記第一方向に移動させるよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記制御部は、
(a)前記ボンディングステージを前記基板よりも下げた状態で、前記基板の1列目のパッケージエリアがアタッチポイントに位置するように前記基板を搬送し、
(b)前記ボンディングステージを上昇させて、前記基板を加熱しながら前記ダイを前記基板の1列目のパッケージエリアにボンディングし、
(c)前記ボンディングステージを前記基板と接触させた状態で、前記基板のN列目のパッケージエリアが前記アタッチポイントに位置するように前記基板と共に前記ボンディングステージを搬送し、
(d)前記基板を加熱しながら前記ダイを前記基板のN列目のパッケージエリアにボンディングするよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記制御部は、前記基板の最終列のパッケージエリアのボンディングが終わった場合、前記ボンディングステージを下降させて、前記第一方向に前記基板を搬送すると共に、前記第一方向とは反対方向に前記ボンディングステージを移動させるよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項8】
請求項1
または5において、
さらに、前記ダイが貼り付けられたダイシングテープを保持するウェハリングを有するダイ供給部を備えるダイボンディング装置。
【請求項9】
請求項8において、さらに、
前記ダイをピックアップするピックアップヘッドと、
前記ピックアップされたダイが載置される中間ステージと、
を備えるダイボンディング装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一つにおいて、
さらに、前記ボンディングステージと前記基板搬出部との間に設けられ、前記基板にボンディングされたダイを撮像する撮像装置を備え、
前記制御部は、前記撮像装置によって撮像される画像に基づいて前記基板と前記ダイの相対位置関係を検査するよう構成されるダイボンディング装置。
【請求項11】
(a)ダイが貼付されたダイシングテープを保持するウェハリングを搬入する工程と、
(b)複数のパッケージエリアを有する基板を搬入する工程と、
(c)前記ダイをピックアップする工程と、
(d)前記基板を基板供給部から基板搬出部に向かう第一方向に搬送する工程と、
(e)前記ピックアップしたダイを前記基板または既に前記基板にボンディングされているダイ上にボンディングする工程と、
を備え、
前記(e)工程は、前記基板を加熱する加熱装置を有するボンディングステージの上方に搬送し、前記基板1枚分のボンディング中、前記基板の前記複数のパッケージエリアの全体を前記ボンディングステージの上または上方に位置させて前記ピックアップしたダイをボンディング
し、
前記ボンディングステージのアタッチポイントより前記基板供給部の位置する側の前記第一方向の長さおよび前記アタッチポイントより前記基板搬出部の位置する側の前記第一方向の長さは、それぞれ前記基板の前記第一方向の長さ以上である半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記ボンディングステージ
は温度センサを有する半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項
11において、
前記(e)工程は、
(e1)前記ボンディングステージを前記基板よりも下げた状態で、前記基板のN列目のパッケージエリアが前記ボンディングステージのアタッチポイントに位置するように前記基板を搬送する工程と、
(e2)前記ボンディングステージを上昇させて、前記基板を加熱しながら前記ダイを前記基板のN列目のパッケージエリアにボンディングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記(e)工程は、さらに、(e3)前記基板の最終列のパッケージエリアのボンディングが終わった場合、前記ボンディングステージを下降させて、前記ボンディングステージの外に前記基板を搬送する工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項15】
(a)ダイが貼付されたダイシングテープを保持するウェハリングを搬入する工程と、
(b)複数のパッケージエリアを有する基板を搬入する工程と、
(c)前記ダイをピックアップする工程と、
(d)前記基板を基板供給部から基板搬出部に向かう第一方向に搬送する工程と、
(e)前記ピックアップしたダイを前記基板または既に前記基板にボンディングされているダイ上にボンディングする工程と、
を備え、
前記(e)工程は、
前記基板を加熱する加熱装置を有するボンディングステージの上方に搬送し、前記基板1枚分のボンディング中、前記基板の前記複数のパッケージエリアの全体を前記ボンディングステージの上または上方に位置させて前記ピックアップしたダイをボンディングし、
前記基板と共に前記ボンディングステージを前記第一方向に移動させる半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記(e)工程は、
(e1)前記ボンディングステージを前記基板よりも下げた状態で、前記基板の1列目のパッケージエリアがアタッチポイントに位置するように前記基板を搬送する工程と、
(e2)前記ボンディングステージを上昇させて、前記基板を加熱しながら前記ダイを前記基板の1列目のパッケージエリアにボンディングする工程と、
(e3)前記ボンディングステージを前記基板と接触させた状態で、前記基板のN列目のパッケージエリアが前記アタッチポイントに位置するように前記基板と共に前記ボンディングステージを搬送する工程と、
(e4)前記基板を加熱しながら前記ダイを前記基板のN列目のパッケージエリアにボンディングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記(e)工程は、さらに、前記基板の最終列のパッケージエリアのボンディングが終わった場合、前記ボンディングステージを下降させて、前記第一方向に前記基板を搬送すると共に、前記第一方向とは反対方向に前記ボンディングステージを移動させる工程を有する半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項11
または15において、
前記(c)工程は前記ピックアップされたダイを中間ステージに載置し、
前記(e)工程は前記中間ステージに載置されたダイをピックアップする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項11乃至18の何れか一つにおいて、さらに
(f)前記(e)工程後、前記基板が冷却後、撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記基板と前記ダイの相対位置関係を検査する工程を備える半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はダイボンディング装置に関し、例えば加熱装置を備えるダイボンダに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一部に半導体チップ(以下、単にダイという。)を配線基板やリードフレーム等(以下、単に基板という。)に搭載してパッケージを組み立てる工程があり、パッケージを組み立てる工程の一部に、半導体ウェハ(以下、単にウェハという。)からダイを分割する工程(ダイシング工程)と、分割したダイを基板の上に搭載するボンディング工程と、がある。ボンディング工程に使用される半導体製造装置がダイボンダ等のダイボンディング装置である。
【0003】
ダイボンダは、はんだ、金メッキ、樹脂を接合材料として、ダイを基板または既にボンディングされたダイの上にボンディング(搭載して接着)する装置である。ダイを、例えば、基板の表面にボンディングするダイボンダにおいては、コレットと呼ばれる吸着ノズルを用いてダイをウェハから吸着してピックアップし、基板上に搬送し、押付力を付与すると共に、接合材を加熱することによりボンディングを行うという動作(作業)が繰り返して行われる。コレットは、吸着孔を有し、エアを吸引して、ダイを吸着保持する保持具であり、ダイと同程度の大きさを有する。
【0004】
ボンディングは加熱装置が内蔵されているボンディングステージ上に基板を搬送して行われるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アタッチポイントを基準としてボンディングステージの前後の少なくとも何れか一方の長さが基板の長さより短いと、ボンディング中、ボンディングステージが基板を加熱する際、基板の下にボンディングステージがある領域とボンディングステージがない領域が存在し、1枚基板内で温度分布に差ができ、基板が変形することがある。
本開示の課題は、基板変形が少ないダイボンディング装置を提供することである。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
すなわち、ダイボンディング装置は、複数のパッケージエリアを有する基板を基板供給部から基板搬出部に向かう第一方向に搬送する搬送レーンと、前記基板を加熱する加熱装置を有するボンディングステージと、前記ボンディングステージの上に搬送される前記基板にダイをボンディングするボンディングヘッドと、前記搬送レーン、前記ボンディングステージおよび前記ボンディングヘッドを制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記基板1枚分のボンディング中、前記基板の前記複数のパッケージエリアの全体を前記ボンディングステージの上または上方に位置させる。
【発明の効果】
【0008】
上記ダイボンディング装置によれば、基板変形を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1において矢印A方向から見たときの概略構成を説明する図
【
図5】
図1のダイボンダの制御系の概略構成を示すブロック図
【
図9】実施例に係るボンディングステージを説明する図
【
図10】実施例に係るボンディングステージによる基板の加熱方法を説明する図
【
図11】基板が加熱により膨張する場合に位置決めへの影響を説明する図
【
図12】半導体装置の製造方法を示すフローチャート
【
図13】変形例1に係るボンディングステージを説明する図
【
図14】変形例1に係るボンディングステージによる基板の加熱方法を説明する図
【
図15】変形例2に係るボンディングステージ付近の光学系を示す図
【
図16】変形例3に係るボンディングステージを説明する図
【
図17】変形例4に係るボンディングステージを説明する図
【
図18】変形例5に係るボンディングステージを説明する図
【
図19】変形例6に係るボンディングステージを説明する図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施例、比較例および変形例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例】
【0011】
図1は実施例に係るダイボンダの概略を示す上面図である。
図2は
図1において矢印A方向から見たときに、ピックアップヘッド及びボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【0012】
ダイボンダ10は、大別して、一つ又は複数の最終1パッケージとなる製品エリア(以下、パッケージエリアPという。)をプリントした基板Sに実装するダイDを供給する供給部1と、ピックアップ部2、中間ステージ部3と、ボンディング部4と、搬送部5、基板供給部6と、基板搬出部7と、各部の動作を監視し制御する制御部8と、を有する。Y軸方向がダイボンダ10の前後方向であり、X軸方向が左右方向である。ダイ供給部1がダイボンダ10の手前側に配置され、ボンディング部4が奥側に配置される。
【0013】
まず、ダイ供給部1は基板SのパッケージエリアPに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、ウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突上げユニット13と、を有する。ダイ供給部1は図示しない駆動手段によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突上げユニット13の位置に移動させる。
【0014】
ピックアップ部2は、ダイDをピックアップするピックアップヘッド21と、ピックアップヘッド21をY方向に移動させるピックアップヘッドのY駆動部23と、コレット22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部と、を有する。ピックアップヘッド21は、突き上げられたダイDを先端に吸着保持するコレット22(
図2も参照)を有し、ダイ供給部1からダイDをピックアップし、中間ステージ31に載置する。ピックアップヘッド21は、コレット22を昇降、回転及びX方向移動させる図示しない各駆動部を有する。
【0015】
中間ステージ部3は、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31と、中間ステージ31上のダイDを認識する為のステージ認識カメラ32を有する。
【0016】
ボンディング部4は、中間ステージ31からダイDをピックアップし、ボンディングステージBS上に搬送されてくる基板SのパッケージエリアP上にボンディングし、又は既に基板SのパッケージエリアPの上にボンディングされたダイの上に積層する形でボンディングする。ボンディング部4は、ピックアップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42(
図2も参照)を備えるボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるY駆動部43と、基板SのパッケージエリアPの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44とを有する。
このような構成によって、ボンディングヘッド41は、ステージ認識カメラ32の撮像データに基づいてピックアップ位置・姿勢を補正し、中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板SにダイDをボンディングする。
【0017】
搬送部5は、基板Sを掴み搬送する基板搬送爪51と、基板Sが移動する搬送レーン52と、を有する。基板Sは、搬送レーン52に設けられた基板搬送爪51の図示しないナットを搬送レーン52に沿って設けられた図示しないボールネジで駆動することによってX方向に移動する。
このような構成によって、基板Sは、基板供給部6から搬送レーン52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後、基板搬出部7まで移動して、基板搬出部7に基板Sを渡す。
【0018】
制御部8は、ダイボンダ10の各部の動作を監視し制御するプログラム(ソフトウェア)を格納するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行する中央処理装置(CPU)と、を備える。
【0019】
次に、ダイ供給部1の構成について
図3、4を用いて説明する。
図3はダイ供給部の外観斜視図を示す図である。
図4はダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
【0020】
ダイ供給部1は、水平方向(XY方向)に移動するウェハ保持台12と、上下方向に移動する突上げユニット13と、を備える。ウェハ保持台12は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが接着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、を有する。突上げユニット13は支持リング17の内側に配置される。
【0021】
ダイ供給部1は、ダイDの突き上げ時に、ウェハリング14を保持しているエキスパンドリング15を下降させる。その結果、ウェハリング14に保持されているダイシングテープ16が引き伸ばされダイDの間隔が広がり、突上げユニット13によりダイD下方よりダイDを突き上げ、ダイDのピックアップ性を向上させている。なお、薄型化に伴いダイを基板に接着する接着剤は、液状からフィルム状となり、ウェハ11とダイシングテープ16との間にダイアタッチフィルム(DAF)18と呼ばれるフィルム状の接着材料を貼り付けている。ダイアタッチフィルム18を有するウェハ11では、ダイシングは、ウェハ11とダイアタッチフィルム18に対して行なわれる。従って、剥離工程では、ウェハ11とダイアタッチフィルム18をダイシングテープ16から剥離する。ダイアタッチフィルム18は加熱することで硬化する。
【0022】
ダイボンダ10は、ウェハ11上のダイDの姿勢を認識するウェハ認識カメラ24と、中間ステージ31に載置されたダイDの姿勢を認識するステージ認識カメラ32と、ボンディングステージBS上の実装位置を認識する基板認識カメラ44とを有する。認識カメラ間の姿勢ずれ補正しなければならないのは、ボンディングヘッド41によるピックアップに関与するステージ認識カメラ32と、ボンディングヘッド41による実装位置へのボンディングに関与する基板認識カメラ44である。
【0023】
制御部8について
図5を用いて説明する。
図5は制御系の概略構成を示すブロック図である。制御系80は制御部8と駆動部86と信号部87と光学系88とを備える。制御部8は、大別して、主としてCPU(Central Processor Unit)で構成される制御・演算装置81と、記憶装置82と、入出力装置83と、バスライン84と、電源部85とを有する。記憶装置82は、処理プログラムなどを記憶しているRAMで構成されている主記憶装置82aと、制御に必要な制御データや画像データ等を記憶しているHDDで構成されている補助記憶装置82bとを有する。入出力装置83は、装置状態や情報等を表示するモニタ83aと、オペレータの指示を入力するタッチパネル83bと、モニタを操作するマウス83cと、光学系88からの画像データを取り込む画像取込装置83dと、を有する。また、入出力装置83は、ダイ供給部1のXYテーブル(図示せず)やボンディングヘッドテーブルのZY駆動軸等の駆動部86を制御するモータ制御装置83eと、種々のセンサ信号や照明装置などのスイッチ等の信号部87から信号を取り込み又は制御するI/O信号制御装置83fとを有する。光学系88には、ウェハ認識カメラ24、ステージ認識カメラ32、基板認識カメラ44が含まれる。制御・演算装置81はバスライン84を介して必要なデータを取込み、演算し、ピックアップヘッド21等の制御や、モニタ83a等に情報を送る。
【0024】
制御部8は画像取込装置83dを介してウェハ認識カメラ24、ステージ認識カメラ32および基板認識カメラ44で撮像した画像データを記憶装置82に保存する。保存した画像データに基づいてプログラムしたソフトウェアにより、制御・演算装置81を用いてダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置決め、並びにダイDおよび基板Sの表面検査を行う。制御・演算装置81が算出したダイDおよび基板SのパッケージエリアPの位置に基づいてソフトウェアによりモータ制御装置83eを介して駆動部86を動かす。このプロセスによりウェハ上のダイの位置決めを行い、ピックアップ部2およびボンディング部4の駆動部で動作させダイDを基板SのパッケージエリアP上にボンディングする。使用するウェハ認識カメラ24、ステージ認識カメラ32および基板認識カメラ44はグレースケール、カラー等であり、光強度を数値化する。
【0025】
ボンディングステージのヒートシステムについて
図6を用いて説明する。
図6はボンディングステージを加熱、温調するシステムを示すブロック図である。制御部8内のヒータ電源85aより入出力装置83に含まれるソリッドステートリレー(SSR)83hをとおしてヒータ(加熱装置)45に電力が供給され、ボンディングステージBS内部に組み込まれたヒータ45はボンディングステージBSを加熱する。ダイアタッチフィルム18を用いる場合は、例えば80~160℃程度の高温に加熱される。熱電対等の温度センサ87aがボンディングステージBSの温度を常に測定し、その値を入出力装置83に含まれる温調器(コントローラ)83gに送る。制御・演算装置81が温調器83gに事前に設定した温度よりボンディングステージBSの温度が高くなったことを温度センサ87aが検出すると、温調器83gはソリッドステートリレー(SSR)83hのON/OFFを制御し、ヒータ45の加熱を一旦取りやめる。ボンディングステージBSの冷却は放熱によって行うが、冷却方法は放熱以外に水冷、空冷、ペルチェ素子を使ったものであってもよい。冷却により設定温度以下になると、温調器83gはソリッドステートリレー(SSR)83hを再びONし、ヒータ45により加熱を再開する。温調器83gは熱過渡現象を考慮し、設定温度到達を予測し、事前にプログラミングされた処理に従い、出力を調整し、温度のオーバーシュートを防ぐよう制御する。
【0026】
<比較例>
ここで、本願発明者が本願発明に先立って検討した技術(比較例)に係る加熱のできるボンディングステージ(ヒートステージ)による基板の加熱方法について
図7、8を用いて説明する。
図7は比較例に係る基板の加熱方法を示す図であり、
図7(A)は基板がボンディングステージに搬送される前の状態の上面図であり、
図7(B)は
図7(A)の側面図であり、
図7(C)は基板がアタッチポイントに搬送された状態の上面図であり、
図7(D)は
図7(C)の状態の側面図であり、
図7(E)は
図7(C)の基板の位置でボンディングステージが上昇した状態の側面図である。
図8は比較例に係る基板加熱の課題を説明する図であり、
図8(A)は基板へのボンディングが完了した状態の上面図であり、
図8(B)は
図8(A)の状態の側面図であり、
図8(C)は
図8(A)の状態の基板変形を説明する模式図である。
【0027】
図7(A)に示すように、ボンディングステージBSRは長さ(ステージ長)がLbsr、幅がWであり、二つの搬送レーン52の間(シュート幅)を網羅する熱伝導性のよい金属(銅など)で構成する。基板Sが搬送され、ボンディングステージBSRに接触することで、基板Sを加熱する。ボンディングステージBSRの加熱構造は
図6のボンディングステージBSと同様である。ここで、ボンディングステージBSRのステージ長(Lbsr)は基板Sが接触して基板Sを加熱可能な長さであり、基板Sの搬送方向(X方向)の長さである。ボンディングステージBSRの幅(W)も基板Sが接触して基板Sを加熱可能な長さであり、基板Sの搬送方向(X方向)とは直交する方向(Y方向)の長さである。また、ボンディングステージBSRのステージ長(Lbsr)および基板Sの長さ(Ls)は幅(W)よりも大きい(Lbsr>W、Ls>W)。
【0028】
図7(B)(D)に示すように、基板Sの搬送時はボンディングステージBSRと基板Sが摩擦しないよう、ボンディングステージBSRを下降させる。上昇/下降はモータとカムなどによって行う。
【0029】
図7(E)に示すように、基板SのパッケージエリアPの先頭列がアタッチポイントAPに搬送されて搬送が終了したタイミングでボンディングステージBSを上昇させ、基板Sを加熱する。アタッチポイントAPはダイDが基板Sにボンディングされる位置であり、ボンディング位置BPともいう。
【0030】
図7に示すように、アタッチポイントAPを基準としてボンディングステージBSRの前の長さ(Lbf)および後の長さ(Lbr)が基板Sの長さ(Ls)より短い(Lbf<Ls、Lbr<Ls)と、
図8に示すように、ボンディングステージBSRが上昇して基板Sを加熱する際、基板Sの下にボンディングステージBSRがある領域A1とボンディングステージBSRがない領域A2が存在し、1枚基板内で温度分布に差ができる。これにより基板の熱膨張量にも基板内でムラができる。温度分布には傾斜があるため、
図8(C)に示すように、基板を杓文字形に変形させてしまう。
【0031】
ボンディング後に基板Sを順次搬送していくと、ダイDが搭載されたままでこの変形を起こす。ダイDを実装したエリアがこの温度傾斜部に差し掛かると、ダイDに回転方向のストレスがかかり、ねじれ収縮する。
【0032】
また、DAF18などの接合剤の硬化が十分でない状態でこの現象になると、基板に実装されたダイに回転ズレ(θズレ)を発生させる。この変形は、ボンディングステージBSRの手前での基板Sの搬送時にも発生する。ボンディングステージBSRのステージ長(基板Sの搬送方向(X方向)の長さ)によっては、前段の非加熱領域での膨張していない部分での応力により、基板の形状が変形する(均等膨張でなくなる)。これによりボンディング時の基板位置決め精度を劣化させ、ボンディング精度も劣化する。
【0033】
説明を実施例に戻す。実施例に係るボンディングステージによる基板の加熱方法について
図9、10を用いて説明する。
図9は実施例に係るボンディングステージを示す図であり、
図9(A)は基板がボンディングステージに搬送された状態の上面図であり、
図9(B)は
図9(A)の側面図である。
図10は実施例に係るボンディングステージによる基板の加熱方法を説明する図であり、
図10(A)は基板がアタッチポイントに搬送された状態の側面図であり、
図10(B)は
図10(A)の基板の位置でダイがボンディングされボンディングステージが上昇した状態の側面図であり、
図10(C)はボンディングステージが下降し
図10(A)の基板の位置からパッケージエリアの1列分基板搬出部の方向に移動した状態の側面図であり、
図10(D)は基板の最終列のパッケージエリアにダイがボンディングされボンディングステージが下降した状態の側面図である。
【0034】
図9に示すように、ボンディングステージBSは長さ(ステージ長)がLbs、幅がWであり、搬送レーン52の幅(シュート幅)を網羅する熱伝導性のよい金属(銅など)で構成する。基板Sが搬送され、ボンディングステージBSを上昇させて基板Sに接触することで、基板Sを加熱する。基板Sはアレイ状に配置された複数のパッケージエリアを有し、例えば1列に4個で8列のパッケージエリアを有する。基板Sの搬送方向の先頭(
図9では右端)に1列目のパッケージエリアP1、最後尾(
図9では左端)に8列目のパッケージエリアP8が位置する。ここで、ボンディングステージBSのステージ長(Lbs)は基板Sが接触して基板Sを加熱可能な長さであり、基板Sの搬送方向(X方向)の長さである。ボンディングステージBSの幅(W)も基板Sが接触して基板Sを加熱可能な長さであり、基板Sの搬送方向(X方向)とは直交する方向(Y方向)の長さである。また、ボンディングステージBSのステージ長(Lbs)および基板Sの長さ(Ls)は幅(W)よりも大きい(Lbs>W、Ls>W)。
【0035】
また、アタッチポイントAPを基準として下流側(基板搬出部7側)のボンディングステージBSの長さ(Lbsf)および上流側(基板供給部6)のボンディングステージBSの長さ(Lbsr)は基板Sの長さ(Ls)以上(Lbsf≧Ls、Lbsr≧Ls)あればよい。アタッチポイントAPがボンディングステージBSの中心に位置する場合は、ボンディングステージBSのステージ長(Lbs)は基板Sの長さ(Ls)の2倍以上(Lbs≧2×Ls)であればよい。なお、基板Sは搬送レーン52によって支持されるため、ボンディングステージBSの幅は基板Sの幅よりも狭い(小さい)。
【0036】
図10(A)に示すように、制御部8は、基板Sを搬送するとき、ボンディングステージBSが基板Sを加熱しないよう、ボンディングステージBSを下降させておく。ボンディングステージBSの上昇/下降はモータとカムなどによって行う。その状態で、基板Sの先頭列(1列目)のパッケージエリアP1をアタッチポイントAPまで一気に搬送する。
【0037】
図10(B)に示すように、制御部8は、基板Sの搬送が終了したタイミングでボンディングステージBSを上昇させ、基板Sの全体を加熱した後、ボンディングヘッド41により1列目のパッケージエリアP1にダイD(
図10では4個のダイ)をボンディングする。なお、上述したように、基板Sの幅はボンディングステージBSの幅よりも少し大きいが、両幅端のパッケージエリアを含めすべてのパッケージエリアはボンディングステージBSにより加熱される。基板Sの額縁領域の幅はパッケージエリアPの幅または長さよりも小さいので、少なくともすべてのパッケージエリアを加熱する場合、基板Sの全体を加熱するという。よって、上述したボンディングステージBSのステージ長は、基板の長さを1列目のパッケージエリア端(
図9では右端)から最終列のパッケージエリア端(
図9では左端)までとして設定するようにしてもよい。
【0038】
図10(C)に示すように、制御部8は、1列目のパッケージエリアP1をボンディング後はボンディングステージBSを下げ、基板Sの全体を放熱しつつ、2列目のパッケージエリアP2がアタッチポイントAPに位置するよう基板Sを1ピッチ送る。再びボンディングステージBSを上昇させ、基板Sの全体を加熱し、ボンディングヘッド41により2列目のパッケージエリアPにダイDをボンディングする。
【0039】
これを各列に最終列まで繰り返す。すなわち、N=3~K(Kは最終列で実施例ではK=8)において下記を行う。
【0040】
制御部8は、ボンディングステージBSを下げた状態で、基板SのN列目のパッケージエリアPNがアタッチポイントAPに位置するように基板Sを搬送し、ボンディングステージBSを上昇させて、基板Sの全体を加熱しながらダイDを基板SのN列目のパッケージエリアPNにボンディングする。
【0041】
図10(D)に示すように、制御部8は、最終列のパッケージエリアPKへのボンディングが終了したら、ボンディングステージBSを下降させ、基板Sの全体を放熱しつつ、一気に基板SをボンディングステージBS外に搬送する(払い出す)。
【0042】
これにより、基板Sのすべての箇所(各パッケージエリアP)の加熱時間は同じになる。なお、各パッケージエリアPの加熱時間は同じであるが、ダイDを基板Sにボンディングしてからのダイアタッチフィルム18およびダイDの加熱時間は1列目から最終列目まで順に短くなる。
【0043】
1枚の基板着工時は、ボンディングステージBSの領域に前後の基板を入らないようにする。前後の基板がボンディングステージBSの境界面を跨ぐことによって前後の基板のそれぞれの基板内の加熱が不均等になってしまうことを防ぐためである。
【0044】
制御部8は、基板SをアタッチポイントAPまで移動させた後、基板認識カメラ44にて基板SのアライメントマークAMを撮像してボンディング位置BPを求めて位置決めを行う。基板Sが加熱により膨張する場合に位置決めへの影響について
図11を用いて説明する。
図11は基板が加熱により膨張する場合に位置決めへの影響を説明する図であり、
図11(A)は熱膨張前の状態を示す模式図であり、
図11(B)は均一に熱膨張する場合の状態を示す模式図であり、
図11(C)は不均一に熱膨張する場合の状態を示す模式図である。
【0045】
比較例で上述したように、基板Sが加熱により不均一に膨張する場合、
図11(A)(C)に示すように、熱膨張前のアライメントマークAMおよびボンディングエリアBAと、熱膨張後のアライメントマークAMおよびボンディングエリアBAと、の位置は異なり、また、アライメントマークAMの位置から求めるボンディング位置BPの位置も変わってしまう。すなわち、不意均一な熱膨張により、アライメントマークAMとボンディング位置BPの位置関係がくるってしまい正確なボンディングが行えない。
【0046】
一方、実施例では、
図11(A)(B)に示すように、基板Sが加熱により均一に膨張する。この場合、熱膨張前のアライメントマークAMおよびボンディングエリアBAと、熱膨張後のアライメントマークAMおよびボンディングエリアBAと、の位置は異なるが、アライメントマークAMの位置から求めるボンディング位置BPは変わらない。よって、ダイ(ボンディング位置)の中心を認識することができる。なお、アライメントマークAMおよびボンディングエリアBAはパッケージエリアPに含まれる。
【0047】
なお、制御部8は、ダイDをボンディングした後、アタッチポイントAPでそのボンディング位置BPが正確になされているかを基板認識カメラ44にて検査する。このとき、ダイの中心と、タブの中心を求め、ダイと基板の相対位置が正しいかを検査する。基板Sが加熱により均一に膨張するので、比較例よりも検査精度が良くなる。
【0048】
次に、実施例に係るダイボンダを用いた半導体装置の製造方法について
図12を用いて説明する。
図12は半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0049】
ステップS11:ウェハ11から分割されたダイDが貼付されたダイシングテープ16を保持したウェハリング14をウェハカセット(不図示)に格納し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8はウェハリング14が充填されたウェハカセットからウェハリング14をダイ供給部1に供給する。また、基板Sを準備し、ダイボンダ10に搬入する。制御部8は基板供給部6で基板Sを搬送レーン52に載置する。
【0050】
ステップS12:制御部8はウェハリング14に保持されたダイシングテープ16からダイDをピックアップする。
【0051】
ステップS13:制御部8はピックアップしたダイDを基板SのパッケージエリアP上に搭載又は既にボンディングしたダイの上に積層する。より具体的には、制御部8はダイシングテープ16からピックアップしたダイDを中間ステージ31に載置し、ボンディングヘッド41で中間ステージ31から再度ダイDをピックアップし、搬送されてきた基板SのパッケージエリアPにボンディングする。
【0052】
ステップS14:制御装置8は基板搬送爪51で基板Sを基板搬出部7まで移動して基板搬出部7に基板Sを渡しダイボンダ10から基板Sを搬出する。
【0053】
<変形例>
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施例にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施例と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施例における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施例の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0054】
(変形例1)
変形例1に係るボンディングステージによる基板の加熱方法について
図13、14を用いて説明する。
図13は変形例1に係るボンディングステージを示す図であり、
図13(A)は基板がボンディングステージに搬送された状態の上面図であり、
図13(B)は
図13(A)の側面図である。
図14は変形例1に係るボンディングステージによる基板の加熱方法を説明する図であり、
図14(A)は基板がアタッチポイントに搬送された状態の側面図であり、
図14(B)は
図14(A)の基板の位置でダイがアタッチされボンディングステージが上昇した状態の側面図であり、
図14(C)は
図14(A)の基板の位置から1列分基板搬出部の方向に移動した状態の側面図であり、
図14(D)は基板の最終列にダイがアタッチされボンディングステージが下降した状態の側面図である。
【0055】
図13に示すように、ボンディングステージBSAは長さ(ステージ長)がLbsa、幅がWであり、搬送レーン52の幅(シュート幅)を網羅する熱伝導性のよい金属(銅など)で構成する。基板Sが搬送され、ボンディングステージBSAを上昇させて基板Sに接触することで、基板Sを加熱する。ここで、ボンディングステージBSAのステージ長(Lbsa)は基板Sが接触して基板Sを加熱可能な長さであり、基板Sの搬送方向(X方向)の長さである。ボンディングステージBSAの幅(W)も基板Sが接触して基板Sを加熱可能な長さであり、基板Sの搬送方向(X方向)とは直交する方向(Y方向)の長さである。また、ボンディングステージBSAのステージ長(Lbsa)および基板Sの長さ(Ls)は幅(W)よりも大きい(Lbsa>W、Ls>W)。
【0056】
ボンディングステージBSのステージ長(Lbsa)は基板Sの長さ(Ls)以上(Ls≦Lbsa)であり、例えば比較例のボンディングステージBSRと同様の長さである。なお、基板Sの長さ(Ls)2倍よりも短いのが好ましい(Ls≦Lbsa<2×Ls)。
【0057】
図14(A)に示すように、制御部8は、基板Sを搬送するとき、ボンディングステージBSAが基板Sを加熱しないよう、ボンディングステージBSを下降させておく。ボンディングステージBSAの上昇/下降はモータとカムなどによって行う。その状態で、基板Sの先頭列(1列目)のパッケージエリアP1をアタッチポイントAPまで一気に搬送する。
【0058】
図14(B)に示すように、制御部8は、基板Sの搬送が終了したタイミングでボンディングステージBSAを上昇させ、基板Sの全体を加熱した後、ボンディングヘッド41により1列目のパッケージエリアP1にダイD(
図14では4個のダイ)をボンディングする。
【0059】
図14(C)に示すように、制御部8は、1列目のパッケージエリアP1をボンディング後はボンディングステージBSAを下げずに、2列目のパッケージエリアP2がアタッチポイントAPに来るよう基板Sと共にボンディングステージBSAを1ピッチ送る。ボンディングヘッド41により2列目のパッケージエリアP2にダイDをボンディングする。これを各列に最終列まで繰り返す。すなわち、N=3~K(Kは最終列で変形例1ではK=8)において下記を行う。
【0060】
ボンディングステージBSAを基板Sと接触させた状態で、基板SのN列目のパッケージエリアPがアタッチポイントAPに位置するように基板Sと共にボンディングステージBSAを搬送し、基板Sの全体を加熱しながらダイDを基板SのN列目のパッケージエリアにボンディングする。
【0061】
図14(D)に示すように、制御部8は、最終列のパッケージエリアPKへのボンディングが終了したら、ボンディングステージBSAを下降させ、基板Sの全体を放熱しつつ、一気に基板SをボンディングステージBSA外に搬送する(払い出す)と共にボンディングステージBSAを次基板の受け取り位置へ移動させる。
【0062】
これにより、比較例と同様なボンディングステージ(ステージ長)であっても、基板を均一に加熱することができる。また、実施例よりもステージ長を短くすることができる。
【0063】
(変形例2)
実施例では、制御部8は、ダイDをボンディングした後、アタッチポイントAPでそのボンディング位置が正確になされているかを検査するが、変形例2ではさらにダイへのストレスチェックを行う。
図15は変形例2に係るボンディングステージ付近の光学系を示す図である。
【0064】
基板SへのダイDのボンディングを終了し、基板Sの冷却後に再度、基板S上のダイの位置をチェックできる外観検査カメラ(撮像装置)47を設置する。外観検査カメラ47はボンディングステージBSの下流側(基板搬出部7側)に基板認識カメラ44とは別に設けられる。制御部8は、外観検査カメラ47によって基板SとダイDの相対位置関係を検査し、θずれの有無を確認する。特に各ピッチでより後半にボンディングしたダイにθずれが多い場合は、ダイDにストレスがかかっていると判断する。
【0065】
基板にボンディング済みのダイに熱膨張によるストレスのあるかを確認することができる。変形例2は実施例の他に比較例や変形例1にも適用することができる。
【0066】
(変形例3)
実施例ではボンディングステージBS全体の加熱を行っているが、変形例3ではボンディングエリアBA(1列のパッケージエリアP)に合わせてボンディングステージを複数のエリアに分割し個別に温調する。
図16は変形例3に係るボンディングステージを示す図であり、
図16(A)は基板がボンディングステージの上方に位置する状態の上面図であり、
図16(B)は
図16(A)の側面図である。
【0067】
図16に示すように、変形例3に係るボンディングステージBSCはボンディングエリアBA(1列のパッケージエリアP)に合わせてヒータ45Cを17個に分割して、17個に分割された分割ヒータH1~H17を個別に制御できるようにする。基板Sの搭載している部分のみ、ヒータ45C(
図16では分割ヒータH7~H14)をONして加熱温調する。これにより、ボンディングステージBSCの基板搭載部のみを加熱することができ、消費電力を低減することが可能となる。
【0068】
(変形例4)
変形例3ではボンディングエリアBA(1列のパッケージエリアP)に合わせてボンディングステージを複数のエリアに分割し個別に温調しているが、ボンディングステージをアタッチポイントAPの上流側のエリア、アタッチポイントAPのエリア、アタッチポイントAPの下流側のエリアに3分割して温調する。
図17は変形例4に係るボンディングステージを示す図であり、
図17(A)は基板がボンディングステージに搬送された状態の上面図であり、
図17(B)は
図17(A)の側面図である。
【0069】
図17に示すように、変形例4に係るボンディングステージBSDはアタッチポイントAPの上流側のエリア、アタッチポイントAPのエリア、アタッチポイントAPの下流側のエリアに3分割して、分割された3箇所にヒータ45D、温調器Hf、Hrを設け、個別に制御できるようにする。
【0070】
基板Sの全面がボンディングステージBSDに載ってアタッチポイントAPに到達する前から温調器Hrによって加熱して昇温させる。また、ヒータ45DによってアタッチポイントAPのエリアのみ常時温調を行い、上流側のエリアの温調器Hrおよび下流側のエリアの温調器Hfには、加熱および冷却機能を設け、基板S全体を一機に昇温、冷却させるようにする。
図17ではヒータ45Dと温調器HrによってボンディングステージBSDが加熱されている状態である。これにより、基板の空冷過程で発生する中心部と外周部の温度差も防止することができる。
【0071】
(変形例5)
実施例ではボンディングステージBSによって基板全体の加熱を行っているが、変形例5ではアタッチポイントAPの前後のエリアにはステージを設けず、非接触の加熱装置を設ける。
図18は変形例5に係るボンディングステージを示す図であり、
図18(A)は基板がボンディングステージの手前に搬送された状態の上面図であり、
図18(B)は
図18(A)の側面図である。
【0072】
図18に示すように、変形例5に係るボンディングステージBSEはアタッチポイントAPのエリアのみ位置し、ステージ長がボンディングエリアBA(パッケージエリアPの1列)の幅と同等の長さである。ボンディングステージBSEはヒータ45Eを備える。アタッチポイントAPの直前直後のエリアに位置する基板Sの全体に下方から照射可能な赤外線放射ランプ等の放射型の加熱装置IRLを設けて、非接触で基板Sをボンディングステージの温度まで加熱する。加熱装置IRLから放射される赤外線は対象の基板Sに吸収エリアを持つ(共振吸収される)。さらに、基板Sの温度を検知する非接触の赤外線放射温度センサを設け、基板Sの温度をコントロールするようにしてもよい。これにより、基板Sが搬送中にボンディングステージBSEと非接触状態になることによる基板Sの温度低下を抑制することが可能となる。
【0073】
(変形例6)
変形例4ではボンディングステージBSDによって基板全体の加熱を行っているが、変形例6ではボンディングステージの上方もヒートステージを設ける。
図19は変形例6に係るボンディングステージを示す図であり、基板がボンディングステージに搬送された状態の側面図である。
【0074】
図19に示すように、ボンディングステージBSDの上方にヒートステージHSFを設ける。ヒートステージHSFはアタッチポイントAPを除きその上流側に温調器Hr、下流側に温調器Hrを備える。この構成により、アタッチポイントAPの前後のエリアをトンネル状に形成し、トンネル内の搬送エリアの空間をボンディングステージ温度に温調する。
図19ではヒータ45Dと温調器HrによってボンディングステージBSDおよびヒートステージHSFが加熱されている状態である。これにより、搬送中にボンディングステージBSDと非接触状態になることによる基板Sの温度低下を抑制することが可能となる。
【0075】
実施例および変形例では基板Sの加熱および放熱を必ず基板全体で同時に行うようにして、基板内で温度分布にムラや傾斜がないようにする。
【0076】
基板全体の熱膨張を均一にすることで、基板のねじれ収縮やねじれ膨張を低減することができ、不均等な膨張収縮に起因する基板の不均一な熱変形によるボンディング後のダイへのストレスを低減することができる。また、基板の不均一な熱変形によるボンディング後のダイの位置ずれを低減することができる。
【0077】
また、基板の不均一な熱変形を低減することで、ボンディング精度を安定化させることができる。すなわち、ボンディング前の基板の不均一な熱膨張を低減することで、位置決め精度を安定化させることができる。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例および変形例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施例および変形例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0079】
例えば、実施例ではボンディングステージBSのステージ長(Lbs)および基板Sの長さ(Ls)は幅(W)よりも大きい(Lbs>W、Ls>W)としたが、Lbs≦W、Ls≦Wであってもよい。
【0080】
また、実施例ではパッケージエリアPがアレイ状に基板Sに配置されているが、千鳥や斜めにオフセットして(ずらして)配置されたものでもよい。
【0081】
また、変形例5ではアタッチポイントAPの直前直後のエリアに位置する基板Sの全体に下方から照射可能な赤外線放射ランプ等の放射型の加熱装置IRLを設けているが、基板Sの全体に上方から加熱するようにしてもよい。
【0082】
また、実施例ではウェハの裏面にDAFが貼付されているが、DAFはなくてもよい。
また、実施例ではピックアップヘッドおよびボンディングヘッドをそれぞれ1つ備えているが、それぞれ2つ以上であってもよい。また、実施例では中間ステージを備えているが、中間ステージがなくてもよい。この場合、ピックアップヘッドとボンディングヘッドは兼用してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10・・・ダイボンダ
1・・・ダイ供給部
13・・・突上げユニット
2・・・ピックアップ部
24・・・ウェハ認識カメラ
3・・・アライメント部
31・・・中間ステージ
32・・・ステージ認識カメラ
4・・・ボンディング部
41・・・ボンディングヘッド
42・・・コレット
44・・・基板認識カメラ
45・・・ヒータ(加熱装置)
47・・・外観検査カメラ
5・・・搬送部
51・・・基板搬送爪
52・・・搬送レーン
6・・・基板供給部
7・・・基板搬出部
8・・・制御部
S・・・基板
BS・・・ボンディングステージ
D・・・ダイ
P・・・パッケージエリア